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組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの生化学的諸性質-香川大学学術情報リポジトリ

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組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの生化学的諸性質

永瀬雅啓・鈴木文昭*・中村征夫**

SOMEPROPERTIESOFRECOMBINANTSHEEPANGIOTENSINOGEN

MasahiroNAGASE,FumiakiSuzuKl*andYukioNAKAMURA**

Weinvestlgatedbiochemicalpropertiesofrecombinantsheepang10tenSinogen・Accordingto theresultofestimationofthIee−dimensionalstruCtureOfsheepanglOtenSinogenus1ngOValbumin

amino acid sequence as atemplate,theputative N−glycosylation sitesmightbefar魚omthe

cleavage site”Amino acid−terminalsequence of recombinant sheep anglOtenSinogen wasin

accordance withthatofnative sheep ang10tenSinogen・Moreover,Amino acidcomposition of

recombinantsheepang10tenSinogenwasalsosimi1artothatofnative・・Humanrenincleavedonly

abondbetweenthelOthandthellth aminoacidresidues ofsheepangiotensinogen,Whichis

the same as that ofhuman anglOtenSinogen.The Km value触■reaCtion ofhuman renin with

r・eCOmbinantsheepangiotensinogenwas O.20/∠M.Puri鮎drecombinantsheepangiotensinogen

wasstableatthetemperatureupto50℃,butrapidlyinactivatedatthathigherthan55℃・・The

lectinstainshowedthatrecombinantSheepanglOtenSinogenwasaglycoprotein… AntiseraagalnSt

recombinantsheepanglOtenSinogenwashighlyspecificfbrsheepang10tenSinogen・

Key Words::renin,anglOtenSinogen,Sheep,reCOmbinant,mOdeling for three−demensional

StruCture,SugarChain,antibodies 緒 アンギオテンシノ−ゲンは血圧調節系であるレニンーアンギオテンシン系の初発および律速段階 に位置するプロホルモンである.アンギオテンシノーゲンは主として肝臓で合成され、血液中でレ ニンによって−N末端10残基が切り出されてアンギオテンシンⅠが生成する。レニンは活性中心にア スパラギン酸をもつアスバルテルプロテア−ゼであるが、中性に至適pHをもち,そして,アンギ オテンシノ1−ゲンを唯一・の基質と.する.そ・れらを解明できる反応モデルは,レニンの立体構造川が 明らかになった現在でも解明されていない.これまで,レニン反応の解析にはアンギオテンシノー ゲンのN末端を模した合成ペプチド基質が用いられてきたが、そのKmは天然基質であるアンギオ テンシノ1−ゲンよりも10倍以上高い化).従って,レニンの反応機構を解明するためには,アンギオ テンシノ1−ゲンの構造を明らかにすると共に,純粋なアンギオテンシノ・−ゲンの大量供給系を確立 する必要がある. ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンは古くからヒトレニンの優れた基質であること.が知られており, *岐阜大学遺伝子実験施設,**同農学部生物資源利用学科 〒501−1193 岐阜県岐阜市柳戸1−1

*MolecularGeneticsResearchCenter

… DepartmentofBiotechnology,FacultyofAgriculture,GiRIUniversity l−1Yanagido,Gi氏1501Tl193

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香川大学農学部学術報告 第50巻 第2号(1998) 90 ヒトレニンの測定に用いられてきた.skinnerら(3)は租精製アンギオテンシノーゲンを用いて.Do ら棚は精製アンギオテンシノ1−ゲンを用いて,ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンがヒトアンギオテン シノ・−ゲンよりもヒトレニンに対するKmが低いことを示した.このような特性によりヒツジアン ギオテンシノ1−ゲンはヒトレニンの構造と機能を解析する上で優れた基質であると考えられたため, そ・のcDNAをクローニングして合一・次構造を明らかにし(5),動物細胞系による大量発現系を確立し た(6).本研究では組み換え型ヒツジアンギオテンシノ−ゲンの生化学的諸性質を明らかにすること を目的とした.また,ヒツジアンギオテンシノーゲンcDNAから演揮されたアミノ酸配列から.立体 構造のモデリングを試みた.

実 験 方 法

実験材料 精製組み換え塑ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンは前報に記載された方瞳で調製した(7〉.天然型ヒ ツジアンギオテンシノ−ゲンはヒツジ血清からFeInleyら(8)の方法に従って調製した.組み換え型ヒ トレニン及び組み換え型ヒトアンギオテンシノーザンはそれぞれ筑波大学村上和雄教授から譲渡さ れた発見細胞から調製した(9)‖O一.ェレクトロブロツティングには,Bio−Rad杜のPVDF膜(Trans−

Blot membrane)を,メタノールはHPLC用を,水はMi11iQ水を使用した.レクチン染色には

Peroxidase−Lectin Kit−B(ホ−ネン社製)を用いた.Freundの完全アジ.ユバントはナかライテスク社 から,また,ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGはBio−Rad杜からそ・れぞれ購入した.その他特に記 載がない限り試薬はナカライテスク社製特級相当品を用いた. アンギオテンシノーゲンの反応性の測定 アンギオテンシノ−ゲンのレニンに対する反応性は,アンギオテンシノーゲン溶液100/パ,250

mMリン酸綬衝液(pH6.5)100FLl,組み換え型ヒトレニン50FLl(0.12unit,1時間で,1FLgのアン

ギオテンシンⅠを生成する酸素量を1unitと定義),100mM diisoprorylnuorophosphate−100mM

EDTA・2Na 25〝1を混合し,37℃,30分から1時間インキェベー卜した後,生成したアンギオテ

ンシンⅠをELISA法(11)で定量することによって算出した. 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの熟安定性 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲン精製標品(114Jノ〆ml)と等量の120mMリン酸ナトリ

ウムT20mM diisopropylfluorOphosphate−20mM EDTA(pH6.0)を混合し,そ・れぞれの温度でイン

キエペ・−卜した.水中で急激に冷却した後,組み換え型ヒトレニンに対する反応性を測定した. 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンのヒトレニンによる切断部位の決定 組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲン標品22.4/∠gを,100′∠Mリン酸横衝液(pH6.5),10

mM diisopr・OpylfluorOphosphate,10mM EDTA,100unitのレニン存在下で,37℃,2時間,イン

キエペー卜し,SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で脱アンギオテンシンⅠアンギオテンシ ノ・−ゲンをアンギオテンシンⅠと分離した.得られた脱アンギオテンシンⅠアンギオテンシノーゲ ンのN末端アミノ酸配列を決定することにより,ヒトレニンによる切断部位宜決定した。 エレクトロプロッティング 培養上浦あるいは精製標品を10%sDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した‖2).陰極側の ランニングバッフ ァ1一には100mMになるようにチオグリコ1−・ル酸ナトリウムを加えた‖3,.sDS−

(3)

PAGEによって泳動された蛋白質はそのゲ)t/からPVDF膜に10mMCAPS(pHll),10%メタノ1−Lル,

0.02%SDSを含む溶液中で,ゲル1cm2あたり2.5mAの電流で110分間,セミドライブロッテイング

装置で転写された。

N末端アミノ酸配列決定法

脱アンギオテンシンⅠアンギオテンシノ・−ゲンのN末端アミノ酸配列は,転写彼のPVDF膜を

MilliQ水で洗浄七た後,0.1%クマジ仙ブリリアントブルー,1%酢酸,40%メタノールを含む液

で5分間染色し,50%メタノ1−ルで脱色した後に染色された部分を,471A気相シー・ケンサー・と140

Bダラジエントポンプ(AppliedBiosystems)に供して決定した.

レクチン染色

SDS_PAGE後のゲ)t/を0一.9%塩化ナトリウム,0.05%Tween20を含む10mM Tris−HCI(pH7.4)

(以後緩衝液A)中で室温,10分間,計5回膜を洗浄した.膜を100倍希釈Peroxidase−Lectinを含む

緩衝液A中で,室温,1時間振温し,緩衝液Aで室湿,15分,計3回洗浄した.15mMリン酸緩衝

液(pH6.8)にそ・の膜を浸潰し,50FLg/mlのジアミノベンジジン,0・3%過酸化水素を含む15mM

リン酸緩衝液(pH6.8)中に浸すことによって染色した。

抗ヒツジアンギオテンシノーゲン抗体の作成およびその抗体を用いた二重免疫拡散法 組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲン精 製標品を等量のFTeundの完全アジエバントと混合し

たエマルジョン(エマルジョンA)を,2から2小5kgの雌のNew Zealand white rabbitに皮下僅射し

た.以後は不完全アジエバントに変えたエマルジョン(エマルジョンB)を,1週間おきに5回免

疫した.18週間後にエマルジョンAを1臥エマルジョンBを3臥1週間おきに免役した.得ら

れた抗血清は−20℃で保存した.得られた抗体の抗体価は次にようにして測定した.組み換え型ヒ

ツジアンギオテンシノ1−ゲン精製標品を96穴マイクロプレートに吸着させ−,そこに希釈した抗ヒツ

ジアンギオテンシノ一ゲン抗血清を吸着させた.さらに,そこに6万倍に希釈したペルオキシダ1一・

ゼ標識抗ウサギIgGを吸着させた.発色操作はSuzukiら‖‖の方法に従った・450nmにおける吸光度

が1を示すときの抗体の希釈率をその抗体の抗体価とした..

ニ重免疫拡散法はOuchterlonyら(11)の方法に従った.抗体は原液を用い,抗原の濃度を100FLg/ml

にして用いた.

結果および考察

予想されるヒツジアンギオテンシノーゲンの立体構造とアスパラギン型糖鎖付加部位 ヒツジアンギオテンシノ・−ゲン中のアスパラギン型糖鎖付加シグナ)L/(Asn−Xaa−Ser/Thr)‘15)は271

残基目から273残基日と338残基目から340残基目の2箇所に存在しており‘5’,切断点付近である10

残基目付近には存在しない.他方,ヒトアンギオテンシノ、−ゲンの切断点付近には14残基冒から16

残基目(16)に存在している(図1).Ohkuboらはヒトアンギオテンシノ1一ゲンの14残基目に付加し

ていると思われる糖鎖のために,ヒトアンギオテンシノーゲンは霊長類のレニンでしか切断されな

いのではないかと考察している㈹.以上のことから,14残基目の糖鎖には,アンギオテンシノ−ゲ

ンヘの付加をコントロ・−ルすることによってヒトレニンで切断される際の反応性をも制限している

可■能性が考え.られるが,ヒツジアンギオテンシノ1−サンに付加していると考えられる他の糖鎖(271

残基目と338残基目)がレニン反応に影響を及ぼしているかどうかを考えるために,ヒツジアンギ

オテンシノ−ゲンと50%の相同性を持つ卵白アルブミン(OVA,プロテインバンクコ・一ドは10

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香川大学農学部学術報告 第50巻 第2号(1998) 92 VA)(19)を鋳型としてヒツジアンギオテンシノーゲンの立体構造をSiliconGraphic社のIndigoを用いて モデリング(60から452残基目)をした(図2).その結果,ヒツジアンギオテンシノーゲンの2 つの糖鎖付加部位はレニンによる切断点とは離れており,レニン反応をはばむ可能性は少ないこと が示唆された.1残基目から59残基目までのプロテインモデリングができなかったのでヒトヤマウ スのアンギオテンシノーゲンの14残基目と23残基巨=こ付加している糖鎖が立体構造上どの位置にき ているかを言及することはできないが,それらがレニンの活性中心がアンギオテンシノーゲンの切 断点に近づく際に何らかの影響を与えている可能性は高いと考えられる. 271 338 ヒツジ 271 295 ヒト 295 377 マウス 271 295 ラット 図1塩基配列から推測されたアンギオテンシノーゲンのアスパラギン型糖鎖付加部位 ボックスはそれぞれの成熟型アンギオテンシノーゲン分子を示す.それぞれの 番号はヒツジ(5),ヒト‖6),マウス(17),ラット‖糾それぞれのアンギオテンシノーゲン のアスパラギン型糖鎖付加部位(Asn−Xaa−Ser/Thr)を示す.矢印はレニンによる 切断点(10残基目と11残基目の間)を示す. 図2 卵白アルブミンを鋳型としたヒツジアンギオテンシノーゲンの立体構造モデル ヒツジアンギオテンシノーゲンの60残基目から452残基までモデリングした. 平面上の矢印はノ9構造を,筒はαヘリックス構造を示す.1:ヒツジアンギオ テンシノーゲンのN末端から60番目の残基.2:271残基目のアスパラギン. 338残基目のアスパラギン.

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組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンのN末端アミノ酸配列およびアミノ酸組成 決定した組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−・ゲンのN末端27アミノ酸残基の配列を囲3に示す・

これはcDNA(5)から演揮した配列と完全に−・致した.また,天然型ヒツジアンギオテンシノーゲン

のN末端配列(る)とも,決定されなかった14残基目をのぞいて15残基目まで−・致した・したがって,

組み換え塾ヒツジアンギオテンシノ1−ゲンは正常にプロセシングされて分泌されていることが明ら

かとなった.そ七て,アミノ酸組成を調べたところ,組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンは

天然型アンギオテンシノーゲンとほとんど変わらなかった(表1).以上より,ここで得られた組み

換え型ヒツジアンギオテンシノーザンはタンパク部分に関して−は天然型と同様であると結論づけた・ 1 5

10

15

組み換え型 D−R−V−Y+H−P−F−H−しL−V−H−S−K−S−‥…

天然型

D−R−∨−Y−トH−P−F−H−L−L−V−H−S−X−S−”...

cDNAから

演鐸 D−R−V−Y−[−H−P−F−H−L−L−V−H−S−K−S−…‥ 図3 ヒツジアンギオテンシノーゲンのN末端アミノ酸配列 アミノ酸は1文字表記で示す.Xほ報告(8)では決定 されなかったこと 表1組み換え型および天然型ヒツジアンギオテンシノーゲン のアミノ酸組成 cDNAから演繹した 報告値一8 アミノ酸組成

蝕ma fbTmb

アミノ酸 アスパラギン酸 アスパラギン グルタミン酸 グルタミン トレオニン セリン プロリン グリシン アラニン バリン メチオニン イソロイシン ロイシン チロシン フェニルアラニン リジン ヒスチジン アルギニン システイン トリプトファン 7 6 2 9 0 3 2 0 8 1 7 9 3 7 1 7 4 9 2 5 7 2 1 1 1 1 1 2 1 3 4 3 3 3 3 〉3台..0 〉33小台 7 . . 乙 0 4 3 4 3 3 3 3 、ゝノ 8 7634382 . . 乙+∩肌仇1Lト7 4 3 4 3 3 3 2 ヽノ 合計 452

cDNA配列から予測したアミノ酸数ほシグナルペプチド24残基を除い

たものである。ND::検出されず,−:報告されていない。

(6)

香川大学農学部学術報告 第50巻 第2号(1998) 94 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンのとトレニンによる切断部位

ヒツジ脱アンギオテンシンⅠアンギオテンシノーザンのN末端アミノ酸配列を図4に示す.これ

はヒツジアンギオテンシノー・ゲンcDNAから演繹された11残基目から26残基目までの配列と、・−・致し

ており,組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンがヒトレニンによって−10残基目のLeuと11残基

目のLeuの間で切断されたことを示していた. 同−・種のレニンーアンギオテンシノーザンの組み合わせでのアンギオテンシノ−ゲンの切断部位

はヒト(20),ラット(21)で求められており,両者ともアンギオテンシノ・−ゲンの10残基日と11残基目の

間である.しかしヒトのそれはLeu−Valであり,ラットのそ・れはLeu−Leuであった.他方,起源の異

なるレニンーアンギオテンシノーゲンの組み合わせでの切断部位はいまだ報告がない.本研究で

明らかにされたヒツジアンギオテニンシノーゲンのN末端には10残基日から12残基目までに

Leu_Leu_Valの配列があることから,ヒトレニンによって切廟される箇所がLeu−Leuの間なのか,

Leu−Valの間なのかという疑問が生じた.本研究から組み換え型ヒツジアンギオテンシノーザンの

組み換え型ヒトレニンによる切断部位は10残基日と11残基目の間であることが明らかにされた.こ

のことはレニンはLeu蠣Leu(ヒトレニンの場合はLeu−Val)のみを特異的に認識して−いるのではなく

そ・の前後数残基以上の配列を認識し,必ず10残基目と11残基日の周を切断するようになっているこ

とを示唆している。 1

101111

、卜

ヒツジ D−R−V−Y−[−H−P−F−H−L:L−V−H−SpK−S−…・・ †

脱アンギオテンシンl

ァンギオテンシノーゲン

ー坊断 L−V−H−S−K−S−

ヒトレニン

図4 ヒツジアンギオテンシノーゲンのとトレニンによる切断位置 ヒト,ラット,ヒツジ,および脱アンギオテンシンⅠアン ギオテンシノ・−ゲンのN末端アミノ酸配列を示す.アミノ酸 は1文字表記で示す.小さい矢印はそれぞれのアンギオテン シノーゲンのレニンによる切断点を示す. 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの組み換え型ヒトレニンに対するKm 組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・一ゲンの組み換え型ヒトレニンに対するKm値は0.20/ノMで あり(図5),報告値とほとんど変わらなかった.従って,組み換え型ヒツジアンギオテンシノ一 ゲンは天然型と同様のヒトレニンに対する親和性を持っていることが明らかとなった. 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの熟安定性 組み換え型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンの反応性は53℃あたりから急激に下がり始め,65℃で は完全にそ・の反応性は消失した(囲6)。反応性が50%消失する温度は56.4℃と算出された.25% 反応性消失から75%反応消失までの温度幅は2.3℃であった.

(7)

0 0 0 凸0 6 4 ︵芭悪憮顎晋 35 45 55 65 温度(Oc) 固6 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの熟安定性 組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲンの糖鎖染色

ァンギオテンシノ・−ゲンは蛋白質であることが知られている.組み換え型ヒツジアンギオテンシ

ノ1−ゲンにほどのような糖鎖が付加しているかを調べた.表2にまとめたように,インゲンマメレ

クチン,コンカナバリンAでよく染色され,コムギレクチン,ピ1−ナッツレクチンでは弱く染色さ

れた(表2).

(8)

96 香川大学農学部学術報告 第50巻 第2号(1998) 表2 組み換え型ヒツジアンギオテンシ ノーゲンのレクチン染色 インゲンマメレクチン コンカナバリンA ヒマレクチン コムギレクチン レンズマメレクチン ピーナッツレクチン 結合の程度の4段階で示した。 ウサギ抗ヒツジアンギオテンシノーゲン抗体の作成とその交叉性 作成したウサギ抗ヒツジアンギオテンシノーゲン抗体の抗体価は200,000であった.標品とその 抗体との交叉性はオクタロニーゲルで調べた.組み換え型ヒツジアンギオテンシノーゲン標品とそ の抗体で,沈降線が見らjl,それほヒツジ血清中のアンギオテンシノーゲンと完全に融合した(図 7).同じセリンプロテアーゼインヒビタースーパーファミリーに属する卵白アルブミンは,この 抗体と交叉しなかった.また,ラット血清,組み換え型ヒトアンギオテンシノーゲン,ブタ血清と もこの抗体は交叉しなかった(図8).このように,得られた抗体は極めて特異性が高いことから, ヒツジアンギオテンシノーゲン直接ELISAに応用できると期待される. 図7 組み換え型と天然型ヒツジアンギオ テンシノーゲンの交叉性 寒天ゲルの中心のウェルに抗組み 換え塑ヒツジアンギオテンシノwゲ ン抗血清を,aには組み換え型ヒツ ジアンギオテンシノ…ゲンを,bに は天然型ヒツジアンギオテンシノー ゲンをアプライした. 図8 ヒツジおよび他種アンギオテンシノ ーゲンの交叉性 寒天ゲルの中心のウェルに抗組み 換え型ヒツジアンギオテンシノーゲ ン抗血清を, aには組み換え型ヒツ ジアンギオテンシノーゲンを,bに はラット血清を,Cには組み換え型 ヒトアンギオテンシノーゲンを

,d

にはブタ血清をアプライした. ここで用いた抗体はポリクローナル抗体であり,ヒツジアンギオテンシノーゲンのあらゆるハプ テンに対応した抗原認識部位を持つ抗体の混合物であると考えられる.その抗体にヒト,ラット,

(9)

およびブタアンギオテンシノーゲンが交叉しないことは,ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンが持つ全 てのパプテン構造をヒト,ラット,およびブタアンギオテンシノ1−−ゲンが持っていないことが示唆 される.天然型ラットアンギオテンシノーザンのポリクローナル抗体も,ヒト,サル,イヌ,ブタ, ウサギ,及びマウスアンギオテンシノーザンとは交叉しなかった(Z2).これらのことからアンギオテ ンシノ1−ゲンの部分的構造は各種によっでかなり異なっていることが示唆された. 要 約 ヒツジアンギオテンシノーゲンの生化学的諸性質を調べた..ヒツジアンギオテンシノ・−ゲンcDNAから演繹さ れたアミノ酸配列から,卵白アルブミンを鋳型として立体構造を推定したところ,ヒツジアンギオテンシノ・− ゲンに付加していると考えられる271残基目と338残基日の糖鎖は切断点から離れて■いると推測された.組み換 え型ヒツジアンギオテンシノ・−ザンは天然型とN末端アミノ酸配列が−・致し,アミノ酸組成も似ていた一.ヒト レニンによる組み換え塑ヒツジアンギオテンシノ1−ゲンの切断点は,ヒトアンギオテンシノ・−ゲン同様,10残 基日と11残基目の間であった.ヒトレニンに対す−るKm億は0..20/JMであり,天然型のそれと似ていた..熱安定 性に関しては,ヒトレニン8こ対する反応性が50%消失する温度は56..4℃であった..天然型同様,組み換え型ヒ ツジアンギオテンシノ−ゲンも糖蛋白質であり,インゲンマメレクチン,コンカナバリンAで特に染色された.. 組み換え型ヒツジアンギオテンシノ−ザンに対■する抗体は他種アンギオテンシノ・−ゲンと交叉せず,極めて特 異性が高かったい 謝 辞 本研究を遂行す−るにあたり必要な実験材料を提供して頂だき,また実験操作法を御教授下さいま した筑波大学村上和雄教授,中山和久助教授,探永昭書助教授に心より感謝致します.抗組み換え 型ヒツジアンギオテンシノ・−ゲン抗体の作成に際して,連切なるご指導を賜りました岐阜大学農学 部金丸義敬教授に心より感謝いたします。

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参照

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