1
論 文】 UDC :624.
131.
55 :624.
15 :624.
042.
7:517.
544 日本建築学会構造系論文報告 集 第 3SO号・
昭和 62 年10月埋 込
み
剛
基 礎
の
動 特 性
に
基
づ
く
動 的 擬 似
3
次
元
効
果
の
考 察
境 界要 素 法
に よ る動
的
擬似 3
次
元効 果
に関
する研究
(
その2
)
中
福
員 員 会 会 正 正井
和
正
伸
_
*夫
* * 1.
は じめに 前 報1)に おい て,2
次 元 場の支配方程式に速度比例型 減 衰を導入 して,
地表 面 剛基 礎の 擬似3
次 元境界要素 解 析を行い,2
次 元お よ び3
次元場の解析 結果との比較を 通し て,
擬 似3
次元場の動 特 性 を解 析 的に検 討 し た。
本 論で は, 基 礎が埋 込 まれ る場 合,
隣 接し て基 礎が存 在する場合,’
お よ び成 層 地 盤の最も極 端な例と し て基 盤 が存 在 する場 合の検 討 を 行い,
埋 込み効 果,
基 礎 間 連 成 効果,
成層効 果に及ぼす速 度 比 例 型 減 衰の影 響を考 察す る。 さ らに, 線加 振 時の波 動 伝 播エ ネル ギー
を求め, 解 析 次 元に よ る波 動の逸 散 性 状の差 異 を検 討し, 擬 似3次 元 解析が面外へ の波 動の逸 散 を過 度に評 価する傾 向があ ること を示す。 ま た, 速度比例型 減 衰の効果を1次 元 土 柱に適用 し て簡易 地 盤 ばねを求め,
陽な形で得ら れ たイ ン ピー
ダン ス を も とに,
擬 似 3次 元 場の イン ピー
ダンス の特徴を数式 的に説明す る。
以 上の検 討 をもとに,
擬 似3次 元 解 析 特 有の動 的 挙 動 を考 察 し, 適用上の留 意 点 を 明確にする。
2.
解 析 方 法 解 析 対 象は図一
1に示す よ うに,
半 無 限地 盤 ま た は剛 基 盤 上の弾 性 層に埋 込ま れ た剛 基 礎にSV
波が 入射す る 問題で あり,
隣 接して存 在す る 基 礎 も考慮 す る。
地 盤 お よび基 礎 埋 込み部には擬 似3次元 効 果を表す た め に面外 方 向に ダッ シュ ポッ ト を取り付け,
支配方 程式に速度比 例 型 減 衰を導 入する。
解 析 方 法は前 報1 )と 同 様で あり, 境 界 要 素 法 を用い て 基 礎の イン ピー
ダンス およ び ドライビングフ ォー
ス を求 め, 動的サ プス トラ ク チャー
法の概 念に基づい て基 礎の 応 答 を求める。 こ こ で は埋 込み を有 する場 合に生 じ る境 界 要 素 法 定 式 化上の注 意 点を明 確にする ために,
解析 方 法の概略 を示 す。
な お,
特に説 明の ない諸 量 につ い ては 前va1
)で定 義 さ れて い る ので参照 さ れ たい。
まず,
境界上i
点に お け る定 常 動 弾 性 問 題の散 乱 波 場 本 論 文の一
部は参 考文 献 〔8)一
(10>に 発表し た もので あ る。
* 清 水 建 設 (株 )大 崎 研 究室 主 任 研 究 員・
工博 騨 清 水 建 設 (株 )大 崎 研 究 室・
工 修 〔昭 和 62年2月6日 原 稿受理) の積分方程式は, [・a1
・il
・∫
[P
,muluSldr
−
∫
[喇 脚r
・
……・
……・
・
一 …一 …一 ・
・
(1 > と示さ れ る。 こ こ に,luSl
,lpS
}は境界 上の変 位お よび 表 面 力ベ ク トル で あり, 上 添 字S
は散 乱 波 場の諸 量 を 示す。
また,
[Ci]は i点 近 傍の境 界 形 状によっ て定まる 係 数マ トリックス である。1
崘},
Ip
謝は変 位お よ び表 面 力の基 本 解で あり,
下 添 字 (k
)は基 本 解 を算 定し た場 の次 元 を 示す。
本 論で は基 本 解とし て Appendix に示す 地 盤の境 界 条 件 を満 足し た グ リー
ン関 数 を用い る の で,
境 界 積 分r
は基 礎一
地 盤 接 触 部のみ実 行す ればよい 。 実 際の応 答 値剛,lp
}は以下の よ うに散 乱 波場 と 入反 射 波場の和で表さ れ る。
lul
=luSI
+iuG
・
……・
…………・
・
…・
……・
…
(2)lP
}ニ {ps }+IP
’1
こ こに,lut
}, {ρ ’1
は 入反 射 波 場の諸 量 を示 し前報il (11)一
(15)式 を用いて求め られ る。
(1)式に (2}式を代入し て一
定 要 索に よ り離 散 化し,
これを全 要 素につ い て連 立させ ると,
[鼠勺]ヨul
;
[G
〔勧]ipl
十[HtkJluil
−
[G
エitJlpl・
…・
・
…
(
3
) が得られる。
こ こ に,
[Hl
丿陶]=
δ,丿[C
‘]・f
.,[躍r
【偏 一云
圏dr
…・
…………
(4 ) であ る。 な お,
境 界の形 状に よっ て定ま るマ トリッ クス a 図一
1 解 析モデル一
56
一
[
C
』につ い て は,
剛 体 許 容 条 件z} を 用いて静的な[H
]マ ト リッ クスか ら求めて い る。 本 論では, 剛 基 礎 を対 象と す るので変位ベ ク トルlul
をlul
=
[コ「]IU
}・
・
・
…
t−・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(5
) の よ う に変 換マ ト リッ ク ス [T ]を 介して剛基 礎底面 中 心の変 位 {酬 で代 表さ せ る。
さ らに,
各 境 界要 素の面 積を対角項に含むマ トリッ ク ス [A
]を 導入 し, (3
)式 の両辺に [T
]T [A
][Gcm
]−
1 を 乗じ ることに よっ て,
[κ]lui
= {F
}十iD
}・
・
・
・
・
・
・
…
tt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
…
(6) が得られ る。
こ こ に,
[K]=
[T
]TA
][Gny
]−
1[Hcni
[T }IF
}=
[T]「 [A]ip
}・
・
・
・
…
(7 )
1D
}=
[T
]T[A
]([G
κ]一
1 [H
(k)]1u
’1
−
lpa
) で あり,
[K
]は剛 基 礎の インピー
ダン ス マ ト リッ ク ス,
副
は外 力ベ ク トル,iDi
は ドラ イ ビングフ ォー
ス ベ ク ト ルである。
ま た, 外力ベ ク トル1FI
をo
と して (6 )式 を解いた結 果が基 礎 入 力 地 動 (無 質 量 剛 基 礎の 応 答)で あ る。
こ こで,
注 意 を要す るの は以下の点である。
入反 射 波 場は支 配 場が2
次 元ま た は 3次 元となる の で,
(1)式 に対 応する積分方程式の離散化 表 現 式は,
[HCt.
3]1
捌;
[Gii
,
s]IP
’}+lull
…・
…・
……・
tt・
・
・
・
…
(8
) と な る。 こ の関 係 を 用い ると,
(7)式で定 義さ れ た ド ライビングフ ォー
ス は,
のト[T]惣 ]([
Gim
]−
1[H(ltJlu ’1
−
[G
〔2、
sJ−
i [Hca.
3Jlu ’1
十[Gt2,
Sb]−
11ul })・
・
・
・
・
・
…
(9) と表さ れ る
。
2 次元場や3次 元 場の解 析の場 合に は入反 射 波 場と散 乱 波 場の支 配 場が同一
であるの で, (9 )式 中の右 辺 第1項と第2項が相 殺して,iDl
;
[T ]τ [A ][G ]→
Hu
「 }・
・
・
……・
・
………
(IO) とな り,
通 常の境 界 要 素 解 析で用い ら れ てい る ド ライ ビ ングフ ォー
ス の定 義 となる。 しか し, 擬 似3
次元 場 を対 象と する場 合に は,
入反 射 波 場と散 乱 波 場の支配 場が異 な るの で,
(7 )式に よる定 義が必 要とな る。
た だ し,.
地 表面基礎の 場合に は [H
]マ トリックスが単 位の対 角 行 列と な り (9 )式中の右辺第 2項と第 3項が相 殺する の で, 前va1
)の ご と く (IO)式によ る定 義 も可 能である。 また,
擬 似3次 元 場の地 盤 インピー
ダン ス と ド ラ イ ビ ングフ ォー
ス に関しては, 図一
2に示す よ う に基 礎 埋込 み部に付 加し たダッ シュ ポ ッ トの寄与も考慮す る。 す な わち,
(7 )式 中の イン ピー
ダン ス [K
]に は,
側
轄
]
[
i・…Vs]
[
ll
斗
ぬ…………・
・
……・
……・
・
・
……
(11 ) を,
ドライビングフ ォー
スiDI
に は,
∫
1
∫
1
陰 ]
回
一・・一
・12) 無 質 且 剛 基 礎げ
●
,
rII曹
,
,
形
i4
:四 ww−一
一
一
一
pVs・
:……一
一
一
…
丑・
一
{ (a》 イ ン ピー
ダン ス算 定 図一
2 無 質 量剛基 礎tt
丑
4
畠
{al}地 サ {Ui}.
r一
盤 ∠.
_
一
一
_
一
_
一
一
一
_
一
:「享ノ.
Lj (b) ド ラ イ ビング7t一
ス算定 基 礎 埋込み部に付 加し た ダッ シュ ボッ トの寄 与 を付加 す.
る。
な お,
比 較に用い る3次元 解 は半無 限 地 盤 の場合に は吉 田ら3)に よる境界要 素法 (直接 法}か ら得 られ た正 方 形 基 礎の結 果 を,
剛 基 盤が存 在する場 合に は 軸 対 称 有限要 素 法4,に より求めた面 積 等 価の 円形 基 礎の 結 果を用い る。3
,
埋 込み効 果の検 討 埋込み剛 基 礎の擬 似3次元効果の検 討を行う。
対 象と する の は半 無 限 地 盤に埋 込まれ た単 独 剛 基 礎である。
正 方 形 基 礎 を 想 定 し て半 幅B =
40m,
埋 込みE =
20m,
奥 行長 さL =
80m と し, 境界要 素 長は 4m とする。
地 盤はボ アソ ン比 v=O.
4,
せ ん断 波 速 度Vs=500
m/s, 基 礎は標準的.
なBWR
型原 子 炉 建 屋 を想 定 し, 重量W
=
334 200t,
重心 高 さ 洗 = 20m,
回 転’
慣性 1=
2.
683× 10s tm2 とする。
表 示す るの は インピー
ダン ス,
お よびSV
波が鉛 直 下 方か ら 入射す る時の基 礎入力 地 動,
剛 基 礎重心 の応 答であ り,
地 表面 応 答に対 する伝達関 数とし て示 す。 いず れも無 次 元 化 表 示 し, 横軸は無 次 元 振 動 数 αo=
ωB
/Vs
とする。図
一
3に剛基 礎の イン ピー
ダンスを 示 す。
地 表面基 礎 の結 果 (前 報i)図一
7)と比 較 して , 実 部と虚部の値が 大き く増 加して いる。 これ は,
埋 込み に伴う基 礎一
地 盤 接地面 積の増 加が逸 散 減 衰と拘 束 効果 を増 大さ せた こと に よる。 インピー
ダン ス増 加の割 合は回 転,
水 平,
上 下 の順に小さ く なっ て い る。
これ は,
図一
4(a)に示 すよ うに基 礎 側 面 地 盤の寄 与の差に起 因 して おり,
側 面 地 盤 の変 形モー
ド とし て せん断モー
ド と圧縮 伸張モー
ドの い ずれ が卓越 す る かによ る。 例え ば,
側 面 地 盤 を水 平 方向 に のびる土 柱と仮 定すると,
土柱の剛性は圧縮 伸張モー
ドの方が せ ん断モー
ドよ り も大き く なる。
し たがっ て, 圧 縮 伸 張モー
ドを含む 回転お よ び水 平 成 分に おい て埋 込 みに よるイン ピー
ダン ス の増 加の 割 合が大き く な る と考 えら れ る』
。
擬 似 3次 元 効 果に関し て は, 地表面 基 礎の場 合 と 同様「
に,
擬 似3次 元 解は 2次 元解に比較して実 部が増 大し,
3次元解 をか な り よ く模擬して いる。
ただし,
埋 込みが 存 在す る場 合に は実 部の み な らず 虚 部の値 も増 大する傾 向が あ る。
これ は (11 >式に示し た基 礎 埋込み部の ダッ シュ ポッ トによ る寄与で あり,
これによっ て, 擬似 3次 元 解の虚 部の傾き は3
次 元解と よい対 応 を示すように な る。 しか し,
全体と して,
擬似 3 次元 解は低 振 動 数 域で 実 部を小さ め に虚 部を大き めに評 価 し,
と くに回転 成 分一
57
一
5
.
0 4.
0 3.
0 寒、
2.
0 霞 1,
0 0.
o_
1.
0 8.
0 6、
0愨
4.
oミ
2.
0 0.
0_
2.
0 留 4、
0ゴ
:
翼 1・
o 0.
O O.
O O,
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 a.
0 0.
0 0.
5 1,
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無塗元振 動 数 (ao;
mBiVs ) 無 次元振動 数{ao=
wBiVs ) {a) 水 平 対 角項〔KHH) Cb).
回 転 対 角 項 (KRR) 1.
0lil
;
。
.
20
.
0 0,
0 0.
5 1.
0 1.
5 巨,
0 2,
5 3.
0 0・
0 0・
5 1・
0 1・
5 2・
0 2、
5 3,
0 鰍 元 振 臘 〔。。=
。
BtVs) 無 次 元振 動蜘・
・=
eBtVs , {c) 上下対 角項(Kvv ) (d〕 水 平一
回 転 迎 成 項〔κHκ〕 図一
3 半 無 限 地 盤に埋込まれた単独剛基 礎のイン ピー
ダン ス 〔E/B=
O・
5,
v=
0・
4) 1.
5 0.
5 、.
e,
:
:
掣 e.
5s
・・
2 o・
1 0.
0 0.
0 0.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 0.
0 0.
5 LO 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 動 数 〔ao=
ω8!VS> 無 次元振 動 数 (ao=
ω
B/VS〕 〔a) 水 平 成 分(IH) (b) 回 転 成 分〔IR〕 図一5
半 無 限地 盤に埋 込 まれた単 独 剛 基 礎の基 礎入力地動 {EIB・
=
o.
5,
v=
o,
4) 禦 挈 L5 1.
0 O.
5 o.
o0,
0 1.
e 2次元 解一
一
一
一
一
一
L
擬 似3凍 元 解゜
’
s− ’
−
3次元解畫
・・ mSio
・
46
− ’
『’
、
…__
f /
1.
/齟
’
』
”
t’
膠
’
”
…t−”
0.
2 Z二/
「
itt
O,
0 0.
5 1,
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
O O,
O O.
5 1.
O L5 2,
0 2・
5 3・
0 無 次 元 振 勣蜘 αo=
as/Vs} 無次 元振 動 数 {・o=
ω
B/Vs) 〔fi} 水 平 成 分〔RH〕 〔b) 回転成 分(RR) 図一
遍 半無 限 地 盤に埋 込まれ た単 独 剛基 礎の応 答 (E/B=
0.
5,
v=
0.
4)一 58 一
圧 縮 伸 張モ
ー
ドI
Fi
⇔
l
I ⇔ せん断モ
ー
ド‡
〔a) 単 独 基 礎の 場合‡
圧 縮 伸張+せ ん断モー
ド [’
、
’
(
ll
#; ← レ.
_
一
←じ 馳 「’
、
コ
fii
(
に HL曽
一
← ← (b) 隣接基礎が存在 す る 場 合 図一
4 墓 礎 加 振 時の側 面地 盤の寄 与 の減 衰を過 大に評 価す る結 果とな っ て い る。
図一
5に基 礎入力 地 動を示 す。 埋 込み を有 する と きに は鉛 直 下 方 入 射の場 合で も幾 何 学 的 相 互 作 用 効 果 (埋 込 み 剛 基礎の拘 束効果 )が 認 め ら れ,
水 平 成 分は振動 数の 増 加と と もに減 少し, 回 転 成 分は 逆 に増 加す る。 こ れ は 深さ方向に 入射波の位相が異な ること に よっ て生じ る。
次 元に よ る 比較を行う と,
埋 込み を有する場 合には 地 表 面 基 礎 (前 報1)図一8
)と は異な り,2
次 元 解と擬 似3
次 元 解とに高 振 動 数 域で差 異が生 じ ること が分か る。 ま た, 擬 似3次 元 解は水 平 成 分で は 3次 元 解と非 常に よ く 対 応して い る もの の回転 成 分 を や や小さ めに評 価して い る。
図一
6に剛 基 礎の応答を示す。 埋 込み に よ る逸 散減衰 増 加お よ び幾 何 学 的 相 互 作 用 効 果によっ て,
地 表 面 基 礎 の場 合 (前 報ll図一9
)に比 較して応答 値が減 少して いる。 擬似3次 元 効果に関して は,
擬似 3次 元解は2次 元 解 に比較して ピー
ク が高振 動数 側に移 行し, 水 平応答 値が 大き くなっ てい る。
これ は,
と く に水 平 方 向の インピー
ダンス実 部 増 加によ る剛 性の増 大と減 衰の減 少に よる。
これによっ て,
擬 似3次 元 解は3次元解とほ ぼ同様の応 答 を与える よ うにな る。 し か し,
回転応 答 値に関して は 小さ めに評 価する傾 向が あり,
回 転 インピー
ダン ス の減 衰の大き さ に起 因していると考えられ る。4.
基礎 間連 成 効 果の検 討隣 接して 2つ の基 礎が存 在す る場 合の 擬 似 3次 元効果 の検 討 を 行う
。
対 象とするの は半 無 限地 盤に 20m 埋込 まれ た同一
諸 元の 剛 基礎で あ り,
基礎の 中 心 間 距 離は D=
100m と する。 な お,
各 諸 元は前 節 と 同一
とする。
図一
7に インピー
ダン ス を示す。
隣 接 基 礎が存 在す る 場 合には インピー
ダン スは2つ の基 礎の 6自由 度に関す るフ ルマ ト リックス で得られ るが,
こ こ で は下式の よ う に同一
基礎間の インピー
ダンズマ トリッ ク ス のう ち対 角 項と水 平一
回転の連 成 項 を,
基 礎 間 連 成の イン ピー
ダン スマ ト リックス の う ち水 平お よ び 上下 対 角 項を示す。
[K
}=
基 礎 1 基 礎2 2yO
…
滞
。瓢
r ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■」
囓
.
、 ・ー
d
…
蜷
。…
臨ー
.
ー
HR
レー
ー
・
図一3
に示し た単 独 基 礎の結 果と比 較 する と,
隣 接 基 礎が存在する場合, イン ピー
ダン ス の実 部が増 加 し虚 部 が 減少す る と と も に, 振 動 数に よっ て若 干 振 動 する傾 向 が見ら れ る。
これ は隣 接 基 礎に よる基 礎 側 面 部の拘 束 効 果の増大, お よ び隣接 基 礎に お け る逸 散 波の反射に よる 逸 散 減 衰 減 少が原 因して い る。 こ の効 果の大き さ は,
基 礎 側 面 地 盤の モー
ドにより差が あ り,
方 向 成 分で異な る。 すな わ ち, 図一
4(b)に示 し た よ うに,
水平成 分で は 圧 縮 伸 長モー
ドが,
上下 成 分で は せ ん断モー
ドが卓越する と考えられ る。
例え ば基 礎 側 面地 盤 を隣接基 礎 位 置で 固 定され た水平 土 柱と仮 定すると,
固定 境 界の影 響 は 圧 縮 伸 長モー
ドの方が大 きく現れ る。 し た がっ て,
圧縮伸長 モー
ドが卓 越 する水 平 成 分に隣 接 基 礎の影 響が よ り強く 現れ てい る と考え られ る。
な お,回転 成 分は圧縮 伸長モー
ドを含むが 基 本 的に自 己 釣 合 系 となる の で隣接 基 礎の影 響は水 平 成 分ほ ど大き く現れて いない。
こ の よ うな隣 接 基 礎の存 在に より現れる現象 は,
2次 元 解で最 も強く,
3次 元 解,
擬 似3次 元 解の順に小さ く なっ て い る。
これ は,
2次 元 場で は波 動が面 内にの み伝 播する の に対し, 3次 元,
擬 似 3次 元 場で は面 外 方 向に も波 動が逸 散す るの で,
’
隣 接 基 礎に反射 して基 礎に戻っ て く る波 動が減 少し,
結果と し て隣 接 基 礎の影 響 が 小さ く な ることによ る と考え ら れ る。
ま た, 擬似 3次 元 解と 3次 元 解の差の原 因は, 後 述の ご と く擬 似3次 元 解が波 動を面 外へ 過度に逸散さ せ ることによ る。
図一8
に基 礎入力 地 動を示す。
隣 接 基 礎の存 在に よ り 高振 動数域での水平応答値が単独 基 礎に比較して大きく なっ て い る。 単独基 礎の場合と 同様に,2
次元解は擬 似 3次 元 解,
3次 元 解に比 較 して 水平応答が かな り大きめ に評 価され て いる。
擬 似3次 元 解と 3次 元 解と の対 応は 微 小 量 と判 断で きる上 下 応 答 値 を除 く と 比較 的 よい。 図一
9に剛基 礎 重心位置の応 答を示す。
基 礎 間 連 成が ある場 合の水 平 応 答 結 果は単独基 礎の結 果 (図T6 )と 差 異が認め ら れ る。 この差 異の程度は2
次元,3
次元, 擬似3次 元解の 順に小さ く なっ て お り,
擬 似3
次元解は 単 独 基 礎の結果 と ほ と ん ど一
致 している。
ま た, 隣 接 基 礎の存在によっ て励 起さ れ る 回転 動お よび 上下動の値は 擬似 3 次元解が最も小さ く なっ て お り,
応 答に関しても 隣 接 基礎の影 響 が か な り抑制さ れ る 傾 向 が見ら れ る。
こ の よ うに,
擬 似3
次 元 解は隣 接 基 礎の存在に よ り生 じ る影 響を過 小に評 価する傾向が ある。
し か し,
イン ピー
ダン ス の対 角 成 分,
基 礎入力 動や重心応 答の水 平 成分 な一 59 一
5
.
0 4.
0 3.
O 鼠 ミ 葺 2.
D } 1.
0 0、
O−
1、
0 1.
D O.
8 $・.
6F 丶 ミ 0.
4 盲 D.
2 0.
0 0.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無次 元 振 動 数〔ao;
ωB〆VS} (a) 同一
基 礎 間 水 平対 角 項〔KIHIH) 4.
o 3,
0ヘ
ミ
ミ 2.
o ∫ 5 1.
0 0.
00.
0 0.
5 1.
D 1、
5 2.
0 2.
5 3.
0 無 次 元振 動 数 (ao=
teBiVs ) 〔b〕同一
基礎 間 回転 対 角項〔KIRIR) 2,
0 1.
0 00 艮 ミ 霞 監【
一
1.
0_
2.
0 8,
0 6.
0謇
4・
・≧
ξ 2・
o 0,
0_
2.
0 1.
0 o.
5 00 ミミ
丶 撃円
0.
O O.
5 1.
0 1.
5 2、
0 2.
5 3.
0 0・
0 0、
5 工.
O l.
5 2.
0 2.
5 3.
O 無 次 元 振 動 数 〔ao=
wBtVS 〕 無 次元 振動 絞 〔ao=
tsBJVS , Cd) 同一
基礎 間水平・
回 転 連 成 項 (KlnlR) 〔e〕 連 成 基 礎 問 水 平 対 角 項(Klfi2u, 図一
7 半無 限 地 盤に埋 込 ま れ た 連 成 剛 基礎のイン ピー
ダン ス 〔E/B=
0.
5,
_
0.
5 0.
0 0、
5 1.
O l、
5 2.
0 25 3.
0 無 次元振 動 数 (α0=
ω
8’VS) {c) 同一
基 畦 間 上 下 対 角 項 (Klvlv)_
1.
O O.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2,
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 動 数〔ao=
wB /VS, 〔f) 連 成 基 礎 間 上 下対 角 項(K’
Lv2v) P/B=
2,
5,
レ=
0.
4} 犁 1,
5 1.
o 0.
5 0.
0 o.
5 o.
4 × 0.
3R 犁 D.
2 o.
1 0,
0 0、
10 O.
08 0.
06 糴 0.
04 0.
D O.
5 1.
O l.
5 2.
0 2.
5 3、
O O.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
O 無 次 元 振 動 数〔ao=
wBtVS } 無 次 元 娠 動 数 (ao=
wBiVS ) 〔a}水平 成 分 (JH) 〔bレ 回 転 成 分 (IR) 図一
8 半無 限 地 盤に 埋 込 ま れ た連 成 剛 基 礎の基 礎入力 地動 (E〆B=
O.
5、
0.
02 0.
oe 0,
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 動 数{ao=
■BiVS) 〔c) 上 下 成5}Clv) P/B=
2.
5,
り=
0.
4) 1.
5 LO o・
51
.
0 0,
8 国 X O.
6 覊 o.
4 O.
2 o.
4 0.
3 R e.
2 0、
1 0.
0 0.
O o、
0 0・
0 0・
5 1・
0 1・
5 2.
0 2.
5 3.
O D,
0 0.
5 1、
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
D O・
0 無次 元 振 動 数〔ao=
■
BiVS, 無 次 元 振 動 数Cao=
mB/VS) 〔a) 水平成 分 (RH レ (b) 回 転 成 分 (RR) 図一
9 半 無限地 盤に埋込まれ た連 成 剛 基 礎の応 答 (E/B=
O.
5,
DIB=
2.
5,
−
60
一
0,
5 1.
0 1.
5 2,
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 勣 激 〔ao=
ω
B/Vs⊃ 〔c〕 上 下 成 分 〔Rv) レ=
0.
4>5
.
04.
O 3.
0 喜 鳧 2・
o 會 1.
00.
D_
1.
0 0.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 動 数(ao=
wBIVS } 図一
10 剛 基 盤上の弾 性 層に埋 込ま れた単 独 剛 基 礎の水 平 イン ピー
ダン ス (EIB=
0.
5,
HIB=
4.
o,
v=
o.
4) どに関 して は,
擬似 3次元解は 2次元解に比べて 3次 元 解へ と改 善さ れ て お り , ある程 度の改 善 効 果が得ら れて いると考え ら れる。 な お, 隣 接 基 礎の存 在による影 響の 過小 評 価につ い て は,
解 析 次元に よる面 外 方 向へ の波 動 の逸 散 性 状の差 異に関 連して い るもの と考え られ,
6節 におい て検 討 する。 5.
基 盤の影 響に関 する検 討 擬 似 3次 元 効 果が基 盤の 存 在に及ぼす影 響の検 討を行 う。
剛 基 盤 上の 弾 性 地 盤に 20m 埋 込ま れ た単 独 剛 基礎 を対 象とし,
基 盤 深さ は H・
=
160m と する。
ほ か の諸元 は前 述の と おりで ある。 剛 基 盤 を有 する場 合には 2次 元 解お よ び 3次 元 解が共 振 振 動 数で特 異 性 を示 すの で,
減 衰 定 数 h=
O.
05の 内 部 減 衰を考 慮す る。
な お,
比較に 用い る3
次 元 解は基 礎 版 底 面 積 を等 価に し た半 径R
の 円 形 基 礎 とし,
軸 対 称 有 限 要 素 法4)に より求 めて い る 。 こ こ で は,
インピー
ダン ス お よび基 礎入 力 地 動の水 平 成1
分 を示 す。 図一
10に水 平 イソピー
ダン ス を示す。 基盤の存 在に より,
2次元解お よ び 3次 元解は半無 限解 (図一
3) を 中心に大き く振 動して お り, 虚部の値は カ ッ トオフ振 動 数で あ る α。=
π/8
以 下では内 部 減 衰に よ る寄 与の みと なっ てい る。
これに対して擬 似3次 元 解は半 無限解に ほ と ん ど一
致 してい る。3
次 元 解は 2次 元 解に比較して振 動の振 幅が小さい もの の基 盤の影 響を明らか に受け て お り,
擬 似3次元 解は基盤の存在によ る共振現象を過 度に 抑 制して い る。図
一
11
に基 礎入力地動の水 平 成 分を示す が, イン ピー
ダン ス と同 様に擬似 3次元 解は半無 限解 (図一
5)によ く一
致 してお り,
基 盤の影響 をほと んど受けて い な い。
この よ うに, 基 盤 が存 在す る場 合,
擬 似 3次 元 解は3 次元 解の振 動 特 性の平 均 値 を模 擬 する ことは でき る が,
基盤 を有す る地 盤の共 振 現 象が過 度に抑 制さ れ る傾 向が あ る。
と くに,
カ ッ トオフ振 動 数 以 下の低振動 数 域で減 衰を過大に評 価する傾 向が あり,
成 層地盤を対 象と する 場合に は注 意 を要する点で ある。 こ の擬 似3
次元解の特 性は基 礎 間 連 成の場 合と同 様に逸 散 波が面外方向に過 度 覃 捜 糴 1.
5 1.
0 0.
5 o.
0 0.
0 0,
5 LO l.
5 2.
0 2.
5 3.
0 無 次 元 振 動 數 〔ao=
wB 〆VS) 図一
11 剛 基 盤 上の弾 性 層に埋 込まれ た単 独 剛 基 礎の水 平 基 礎 入力地動 (EIB=
0.
5,
H/β=
4.
O,
レ=
0.
4) に逸 散 してい る ため と考えられ る。
6.
波 動伝 播ーネルギー
によ る考 察 以 上の結 果から,
速 度 比 例 型 減 衰は2次 元の インピー
ダン ス実 部を増 加さ せ,
3次 元 解に 近 づ け る 効果が あ る。 し か し,
虚 部が増 加し逸 散 減 衰を 大 き く評価 する た めに,
基 礎 間の連 成 効 果や基 盤の存在による共振 現象を抑制す る傾向が あ るこ と が 明 ら か と なっ た。
こ れ は, 解析 次 元 に よ る 波 動の逸 散 性 状の差 異 が 原 因 して い る と考え ら れ る。 そこ で,
こ こ では地表 面に線 加振を作用させ た時の 波 動 伝 播エ ネルギー
を求め るこ と に よ り,
解析次元の差 に よ る 波 動 逸 散特 性を 検 討 す る。
面S
を1周 期 当たり に通 過す る平 均エ ネル ギー
伝 播 率は,
総 和 規 約を用い て次 式で与え られ るs〕6, 。 ・一
ぎ
1・ル
縞一
殖溺 …
…・
…
(・3) こ こ に, ni は外 向き法 線の方 向 余 弦,
Ui,
σ c,は変 位お よび応 力,
一
は共 役 複 素 数 を示 す。
図一
12の よ うに, 地 表 面に奥 行 長さ L,
加 振 合 力 1 の線 加 振が作 用する時の同心半 円 筒 面 (半 径R ,
奥 行L
) における平 均エ ネルギー
伝播率は,
E 一
暫 ∫:
1
:
・縞一i
・uJ)dyRde ・
一
(・4) と表さ れ る。
こ こ に,
u、,
OIJ は半無 限 地 盤の グリー
ン 関 数で ある。
2次 元お よ び擬 似3次 元 場で はAppendix によ り, 3次 元 場で は松 岡・
八幡の解 7〕を有 限 線 積 分す ることに よ り求める。
以下に お い て は,
無 次 元 振 動 数 aL(=
LtO/ Vs) , aR(=
Rω/l/k
),
波 数h
← ω/ Vs)を用い て.
無 次 元 化 表 示 する。 (14)式におい て R→ 0と す るこ とに よ り加 振 源に お け る逸 散エ ネルギー
量 が 求 め ら れ る。
図一
13に水平加 振の場 合の逸散エ ネル ギー
量 を示す。
』
図 よ り擬 似 3次 元 効果は逸 散エ ネルギー
を低 減し3次 元 解に近づける効 果 がある が,
α L が 2 を 下 回 る範 囲で は逸 散エ ネルギー
が3
次元解に比 較し て大き く、
なっ て い る。
こ の逸 散エ ネル ギー
の過 大 評 価は地 盤 ばねの過 大 な 減 衰の一
因と考え ら れ る。
一
61
一
線 加
謎
≒
0.
20 L 〆’
’
幽
一
一
曽
’
■
一
■
一
■
一
一
一
■
一
冒
噌
■
舮
一
暫
一
一
一
■
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
唖
一
一
一
一
一
}
胃
冒
一
■
一
一
.
−9・
営
♂ , I J職
W
・
’
ワノノ
1
!\
惣
纛
γ
/
乱
、
〆
’
、
’
i、
’
、
F
s
ρ
、
’
、
t
図一
12 波 動 伝 播エ ネルギー
の解 析モ デル O.
IS 署 HsO.
leX 0.
05 O.
O0,
0 図一
13 1.
0 2.
0 3.
0 4.
0 5.
0 無 次 元振 動 数 (aL・
diLiVs ) 加 振 源に お け る逸 散エ ネルギー
(水平加 振,
v=
O.
4) 150 §エ25去
・。・ 晃 75麸
準 50 阻 25OO,
0 図一
14 1.
0 2.
0 3.
0 4.
0 5.
0 無 次元 振 動数 (aL=
wUVs ) 面 内 伝 播エ ネルギー
比の振 動 数 特 性 (水 平 加 振,
v=
0.
4) 150 §1251 1eo 窒.
壽 75H 50 阻 2500.
O 図一
15 1.
0 2.
0 3.
D 4.
0 5.
G 無 次 元 振 動 数 〔aR=
diRiVs ) 面 内伝 播エ ネル ギー
比の距 離特性 (水 平 加 振,
v=
0.
4) aR G.
0 1.
0 2.
0 3.
04.
0 5.
0 一 2次 元 場 〔a) 水 平加振 aR O.
0 1.
0 2.
0 3.
04.
0 5.
0一
一 一 擬 似3次 元 場 (a) 水平 加振 aR O.
0 1,
0 2.
0 3.
04,
0 5.
O lO−
s IO』
210’
1「−
T−一
一一
T−一
「一
「 3次元場 αR O,
0 1,
0 2.
0 3.
04,
0 5.
0 − 一 2次元場 aR O.
01.
0 2.
0 3.
04.
0 5.
O 一 aR O,
0 1.
0 2,
0 3.
04,
0 5.
0 − 一 擬 似3次元場 (b) 上 下加 振 図一
16 地 盤 内の面 内 伝 播エ ネルギー
の分布 (aL= 1.
0,
v=
0.
4} 3次 元 場一
62
一
面 内に逸 散するエ ネル ギ
ー
と面 外に逸 散す るエ ネル ギー
の割 合 を 把 握する ために,
図一
14〜
15に面 内 伝 播 エ ネルギー
比 率 (円 筒 面S
を透 過 するエ ネル ギー
と加 振 源の逸 散エ ネルギー
の比 )の振 動 数,
距 離 特 性を示す。
2次 元 解の場 合に は面 外へ の波 勤の逸 散がな い の で ユOO % 円筒 面に達 する が,
擬 似3
次 元 解,3
次 元 解で は振 動 数や距 離に より到 達 比 率が変動す る。 擬似 3次元解は円 筒 面に到 達 する割 合が3次 元 解を下 回っ ており,
こ の差 は距 離,振 動 数の増 加と ともに増 大し ている。
す な わ ち, 面 外に逸 散す る波の成 分 が 多く評 価され てい る。
地 盤内のエ ネルギー
の伝播の仕 方を把握す る た めに,
図一16
に加 振 源か ら面内 方向に逸散す るエ ネル ギー
の 分布 を示す。
これ は,
同心円筒面に達す るエ ネルギー
の 単 位面 積 当 た りの値を示し た もの で,
aL=
1.
0の と きの (14 )式の被積分 関 数に相 当する。
面 外へ の波 動逸散の 有無に よ り,
2次 元 解に比 較 して,
擬 似3次 元 解,3
次 元 解で は距離に よるエ ネル ギー
低 減が大き く,
分布形状 も異な っ て い る。 擬 似3次 元解は 加 振 源 近 傍で 3次元解 と よい対 応 を示して いる が,
前述 の ご と く 距離に よ る低 減が強く,
遠 方の分布に差異が見ら れ る。 こ の よ うに,
擬 似3次 元 解 析は 2次 元 場の逸 散 性 状 を 3次 元 場へ と近づけるが,
低 振 動 数 域で逸 散エ ネルギー
を過 大に評価す る こと, 高 振 勤 数かつ 遠 距 離 域で面 外 方 向に過 度に波 動を逸 散させ る ことが明らか となっ た。
し た がっ て,
擬 似3次 元 解析におい ては,
加 振 源から離れ た位置の影 響が抑 制され る ことに な り, 結 果と し て隣接 構 造 物の影 響や基 盤の影 響 が 過 小に評 価さ れ る。
7.
擬 似3
次 元 土 柱に よ る簡易 ばね を用いた考察 以一
ヒの考 察か ら, 速 度 比 例型減 衰が構 造 物の動 的 挙 動 に与え る影 響につ いて定 性 的に把 握, 説 明し た。
しか し,
イン ピー
ダン ス の実 部の みが増 大し虚 部があまり変 化し ないこ と,
お よ び低 振 動 数 域の減 衰が大き くなるこ との 理 由が十 分に説 明さ れてい ない。 そこで,
図一
17の よ うに,1
次 元 土柱の周 囲に ダッ シュ ポ ッ トを付 加す るこ とによ り,
擬 似 3次 元 効 果 を1次 元 土 柱に適 用 し, これ か ら簡易的な地 表 面イン ピー
ダン ス を陽な形 式で求め る。振動方向に はP
波の,
面外 方向に はS
波のダッシュ ポッ トを 想 定 し,
面外方向の ダッ シュ ポッ トの有無に よ る差を検討す ることによ り擬 似3次元 効 果を考察す る。一
例と して水平 イン ピー
ダン スにつ い て示す。 基 礎版 と同一
の断 面 積A を有 する せん断 土 柱の つ り合い方 程 式は,
・
籌
一
・{
穿
・ ・器
……・
・
…9・
・
一 ・
…・
…
(・5) と表さ れ る。
こ こに,ηは土 柱に付 加され たダッ シュ ポッ トによ る粘 性 減 衰 係 数であり, 正 方 形 基 礎の場 合に は対 象と する次元に応 じ て以 下の よ うに決 定さ れ る。 H璽
・…’・
:
ll
φ
鐺 ,],
、4
。v。 pVs 1次元 せ ん 断 土 柱 〔a) 3次元場の問 題 ぐ一
〉 ぐ一
レー
聯 韈
毳
彡
」]
_
e
.
.
』
、
tS
・
:
「
ρVp 1次 元 せ ん 断 土 柱 〔b)2次 元 場の問 題 図一
17 簡易 地 盤ばね算定 用解析モデル 5.
04、
0 3.
0饗
ミ 2ρ 蒔 1・
o0
.
O_
LO0、
0 1『
0 2、
0 3齟
G 4,
0 無 次 元 振 動 数【ao=
ωBIVS) 5.
0 図一
18 簡 易地 盤 ばねによ る水 平インピー
ダン ス (v= O,
4)0
η=
ρVp/B
ρ(Vs十 v,)/B この よ うに,
(1次 元) (2次 元 を模 擬) (3次 元 を模 擬)・
…
(16} ηの値は面 外 方 向の ダッ シュ ポッ トの存 在 により増 大 する。 (15)式 を地 表 面で の単 位変位の条 件 および無 限 遠で の放 射 条 件を 用い て解 き,
基礎 版 下端の 反 力を求める ことにより,
水 平 イン ピー
ダン ス は,K
,=
μAl−
(ω/Vs
)2十i
ωij/μP
/2…・
…・
…・
・
一
…
(17) と な る。
図一
18に得られ た簡 易ばね を示す。
基 礎お よ び地 盤の諸元は前述の値を 用い る。
簡易ばね は面外 方 向 の ダッシュポッ トによ り実 部 が 増 加し てい る が, 虚 部は あま り変 化して お らず,
擬 似 3次 元 効 果の特 徴 とよく対 応し て い る b こ れ は,
地 盤ばね の表 現 式か ら説 明さ れ る。
(17)式 を実 部と虚 部に分 離し て示す と,
飾一揚
[
(・・脚 副一
(・・v
・) ! ・ i (・・賠 (・η/・) ・ +(・脚]
…
(18
) と な る。
(18 )式か ら,
高振動 数 域で は,
実部は粘 性 減 衰項 (ωη/μ)の寄 与が大き く, 虚部は (ω/Vs
)の項が 支 配 的で ある こと が分か る。
し たがっ て,
擬 似 3次 元 効 果 を考 慮す る と減 衰 係 数 ηが大きく な り, 実 部の値が 増 加 すること が説 明できる。 ま た,
低 振 動 数 域における 虚 部の増 大は,
(18 )式の 虚部に おい て,
ω が小さいと きに粘 性 減 衰 項の寄 与 が相対 的に大 き く なる ためで あ る。
一
63
一
こ の よ うに
,
擬 似 3次 元 場 におい て,
インピー
ダン ス の実部が増大す ること,
低振動 数 域の 減 衰が相 対 的に大 き く な ること が解 析 的に説明 で き る。
8.
結 論 前 報1)お よ び本 報におい て, インピー
ダン ス,
基礎入 力 地 動,
基 礎の応 答 を通 して, 2次 元, 3次 元,
擬 似3 次 元の 3者を比 較する ことに より,
擬 似3次 元 効 果につ い て の検 討を行っ た。
そ の結 果,
以 下の結 論が得ら れ た。
(1) 地 盤の支 配 方 程 式に速 度 比 例 型 減 衰の項 を導 入 する ことに より擬 似 3次 元 場の グ リー
ン関 数 を新た に誘 導し, 境 界 要 素 法を用い て擬 似 3次 元 効 果 を解 析 的に検 討した。 また,
擬 似 3次 元 場 特 有の境 界 要 素 解 析にお け る定 式 化 上の注 意 点を 明確に し た。
(2) 速 度 比 例 型 減 衰の導 入によっ て, 半無 限 地 盤に 埋 込ま れた単 独 基 礎の振 動 性 状が2次 元 解か ら3次 元 解 へ と大き く改 善さ れ る。
し か し,
低 振 動 数 域で イン ピー
ダン ス の 実部を 小 さ めに虚部を大きめ に評 価 (特に回 転 方向の減衰が大き く な る)す る た め に,
構 造 物の応 答が 小さ く なる傾 向があ る。
(3) 隣 接 基 礎が存 在す る場 合 や基盤 が存 在す る場 合 に は, 擬 似3次 元 解は3
次 元解の振 動性 状を平均 的に模 擬する ことは できるが, これ らに起 因す る 現象が抑制さ れ る傾 向が ある。
特に, 基 盤の影 響 を 減 じ ること は 成層 地 盤 を対 象と す る場 合 留 意すべ き点であ る 。 (4 ) 線加 振作用時の 波動伝 播エ ネルギー
を求め る こ とによ り, 擬似3
次 元場では波 動を面 外 方 向に過 度に逸 散す ること が明ら か と なっ た。 特に距 離に よる面 内 伝 播 エ ネルギー
の低 減が著しく,
隣接 基 礎や基盤の影 響を減 じる原因 と な る。
(5 ) 簡 易 地 盤 ばねの考察を行い, 速 度比例 型 減 衰の 存 在に よる イン ピー
ダン ス実 部の増 加, 低 振 動 数 域の 減 衰の過 大 評 価 を解 析 的に説 明し た。
(6
) 擬似3
次元 解は半 無 限 地 盤かつ 単 独 基 礎の場 合 に はや や減 衰が大き く な るもの の 3次 元 解の簡 略 解と し て非 常に有用であ る。
し か し,
隣 接 基 礎や成 層 地 盤を対 象 とす る場合に は擬似3
次 元 解の与える特 性 を十 分に理 解して結果を吟 味す る必 要がある。
謝 辞本研 究を行 うに当た り
,
清 水 建 設 (株)大崎研究室の 吉田一
博 氏は 3次 元 境 界 要 素 法に よ る解 析 結 果を快く提 供 して下さい まし た。
こ こ に, 深く感 謝の意を表し ま す。 参 考 文献 1) 中 井 正一,
福 和 伸 夫 :境 界 要 素 法に よ る 動的擬 似3次 元効果に関 する研 究
2次 元 地 盤 地表面上剛 基礎の動 特 性
,
日本建築 学会論文報 告 集,
第344号,
pp.
81〜
92,
昭 和 59年10月2)Brebbia
,
C.
A.
:The Boundary Element Method forEngineers
,
Pentech Press,
1978一
64
一
3) 吉 田一
博,
川 瀬 博 1埋設さ れた剛 構 造 物 相 互の連 成 振 動,
第7回 日本 地 震工 学 シンポ ジ ウム,
pp.
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