FOREX WEEKLY
市場営業統括部
チーフ・エコノミスト 山下えつ子
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Global View
「原油相場とリスクオン・オフ」
→
p.2 原油価格は OPEC の減産がなければ、上昇に限りがある。 投機ポジションは WTI 先物 40 ドルを境に構築されている可能性がある。US View …
FOMCと
GDPが主要材料 →
p.3 FOMC は声明文の発表のみ。利上げなしがほぼ一致した予想。 1-3 月 GDP は低い数字が予想される。6 月利上げ観測も盛り上がり難い。FX Outlook …
為替介入せずとも、円安 →
p.4 来週は米国の FOMC と日銀の金融政策決定会合に注目。 地合いは円安へバイアスがかかっている。 今週のレンジ 来週の予想レンジ 6 月末の予想レンジ 12 月末の予想レンジ ドル/円 107.75-109.90 円 108.50-112.50 円 110.00-115.00 円 110.00-120.00 円 ユーロ/ドル 1.1246-1.1399ドル 1.1200-1.1350ドル 1.0000-1.1500ドル 1.0000-1.1500ドル ユーロ/円 121.71-124.95円 123.00-126.00 円 120.00-130.00 円 120.00-135.00 円 (今週のレンジは先週金曜日東京 9 時~本日東京 9 時、予想レンジは本日東京 9 時~来週金曜日東京 9 時)Global View
… 「原油相場とリスクオン・オフ」
2015 年は OPEC、非 OPEC ともに需要の伸びを上回って増産した結果、原油需給バランスは日量 2.1 百万バレルの供給過剰だった。2016 年第 1 四半期は日量 2.5 百万バレルの供給過剰だったと推計さ れている。アジア地域での需要減少など、2016 年の年間の世界の原油需要の伸びは鈍化すると予想 されているため(2015 年は前年比 1.6 百万バレル/日の増加、2016 年は同 1.2 百万バレル/日の増加)、 原油価格の一段の下落を回避するためには供給量の削減が必要となる。 非 OPEC では米国を始めとして、原油価格の下落を背景に採算悪化から産出量が減少すると予想さ れている(非 OPEC の供給量は 2015 年が日量 63.3 百万バレル、2016 年は 62.7 百万バレルへの減少 が見込まれる)。見通し通りと仮定すると、OPEC の供給量が 31.5 百万バレルへ減少すれば世界の需 給はバランスする。だが、OPEC については減産どころか増産凍結ですら思うように合意に達するこ とが出来ない。ドーハ産油国会合では増産凍結の合意が成立せず、事前に合意期待から上昇していた 原油相場は反落した。 予想以上の世界景気の回復、もしくは OPEC を中心とする供給量の抑制が原油相場の上昇に必要だ が、そうした需給バランスの改善の難しさを捉えた投機的な原油先物売りがあったことも、実際の需 給バランス以外の原油安の一因と考えられる。 マーケットではリスクオン、リスクオフという言葉が使われるが、昨年の秋以降はグローバルに金 融市場(株、社債などを含む)が動揺し(リスクオフ)、ボラティリティを表わす代表的な指標であ る VIX 指数は 9 月に 40 以上へ跳ね上がった後も今年の年初の金融市場の混乱の中、30 近辺へ上昇し た。背景やきっかけの一つには中国の人民元相場や経済の先行き不安があったが、原油相場も中国を 始めとする世界需要の弱まりで原油安となる、というストーリーで投機的な売りの対象とされた、と 考えられる。 この VIX 指数に代表されるリスクオフと原 油相場のチャートを見ると、WTI 先物が 40 ド ルを割り込んだ昨年終わりから両者の相関関 係(逆相関)が強まっていることが分かる。 WTI 先物と VIS 指数の 2015 年初から 11 月末 までの相関係数は-0.46 だったが、12 月から 2016/4/21 までの相関係数は-0.87 という高 い相関(逆相関)になっている。 原油相場が反転上昇し始めた 2 月終わり以 0 10 20 30 40 50 60 70 1 /1 /2 01 5 2 /1 /2 01 5 3 /1 /2 01 5 4 /1 /2 01 5 5 /1 /2 01 5 6 /1 /2 01 5 7 /1 /2 01 5 8 /1 /2 01 5 9 /1 /2 01 5 1 0/ 1/ 20 15 1 1/ 1/ 20 15 1 2/ 1/ 20 15 1 /1 /2 01 6 2 /1 /2 01 6 3 /1 /2 01 6 4 /1 /2 01 6 (資料)Bloomberg 原油相場とリスクオフ WTI先物 VIX指数 世界の原油需給 (単位:百万バレル/日) 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 需要 世界計 89.1 90.5 91.4 93.0 94.2 供給 non OPEC 57.6 59.2 61.7 63.3 62.7 OPEC 31.9 31.0 30.8 32.2 需給バランス 0.5 -0.3 1.0 2.1 (注)2016年は見込み。 (資料)OPECきたが、VIX 指数の低下余地はほとんどない。両者の相関関係をベースとする投機的な売買は原油先 物が 40 ドルを大きく超えて上昇した場合には最早働かず(これまでとは異なるストーリーに基づく 売買へ移行)、40 ドルを再び下回ってくるとリスクオフの様相が強まる、という相場を示唆してい る。あるいは、先に記したような原油の需給がバランスする方へ向かうだけの需要の強まり、もしく は OPEC の減産合意がなければ、少なくとも VIX 指数の低下と原油相場の上昇がセットとなるかたち での原油相場の上昇はない(=WTI 先物の 50 ドルは遠い)、という可能性も示唆している。原油相 場の上下にはファンダメンタルズの裏付けもあるが、金融市場の中の相関関係を利用した投機筋の動 きにも注意が必要だろう。
US View
…
FOMCと
GDPが主要材料
FOMC が 26 日・27 日に開催される。今回は声明文の発表のみの会合である。利上げなしが大方の予 想である。声明文もサプライズはないだろうが、二つ注目点がある。 まず、前回(3/16)の声明文では、リスク判断は再び保留となったが、「グローバル経済・金融情 勢は依然としてリスクである」とリスクを指摘する一文が入った。3 月から 4 月にかけて金融市場は 改善している。株式市場はダウが今週は一時 18000 台に乗せて年初来の落ち込みをすべて回復し、ド ルは年初対比約 5%ドル安となった。こうした金融環境の改善の一方で、先般の G20 会議などの結果 を見ると、グローバル経済に対する警戒感は変わっていないようだ。金融環境の改善に安堵しても、 リスクが一切なくなり、利上げを検討できるとの判断にまで FOMC のスタンスが急変するとは考え難 い。最もあり得る修正は「金融市場は年初来の落ち込みから回復したが、グローバル経済・金融情勢 のリスクは依然として残っている」というものだろう。 修正せずにそのまま残る可能性もあるが、その場合は、①実態からやや乖離した印象を読み手に与 えるか(→マーケットは無視する)、②Fed の心配は相当に強いとネガティブに受け止められるか(→ 債券利回りは低下、株は下落、ドルも下落)どちらかだろう。文言が変更され、③「リスクは小さく なった」、あるいは「リスクは軽減したが依然として残る」、となった場合にはマーケットの認識に 近いため相場は大きく動かず、④完全に削除された場合は、6 月の利上げの可能性が俄かに取り沙汰 されることになろう(→債券利回りは上昇、株は下落、ドルは上昇)。声明文の発表しかないため、 ②、④の場合にはマーケットの反応が一時的に行き過ぎとなる可能性がある。 もう一つの注目点は反対票。前回、ジョージ総裁が利上げを主張して反対票を投じた。環境が改善 しているため、前回利上げを主張したならば今回も反対票を投じるはずだ(→マーケットはほぼ無視)。 だが、反対票を投じなかった場合はタカがハトになった、と読まれるだろう(→債券利回り低下、株 上昇、ドル下落)。 来週は 1-3 月の GDP が FOMC の翌日(28 日)に発表される。実質 GDP 前期比年率は 0.5%前後の低 い水準にとどまる見込みである。過去の数字とは言え、今年も 2%成長できれば良い方だとの見方は、 利上げの実施は難しいとの見通しに繋がる。4-6 月に大きな持ち上がりがあれば、そうした見通しは 時間の経過とともに変化していく。だが、現在得られているデータおよび情報は、①個人消費は自動 車販売に頭打ち感、②住宅投資(建築)は横ばい圏、③製造業はセンチメントの改善ほど生産や受注に増加が見られない(センチメントも 21 日発表のフィラデルフィア連銀サーベイ 4 月は 12.4→▲1.6 と悪化)、④輸出はドル安で先行き増加が期待される、⑤雇用は新規失業保険申請が 1973 年以来の 低水準となるなど依然として強い、と強弱が混じる。FOMC の声明文では 6 月の利上げは示唆されな いと思うが、もしマーケットが FOMC 直後に 6 月利上げ観測を強めたとしても、実際のデータは未だ 6 月利上げを全面的に支持しているわけではない。
FX Outlook
…
為替介入なくとも円安
先週の G20 会議では日本による為替介入の可能性が示されることなく、むしろ円相場の動向に対し ては為替介入が正当化される状態とは言えない、との一部の見解の方がクローズアップされたかたち で終了した。だが、ドル円は今週初は再び円高方向へ動いたものの、金融市場がリスクオンの相場と なると 110 円近くまで円安となり、為替介入を実施しなくても円高の進行を回避できた。4/15 号で ドル円と日経平均株価の強い相関関係を示したが、日経平均株価も同時に巻き戻されて 17000 台前半 まで大幅に上昇した。 来週は日銀の金融政策決定会合が開催される。為替介入が実施されず、日銀の緩和に期待は残るが、 為替相場や株価への対応としての追加緩和は相場動向からは不要と見える。しかし一方、明らかな景 気減速とインフレ期待の低下に対して追加緩和が必要だとの判断となる可能性は残る。日銀の金融政 策の運営は Fed とは異なり、事前にマーケットを誘導する方法は採られず、むしろサプライズとなる ことが多い。このため、発信されている既存情報からは金融政策を予想することは困難だ。ただ、緩 和を実施すれば一段と円安となろうが、実施しなくても現在の地合いならば円高へ戻るリスクは小さ いだろう。 日銀の決定会合の前に米国の FOMC も開催される。声明文ではリスクが幾分和らいだと表現が変更 となる可能性がある。この場合は為替市場はややドル高へ反応するだろう。したがって、日銀の緩和 期待あるいはリスクオンによる円安の地合いによって、日銀の決定会合前にドル円が 110 円台へ上昇 すると考えられる。もし、この流れの中で日銀が緩和決定を発表すれば、ドル円は 112 円程度へ上昇、 緩和見送りでも前述の通りで、円高への戻りは 1 円の範囲内だろう。FOMC と日銀の決定会合がある ことで、来週はドル円の値幅は大きくなりそうだ。 今週は 21 日に ECB 理事会が開催された。今回は追加緩和はなく、前回決定された社債買い取りの 詳細が発表されたのみである。総裁記者会見では“ヘリコプターマネー”を否定する発言があったが、 “ヘリコプターマネー”という言葉が本当に現金をばら撒くイメージで記者団から質問されており (新聞等でも類似のイメージで報道されている)、金融政策の限界についての解釈や憶測がやや行き 過ぎている感がある。ドラギ総裁の記者会見では、ユーロ圏のリスクは依然としてダウンサイドのま まであること、ただし追加緩和を矢継ぎ早に実施するのではなく、緩和の効果を辛抱強く見ること、 が強調された。社債の買い取りによる信用緩和の他、フォワード・ガイダンスの時間軸効果もあり、 これらの効果を見極めるべく、更なるダウンサイドリスクが発生しなければ、今後半年程度は実際に 様子見となると思われる。ドル/円 (円) ユーロ/ドル (ドル) ユーロ/円 (円) 105 110 115 120 125 130 1/ 1/ 2 01 5 3/ 1/ 2 01 5 5/ 1/ 2 01 5 7/ 1/ 2 01 5 9/ 1/ 2 01 5 11 /1 / 20 1 5 1/ 1/ 2 01 6 3/ 1/ 2 01 6 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 1.30 1/ 1/ 2 01 5 3/ 1/ 2 01 5 5/ 1/ 2 01 5 7/ 1/ 2 01 5 9/ 1/ 2 01 5 11 /1 / 20 1 5 1/ 1/ 2 01 6 3/ 1/ 2 01 6 120 125 130 135 140 145 150 1/ 1/ 2 01 5 3/ 1/ 2 01 5 5/ 1/ 2 01 5 7/ 1/ 2 01 5 9/ 1/ 2 01 5 11 /1 / 20 1 5 1/ 1/ 2 01 6 3/ 1/ 2 01 6 (データ出所:Bloomberg)