- 61 - 【製造業の設備投資の動向】 6月に発表された「月例経済報告」では、生産の持ち直しにより、景気底打ちの基調 判断がなされる一方、設備投資は、「大幅に減少」と6カ月ぶりに下方修正され、8月時 点においても基調判断は据え置かれており、設備投資の状況は現在も厳しい状態が続 いている。また、企業活動の弱さは依然として懸念されており、企業の設備投資に関連 が深い鉱工業生産指数は、21年4~6月期は第14循環のピークと比較して 71.5%、2 1年1~3月期の設備投資(製造業)は 91.0%と低い水準にある(第Ⅱ-2-12図)。 第Ⅱ-2-12図 鉱工業生産指数及び 設備投資額指数(製造業、後方4期移動平均)の推移(17年=100) (注)1.本稿における景気循環は内閣府発表の景気基準日付に基づき以下のとおりとしている。 なお、「第14循環」とあるのは暫定である。 第11循環:昭和62年1~3月期から平成5年10~12月期まで 第12循環:平成6年1~3月期から平成11年1~3月期まで 第13循環:平成11年4~6月期から平成14年1~3月期まで 第14循環:平成14年4~6月期以降 また、本図の網掛け部分は景気後退期を示している(以下の図も同様)。 2.設備投資額指数は、17年=100とする指数に変換(試算)。 3.鉱工業指数を使用している指標は、平成12年以前の数値については、接続指数を用いている(以 下同じ)。 資料:「法人企業統計調査」(財務省)、「鉱工業指数」 設備投資の状況は、景気変動に大きな影響を持っているため、本稿では、次のような アプローチで、設備投資の動向を分析する。まず(1)で、設備過剰感及び設備投資計 画の推移により現在の設備投資の状況をみる。次に(2)、(3)で、稼働率及び企業の各 財務指標と設備投資額の相関関係を確認する。(4)で設備投資の先行指標である機 械受注等の状況をみて、今後の設備投資の状況を推察する。 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 鉱工業生産指数 設備投資額指数 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環
- 62 - (1) 設備投資の状況 ① 設備過剰感の推移 ~第12循環以降、景気拡張局面においても設備投資の過剰感は解消されず~ 設備投資の動きに先行性がみられる設備の過剰感について、日銀短観でその推 移をみてみる。第11循環の景気後退局面以降、第12~13循環の景気拡張局面に おいても設備投資の過剰感は解消されなかった。第14循環の景気拡張局面に入る と、徐々に過剰感は解消され、17年から19年までの3年間はゼロ付近で推移してき たが、不足感が顕著になるところまでは至らなかった。第14循環の景気後退局面に 入ると、過剰感は再び急激に高まり、21年4~6月期以降、製造業を中心に過剰感 は抑制される傾向にあるが、依然として高い水準にある(第Ⅱ-2-13図)。 第Ⅱ-2-13図 生産・営業用設備DIの推移 (注)1.21年7~9月期は予測値。 2.企業区分については、法人企業統計調査の場合、当該調査の区分に従い、資本金10億円以上の 階層の企業を大企業、資本金1億円以上10億円未満の階層の企業を中堅企業、資本金1千万円以 上1億円未満の階層の企業を中小企業とする。「短観」の場合は、資本金10億円以上の階層の企業 を大企業、資本金1億円以上10億円未満の階層の企業を中堅企業、資本金2千万円以上1億円未 満の階層の企業を中小企業とする(以下同じ)。 資料:「全国企業短期経済観測調査」(日本銀行) ② 設備投資計画の動向 ~21年度の設備投資年度計画は、大企業で下方修正幅が拡大するなど 低下傾向が顕著~ 日銀短観より、設備投資額の年度計画(実額)の推移を製造業・非製造業別、企業 規模別にみてみる。 製造業についてみると、大企業では16年から19年まで堅調に上昇傾向にあった が、20年調査以降、低下がみられるようになり、21年3月調査では18年の水準を下 └ 5 └ 6 └ 7 └ 8 └ 9 └ 0 └ 1 └ 2 └ 3 └ └ └ └ └ └ └ └ └ └ 0 └ 1 └ 2 └ 3 └ 4 └ 5 └ 6 └ 7 └ 8 └ 9 └ 0 └ 1 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 50 非製造業全規模 製造業中小 製造業中堅 製造業大企業 第14循環 第13循環 第9循環 第10循環 第11循環 第12循環 設備が過剰 設備が不足 └ 5 5 ┘ └ 5 6 ┘ └ 5 7 ┘ └ 5 8 ┘ └ 5 9 ┘ └ 6 0 ┘ └ 6 1 ┘ └ 6 2 ┘ └ 6 3 ┘ └ 元 ┘ └ 2 ┘ └ 3 ┘ └ 4 ┘ └ 5 ┘ └ 6 ┘ └ 7 ┘ └ 8 ┘ └ 9 ┘ └ 1 0 ┘ └ 1 1 ┘ └ 1 2 ┘ └ 1 3 ┘ └ 1 4 ┘ └ 1 5 ┘ └ 1 6 ┘ └ 1 7 ┘ └ 1 8 ┘ └ 1 9 ┘ └ 2 0 ┘ └ 2 1
- 63 - 回り、21年6月調査では6月調査として最低の水準となった。中堅・中小企業におい ても、21年6月調査結果は、3月調査よりも若干上昇したものの、16年調査以降最低 の水準であった。「設備投資額の年度計画」は、3月時点では控えめの設備投資を計 画し、6月に上方修正するという傾向がこれまでみられており、製造業・大企業の21 年6月調査のような下方修正は、今までの傾向からみると特異な状況といえるであろう。 この下方修正は、非製造業・大企業でもみられており、大企業を中心に、今後も設備 投資の抑制が加速することが予測される(第Ⅱ-2-14図)。 第Ⅱ-2-14図 年度計画 設備投資額(除く土地投資額) <製造業 大企業> <製造業 中堅・中小企業> <非製造業 大企業> <非製造業 中堅・中小企業> (注)大企業:資本金 10 億円以上、中堅・中小企業:同 1 千万円以上 10 億円未満 資料:「全国企業短期経済観測調査」(日本銀行) 本稿では、製造業において、設備過剰感の高まり及び設備投資年度計画の低下 が顕著であるため、製造業に絞って、設備投資の動向をみていく。 17 18 19 20 21 22 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績 (兆円) 16年 17年 18年 19年 20年 21年 6 7 8 9 10 11 12 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績 (兆円) 16年 17年 18年 19年 20年 21年 8 9 10 11 12 13 14 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績 (兆円) 16年 17年 18年 19年 20年 21年 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績 (兆円) 16年 17年 18年 19年 20年 21年
- 64 - ▲50 ▲40 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 (%) 設備投資額(前年同期比)(右目盛) 稼働率指数(前年同期比)(右目盛) 稼働率指数 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 (2) 設備投資と稼働率指数の関係 ~設備投資は、稼働率の生産要因と相関が強いが、 その関係は循環を経過するごとに弱くなっている~ 生産の増加が稼働率を上昇させ、稼働率はある水準に達すると増産のための設備投 資が誘発されると考えられるため、稼働率指数の推移をみてみる。21年4~6月期は前 期比 12.6%と5期ぶりに上昇したものの、指数水準では 71.4 と依然として非常に低い 水準である。 また、設備投資が減少に転じる稼働率の分岐点を循環別に確認すると、第11循環で は稼働率指数が 102 レベル付近であったが、第12~13循環においては 90 レベルと 設備投資抑制の傾向は遅行していた。第14循環の後退局面に入ってからは、稼働率 指数が 105 レベルと早い段階で設備投資の抑制傾向がみられている(第Ⅱ-2-15 図)。 第Ⅱ-2-15図 製造業の設備投資(後方4期移動平均)及び 製造工業稼働率指数(17年=100、前年同期比)の推移 資料:「法人企業統計調査」(財務省)、「鉱工業指数」 次に、設備投資と稼働率の関係について、循環別に時差相関をみてみる。まず、第1 1循環は、全期間をとおして、第12~14循環と比較すると相関が強く、その中でも、稼 働率の動きが設備投資の動きを1期遅行する場合が、最も相関係数が高かった。第12 ~13循環では、1期先行の場合の相関係数が最も高くなっていることから、設備投資に 対する姿勢がやや慎重になっていると考えられる。更に、第14循環では一層相関が弱 くなり、最も高かった相関係数は、稼働率が設備投資に4期遅行した場合の 0.587 と低 い水準であった。本来稼働率は、設備投資に先行すると考えられるが、第14循環にお いて、稼働率が先行する場合のラグをみると、すべて相関係数はマイナスであるため、
- 65 - 設備投資と稼働率の関係が希薄になっている傾向がうかがえる(第Ⅱ-2-16図)。 第Ⅱ-2-16図 製造業の設備投資額に対する稼働率指数の時差相関 ←設備投資先行→←稼働率先行→ (注)網掛けは相関係数が最も高いラグ 資料:「法人企業統計」(財務省)、「鉱工業指数」 稼働率は生産量を生産能力で除したものであるため、便宜、製造工業について、生 産能力指数と生産指数を用いて要因分解し推移をみると、第12~13循環の景気拡張 局面において、生産は上昇しているにも関わらず、生産能力要因が拡大している傾向 はほとんどみられなかった。第14循環に入り、ようやく17年10~12月期以降から生産 能力要因の上昇傾向がみられ始めてきたが、今般の経済危機の影響を受け、生産要 因は20年10~12月期以降急激に低下し、生産能力要因は21年4~6月期に再びマ イナスに転じた。20年10~12月期以降の生産要因の下落幅は、過去の景気後退局面 においてもみられない程大きいため、生産能力の過剰状態は今後も強くなることが推測 される(第Ⅱ-2-17図)。 第Ⅱ-2-17図 生産/生産能力の推移(前年同期比、伸び率寄与度) (注)R=A/B より ΔR≒ΔA/B - ΔB×A/B2 [生産要因] [生産能力要因] └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 (%) 生産能力要因(逆サイクル) 生産要因 生産/生産能力 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 第11循環 第12~13循環 第14循環 4期先行 ▲ 0.286 0.199 ▲ 0.116 3期先行 0.034 0.532 ▲ 0.129 2期先行 0.391 0.722 ▲ 0.119 1期先行 0.702 0 .7 2 7 ▲ 0.144 0.834 0.612 ▲ 0.093 1期遅行 0 .8 9 6 0.459 ▲ 0.130 2期遅行 0.882 0.204 0.062 3期遅行 0.853 ▲ 0.047 0.443 4期遅行 0.835 ▲ 0.182 0 .5 8 7 循環 稼働率 先行 一致 稼働率 遅行 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 +4 +3 +2 +1 0 ▲ 1 ▲ 2 ▲ 3 ▲ 4 第11循環 第12,13循環 第14循環
- 66 - A:生産指数 B:生産能力指数 資料:「鉱工業指数」 設備投資に対する生産要因及び生産能力要因の関係について時差相関でみてみ る。まず、生産要因との時差相関をみると、第11循環では、全期間を通して、相関係数 が高かった。これは、生産要因が上昇及び低下している期間が長く、設備投資の動きも それに連動していたことから、時差が検出されなかったためである。その中でも最も相関 係数が高かったラグは、生産要因が2期先行している場合であった。第12~13循環で は第11循環と比較すると、時差相関の関係が明確に表れ、生産要因が3期先行する場 合が最も高い相関係数になっている。第14循環では、生産が設備投資を誘発するよう な動きはみられず、逆に、生産要因が設備投資から4期遅行した場合の相関係数が最 も高いことから、実際の生産の動きよりも機敏に設備投資を調整していることがうかがえ る(第Ⅱ-2-18図)。 第Ⅱ-2-18図 製造業の設備投資額に対する生産要因の時差相関 ←設備投資先行→←生産要因先行→ 資料:「法人企業統計」(財務省)、「鉱工業指数」 次に、設備投資と生産能力要因の時差相関についてみてみる。第11循環では最も 高い相関係数のラグが、生産能力要因が4期遅行している場合であるため、1年後を見 据えるような大規模な設備投資を行うことにより、生産能力を拡大していた様子がうかが える。一方、第12~13循環は、第11循環と比較すると相関関係も弱くなり、時差もな かったことから、短期間で効果の出るような小規模な設備投資が行われていたと推測さ れる。第14循環では、さらに相関が弱まり、生産能力を拡大するほどの設備投資が行わ れていなかったと推測される(第Ⅱ-2-19図)。 第11循環 第12~13循環 第14循環 4期先行 0.590 0.772 0.191 3期先行 0.790 0 .9 0 8 ▲ 0.089 2期先行 0 .8 8 4 0.859 ▲ 0.389 1期先行 0.872 0.669 ▲ 0.198 0.876 0.303 0.159 1期遅行 0.842 ▲ 0.079 0.349 2期遅行 0.769 ▲ 0.397 0.583 3期遅行 0.665 ▲ 0.595 0.562 4期遅行 0.558 ▲ 0.608 0 .6 4 5 循環 生産要因 先行 一致 生産要因 遅行 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 第11循環 第12,13循環 第14循環
- 67 - 第Ⅱ-2-19図 製造業の設備投資額に対する生産能力要因の時差相関 ←設備投資先行→←生産能力要因先行→ 資料:「法人企業統計」(財務省)、「鉱工業指数」 (3) 設備投資額と財務状況の関係 ~財務状況と設備投資の関係を確認すると収益性との相関が強い~ バブル景気崩壊後のいわゆる失われた10年において、企業は、設備・雇用・債務の 3つの過剰を解消させるため、収益構造を変化させ、財務体質を改善したと考えられて いる。そこで、財務状況と設備投資の関係を確認するため、法人企業統計調査より、R OA(総資本経常利益率)を総資本回転率要因及び売上高経常利益率要因に要因分 解して推移をみてみる。総資本回転率は、その回転率が高いほど投下資本が効率的に 使用されていることを意味するため「効率性」を示し、売上高経常利益率は、営業活動 による収益力を意味するため「収益性」を示す指標である。また、効率性と収益性の推 移と合わせて、企業の財務上の「安全性」を測る指標である自己資本比率の動きも確認 する。 自己資本比率(前年同期比)の推移をみると、大企業においては19年7~9月期に マイナスに転じるまで上昇傾向が続いており、中堅・中小企業においても跛行している もののほぼ全期間を通じてプラス基調で推移しているため、企業は規模、景気の拡張・ 後退局面に関わらず、第11循環以降、自己資本を蓄積し、安全性を強化していたこと がうかがえる。 自己資本比率と設備投資の推移を比較すると、大企業において、17年7~9月期以 降、自己資本比率と設備投資はともに景気後退局面より先行して低下傾向をたどって いるが、それ以前には連動している動きがみらなかった。中堅・中小企業でも、一部連 動している期間があるが、明確な関連性はみられないため、安全性の指標である自己 資本比率と設備投資との関係は希薄であると考えられる。 次にROAの変動要因をみると、大企業、中堅・中小企業ともに、収益性の指標である 第11循環 第12~13循環 第14循環 4期先行 ▲ 0.675 ▲ 0.381 ▲ 0.347 3期先行 ▲ 0.468 ▲ 0.127 ▲ 0.346 2期先行 ▲ 0.232 0.052 ▲ 0.302 1期先行 ▲ 0.016 0.213 ▲ 0.229 0.328 0 .3 7 6 ▲ 0.118 1期遅行 0.535 0.326 ▲ 0.102 2期遅行 0.683 0.248 ▲ 0.052 3期遅行 0.795 0.128 0.037 4期遅行 0 .8 4 2 ▲ 0.036 0 .3 3 5 一致 生産能力 要因遅行 循環 生産能力 要因先行 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4 第11循環 第12,13循環 第14循環
- 68 - ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 6 8 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘21 ( %) ( %) 設備投資(前年同期比) 自己資本比率(安全性)(前年同期比)(右目盛) 売上高経常利益率要因の寄与が大部分を占めており、設備投資と時差をもって連動し ている様子がうかがえる(第Ⅱ-2-20図)。そのため、収益性と設備投資額の時差相 関を企業規模別にみてみる。大企業においては、収益性が設備投資に対して、第11循 環及び第14循環は4期先行するラグが、第12~13循環においては3期先行するラグ の相関係数が最も高く、収益の状況が約1年後の設備投資に影響を与えることが確認さ れた。中堅・中小企業においては、第11循環では、収益性が2期先行するラグが最も相 関係数が高かったが、第12~13循環及び第14循環では、「時差なし」の場合の相関 係数が最も高かったため、第12循環以降、収益の変動に応じて機敏に設備投資を調 整している様子がうかがえる(第Ⅱ-2-21図)。 第Ⅱ-2-20図 設備投資額及び自己資本比率の推移及び ROA の要因分解 (後方4期移動平均、前年同期比) <製造業 大企業> ▲ 1.2 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘21 (%) 総資本回転率要因(効率性) 売上高経常利益率要因(収益性) ROA 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環
- 69 - ▲ 21 ▲ 18 ▲ 15 ▲ 12 ▲ 9 ▲ 6 ▲ 3 0 3 6 9 12 ▲ 70 ▲ 60 ▲ 50 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘21 ( %) ( %) 設備投資(前年同期比) 自己資本比率(前年同期比)(右目盛) <製造業 中堅・中小企業> (注)自己資本比率 自己資本 総資本 ROA(総資本経常利益率) 経常利益 総資本 売上高 総資本 経常利益 売上高 ΔROA= ∆ 売上高総資本 経常利益売上高 売上高総資本 ∆ 経常利益売上高 総資本回転率要因 売上高経常利益率要因 (=効率性要因) (=収益性要因) 資料:「法人企業統計調査」(財務省) 第Ⅱ-2-21図 製造業の設備投資額に対する収益性の時差相関 <大企業> <中堅・中小企業> ←設備投資先行→←収益性先行→ ←設備投資先行→←収益性先行→ 資料:「法人企業統計調査」(財務省) ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘21 (%) 総資本回転率要因(効率性) 売上高経常利益率要因(収益性) ROA 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 +4 +3 +2 +1 0 ▲ 1 ▲ 2 ▲ 3 ▲ 4 第11循環 第12~13循環 第14循環 ▲ 1.0 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 +4 +3 +2 +1 0 ▲ 1 ▲ 2 ▲ 3 ▲ 4 第11循環 第12~13循環 第14循環
- 70 - 0 20 40 60 80 100 120 140 安全性 収益性 効率性 第11循環 第12,13循環 第14循環 0 20 40 60 80 100 120 140 安全性 収益性 効率性 企業規模別・循環別に安全性、効率性、収益性の推移を比較すると、安全性につい ては、大企業、中堅・中小企業とも、循環を経過するごとに改善していることから、自己 資本を蓄積してきたことが第Ⅱ-2-22図からもうかがえる。効率性をみると、大企業に おいては、ほぼ全期間を通して変化はみられないが、中堅・中小企業では、第11循環 より、第12~14循環では低下していることから、安全性と比較すると効率性の改善は遅 れている事が推測される。収益性をみると、大企業、中堅・中小企業とも、第12~13循 環では収益性が悪化したが、第14循環において、景気拡張局面が長期に継続したこと により、経常利益が改善に向かっていった。しかし、19年10~12月期以降、経常利益 の低下が顕著であり、大企業においては、19年7~9月期に自己資本比率が前年同期 比でマイナスに転じていることから、今後は、安全性、収益性とも低迷する可能性が考え られる(第Ⅱ-2-22図)。 第Ⅱ-2-22図 循環別財務指標によるレーダーチャート (全期間(62年1~3月期~21年1~3月期)=100とした指数) <製造業 大企業> <製造業 中堅・中小企業> 資料:「法人企業統計調査」(財務省) 最近の企業の資本確保の状況を確認するために、短観から「資金繰り判断」及び「企 業から見た金融機関の貸出態度判断」、主要銀行貸出動向アンケート調査から「資金 需要判断」の動向をみてみる。資金繰りの推移をみると、直近の21年4~6月期では、 やや持ち直しているものの、すべての規模で9~10年の金融危機に迫る勢いで悪化し ている。その中でも中小企業は、第11循環の景気後退局面以降、景気拡張局面にお いても一貫して低い水準にあり、資金繰りが悪化する場合は貸出態度よりも先行し、改 善する場合は遅行している。第14循環の景気後退局面においても同様の傾向がみら れることから、最近の中小企業についての資金繰りの悪化は、金融機関の貸出態度の
- 71 - └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 ▲40 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 50 60 (%ポイント) 資金繰り判断 貸出判断 資金需要判断 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 50 (%ポイント) 資金繰り判断 貸出判断 資金需要判断 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 └6 2┘└6 3┘└元 ┘└2 ┘└3 ┘└4 ┘└5 ┘└6 ┘└7 ┘└8 ┘└9 ┘└1 0┘└1 1┘└1 2┘└1 3┘└1 4┘└1 5┘└1 6┘└1 7┘└1 8┘└1 9┘└2 0┘└21 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 (%ポイント) 資金繰り判断 貸出判断 資金需要判断 第11循環 第12循環 第13循環 第14循環 硬化よりも、景気後退の影響を早期に受けていると考えられる。更に、貸出判断は、20 年10~12月期以降、急速に「厳しい」に転じてきていることから、企業における資金調 達環境はますます悪化し、今後も設備投資の抑制傾向に影響を与える可能性が高いと 考えられる。また、金融機関からの回答による資金需要についての判断の推移をみると、 すべての規模において、20年10~12月期から資金需要が急増している。この動きは、 当該時期の資金繰りの悪化の動きと連動しているため、資金需要の増加の要因は、収 益の増加や設備投資の拡大というよりも、資金繰りの悪化によるものと考えられる(第Ⅱ -2-23図)。 第Ⅱ-2-23図 資金繰り判断、貸出態度判断、資金需要判断DIの推移 <製造業 大企業> <製造業 中堅企業> <製造業 中小企業> 資金繰り判断 「楽である」 貸出判断 「緩い」 資金需要判断 「増加」 資金繰り判断 「厳しい」 貸出判断 「厳しい」 資金需要判断 「減少」
- 72 - (注)1.資金需要判断DI=(「増加」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや増加」とした回答金融機関構 成比)-(「減少」とした回答金融機関構成比+0.5×「やや減少」とした回答金融機関構成比) 2.資金需要判断は、平成12年4月より調査が開始された。 資料:「全国企業短期経済観測調査」、「主要銀行貸出動向アンケート調査」(日本銀行) (4) 今後の設備投資の動向について ① 業種別機械受注の動向 ~機械受注はすべての業種低下傾向であり、低下幅も拡大~ 設備投資過剰感が急速に高まっていることを背景に、機械受注の動向をみてみる。 20年年間回顧で分析したように、第14循環における設備投資額に対する機械受 注の時差相関は、製造業、非製造業ともに、3期先行の相関係数が最も高いという結 果が得られているため、直近の状況について、製造業(加工型業種、素材型業種)、 非製造業のそれぞれ業種別に推移を確認する。21年4~6月期では、すべての業種 で低下しており、低下幅の縮小もほとんどみられないことから、設備投資の見通しも少 なくとも今年度中は厳しいことが推測される(第Ⅱ-2-24図)。 第Ⅱ-2-24図 業種別機械受注の推移(前年同期比、伸び率寄与度) <製造業 加工型業種> <製造業 素材型業種> Ⅱ 63 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 元 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 2 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 3 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 4 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 5 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 6 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 7 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 8 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 9 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 10 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 11 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 12 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 13 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 ▲ 45 ▲ 40 ▲ 35 ▲ 30 ▲ 25 ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25 (%) 一般機械 電気機械 自動車工業 造船業 その他輸送機械 精密機械 系列16 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 Ⅱ 63 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 元 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 2 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 3 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 4 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 5 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 6 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 7 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 8 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 9 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 10 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 11 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 12 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 13 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 (%) 繊維工業 紙・パルプ工業 化学工業 窯業土石 鉄鋼業 非鉄金属 系列16
- 73 - <非製造業(除、電力業、その他)> 資料:「機械受注統計調査」(内閣府) ② 国内向け資本財出荷の動向 ~資本財出荷の低下幅は縮小したが、依然として低水準~ 製造業の状況について国内向け資本財出荷をみると、21年4~6月期においては、 前期比▲13.2%と低下幅はやや縮小したものの、6期連続の低下であり、依然として 低い水準が継続している。業種別に前期比みると、輸送用においては、21年1~3月 期の▲10.5%が4~6月期に 0.6%と5期ぶりにプラスに転じ、下げ止まりの様子がみ られるが、21年4~6月期において上昇した業種が、輸送用及び通信・放送用のみと 少なく、前期比もそれぞれ小幅なことから、今後の設備投資の状況も厳しいことが予 測される(第Ⅱ-2-25図)。 第Ⅱ-2-25図 鉱工業からの供給(資本財供給)の推移(前期比、伸び率寄与度) 資料:「鉱工業総供給表」 (5) まとめ 設備投資は、第11循環の景気後退局面以降、一貫して過剰感が高い状態であった が、これは、バブル崩壊以後、企業が過剰な設備を抱え、設備投資への慎重さが増し ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25 Ⅱ 63 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 元 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 2 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 3 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 4 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 5 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 6 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 7 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 8 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 9 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 10 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 11 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 12 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 13 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 21 (%) 農林漁業 鉱業 建設業 運輸業 通信業 金融・保険業 系列16 Ⅱ 13 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 15 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 16 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 17 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 18 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 19 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 20 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ 21 Ⅱ 年 ▲ 25 ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 (%) 製造設備用 電力用 通信・放送用 農業用 建設用 輸送用 事務用 その他 資本財
- 74 - たことが推測される。 設備投資に対して影響を与える要因を循環別・企業規模別に検証すると、大企業、 中堅・中小企業とも、生産要因との相関関係が強いことが確認されたが、循環を経過す るごとにその影響力は低下している。 更に、財務状況と設備投資の関係を確認するために、自己資本比率(安全性)、総資 本回転率(効率性)及び売上高経常利益率(収益性)と設備投資の推移をみると、収益 性との相関関係が強く、第14循環において、大企業では、収益性の動きが設備投資の 動きを「4期先行」する場合、中堅・中小企業では「時差なし」という相関係数が最も高い という結果が得られた。これにより、大企業の設備投資は、21年4~6月期においては 顕著には低下していないが、19年10~12月期以降の収益性が急激に悪化しているた め、今後の設備投資も大きく減少することが推察される。また、中堅・中小企業の設備投 資も、第14循環の景気後退局面以降、収益性の悪化と連動して急落しており、収益性 の減少は継続していることから、今後も厳しい状況は続くと考えられる。 企業の設備投資をけん引する要因として、生産要因が低下していることから、資金運 用の側面や対外直接投資など更に深掘りした分析も重要である。