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1 はじめに ( 目的 ) 全国的に, 小, 中学生の野球の競技人口減少が進行している. 鳥取県内における競技人口の推移は, 以下に示す通りである. ( 鳥取県統計課学校基本調査, 日本中体連加盟校調査集計等により作成 ) 130% 120% 中体連 ( 県 ) 競技人口推移 ('08 年 =100

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(1)

2016.12.3~4 日本野球科学研究会第 4 回大会@東京大学駒場キャンパス

競技人口が激減する

学童野球の課題と対策

~鳥取県西部地区における

部員保護者対象の実態調査から~

○古曵

正太,平野 勝久

(鳥取県西部地区高校野球

OB 連盟/

米子東高校野球部

OB 会)

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【1】 はじめに(目的)

全国的に,小,中学生の野球の競技人口減少が進行している.鳥取県内における 競技人口の推移は,以下に示す通りである. (鳥取県統計課学校基本調査,日本中体連加盟校調査集計等により作成) 学童野球については過去の正確な数値の管理がされておらず,空白の年度(’09~’10 年度)がある.また,中学生年代 では硬式クラブチームが2 チーム存在し,掛け持ちの生徒等もいるため,正確な競技人口は把握できないが,双方とも多 くの部員がいるというわけではなく,むしろ近年は部員不足に悩まされていることから,本集計に大きな影響を与えるも のではないと考える. 61% 108% 86% 90% 62% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 110% 120% 130% 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 中体連(県)競技人口推移('08年=100%として) 軟式野球 サッカー バスケット 中学校生徒 米子市学童野球

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直近 8 年間で,児童,生徒数減少の 4 倍程度のペースで競技人口が減少してい る.47 都道府県中,最も人口が少ない 573,441 人(国勢調査,2015)である我が 県においては,競技人口の急速な減少は,県内の競技レベル維持は勿論のこと,競 技存続にも大きな影響を及ぼしかねない. そこで,野球少年・少女のいわば入口である学童野球(小学校軟式)に着目し て,競技人口減少の要因となる課題と,その対策を検討するため,部員保護者を対 象とした実態調査を実施した.

【2】 アンケート調査(方法)

配付時期:2016 年 2 月 対象チーム:県西部地区学童野球チーム(県軟式野球連盟傘下) 2 市 2 郡(米子市,境港市,西伯郡,日野郡) 37 チーム 対象者:2015 年度部員保護者(1 家庭 1 部) ※6 年生は引退していると考えられることから 5 年生以下を原則とするが, 6 年生も協力頂ける範囲で回答頂いた. 最終回答者:29 チーム,家庭数 274(部員数 289) 回答終了:2016 年 5 月 県西部地区は,米子市,境港市,西伯郡,日野郡の 2 市 2 郡から成り,その人口

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は県全体の 40%程度を占める.調査は,2016 年 2 月,市郡連盟から各チームを通じ 配付した.計 274 家庭から回答を得たが,回答チームの全家庭から回答を得られた 訳ではない.また,統括連盟では部員数,家庭数が把握されていないため,全家庭 の何%から回答があったのか正確な数値は不明であるが,60%程度と推定される. 競技人口減少の要因把握を主目的とするため,保護者の目線ではその理由が何か を尋ねることは勿論,「入部にあたっての懸念事項」,「自,他チームの活動の様子を 見ての問題点」,「入部勧誘をして即入部に至らなかった際の理由」等,(学童)野球 のマイナス点を発見するための質問項目を多く組み込んだ.なお,項目検討にあた り,対象チームのうち 3 チームの関係者と対話をした内容を参考にした.

【3】 調査結果・コメント

○単=単数,○複=複数可,○選=選択式,○自=自由記述式 児童に関する問 n=289,保護者に関する問 n=274 ①お子さんの学年を教えて下さい.(2015 年度) ○単○選 6 年生 5%(16),5 年生 35%(102),4 年生 26%(74),3 年生 18%(51), 2 年生 11%(33),1 年生 4%(11) ※6 年生は一部の協力.上学年ほど多かった.

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②お子さんご本人が野球に興味を持った時期,きっかけは何でしたか? ○単○選 小学校入 学前, 62, 21% 1年生, 50, 17% 2年生, 75, 26% 3年生, 75, 26% 4年生, 20, 7% 5年生, 5, 2% na, 2, 1% 興味時期 友達(遊び, 勧誘), 91, 32% 兄弟姉妹、 親戚(遊び, 勧誘), 75, 26% (祖)父母 (遊び,勧誘, 強制), 67, 23% プロ野球を 観た, 30, 10% 練習体験,見 学, 11, 4% 高校野球を 観た, 8, 3% 漫画,アニメ, 4, 1% 無回答,その他, 3, 1% 興味のきっかけ

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③お子さんご自身はいつ入部しましたか? ○単○選 また,最終的な入部のきっかけは何でしたか? ○複○自 以前は 3 年生以降でないと入部できないチームが多く,入部時期の早期化が進行し ていると考えられる. 1年生, 52, 18% 2年生, 107, 37% 3年生, 90, 31% 4年生, 30, 10% 5年生, 10, 4% 6年生, 0, 0% 入部時期 74, 26% 73, 25% 34, 12% 24, 8% 16, 6% 5, 2% 3, 1% 76, 26% 0% 10% 20% 30% 友達,知人が所属,勧誘 本人希望 体験入部,見学 兄弟,姉妹が所属 保護者の勧誘,強制 人数が少なかった プロ等への憧れ 無回答,その他 入部のきっかけ

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④入部前に,保護者の方,またお子さんご自身にとって,入部への障壁となった不 安要素,懸念事項等があった場合は教えて下さい.(なかった場合は「なし」)○複○自 全体の約 2/3 の保護者,または部員は,入部前に,入部への障壁となった不安要 素,懸念事項等があったことが示された. 50, 17% 40, 14% 36, 12% 33, 11% 32, 11% 31, 11% 17, 6% 10, 3% 9, 3% 8, 3% 5, 2% 3, 1% 1, 0% 102, 35% 6, 2% 0% 10% 20% 30% 40% 保護者の役目(大会等) 送迎 保護者の仕事,家事,兄弟の世話 活動過多(日数,回数,時間) 継続できるか,仲良くできるか 保護者の負担 金銭面 低学年,性別(女子) 勉強,習い事との両立 保護者同士の付き合い 基本を教えてもらえるか 病気 怒られる なし 無回答ほか 入部への障壁となった不安要素等

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⑤ ④「入部への障壁となった不安要素等」を,入部後に振り返りどう感じますか? ○複○自 ➡④上位項目について,入部後の保護者の感想を「〇」「△」「×」で表しました. 〇=問題なし等,△=何とかなっているが大変等,×=やはり大変等 ○, 14, 28% △, 7, 14% ×, 25, 50% na, 4, 8% 保護者の役目(大会 等) ○, 15, 37% △, 3, 7% ×, 19, 48% na, 3, 8% 送迎 ○, 12, 33% △, 4, 11% ×, 19, 53% na, 1, 3% 保護者の仕事,家 事,兄弟の世話

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○, 12, 36% △, 2, 6% ×, 17, 52% na, 2, 6% 活動過多(日数,回 数) ○, 21, 66% △, 1, 3% ×, 3, 9% na, 7, 22% 継続できるか,仲良 くできるか ○, 10, 32% △, 5, 16% ×, 16, 52% na, 0, 0% 保護者の負担

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入部前,大変であることをある程度予想していたとしても,保護者が関係する項目 は,×が 50%程度に達している.予想を上回る大変さであることが示唆される. ○, 3, 18% △, 1, 6% ×, 9, 53% na, 4, 23% 金銭面

(11)

⑥お子さんの所属するチームの現状,あるいはその他のチームの活動の様子を見 て,これでいいのだろうか?あるいは,これはおかしい!と感じることがあれば教 えて下さい. ○複○自 ➡上位項目のみ 32, 12% 19, 7% 17, 6% 12, 4% 12, 4% 11, 4% 0% 5% 10% 15% 指導者(質,毎年交代,暴言等) 保護者(過保護,モラル等) 保護者の負担(役目等) 成長しない(礼儀,挨拶等) 部員が少ない チーム(元気がない,悔しさがない等) 学童チームの問題点(上位項目)

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⑦お子さんの野球活動に関わる中で,保護者の方の労力,負担が大きいと思うこと がありますか? ○単○選 ある場合,具体的に教えて下さい. ○複○自 ➡上位項目 ある, 181, 67% ない, 80, 29% na, 11, 4% 保護者の負担が大きいことが あるか? 114, 63% 45, 25% 26, 14% 20, 11% 13, 7% 12, 7% 6, 3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 役目(大会役員,当番等) 送迎 活動過多(日数,回数,時間) 仕事調整,都合 朝早い 家事,兄弟の世話 金銭面 「負担が大きい」内訳(上位項目)

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⑧野球活動を通じて,保護者として,お子さんにどのようになってほしいと願って いますか? ○複○自 ➡回答を「心」「技」「体」いずれに関するものか検討し,分類しました. ➡「心」に関する項目が非常に多かったため,その内容の上位項目を示しました. 244, 90% 20, 7% 34, 13% 19, 7% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 心 技 体 無回答ほか 保護者の願い 137, 56% 98, 40% 56, 23% 50, 20% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 仲間との関係(思いやり,協力,協調 性等) 常識(礼儀,マナー等) 頑張る力(努力,やり抜く,一生懸命 等) 強さ(我慢,責任感等) 「心」の内訳(上位項目)

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⑨野球人口の減少について,何が原因だと思いますか? ○複○自 ➡上位項目 85, 31% 74, 27% 32, 12% 29, 11% 28, 10% 0% 10% 20% 30% 40% 保護者の負担(イメージ,送迎,役目,金銭面等) 選択肢の増加(他競技を含む) 保護者がさせない(多忙,片親家庭等) 少子化 遊ぶ場所がない(野球の禁止) 野球人口減少の原因(上位項目)

(15)

⑩他の家庭のお子さん,または保護者に対し,保護者,または部員ご本人から直 接,入部勧誘をしたことがありますか? ○単○選 「あり」と回答した方で,すぐに入部に至らなかったお子さんがいた場合,理由は 何でしたか? ○複○自 ➡上位項目 あり, 171, 63% なし, 98, 36% na, 3, 1% 勧誘経験 67, 39% 33, 19% 30, 18% 22, 13% 16, 9% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 保護者自身の負担を懸念 児童はやりたいが保護者がさせない 保護者の仕事,家事,兄弟の世話 児童自身の問題(興味なし,苦手 等) 他競技の影響 即入部に至らなかった理由(上位項目)

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⑪これまで野球をして(させて)どう思っていますか? ○単○選 また,「よかった」「どちらかと言えばよかった」場合,何がよかったですか?○単○選 部 員 よかった 83%(237),どちらかと言えばよかった 17%(48),どちらかと言えばよく なかった 0%(1),よくなかった 0%(1) (理由) 好きな野球ができること 49%(139),仲間ができたこと 30%(85),… 保護者 よかった 78%(224),どちらかと言えばよかった 20%(59),どちらかと言えばよく なかった 2%(5),よくなかった 0%(0),無回答 1(0%) (理由) 好きなことに一生懸命取り組めること 45%(127),仲間ができたこと 24%(67),…

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⑫お子さんご本人が,活動を辞めたいと思ったことはありますか? ○単○選 あった場合は,その理由を教えて下さい. ○単○選 あり 20%(57),なし 78%(227),無回答 2%(5) (「あり」理由) 活動内容がつまらない,または活動時間が長いこと 25%(14),野球が思うように上 手にプレイできないこと 23%(13),… ⑬家庭状況について教えて下さい. ◆父母とも同居,土日休の家庭は 53 家庭(19.5%) ◆1 か月に児童 1 人当たり(全家庭平均) 野球活動に使う金額 3,316 円 使える最高金額 4,852 円 ※家庭により,「野球活動」の定義は異なる.(例:食事代等) 使っている金額は… 高い 3%(7),どちらかと言えば高い 27%(74),どちらかと言 えば安い 46%(125),安い 13%(36),無回答 11%(30)

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【4】 課題(考察)

⑨野球人口減少の原因に関する質問で,「保護者の負担」,「選択肢の増加」が非常 に高い値を示しているが,特にこの 2 つの項目がポイントになると考えられる. 【保護者の負担】 ④入部への障壁となっていた項目(保護者の負担に関する項目が上位)を,⑤で 入部後に振り返ってもらった.保護者は,大変であることをある程度覚悟していた であろうと思われるが,各項目で 50%程度は「やはり大変」等との回答であり,想 像以上の大変さであることがうかがえる.部員が減少し,存続が危ぶまれるチーム が続出している状況下,「役目の必要絶対数が多い」,「人手が足りない」という意見 も多く見られた. ④の通り,約 2/3 の保護者が,入部への障壁となった不安要素等があると回答し ており,その上位項目の多くは,保護者が保護者としての役割を果たせるかどうか という点に集約される.入部後も,⑦の通り,70%に迫る多くの保護者が,「労力, 負担が大きいと思うことがある」と回答しているが,その多くは大会役員や当番 等,野球に特有と思われる「役目」であり,その他の項目についても,多くは保護 者が現場にわざわざ行き,あるいは拘束されることに起因するものである. 因みに,⑦「負担が大きいものの内訳」の「役目」で,回答に記述された内容と

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して,例えば以下のようなものがあった. ・大会,試合関係(理事,審判,放送,スコア,カウントランプ,ボールボー イ,救急,会場準備・撤収,応援,車当番,お茶出し,用具の準備,雨天時の 水とり) ・普段の活動関係(勧誘,お茶当番,鍵当番,立当番,指導) このように,保護者の負担(主として役目)が想像以上に大きく,そのようなイ メージが一定程度定着した結果として,⑩の通り,(入部を希望している児童の家庭 であっても)勧誘をしても,保護者が自身の負担を懸念する等し,入部させるのを 躊躇することに繋がっていると考えられる.つまり,「役目ができないなら入部でき ない」構造になりつつあると言えるのではないか. 【選択肢の増加】 例えば,日本サッカー協会では,その目的にサッカー競技の普及を掲げており,J リーグクラブを中心に全国各地で,日常的に普及活動を展開している.また,テニ ス,水泳,体操等,五輪競技に採用されているようなスポーツから,マイナー競技 に至るまで,現在では各地で気軽に始めることができるものも多い.テレビゲー ム,パソコンの普及等もあり,児童にとって,遊びの選択肢が増加していることは 疑いようがない事実であると考えられる.また,これには,球界を挙げての普及活

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動がないことも当然ながら,プロの試合のテレビ中継数減少,学校・公園での野球 の禁止等により,日常生活での野球の存在感が薄れていることも関係していると考 えられる. 【矛盾】 ⑧で示した通り,保護者の大半は,野球を通じて「心」の成長,特に仲間との関 係があってこそ築ける力である,思いやり,協力,協調性等を身に付けてほしいと 考えている.しかし,【保護者の負担】で示した通り,保護者は自ら,役目として, カウントランプ,ボールボーイ,用具の準備,雨天時の水とり等を行っている.こ れらは,仲間と相互に協力し,部員ができる範囲のものであると考えられる.現状 は,「面倒なことはすべて保護者がやる.部員は野球に集中しろ」と言っているかの ようである.これらの行動は,保護者が望む児童の成長を,保護者自らが阻害して いるということであり,さらなる保護者の負担に繋がっているものと考えられる.

【5】 対策(提案)

◆【保護者の負担】で示した役目を削減することを提案する.放送はなくても試合

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はできるし,部員が各自で持参すればお茶当番も必要ない.部員自身で十分果たせ るものもある.まず,これらの役目の見直しを,連盟,及びチーム内で行い,指導 者と部員のみがいる現場づくりを目指してはどうか.指導者,部員以外が現場から 遠ざかれば,「保護者が大変」という印象の払拭にも繋がると考える. ◆役目を減らすことに加え,大会数を減らすことも検討してはどうか.そもそも保 護者は,野球を通じ「心」の成長を願っているから,大会での勝敗は二の次であろ うし,部員にとっても,試合をすることは,保護者に負担をかける大会ではなく, 紅白戦や,近隣のチームとの練習試合でも十分であると考えられるからである. ◆球界は,特に小学校入学前~小学校低学年の子どもに対し,「投げる」「打つ」 等,野球型競技の楽しさを伝える活動を実施してはどうか.野球は,ルールが複 雑,用具が高価等,競技を始めるにあたり不利な点を抱えているから,このような 活動を実施し,野球を身近に感じてもらう努力をしないと,比較的手軽に始められ るサッカー等に,競技人口をますます奪われてしまうのではないか. ◆中心は児童であるという視点を一層持って活動すべきではないか.「子どものため になるか」を重視して活動すれば,子どもができる役目を保護者がするといった過 保護状態になることもあり得ず,真に児童のためになる活動ができるはずである

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