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論
文
ORIGINAL
PAPERS
木材 細胞 の落 ち込 み と内腔 に作用す る負 圧†
服
部
芳
明 * 金
川
靖 **
Studies
on Collapse
of Wood
Cells and
Negative
Pressure
in Cell Lumen
by
Yoshiaki
HATTORI* and Yasushi
KANAGAWA**
The negative pressure, that is liquid-tension, to cause cell-collapse was estimated with osmotic pressure at 20•Ž, and the behavior of cell-collapsing and the radius of opening in the cell wall were discussed.
The concentration dependence of the osmotic pressure of polyethylene glycol (PEG-20000) was determined over a wide range of concentration up to 0.557g/ml. On the basis of this result, the shrinkage behavior of the collapsing samples in the solution was compared with the amount of cell-collapse in air-drying and with the results of compression tests perpendicular to the grain.
The results obtained were summerized as follows. When the negative pressure in the cell lumen exceeded a certain magnitude, the cells deformed and then the sample shrank abruptly, as if the sample yieled to the stress. The limiting magnitude was about 2kg/cm2 in the case of Balsa (Ochroma sp., R=60kg/m3), and 35kg/cm2 in Almon (Shorea almon Foxw., R=430kg/m3). According to the magnitude of negative pressure to cause cell-collapse and the permeability of the cell wall to PEG, it was considered that the maximum radius of opening in the cells collapsed at normal temperature was order of 10mƒÊ at the utmost.
1 緒 言 細 胞 の 落 ち 込 み 発 生 の 根 本 的 原 因 が 水 の 引 張 力 の作 用 で あ る こ とは 明 らか で あ る.し か し,詳 細 な点 につ い て は 明 らか で な い こ とが 多 く,木 材 乾 燥 時 に認 め ら れ る細 胞 の落 ち込 み 挙 動 の解 釈 はむ ず か し い.こ の理 由 と して,空 気 乾 燥 時 に作 用 し得 る細 胞 内腔 中 の 水 の 引 張 力 の大 き さ を直 接 測 定 す る こ とが 非 常 に 困難 な こ と,お よ び落 ち込 み に 関与 す る 細胞 の壁 に存 在 す る 開 口部 につ い て の知 見が 乏 しい こ とな どが 考 え られ る. 既 報1)では,細 胞 の落 ち込 み 発生 時 に 内腔 中 に 作用 す る 負圧(水 の 引張 力)を 浸 透 現 象 の利 用 に よっ て推 定 す る方 法 に つ い て報 告 した.ア ル モ ン材(Shorea almon Foxw.)で は,落 ち込 み に 関 与 す る 細胞 は 主 と して 放 射 柔 細胞 で あ り,こ の 細胞 の 壁 は 分 子 量20000程 度 の ポ リエ チ レン グ リコ ール(PEG-20000)に 対 して は 半 透 膜 に 近 い 性 質 を 有 す る こ と,細 胞 の 内 腔 中 に80atm に 近 い 負 圧 が 作 用 す る と落 ち 込 み 変 形 が 最 大 に な る こ とを 明 らか に した.こ の 浸 透 現 象 を 利 用 す る方 法 は 試 験 材 中 の 局 部 に 位 置 す るあ る特 定 の細 胞 に対 して,そ の 細 胞 の 内 腔 に 作 用 す る負 圧 を 推 定 し得 る点 で有 用 で あ る と考 え られ る. しか し,上 述 した 結 果 は,樹 種 や 個 体 な どが 違 えば 当 然 異 な るは ず で あ る.ま た,既 報1)では,浸 透 圧 の推 定 のた め に文 献 値 を用 い た が,実 験 に用 い たPEGと は分 子 量 が 異 な り,ま た,濃 度 範 囲 をか な り上 回 った と こ ろ ま で適 用 し て い る と ころ に不 安 が あ った. 本 報 で は,浸 透 圧 を実 測 し,こ の値 を も とに落 ち込 み 発生 時 に作 用 す る 内腔 中 の 負圧 を推 定 した.さ らに, 既 報1)に示 した ア ル モ ン材 の結 果 も含 め,外 に3樹 種 に つ い て,今 まで 実 験 的 に は ほ とん ど検 討 され て い な か っ た落 ち込 み に 関与 す る 細胞 の壁 に存 在 す る 開 口部 の 大 き さの 検 討 を 行 い,熱 気 乾 燥 の 条 件 に よ って 細胞 の 落 ち 込 み の 発 生 程 度 が 異 な る原 因 を 解 明 す るた め の 一 つ の 手 掛 か りを 得 る こ とを 目的 と した. 2 実 験 2・1 試 験 片 供 試 樹 種 と して レ ッ ドメ ラ ンチ(Shorea sp.),ホ ワ イ トラ ワン(Pentacme sp.),バ ル サ(Ochroma sp.) を 用 い た.容 積 密度 数 はそ れ ぞ れ360, 570, 60kg/m3 で あ った.試 験 片 はバ ルサ 材 につ い て は 気 乾 材 か ら採 † 原 稿 受 理 昭和59年11月1日 Received Nov. 1, 1984
* 名 古屋 大 学農 学 部 名 古屋 市 千 種 区 不 老 町 , Faculty of Agriculture, Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya
** 正 会 員 名 古 屋 大 学 農 学 部 名 古 屋 市 千 種 区不 老 町, Faculty of Agriculture, Nagoya University, Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya
木材細胞 の落 ち込 み と内腔 に作用 する負圧 取 し,他 の樹 種 は 生 材 状 態 を で き るだ け 保 った 材 か ら 採 取 した.試 験 片 寸 法 は 既 報1)と同様 に繊 維 方 向3mm, 径 接 両 方 向30mmと した.既 報 に述 べ た よ うに繊 維 方 向 厚 さが こ の程 度 薄 くて も収 縮 経 過 は それ 以上 の厚 さ試 験 片 と大 き な違 い は な い.こ の こ とは本 実 験 に供 した 樹 種 につ い て も確 か め た. 試 験 片 は飽 水 状 態 に して か ら測 定 に 供 した.飽 水処 理 は試 験 片 を蒸 留 水 中 に 浸 漬 し,常 温 下 で1週 間 以 上 にわ た っ て 水流 ポ ン プに よ り減 圧,常 圧 を 繰 り返 して 飽 水 状 態 に した. 2・2 溶 液 中で の 収 縮 率 の測 定 溶 液 に 浸 漬 した と きに 生 じ る寸 法 変 化 は,バ ル サ材 を 除 い て 既 報1)と同 じ く,差 動 トラ ン ス に よ っ て経 時 的 に 測 定 した.ま た,測 定 開 始 直 前 お よび終 了直 後 に マ イ ク ロ メ ー タを 用 い て 測 定 し,測 定 系 に零 点 ドリ フ ト の な い こ とを 確 か め た.バ ル サ材 で は小 試 験 片 で あ っ て も収 縮 率 が 部 位 に よ って 異 な る た め,試 験 片 中央 に 記 入 した 接 線 方 向基 準 線 の寸 法 変 化 を読 取 顕微 鏡(精 度1/100mm)に よっ て求 め た.測 定方 向 は い ず れ も 接 線 方 向 と した.収 縮 率 は 飽 水 時 の寸 法 を 基 準 に して 算 出 した.測 定 温 度 は21±3℃ で あ る. 2・3 空 気 乾 燥 に よ る収 縮 率 の 測 定 溶 液 浸 漬 実 験(2・2節)で 用 い た試 験 片 と繊 維 方 向 に 連 続 して 採 取 した,同 じ寸 法 の試 験 片 を飽 水 状 態 に して 実 験 に 供 した.収 縮 率 は 径 接 両 方 向 につ い て 求 め た.寸 法 変 化 並 び に 重 量 変 化 の測 定 に は ス ク リュ ウマ イ ク ロ メ ー タ,自 動 化 学 天 び ん を 用 い た.た だ し,バ ル サ 材 で は 読 取 顕 微 鏡 を 用 い て 寸 法 変 化 を測 定 した. 乾 燥 温 度 条 件 は20℃ と し,硫 酸 水 溶 液 を用 い て調 湿 した デ シ ケー タ(RH90%)内 で 繊 維 飽 和 点 以 下 まで 乾 燥 した.一 方,凍 結 減 圧 乾 燥 した 試 験 片 か ら,既 報2)と同様 に して 細胞 の落 ち 込 み を 含 まな い 基 準 と な る 収 縮 経 過 を 求 め た.さ らに,こ の 基 準 の 収 縮 経 過 を Fig. 1の 模 式 図 に示 す よ うに 全 体 の 収 縮 経 過 か ら差 し 引 い て落 ち込 み の み に よる収 縮 経 過 を 求 め,こ の 経 過 の最 大 値 を落 ち込 み最 大 収 縮 率 と した.測 定 結 果 は 試
Fig. 1. Schematic diagram of the method to obtain the maximum shrinkage caused by cell-collapse. 験 片3個 に つ い て の 平 均 値 と して 示 した. 2・4 浸 透 圧 の 測 定 濃 厚 な 溶 液 に 試 験 片 を 浸 漬 して,浸 透 圧 に よ っ て細 胞 に 落 ち 込 み 変 形 を 生 じ させ,そ の変 形 時 に 内腔 に作 用 して い る負 圧 を 推 定 した.PEG濃 厚 溶 液 の浸 透 圧 を 求 め た 実 験 は 少 な くな いが,測 定 濃 度 範 囲 は低 く, 浸 透 圧 値 と し て高 くて も10数kg/cm2ま で で あ る.3)4)本 実 験 で は既 存 デ ー タ の測 定 範 囲 を超 え た濃 度範 囲 の 浸 透 圧 を正 確 に知 る 必要 が あ る た め 実 測 した. 浸 透 圧 測 定装 置 をFig. 2に 示 す.セ ル 内 の 圧 力 は 半 導体 圧 力 セ ンサ(豊 田 工 機(株)製)に よ り検 出 して 経 時 的 に 記 録 した.半 透 膜 と して は 市 販 の ポ リスル ホ ン膜(ミ リポ ア メ ン ブ レ ン,PTGCタ イ プ)を 利 用 し た. 用 い た 溶 質 は,既 報1)と同 様 の 分 子 量20000のPEG で あ る.酢 酸-ピ リジ ンに よ る 末 端 基 定 量 法 に よっ て 求 め た 数 平 均 分 子 量 は2×104で あ った.溶 媒 に は蒸 留 水 を 用 い た. 測 定 時 の溶 媒 側 の温 度 は21±1℃ で あ る.
Note; a: Pressure sensor, b: Semi-permeable membrane, c: O-ring, d: Support screen,
e: Solution, f: Solvent. Fig. 2. Osmometer cell.
3 結 果 と 考 察 3・1 PEG-20000溶 液 の 浸 透 圧 浸 透 圧 測 定 セ ル 内 の圧 力 の 時 間 経 過 を 種 々 の濃 度 に つ い てFig. 3に 示 す.い ず れ の濃 度 で も測 定 時 間 範 囲 内 に お い て経 過 曲線 は 飽 和 値 に 達 す る. 浸 透 圧 を測 定 す る 際 に,圧 力 の 時 間 経 過 に オ ーバ ー シ ュー ト現 象 が 認 め られ れ ば 溶 質 が 半透 膜 を透 過 した と判 断 で きる.5)なお,溶 質 の 半透 膜 透 過 の な い こ とを 厳 密 に判 断 す る に は,分 子 の透 過 限 界 を異 に す る2種 類 以 上 の半 透 膜 を用 い て 求 め た浸 透 圧 が一 致 す る とい う結 果 を 得 る こ とが 望 ま しい.4)しか し,本 実 験 で用 い たPEGは 分 子 量 の 明 らか に 違 ったPEGの 混 合 物 で は ない とい う理 由か ら,実 用 上 そ こ ま で の厳 密 さ を要 求 し な くて も よ い と考 え,測 定 した 経 過 曲線(Fig. 3) が オ ーバ ー シ ュー トし な い こ とか らPEG-20000は 半 透 膜 を 透 過 して い ない と判 断 し た.し たが っ て,各 溶 液 濃 度 の圧 力経 過 の飽 和 値 が そ の溶 液 濃 度 の示 す 浸 透 昭和60年8月
(37)
932 服 部 芳 明, 金 川 靖
Note; Numerals show each concentration of solutions in unit of g/ml.
Fig. 3. Pressure curves in the osmometer cell.
Note; Broken line shows the data quoted from reference No.3.
Fig. 4. Concentration dependence of osmotic pressure. 圧 そ の もの で あ る とみ な した. Fig. 4に 実 測 した 浸透 圧 と濃 度 との 関 係 を 示 す.な お,同 図 中 に は参 考 の た め に既 報1)で引 用 したH. Vink に よ る 結 果 を 破 線 で 示 す. 浸 透 圧(II)と 溶 積 濃 度(c)の 関 係 は,一 般 に 次 式(1)に 示 す ビ リア ル 展 開 式 で 記 述 で き る. II=RT(A1c+A2c2+A3c3+…) (1) そ こ で,式(1)を 次 式 の よ うに か き な お し て 左 辺 をyと お く. (2) こ こ に,A1=1/Mで あ り,Rは ガ ス 定 数(kg・cm/ mol・K),Tは 絶 対 温 度(K),Mは 数 平 均 分 子 量 で あ る. 式(2)の2次 以 降 を 無 視 し てMに20000を 代 入 し,濃 度 に 対 す るyの プ ロ ッ トをFig. 5に 示 す.測 定 値 は ほ ぼ 直 線 関 係 を 示 し,3次 以 降 は 無 視 し て も よ い こ と が わ か る.こ の 直 線 の 切 片 お よ び 傾 き か ら,第2,第 3ビ リ ア ル 係 数 と し て 次 の 値 を 得 た.A2=1.52×10-3 mol・cm3/g2,A3=1.87×10-2mol・cm6/g3.こ れ ら の 数 値 は 分 子 量43500のPEGを 用 い たH. Vinkに よ る 値3)(A2=1.93×10-3,A3=1.98×10-2)と 多 少 の 違
Fig. 5. Concentration dependence of osmotic pressure plotted according to equation (2).
い は あ る も の の ほ ぼ 一 致 し て い る(Fig. 4参 照).し た が っ て,既 報1)に示 した ア ル モ ン材 に つ い て の落 ち込 み 発生 時 の 負圧 推 定 に用 い た浸 透 圧値1)は,多少 過 大 評 価 した こ とに な る が,大 略 は正 しい こ とが確 認 で きた. 以 下,浸 透 圧 を濃 度 か ら算 出 す るに あ た って は これ ら の値 を用 い る こ とに す る. 3・2 溶液 浸 漬 に よ る 収縮 経 過 バ ル サ,レ ッ ドメ ラ ンチ,ホ ワ イ トラ ワ ン材 に つ い て の溶 液 中 で の 収 縮 の 時 間 経 過 をFig. 6, 7, 8に 示 す.な お,各 々 の 図 中 の破 線 は 空 気 乾 燥 に よ って 得 ら れ た落 ち 込 み 最 大 収 縮 率 で あ る. 3・1節 で 述 べ た よ うに,溶 質 の 壁透 過 が 生 じる と内 腔 中 の圧 力 は 時 間 と共 に減 少 し,収 縮 率 の 時 間経 過 に は オ ー バ ー シ ュー トが 現 れ る は ず で あ る. バ ル サ 材 で は い ず れ の溶 液 濃 度 に お い て もほ ぼ 飽和 曲線 を示 す が,ホ ワイ トラ ワ ン材 お よび レ ッ ドメ ラ ン チ 材 で は濃 度 が 高 くな る と経 過 曲線 は オ ーバ ー シ ュ ー トして い る の か が わ か る.バ ル サ 材 で 得 られ た パ タ ー ンは,既 報1)に示 した ア ル モ ン材 と同様 で あ る.し た が っ て,バ ル サ 材 で は落 ち 込 み に 関 与 す るす べ て の 細胞 の壁 がPEG-20000に 対 して ほ ぼ半 透 膜 と して機 能 す る と判断 で き る.一 方,ホ ワ イ トラ ワ ン材,レ ッ ドメ ラ ンチ 材 に つ い て は,落 ち込 み に 関 与 す る細胞 群 の あ る部 分 で はPEG-20000を 透 過 す る こ とが 時 間経 過 曲 線 か ら判 断 で き る. 溶 液 浸 漬 に よっ て 得 られ た収 縮 経 過 の 飽和 値 あ る い は ピー ク値 は,樹 種 に よ って か な り異 な る.そ こで, 常 温 で の空 気乾 燥 に よっ て 得 られ た接 線 方 向 の落 ち 込 み 最 大 収 縮 率 の大 き さ(Fig. 6∼8中 の破 線)と の対 応 を樹 種 間 で比 較 して み る.各 々 の 樹 種 で 用 い た 最 も 高 い溶 液 濃 度 中 で の 収 縮 率 は 空 気 乾 燥 時 の 落 ち 込 み 最 大 収 縮 率 よ りも大 きい 樹 種 もあ るが,樹 種 間 の 差 異 に (38) 「材 料 」 第34巻 第383号
木材細胞 の落 ち込み と内腔 に作用す る負圧
Note; Numerals show each concentration of solutions in unit of g/ml.
Broken line represents the maximum shrinkage caused only by cell-collapse in air-drying. Fig. 6. Shrinkage curves of Balsa in concentrated
solutions.
Note; Refer to Fig. 6.
Fig. 7. Shrinkage curves of Red meranti in concentrated solutions.
Note; Refer to Fig. 6.
Fig. 8. Shrinkage curves of Whit lauan in concentrated solutions. 比 べ る とか な り小 さい.し た が っ て,濃 厚 溶 液 に浸 漬 す る と空 気 乾 燥 に よっ て生 じる細 胞 の落 ち込 み と同程 度 の落 ち込 み 変 形 が 生 じた こ とがわ か る. 各 々 の樹 種 につ い て細 部 に注 目す る と,バ ル サ,レ ッ ドメ ラン チ の よ うに空 気 乾 燥 に よっ て 得 られ た収 縮 率 は溶 液 浸 漬 に よる値 よ り下 回 る こ とが あ る.こ の理 由 は,空 気 乾 燥 で は落 ち込 み 変形 の 回復,す な わ ち 細 胞 が 小 った ん最 大 変 形 し た後 そ の変 形 が多 少 も ど り, と の結 果 試 験 片 の寸 法 が増 加 した た あ で あ る の か,あ る い は溶 液 浸 漬 に よっ て落 ち込 み 変 形 す る 細胞 の 数 が 空 気 中 で のそ れ より も多 い た め か とい う二 つ の 要 因 が 考 え られ る.現 時 点 で は 断 定 で きな い が 後 者 の 要 因 が 主 で あ る可 能 性 が強 い.い ず れ に せ よ,こ の収 縮 率 の 差 は樹 種 間 の差 異 よ りも充 分 小 さ く,空 気 乾 燥 に よ っ て 生 じる 細胞 の落 ち 込 み の程 度 と濃 厚 溶 液 浸 漬 に よ る 落 ち 込 み の 程 度 とは ほ ぼ 対 応 して い る こ とが 明 らか と な った.換 言 す れ ば,溶 質 が 細 胞 壁 を わ ず か に 透 過 し た 場 合 で も 空 気 乾 燥 に よ って 生 じ る程 度 の落 ち込 み は 生 じ る こ と に な る.し た が っ て,PEG-20000を 透 過 す るか 否 か の 限 界 の大 き さ の開 口を 壁 に有 す る細 胞 は, 空 気 乾 燥 に よ って も落 ち込 み 変 形 す るか 否 か の限 界 に 近 い と考 え て よか ろ う. 3・3 内腔 中の 負 圧 と細 胞 の 落 ち込 み に よ る収 縮 溶 液 に 浸 漬 した 際 の収 縮 経 過 曲線 が オ ーバ ー シ ュー トせ ず に飽 和 した と き,落 ち込 み変 形 し た細 胞 の 内腔 に は 浸 漬 溶 液 の示 す 浸 透 圧 と絶 対 値 の等 しい 負圧 が 作 用 し て い る と考 え られ る. Fig. 9, 10に バ ル サ,ア ル モ ン材 に つ い て 浸透 圧 か ら推 定 した 負圧 とその 負 圧 に よる落 ち込 み収 縮 率 との 関 係 を示 す.図 中 に は比 較 の た め に,別 途 試 験 に よ っ て 求 め た接 線 方 向 の 横 圧 縮-ひ ず み 曲線 を破 線 で 示 す. な お,ア ル モ ン 材(R=430kg/m3)の 結 果 は す で に 既 報1)に示 した が,こ こで は3・1節 で 得 た 数値 を 基 に し
Fig. 9. Negative pressure-shrinkage curve (solid line) and compressive stress-strain curve (bro-ken line) in tangential direction of Balsa.
Fig. 10. Negative pressure-shrinkage curve (solid line) and compressive stress-strain curve
934 服 部 芳 明, 金 川 靖 て 算 出 した浸 透 圧値 か ら負 圧 を推 定 し,改 め て 図示 し た. バ ル サ,ア ル モ ン材 い ず れ も負 圧 が あ る限 度 を 超 え る と収 縮 率 が 急 激 に 増 加 す る こ とが 図 か ら読 み 取 れ る. そ の 限 度 は バ ル サ 材 で 約2kg/cm2,ア ル モ ン材 で35 kg/cm2前 後 で あ る. 気 乾 比 重0.12の バ ル サ 材 に つ い て は す で に林 ら6)によ って 空 気 圧 を 用 い て 落 ち込 み に 要 す る負 圧 が 推 定 され, 空 気 圧 が 約4kg/cm2を 超 え る と変 形 が 急 増 す る こ と が 示 され て い る.本 実 験 で は 用 い た 材 の比 重 が 異 な る た め,落 ち込 み 変 形 が 急 増 す る とき の 負圧 値 は林 らに よ る値 の約1/2と な っ た. 負圧-収 縮 曲線 の パ タ ー ンに 注 目し て み る と,あ る 限 度 の負 圧 値 を 超 え る と収 縮(変 形)が 急 増 す る とい う点 で 横 圧 縮 応 力-ひ ず み 曲線 の パ タ ー ン と 類 似 して い る.こ の急 増 時 の 負圧 値 と応 力値 は ほ ぼ一 致 す る こ とが 認 め られ た.一 般 に試 験 体 を 同程 度 変 形 させ る た め に必 要 な応 力 は,外 部 か ら加 え た単 軸 応 力 と内 部 応 力(負 圧)の 場 合 で は異 な り,負 圧 の方 が よ り大 きい値 が 必要 で あ る と考 え られ る.ま た,細 胞 の つ ぶ れ た 後 の形 態 が両 者 で異 な る とい う結 果 も示 され て い る.7)ア ル モ ン材 の 結 果(Fig. 10)か ら も弾 性 範 囲 内 で は 同 量 の 変形 を生 じさ せ る た め に は 内 腔 の 負 圧 は 外 部 か ら加 え た応 力 よ り2∼3倍 大 きな値 が 必 要 で あ る こ とが 確 認 で きる.一 方,変 形 が 急 増 す る と きの 内 部 と外 部 応 力 の値 に は そ れ ほ どの差 異 は 認 め られ な い.こ の理 由 とし て は,バ ル サ 材 の 場 合 に は 道 管 を 除 く大 部 分 の 細 胞 の 内腔 に 負圧 が生 じ,し か も壁 厚 が 極 端 に 薄 い こ と, ま た,ア ル モ ン材 で は 落 ち 込 み 変 形 す る細 胞 が 放 射 柔 細胞 で あ り,こ の 細胞 よ り成 る放 射 組 織 が板 目面 で 紡 鍾 形 を 呈 し,か つ 散在 して い る とい う特 徴 と無 関 係 で は な い と思 わ れ る.し た が っ て,横 圧 縮 応 力-ひ ず み 曲線 か ら落 ち込 み 変 形 の 急 増 す る負 圧 値 を 推 測 す る こ とは本 供試 樹 種 以 外 に は 必 ず し も当 て は ま る とは 考 え られ ず,こ の 点 は さ らに 検 討 を 要 す る.い ず れ に せ よ 細胞 の落 ち 込 み 変 形 は い わ ば 座 屈破 壊 の よ うな 現 象 で あ り,あ る 限度 の応 力 を 超 え る と変 形 は途 中 で 停 止 す る こ とな く限 界 近 く まで 進 行 す る性 質 を もつ こ とは 確 か で あ ろ う.こ の こ とは,空 気 乾 燥 後 の 細 胞 の 落 ち 込 み の程 度 の 大 小 が 乾 燥 条 件 に よ って 異 な るの は,個 々 の 細胞 の落 ち 込 み 変 形 の 程 度 の 増 加 に よ る とい うよ り も,む しろ落 ち 込 み を 起 して 限 界 まで 変 形 した 細 胞 の 数 に よる とい う考 え 方7)が正 しい こ とを 裏 付 け て い る. 3・4 落 ち込 み 細 胞 の 壁 に あ る開 口 につ い ての 推 察 空 気 乾 燥 す る際 に,細 胞 の 落 ち 込 み 変 形 時 に 作 用 し 得 る 内 腔 の 負 圧 は,細 胞 壁 に 存 在 す る開 口部 分 の 空 気 と水 との 境 界 に 生 じ る メ ニ ス カ スの 曲 率 半 径 に 支 配 さ れ る と考 え られ る.広 葉 樹 で は そ の 開 口部 の 大 き さ に
Fig. 11. The difference in the mechanism of cell-collapse by immersing in solution (a) and air-drying (b). 関 して 詳 細 な こ とは わ か って お らず,一 般 に 電 子 顕 微 鏡 で 見 られ る よ うな 開 口部 の 存 在 は 落 ち 込 む 細 胞 に は 見 出 され て は い な い.こ の よ うな 開 口部 の 半 径 を 推 定 す るに は,現 時 点 で は 明 らか で な い 事 柄 が 多 い が,あ る程 度 の検 討 は 可 能 で あ ろ う. Fig. 11は,PEG溶 液 中 にお け る細 胞 の落 ち込 み 変 形 と空 気 乾 燥 に よ る落 ち込 み との 機 構 的 な違 い の模 式 図 で あ る.溶 液 中 で は(左 図),浸 透 現 象 に よ って 内 腔 中 の水 が 主 と して 細 胞 壁 の開 口部 を 介 し て溶 液 側 に 移 動 す るが,開 口部 よ りも大 き な溶 質 分 子 は 内腔 側 に 透 過 で きず,こ の た め に 内腔 中 の水 の減 少 につ れ て細 胞 は変 形 す る.空 気 乾 燥 の場 合 で は(右 図),水 は 内 腔 か ら主 とし て細 胞 壁 の開 口部 を 介 して蒸 発,減 少 し, 開 口部 分 に メ ニ ス カ スが 生 じる.内 腔 中 に あ る大 き さ 以 上 の気 泡 が 存 在 し な い場 合,内 腔 側 の圧 力が 減 少 し て も メニ ス カ ス の 曲率 半 径 が充 分 に小 さ け れ ば空 気 は 内腔 中 に侵 入 で きず,細 胞 は水 の減 少 につ れ て変 形 す る.ど ち らも 負圧 に よる変 形 とい う点 で は 同 じで あ る. ただ,後 者 の場 合(右 図)に は,作 用 し得 る 負圧 を決 定 す る の は種 々 の径 の開 口の 中 の最 大 径 を もつ 開 口で あ る 点 に注 意 す る 必要 が あ る. つ ぎ に,落 ち込 み に 関与 す る 細胞 の壁 に存 在 す る開 口の半 径 は どの程 度 で あ る と考 え られ るか を,主 と し て ア ル モ ン材 を と りあ げ て検 討 す る. 空 気 乾 燥 す る際 に メ ニス カ ス が耐 え られ る圧 力差 の 最 大 値(Pmax)は,一 般 に 次 の式(3)に 示 す ラプ ラス の式 で表 さ れ,水 の 表 面 張 力(σ)と 接 触 角 の 余 弦 (cosθ)に 比 例 し,毛 管(開 口)半 径(γ)に 反 比 例 す る. (3) 既 報1)に述 べ た よ うに,試 験 片 をPEG溶 液 に 浸 漬 し て も湿 潤 状 態 で は そ の 強 度 的 性 質 は 浸 漬 前 と違 わ な い と考 え て よ く,浸 透 圧 か ら推 定 した 負 圧 値 は 空 気 乾 燥 時 の落 ち 込 み 変 形 に も適 用 で き る.そ こで,式(3)の Pmaxに 落 ち 込 み に 要 す る負 圧 と して 推 定 した 値 を 用 い,落 ち 込 ん だ 細 胞 に あ る開 口部 の 半 径 が どの 程 度 で
(40)
「材 料 」 第34巻 第383号木材細胞の落ち込み と内腔に作用す る負圧
Table I. Pore size distribution in the osmotic membrane15).
Note; Values were calculated from the data reported in reference No.15.
Fig. 12. Relationship between the maximum negative pressure and pore radius.
あ るか を検 討 した.一 方 で は,PEG分 子 の大 き さ と そ の分 子 が 透 過 し得 る 開 口径 との 関 係 か ら落 ち 込 み が 生 じるか 否 か の限 界 付 近 の 細胞 の壁 に あ る 開 口半径 に つ い て検 討 し,先 の推 定 開 口半 径 と比 較 した. 式(3)の ラプ ラス の式 に よっ て 負圧 と開 口半径 との 関 係 を 示 す に は,接 触 角 と細 胞 内 の水 分 の 表面 張 力 の デ ー タが 必 要 で あ る.水 分 の表 面 張 力 は,文 献 値9)∼11)を参 考 に して50dyn/cmの 値 を 用 い,開 口部 内壁 の接 触 角 は 全 く不 明で あ るた め 便 宜 的 に0 degと し て試 算 した. Fig. 12に 負 圧 と開 口半 径 との関 係 を示 す.落 ち込 み 変 形 が 急 増 す る 負圧 は,容 積 密 度 数 が410kg/m3 の アル モ ン材 では 少 な くと も35kg/cm2は 必 要 で あ る と推 定 され た.こ の負 圧 に対 応 す る 開 口半 径 は30 mμ 弱 とな る.接 触 角 や 水 分 の表 面 張 力 な どの不 確 定 な要 素 を 考 慮 す る と数10mμ の オ ー ダ ー と言 え よ う. つ ぎ に,PEG分 子 の 大 ぎ さ とそ の分 子 が 透 過 で き る開 口半 径 の大 き さ との 関係 か ら,落 ち込 み に 関与 す る細 胞 の壁 の開 口半 径 を考 え て み る. Stokes-Einstein式 に よ って 求 め られ るPEG分 子 の半 径(相 対 半 径)に つ い て は,Kuga12)に よっ て整 理 され て お り,こ の デ ー タ に よる と分 子 量20000で は約 5mμ と な る.し か し,分 子 の相 当半 径 とそれ が透 過 し得 る開 口径 と の関 係 は現 在 の とこ ろ種 々 の仮 定 の も とに 論 争 され てい る段 階 で あ り,定 説 は な い.例 え ば, Munch13)は 鎖 状 分 子 で は孔 中 で 受 け るせ ん断 力 に よっ て 変 形 され や す いた め に相 当半 径 の半 分 の径 の 開 口を 透 過 し て しま う と考 え た.一 方,Nelson14)ら は,根 拠 は 明確 で な い が,少 な く と も相 当 半 径 の4倍 以 上大 き くな け れ ば分 子 が透 過 で きな い と考 え た.こ の よ うに 研 究 者 に よっ て か な り食 い違 い が あ る.そ こで,本 実 験 で 行 った 浸透 圧 測 定 の 際 の圧 力経 過 曲線(Fig. 3参 照)か ら判 断 す る と次 の よ うに な る. 測 定 に 供 した 半透 膜 がPEG-20000を 透 過 し な い と 考 え て よい こ とは す で に 述 べ た.こ の 半透 膜 の孔 径 分 布 はMerinら15)に よ っ て測 定 され て お り,こ の デ ー タ か ら全 開 口面 積 に 対 す る各 々 の 開 口の 面 積割 合 を 算 出 し,Table Iに 示 す.こ の 表 か ら7mμ 付 近 を 半径 と す る 開 口は 全 開 口面 積 の35%と い う大 きな 割合 を 占 め て い るの が わ か る.し た が っ て,分 子 量20000の PEG分 子 は 相 当半 径 の少 な く と も2倍 程 度 か そ れ 以 上 の 半径 の 開 口で な け れ ば透 過 で きな い こ とに な る. 以 上 の検 討 をふ ま え て,こ こで はNelsonら の 見解 で あ る相 当 半径 の4倍 とす る考 え を よ りど ころ とす る と,PEG-20000が 透 過 で き な い 平 均 的 な 開 口半 径 は20mμ 程 度 以 下 の大 き さ とい うこ とに な ろ う.先 に示 した落 ち込 み に 必要 な 負圧 値 か ら推 定 した 開 口半 径 は30mμ 前 後 で あ っ た.こ の場 合 は 細胞 壁 に あ る 種 々 の大 き さ の 開 口の な か の最 も大 き な 開 口に つ い て の値 で あ る こ とや,外 に接 触 角,表 面 張 力 な どの値 に 種 々 の仮 定 を お い た た め にPEG分 子 の大 き さか ら推 定 され た半 径 とは多 少 異 な る が,ほ ぼ一 致 す る と言 え よ う.し た が っ て,常 温 下 で乾 燥 した 際 に落 ち込 み変 形 す る細 胞 の壁 に は,ア ル モ ン材 で は最 大 値 と して 数 10mμ 以 下 の 半 径 の開 口 しか 存 在 し ない と結 論 付 け ら れ る.同 様 に考 えれ ば,バ ル サ材 で は比 重 が 小 さい た め に よ り大 き い開 口が 存 在 して も落 ち込 み 変 形 す る で あ ろ うが,PEG-20000の 壁 透 過 が 認 め られ ない こ と か ら,ア ル モ ン材 と 同 じオ ー ダ ー よ り小 さ い半 径 の開 口しか 持 た な い細 胞 が 主 とし て落 ち込 み に関 与 し て い る と考 え られ る.一 方,レ ッ ドメ ラン チ,ホ ワイ トラ ワン材 で は,落 ち込 み に 関与 す る 細胞 につ い て は ア ル モ ン材 よ り大 き い開 口を もつ 細 胞 の割 合 が 多 い と考 え られ る.乾 燥 温 度 が高 くな る と細 胞 の落 ち込 み が増 加 す る樹 種 が あ るが,こ の増 加 傾 向 の違 い に上 述 した細 胞 の割 合 の違 いが 一 因 とな っ て い る可 能 性 が あ る. な お,こ の よ うな オ ー ダ ー の大 き さ の開 口が 存 在 す る と推 定 し たが,こ れ は具 体 的 に は壁 孔 壁 に あ る プ ラ ス モ デ ス ム が 関係 す る と想 像 さ れ る. 4 結 論 PEG-20000濃 厚 水 溶 液 の浸 透 圧 を 測 定 し,こ の結 果 を利 用 して 細胞 の落 ち 込 み現 象 を検 討 した.得 られ た 結 論 は 以 下 の 通 りで あ る.
936 服 部 芳 明, 金 川 靖 (1) 常 温 にお け るPEG-20000溶 液 の 浸 透 圧 を 0.557g/mlま で の 高濃 度 範 囲 に わ た っ て 測 定 し,ビ リア ル展 開 式 に よる取 り扱 い を した 結 果,第4ビ リア ル係 数 以降 は無 視 して よ く,第3ビ リアル 係 数 まで を 用 い て100kg/cm2ま で の 浸透 圧 を 算 出 で き る こ とが 確 か め られ た. (2) 浸 透 圧 を利 用 して推 定 した 負 圧 と この 負 圧 に よ る 細胞 の落 ち込 み 変 形 との 関 係 は,あ る限 度 の 応 力 を 超 え る と急激 に 変 形 が 進 行 す る とい う点 で 横 圧 縮 応 力 -ひ ず み 曲線 と類 似 の パ ター ンを 示 し ,い わ ば 座 屈 破 壊 の よ うな様 相 を 呈 す る.こ の こ とか ら,い った ん 始 まっ た落 ち込 み 変 形 は 途 中 で 停 止 す る こ とな く,限 界 まで 進 行 す る傾 向 を 有 す る と考 え られ た.ま た,そ の 限 界 の 応 力 は,道 管 を 除 く大 多 数 の 細 胞 が 落 ち込 み に 関 与 す るバ ル サ 材 や 放 射 組 織 に 落 ち込 み が 生 じ る ア ル モ ン材 で は,横 圧 縮 応 力-ひ ず み 曲線 上 でひ ず み が 急 増 す る と きの 応 力 値 に近 い. (3) 常 温 で の 空 気 乾 燥 に よ って 落 ち込 み の生 じる細 胞 の 壁 に は,PEG-20000の 分 子 が 透 過 で き るか 否 か の 限 界 の 大 き さ よ り小 さ な半 径 の開 口しか 存 在 せ ず, そ の限 界 の開 口の半 径 は数10mμ の オー ダー で あ る と 考 え られ た. 終 りに,本 研 究 の遂 行 に あ た り ご指 導 い た だ い た名 古 屋 大 学 名 誉 教 授 寺 沢 真 博 士 に感 謝 の 意 を表 し ます. (昭和57年10月8日 昭和57年度第28回木材と水研究会シンポジウムに て講演)
参 考 支 献
1) Y. Hattori, Y. Kanagawa and S. Terazawa, Mokuzai Gakkaishi, 27, 256 (1981).
2) 金 川 靖,服 部 芳 明,木 材 学 会 誌, 24, 441 (1978).
3) H. Vink, Eur. Poly. J., 7, 1411 (1971).
4) J. Williams and C.F. Shaykewich, Can. J. Soil Sci., 49, 397 (1969). 5) 高 分 子 学 会 高 分 子 実 験 編 集 委 員 会 編,“ 高 分 子溶 液 ”, p. 111 (1982)共 立 出版. 6) 林 和 男,寺 沢 真,木 材 学 会 誌, 23, 30 (1977). 7) 林 和 男,寺 沢 真,木 材 工 業, 30, 439 (1975). 8) 服 部 芳 明,金 川 靖,寺 沢 真,木 材 学 会 誌, 25, 191 (1979).
9) A.J. Stamm and D.G. Arganbright, Wood and Fiber, 2, 65 (1970).
10) A.J. Bolton and G. Koutsianitis, Wood and Fiber, 12, 3 (1980).
11) P.Y.S. Chen, Wood and Fiber, 11, 218 (1980). 12) S. Kuga, J. Chromatography, 206, 449 (1981).
13) W.D. Munch, J. Membrane Sci., 5, 77 (1979). 14) R. Nelson and D.W. Oliver, J. Poly. Sci. Part C.,
36, 305 (1971).
15) U. Merin and M. Cheryan, J. Appl. Sci., 25, 2139 (1980).