• 検索結果がありません。

所得と購買力平価からの乖離(2)-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "所得と購買力平価からの乖離(2)-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
40
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

所得と購買力平価からの弔離

(

2

)

宮 田 亘 朗

I 若干の購買力平価説の検証例とドノレの過大評価 II -人当たり所得と購買力平価(以上前号) III L.Hオフィサーによる購買力平価説擁護 IV.1B..!1レイビスによる購資力平価からの議離〔以下次号〕 本稿は,先ず前号第II節のつづきとして一人当り所得と購買力平価からの話 離の関係をめぐってなされたLB..パラッサとP Aディビッドの論争を考察 し,ニ国間の価格指数を比較する際にラスパイレス式パーシェ式フィッシャ一 式等の特徴と講離の変化に言及する。次いで,第III節において, LH..オフィ サーによる生産性バイヤス説、への反論が如何なる点で不充分であるかを考察 し,引き続いてオフィサーによる実効為替相場を使用した購買力平価説擁護論 の欠陥を指摘する。 L8.グレイピスの生産性パイヤス説に対する論述の考察 は,次稿にゆずる。 II 一人当り所得と購買力平価平価(つづき〉 パラッサの導出した(15)式は,PA.ディビッドとの論争の過程でノミラッサ自身 によってアメリカの一人当り国民所得に対する各国の一人当り国民所得(公定 相場と購買力平価の両方で換算したもの〉の比を説明変数とするように修正さ れた。第11表は, LH.オフィサーがまとめたその結果を再掲したものであ る。 (38) Balassa, B, Just How Misleading are Official Exchange Rate Conversion? A

(2)

第59巻 第2号 136 第11表 絶対的形式による購買力平{聞の乗離:アメリカに対する各国粗国民生産物の比を 説明変数としたときのパラ〆サの導出した回帰係数 (1960年) ケース 定 数 項 組国民生係比 の 回 帰 数産物の

R

2

自 由 度 A 0.49

o

51(8 33). ホ 10 B

o

57(26 05)

o

46(1072). ホ

o

92 10 C

o

49(12 94)

o

51(8 41)ホ *

o

86 10 括弧内は t1直であり,中市印は1%水準て。有意である。ケース AはBa1assa(1964) よりと られ,アメリカのGNPにより割り修正されている。ケース Bは公定相場により GNPを換 算し,ケース Cは購買力平価により換算し, アメリカとの比をとって説明変数としている。 ともに Ba1assa(1973) よりとっている。なお,ケース Aの定数項のt1直は与えられてい1 ない。また,ケースAでは ,

R

2に代って相関係数 0..92が与えられている。 ここに言うパラッサとディビッドとの論争とは次の如くである。前述した

E

E

ハーゲンと同じように,

P A

ディビグドは,各国に一人当り国民粗生産物の 為 替 相 場 に よ る 換 算 と 購 買 力 平 価 に よ る 換 算 と の 聞 に 過 大 あ る い は 過 小 評 価 で 示 さ れ る 議 離 が 生 じ る こ と か ら し て , そ の 議 離 を 出 来 る 限 り 単 純 な 方 法 ( 例 え ば 一 定 倍 率 ) に よ っ て 修 正 し よ う と 試 み た ; す な わ ち , 第

t

国 の 一 人 当 り 粗 国 民生産物の公定相場れによるアメリカ・ドノレで引の表示額を

Y

i

(

=

Y//九)と し,第

t

国での財サーヒスのアメリカにおける価格をウェイトにした総計額(一 人当り〉を

Y

iとするとき,前者(名目額〉と後者(実質額〉の聞に,国民所得

比 率

Y

t

!

Yo

=

Yiを 説 明 変 数 と す る (

Y/Y);(

μ-y)

=

(μ -J)y,μ>1の 函 数 関係(より一般的に示せば,

(Y/Y)i

F

(

Y

i

,・・・),

Fy>O

F

y

y

<

O

の 関 係 〉 が 認められるか否かを次式を用いて検証する。

YO/Y

i

=

α+β(

Y

o

/

色)+甲z (19) ただし, β=1一(1

μ

/

)>0お よ びα+β=1である。なお Y/は 第

t

国 通 貨 表 示 の 第

t

国粗国民生産物であり,添字

i

=

0

は基準国アメリカを示している。 Comment, E

1

, VoL 83, Dec. 1973 Officer, L. H, The Productivity Bias in Purchasing Power Parity: An Econo -metric Investigation, IMF S向グPapers,VoL 3, Nov.1976

(39) David, P A, Just How Misleading are Officia1 Exchange Rate Conversions? E川

(3)

137 所得と購買力平価からの議離(2) -3-第12表 相対的一人当り実質所得と 公定相場に対する購買力平価の比 1950 1955 1965 国 名 ( Y./Y国), ( Y';Yi) (Y';Yus) ( Y';Yi) ( Y';YUS) ( Y';Yi) ア メ カ 1 00 1 00 1 00 1 00 1. 00 1. 00 イ ソ

o

43 1 68

o

58 1. 67

75 1 41 カ ナ ボタ 0.71

o

93 デ ン 7 ーク

o

61 1 64

o

56 1 48

o

70 1 25 ノ ル ウ ェ ー

o

59 1 74

o

61 1 46

o

70 1 38 イ ギ ス

o

62 1 68 0..64 L51

o

68 1 38 フ ブ ン ス

o

53 1 53 0..59 1 19

o

67 1 35 ベ ル ギ ー

o

57 1 35

o

58 L32

o

66 1 36 オ フ ン ダ

o

52 1 90 0..53 l才2

o

61 1 40 ソ ビ エ 0.51 1 16 イ タ ア

o

30 1 87

o

35 1. 84

o

46 1 52 日 本

o

46 1 86 第12表は, ディピグドが用いた先進12カ国に関する y;/

y

;

。と Y;/Y

i

のデー タを示したものである。このうち Yt/Yi は,れを購買力平価 ~ρ oq;/~ρ めと すれば,

r

i

/

r

'

i

すなわち公定相場の購買力平価からの請離を意味している。そこで, ディピッドは, Y;/ Yus

=

(Y;/ YVS)( Y;/ Yi)に注意し第

1

2

表のデータ(Yvsは Y。に等しし、〉によって, α+β=1の制約の下で(]9)式の回帰係数を求める。そ の結果は, YO/Yi

=

0ド559+0441 ( YO/ Yi)

R

2

=

0..913

(00134)

d

l

=

29

である。 ただし,括弧内は係数の標準誤差である。

s

=

{U/y;)-1}/ {U!Yi) -J}であるから,側式より実質一人当り組国民生産物のパーセント・ギャップ (Yo-Yi)/Yi三 (1/Yi)-1は名目一人当り祖国民生産物パーセント・ギャップ (Yo- Yi)/忠三(1/あ

)-1

のほぼ4/9(0れ

4

4

1)にすぎないことが導かれる。か くして,彼は,第

i

国とアメリカの一人当り実質所得のパーセント・ギャップ (40) Yi --~並立立_i_ _

r

Yi

=

η/ri

=

(2:,PiQi)

!

r

iであり,

τ

(2M)/Fzz??

となる。

(4)

-4- 第59巻 第2号 138 が為替相場〔公定)による換算の一人当り名目所得のパーセント・ギャップの 約

4

/

9

であるとの経験法(t

h

er

u

l

e

0

/

t

h

u

m

b

)

を提起する。なお,この場合, 購買力平価と公定相場との議離は,構造的体系的性質を持ち,

r

;

/

ri

=

y

;

Yi

=

044/ (J -o 56Yi ) によって各国につき見出しうることになる。 。1) 以上のディビッドの考えに対し,バラッサは次のようにその欠陥を指摘す 忽デ、イビッドは

O

拭 を 用 い て

2

を導出する際ラスパイレス形式で求めた一 人当り所得を使用した。パラッサによれば,このようなラスパイレス式指数の 一人当り所得を使用するのであれば彼自身のデータによってもディビッドとほ ぼ同じ結果を導くことができると言う。すなわち,

ω

式であり

F

はほぼ

4

/

9

の 0..43である。しかしながら,この場合,もしパーシェ形式で求めた一人当り所 得をデータに使用するものとすれば,結果は全く異なってくる。すなわち,帥 式にみるように

2

は0..74となり,この場合むしろ3/4(074)の経験法を主張 せねばならなくなる。使用する指数がラスパイレス式であるかパーシェ式であ るかによって結果に差を生じることは古くから知られている。そこで,

Yo/Y/

=

o

574+

o

426 (

Y

o

/

R

2= 0..962

(

2

2

)

(0025)

Y~/Y/

=

0..262+0刀'8(

Y

o

/

忠)

(0034)

d

l

=

11 R2

=

0..934

d

l

=

11 (23) バラッサは通常のようにフィッシャーによる算式を理想的なものとして採用し た。上例においてフィ yシャーの理想算式により

F

を求めれば,

Yo/Y/

ニ 0..431

+

o

569 (

Y

o

/

y

,)

R

2

=

0..986

2

(

心 (0017)

d

l

=

11 となる。この場合,ディピッドと同じ経験法を主張するとすれば,5/9(0引569) を唱えねばならない。 ところで,一般にラスパイレス式価格指数

2

ρ

q

o

/

:

i

ρ

o

q

o

はパーシェ式価格 (41) Balassa, B, ibid (42) 森田優三『統計概論』昭和29年90-91ベージ。

(5)

139 所得と購買力平価からの議離(2) -5-指数 2ρ iqd~ρ oqi より大きい値を導きしたがって物価変動を過大に評価する 傾向があり,またラスパイレス式の量指数もパーシェ式の量指数より大きい値 を導きしたがって例えば所得変動を過大に評価する傾向がある。しかも,パ ラッサは,一人当り所得の小さい国におけるサービスの相対価格が低くかっ各 国の消費者がこの安価な財サービスをより多く消費する傾向があるとみる。ゆ えに,彼は,一人当り所得に大きい差異のある国の聞では,ラスパイレス式と ぞーシェ式の両指数聞の差異はそれだけ大きなものとなり,ディビッドのよう にラスパイレス指数のみによる

4

/

9

経験法を主張することはそれだけ大きな バイヤスを含み誤った結論を導くことになると言うのである。そして,特に一 人当り所得の小さい発展途上国にこの

4

/

9

則を拡張して適用することは危険 であると言す;それは, これら諸国聞に所得水準の大きな差があることだけで なく,資源賦存量並びに生産や消費また貿易パターンの大きな差および関税や 奨励金によって保護された経済構造の完全な差異が存在するからである。 このようなパラッサの批判に対してディビッドは, ラスパイレス指数の使用 と発展途上国への

4

/

9

経験法の適用の二点に関し多少の修正を含めて反論す 玄先ずラスパイレス指数の使用は,大部分の国の統計資料がラスパイレス指 数によって導出されたものであること,またアメリカを除く他の諸外国の価格 構造が対外貿易によって大きく影響され可変的であるのに対し,アメリカの価 格構造は安定的であり,そのためアメリカの価格関係をウエイトに使用するの

(43) Samuelson, P

A

, Analytical Notes on International Real-Income Measures,

E

1

, VoL84, Sep1974

(44) Clagu, C.and V.. Tanzi, Human Capital, Natural Resources and the Purchasing -Power Parity Doctrine: Some Empirical Study, Economia Internazionale, VoL 25,

No..1, Feb.1972

その他発展途上国の実証研究は,

Grunwald,

J

and J Salazar-Carrillo, Economic Integration, Rates of Exchange and Value Comparisons in Latin America, in International Comparisons of Prices and Output, ed. by D..

J

Daly, 1972川

de Vries, M..G, Exchange Depreciation in Developing Countries, IMF StafJ

Papers, V 0.115, N ov. 1968

(6)

がより適切であること等を挙げて弁護する。他方,発展途上国への経験法の拡 〆を自由変動下の均衡相場とするならば,

r

/f

は, 張に関しては,

すなわちF(y)= R(y)・P(y*) r r' r* { 嘗 {

r

r

r

=F(y)

7f=R(y)

lk=P(y*

となり,購買力平価rと公定相場 Fとの講離 r/r

=

F(y)が購買力平価と均 衡相場との議離r/〆 = R(y)と 均 衡 相 場 と 公 定 相 場 と の 議 離 〆 /r

=

P(y*) し だ た の積として解釈されること, P(y*)の影響が大である限り F(y)を安定的な値として残すことを主張して反 そしてたとえR(y)の効果が弱いとしても後者 論する。ただし ,Ry>Oであり ,Py>Oであると仮定される。後者

P

>0は次 のようにして導く。相対所得の低い国から高い国へ移行するにつれて ,rjr*は したがって,先進諸国では rjr*=

1

となる。ゆえに r/r*はy また逆に r/〆 = ゾ/yの関係を設けるなら〆 /rは y*

1

~.こ近づく。 の減少関数となり, yR(y)より

f

の増加関数

(

p

>0)でなければならないとするのである。かく して,ディビッドは,回式の P(y*)についてラテン・アメリカ

2

8

カ国のデータ を用い,y/y* =β'/{1一(1-β')y*}と置き推計する。そして, 所得国の通貨の過大評価は,ほぽ0..374であるとし,

3

/

8

ノレールを提唱する。 この

3

/

8

(1-β,

=

0374)は 総 % 変 化 (y!y-l)の一定割合 (0329)となると して

4

/

9

経験法が依然として有効であると主張する。 (47) このディビッドの反論は,再度パラッサによって批判される。ノミラァサは, ディビッドのラスパイレス式指数使用の弁明について,大部分の国の統計資料 ドルに対して低 がラスパイレス式指数で表示されているとの事実は存在しないし, カの価格構造が安定的であるのはその経済が比較的閉鎖的であることの反映に またアメリ (46) ディピッドは,(y/y*-l)/(y/y-l)

=

(

s

'

-

s

)

/

U

-

s

)

=

0329の関係が導かれる とL、う。

(47) Balassa, B, The Rule of Four-Ninths: A Rejoinder,

EJ

, VoL 84, Sep 1974.

なお, H uIsman-Vejsova, M, Misleading OfficiaI Exchange-Rate Conversions, E

(7)

141 所得と購買力平価からの議離(2) -7-すぎず経済開放の結果とは言えないと言い,アメリカの価格を特にウエイトと して使用する理由はないとして批判する。次に,

4

/

9

経験法を発展途上国に適用 するためのディピッドの反論については,その

3

/

8

ルールの導出過程において 発展途上国で計測された購買力平価を自由変動均衡相場と一致するものと解釈 すること,また i/r*がyの減少函数であるとすること, さらに発展途上国で R(y)を小さいと考え相対価格変化の影響を軽視すること等の諸仮定を含んで おり,そのいずれも事実と異なっているとして批判する。特に,i/r*がyの減 少函数であることについてみると低所得国ほど関税が大でありしたがって所得 水準と保護の水準の聞に負の相関が認められるとするのであれば i/r*がyの 減少函数とするよりもむしろyの増加関数とするのが良く,さらに詳細に考え るとそこに相反するこつの函数を共に設定し得ることすらなし得るのであり, 結局諸国の貿易政策を考慮、に入れるような場合にそこに一つの法則を見出そう とすること自体に無理があるとせねばならないとする。 以上のようにバラッサとディビッドとの論争は, ラスパイレス式指数の使用 と

4

/

9

ノレーノレの適用の二台点をめぐって展開される。前者は,パラッサが為替相 場の購買力平価からの需離に関し一人当り所得の変化とそれにもとずく圏内相 対価格の変化を強調し取引量ウエイトの変化をそれほど強調しなかったことと 多少関係するように思われる。すなわち, ラスパイレス式指数は上方ノミイヤス を持っており,他方バーシェ式指数は下方ノミイヤスを持っている。これに対し, フィッシャ一理想算式は,少なくともこれらの中間にあると考えられる。そこ で,パラッサは,取引量ウエイトの二国間変化の違いを小さいものと考え消去 (48) ラスパイレス式及びパーシェ式の両指数のバイヤスの詳しい研究は,上掲サミユエノレ ソン論文の批判とそれに対する解答の形でのちにはなされた。 Keren, M.. and

J

Weinblatt, A Geometrical Approach to Real Income Compari -sons: A Comment on Samuelson's“Analytical Notes on Inter-national Real-Income Measures",

EJ

, VoL 94, June 1984 Swamy, S, Samuelson's Analytical Notes on International Real-Income Measur -es: A Comment, E /, VoL 94, June 1984

Samuelson, P A, Second Thoughts on Analystical Income Comparsons, E /, V oL 94, J une 1984

(8)

-8- 第59巻 第2号 し相対価格の変化のみに注目したようである。ちなみに,われわれの相対的形 式での購買力平価からの希離めすなわち, p

jPo , p

Rt= Xt(pprel) = xtRo

P

:

.

t

!

P; -

"

X

'

t

1

<

ko,..:

*

'

0

P

t

ただし ,Roニ:ko

(6) を用いて,これらのことを相対的価格(π=ρ

d

ρ

N

)

と貿易ウエイト (α)の変化 するケースについて考えてみる。ただし,両国は貿易財と非貿易財の二財のみ からなるとし,簡単のために基準となる国(*印)例えばアメリカのfおよ び ♂ ゃ

r

は変化しないものとする。(6)式の

P

t

/

P

t

にラスパイレスおよびパー シェの両形式並びにフイッシャーの理想算式の物価指数をそれぞれ代入し両辺 の対数をとり微分して dx/xを導出するならば(ただし時点 tは省略),

(

y

β* X 一(α*+β*/π)π2 (ラスパイレス式) (26)

(

t

=

(

α+

)π2dπ-(

長読ーま読み

α (パーシェ式〉仰

(

r

ニす吋

zv

印 字 -

~(主張一端~)da

(フイッシャー式〉闘 を得る。ラスパイレス式とパーシェ式の霜離の差を求めると,

(

y

-

(

t

=

(α*+β*

αF

/7ー()(

α

α

*

s

s

/

π)π2d7( +(α+β)(π-7(* J α (α*+β*/π)(α

+

s

/

π)ππ* u u (29) となる。この側式の右辺第一項と第二項の乗数は,高所得国アメリカ(基準国〉 のウエイトが当該国と比べて小であり (α

/s>

β

/

つかっ相対価格が小である 〈π>7(*すなわちρ

r

I

ρ

N>

ρVρt)限り正である。したがって,当該国の所得が 減少し,アメリカからより遠ざかり相対価格上昇 (d

π

>0)およびサービス産業 縮小(d,α>0)を導き低所得の発展途上国に達するにつれて,益々霜離を大きく

(9)

143 所得と購買力平価からの議離(2) -9-しかっ

(

d

X

/

X

)

L

>

(

d

x

/

x

Y

すなわちラスパイレス式の霜離をパーシェ式の議離 より大きくすることになる。これは, ラスパイレス式の指数が上方バイヤスを 持ち,パーシェ式の指数が下方バイヤスを持つ事実と一致するよ (26)式はラスパ イレス式の議離の変化率が圏内相対価格変化

d

π

の影響からのみなること,他 方(27)式はパーシェ式の議離の変化率が圏内相対価格変化

d

π

と取引量ウエイト 変化dαの両者の影響からなることを表している。そして,側式はフィシャ一式 の需離の変化率がこの両式の中間(平均〉であることを表す。すなわち,フイツ シャ一式の議離の変化率は,相対価格変化の影響ではラスパイレス式とパー シェ式の和の半分であり,取引量ウエイトの変化の影響ではパーシェ式の半分 である。ところで,取引量ウエイトの変化の影響をとり出してみる。それは, ラスパイレス式を除けば(外国を不変とするため全く存在しなし、〕フィッシャ一 式において比較的小さいことがわかる。そこで,パラッサは,側式を用いるこ とによってその右辺第二項の取引量ウエイト変化の影響を省いたと言いうる。 しかしながら,パラッサとディビッドの論争の第二の問題すなわち

4

/

9

ノレー ルに関して,バラッサは取引量ウエイト

α

の変化の影響を暗黙に考慮したよう に思われる。バラッサは,相対価格

π

の変化が各国の一人当り所得に依存する ことを示した。したがって,これを一歩進めれば,ディビッドの主張すなわち

4

/

9

経験法と同じようなノレ}ルに到達すべきである。前出のディビァドの

(

2

1)式 の逆数をとる。

r

j

r

i

=

(1

-0

5

6'

Y

i

)

/

0

4

4

(21)' この(21)'式の左辺の

r

i

r

i

はわれわれの

ppp

とRに相当し ,

Y

i

/

r

'

z'は購買力 平価からの需離に相当する。したがって,ディビッドの(21)'式は

d

π

が.Yiの函数 となり,一人当り所得

Y

i

が増大するにつれて左辺の議離を小さくすることを示 している。ところが,パラッサは,この飢)'式のような定式化を跨踏し,特に発 展途上国にそれを適用することに反対した。それは,上述の如く関税や為替統 制など各種の保護政策がなされているとの理由からである。われわれは,かつ て(10)式や(11)式の購買力平価からの議離の変化率を導出する際にdπとdαがす べての議離要因を表すものであるとした。ゆえに,その場合,ここに言う各種

(10)

59 2号 の保護政策は,側式の dπ あるいはdaの中に含めて考えねばならないことに なる。国内相対価格の変化d7[が保護政策の影響を大きく受けないものとすれ ば,それは側式のdaの中で考慮されねばならない。かくして,パラッサは,ディ ビッドとの論争過程において daが保護政策によって左治され, したがって計 測し難いXの変動をみせることを理由に反対したと言える。 ところで,われわれは側式 倒式の導出過程において

ρ

T

=

R

ρ?

の貿易財に 関する一物一価の法則を代入した。しかしながら,敢えて陽表的に

π

および

α

と独立に保護政策を導入しようとするならば,それをわ

=R

ゅ?として導入す ることができる。その結果は,側式のみについて示せば, 一一 一一一一一一+一一一一一一)~'~

(

)F-l(dr)

xJ -

+

s

/

πα*+β*/π )

7[2

1

(

1-1/π1-1/π*¥

d

r

2

¥

万平万五

a+

"

*

)

d

α + 7

, 60) となる。パラッサにしたがえば,先進工業国では保護政策に大きな差がない。 ゆえに,

dr

宇 Oである。そこで,側式の右辺第三項の影響を無視することがで きる。修正項は単に右辺第二項のみとなる。しかしながら,発展途上国ではこ のrの影響が購買力平価からの議離を大きく左右するものとなるのである。 III L Hオフィサーによる購買力平価説擁護 以上のパラッサの結果は,オフィサーによって購買力平価の生産性パイヤス として反論され

2

i

L H

オフィサーは,先ず絶対的形式で表した購買力平価 の生産性バイヤスについて次のように言う。ノミラッサ以降にそれを発展途上国 に適用した結果が余り良くなかったこと並びにその場合の購買力平価からの話 離が大部分生産性バイヤスでなくそれ以外の要因によって説明されうること等

(49) Officer, L H.., The Productivity Bias in Purchasing Power Parity: An Econo -metric Investigation, IMF Staff Papers, Vol.23, No.3, Nov.1976.

なお,オフィサーの各論文は,

Officer, L H , Purchasing Power Pariiy and Exchange Rafes Theoη Evidence and Relevance, 1972におさめられている。

(11)

145 年 1950 1951 1952 1953 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973・ 所得と購買力平価からの議離(2) 第13表(1)PPFbS/Ri

=

ai+βiGDP/POPi+わによる回帰係数 (1950-19穴 昨 " 基 準 圏 西 ド イ ソ ) -11-ai β2 ]?2 自 由 度

o

96(3 86)

o

00(0 03) -0.11 9

o

91(3 12)

o

06(035) -0 10 9 0.86(2 87)

o

11(0 59)

o

07 9 095(320)

o

08(0 89) -0 09 9 103(332)

o

04(0 19) -0 11 9

o

93(3 24)

o

12(054)

o

08 9 0.97(326)

o

10(041) 0.09 9 L02(3 54) 008(033)

o

09 10

o

94(3 58)

o

14(0 61) -0 06 10

o

91(3 64)

o

16(0 72) -0 04 11 089(357)

o

17(073) 0.04 12 0.86(367) 016(069) -0.04 12 087(4 25)

o

14(0 71)

o

04 12 092(444)

o

09(0 45)

o

07 12 1 02(494)

o

00(0 00) -0 08 12 1 06(5 50) -0 04(0 19)

o

07 13 1 02(5 15)

o

01(005) 0.08 13 1 00(4 90)

o

04(0 22) -0 07 13 089(396)

o

13(0 62)

o

05 13 086(381)

o

16(070) -0 04 13

o

85(3 54)

o

12(049) -0 06 13

o

84(3 81)

o

11(047) -0 06 13 088(447)

o

04(0 18) -0..07 13 081(461)

o

03(0 19)

o

07 13 からみて,何よりも発展途上国を除き検証すべきである。また,その場合各国 の生産性は,組国民所得

GNP

よりも,純粋にその国で生産された粗圏内生産 物

GDP

によって把握しそれを総人口よりも総雇用量で割るか,あるいはノミ ラッサの主張に沿って雇用者一人当りの貿易財と非貿易財の生産高の比によっ て把握されるべきである。勿論,このときの

GDP

は,二国聞の比較を可能に するため共通単位に換算されるべきであるが,その換算には各国所得の相対的 大きさを査曲しがちな経常相場を避けて購買力平価によるべきである。さらに, 購買力平価の導出に使用すべき物価水準は,

GDP

価格水準(または生計費水

(12)

年 1950 1951 1952 1953 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 59 2 第13表

(

2

)

pp,abS /

R

i

=

α.+β

iGDP/EMP

i

十εzによる回帰係数 (1950-1保持,基準圏西ドイ;;) αi βa

R

2

自 由 度

o

76(1 78)

o

10(050) -0 14 5 067(1 36)

o

17(0 71)

o

09 5

o

55(107) 027(099) -0 00 5

o

56(119)

o

29(109)

o

03 5 082(254)

o

17(0 86)

o

04 6 077(274)

o

19(1 04)

o

01 7

o

78(2 98)

o

19(112) -0 03 8 L03(4 25) 006(038) -0 08 10 094(4 34)

o

12(0 76)

o

04 10 090(4 39)

o

14(0 93)

o

01 11

o

88(4 45)

o

15(0 95)

o

01 12

o

86(4 59)

o

15(094) -0 01 12

o

89(5 41) 011(076)

o

03 12

o

94(559)

o

06(045) -0..07 12 1 02(5 93)

o

00(002)

o

08 12 1 06(647) -0 03(024) 0.07 13 L05(6 11) -0 02(0 14) -0 08 13 L05(5 76) -001(003) 0.08 13

o

96(4 68) 006(0 33) -0..07 13

o

93(4 26)

o

09(0 42) -0..06 13

o

90(397)

o

06(0 28)

o

07 13 0.91(433)

o

04(017)

o

07 13

o

98(520) -0 06(0 34)

o

07 13

o

96(5 77) -0.11(067) -0 04 13 準〉を用い,それも GDPデータと同時点に集計方法を同じくする資料からと るべきである。他方,その購買力平価と比較される為替相場丸は,その t時点、 の均衡相場であるかあるいは期聞を選択して出来る限りそれに近い相場である べきであり,そしてそれらデータを用いて回帰係数を求める際には,その結果 の有意性を不当に大きくみ主〕る傾向のある基準国(s仰

d

a

r

dc

o

u

n

t

引 を デ ー タ の中から除いて計算すべきである等々。オフィサーは,以上の諸点に留意し西 (50) 基準または標準にとられる国のデータは,既にその他の国のデータの中にlとして説 明変数と従属変数の両方に入っており,したがって別途そのデータを加えると結果を奈 めることになると言う。

(13)

147 年 1950 1951 1952 1953 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 所得と購買力平価からのま陸離(2) 第13表(3) pp

abs / Ri=ι+βiPRODT/PRODNTi

+

むによる 回帰係数 (1950-1973年,基準国西ドイ/') αz βt R2 1 76(187)

o

52(0 73)

o

13 2 23(180) -0 85(0 89)

o

05 2 42(148) -1 03(077) -0.11 1 97(1 25) 066(0 50)

o

23 1 12(2 12)

o

05(0 11)

o

25 1 04(2 01)

o

12(0 24) -0 23 1 07(204)

o

09(0 19) 0.24 1 03(176)

o

15(0 28) -0 23

o

95(163) 023(0 41) -0 20

o

86(159) 028(053) -0 14

o

71(1 47)

o

37(077) -0 05

o

61(1 33)

o

46(1 01)

o

58(169)

o

46(L35)

o

11

o

64(193)

o

41(1 24)

o

07

o

85(293) 021(0 70) -0 07

o

91(352)

o

14(0 54) -0.09

o

81(2 95)

o

25(0 89)

o

03 0.88(2 72)

o

19(060) -0 09

o

86(236)

o

23(0 62) -0 08

o

84(2 19) 024(061)

o

09

o

72(L82) 029(0 75) 0.06

o

78(223)

o

21(0 61) -0..09 082(303) 0.13(0 52)

o

10 070(318)

o

16(0 74) -0 06 -13-自 由 度 3 3 3 3 4 4 4 4 4 5 7 6 6 6 7 8 7 7 7 7 7 7 7 7 ドイツ当局の発表する資料を用い,西ドイツを基準国としてカナダ,アメリカ, オーストラリア,ニュージーランド,オーストリア,ベルギー,デンマーク, フィンランド,フランス,イタリア,オランダ,ノルウェー,スェーデン,ス イス,イギリスの

1

5

カ国に関し1950-

1

9

7

3

年の各年のクロス・セクション分 析を行う。すなわち,西ドイツを基準にとって,購買力平価からの霜離

ppa

bSj 九を一人当り粗圏内生産物の対ドイツ比率GDPjPOP,雇用者一人当りの粗 圏内生産物の対ドイツ比率 GDP

!

E

MP,貿易財の非貿易財に対する生産性の (51) 貿易財と非貿易財の生産性を測るときの雇用者一人当り GDPは一定価格の下で測ら れる。その他の場合のGDPは経常価格を用いて測られている。

(14)

-14- 第59巻 第2号 148 対ドイツ比

PRODT/PRODNT

の三変数について,それぞれ回帰させその結 果を第

1

3

表(1)

-

(

3

)

としてまとめる。この場合,購買力平価の導出には,不足す るデータを外挿法で補いながら各国の生計費をその家計消費支出額で加重し幾 何平均を求めて使用し, また外挿法で町データを補充する際基準となる期間が複 数となりオーパー・ラップができるときはその部分の月または年について調整 をなしもしこのようなオーバー・ラップのないときはその前半のデータを除く ことによって処理する。オフィサーは,この第

1

3

表(1

)

-

(

3

)

からパラァサの主張 す る 購 買 力 平 価 の 生 産 性 パ イ ヤ ス が

GDP/POP

GDP/EMP

お よ び

PRODT/PRODNT

のいずれを説明変数にしたとしても,すべての年につい て有意の値を与えず, しかもそのときの決定係数も回帰方程式の当てはまりの 良さを示すにはほど速い値かまたは負の値しか示さないことを見出す。さらに 彼は,パラッサと同じくアメリカを基準国とした場合について

1

9

5

0

1

9

5

5

1

9

7

0

年の三カ年に限って同様の検証を試みる。その結果は,第

1

4

表のとおりで ある。この表において

1

9

5

0

年と

1

9

5

5

年の購買力平価のデータはギルパート等 の著書から得たベルギー,デンマーク,フランス, ドイツ,イタリア,オラン ダ,ノルウェー,イギリス,の8カ国の

GNP

デフレータによっており,他方

1

9

7

0

年の購買力平価のデータはグレイビスの著書から得たフランス,ドイツ, イタリア,日本,イギリスの

5

カ国の

GNP

価格水準によっている。そして両 者ともに,基準国アメリカとその他の国の価格水準をそれぞれの国の取引量で、 ウエイトしそれらを幾何平均することによって求められている。オフィサーは, この第

1

4

表においても

1

9

7

0

年の

GNP/EMP

に関する一例を除いて他のすべ (52) オフィサーは調整を行わない場合についても回帰係数を求めている。しかし,ここでは 省略する。 (53) この場合の決定係数は,データ数が少なく,そのためみせかけだけで大きい値を生じる 1 可能性を避けるため,R2 =一一一一一{(n+l)R2-p) によって求めている。ゆえに,デ-n-ρ-1 タ数nが小さく R2がゼロに近い場合負値となる。なお, ρは説明変数の数である。 (54) Gilbert, M. and associates, Comparative National ProducおandPrice Levels A Study of the United States, the Uniled Kingdom, Franιe, Germany, and lta(y, 1958

(55) Kravis, 1 B, and others, A System of lnternational Comparisons of Gross Product and Purchasing Poweη1975

(15)

149 所得と購買力平価からの話離(2) -15-第14表生産性による回帰係数 (1950年, 1955年,1970年基準国アメリカ) 年 ai βE R2 自 由 度 (a)

1950

o

66(6 63)

o

12(0 56)

o

11 6 1955

o

64(3 12) 028(0 67) -0 08 6 1970

o

43(2 42)

o

53(186) 038 3 (b) 1950

o

66(2 64)

o

12(0 21) -0 24 4 1955

o

71(335)

o

15(0 30)

o

15 6 1970 035(2 89)

o

71(3.46)件

o

73 3 (c) 1950

o

93(562) -0 23(119)

o

12 2 1955

o

67(3 62)

o

16(0 73) -0 10 4 1970

o

61(2 72) 020(0 77) 0.16 2 日印は, 5%水準でセロから有意に異なることを示す。

(a)は GDP/POPを, (b)は GDP/EMPを, (c)は PRODT/ PRODNTをそれぞれ説明変数 とした場合である。なお, 1950年の GDP価格のデータは外挿法によって得ている。 ての場合にその説明変数の t値 が

5%

有意水準に達しないことを見出す。 さらに,オフィサーは上記の彼の結論が前節のノえラッサの出した結論と矛盾 する原因をパラッサ自身の統計処理上の誤りにあると指摘する。パラッサの誤 りの第ーは,基準国としてとったアメリカを回帰分析を行う際にデータとして 含める点にある。アメリカの観測値は回帰式の従属変数と説明変数の両方にお いて最も大きい値で含められ,そのためパラッサの第11表にみるように生産性 バイヤスを示す

3

の説明力とその t値を大きくしている。このことは,上記の パラッサのデータからアメリカのデータを除き再度回帰係数を求めるならば, 第

1

5

表の

Al

B2

Cl

に示すように生産性バイヤスの説明力が落ちてくるこ とから明らかになる。パラッサの第二の誤りは,質の異なるデータを同質のも のとして使用した点にある。すなわち,デンマーク,フランス,西ドイツ,イ タリア,オラン夕、、,イギリス,ベルギー,ノルウェーの8カ国については上掲 ギノレノミートの著書から

GNP

デフレータをとって使用する(部分的に外挿法で データを補う〉。そして,いずれも基準国アメリカとそれら各国の取引量でウイ エトしたものをフィッシャー型の幾何平均を行い購買力平価の導出に用いてい

(16)

-16ー 第59巻 第2号 150 第15表 オ フ ィ サ ー に よ る パ ラ ソ サ の 回 帰 係 数 の 修 正 (1960年 基 準 国 ア メ リ カ ) 方 程 式 α2 A

R

2

自由度

GDP/POP

A

'

o

47( 8 44)

o

56(5 71)*ホ 076 9

A2

o

55( 4 74) 039(187)

o

26 6

GDP/EMP

B

'

o

56( 9 07)

o

43(363)地 権 0..55 9

B2

o

66( 4 45)

o

21(0 71)

o

88 6

PRODT/PRODNT

C

'

0.55( 4 82)

o

28(2 17)

o

35 6

C

2 059(1326)

o

22(4 35)本*

o

75 5

ー一一一

川印は, 1%水準でゼロから有意に異なっていることを示す。

Aは

GDP/POP

を説明変数とし ,

B

GDP/EMP

を説明変数とし,

c

PRONT/PRODNT

を 説 明 変 数 と し た 場 合 で あ る 。 従 属 変 数 の デ ー タ は パ ラ yサ(1964)よりとられている。 る。これに対し,カナダ, 日本,スウェーデンのデータは平価による裁定相場 を利用しながら個々別々のソースからとられており,したがってそこに使用さ れた価格水準は国により異なり生計費,卸売や小売価格,賃金など種々雑多の ものからなっている。そして, これらの雑多の価格水準を用いて購買力平価を 計算する際に,二国の取引量でそれぞれウエイトしたものを幾何平均するので はなく,それぞれの国の取引量でウエイトしたものをそのまま用いている。し たがって,この異質のデータを前の8カ国のデータに含めて回帰係数の導出に 使用するならば,得られる生産性バイヤスは,ゆがめられてくることになる。 このことは,カナタ二日本,スウェーデンの三国のデータを除き,残る 8カ国 のデータだけを用いて回帰係数を求めてみると明らかになる。すなわち,第15 表 の

A2

B2

, C2に 掲 げ た 結 果 は そ れ を 示 し て い る 。 説 明 変 数 と し て

PRODT/PRODNT

を使用したときの βtの t値を除き他のすべての t値は, 有意を示さなくなる。そのうえ,回帰式の当てはまりの程度も,以前のノミラッ サのものに比べて遁かに悪くなる。かくして,オフィサーは,パラッサの生産 性バイヤスの主張が彼自身の統計処理上の誤りに原因したものであると結論す る。

(17)

151 所得と購買力平価からの議離(2) -17ー

第16表諸変数の変動係数 (1950-1978年 基準国西トイソ)

年 ppab'/R GDP/POP GDP/EMP PRODT/ PRODNT 1950 27 02 37 21 32 71 16 84 1951 27 74 33..29 29.25 13 02 1952 27 38 32 20 27 56 10..06 1953 26 66 32 98 28 18 13..89 1954 25 74 31 31 37 15 23 64 1955 23 49 30 14 35 28 22 22 1956 23 52 29 49 32.34 21 28 1957 22 35 28..10 34..03 20 04 1958 20 70 27..67 33 86 19.01 1959 19 92 26 30 31 91 19 35 1960 20 08 24 95 31 28 17..77 1961 18..29 23 08 29 10 17 10 1962 16..33 23 40 29 39 17 68 1963 16 03 22 90 28.69 17 79 1964 15 82 23 13 28 17 17 95 1965 15 09 22 73 26 90 18..18 1966 15 21 22 41 25 95 17 83 1967 15 02 21 73 24 50 16 06 1968 16.81 21 41 23 85 16.46 1969 16 45 20 52 21 63 15..78 1970 16 86 18 93 20 16 15..19 1971 15 57 18 56 19..77 15 96 1972 14 29 18..72 19..57 16 59 1973 13..91 18..78 19 71 16.08 オフィサーによれば,以上の結論は,上掲第

1

3

表(1

)

-

(

3

)

で使用した従属変数 と 説 明 変 数 の デ ー タ に 関 す る 変 動 係 数 を1950年

-1973

年 の 各 年 に つ い て と り比較してみると明らかになると言う。すなわち,第 16表である。それによる と,

P

P

a

b

s

/

R

GDP/POP

GDP/EMP

PRODT/PRODNT

の い ず れ の 変 動も ,1950年 以 降

1

9

7

3

年にかけてその変動係数の値を漸次減じている。しか (56) 変動係数はs/fで表される。 Sは標準偏差,Xは平均値である。これは,変動の大きさ

を標準にとったちらばりの測度である。比較可能とするためfで割っている。伊大知良太 郎編『経済統計講義J1971年 64ページ。

(18)

第59巻 第2号 152

も,

Ppabs/R

の変動係数は購買力平価からの議離が余り大きく変化しなくなる 傾向を示し,他方

GDP/POP

GDP/EMP

PRODT/PRODNT

の変動係数 は国際的な生産性の違いから漸次縮小していることを意味している。したがっ て,この両者からみて,第

1

6

表は

1

.9

7

3

年に近づくにつれて国際的な生産性の 違いによる購買力平価からの議離への影響は次第に少なくなることを表してい るとも言えよう。 以上は,絶対的形式の購買力平価に関する生産性バイヤスに対するオフィ 第17表 価格指数の生産性指数に関する回帰 PNT,jPTi =め+νiPRODi

+

ωz 独立変数 従属変数 ψ ν R2 自由度 GDP/POP CPI/WPI 82 54(7 32)

o

20(4 38) ** 0..58 12 CPI/EPI 74 48(3 09) 035(357)**

o

46 13 WPI/EPI 99 00(7 30)

o

08(151)

o

09 12 PGDP/WPI 96 52(747)

o

18(3 39) **

o

45 12 PGDP/EPI 93.56(3 47)

o

32(2 88) *

o

34 13 PNT/PT 122 70(333)

o

12(0 66) -0 06 9 GDP/EMP CPI/WPI 75.79(6 56)

o

23(5 01)事ホ

o

73 8 CPI/EPI 67 11(2 64)

o

39(3 80)叫

o

57 9 WPI/EPI 9504(605)

o

10(162) 0.15 8 PGDP/WPI 90 83(6 14) 020(349)*事 0..55 8 PGDP/EPI 88.07(2 95)

o

35(2 93) *

o

43 9 PNT/PT 11564(3 36)

o

14(0 84) -0 05 5 PRODT/ PRODNT CPI/WPI 168.87(4 12) -030(118)

o

06 5 CPI/EPI 187 72(159) -0 29(0 39) -0 16 5 WPI/EPI 105 67(146)

o

07(0 15) -0.19 5 PGDP/WPI 151 41(2 77) -0.14(0 41) -0 16 5 PGDP/EPI 168 97(134) -0 11(0 14)

o

20 5 PNT/PT 30 58(0 57)

o

71(213)

o

37 5 *印は係数が5%水準てvゼロから有tJ:に異なり, 日 印 は1%水準て哨セロから有意に異なる ことを示す。

CPI:消費者物価指数, EPI:輸出物価指数,WPI:卸売物価指数, PGDP: GDPデ フ レ

(19)

153 所得と購買力平価からの議離(2) -19ー サーの批判である。次に,相対的形式で表した購買力平価に対するオフィサー の批判を考察しなければならない。前節で考察した

T

うに相対的形式の購買力 平価からの霜離の問題点は, (1)基準年度において為替相場を絶対的形式の購買 力平価に等しくなるように選んだか否か(すなわち ,

Ppgbs/R

o

ニ 1または

Ro

=

P

o

/

P~ ),

(

2

)

基準年度以降に取引量ウエイト (υt,

δ

t)や国内価格比率

(PN/

PT

t,

PNi

/P

T

t

*l

がどのように変化したかのこ点である。オフィサーは,パ ラッサ批判の立場からこのうち後者の問題のみに限定す町る。特に,基準年以降 に諸国の生産性差異が益々拡大し,そのため圏内価格比率の二国間における相 違をより大きなものにしたか否かを検討する。生産性差異の拡大の問題は,前 掲第

1

6

表において既に検討済みである。すなわち,諸国の生産性の差異は

1

9

5

0

年から

1

9

7

3

年にかけて漸次縮小の傾向がみられる。そこで,残された問題は, この生産性と各国の圏内価格比率がどのように関係しているかを調べることで ある。オフィサーは,次の(31)式を用いそれを検討する。いま,第

t

国の圏内価 格比率の基準年 (J

9

5

3

年〉以降の変化を

PNT'/PT

i

とし第

t

国生産性の同じ く基準年以降の変化を

PRODi

とするとき,回帰式

PNT'/PTi

<

T

+uPROD;+

ω

z

(31) を設ける。これを用いてカナタ二アメリカ, 日本,オーストラリア,オースト リア,ペルギー,デンマーク,フィンランド,フランス,西ドイツ,イタリア, オランダ,ノルウェー,スウェーデン,イギリスの

1

5

カ国のクロス・セクショ ンによる回帰係数を求める。その結果は第17表である。ただし,生産性は

GDP/POP

GDP/EMP

PRODT/PRODNT

のそれぞれについて試み,ま た圏内価格比率も消費者物価指数と卸売物価指数の比

CPI/WPI

,消費者物価 指数と輸出物価指数の比

CPI/EPI

,卸売物価指数と輸出物価指数の比

WPI/

EPI

GDP

デフレータと卸売物価指数の比

PGDP/WPI

GDP

デフレータ と輸出物価指数の比

PGDP/EPI

,非貿易財価格指数と貿易財価格指数の比 P

'NT/PT

の6種類のそれぞれについて試みる。この第17表をみると,従属変 (57) 拙稿「所得と購買力平価からの議離(l)J香川大学経済論叢 第59巻 1号1986年 6 月 38ページ。

(20)

59 2号 154 数として

WPI/EPI

をとる場合には三つの独立変数

GDP/POP

GDP/EMP

PRODT/PRODNT

のいずれについてもその回帰係数の t値は,有意、となっ ていなし、。それは,従属変数の分子

WPI

と分母

EPI

が同じような貿易財のウ エイトの高い価格指数の比であるためと思われる。そこで,オフィサーは,従 属変数に貿易財のウエイトの高い物価指数と一般的な物価指数との比である

CPI/WPI

CPI/EPI

PGDP/WPI

PGDP/EPI

などの価格指数を使用した ケースに自を転じる。この場合は生産性指数の独立変数が

GDP/POP

GDP/

EMP

のいずれであろうとその回帰係数の t値は有意となってくることがみら れる。しかしながら, この場合でもより正確に各国の圏内価格比率を表すと思 われる

PNT/PT

を従属変数にとるならば,その結果は三種の回帰係数のいず れの t値も有意を示さなくなることを知る。さらにその上に,独立変数として より正確に生産性指数を表すと思われる

PRODT/PRODNT

を用いるなら ば,その回帰係数は, 6'種の価格指数のうちどの変数を従属変数にとろうとも, 全く有意を示さない。そこで,オフィサーは,以上の結果すなわち回帰式。1)の 右辺と左辺にその本来の性質を持った値を使用して回帰係数を求めるときその 係数の Uの値が有意とならないことを考え,生産性差異と各国の圏内価格比率 の聞には少なくとも密接で強力な関係が見出し得ないものと結論する。かくし て彼は,相対的形式で表した場合の購買力平価からの話離に関するパラッサの 主張についても,その妥当性を否定することになる。 以上,オフィサーは,詳細なデータ分析を通じて絶対的形式と相対的形式の 両方の購買力平価に関して, ともに各国生産性差異にもとずいた圏内価格比率 変化による購買力平価からの諦離の発生を主張するバラッサの生産性バイヤス 説を拒否する。オフィサーによると,パラッサは消費者サービス例えば教育や 医療サービスなどの国際的質の差異を無視し単純にその価格のみを国際的に比 較したため誤った結論に到達したのであり,もしその質的差異を考慮するなら ば発展途上国と比べ先進国サービスにそれほどの技術効率上の劣性を仮定しえ (58) Officer, L H, Purchasing PoweI'Parity and FactoI'PriceEqualization, Kyklo.$, Vo.l27, Fasc 4, 1974

(21)

155 所得と購買力平価からの草花離(2) -21ー ず,むしろ貿易財よりも技術上優れしたがって事実上先進国で途上国より安価 なことすらあり得ると言う。これに対しパラッサは,そのような質の差異があ るとしてもそれを価格の差によって充分相殺しうるかどうかデータによって実 証すべき課題であると反論する。しかし,オフィサーは,その課題の存在を認 めうるとしても,国際的生産性差異が貿易財と非貿易財の価格比率に効果を及 ぼす場合それを単純な計算によって平価からのバイヤスとして修正しうるなら それで充分であり,そのため購買力平価説を否定する論拠となしえないとして バラッサに応える。そして,彼は,単位労働コスト

ULC

の二国間比率による平 価を提唱し,それが結局両国の価格比すなわち購買力平価と合致することを述 べる。いま,経済のマクロ・レベルで、要素価格均等化命題の成立と二国の総生 産函数における生産性差異を各々の平均生産力

PR

で表しうる(簡単のため労 働以外省く〉とき

MPLB

=

(PRB/PRA)MPLA

の成立を仮定するならば, R-ULCA

一杯

T~LpRA

WA

PRB pA MPL

A PRB

一 方

LCB

-

WB

/

百万 -

WB

・予

RA

一予

s'M

7・予

F

pA

pB

(32) となることを見出す(ただし ,

W

は賃金,

MPL

は限界生産力 ,

A

B

は二国を 表す〉。すなわち,彼はハウタッカーの

ULC

平価説を購買力平価説と同じもの であるとし,それが圏内生産と密接に関係し景気に左右されず(利潤を除いて いる)為替相場の影響を直接受けないような利点を持ち,最適で長期の均衡相 場であると主張するのである。 以上は,パラッサの生産性バイヤス説に対するオフィサーの批判の概要であ る。これは,以下述べるように必ずしも適切でないように思われる。オフィサー は,各国の一人当り

GDP

を比較す}る場合に購買力平価で概算した額によって

(59) Balassa, B, Purchasing Power Parity and Factor Price Equalization; Comment, Kyklos, VoL 27, Fasc. 4, 1974

(60) Officer, L.H, Purchasing Power Parity and Exchange Rates, Theory, Evidence and Relevance, 1982, p 128.

(61) Officer, L H, The Purchasing-Power-Parity Theory of Exchange Rates: A Review Article, IMF Sta!f Papers, Vol 23, No.1, Mar.1976

(22)

-22 第59巻 第2号 第6図 (7r

>

π

キ の ケ ー ス ) d7r ゴ生ーハ

A

領 域 k -V Q B領域 dk (←五一くO過大評価) dk ( ~k~ >0過小評価) 156 da 行うべきであるとする。また,パラッサを批判し,彼が統計処理上の誤りを犯 したことすなわち基準国のデータを含めて回帰係数を求めそれによって t値や 決定係数の値を高くしたことおよび異質のデータを一括して取扱うことによっ て都合良い結果を導いたことを指摘する。これらの指摘は,すべて妥当な批判 であるように思われる。しかしながら,問題はパラッサに反対する検証を行う に際し一人当り GDP(あるいは貿易財と非貿易財の生産性比率〉を独立変数 として回帰式に直接導入する場合に生じる。彼の得たその結果は,第

1

3

表(1) -(3)および第 14表にみる如く決して好ましいものではなかった。前節におい て,われわれはバラッサにしたがし、フィッシャー理想算式を用い側式を導出し た。そして,購買力平価からの話離が相対価格変化d;rと取引量ウエイト変化 dα のみに依存することを指摘した(ここで保護政策rおよび外国の変化は省 略されている〉。購買力平価からの議離は,その変化率をとる限り

d

x

/

x

=

d

k

/

k

となる。したがって,この場合購買力平価の相対的形式は,絶対的形式から区 別されず側式のまま使用することができる。そこで,側式の左辺をゼロとし, d;r/d,αを求めると, dπ 一 (;r*-π)π ー ハ dα 一 (α*β+α'/3*+み沼*/;r);r*一 可 (33)

(23)

157 所得と購買力平価からの議離(2) -23-を得る。第6図は,この側式において

f

π

のケース(基準国を高所得国アメ リカにとるとき当然成り立つ〕すなわち Q<Oのケースを取扱い dk/kニ Oと する直線を描いたものである。品川

=0

すなわち購買力平価からの諦離が増大 しないケースは,適当な

d

α

とdJrの組合わせによって,この直線上を移動する 場合に生じることがわかる。したがって ,

d

α

,と

d

π

がともに一人当り

GNP

の 函数として変動するときは,購買力平価からの講離が全て変化しないかあるい はほとんど変化しないことが充分ありうるのである。ところが,上述したよう にオフィサーは,一人当り

GDP(

あるいは生産性比率)を直接回帰式の説明変 数に導入する。ゆえに彼は,一人当り

GDP(

あるいは生産性比率〕が常に飛離 hの変動を左右すること,したがってそれが相対価格に与える作用と取引量ウ エイトに与える作用で相互に相殺し合い結果として hを不変にとどめるよう なことのない場合を考え検証したことになる。これは,バラッサが(28)式の相対 価格変化

d

π

を強調し取引量ウエイト変化

d

a

を軽視したことと深く関わって いる。したがって,オフィサーの第

1

3

(

1

)

-

(

3

)

と第

1

4

表の結果は,パラッサ に対する批判として役立つとしても,購買力平価からの議離が一人当り所得に 依存するとL、う主張また相対価格が一人当り所得の函数となるとの主張を否定 するものではないのである。 続いてオフィサーは,相対的形式の購買力平価からの議離に関しパラグサの 主張を批判する場合に,飢)式を用いて相対価格が一人当り

GDPC

あるいは生産 性比率〉の函数であるかどうかを検証する。その結果は第

1

7

表である。そして, オフィサーは,

GDP/POP

お よ び

GDP/EMP

を 説 明 変 数 と し

CPI/WPI

CPI/EPI

PGDP/WPI

PGDP/EPI

を従属変数とする場合を除き,本来最も 適切と思われる

PRODT/

PRODNT

を説明変数とするケースおよび

PNT/

PT

を従属変数とするケースで有意な回帰係数を見出すことができず好ましく ないと言う。しかしながら,オフィサーが用いたデータは主として先進国の一 人当り

GDP

や生産性比率でありそこに大きなデータ上の差異を見出し得な いものであり,他方オフィサーの(31)式は従属変数である相対価格がすべて上記 のような独立変数によって説明されうるとする仮定のみをチェックするもので

(24)

第59巻 第2号 158 あり例えば趣好の変化や要素賦存量の変化によっても説明されうるとする仮定 をチェックするものではないのである。したがって,第 17表において,しばし ば決定係数

R

2の値が低いとしても,そのことで直ちに相対価格が一人当り

GDPC

あるいは生産性比率)に依存することの否定となるものではない。それ は,特に相対価格を

PNT/PT

でとった場合に,もし貿易財と非貿易財の生産 性比率

PRODT/PRODNT

(生産性はそれぞれの生産に従属する労働の一人 当り生産量で測る)に関して有意な回帰係数υを導きかっ

R

2の値も大であっ たならば,それは

PNT/PT

がこの生産性比率のみに依存して変化することを 意味し,生産性比率に何等の変化も起こらない場合に相対価格の変化を生じる ようなケースを全く考慮しえないことになるからである。しかしながら ,

R

2 問 題 は 別 と し て も ,

PNT/PT

を 従 属 変 数 と す る ケ ー ス お よ び

PRODT/

PRODNT

を説明変数とするケースにおいて回帰係数υの t値が有意を示さ ないことは,問題として残る。ここに,後節で考察すuる1Bクレイビスの検証 と比較し,オフィサーの統計データおよびその処理に多少の疑問が生じるよう に思われる。いずれにせよ,われわれは,第17表 に お い て

GDP/POP

GDP/EMP

の係数υの t値が多くの場合有意、を示したことで満足すべきであ る。それは,これがパラッサの本来の主張であったからである。 そこで,オフィサーが行った購買力平価説の妥当性に関する積極的検証の一 例として実効為替相場による検証を次に考察しよう。ここにオフィサーが用い た購買力平価概念は相対的形式のものである。基準時点

O

における為替相場を

Ro

,現時点 tにおける為替相場を

R

t

とし,その比で表される為替相場指数を ふとする。この場合為替相場は,自国通貨単位当りの外国通貨単位数で表示さ れており,ゆえに通常と異なり各記号の上部に 印を付し区別している。いま, 価格指数のニ国間比率を

Dt

とする。すなわち

D

t

l

t

/

l

t

4)

(62) Officer, L H., Effective Exchange Rates and Price Ratios over the Long Run: A Test of the Purchasing-Power-Parity Theory, Canadian ]ournal of Eヒonomic:s,V 01 13, No..2, May 1980

(25)

159 所得と購買力平価からの議離(2)

-25-l

t

*

~ iw7(。ρ も /~iWi.。ρ?。

ただし,一一一It

-~WiOPit/ ~iW iOPiO

であり, 5t

=

Rt/R

(35) である。ただし*印は外国を表し,

ρ

itおよびWitは t時点における財 iの価 格とそのウエイトである。そこで,相対的形式の購買力平価説は, 5t

=

Dt

によって表されることになる。ところで,購買力平価説を検証するに際し問題 となる点は,データの利用可能性以外に,付)使用すべき価格指数の問題, (ロ)基 準国選択の問題,付基準時点と現時点の選択の問題がある。オフィサーはこれ ら諸点について次のように言う。先ず,価格指数は包括的なものでなければな らない。ゆえに,GDP価格指数が最適である。卸売物価指数を使用するのは, 貿易財に過度のウイエトを付し購買力平価に有利な結論を導くので好ましくな い。次に,基準国選択の問題について,当該国と最も密接に貿易や支払のある 国を選び基準とするかあるいはアメリカとかドイツのような単一の国を基準に とるかして当該国との聞の通常の為替相場及び価格をもって計算に使用するこ とがしばしばみられるところである。しかしながら,このようなこ国の取引は, 両国間に限定されるものではなく,世界全体と関係をもっている。したがって, 単なる為替相場や価格を用いる計算は,決して好ましいものではなし、。それに 代えて両国の実効為替相場指数と実効価格指数比率を使用すべきである。ここ に言う実効為替相場指数は,ERitを基準時点

O

と比べた時点 tにおける第

i

圏実効為替相場指数とするとき, ERit I!jR'f,;Í} ,ただし ~iWij = 1, Wii= 0 (37) によって定義される。ここでRijtは第

i

国通貨と第 j国通貨の間の為替相場 (63) 例えば, Gailliot, H

J

, Purchasing Power Parity as an Explanation of Long-Term Changes in Exchange Rates,

I

M C.B, Vo.12, No..3, Aug.1970がある。 (64) 各種の実効為替相場に関する研究は, Rohmberg, R.

R

, Indices of Effective Exchan -ge Rates, IMF 5taff Papers, VoL 23, Mar..1976, pp.88-112にみられる。

(26)

-26- 第59巻 第2号 160

(第

t

国通貨単位当りの第1国通貨単位数〉の指数(基準時点。に対する時点 tの比率)であり Wiiは実効相場導出のための第j国通貨に対する第 j国通貨 のウエイトである。 (37)式は,各国とアメリカとの聞の為替相場をグロス・レー

トとして書き換えると,

ERit

=

fli

(

I

Ltl Ri$t)

=

e ・6ゆ [lnRist-~wiilnRi$t J 側

となる。他方,ここに言う実効価格指数比率EPitとは,側式と同じく EPit

=

fli(Pi

t

!

Pit)Wii

=

e . exp (~μ iilnPit -lnPitJ 側 で定義される。ただし ,EPitは当該国の価格指数で割った外国の価格指数であ り , またPitは第

t

国の基準時点。と比べた時点

t

における価格指数である。 なお, ウイエト Wijは,第t固と第 j国の聞の時点 tにおける財取引の価格額 (輸出と輸入の合計〕が第

t

国の全貿易額に占める割合をWiitとするとき,基 準時点におけるその値 Wiioと t時点におけるその値 Wiitの単純算術平均とし て求められるものである。かくして,オフィサーは,(36)式の Stに ERitを,また

D

t

にEPuをそれぞれ代入する。 最後の問題すなわち基準時点と現時点の選択の問題については,次のように 言う。基準時点も現時点も共に購買力平価の検証に係わる限り少なくともその ときの為替市場が安定的で長期に宣り収支の不均衡がなくかっ厳Lい為替統制 や貿易制限がないことを必要とする。ゆえに,基準時点として最も適する年は, 第一次大戦前の金本位制時代の

1

8

7

9

年である。この年は,アメリカも正貨免換 を再開し世界的に金本位制が存在した年に当たっている。しかしながら, もし データが入手し難くこの年を基準時点、

O

としてとりにくい場合には,

1

8

7

9

-1888

年,1905年

-1913

年 ,1910年,

1

9

1

3

年の四期間のいずれかをくし、ず れも金本位制の時代〉基準時点として選ぶべきである。一方,これらの基準時 点と比較される現時点 tは,

1

9

7

5

年が最も適当な年である。けれども,アジャ スタフ守ル・ペッグの

1

9

6

3

-1966

年の期間も比較的安定的な為替市場と収支 の均衡を維持しており,また第二次大戦前の

1

9

3

8

年も同様にしばしば注目さ れる年である。しかしながら,これら二つの期間は,現時点として取扱われる べきでなくむしろ中聞の時点として取り扱われるべきである。現時点と中間時

(27)

161 所得と購貿力平価からの議離(2) -27-点とは,ウエイト Woの取扱いについて異なっているのみで,購買力平価平価の 検証を行うという点では同じである。すなわち,中間時点での購買力平価の計 算には,現時点を用いたときのウエイトをそのまま用い,改めて各国の基準時 点と中間時点との貿易フローの割合を求めそれを算術平均しウエイトを計算し なおすことはしない。 Lたがって,基準時点と現時点との聞の期間内では,貿 易フローの割合は変わらないものと想定されている。 オフィサーは,価格指数,基準国選択,時点の選択に関する上記の諸点を注 意しながら,利用可能な

1

4

カ国のデータを集め購買力平価の検証を行う。側式 にERtとEPtを代入すれば(添字

t

を省略), ERt/EPt

=

1となる。そこで, もし購買力平価からの議離があるとすれば,ER

t

!

EPtぞ1となる。ゆえに,その 議離は, ln{

/

1

}

として対数値によって表すことができる。基準時点の定義からERo

=

EPo

=

lである。そこで In(ER

t

!

EPt)

=

L1ln(ER

t

!

EPt)

=

In(ERt/EPt)-ln(ERo/ EPo)であり,側式はそのままでER

t

!

EPtの基準時点からの変化を表すものと 解釈される。 In(ER

t

!

EPt)は正負両符号をとりうる。当該国の通貨は,その値 が正である場合過大評価されており,負である場合過少評価されている。例え ば,第

1

8

表において

1

8

均 年 -

1

8

8

8

年を基準とした

1

9

7

9

年のデンマーク通貨 の議離は,0..2021であり過大評価されている。さて ,Iln(ER

t

!

EPt)

I

・100に よって購買力平価の予測誤差を表すものとする。この値は小さいほど望ましL。、 第

1

8

表 第

2

1

表をみると,購買力平価からの誤差の絶対値が10%以下とな る国はカナダのみであり,比較的小さい国は

1

9

8

3

年を除くイタリア,ノル ウェー,スウェーデン等である。しかし, 日本,スイス,オーストラリア,そ の他諸国においてもかなり良い結果が得られている。そこで,これらの絶対誤 差のパーセントの各期間に関する平均をとり第

2

2

表でまとめる。その第

2

2

表 をみると,絶対誤差のパーセントの平均は,30%以下であり,

1

9

6

3

-1966

年で

16%

以下,また

1

9

3

8

年と

1

9

7

5

年で

25%

以下となっている。管理フロー

(28)

-28- 第59巻 第2号 162 第18表 実 効 為 替 相 場 お よ ひv実 効 価 格 指 数 と そ の 比 率 ( 基 準 時 点1879-88) 国 名 ヌ5合4〈L 1938 1963-1966 1975 テ ン マ ー ク

ER

0..6918

o

7035

o

7173

EP

o

8718

o

6594

o

5861

I

n

(E

R/E

o

2312

o

0647

o

2021 イ 、y

ER

2 3037 4 2859 7 5567

EP

1 5824 4 2185 5 2677

I

n

(E

R

/

E

l

o

3755 0.0158 0.3608 イ タ ア

ER

o

2205

o

0100

o

0083

EP

0..3101 0..0102

o

0091

I

n

(E

R/E

o

3408

o

0168

o

0826 ノ ル ウ ェ ー

ER

o

8266 0..7120 町。8645

EP

o

9185

o

7706

o

7916

I

n

(E

R

/

E

l

o

1054

o

0792 0.0882 ス ウ ェ ー テ ン

ER

o

8516 1 0446 1 1473

EP

o

9371

o

9935 1 0570

I

n

(E

R

/

o

0956

o

0502

o

0820 イ トキ ス

ER

o

8345

o

5639 0..3776

EP

o

8175

o

5967

o

4236

I

n

(E

R

/

E

l

o

0205 -0 0565 -0 1149 ア メ カ

ER

o

8220 1 3919 1.3464

EP

1 0772 1 3273 1 6256

I

n

(E

R

/

E

P

)

-0..2703

o

0475 -0 1885

ER

は実効為替相場,

EP

は 実 効 価 格 指 数 トの 1970年代より平価設定の1960年代中葉の為替相場が購買力平価に近い 値を保持していたことは,興味深いものがある。この特徴は,サンプル・サイ ズを

1

4

カ国に拡大したこつのケースについても妥当している。 オフィサーは,この第

2

2

表にみる絶対誤差パーセントが小さい値を示すこと に加えて,その誤差のランダム性と平均値ゼロの検討を行う。すなわち,たと え誤差が小さいとしても平均値がゼロでなくランダム性がないならば購買力平 価説が妥当すると言えないからである。そこで彼は,先ずその絶対的誤差のラ ンダム性についてSSシャピロとM..Bウイルクによる W統計重

L

用いて

(65) Shapiro, S S. and M B.. Wilk, An Analysis of Variance Test for Normality,

BiometriれωらV01 52, N o. 3 and 4, 1965

参照

関連したドキュメント

全国の 研究者情報 各大学の.

東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻. [email protected]

200 インチのハイビジョンシステムを備えたハ イビジョン映像シアターやイベントホール,会 議室など用途に合わせて様々に活用できる施設

概要/⑥主要穀物の生産量.

ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード

まず、本校のコンピュータの設置状況からお話します。本校は生徒がクラスにつき20人ほど ですが、クラス全員が

ダブルディグリー留学とは、関西学院大学国際学部(SIS)に在籍しながら、海外の大学に留学し、それぞれの大学で修得し

高村 ゆかり 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 寺島 紘士 笹川平和財団 海洋政策研究所長 西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科 准教授 三浦 大介 神奈川大学 法学部長.