香 川 大 学 経 済 論 叢 第70巻 第3号 1997年12月 3-31
道路交通センサスに基づく
地域間交流の実証分析
1. は じ め に井 原 健 雄
藤 井 順 子 *
高速道路を含む幹線道路網の延伸により,中四国地域においては,日本海か ら太平洋までの約300kmがわず、か3時間半で結ぼれるようになった。また,本 州四国連絡道路のうち,神戸 鳴門ルートは,平成9(1997)年度中にその全 線が開通する予定であり,さらに,尾道 今治ルートについても,平成10(1998) 年度中には完成する見通しとなっている。このような状況のもとでは,とくに 交通基盤整備の有効範囲と限界をわきまえ,交通基盤整備と地域の活性化戦略 とをつねに一体的に捉える必要がある。しかしながら,少なくともこれまでの ところ,交通基盤整備を地域振興の有効な手段と考える視点のみに力点が置か れ過ぎたきらいがある。ところが,過去の事例に着目して考える限り,交通基 盤整備と地域の活性化戦略とは,相互密接に連携し合ったものとして捉えなけ れば,その効果が必ずしも十分に発揮されることなしむしろ大きな経済的負 担を事後的に惹起することから r社会資本への過剰投資」ではないかという批 判をしばしば受けてきたことも,また,事実である。 そこで,このような折りに,全国でも類をみない短期集中型の交通基盤整備 が進んでいる四園地域とその周辺地域に着目し,その空間構造の解明ーとりわ け,地域聞の交流連携の実証分析ーを試みることは,きわめて重要な研究課題 であるものと思われる。とくに,定住人口の減少化傾向と高齢化の急速な進展 本 香川大学大学院経済学研究科研究生-4ー 香川大学経済論叢 364 がみられる中四園地域にあっては,単なる交通基盤の整備に留まることなし さらにその積極的な活用を伴う有効適切な産業政策の展開を着実に図っていく ことが,これまで以上に強く求められているからである。かかる実証分析に基 づく有意な知見を蓄積させることにより,今後の地域振興政策の実効性を高め るための指針と方途が次第に顕在化してくるものと期待される。 まず,対象地域の範囲を確定し,その概要を示すと,つぎのとおりである。 (図1ー し 表1ー し 表1-2,参照)
d
B
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~ 1. .',
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J...,.区二百
国 1ー 1 対象地域の地勢的位置365 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -5ー 表1- 1 対象地域別の府県名 府 県 名 山 歌 和 良 奈 口 庫 山 兵 知 島 阪 高 広 大 媛 山 都 愛 岡 京 川 根 賀 県 香 島 滋 道 ' 都 島 取 井 の 徳 鳥 福 他 国 国 畿 他 の 四 中 近 そ 表1- 2 対象地域の概要 商 積(km') 四 国
I
18,784 (100)I
4,221(100)I
13,072 (100) 中 国I
31,805 (169)I
7,764 (184)I
28,051(215) 近 畿I
31,346(167)I
21,210 (502)I
85,999 (658) *面積は r全国都道府県市町村別面積調J(平成6 (1994)年)による。 *人口は r住民基本台帳J(平成8 (1996)年)による。 * 地 域 内 総 生 産 は 県 民 経 済 計 算 年 報J(平成5 (1993)年)による。ただし, これらの数値は,帰属利子および輸入税調整前のものである。 *括弧内の数値は,四国の各項目を100とした場合の,中国と近畿の相対比率を 示す。1
1
.
デ ー タ 本稿で用いる道路交通センサスとは,道路と道路交通の実態を把握するため に,建設省が都道府県,政令指定都市等と共同で継続的に行っている全国規模 の調査のことであり,道路交通に関する国勢調査ともいうべきものである。こ の調査は,全国の道路の交通量,道路状況,自動車交通の起終点,運行目的等 について,平日及び休日に調査することにより,今後の道路の計画,建設,維 持,その他の管理等についての基礎資料を得ることを目的に実施している。 いま,利用可能な最新(平成 6 (1994) 年度)の調査体系の概要を示すと, つぎのようになっている。(図2
ー し 参 照 ) そこで,まず最初に,これまでの調査経緯について,概説することにしよう。 第 1田の道路交通センサスは,昭和 3 (1928) 年に,日本道路協会の前身であ る道路改良会調査部の主催により実施されたが,その内容は,一般交通量調査δ 道路交通センサス 香川大学経済論叢 「交通量調査 一般交通量調査 ート道路状況調査 」旅行速度調査 「オーナーインタビューO D調査 自動車起終点調査→ 」 路 側O D調査 (OD調査) 駐車場調査 図
2-1
道路交通センサスの調査体系 366 のみを対象とするものであった。その後,昭和18 (1943)年を除けば,昭和 33(1958)年度までは5年ごとに実施されてきた。ただし,昭和33(1958)年 度以降は,それまでの一般交通量調査に加えて,自動車交通の質的内容を把握 するための自動車起終点調査をも含む総合的な調査が実施されるようになっ た。しかも,昭和37(1962)年度以降,昭和田 (1980)年度までの期聞につい ては 3年ごとに実施されるようになった。それが,昭和55(1980)年度以降 になると,5
年ごとに実施されるように変更された。ただし,その3
年目には, 量的な補完調査として,一般交通量調査のみが実施されている。そこで,この ような原則に従えば,第16回目の総合調査は,平成7(1995)年度に実施され ることになっていたが,その調査結果を道路整備5
カ年計画等の策定に活用す るために,実際には1年繰り上げて,平成6 (1994)年度に実施された。した がって,本稿では,そのなかでも比較的新しい過去3回ーすなわち,昭和 60(1985)年度,平成2 (1990)年度,平成6(1994)年度ーの道路交通セン サスに着目し,そのなかでもとくに「自動車起終点調査J (以下, rOD調査」 と略称する。)の基本集計表を用いて分析することにした。 つぎに, O D調査の方針と調査方法について概説することにしよう。このO D調査は rオーナーインタビューO D調査」と「路側O D調査」から構成され ている。しかし,基本的には,自動車の所有者または使用者を訪問し,調査日 の運行状況と各トリップごとの運行内容等(例えば,出発地,目的地,運行目 的等)について聞き取り調査を行うオーナーインタビューO D調査をベースと している。ただし,オーナーインタビューO D調査では,県際などを通過する367 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -7二一 ようなトリップの抽出率が低いことから,その精度を高めるために,路側
O D
調査が行われている。なお,両調査とも,三輪以上の自動車のうち,つぎに示 す車種を対象としている。(表2-1
,参照) 表2
ーO D
調査の車種分類 自 動 車 類 車 種 乗用車類│軽乗用車,乗用車,パス 貨物車類│軽貨物車,小型貨物車,貨客車,普通貨物車,特種車 オーナーインタビューO D
調査では,全国(離島部を含む)の自動車を対象 に調査対象車両を抽出し,自家用車と貸切パスは,秋季の平日2
4
時間の運行状 況と休日に関する完結した運行状況について,また,営業用車は,貸切ノTス, 路線ノTスを除き,秋季の平日と休日の2
4
時間の運行状況について,それぞれ訪 問留置方式により実施している。その実施時期は,つぎの条件を満たす1
日と し,平日については,調査日の午前3
時から翌日の午前3
時までの聞に発生し たトリップのみとしている。一方,休日については,調査日の午前3時から翌 日の午前3時までの聞に移動していたトリップとそのトリップに関する全行程 を調査対象としている。なお,その調査が抽出調査であるために,調査結果の 集計の際には,調査の原データを拡大して全数相当に換算している。(表2-2
, 参照) 表2-2
調査実施時期の条件 平 日 休 日 -火曜臼 木曜日で前後に休│・連休とならない祝祭日及び 日がない1日 l 日曜日 -5日, 10日を除く*
平日と休日とも豪雨等の異常天候,イベント等の通常と巽 なる交通状況の予想される日は除く。 また,路側O D
調査では,図2-2
に示す県擦などに設けたコードンライン を横切る主要な道路上及びフェリー航路上において,運転者から,運行状況及 び各トリップごとの運行内容等(例えば,出発地,目的地,運行目的等)につt子 香川大学経済論叢 368 いて,直接聞き取る方式によって実施している。なお,その実施時期等は,つ ぎの条件を満たす秋季の平日と休日の24時間となっている。(表2-3,参照) 表2-3 調査実施時期の条件
¥ ¥
時 期 時 間 帯 備 考 -火曜日 木曜日で前後に 午前10時 平 日 休日がない1日 全 国 一 斉 • 5日, 10日を除く 翌日午前10時 休 日 連休とならない日曜日 午前3時 会 国 一 斉 翌日午前3時*
平日と休日とも,豪雨等の異常天候,イベント等の通常と異なる 交通状況の予想される日は除く。休日は天候等を勘案し,調査日 を設定するものとする。[
戸
(資料:建設省道路局・都市局『平成6年度 全国道路街路交通情勢調査実施要綱(道路交通 センサス)自動車L起終点調査(調査編)J(平成6 (1994)年8月)より引用。) 図2-2 路側O D調査のコードンライン図369 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 一少ー III.分 析 方 法 {OD表の統合〉 空間構造の解明ーとりわけ,地域聞の交流連携の実証分析ーをデータによっ て試みる際に,その最も基礎的な「フレームワーク」を提供するものとして, O D表(OriginDestination Table)がある。このO D表とは,人や物の地域間 交流の実態等を, (起点を行とし,終点を列とする)行列形式によって要約表示 したものである。例えば,地域間交易量とは,通常,ある測定期間内に,ある 地域から他の地域へ輸送された物資の輸送量と考えられるが,その実態を,当 該輸送物資の発送地域(OriginZone)別,及び,到着地域(DestinationZone)別 に分類して,一括表示したものが r貨物O D表」である。 本稿では,各都道府県別に発送された貨物が,他のどの地域に到着したかを 示す「積載品目別貨物O D表(県別)jと「運行目的別旅客O D表(県別)jの 原データを用いることにした。ただし,前者の貨物O D表(県別)中の積載品 目とは r農水産品j,r林産品j,r鉱産品j,r金属機械工業品j,r化学工業品j, 「軽工業品j,r雑工業品j,r特殊品j,r分類不能」の9品目から構成されてい るが,ここでは,簡単化のため,当該品目のすべてを集計した「合計」に着目 することにした。また,後者の旅客O D表(県別)中の運行目的とは r出動j, 「登校j,r業務A j(物の運搬を伴わない業務で帰社を除くもの), r業務B j(物 の運搬を伴う業務で帰社を除くもの), r家事・質物j,r社交・娯楽j,r帰社j, 「帰宅」の8項目から構成されているが,ここでは,前者と同様に,その「合 計」に着目することにした。さらにまた,前者の貨物O D表(県別)では r普 通貨物」と「小型貨物」に区分されているが,ここでは,その両者を合わせた 「貨物車計」を用いることにした。また,後者の旅客O D表(県別)では r乗 用車j,rパスj,r小型貨物j,r普通貨物」に区分されているが,ここでは,前 者と同様に,そのすべてを合計した「全車計」を用いることにした。なお,原 デ}タでは,平日と休日に区分して公表されており,その前者については,昭 和60 (1985)年度,平成2 (1990)年度,平成6(1994)年度について利用可
-10ー 香川大学経済論叢 370 能であり,また,その後者については,平成2 (1990)年度と平成6 (1994) 年度についてのみ利用可能となっている。 つぎに,本稿の対象地域 すなわち,四国とその周辺地域ーについての地域 間交流の実証分析を顕在化させるために,全国の都道府県別の
OD
表のデータ を r四国j,r中国j,r近畿j,rその他」の4
区分に統合化した。ただし,この うち r四国j,r中国j,r近畿」の3地域については,当該地域に所属する各府 県別のOD
表が保持されるように配慮した。(表1
ー し 参 照 ) 〈結合度指標〉 上述した「貨物O D表」と「旅客O D表」の導出を試み,しかも,その表の 読み取りを行おうとすれば,個別具体の詳細な情報量を概括的に捉えるための 有意な「指標j (ないし,評価基準等)を明確に定義し,その経験的適用を試み ることが,強く望まれることになる。そのために,本稿では,つぎのような指 標を提起し,その適用を試みることにした。その1
つは r結合度」指標であれ 他の1
つは r分布係数」指標である。以下,その概要説明を行うことにしよう。 まず, <結合度指標>(
C
o
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s
i
o
n
I
n
d
e
x
)
は,つぎのように定義される。C=Ed
呂
EI ただし,C:
結合度指標 E1: n次元ベクトル (E) の第 i番目の要素 したがって,この結合度指標とは,ある特定ベクトル(例えば,ある特定地 域からの貨物輸送量をその要素とする出荷構成のベクトノレ,または,ある特定 地域への貨物輸送量をその要素とする入荷構成のベクトノレ)を前提として,そ の第i番目の要素の行和または列和に対する相対比率を表わすものとなってい る。それゆえに,この結合度指標を用いることにより,地域間交流の実態を, ただ単に,その絶対額として捉えるのではなし当該地域の出荷構成または入371 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -11ー 荷構成に占める相対比率として捉えようとするものである。 ここで留意すべき点として,地域間交流の見方は,上述したように,ある特 定地域からの貨物輸送量の出荷構成と,ある特定地域への貨物輸送量の入荷構 成とに大別されるが,その両者を同時に考慮した概括的な指標の作成が極めて 困難でトあるということが指摘される。そこで,本稿では,まず最初に,その両 者を分離し,その各局面ごとに結合度指標を定義し,その経験的適用を試みる ことにしよう。 まず,当該地域からの出荷構成(ただし,旅客O D表の場合は,旅客流出) に着目した結合度の指標として, <発生結合度指標>
(
O
u
t
f
l
o
w
C
o
h
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s
i
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n
I
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x
)
は,つぎのように定義される。OC
k1=
XkJ/
X k • ただし,OC
k1 地域k
の地域l
に対する発生結合度 Xk1 地域kから地域lへの移動量(地域kからの地域lへの発生量) Xk. 地域k
からの総発生量 つぎに,当該地域への入荷構成(ただし,旅客O D表の場合は,旅客流入) に着目した結合度の指標として, <集中結合度指標>(
I
n
f
l
o
w
C
o
h
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s
i
o
n
I
n
d
e
x
)
は,つぎのように定義される。 I C k=
X1k/X. k ただし,IC
1k 地域k
の地域l
に対する集中結合度 X1k 地域lから地域kへの移動量(地域lから地域kへの集中量) X.k 地域kへの総集中量 さらに,上述した2つの結合度指標ーすなわち,ある特定地域からの発生量-12- 香川大学経済論叢 372 の構成局面と,ある特定地域への集中量の構成局面とに分離して定義された指 標ーを同時に用いて,当該地域間の交流の密度を総括的に把握し得る統合的な 指標について考察しよう。その際,基本的には,つぎのような
2
つの考え方が 指摘される。 まず,その1
つは,当該両指標の差を求める方法であり,つぎのように定義 される。 TCDk1=
OCkl-ICk這O ただし, TCDk1:地域k
の地域l
に対する〈差による統合結合度〉 この指標は,ある特定地域からの発生量の構成局面とある特定地域への集中 量の構成局面との相対比率の差を表わしている。したがって,この指標が正値 をとる場合には,当該地域聞の交流について,その発生の相対比率が集中の相 対比率よりも大きいことを意味している。一方,この指標が負値をとる場合に は,当該地域間の交流について,その発生の相対比率が集中の相対比率よりも 小さいことを意味することになる。 つぎに,他の1つは,当該両指標の商を求める方法であり,つぎのように定 義される。 TCQkl=
OCkdICk 這1
ただし, TCQkl ::地域kの地域lに対する〈商による統合結合度〉 この指標は,ある特定地域からの発生量の構成局面とある特定地域への集中 量の構成局面との相対比率の商を表わしている。したがって,この指標が1
よ りも大きいならば,当該地域聞の交流について,その発生の相対比率が集中の 相対比率よりも大きいことを意味している。一方,この指標がlよりも小さい ならば,当該地域間の交流について,その発生の相対比率が集中の相対比率よ373 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -]3 りも小さいことを意味することになる。 〈分布係数指標〉 つぎに, <分布係数指標> (Di
s
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r
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b
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C
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)
は,つぎのよう に定義される。 μkl=
Xk1/(XkX1/X) ただし, μkl 地域kから地域1への移動の分布係数 Xk1 地域 kから地域 lへの移動量 Xk 地域 kからの総発生量X
1 地域l
への総集中量X
全地域からの総発生量(全地域への総集中量) いま, Yk1 二 X.kX1/X とおけば, Yk1は,行和 (Xk.)と列和 (X1) の積によって規定されており,し たがって,その両者にそれぞれ比例配分された分布量を示すものとなっている。 なぜなら Yk1は,地域 kから地域 lへの移動量が,地域 kの総発生量 (Xk.)と 地域l
への総集中量 (Xl)の大きさに比例して生起するものとみなすことによ り導出される備となっているからである。したがって,上述した移動の分布係 数 (μkl)は,地域kから地域lへの移動量 (Xk1)(換言すれば,実績値)の, 比例配分された分布量 (Yk1)(換言すれば,理論値)に対する相対的な大きさを 表わすものと解釈できる。 さらに,分布係数(μkl)が1よりも大きいならば,理論値(Yk1)が実績値(Xk1) よりも小さいことを意味し,換言すれば,理論値が実績{直に対して過小推定と なっていることを意味することになる。一方,分布係数 (μkl)がlよりも小さ いならば,理論{直何kl)が実績値 (Xk1)よりも大きいことを意味し,換言すれ-14- 香川大学経済論叢 374 ば,理論値が実績値に対して過大推定となっていることを意味することになる。 そして,分布係数 (μkl)がゼロに近いほど,地域kと地域lとの地域間交流に ついて,何らかの抵抗要因,すなわち,地域間特性があると考えることができ る。したがって,分布係数(μkl)は,地域間特性(例えば,経済的な距離(E
conomic
D
i
s
t
a
n
c
e
)
等)を含んだ明示的な関数としても解釈できる。 そこで,本稿では,先述した「貨物O D表」と「旅客O D表」に準拠した地 域間交流に関する分布係数指標をそれぞれ求めることにしよう。ただし,その 前者の分布係数を, {貨物分布係数指標〉と呼び,また,その後者の分布係数を, 〈旅客分布係数指標〉と呼ぶことにする。I
V
.
分 析 結 果 まず最初に,地域間交流の実績に対する絶対的評価として,貨物と旅客ごと の平日と休日の流動量(すなわち,貨物については,出荷量と入荷量の合計を 「高百~/
, 、 、 タII (5q4)四
て し の 入 合 E 窃 格 た ' 回 し t をと-一市 地 丸 岡 料 地 蹄 示 を 比 措 歓 を 量 対 門 小量動相似 d H 動流のけ に沈のしと J 革 内 と 儀 礼 を 犠 銭 近 同 値 地 近 と 明 数 自 と 闇 パ の 、 国 四 叫 スるは中 U -あ 健 ・ び 日 ベで放は且叩 ンのの値・沼 トも下数回凶 、 た め の や 刊 はし名内と第 値出峻狙回数 各 省 停 地 揺 田 小 本 * ホ 図4一1 貨物流動量の経年的な変化←一一τï,~
{叫J-)川
、
r 〉E2
*各値i玄、人ベースの数値を基に 'H:I<簡2位を四It王入して 算出したものである" *地核名の下の数値は、白地域内世動量を示す. 市括¥Il内の数値i立、中国と近織との流動量t-.冊とした場合的 四固とや国‘且V'.四聞と近儀との相対比'"を示L 小数郷2(~を回袷王入して算出 L たものである" 図4-2 旅客流動量の経年的な変化375 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -15-表4一1 貨物流動量の経年的な変化 表4-2 旅客流動量の経年的な変化 (平成2(1990)年度と平成6(1994)年 度 の 比 較 平 成2(1990)年度と平成6(1994)年度の比較)
お哩?
四 国 中 国 近 畿 その他 合 計お 思
四 国 中 国 近 畿 その他 合 計 四 国 116 1 04 107 154 1 16 四 国 1 03 0.93 1 03o
84 1.03 中 国 0.97 1 60 2 34 1.03 中 園 1 02 1 15 1.00 102 近 畿 1 04 2.03 1.09 近 畿 109 104 109 そ の 他 1.00 1 01 そ の 他 1.05 105 d口b、 計 1 03 〆口弘 計 1 05 *各値は, トンベースの数値を基に,小数第3佼 *各値は,人ベースの数値を基に,小数第3イ立を を四捨五入して算出したものである。 四捨五入して算出したものである。 意味し,また,旅客については,流出量と流入量の合計を意味する。)に着目し, 平成2 (1990)年度と平成6(1994)年度の経年的な変化を示すと,図4-1 と図4-2のように要約される。また,表4-1と表4-2は,その計測結果 を表示したものである。 これらの図表より,つぎのような事実が指摘される。 ① 当該3地域聞の貨物輸送の流動量の絶対量は,そのいずれも経年的には 増加している。しかし,その相対比率を求めれば,中国と近畿との流動量 を100とした場合,四国と中国では, 28..7から 18..6へ,また,四国と近畿 では, 50..4から 33..6へと,いずれも減少している事実が判明する。(図4-1
,表4-
1,参照) なお,平日の流動量については,その絶対量と相対比率のいずれに着目 しでも,増加傾向にある。しかし,休日の流動量の絶対量については,横 這いないし微増傾向にあるが,相対比率については,いずれも減少している。 ② 当該3
地域聞の旅客輸送の流動量の絶対量は,四国と中国との地域間交 流を除けば,幾分,増加している。しかし,その相対比率を求めれば,中 国と近畿との流動量を100とした場合,四国と中国では, 32..1から25..9 へ,また,四国と近畿では, 31.5から28,4へと,いずれも減少している事 実が判明する。(図4-2,表4-2,参照) なお,平日の流動量の絶対量については,昭和60(1985)年度から平成-16 香川│大学経済論叢 376 2 (1990)年度を経て,平成6(1994)年度に至る期間中での変動が,当 該地域聞において認められるものの,全期間を通してみれば,増加傾向に ある。しかし,その相対比率を求めれば,四国と中国,及び,四国と近畿 との地域間交流は,いずれも減少している。また,休日の流動量の絶対量 に着目すれば,中国と近畿との流動量のみが増加している。その結果,中 国と近畿との流動量を100とした相対比率を求めれば,四国と中国,及び, 四国と近畿との地域間交流は,いずれも減少している。 つぎに,貨物と旅客ごとの平日と休日別の個別の移動量(すなわち,貨物に ついては,出荷量と入荷量の分離を意味し,また,旅客については,流出量と 流入量の分離を意味する。)に着目し,とくに,四国を中心とした当該3地域(四 国,中国,近畿)間の交流の実態を解明すると,図4-3と図4-4のように 示される。また,表4-3と表4-4は,その計測結果を表示したものである。 一平日一 一休日一 ü'1"Æi:f ト~) L
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旅 客 移 動 量 の 経 年 的 な 変 化 表4-3
貨物移動量の経年的な変化 表4-4
旅客移動量の経年的な変化 (平日・昭和60(1985)年度と平成6(1994)年 度 の 比 較 平 日 ・ 昭 和60(1985)年度と平成6(1994)年度の比較)おそぎ
四 国 中 国 近 畿 その他 合 計 四 国 1 43 2..47 2..31 1 88 L46 中 国 1. 73 1 29 1.52 160 1 31 近 畿 1. 68 1 65 1.22 168 1 25 そ の 他 142 2.02 149 1 15 1..16 dc合'i 計 1.44 133 1 24 1.16 119お噴き
四 園 中 国 近 畿 その他 合 計 四 国 1 12 163。
.89 1 06 112 中 国 103 108 139 1. 25 108 近 t換 1 18 1.49 119 1 34 1 19 そ の 他 1 54 1 46 1. 43 109 1. 09 d口'>. 計 1.12 1. 08 1.19 109 1 10 (休日・平成2(1990)年度と平成6(1994)年 度 の 比 較 休 日 ・ 平 成2(1990)年度と平成6(1994)年度の比較)お喧ぎ
四 国 中 国 近 畿 その他 合 計 四 国 0.60 0..72o
77 148 0..67 中 国o
76 0..86 1 15 3 00 0..98 近 畿o
76 1 14 123 1. 60 1.27 そ の 他 0.94 L81 149。
78 0.80 ぷ口』 計 0..63 0.95 1. 24 0.80 0..84お宅き
四 国 中 国 近 畿 その他 合 計 四 国 1.01 1.00 123 0.86 101 中 悶 1 00 104 111 1.10 1 04 近 畿o
96 116 1.14 100 1 14 そ の 他 0.83 0.96 1. 03 1 07 1. 07 ぷ口』 計 1. 01 1. 04 1.14 107 1. 08 *各値は, トンベースの数値を基に,小数第3佼 *各値は,人ベースの数値を基に,小数第3位をl を四捨五入して算出したものである。 四捨五入して算出したものである。18- 香川大学経済論叢 378 これらの図表より,つぎのような事実が指摘される。 ① 四国と中国との貨物輸送の移動量は,平日については,経年的に増加し ている。とくに,四国から中国への移動量(以下 I四国→中国」と略記す る。また,他地域間の移動量についても同様に略記する。)は,昭和60(1985) 年度と平成6 (1994)年度とを比べれば, 2..47倍になっている。また,昭 和60 (1985) 年度には I四国→中国」よりも「中国→四国」が2..00倍ほ ど大きく,平成6(1994)年度には, L42倍ほど大きくなっている。一方, 休日における四国と中国との移動量は I四国→中国」と「中国→四国」の いずれも,平成2 (1990) 年度と比べて,平成 6 (1994) 年度には減少し ている。また I四国→中国」と「中国→四国」を比較すれば,平成2(1990) 年度と平成6 (1994)年度のいずれも,前者が後者より大きくなっている。 つぎに,四国と近畿との移動量に着目すれば,平日については I四国→ 近畿」と「近畿→四国」のいずれも,経年的に増加している。とくに I四 国→近畿」は, 2..31倍になっている。また I四国→近畿」と「近畿→四国」 を比較すれば,昭和60 (1985) 年度と平成 6 (1994)年度のいずれも,前 者が後者より小さくなっている。一方,休日における四国と近畿との移動 量は I四国→近畿」と「近畿→四国」のいずれも,平成2 (1990)年度と 比べて,平成6 (1994) 年度には減少している。また,平成 2 (1990) 年 度には I四国→近畿」が「近畿→四国」よりも, 3..62倍ほど大きく,平成 6 (1994) 年度には, 3..66倍ほど大きくなっている。 また,平日の当該3地域聞の移動量をみれば,昭和 60(1985)年度には 「中国→近畿」と「近畿→中国」の移動量が極めて大きいが,平成6(1994) 年度になると,さらに I四国→近畿」と「近畿→四国」の移動量も大きく なっている。とくに,その細部を検討すれば,昭和60(1985)年度と比べ て平成6 (1994)年度の増加率は I四国→中国」と「四国→近畿」が最も 大きくなっている。一方,休日の地域開移動量をみれば,平成2 (1990) 年度には I中国→近畿」と「四国→近畿」の移動量が極めて大きいが,平 成6 (1994)年度になると,さらに I近畿→中国」も,若干,大きくなっ
379 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -19 ている。また,平成2 (1990)年度と平成6(1994)年度を比較すれば, 「中国→近畿j,i近畿→中国」のみが増加しており,その結果として四国 の発着移動量は,すべて減少している。(図4-3,表4-3,参照) ② 四国と中国との旅客輸送の移動量は,平日については,経年的にみて, 「四国→中国」が増加しており i中国→四国」は,ほぽ横這い傾向にある。 とくに i四国→中国」は,昭和60(1985)年度と平成6(1994)年度を比 較すれば, 1.63倍になっている。また,昭和60 (1985)年度には i四国 →中国」よりも「中国→四国」が大きかったが,平成6 (1994)年度には, その関係が逆転している。一方,休日における四国と中国との移動量は, 「四国→中国」と「中国→四国」のいずれも,経年的にみて,変化してい ない。さらに,中国と四国との旅客輸送については i中国→四国」よりも, 「四国→中国」が大きい傾向にある。 つぎに,四国と近畿との移動量に着目すれば,平日については,経年的 に i四国→近畿」が減少しているが i近畿→四国」は増加している。ま た,昭和60(1985)年度には i近畿→四国」よりも「四国→近畿」が大き かったが,平成2 (1990)年度には,ほぽ同じ移動量となっている。一方, 休日における四国と近畿との移動量は,経年的にみて i四国→近畿」は増 加しているが i近畿→四国」は,ほぽ横這い傾向にある。また,平成2(1990) 年度と平成6(1994)年度のいずれも i近畿→四国」よりも「四国→近畿」 が大きくなっている。 また,当該3地域聞の移動量に着目すれば,平日と休日を通して,経年 的に i中国→近畿j,i近畿→中国」が極めて大きい。さらにまた,平日で は i四国→近畿」のみが減少傾向にあり i四国→中国j,i近畿→中国」 の増加率が大きい。一方,休日の地域間移動量をみれば i近畿→四国」が, 幾分,減少している。そして,平日と休日を通して i中国→近畿」と「近 畿→中国」の増加率が大きくなっている。(図4-4,表4-4,参照) ③ 平日と休日を通して,貨物輸送と旅客輸送とを比較すれば,経年的にみ て,前者が後者よりも,その変化が大きい事実が明らかとなる。また,貨
-20ー 香川大学経済論叢 380 物輸送と旅客輸送のいずれについても,平日の方が休日のそれと比べて, 経年的にみた変動の幅が大きい傾向にある。 つぎに,地域間交流の実績について, <発生結合度〉と〈集中結合度〉とを同 時に考慮するために提案した〈差による統合結合度〉に着目し,その具体的計 測を行った結果が,表
4-5
と表4-6
に要約表示されている。 表4- 5 貨物輸送の統合結合度 (平日・昭和60(1985)年 度 単 位 : % ) 休 日 ・ 平 成2(1990)年度) (単位:%) k論
l
型
空
四 国 中 国 近 畿 その他ゆ
l
型
?
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 1 06 -0..71 -0.64o
29 四 国 8..44 0.19 6 17 2.08 中 国 0..38 0..72。
08o
27 中 国 0..52 -1. 35 4.99 -3.12 近 畿 0..14 0.04o
52 -0..63 近 畿 -3.20 -2 42 7..51 189 そ のf也 0.01 -002o
13 0..09 そ のf也 -0.16 0..20 0.37 0.42 (平日・平成6(1994)年度) ( 単 位 : % ) 休 日 ・ 平 成6(1994)年度) (単位:%) k明明
、 ¥ 四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 0..30 0.51 -0.08 0..89 中 国 0.30 0.56 -0.23 0..63 近 畿 0.02 0.11 -0 17 0..04 そ のf也 -0..05 0.06 -0.01。
00 *各{直は, トンベースの数値を基に,小数第3位 を四捨五入して算出したものであり, k地域の l地域に対する差による統合結合度を示す。 k論
l
惣
四 園 中 国 近 畿 その他 四 国 13 66 -0.20 6..87 6.99 中 国 -0.38 4.16 5.70 116 近 畿 -2..00 2.35 5.89 -1.54 そ の 他 0.44o
03o
52 -0..12 *各値は, トンベースの数値を基に,小数第3位 を四捨五入して算出したものであり, k地域の l地域に対する差による統合結合度を示す。 表4-6
旅客輸送の統合結合度 (平日・昭和60(1985)年 度 単 位 : % ) 休 日 ・ 平 成2(1990)年度) (単位:%)品点空
四 国 中 国 近 畿 その他占拠き
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 0..03 0.05o
05 0..03 問 国 -0.10 0..06 0..04 0.00 中 国。
02 -0.07 0.02 0.03 中 国 -0..03 0.08。
04 -009 近 畿 -0..01 -0 01o
01 0.01 近 畿o
01 -0.02 0.08 -0..05 そ の 他 0..00 0.00 0.00 0.01 そ の 他o
00 0.01 0.01 0..02 (平日・平成6(1994)年度) ( 単 位 : % ) 休 日 ・ 平 成6(1994)年度) (単位:%)お
点
空
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 -0.02 0..01 -0.01。
01 中 国 -001 0.03 0.00 -0.02 近 畿 0.00。
。
。
o
01 -0..02 そ の 他 0..00。
。
。
0.00 0.00 *各値は,人ベースの数値を基に,小数第3位を 四捨五入して算出したものであり, k地域のl 地域に対する差による統合結合度を示す。お訳き
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国o
19 0..06 0..13 0.00 中 国o
03 0.03 0..02 -0..01 近 畿 -0..03 -0.01o
10 -0..07 そ の 他 0..00。
.00 0.01 -0..01 *各値は,人ベースの数値を基に,小数第3位を 四捨五入して算出したものであり, k地域のl 地域に対する差による統合結合度を示す。381 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -21-これらの表より,つぎのような事実が指摘される。 ① 四国の中国に対する貨物輸送の統合結合度は,平日については,昭和 60 (1985)年度と平成6 (1994)年度のいずれも負値であり,これは,集 中結合度が発生結合度を上回っていることを示している。また,昭和 60(1985)年度と平成6 (1994)年度を比較すれば,両者の差は,幾分, 減少していることが分かる。一方,休日における四国の中国に対する統合 結合度は,平成2 (1990)年度には正値であったが,平成6 (1994)年度 には負値に転じている。 つぎに,中国の四国に対する貨物輸送の統合結合度は,平日については, 昭和60(1985)年度と平成6 (1994)年度のいずれも,正値であり,これ は,発生結合度が集中結合-度を上回っていることを示している。一方,休 日における中国の四国に対する統合結合度は,平成2 (1990)年度と平成 6 (1994)年度のいずれも負値となっている。 また,四国の近畿に対する貨物輸送の統合結合度に着目すれば,平日に ついては,昭和60 (1985)年度と平成6(1994)年度のいずれも,負値で あり,これは,集中結合度が発生結合度を上回っていることを示している。 しかし,昭和60(1985)年度と平成6(1994)年度を比較すれば,両者の 差は,かなり減少していることがわかる。一方,休日における四国の近畿 に対する統合結合度は,平成2 (1990)年度と平成6 (1994)年度のいず れも,正値である。また,この値は極めて大きい。 さらにまた,近畿の四国に対する貨物輸送の統合結合度は,平日につい ては,昭和60(1985)年度と平成6 (1994)年度のいずれも,正値であり, これは,発生結合度が集中結合度を上回っていることを示している。一方, 休日における近畿の四国に対する統合結合度は,平成2 (1990)年度と平 成6 (1994)年度のいずれも負値となっている。(表4-5,参照) ②四国の中国に対する旅客輸送の統合結合度は,平日については,昭和 60 (1985)年度には負値であったが,平成6 (1994)年度には正値に転じ ている。一方,休日における四国の中国に対する統合結合度は,平成
2
22 香川大学経済論議 382 (1990) 年度と平成 6 (1994) 年度のいずれも正値となっている。 つぎに,中国の四国に対する旅客輸送の統合結合度は,平日については, 昭和60 (1985) 年度には正値であったが,平成 6 (1994)年度には負値に 転じている。一方,休日におげる中国の四国に対する統合結合度は,平成 2 (1990) 年度と平成 6 (1994) 年度のいずれも負値となっている。 また,四国の近畿に対する貨物輸送の統合結合度に着目すれば,平日に ついては,昭和60 (1985) 年度には正値であったが,平成 6 (1994)年度 には負債に転じている。一方,休日における四国の近畿に対する統合結合 度は,平成 2 (1990) 年度と平成 6 (1994) 年度のいずれも正値であり, また,平成2 (1990) 年度と平成 6 (1994) 年度を比較すれば,この傾向 は,一層強まっている。 さらにまた,近畿の四国に対する旅客輸送の統合結合度は,平日につい て,昭和60 (1985) 年度には負値であったが,平成 6 (1994) 年度にはゼ ロになっている。一方,休日における近畿の四国に対する統合結合度は, 平成 2(1990) 年度と平成 6 (1994) 年度のいずれも負値を示している。 (表4-6,参照) ③ 統合結合度の符号は,発生の相対比率(発生結合度)と集中の相対比率 (集中結合度)の大小関係を示している。例えば,平日の貨物輸送につい て,平成6 (1994) 年度の,四国の中国に対する統合結合度の符号は負で あり,これは,集中結合度が発生結合度を上回っていることを意味してい る。この状態は,四国から中国をみた場合,四国が需要者となって,供給 者である中国から,貨物を入荷することにウエイトが置かれていると考え られる。逆に,中国の四国に対する統合結合度の符号は正であり,これは, 発生結合度が集中結合度を上回っていることを意味している。この状態は, 中国から四国をみた場合,中国が供給者となって,需要者である四国に, 貨物を出荷することにウエイトが置かれていると考えられる。このように, 両地域同士で,需要者と供給者の役割を担っており,その結果,両地域の 統合結合度の符号は異なる。すなわち,地域
k
の地域l
に対する符号と,383 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 23-地域lの地域kに対する符号は異なることを意味する。このことは,表4
-5
,表4-6
のすべての地域間で読み取ることができる。(ただし,休日 の貨物輸送について,平成6
(19
9
4
)
年度の四国と中国は,この限りでは ない。) また,統合結合度の絶対値は,発生結合度と集中結合度との宣伝離を示し ており,もしも,極端に,人や物を送り出すことにウエイトが置かれてい れば,その値は大きくなるであろう。そこで,表4-5
,表4-6
につい て,平日と休日を通して,貨物輸送と旅客輸送を比較した場合,経年的に, 前者が後者よりも,需離が大きいことが判明する。 なお,地域間交流の実績について, <発生結合度〉と〈集中結合度〉とを同時 に考慮するために提案した〈商による統合結合度〉についての計測結果につい ては,上述の〈差による統合結合度〉のそれと,基本的には同じ内容になるの で,ここでは省略することにする。 つぎに,-分布係数指標」の計測結果を明らかにしよう。表4-7
は,貨物輸 送に関する分布係数(貨物分布係数指標)の計測結果を示したものであり,表 4-8は,その結果から得られた地域間特性について,経年的な変化を示した ものである。また,表4-9
は,旅客輸送に関する分布係数(旅客分布係数指 標)の計測結果を示したものであり,表4-10
は,その結果から得られた地域 間特性の経年的な変化を示したものである。24- 香川大学経済論叢 384 表4ー 7 貨物分布係数指標の計測結果 (平日・昭和60(1985)年 度 休 日 ・ 平 成 2(1990)年度)
お里ぎ
四 国 中 国 近 畿 その他おそぎ
四 国 中 国 近 畿 その他 四 図 30 1055o
1192 0.1077o
0261 四 国 17 1314 0.6090 0..8631。
0692 中 国 0.2368 15.3815o
2751 0.0453 中 国o
5639 15..3376 1 0297 0.0537 近 畿 0.1514 0..2714 6.2126 0..0714 近 畿 0.2866 0..5961 8.1646 0..1481 そ の 他 0..0223 0..0417 0.0796 1.2964 そ の 他 0..0429 0.0926o
1712 12259 (平日・平成6(1994)年 度 休 日 ・ 平 成 6(1994)年度)お里ぎ
四 国 中 国 近 畿 その他お喧ぎ
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 24.4510 0..1806 0.1637 0..0346 四 閏 20.8119 0.5857。
6710 0..1611 中 国 0.2593 13..5422 0.3066 0..0566 中 国 0..5856 12.0258 0..8196 0..1731 近 畿 0..1688。
3208 5.8052 0.0986 近 畿o
2332 0.4766 5..3872o
1978 そ の 他 0..0226 0..0651 0..0980 1 3233 そ の 他 0.0682 0..1883 02180 1.2660 *各{直は, トンベースの数値を基に,小数第5位 *各値は, トンベースの数値を基に,小数第5位 を四捨五入して算出したものである。 を四捨五入して算出したものである。 表4 - 8 貨物輸送の地域間特性の変化 貨物分布係数 (μkl)が減少 貨物分布係数 (μkl)が増加 (抵抗要因が大きくなる) (抵抗要因が小さくなる) 平 四国→中国 中国→近畿 四国→近畿 近畿→四国 日 中国→四国 近畿→中国 休 四国→中国 近畿→四国 中国→四国 四国→近畿 近畿→中国 日 中国→近畿385 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -25ー 表4-9 旅客分布係数指標の計測結果 (平日・昭和60(1985)年 度 休 日 ・ 平 成 2(1990)年度)
お母
四 国 中 国 近 畿 その他お噴き
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 29.5248。
0161o
0147 0..0011 四 国 27.1005。
..0569 0.0242 0.0014 中 国。
0234 15..9968 0.0187 0.0038 中 国 0.0475 15.3517 00457 0.0070 近 母車 0..0115 0..0175 6..9546 0.0056 近 畿 0..0215 00427 7..0992 00132 そ の 他 0..0007 0.0035 0..0054 1 3124 そ の 他 00014 00082 0.0139 1.3122 (平日・平成 6(1994)年 度 休 日 ・ 平 成 6(1994)年度)お母
四 国 中 国 近 畿 その他命噴き
四 国 中 国 近 畿 その他 四 国 29.2157 0.0240 0..0108 0..0011 四 国 28.8046 00582 00277 00012 中 国 0.0222 16..3206 0.0222 0..0045 中 関 0.0485 15.8954 0.0460 0.0074 近 畿 0..0112 0.0222 6.4223o
0064 近 畿 0.0193o
0450 6.7012。
0117 そ の 他 0.0009 0.0047 0.0066 1 3308 そ の 他 0.0011 0..0076 00126 L3193 *各{直は,人ベースの数値を基に,小数第 5位を *各値は,人ベースの数値を基に,小数第 5位を 四捨五入して算出したものである。 四捨五入して算出したものゼある。 表4-10 旅客輸送の地域間特性の変化 旅客分布係数 (μk1)が減少 旅客分布係数 (μ叫 が 増 加 (抵抗要因が大きくなる) (抵抗要因が小さくなる) 平 四国→近畿 四国→中国 中国→四国 中国→近畿 日 近畿→四国 近畿→中国 休 近畿→四国 四国→中国 中国→近畿 四国→近畿 近畿→中国 日 中国→四国26 香川大学経済論叢 386 これらの表より,つぎのような事実が指摘される。 ① 四国と中国との貨物輸送の分布係数に着目すれば,平日では,-四国→中 国」と「中国→四国」のいずれも,経年的に増加しており,地域間の抵抗 要因が減少していることが明らかとなる。そして,-四国→中国」と「中国 →四国」を比較すれば,昭和60 (1985)年度と平成6(1994)年度のいず れも,前者の分布係数が小さいことから,相対的に,前者の地域間の抵抗 要因が大きいことがわかる。一方,休日における四国と中国との分布係数 は,平成2(1990)年度と平成6 (1994)年度を比較すれば,-四国→中国」 の分布係数が減少し,逆に,-中国→四国」は,増加している。このことか ら,前者の地域間交流の抵抗要因が大きくなり,後者が小さくなっている ことが明らかとなる。 つぎに,四国と近畿との分布係数に着目すれば,平日では,-四国→近畿」 と「近畿→四国」のいずれも,経年的に増加しており,地域聞の抵抗要因 が減少していることが明らかとなる。そして,-四国→近畿」と「近畿→四 国」を比較すれば,昭和60(1985)年度と平成6 (1994)年度のいずれも, 前者の分布係数が小さいことから,相対的に,前者の地域聞の抵抗要因が 大きいことがわかる。一方,休日における四国と近畿との分布係数は,-四 国→近畿」と「近畿→四国」のいずれも,経年的に減少しており,地域開 の抵抗要因が増加していることがわかる。そして,-四国→近畿」と「近畿 →四国」を比較すれば,平成2 (1990)年度と平成6 (1994)年度のいず れも,後者の分布係数が小さいことから,相対的に,後者の抵抗要因が大 きいことがわかる。 また,平日の当該3地域間の分布係数に着目すれば,昭和60(1985)年 度と平成6(1994)年度のいずれも,相対的に,-中国→四国J, ,-中国→近 畿J, ,-近畿→中国」が大きいことから,これらの地域間交流の抵抗要因が 小さいことが分かる。さらにまた,昭和60(1985)年度と平成6 (1994) 年度を比較すれば,すべての地域間交流についての分布係数が増加してい ることから,地域聞の抵抗要因が小さくなったことが明らかとなる。一方,
387 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -27二一 休日の分布係数に着目すれば,平成2(1990)年度と平成6 (1994)年度 のいずれも r四国→中国j,r四国→近畿j,r中国→四国j,r中国→近畿」 が大きいことから,これらの地域間交流の抵抗要因が小さいことがわかる。 とりわけ r中国→近畿」の分布係数が,極めて
1
に近いことも明らかとな る。さらにまた,平成2 (1990)年度と平成6(1994)年度を比較すれば, 「中国→四国」を除く,すべての地域間交流についての分布係数が減少し ていることから,地域間交流の抵抗要因が大きくなったことが明らかとな る。(表4-7,表4-8,参照) ② 四国と中国との旅客輸送の分布係数に着目すれば,平日では r四国→中 国」は経年的に増加し r中国→四国」は,若干,減少している。このこと から,前者の地域間交流の抵抗要因が小さくなり,後者の抵抗要因が大き くなったことが明らかとなる。一方,休日における四国と中国との分布係 数は r四国→中国」と「中国→四国」のいずれも,経年的に,若干,増加 しており,地域聞の抵抗要因が減少したことがわかる。そして r四国→中 国」と「中国→四国」を比較すれば,平成2(1990)年度と平成6(1994) 年度のいずれも,前者の分布係数が大きいことから,相対的に,前者の地 域間の抵抗要因が小さいことがわかる。 つぎに,四国と近畿との分布係数に着目すれば,平日については r四国 →近畿」と「近畿→四国」のいずれも,経年的に,若干,減少しており, 地域間の抵抗要因が増加していることがわかる。一方,休日における四国 と近畿との分布係数は r四国→近畿」は,経年的に増加しており,逆に, 「近畿→四国」は減少している。このことから,前者の地域間交流の抵抗 要因が小さくなり,後者の抵抗要因が大きくなったことが明らかとなる。 また,平日の当該3地域聞の分布係数をみれば,昭和60(1985)年度と 平成6 (1994)年度のいずれも,相対的に r中国→四国j,r中国→近畿j, 「近畿→中国」が大きいことから,これらの地域間交流の抵抗要因が小さ いことが分かる。さらにまた,昭和60(1985)年度と平成6 (1994)年度 を比較すれば,分布係数が増加している場合と,減少している場合が半数-28- 香川大学経済論叢 388 ずつある。一方,休日の分布係数に着目すれば,平成2 (1990)年度と平 成6(1994)年度のいずれも i四国→中国J,i中国→四国J,i中国→近畿」 が大きいことから,これらの地域間交流の抵抗要因が小さいことがわかる。 さらにまた,平成2 (1990)年度と平成6 (1994)年度を比較すれば i近 畿→四国」を除く,すべての地域間交流についての分布係数が増加してい ることから,地域間交流の抵抗要因が小さくなったことが明らかとなる。 (表4-9,表4-10,参照) ③ 平日と休日を通して,貨物輸送と旅客輸送とを比較すれば,経年的にみ て,前者が後者よりも,地域聞の抵抗要因が小さい事実が明らかとなる。 また,貨物輸送と旅客輸送のいず、れについても,白地域内移動量の分布 係数は,すべての対象地域について
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を大きく上回っている。これは, 理論値が実績値に対して,過小推定となっていることを意味する。とりわ け,四国の白地域内移動量の過小推定の程度が,当該3
地域の中で,もっ とも強く現れている。したがって i分布係数指標」を用いて白地域内移動 量を推定する場合,総発生量と総集中量を用いて理論値を導出することは, 実質値に対して過小推定を行う危険性があることが明らかとなる。 さらにまた,貨物輸送と旅客輸送のいず、れについても,休日の抵抗要因 が小さい傾向にあることが明らかとなる。v
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結びに代えて 本稿では,短期集中型の交通基盤整備が進んでいる四園地域とその周辺地域 に着目し,その空間構造の解明 とりわけ,地域聞の交流連携の実証分析ーを 試みたものである。そのための前提となるデータとして,本稿では,もっぱら 建設省が都道府県等との共同で実施している全国規模の「道路交通センサス」 に依拠している。したがって,ここで導出されたすべての結果については,か かるデータがもっている固有の制約を受けている点に留意する必要がある。そ のなかでも,とくに重要と思われる事項として,つぎの2
点が指摘される。 1)そのすべてが物量表示となっていることである。例えば,貨物輸送のO
389 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 -2少ー D表については, トンベースの単位で計測されており,旅客輸送のO D表 については,人ベースの単位で計測されている。 2 )ある対象年度中の全期聞にわたる流動調査ではなしそのO D調査とい えども,平日と休日ともに,ある特定の日を指定して実施された調査結果 を集計したものとなっている。 このうち,1)については,地域間の交流実績がすべて物量表示となってい ることから,たとえ金額的にみて安価な財貨であっても,その重量が嵩めば嵩 むほど,地域間交流の密度が高くなるものと誤って判断される危険性がある。 したがって,この点を補正するためには,物量表示とは異なる金額表示による 地域間交流の実証分析を試みることが強く望まれる。そこで,それを可能とす るデータといえば, q也域間産業連関表」が指摘される。しかし,この地域間産 業連関表の公表は
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年ごととなっており,しかも,その地域区分が極めて大き く,例えば,都道府県レベルでの地域間交流の実証分析を行おうとしても,そ れを裏付ける信頼性の高いデータの抽出ができない状況にある。そこで,ある 強い仮定を含む何らかの工夫を加えた上で,より詳細な地域区分を試みるアプ ローチが要請されることになる。なお,この点については,稿を改めて論究す ることにしたい。 また, 2)については r道路交通センサス」が,原則として異常日を避けた 平均的な調査実施臼を選定しているとはいえ,それがある特定の日にかわりな いことから,地域間交流としての物流や旅客が季節変動等の影響を強く受ける 場合には,年間を通した交流実績との言語離が生じる危険性がある。また,すで に指摘したように r道路交通センサス」のデータが利用可能な年度は,原則と して5
年ごとであることから,経年的な変化が大きい場合には,年次データの 利用と比べて政策的に有意な情報や知見を導出する可能性が相対的に小さいと 言わざるを得ない。この点については,例えば,運輸省による「全国貨物流動 調査」は,年次データとして利用可能となっており,すべての交通機関(鉄道, トラック,海運,航空機,その他)を対象として,品目別の県間交通機関別の O D表が作成されている。しかし,この「全国貨物流動調査」といえども,そ-30- 香川大学経済論叢 390 の測定単位は,すべて物量表示となっているために I道路交通センサス」と同 様のデータ制約を受けることに変わりはない。また,その調査手法の違いによ るデ」タの信頼性の程度についても,制約がある点に留意しなければならない。 そこで最後に,かかるデータ制約があるとはいえ,本稿で明らかになった地 域間交流の実証分析による重要な帰結を要約することにしよう。 1)貨物輸送と旅客輸送のそれぞれについて,四国と中国と近畿を対象とす る当該3地域聞の結合度は,平日と休日ともに,つねに,中国と近畿の地 域間で相対的に強い事実が指摘される。また,その結果として,四国の相 対的な重要度は低くなっている。したがって,四国を中心とする他地域と の交流の密度を高めるためには,何らかの政策支援が必要であるものと思 われる。 2 )また,旅客輸送に着目すれば,平日と休日の白地域内移動量については, 殆ど顕著な差異が認められないが,休日での他地域への移動量が,平日の それの概ね
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倍となっている。 3 )さらにまた,統合結合度に着目し,貨物輸送と旅客輸送を比較すれば, 前者の方が,発生結合度と集中結合度の講離が大きいことが判明する。4
)最後に,分布係数に着目すれば,平日と休日を通して,貨物輸送と旅客 輸送とを比較すれば,経年的にみて,前者が後者よりも,地域間の抵抗要 因が小さい事実が明らかとなる。また,貨物輸送と旅客輸送のいずれにつ いても,休日の地域聞の抵抗要因が小さい傾向にあることが明らかとなる。 さらにまた,貨物輸送と旅客輸送の両者ともに,経年的に,すべての地域 間交流の抵抗要因が小さくなった事象は認められない。しかし,相対的に, 「四国→中国J,I中国→近畿J,I近畿→中国」について,その地域間交流 の抵抗要因が小さくなっていることが明らかとなる。(ただし,休日の貨物 輸送については,この限りではない。)逆に I近畿→四国」については, 抵抗要因が大きくなっている事実も明らかとなる。(ただし,平日の貨物輸 送については,この限りではない。)391 道路交通センサスに基づく地域間交流の実証分析 31 それゆえに,以上の帰結がもたらす政策的意義を考察すれば,つぎのような 2つの仮説が導出される。その Iつは,幹線道路網を含む交通基盤の整備によ る地域間交流のインパクトについては,まず,旅客輸送に顕在化した後,何ら かのタイムラグを伴って,次第に貨物輸送にも顕在化していくのではないかと いう仮説である。他の