TiNiZr 合金の形状記憶特性と加工性に及ぼす
Zr 濃度の影響
岡 田 直 樹
1藤 井 功 隆
1石 川 佳 樹
1小野田元伸
1金 熙 榮
2宮 崎 修 一
2 1日本ピストンリング株式会社技術開発部 2筑波大学物質工学系J. Japan Inst. Metals, Vol. 72, No. 3(2008), pp. 152157 2008 The Japan Institute of Metals
Effect of Zr Content on Shape Memory Characteristics and Workability of TiNiZr Alloy Naoki Okada1, Yoshitaka Fujii1, Yoshiki Ishikawa1,
Motonobu Onoda1, Hee Young Kim2and Shuichi Miyazaki2
1Technical Development Department, Nippon Piston Ring Co., Ltd., Shimotsuga, Tochigi 3290114 2Institute of Materials Science, University of Tsukuba, Tsukuba 3058573
Shape memory alloys with high transformation temperatures are required for being used in devices that operate at elevated temperatures. TiNiZr alloys are regarded as most practical high temperature shape memory alloys due to the relative low price of raw materials compared with other high temperature shape memory alloys such as TiNiHf, TiNiPt, TiNiPd and TiNi Au. In this study, the effect of Zr content on transformation temperatures, shape memory characteristics and cold workability in Ti49.5Ni(015)Zr alloys was investigated. The reverse transformation finish temperature increased monotonously with in-creasing Zr content, while the martensitic transformation temperatures decreased with inin-creasing Zr content, reaching the mini-mum at 5 atZr and then increased by further increasing Zr content. The martensitic transformation temperatures above 373 K were obtained in Ti49.5NiZr alloys with a Zr content above 10 at. The shape memory properties were investigated by ther-mal cycling tests under various constant stresses. The critical stress for slip increased with increasing Zr content. The maximum recovery strain of about 5 was obtained in the Ti49.5Ni(015)Zr alloys. The Ti49.5Ni(05)Zr alloys could be cold rolled up to 90 reduction in thickness without fracture. The cold workability became worse with increasing Zr content. The total thick-ness reduction prior to fracture was about 30 for the Ti49.5Ni15Zr alloy
(Received October 29, 2007; Accepted November 22, 2007)
Keywords: shape memory alloy, shape memory effect, titaniumnickelzirconium alloy, workability
1. 緒 言 これまで形状記憶合金は,携帯電話用アンテナ,床下換気 口,新幹線駆動装置の自動油圧調整ユニット,混合水栓,炊 飯器,熱水カット弁等の様々な製品となり,世に送り出され てきた.その応用例の多くは,マルテンサイト相(M 相)に 負荷を与えられた状態で,熱を受けオーステナイト相(A 相)へ逆変態する際の回復歪み,回復応力等を利用している ものである.その A 相へ逆変態する温度は,合金組成や加 工熱処理により制御している.最も多く応用されている Ti Ni 合金は,合金組成や加工熱処理を制御しても,A 相への 変態温度は水の沸点近傍が限界であることから,373 K を超 えた応用例は存在しない. 航空宇宙や自動車産業,電気産業等では,十分な加工性を 持ち,且つ 373 K 以上で変態する高温形状記憶合金があれ ば,様々な用途に応用出来ると考えられる.高温形状記憶合 金については以前より研究がされており,TiNi に Zr1,2), Hf3,4), Pd5,6), Au5,7), Pt5,8,9)等を添加することで変態温度が 上昇することが知られている.Pd, Au, Pt は貴金属であり, Hf も稀少元素であり高価なことから実用性に乏しい.これ ら添加元素の中で最も低価格である Zr を添加した TiNiZr 系が実用化の可能性が高いと考えられる.TiNiZr 系合金 では,Mulder らにより変態温度に関する報告2)や,Hsieh らによる格子定数の変化や内部組織10),時効による影響11) 等の報告がされてきた.しかしながら,Zr 添加による加工 性や形状記憶特性に関する系統的な報告例は非常に少ない. 本研究では,TiNiZr 合金の形状記憶特性や加工性に及 ぼす Zr 濃度の影響に関して系統的に調べることを目的とし た.また,その結果から高温形状記憶合金としての実用性を 検討した. 2. 実 験 方 法 Ti49.5NixZr(x=0~15 at)合金インゴットをアルゴン アーク溶解法により作製した.出発原料として,Ti(純度
Fig. 1 DSC curves of Ti49.5NixZr alloys.
Fig. 2 Zr content dependence of transformation temperatures for Ti49.5Ni(0~15)Zr alloys.
Fig. 3 XRD profiles of Ti49.5Ni(0~10)Zr alloys obtaind at 573 K. 99.9),Zr(純度 99.9)および Ni(純度 99.99)を用い た.溶解後インゴット内の組成均質化を図るため,石英管に 真空封入し,1223 K で 7.2 ks の熱処理を施した.その後, 放電加工により 1 mm の板材になるように切り出した. 1 mm 板材から示差走査熱量測定(DSC)用の試料(3 mm× 3 mm×1 mm)を放電加工機により切り出し,放電加工時に 付着した酸化膜を研磨により除去した.その後,試料を石英 管に Ar ガス封入を行い,1223 K で 7.2 ks の熱処理(溶体化 処理),水焼入れを施し,DSC 測定を行った. また,1 mm 板材から X 線回折測定用の試料(12 mm×8 mm×1 mm)を放電加工機により切り出し,放電加工時に付 着した酸化膜を研磨により除去した.その後,ロール圧延機 により 10の冷間加工を施し,1223 K で 7.2 ks の熱処理 (溶体化処理),水焼入れを施した.573 K および 173 K で X 線回折測定を行い相同定および母相とマルテンサイト相 の格子定数を求めた. 形状記憶特性は熱機械分析装置(TMA)を用いて,一定応 力下での冷却・加熱サイクル試験により評価した.ロール圧 延機による圧延と溶体化処理を繰り返し,0.2 mm の板材を 作製し,TMA 用の試料(1.3 mm×0.7 mm×0.2 mm)を放電 加工により切り出し,DSC 用試料と同様に研磨,溶体化処 理,水焼入れを施した.TMA による一定応力下での冷却・ 加熱サイクル試験より回復歪みと塑性歪みを評価した. 形状記憶特性の評価材と同様にロール圧延により 0.4 mm にした板材から,3 mm×3 mm×0.4 mm に切り出し,研 磨,溶体化処理,水焼入れを施した試料を作製した.その 後,鏡面研磨を施し,HFHNO3H2O=1150 の液で 腐食し,光学顕微鏡(OM)により粒径計測を行った.また, (CH3CO)2OHClO4=1123 の液で電解研磨を施し,走査 型電子顕微鏡(SEM)により内部組織の観察を行った. 加工性は,ロール圧延機により冷間圧延率を測定すること により評価した.1 mm 板材から圧延試験用の試料(5 mm× 15 mm×1 mm)を放電加工により切り出し,研磨により酸 化膜を除去した後,ロール圧延機により圧下量を 0.02 mm ずつ圧延し,クラック導入時および試料破断時の圧延率をマ イクロメーターにより測定した. 硬度評価は,1 mm 厚さに切り出した板材を鏡面研磨し, ビッカース硬度計を用いて行った. 3. 結 果 と 考 察 3.1 変態温度
Fig. 1 に Ti 49.5Ni xZr 合 金 (x = 0 ~ 15 at ) に お け る DSC 曲線の Zr 濃度依存性を示した.Zr の添加量を増加さ せることで M 相から A 相への変態温度が上昇していること が分かる.しかしながら,A 相から M 相への変態温度は 5 atZr 添加材では無添加材より低下し,その後添加量の増 加に伴い上昇している.Zr 添加による変態温度の違いを詳 しく検討するため,DSC 曲線からマルテンサイト変態開始 温度(Ms),マルテンサイト変態終了温度(Mf),逆変態開始
温度(As),逆変態終了温度(Af)を求め,その結果を Fig. 2
に示した.Afは Zr の添加に対応して上昇するが,As, Ms, Mfは Zr 添加量が 5 atまでは Zr 無添加材よりも低下し, Zr 添加量が 5 at以上で顕著な上昇を示していることが分 かった.Ti48.5NixZr において Mulder も同様な結果を報 告した2).また,Hf においても同様な傾向を示した報告3,6) があるが,その理由については不明である. 3.2 相同定および格子定数
Fig. 3 に Ti49.5NixZr 合金(x=0~10 at)の XRD プロ
Fig. 4 Zr content dependence of the lattice constants and unit cell volumes of B2 and B19′phases.
Fig. 5 Straintemperature curves under various constant stresses for a Ti49.5Ni alloy.
び Cu は標準試料および試料ホルダーである.Ti49.5Ni で は B2 相と Ti2Ni 相を確認した.Ti49.5Ni5Zr および Ti 49.5Ni10Zr の B2 相と Ti2Ni 相のピークは,Ti49.5Ni で 確認した B2 相と Ti2Ni 相のピークより少し低角で現われた. Wu ら12)は EDS 分 析 に よ り Ti Ni Zr で は B2 相 お よ び Ti2Ni 相に Zr が固溶することを報告しており,Zr 添加材で は,Zr の固溶により B2 相および Ti2Ni 相の格子定数が増加 し,その回折ピークが低角側へシフトしたと考えられる.
Fig. 4 に Ti49.5NixZr 合金(x=0~15 at)における A
相と M 相の格子定数および格子体積の Zr 濃度依存性を示し た.本研究で調べた Ti49.5Ni(0~15)Zr 合金において, すべての Zr 濃度で M 相は単斜晶の B19′構造である.Zr の 添加に伴い,A 相の格子定数は増大することが分かる.M 相においては,a 軸と c 軸の格子定数は増大しているが,b 軸の格子定数は Zr の添加に伴い減少している.また,b 角 は,Zr の添加に伴い,大きくなっている.得られた各格子 定数より,A 相および M 相の格子体積を計算した.その結 果 A 相および M 相のいずれにおいても,Zr の添加に伴い 体積は増大した.TiNiZr 系では Ti が Zr に置換されてい ると考えられ,Ti より原子半径の大きな Zr 濃度が増加する につれて,格子体積が増大したと考えられる. 3.3 形状記憶特性 TMA を用いて測定した一定応力下での冷却・加熱サイク ル試験結果の一例として Ti49.5Ni 合金の結果を Fig. 5 に 示した.実線は冷却時,破線は加熱時の歪みを示している. 一定応力下での冷却・加熱サイクル試験は,加熱,引張,冷 却,加熱を繰り返すことで各応力における歪み温度曲線 (ST 曲線)を得ることができ,変態・逆変態時に発生する 形状回復歪み(eA)と導入される塑性歪み(eP)を評価すること が出来る. 各 Zr 濃度における ST 曲線より得られた ePをプロット した結果を Fig. 6 に示した.Zr 無添加である Ti49.5Ni は 応力の上昇に伴い ePが著しく増加している.TiNiZr 合金 でも応力の上昇に伴い ePは増加するが,各応力での ePは小 さくなったことが分かる.また,ePが 0.5を越えた応力を すべり臨界応力(ss)と定義し,ssの Zr 濃度依存性を Fig. 7 に示した.ssは Zr 濃度 5 atまではわずかに上昇し,Zr 濃 度 5~10 atにおいては,著しく上昇した.その後,Zr 濃 度 10~15 atまでは ssの上昇は小さくなった. 各 Zr 濃度における ST 曲線より得られた eAをプロット した結果を Fig. 8 に示した.Zr の添加量を増加させると最
Fig. 6 Plastic strain (eP) plotted against tensile stress in Ti
49.5Ni(0~15)Zr alloys.
Fig. 7 Zr content dependence of the critical stress for slip for Ti49.5Ni(0~15)Zr alloys.
Fig. 8 Recovery strain (eA) plotted against tensile stress in
Ti49.5Ni(0~15)Zr alloys. Fig. 9Ti49.5Ni(0~15)Zr alloys.Zr content dependence of maximum recovery strain for
大回復歪み(emax A )を示す応力が上昇した.この結果は,Zr の添加によって固溶硬化することで組織が強化され,マルテ ンサイト誘起応力も上昇したためではないかと考えられる. 最大形状回復歪み(emax A )の計算値と実測値を比較するため, Fig. 5 で示した格子定数を用いて算出したemax A および Fig. 8 より求めた emax A の Zr 濃度依存性を Fig. 9 に示した.最大 形状回復歪み(emax A )の計算値は,A 相と M 相の格子定数と 格子対応を用いて求めた.このときの M 相は双晶を含ま ず,単一の優先方位バリアントとした.また,多結晶体であ るため 36 の試料方位に現われる歪みを平均化した.この計 算値を求める方法の詳細は,以前の論文で報告されてい る13).計算値では Zr の添加に伴い emax A は増大する結果を示 したが,実測値は Zr 濃度による依存性はないものであっ た.その理由の 1 つとして,Fig. 2 に示す様に Zr の添加量 を増加させると Afが上昇し,それに伴い一定応力下での冷 却・加熱試験の温度が高くなったことが挙げられる.試験温 度が高くなることで転位の導入は容易になり,塑性変形領域 が Zr 添加による本来の変態歪み増加分を打ち消した結果, emax A の実測値は,Zr 濃度に依存せず Fig. 9 の様に一定値を 示したと考えられる. 3.4 組織観察および粒径 光学顕微鏡(OM)による組織写真を Fig. 10 に示した.い ずれの組織写真においても,結晶粒界もしくは粒内にある第 2 相の析出が存在している.第 2 相は Fig. 3 で示した XRD プロファイルから(Ti, Zr)2Ni であることが推測される.Zr 添加による結晶粒径の変化を確認するため,得られた組織写 真より粒径計測した結果を Fig. 11 に示した.Zr の添加によ り結晶粒径が減少していることが分かる.結晶粒径の減少 が,すべり臨界応力を上昇させた一因と考えられる.また, 最大回復歪に Zr 濃度の依存性がなかったことは,Zr の添加 により結晶粒径が小さくなり,優先方位に再配列できない領 域が増大した結果も,Fig. 9 の計算結果で予想される回復歪 みの増加を抑えたと考えられる. 走査型電子顕微鏡(SEM)による内部組織写真を Fig. 12 に 示した.Fig. 10 と同様にすべての組成において第 2 相であ る(Ti, Zr)2Ni が確認された.(Ti, Zr)2Ni の量は Zr 濃度に よる依存があり,Zr 濃度が 0~10 atでは析出量に大きな 違いがなかったものの,Zr 濃度が 15 atでは,著しく析出 していることが分かった.この結果は Fig. 7 の ssの Zr 濃 度依存性と対応していないことから,(Ti, Zr)2Ni の析出に よる組織強化の影響は軽微なものであると推測される. 3.5 加工性評価と硬度測定 クラック導入時および破断時における圧延率の Zr 濃度依 存性を Fig. 13 に示した.図中矢印のついたプロットはロー ル圧延機による圧延の限界であり,その圧延率まで破断しな かったため,それ以上の圧延率が見込まれるものである.ま
Fig. 10 Optical micrographs of Ti49.5NixZr alloys. (a) Ti49.5Ni. (b) Ti49.5Ni5Zr. (c) Ti49.5Ni10Zr.
Fig. 11 Zr content dependence of grain size for Ti49.5Ni(0 ~10)Zr alloys.
Fig. 12 Scanning electron micrographs of Ti49.5NixZr alloy. (a) Ti49.5Ni. (b) Ti49.5Ni5Zr. (c) Ti49.5Ni10Zr. (d) Ti 49.5Ni15Zr. ず,クラック導入時の圧延率は Zr の添加量増加につれて, 段階的に低下している.それに対し,試料破断時の圧延率は Zr 濃度 5 atまで 90以上の圧延を施しても破断しなかっ たが,Zr 濃度 5 at以上では,著しい低下を示した.加工 性と硬度の関係を調べるために,ビッカース硬度の Zr 濃度 依存性を Fig. 14 に示した.Zr 濃度が 0~5 atでは硬度の 上昇が小さかった.Zr 濃度が 5~10 atでは著しく上昇し, Zr 濃度が 10~15 atでは硬度の上昇は飽和した.即ち, Fig. 7 に示した ssの Zr 濃度依存性と同様な傾向を示した. これらの傾向は Fig. 11 の結晶粒径の Zr 濃度依存性と対応 せず,また,Fig. 12 の(Ti, Zr)2Ni 量の Zr 濃度依存性とも 対応していないことから,Zr 添加による固溶硬化が影響し たと推測される. 3.6 TiNiZr 合金の実用性の検討 以上の結果より,TiNiZr 合金の実用性を検討した.Zr の添加により Afは上昇し,Zr 濃度 5 atにおいても約 400 K であり,水の沸点を 30 K 越えるものであった.形状記憶 合金を利用する際,加工熱処理を施し,形状記憶特性の安定 化と改善を図る.加工熱処理の際,焼鈍温度は溶体化処理温
Fig. 13 Zr content dependence of cold workability for Ti 49.5Ni(0~15)Zr alloys.
Fig. 14 Zr content dependence of vickers hardness for Ti 49.5Ni(0~15)Zr alloys. 度よりも低いため,内部組織は十分に再結晶化されておら ず,変態温度は溶体化処理材より低下する.こうしたことを 踏まえると,さらに高い変態温度が必要であり,Zr は 10 at以上の添加が望ましいと考えられる. 形状記憶特性については,Zr の添加により ssが上昇し, 冷却・加熱サイクルにおける塑性変形の導入が小さくなると 考えられる.また,emax A は Zr 添加・無添加に関わらず一定 であり,実用化されている Ti49.5Ni と同等以上の特性を期 待できる. 冷間加工性については,Zr の添加により著しく低下する が,Zr 濃度 5 atでは 90以上の加工が可能であった.し かし,高温形状記憶合金として実用性のある変態温度を示す Zr 濃度は 10 at以上であるが,Zr 濃度が 5 atを超えると 加工性が著しく低下するため,TiNiZr 合金の実用化には 加工性の改善が課題である.eAは TiNi と同程度で,ssは 2 元系合金より高いため,加工性の改善が出来れば実用化の 可能性は高いと考えられる. 4. 結 論 Ti49.5Ni(0~15)Zr を作製し,変態温度,形状記憶特 性,加工性について評価したところ,以下のことが分かった. Zr の添加量の増加と共に Af温度は上昇するが,As, Ms,Mfは Zr 添加量 5 atまでは Zr 無添加材よりも低下し, Zr 添加量 5 at以上で顕著な上昇を示した.また,Zr 添加 量 10 at以上では Ms,Mf,As,Afが無添加材より高い温度を 示した. すべり臨界応力(ss)は,Zr の添加により上昇した. また,その傾向はビッカース硬度の Zr 濃度依存性に類似し, Zr の固溶硬化によるものと推測される.最大回復歪(emax A ) は,すべての組成で 5程度を示し,Zr 濃度には依存しな かった. 冷間加工における破断時の圧延率の Zr 濃度依存性は, Zr 濃度 5 atまでは破断せずに 90以上の加工が可能であ り,Zr 濃度 5 at以上で顕著な加工性の低下が見られた.
Zr の添加によりssは上昇し,emaxA は Ti49.5Ni と同
等であったため,TiNiZr では形状記憶特性の改善が期待 出来る. TiNiZr 合金の実用性を検討すると,変態温度の上 昇に必要な Zr 添加量は 10 at以上であり,十分な加工性を 示す Zr 添加量は 5 at以下であった.このため,TiNiZr 合金を高温形状記憶合金として実用化するためには,第 4 元素の添加による加工性の改善が不可欠である. 文 献
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