• 検索結果がありません。

2.1 誰が いつ CEFR は 欧州評議会 言語政策部門の後援を受けた専門家チームが制作したもので 評議会の名によって 1996 年に初版 1998 年に改定版 そして 2001 年に商業版が発表された 欧州評議会の公用語である英語とフランス語の両方で出版されているが フランス語版は英語版を基に書

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2.1 誰が いつ CEFR は 欧州評議会 言語政策部門の後援を受けた専門家チームが制作したもので 評議会の名によって 1996 年に初版 1998 年に改定版 そして 2001 年に商業版が発表された 欧州評議会の公用語である英語とフランス語の両方で出版されているが フランス語版は英語版を基に書"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

CEFR ―いま なぜ―

織田智恵(元アイルランド国立大学ダブリン校)

キーワード: 共通参照枠組み 複言語主義 学習者中心 JF スタンダード

1. 導入

2001 年に Council of Europe(以下、欧州評議会)は、ヨーロッパ言語共通参照枠組 み1(Common European Framework of Reference for Languages: learning, teaching and assessment 以下、CEFR)を発表した。2005 年には、その使用状況を把握するための アンケート調査が欧州評議会の Language Policy Division(以下、言語政策部門)によ

って実施された。111 の言語教育に関わる機関の回答をまとめた資料( Council of Europe, 2006 d)によると、CEFR は回答機関の中でかなり広い範囲で認知されており、 その有効性は 0-3 のスケール中 2.7 の高いスコアを獲得している。その後 5 年近く経っ た今、欧州内で日本語教育/学習に関わる人々の間でも CEFR の名はかなり浸透して きた。但し、2009 年 5 月に行われたフランス日本語教師会研修会の準備段階で行われ た参加者のアンケート結果をみると、CEFR に関する知識、使用度に大きなばらつきが 見られる。中でも、CEFR に触れてはみたが、どのような形で、現場に取り入れて行くか という面で戸惑いを示した回答も少なくなかった。本論では、もう一度 CEFR とは何かと 言う基本に戻って、なぜ今 CEFR に取り組む必要があるのかを探る。 2. CEFR の概要 CEFR は英文のもので(付録を含め)257 ページに及ぶ膨大な文書である。その細部 を検討する前に、CEFR とは、いつ、誰が何のために書いたものなのか、確認しておき たい。 1 ヨーロッパ日本語教師会(AJE)が調査、執筆した「ヨーロッパにおける日本語教育と Common European Framework of Reference for Languages」で使用されている訳を筆者も使用する。

(2)

2.1 誰が、いつ

CEFR は、欧州評議会、言語政策部門の後援を受けた専門家チームが制作したも ので、評議会の名によって、1996 年に初版、1998 年に改定版、そして 2001 年に商業 版が発表された。欧州評議会の公用語である英語とフランス語の両方で出版されてい るが、フランス語版は英語版を基に書かれたものである。商業版は英語が Cambridge University Press から、フランス語版は Didier から出版されている。

2.2 何のために 本文の第 1 章に、CEFR の目的は「ヨーロッパの言語教育のシラバス、カリキュラムの ガイドライン、試験、教科書、等々の向上の為に共通の基盤を与える事」(吉島・大橋他, 2004 : 1)であると明記されている。CEFR は、欧州評議会が謳っている政治的、文化的、 そして教育的目標に寄与するために作成された。その目標とは「益々盛んになる国際 間の流動性とより緊密な相互理解に対応できる能力を全欧州人に身につけさせること、 相互理解と寛容さを促進すること、お互いの知識を深めることでヨーロッパ文化の豊か さと多様性を維持しまた促進すること、言語的文化的境界線を超えて互いに意思疎 通をする能力を相当な程度まで発展させることによって他言語で多文化ヨーロ ッパのニーズに答えること」(Council of Europe, 1998. 筆者妙訳)が挙げられる。 2.3 何が書いてあるか この膨大な文書の説明として、Frank Heyworth(2006 : 181)は「行動中心アプローチ に基づく言語学習/教育の詳細な分析の記述と共通参照レベルの二つが緊密に絡 み合っている文書」と一文でまとめている。つまり CEFR には、言語学習に関する分析と 言う理論的側面と、言語熟達度のレベルという、より具体的な側面が存在していると言 えよう。 2.4 共通参照枠の「共通」と「参照」の意味 2.4.1 共通参照枠の「共通」には、幾重にも意味がある。 重要な点は、あらゆる言語にも共通であるということである。また「言語教育、学習に 関わるもの、つまり教育行政関係者、授業コース設計者、教師、教師養成者、試験機

(3)

関、これらに共通の基盤を与える」(吉島・大橋他, 2004:1)とあるように、言語学習/教 育に関わる関連者皆に共通であるということ、同時にヨーロッパ内の、国、教育機関、 教育レベルの枠を超えて共通との意味合いを持つことにも注視したい。

2.4.2 あくまで参照のため

参照枠の「参照」という言葉が鍵であることはしばしば忘れられる。例えば、この文書 は発表された 2001 年当初は CEF(Common European Framework)と短縮して呼ばれ ていた。これが CEFR へと移行してきたのが 2004 年頃と思われる。現に、Keith Morrow (ELT Journal の編集長)が 2004 年に CEFR のタイトルについて次のように言っている。 「CEF のタイトルを言う時、残念ながら一番肝心な二つの単語が抜け落ちている。その 二つの言葉とは‘of reference’だ」(Morrow, 2004 : 8)。 本文の序にも度々「CEF を自分 たち個々の目的のためにどう利用したらよいかという問題には立ち入らない。それぞれ の考えに従って利用して差し支えない」、「何をすべきか、どうすべきかを指示しようとは 考えていない」(吉島・大橋他, 2004:i)とある。つまり考えるための叩き台として、また今 まで気付かなかった選択肢を探る等その利用方法は、あくまで参照のためなのである。 また CEFR を評して「これは詳細な地図のようなもの」(Morrow, 2004 : 8)と前述の Morrow は説明している。つまり言語学習/教育の道程で各人が CEFR という地図に 網羅されている道の中から最適な道筋を選択するために使用すべきだとの意味であろ う。 3. CEFR の背景と成立ち 欧州評議会が CEFR の初版を 1996 年に発表したことは 2.1 で述べたが、そこに至る までの過程をここでもう少し詳しく述べておく。この過程は欧州評議会が発足し、欧州 文化条約(Council of Europe, 1954)が施行されてからの 50 余年に及ぶ研究と努力の 道のりであった。この道のりを振り返ると、なぜ CEFR が現在の形になったか、またその 意義をより深く把握することができる。 3.1 欧州評議会とは何か

まず欧州評議会と欧州連合(European Union 以下 EU)の違いについて、簡単に解 説しておく。現在、耳にする頻度は EU のほうが高いが、歴史的には欧州評議会のほう

(4)

が古い。欧州評議会は、第二次世界大戦直後の 1946 年スイス・チューリッヒで Winston Churchill が欧州合衆国の設立を呼びかけ(川崎, 2004)、48 年オランダ・ハーグで後に 欧州評議会となる機構等に関する議論が行われ、その結果、欧州評議会は 49 年にロ ンドンでその規約を調印して発足、当時の加盟国は 10 ヶ国であった。1950 年には、人 権、民主主義、法の支配等評議会が目指す基本理念を載せた欧州人権条約が調印さ れた。本部はストラスブールに設置されており、2010 年 4 月現在、加盟国 47 カ国、オ ブザーバー国 5 カ国でこの中に日本も含まれる。これに対し、EU は 1967 年に発足し た欧州共同体(EC)をその前身としている。EU とは、この共同体を基礎に、欧州連合条 約に従い、幅広い協力を目指すざす政治・経済統合体である。国家主権の一部の委 譲を前提に、世界最大の単一市場を形成し、27 カ国の加盟国からなる(外務省サイト)。 但し、CEFR に関して言えば、EU も評議会との協力、協調体制を取っている。 3.2 はじまり 評議会において、1954 年に締結された欧州文化条約の第 2 条に、「加盟国が他加 盟国の言語、歴史、文明の学習を奨励すること。またその学習を推進出来る様計ること」 が明記されている。この時点で評議会は多言語ヨーロッパ内では(古典語ではなく)現 代語の学習が人権、民主主義の支配を目指すとした評議会の基本理念に不可欠との 理解があったのである。 3.3 その後 これを受けて評議会は早速言語教育改善と促進のための研究に取り組む。その経 過は評議会の言語政策部門が 2006 年に発表した Plurilingualism Education in Europe,

50 Years of international co-operation (Council of Europe, 2006 d)と 2007 年に発表し

た Modern Languages in the Council of Europe 1954-1997 (Trim, 2007)の 2 文書に詳 しい。前者は、CEFR が発表された 2001 年の欧州言語年までをカバーし、CEFR が公 刊されるに至った歴史を 2 ページにまとめている。後者は、CEFR の執筆者の一人であ る John L. M. Trim によって書かれたもので、CEFR の公刊に辿り着くまでの記述に全 6 章計 38 ページを費やしている。ここでは 1 章から 6 章を簡単に紹介しよう。

(5)

第 1 章 最初の 10 年:1954-1963 欧州評議会の加盟国は、第二次大戦後国内の復興に力を注いでいたが、1959 年 にフランス政府が各加盟国政府の教育関係高官を招集、中等教育に関する協力を主 題に会議を開催した。その際、外国語教育の促進とカリキュラムにおける各加盟国間 での協調が課題の一つとして取り上げられた。これに呼応する形で加盟国の文部大臣 会議が招聘され、上記の課題のプログラムが推進されることになる。その後このプログラ ムの一環として外国語教育の新方式と題したコースがフランス政府の後援で開催され た。これは主に成人を対象とした直接法によるフランス語コースで、テープレコーダーと スライドと累進的語彙集を用いた視聴覚方式であった。このプログラムに関する成果報 告書では、話し言葉としての外国語教育が「文化」の獲得に繋がらないと信じる教師陣 が未だ多くいる点が指摘されている。この「文化」とはある地域の社会で共有する価値 観、信条、風習等を意味する社会人類学で言う文化ではなく、文明を知的側面から捕 らえた「高尚な」文化を意味していた(Trim, 2007:6)。

第 2 章 Major Projects in Modern Languages:1964-1974

上記の方式を全加盟国が一体となって広める現代語メジャープロジェクトが展開され る。中でも 1969 年に発表された Recommendation (69) 2 には、「言語の多様性はヨーロ ッパ文化遺産の一部であり、統一を妨げるものとしてではなく、現代語の学習を通して 知的芳醇の源を提供するものとして捕らえられるべきである」との項目がある。また「現 代語の学習はエリートにだけ与えられる贅沢ではなくすべての人々が保持出来る情報 と文化の媒介と考えられるべきである」との言及があり、時代を反映したものとして興味 深い。 第 3 章 成人教育のためのヨーロッパユニット単位制度 これまでに推進されたメジャープロジェクトは主に初等、中等、高等の3つの教育段 階での言語教育方法の刷新を主眼にしたものであったが、この章で述べる活動は生涯 教育を視点としたものである。生涯教育の一環として、教育機関外で行われる言語学 習は連続して行われることが難しく、これをどう評価するかで議論の焦点となった。M.

(6)

Bertrand Schwartz2はこの問題を、学習内容をブロックに分け、このブロックごとに学習 者が時間のある時に学習し、そのブロックに対する評価を行うという方法で解決しようと した。これは、アメリカで使用されていたユニット/単位制度に類似している。欧州評議 会は、この方式の可能性を探るため、スイスにある Eurocentres3に協力を依頼しパイロッ トプロジェクトを試みた。その結果は 1971 年にスイスのルシュリコンでのシンポジウムで 発表され、これを受け 5 人のメンバーの研究グループが結成され、より細かい研究をす ることとなった。この成果として出てきたのが 1975 年に出版された Threshold Level (Ek, 1975)である。Threshold Level はその後開発されたフランス語の Niveau Seuil と共に言 語教育に多大な影響を与えた。Threshold Level の画期的な面は、「日常生活の具体 的場面を想定し、学習者が自ら行動するには言語をどう使用すれば適切かと言う具体 例を示す文書である。どのような知識と技術を身につける必要があるかということ、さら に到達度レベル等が具体的に記述されている。」(山川, 2008 :98)ことである。 その後 Threshold Level はカリキュラムの作成、教科書の改良、より現実に即した妥当な評定方 式等の基礎となった(Trim, 2007 : 20) 。 第 4 章 プロジェクト 4: 1978-1981 結局ヨーロッパ単位制度は採用されなかったが、その研究途上で生まれてきた Threshold Level が示した言語学習に対する基本姿勢の転換が次への発展へと繋がっ た。つまり、言語を実質的な意思疎通の目的で使用し、言語習得の度合いが部分的で あっても目的を達成していくという学習方式は学習者にとって励みとなり、より多くの言 語学習を可能にしたのである。さらに、この方式を広くヨーロッパで採用することが可能 かどうかを探るプロジェクト 4 が実施される。このプロジェクトは「現代語:ヨーロッパ内で の(相互)理解、協力、(人々の)移動性を高めるための言語学習の改良と増大」(括弧 内筆者加筆)と名付けられた。その目標の中には「学習者が可能な限り自分の進歩を 推進、管理でき、その学習者のニーズ、動機、特色に沿った学習プログラムの計画、建 設、施行するための基本的な概念的道具を提供すること。言語学習の実行にあたって 2 Bertrand Schwartz はフランスの生涯教育が専門の教育学者。1971 年のリシュリコンシンポジウ ムで ”A prospective view of adult education. Report I. Studies of permanent education”を発表。 3 Eurocentres に 関 して は <http://www.eurocentres.com/en/eurocentres/History,23.html> に 詳 し い。

(7)

の緊密で効果的な国際協力体制のための枠組みを提供すること」(ibid. : 23)等、後に CEFR 構築へと発芽する種がここに見られる。 第 5 章 プロジェクト 12: 1982-1987 「コミュニケーションのための言語学習と言語教育」と名付けられたプロジェクト 12 は、 主に中等教育での言語教育の刷新を中心課題にしていた。この時期にはプロジェクト に関わる専門家が欧州内の 13 の国を訪れ各国の異なった教育システムでの新しい言 語教育の現状を視察した。この視察の目的はコミュニケーションを中心とした言語教育 を推進することだった。この刷新には教師養成が不可欠となり国を超えた養成者のワ ークショップが頻繁に開かれた。 第 6 章 ヨーロッパ市民のための言語学習: 1990-1997 同名のプロジェクトが 1990 年に立ち上げられ、新たに東欧、また中央ヨーロッパから の加盟国を迎え、評議会の活動も益々活気を帯びてくる。評議会の言語学習、教育に 関するその後の基礎がこの時代にしっかりと築かれ、数々のワークショップが開催され、 そ のテーマの中に学習者オートノミ ーが顔を出すようになってきた。そ の結果は

Recommendation No. R (98) 6(Council of Europe, 1998)にまとめられ、異文化間コミュ ニケーションと複言語主義が基本政策の目標の一つとなった。 3.4 CEFR 構築、公刊への道程 1991 年にスイスのルシュリコンでシンポジウムが開催され、CEFR/ELP (European Language Portfolio、第 6 節後述)が提案された。ここで意見の一致をみたのは、相互 理解の為の言語学習、言語学習は就学以前の児童から成人まで生涯を通して、また 全レベルのヨーロッパ共通フレームワークの開発が望ましいという点である。このフレー ムワーク構築の目的としては、国を超えて教育機関同士の協力を推進する、言語資格 の相互認定のための確固とした基盤を提供する、言語学習/教育に関わる人々相互 の努力の調整役をなす等が合意された。 これを受けてスイス研究プロジェクト委員会が発足し 1993 年から 1996 年にかけて、 レベル判定のための能力記述尺度の研究とその記述文の作成がなされ、この時点で ELP の原型も作成されている。1996 年には初版本が出版され、その後この初版本に対

(8)

する教育機関からの意見を基に書き直した改訂版が 98 年、続いて 2001 年ヨーロッパ 言語年に現在の形の物が出版された。 4. CEFR の主要コンセプト 第1章の1にある、CEFR の主要コンセプトは以下の通りである。 言語学習者が言語をコミュニケーションのために使用する為には何を学ぶ必要が あり、効果的に行動が出来るようになるためには、どんな知識と技能を身につけれ ばよいかを総合的に記述するものである。そこでは言語が置かれている文化的な コンテクストをも記述の対象とする。CEF はさらに学習者の熟達度のレベルを明示 的に記述し、それぞれの学習段階で、また生涯を通して学習度が測れるように考 えている。(吉島・大橋他、2004:1 下線筆者) CEF は「部分的」資格認定も許容する立場を取る。かなり限定された形での言語 知識が要求されるだけの環境であれば、それをよしとするのである。(…)このよう な能力にも公の認知を与えることは、様々な言語を学ばせることにつながり、その ことは複言語主義 (plurilingualism) を浸透させるのに寄与するであろう。(吉島・ 大橋他、2004:2 下線筆者) ここに、CEFR の重要なポイントがほぼすべて含まれていると言える。共通参照レベル は別項をもうけるが、その他のコンセプトを一つずつ簡単に紹介しよう。 4.1 コミュニケーションとしての言語使用 言語をコミュミケーションの道具として使用するには、その言葉がよくできるということ だけでは充分ではない。CEFR の 2.1.2 のコミュニケーション言語能力と題する段落で は、この能力は言語能力、社会言語能力、言語運用能力から構成されており、またそ れぞれの能力が知識、技能、ノウハウからなっているという詳細な分析がある。また、こ こでも「ヨーロッパで使われている現代語をより良く知る事は、異なった母語を話すヨー ロッパ人の間のコミュニケーションと相互対話を容易にし、ヨーロッパ人の移動、相互理 解と協力を推進し、偏見と差別をなくす事を可能にする。」(吉島・大橋他, 2004 : 2)と 評議会の基本姿勢への言及がある。

(9)

4.2 行動中心アプローチ 行動中心アプローチまたは行動志向的アプローチ4とは、言語の熟達度を、学習者 の言語知識ではなく、学習者/使用者が言語を使って何ができるか、つまり学習者の 行動で計ることである。CEFR 本文の中には「言語の使用者と学習者をまず基本的に 『社会に行動する者・社会的存在 (social agent)』、つまり一定の与えられた条件、特定 の環境、また特殊な行動領域の中で(言語行動とは限定されない)課題 (task) を遂 行・完成することを要求されている社会の成員と見なすからである」(ibid. : 10)とある。 何をどれだけ知っているかではなく、その言語を使って何をどうできるかを重視するア プローチである。 4.3 複言語主義/複文化主義 「複言語」という聞き慣れない言葉は、「多言語」と区別するために生まれてきた。ここ では複言語主義をより鮮明に理解するため「複言語」を含む次の 3 つの言葉を説明し よう。 しばしば耳にする「多言語」とは「多言語状況」を表す際に使われ、この状況は「集団 内での言語、文化の共存、実体としての言語構造」であると福島(2007, slide 19)は説 明している。これに対し、複言語状況は「個人内での言語、文化の共存と実践としての 言語活動」と定義している(ibid.)。 複言語主義とは、個人の複言語能力を高める必要を説く立場から発せられた主張で、 その「複言語/複文化能力とは、コミュニケーションのために複数の言語を用いて異文 化間の交流に参加する能力のこと、一人一人が社会的存在として複数の言語に、すべ て同じ様にとは言わないまでも、習熟し、複数の文化での経験を有する状態」(吉島・ 大橋他, 2004 : 178)で発達する能力を指す。この能力は「別々の能力を重ね合わせた り、横に並べたりしたものでなく、複雑で複合的でさえあると考えられる」(ibid.) 。 つまり、複言語/複文化主義とは、そのような言語能力と異文化への寛容さを兼ね た態度を国民が培うことが出来るような言語政策を推進することと定義されよう。 4 吉島・大橋は活動中心アプローチと訳、独立行政法人国際交流基金(2005)は行動志向アプ ローチと訳しているが筆者は行動中心アプローチと訳す。

(10)

4.4 生涯教育 複言語状況の中では、教育機関内のみで言語学習が行われるわけでなく、機関外 で行われる可能性も多いだろう。また移民を含め就職、教育の場でも人口移動が盛ん になってきている現状を考えると、言語学習はある一定の年齢のみではなく一生続くと 考えられる。そのためには、学習者をどの年齢でも自分の学習が管理できる自律学習 者へと教育、訓練する必要性がある。 5. 共通参照レベル CEFR が発表された時点で把握し易いという理由で最も注目を得たのは、この共通 参照レベルに関する部分である。 5.1 尺度表はいくつあるか 共通参照レベルの核としては Global Scale5とよばれる尺度表がある。ここでは基本的 使用者、独立した使用者、そして熟達した使用者とまず大きく 3 段階に分けて A, B, C とし、その A, B, C をさらに 1, 2(例、A1, A2)と 2 段階に分け、全体では 6 段階を設け ている。この Global Scale がすべての尺度表の基本レベル設定である。これを基に言 語技能別に表した自己評価表(self-assessment Grid)と、話し言葉の質的側面から計っ た尺度表(通称 Assessor Grid)があり、この 3 つが中心的で全体的なものであるが、こ れ以外にも言語使用の場面、状況等を具体的に設定した例示的測定尺度表と呼ばれ るものが 54 ある。 5.2 特徴 共通参照レベルの大きな特徴は、何と言ってもそのレベルを表す能力記述文が Can-do statement と呼ばれる「~ができる」で終わる文章で表されていることだろう。従来 のレベル表記と比して、学習者の間ではこの前向きな能力記述文が好評を得ている。 また、従来の 4 技能別を共通参照レベルでは、理解すること、話すこと、書くことの 3 技能とまず大きく分け、その中の理解を聴解、読解とに、話すことをやり取りと表現とに わけ 5 技能で表している。また話し言葉の質的側面から計った尺度表は、使用領域の 5 吉島・大橋では「共通参照レベル:全体的な尺度」とあるが、筆者は Global Scale をそのまま使 う。

(11)

幅、正確さ、流暢さ、やり取り、一貫性の 5 つから計ったものである。 この Global Scale の 6 段階レベルは明らかに、言語学習内容を 6 つに分けたわけで はなく、また均等に一つずつの段階が設定されているわけでもない。つまり B1 と B2 の 幅は A2 と B1 の幅に比べ広く、到達するための所要時間は長いのが普通であると考え られる。また C2 での能力記述文をみると、ここでは専門的教育を受けた者が多岐に渡 る技能を駆使して複雑な言語使用をするレベルであるので、その言語の母語話者が C2 であるとは必ずしも言えない。 またどの言語にも共通ということで、レベルの透明性も高まり、最近出版された教科 書、教材等にこの共通レベルでのレベル表記がされているものが多くなった。特に 様々な言語能力試験で直接あるいは間接的に使用されている。代表的なものには

ALTE(the Association of Language Testers in Europe)の試験がある。

6. ELP(ヨーロピアン・ランゲージ・ポートフォリオ)とは?

欧州評議会が CEFR とセットとして準備した European Language Portfolio(以下、ELP) とは何か。このポートフォリオとは通常、紙包み、折かばん、フォルダーを意味する。つ まり ELP とは、学習者各人が学習のために作成携帯するフォルダーのことである。 1991 年ルシュリコンのシンポジウムにおいて CEFR と共に ELP も提案された。1998 年から 2000 年の間 115 カ国 3 団体を対象にパイロットプロジェクトが実施され、欧州評 議会は 2000 年に正式に ELP の導入を勧告し、ELP 使用の開始と普及への動きが始ま った。 6.1 ELP の基本 基本事項としては次のことが言える。

ELP は CEFR と理論上セットになっているものである。つまり CEFR の推進する 言語学習、教育理念の実践のために考案された学習ツールである。 ELP はその学習者の所有物である。 欧州評議会が実際の ELP を作成、配布しているわけではない。 - 国、教育機関、言語教育グループが学習者の環境、目的に応じて開発 し欧州評議会の認定をうける必要がある。 - 認定を受けたものを配布し使用する。

(12)

2009 年 5 月の時点で認定されたポートフォリオは 99(2010 年 4 月現在 107)で ある。 6.2 ELP の構成 ELP は、次の 3 部から構成されている。 言語パスポート 言語学習録(履歴書) 資料集 言語パスポートの中には、ELP 所有者が以下のことを記入する。 自己の総合的言語歴(母語を含む) 各言語の現在のレベル(CEFR の中にある自己評定表を用いて) 部分的あるいは技能別レベル・公的資格、言語学習歴、異文化体験歴 等 欧州評議会は、成人の学習者には規格パスポート6を使用するよう奨励してい る。 また現在は、欧州評議会と欧州連盟が共同で開発したユーロ言語パスポートもあり、 これを使用することもできる。これはネット上自分で作成でき、学習が進むに従って作り 直すことも可能である7 言語学習録には、今後の目標、学習過程、異文化体験を記入する。前述の言語パ スポートとの違いは「言語学習記録は、学習者が学習計画を立て、それを実行していく 上で、自己の学習過程、学習進度を観察し、自己評価を行っていく助けとなる言語学 習ダイアリーのようなもの」(国際交流基金, 2005 :55)で、この部分が ELP の中では一番 教育的要素の高いものであろう。 資料集には、学習者が作成した実際の作品(手紙、作文、作成したビデオ等)を入れ 具体的に学習到達度を示すことができる。 6 詳しくは<http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/documents/Pass_2spr.pdf>を参照。 7 ユーロパスの中には、履歴書、免許、証明書の立証書、資格免許立証書、移動記録等が言語 パスポートと共にある。

(13)

6.3 ELP の機能 機能には、報告的機能と教育的機能との二つがある。 報告的機能としては、公的試験等で与えられる言語に関する資格を補足するものと して、ELP 所有者の具体的な言語学習経験、外国語の熟達度、到達度を示し、学校教 育内/外両方の言語学習を記録することでより正確な学習者の学習歴の実体を報告 できることがある。 教育的機能としては、ELP 所有者が、自分がどうやって学習しているかを振り返り、こ れからどこに向かうのか等の目標設定をし、自分の言語学習、異文化体験を自己評価 することで自律学習を促す働きとなる事があげられる。 7. CEFR と日本語教育 CEFR はそもそもヨーロッパのものである。本文の中にも「ヨーロッパの」と言う言葉が 再三に渡り出てくるが、このヨーロッパのヨーロッパ人によるヨーロッパ人のための枠組 みがどのように日本語教育と関わってくるのだろうか。 7.1 ヨーロッパからの視点

2005 年と 2006 年に施行された調査(Council of Europe 2006c ; Martyniuk 2007)に よると 90%がカリキュラム、シラバス作成に有効と回答しており、また 87%が試験、評価、 課程修了証明書などに有効、78%が総体的に有効と回答している。CEFR は、既に 36 言語に訳されていて、現在 2 言語の翻訳が進行中8との現状を考えると、CEFR は欧州 内の言語教育にかなり浸透してきている様子である。 また、2008 年に出された勧告 CM/Rec (2008) 7 によると、各加盟国の教育省庁に 対して、複言語主義の普及と CEFR の最大限の活用を促すための手段、対策を取るよ う勧告を出している。この勧告は多岐に渡るもので、政策立案者から教科書出版社ま でに詳しく何をすれば良いかを述べている。実際、最近出版された教科書を見ると、そ の殆どがレベル表記を CEFR のレベルに合わせている。 このように見てくると、CEFR が各方面で取り上げられ、現場にも浸透してきているの は事実と言えよう。ヨーロッパ内で日本語教育に携わる者としては、CEFR を無視できな

(14)

い状況となってきている。 7.2 日本からの視点 日本では CEFR が注目されているばかりではなく、国際交流基金は 2010 年 3 月に 発表した JF 日本語教育スタンダードの構築を行うにあたって、先行研究として CEFR を 参考にしている。事実「JF スタンダード第1版開発に向けて」と題する公開文書の中で、 次のように JF スタンダードを説明している(一部改変)。 JF 日本語教育スタンダード(以下、JF スタンダード)は「日本語教育がますます 多様化する今、教員養成、再研修、カリキュラムやコースのデザイン、講座開発な どについて議論する際には、同じ言葉で語るための議論の基盤やよりどころ」とな るものである。 その目的としては、「グローバル化する国際社会で文化的多様性を尊重」する 社会の構築するため言語教育への一提案として、「他言語社会の中に日本語を 位置づける」ことで、その際必要な視座は「相互理解のための日本語」であり、そ のために必要な能力として「課題遂行能力」と「異文化理解能力」が重要であると 考える。 このため第 1 版では能力記述文データベース、ポートフォリオのサンプル、事例 集を公開する予定。この能力記述文データベースは CEFR の例示的能力記述文 を改めて整理し、教育現場で応用しやすい形で提供する。その際、CEFR の共通 参照レベルというグローバルな物差しを使うことで他言語と比較できる仕組みを維 持しながら、日本語教育関係者になじみのある用語を用いて教育現場にわかりや すい記述としていく。(国際交流基金, 2009 : 259-260) また JF スタンダードを利用して日本交流基金は、新日本語能力試験との有機 的運動の具体化(…)すなわち、従来の<言語知識を塔部分が全体の約半分を閉 める試験>から<実際的な言語運用能力をはかる試験>への改訂を行い、CEFR な ど国際的枠組みとの連携を保つとしている。これはグローバル化する国際社会に おいて他言語教育の必要性を認識し、各言語間における教育上、社会政策上の 透明性ないし横断性を高めることは、各言語教育の発展にとって有益であると考 えるからである。(国際交流基金, 2009 : 22-23)

(15)

以上のように日本からの発信に於いても CEFR の重要性が認識されてきている。ヨーロ ッパの言語教育の現場で CEFR が広く深く浸透し、世界各地における日本語教育の現 場でも CEFR の影響が増す今、CEFR と日本語教育は最早切り離すことができない。 8. 今後の課題 今後の課題として、CEFR 自体が持つ問題と、日本語教育に携わる者が持つ課題と の両面を考察する。 8.1 CEFR 自体が持つ課題 CEFR 自体が持つ課題として、この文書自体が非常に読みにくいと言うことが第一に 挙げられよう。また共通参照レベルを含め、どの言語にも適応させるという目的のため、 具体性を欠く面があり、能力記述文で時折見られる曖昧さが、CEFR の内容を掴みにく くしているのではないだろうか。 CEFR の序の中で、CEFR が満たさねばならない条件として「包括性」が挙げられて いるが、これは言語の知識、技能、使用方法をこの文書の中にできうる限り含めなけれ ばならないとの意味である。勿論、人間の言語活動すべてを網羅するのは Trim (2007 : 38)が言うように不可能なことであるが、できるだけ多くの言語活動の多岐に渡 る側面を含もうとする点で、複雑さが増している。しかしだからこそ、ここに CEFR のダイ ナミックな点があり、この文書が完結したものではなく、まだこれからも発展していく可能 性を持つものと言えよう。 さらに、言語教育を語るときに母語教育、また学校教育内での言語が討議されねば ならないのではないかという課題も浮上してきている。 政治的にみると、6.1 で述べたように、欧州評議会の性質上、勧告という形をとるゆえ に各国の言語政策との関わりにおいて CEFR の普及の速度の足並みがどの程度揃う かということも課題として残る。 8.2 日本語教育に携わる者が持つ課題 既に述べたように、CEFR は、あくまで<参照する>文書である。現場の教師にとって はやや概念的な参考書であり、その中に即利用できるカリキュラムがあるわけではない。 しかし CEFR を取り入れた日本語教育をしていく上で、まず求められていることは、序に

(16)

あるように各人が任された「学習者の需要、動機、特徴、学習教材について反省をめぐ らす」(吉島・大橋他, 2004 : ii)ことではないだろうか。CEFR は学習者中心の言語教育 を強く求めている。そのために教授側に立つ者としては、学習者のニーズの徹底的な 分析、つまり学習者は日本語を使って何をしなければならないのかをはっきりと確かめ た上で、その目的にむかって学習者は何を学習しなければならないのかを明確に理解 する必要が生じる。 では、それをどのように教えるか。この問いに対し、CEFR は学習者一人ずつの学習 方法が違うこともあり得ると言う。生涯教育を可能にするためには、学習者が言語とまた 学習方略も学びながら自律学習のできる学習者へと育つようにと教育していくことが望 ましいとする。 具体的には各人の受け持った学習者のニーズに答えるコースを作成する際に、 CEFR の中の概念、理論の文脈化をしていかなければならない。ここで言う文脈とは英 語の context であり、実際のコースの中身である。そのためには CEFR のレベルに沿っ た日本語特有の事項を考慮に入れた RLD(Reference Level Descriptor)(Council of Europe, 2005)を整えることが早急に必要である。語彙集等は少しずつ出版されて来て いること9と、JF スタンダードが発表されたことを考えると、日本語での CEFR を取り入れ たコースデザインにも今後大いに発展があると思われる。 参考文献 石橋嘉一 2006. 「ヨーロッパ共通参照枠(CEF)におけるコミュニケーション言語能力」、『異文化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 研 究 』 第 18 号 、 異 文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン セ ン タ ー 、 pp.161-179 <http://www.kuis.ac.jp/icci/ publications/kiyo/pdfs/18/18_05.pdf> 2009 年 12 月 22 日 外務省サイト <http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/data.html> 2009 年 12 月 26 日 川崎晴郎 2004.「『チューリッヒ演説』の一解釈」」外務省月報 2004/No.1 pp.61-90 <http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/geppo/pdfs/04_1_3.pdf> 2009 年 12 月 24 日 福島青史 2007.「欧州言語教育政策と CEFR, ELP」ポーランド日本語勉強会、ワルシャワ 講義 資料 < www.gsjal.jp/lep/dat/fukushima02.pps > 2009 年 12 月 26 日 藤原美枝子 2003. 「ヨーロッパにおける言語運用能力評価の共通フレームワーク ―コミュニケ ーション能力の新しい理解をめぐって―」『言語と文化』第 7 号 甲南大学国際言語文 化セ 9 例えば山内博之(編著)2008 年『日本語教育スタンダード試案 語彙』ひつじ書房等がある。

(17)

ンター pp.101-124. 山川智子 2008.「欧州評議会・言語政策部門の活動成果と今後の課題―plurilingualism 概念の もつ可能性―」『ヨーロッパ研究』第7号 東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センター pp.95- 112 <http://www.desk.c.u-tokyo.ac.jp/download/es_7_Yamakawa.pdf> 2009 年 12 月 26 日 吉島茂・大橋理枝(訳・編)2004.『外国語教育Ⅱ-外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッ パ共通参照枠』朝日出版社 <http://wwwsoc.nii.ac.jp/jgg/jggla/library/cef_verzeichnis.html> 2009 年 12 月 26 日 独立行政法人国際交流基金 2005.『ヨーロッパにおける日本語教育事情と Common European

Framework of Reference for Languages』ヨーロッパ日本語教師会編<http://www.jpf.go.jp/j/ publish/japanese/ euro/ index.html >2009 年 12 月 21 日

独立行政法人国際交流基金 2009.「JF 日本語教育スタンダード、概要」

<http://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_rsorcs/standard/index.html>2009 年 12 月 22 日

Coste, Daniel. 2007. “Contextualising uses of the Common European Framework of Reference

for Languages.” Strasbourg: Council of Europe. pp.38-47. Intergovernmental Language

Policy Forum Report. Strasbourg, 6-8 February 2007. Strasbourg: Council of Europe. <http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Publications_EN.asp> December 26, 2009

Council for Cultural Cooperation. 2000a. “European Language Portfolio(ELP): Principles and Guidelines.” Strasbourg: Council of Europe. DGIV/EDU/LANG(2000) p.33.

──. 2000b. “European Language Portfolio(ELP): Rules for the Accreditation of ELP Models.” Strasbourg: Council of Europe. DGIV/EDU/LANG(2000)26 rev. 2.

<http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/validation.html> December 24, 2009.

──. 2002. “European Language Portfolio(ELP): Guidelines for the Submission of ELP Models for Validation.” Strasbourg: Council of Europe, 2002. DGIV/EDU/LANG (2002) p.12. <http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/validation.html> December 24, 2009.

Council of Europe. 2002. “Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment Case Studies.” Strasburg: Council of Europe. <http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/documents.html> December 24, 2009.

──. 1954. “European Cultural Convention.” Council of Europe.

<http://conventions.coe.int/Treaty/ Commun/Que Voulez Vous.asp?NT=018&CM= 2&DF=13/12/2005&CL=ENG> December 24, 2009.

──. 1982. Recommendation No. R (82) 18 of the Committee of Ministers to Member States Concerning Modern Languages, Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Conventions_EN.asp> December 24, 2009. ──. 1998. Recommendation NoR(98)6

(18)

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Conventions_EN.asp>December 24, 2009.

──. 2001a. “Common European framework of References for Languages: Learning, Teaching, Assessment.” Cambridge: Cambridge University Press.

──. 2001b. Recommendation 1539 (2001) of the Parliamentary Assembly of the Council of Europe on the European Year of Languages. Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Conventions_EN.asp> December 24, 2009

──. 2004. “European Language Portfolio(ELP): Principles and Guidelines with Added Explanatory Notes.” Version 1.0. Strasbourg: Council of Europe. Language Policy Division. 2000. DGIV/EDU/LANG(2000) 33rev.1. Revised in June 2004.

<http://www.coe.int/T/DG4/Linguistic/Source/Guidelines_EN.pdf> December 24, 2009. ──. 2005. “Reference Level Descriptors for National and Regional Languages (RLD): Guide

for the Production of RLD” Version 2, Language Policy Division. DG IV. Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Source/DNR_Guide_EN.pdf>December 24, 2009. ─ ─. 2006a. “Plurilingual Education in Europe: 50 Years of international co-operation.”

Language Policy Division, Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Source/PlurinlingalEducation_EN.pdf> December 24, 2009.

─ ─. 2006b. “Plurilingualism, Diversity, Citizenship. Summary Progress Report – 2006.” Steering Committee for Education (CDED) (2006) 6. Strasbourg, 18-20 October 2006. 1-6. <http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Guide_niveau2_EN.asp>December 26, 2009.

──. 2006c. “Survey on the Use of the Common European Framework of Reference for Languages (CEFR). Synthesis of Results.” Council of Europe. DGIV/EDU/LANG (2006) 2. pp.1-6.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Publications_EN.asp> December 26, 2009.

──. 2006d. “European Language Portfolio: Key Reference Documents”. Council of Europe. Language Policy Division. DGIV/EDU/LANG (2006) 4. Strasbourg, February 2006. pp.1-35.

<http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/validation.html> December 24, 2009.

──. 2007. “From Linguistic Diversity to Plurilingual Education: Guide for the Development of Language Education Polices in Europe.” Executive Version (2007) Language Policy Division, DGIV, Strasbourg : Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Guide_niveau3_EN.asp> December 24, 2009.

──. 2008. Recommendation CM/Rec (2008)7 of the Committee of Ministers to member states on the use of the Council of Europe’s Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) and the promotion of plurilingualism. Strasbourg: Council of Europe. <http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Conventions_EN.asp> December 24, 2009.

(19)

Ek, J. A. van. 1975. “The Threshold Level in a European unit/credit system for modern language learning by adults.” Council for cultural co-operation of the Council of Europe. Strasbourg: Council of Europe.

<http://eric.ed.gov:80/ERICDocs/data/ericdocs2sql/content_storage_01/0000019b/80/36/b6/f a.pdf> December 22, 2009.

Goullier, Francis. 2006. “IGEN: Council of Europe Tools for Language Teaching Common European Framework and Portfolios (European Version).” Didier.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Source/Goullier_Outils_EN.pdf> December 26, 2009. Heyworth, Frank. 2006. “The Common European Framework.” ELT J 60.2 (2006): pp.181-183.

<http://eltj.oxfordjournals.org> December 24, 2009.

Little, David. 2002. “The European Language Portfolio: Structure, Origins, Implementation and Challenges.” Language Teaching 35.3 (2002): pp.182-189.

<http://journals.cambridge.org/action/displayIssue?jid=LTA&decade=2000&volumeId=35&i ssueId=03&iid=123238> December 24, 2009.

──. 2006. “The Common European Framework of Reference for Languages: Content, Purpose, Origin, Reception and Impact.” Language Teaching 39.3 (2006): pp.167-190. 27 July 2006. <http://journals.cambridge.org/action/displayJournal?jid=LTA&volumeId=39&bVolume=y#l oc39> December 24, 2009.

Martyniuk, Waldemar & José Nijons. 2007. “Executive Summary of Results of a Survey on the Use of the CEFR at National Level in the Council of Europe Member States.” Policy Forum. The Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) and the Development of Language Policies: Challenges and Responsibilities. Language Policy Division. Strasbourg, 6-8 February 2007.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Publications_EN.asp> December 24, 2009.

Morrow, Keith. ed. 2004. “Insights from the Common European Framework.” Oxford: Oxford University Press.

North, B. 2007. “The VEFR Illustrative Descriptor Scales.” The Modern Language Journal 91(2007). pp.656-659.

<http://www3.interscience.wiley.com/journal/118484714/issue> December 24, 2009.

North, Brian & Günther Schneider. 1998. “Scaling Descriptors for Language Proficiency Scales.”

Language Testing 15.2 (1998): pp.217-263.

<http://ltj.sagepub.com/cgi/content/abstract/15/2/217> December 24, 2009.

Schneider, G. & P. Lenz. 2001. “European Language Portfolio: Guide for Developers.” Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/documents.html> December 24, 2009.

Trim, John L.M. 2007. “Modern Languages in the Council of Europe 1954-1997: International co-operation in support of lifelong language learning for effective communication, mutual

(20)

cultural enrichment and democratic citizenship in Europe.” Language Policy Division, Strasbourg: Council of Europe.

<http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Publications_EN.asp#P35_1119> December 24, 2009. 参考サイト ヨーロッパ評議会のCEFに関するサイト <http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/documents_intro/common_framework.htm l> 2009 年 12 月 23 日 ヨーロッパ評議会の ELP に関するサイト <http://www.coe.int/T/DG4/Portfolio/?L=E&M=/main_pages/portfolios.html> 2009 年 12 月 23 日

Abstract

CEFR ― why now?

Chie O

DA

(Former Asian Languages Co-ordinator,

University College Dublin)

Since its publication in 2001, the Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment (CEFR) has been establishing itself in language learning/teaching across Europe “as a common basis for the elaboration of language syllabuses, curriculum guidelines, examinations, textbooks, etc.” Levels of competence are now frequently described with the Common Reference levels, and syllabuses and curriculum are being re-examined to correspond to what the CEFR advocates.

Although the survey conducted by the AEJF before the seminar likewise indicates that the CEFR has been increasingly acknowledged as a tool for the further development of Japanese teaching in Europe, a clearer guideline for integrating the CEFR into everyday teaching is yet to be called for.

This paper therefore, attempts to clarify some of the basic features of the CEFR and explore some of the challenges that the CEFR presents.

参照

関連したドキュメント

この 文書 はコンピューターによって 英語 から 自動的 に 翻訳 されているため、 言語 が 不明瞭 になる 可能性 があります。.. このドキュメントは、 元 のドキュメントに 比 べて

明治33年8月,小学校令が改正され,それま で,国語科関係では,読書,作文,習字の三教

スキルに国境がないIT系の職種にお いては、英語力のある人材とない人 材の差が大きいので、一定レベル以

日本語で書かれた解説がほとんどないので , 専門用 語の訳出を独自に試みた ( たとえば variety を「多様クラス」と訳したり , subdirect

では,この言語産出の過程でリズムはどこに保持されているのか。もし語彙と一緒に保

 その 2 種類の会計処理方法の適用については、2001 年に公表された米国の財務会計基準 書である SFAS141「企業結合」(Statements  of  Financial 

 さて,日本語として定着しつつある「ポスト真実」の原語は,英語の 'post- truth' である。この語が英語で市民権を得ることになったのは,2016年

かであろう。まさに UMIZ の活動がそれを担ってい るのである(幼児保育教育の “UMIZ for KIDS” による 3