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高田浩祐 Fig Fig. 3 X-Trans 配列 X-T1 が目指したもの 143 XF レンズ 家 ラボ 出版などユーザーの声を受け止め 改良を積み重 ねてきた フイルムで研究しつくしてきた画作りのノウハウ 従来から 高い評価を頂いている 富士フイルムの高画質 や姿勢を詰め込み 記

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Academic year: 2021

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1. はじめに 2012 年に X-Pro1 と高解像単焦点レンズ 3 本でレンズ交換 式カメラに参入して以来,当社では多くのボディ,レンズを 開発してきた.カメラ自身がその存在感を主張し過ぎること なく,被写体の自然な表情が引き出しやすいレンジファイン ダースタイルのボディと,コンパクトで高画質な単焦点レン ズにより,「スナップ」&「ポートレート」に特化したシス テムとしてボディ,レンズを拡充させてきた.参入から 2 年 経った現在,既に 15 本ものレンズをラインナップしており, レンズラインナップが充実するにつれ,新たに,大きなレン ズをしっかりと保持できるグリップ,長焦点撮影に適した光 軸上にファインダーを配置したカメラのニーズが高まってき た.そのような状況の中,それらを叶える,フラグシップモ デル X-T1 を 2014 年 2 月に発売した. 本稿では,X-T1 を開発するにあたり重点課題として取り 組んだ「リアルタイム・ビューファインダー」の開発を中心 に,X-T1 に搭載した技術について解説する. *

平成 27 年 7 月 14 日受付・受理 Received and accepted 9th, April 2015 富士フイルム株式会社 R&D 統括本部 光学・電子映像商品開発センター Optical Device & Electronic Imaging Products Development Center

Research & Development Management Headquarters FUJIFILM Corporation

Kosuke T

akata* 要 旨 一般的な「ミラーレス(ノンレフレックス)カメラ」の電子ビューファインダーは,ホワイトバランスや露出などの撮影 設定が常に反映された映像を見ながら撮影できる,という利点がある.一方で,光学ファインダーに比べ表示タイムラグ が大きく,速い動きの被写体のシャッターチャンスを逃すという課題があった.これに対し,「X-T1」は,新開発の「リ アルタイム・ビューファインダー」により,光学ファインダーに迫る 0.005 秒という非常に短い表示タイムラグと,デジ タルカメラで世界最大の表示倍率を実現.これまでの電子ビューファインダーでは体験することのできなかった,快適な 撮影を可能にした.  本記事ではこのファインダーの開発を中心に X-T1 に搭載した技術ついて紹介する.

Abstract An electronic viewfinders (EVF) of mirrorless interchangeable-lens camera, shows you the exact picture that the

im-age sensor sees. This lets you check your adjustments (exposure, incl. white balance, saturation, effects etc.) in real time when taking a picture. Any display lag between the optical finder and EVF can mean missed shooting opportu-nities, so this time should be shortened as much as possible. For this subject, the FUJIFILM X-T1's Real Time View-finder allows a true connection to your subject and a purely immersive shooting experience. The viewView-finder achieves the display's lag time of just 0.005 sec and the world's highest magnification ratio of 0.77x in DSC category. Comfort-able shooting for the first experience ever was realized by the viewfinder of the X-T1. Some technologies equipped with the X-T1 that mainly contained the development of the finder were introduced in this article.

キーワード:ミラーレス,ノンレフレックス,ファインダー,EVF,表示,遅延,倍率

Key words:  Mirrorless interchangeable-lens camera, Non-reflex digital cameras, Finder, Electronic Viewfinder, Display, Lag

time, Magnification

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2. X-T1 が目指したもの 従来から,高い評価を頂いている「富士フイルムの高画質 性能」を「より広いフィールド」で「快適に使っていただけ る」ように様々な技術を詰め込み X-T1 を開発した. 2-1 富士フイルムの画質 高性能 CMOS/高解像 XF レンズと,長年のフイルム開発 で培った画質設計技術で高画質を実現している. 高性能 CMOS 銀塩フイルムの「銀粒子の不規則配置」にヒントを得た当 社独自の X-Trans 配列を採用しており,光学ローパスレス でありながら色モアレを極限まで抑えつつ,高解像・高品質 な画像を実現している. X-Trans CMOS により,フジノン XF レンズの高解像性 能を最大限に引き出している. 高解像 XF レンズ 画面すみずみまで高精細に再現できることをコンセプトと した XF レンズにより高画質を実現している. 画質設計 写真フイルムは徹底した現場主義を貫いてきており,写真 家,ラボ,出版などユーザーの声を受け止め,改良を積み重 ねてきた.フイルムで研究しつくしてきた画作りのノウハウ や姿勢を詰め込み,記憶色を重視した心地よい色再現,低ノ イズ/高解像撮像システムを生かした画作りにより高画質を 実現している. 2-2 フィールドの拡大 X-T1 では下記技術を搭載することで,撮影フィールド (様々な環境,シーン,被写体)を拡大させた. 様々な環境に対応 約 80 点に施したシーリングによる防塵・防滴性能の実現 と,-10℃の耐低温設計により本格的なフィールド撮影に対 応した.マグネシウムダイキャスト製ボディにより小型軽量 ながら高い堅牢性・耐久性を実現した. 低遅延 EVF,高速 AF 追従連写により動体撮影の強化 動いている被写体への対応を強化するために表示遅れの少 ないファインダーを開発し,世界最短 0.005 秒(※ 1)の表 示遅延を実現した. 連写制御を大きく見直し,動体予測 AF の性能を高めるこ とにより AF 追従での秒 8 コマ連写を実現した. また,SD カードの次世代規格 UHS-II を世界で初めて(※

Fig. 2 X-Trans 配列 Fig. 3 XF レンズ

Fig. 4 約 80 点に施したシーリング

Fig. 5 マグネシウムダイキャスト製ボディ

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ションボタンと合わせ操作性を快適にした. フォーカスアシスト機能 デジタルスプリットイメージ,フォーカスピーキング,2 画面表示などの機能を搭載し MF の操作性を高めた. 大きなファインダーで多種多様表示 世界最大ファインダー倍率 0.77 倍(※ 2)を実現し,大画 面を生かし状況に応じた多種多様な見やすいファインダー表 示を実現させた. 長焦点撮影を快適に 光軸上にファインダーを配置することで長焦点レンズでの 撮影を快適にした. 様々な使い方に対応 スマートフォンからのリモート撮影,インターバル撮影, 縦位置グリップなどにも対応し多様な使い方ができるように した. ※ 2  デジタルカメラで最大,約 0.77 倍(35 mm 判換算 50 mm レ ンズ,無限遠,視度-1.0 m-1 のとき).2014 年 1 月時点. 当社調べ. 3. 「リアルタイム・ビューファインダー」の開発 従来,「ファインダーはミラーレスの弱点」とされてきた. 理由はミラーレスカメラに採用されることの多い電子ビュー ファインダー(以下 EVF)が光学ファインダーに比べて見 づらく,表示遅れがあるためである. X-T1 では長焦点レンズに適したセンターファインダース タイルを採用するとともに,大きく見やすいファインダーの 開発を目標とし,それに最適な有機 EL の EVF を採用した. そして EVF の弱点と言われる「見づらさ」「遅れ」の解消 を目指し様々な改良を積み重ねた.結果,それらの課題を解 決し現時点での当社最高の技術を詰め込んだ 「リアルタイ ム・ビューファインダー」を開発することが出来た. 3-1 ファインダー方式の決定 ファインダーの方式は大きく分けると下記の 3 種類に分類 されるが,X-T1 ではセンターファインダースタイルと,カ メラの小型化を実現するために EVF 方式を採用した. 光学ファインダー(レフレックスファインダー) 撮像用レンズなどによって結像された像を見る方式. パララックスの無い光学像を見ることができるが,カメラ が大型化する. 光学ファインダー(ビューファインダー) 撮影前に分かり,多彩な表示や,MF アシストなどが可能. 光学式に比べデザイン・配置自由度が高く小型化に有利だが 見づらさ,表示遅れが課題. なお,当社ではビューファインダーと EVF を組合せ,両 方の長所が得られるハイブリッドビューファインダー®(※ 3)も開発しており X-Pro1,X100 などに搭載している. ※ 3  ハイブリッドファインダー,ハイブリッドビューファイン

ダ ー,HYBRID FINDER 及 び HYBRID VIEWFINDER は 富士フイルム株式会社の登録商標です. 3-2 EVF の方式選択 EVF は更に 3 種類に方式が細分化される.X-T1 では応答 速度と画質性能を重視し,有機 EL 236 万画素 0.48 型 EVF を採用した. カラーフィルタ方式(液晶) 最大輝度が高く,長寿命だが応答速度,コントラストは有 機 EL に劣る.低温環境下では更に応答速度が低下する. カラーフィルタ方式(有機 EL) 応答がマイクロ秒オーダーと速く,高コントラストだが, 寿命が液晶方式に比べ劣る.有機 EL には色毎に別の有機材 料を使う方式もあるが,有機材料の色毎の寿命差によりカ ラーバランスが変化する課題もある. フィールドシーケンシャル方式 同じ画素に RGB を順次表示するため高精細化に有利.た だし EVF コントローラーが 1 画面分のデータをシステム LSI から受け取ってから RGB を 1 画面ずつ描画するため, 原理的に 1 フレーム分の時間が表示遅延に加算される.視点 をずらすとカラーブレイク(色が分離して見える現象)が発 生することも課題である. 3-3 デバイス制御(オービット制御) 有機 EL ディスプレイを採用するにあたり,長時間表示で 輝度劣化するため寿命が課題となる. この輝度劣化は表示時間の蓄積で生じ,回復することはな い.これが部分的に発生すると,焼きつきとなる. 具体例としてはファインダー内のアイコン表示や,F 値な どの数値情報などが跡になって残ることが考えられる.この 焼きつき現象を緩和するため,X-T1 では表示位置を数画素 ずつずらして表示するオービット制御を採用している.オー ビット制御により劣化する画素が分散され,焼きつき跡の輪 郭をぼかし目立たなくすることができる.この技術の採用に より,長期間使用できる有機 EL 方式の EVF を実現した.

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3-4 デバイス制御(表示遅延) EVF 最大の弱点である表示遅延を X-T1 のファインダー 開発における最重要課題として取り組み,従来機の約 1/10 にまで短縮し世界最短の表示遅延 0.005 秒を達成した.これ により肉眼で遅れがほぼ知覚できないレベルの表示遅延を実 現した. 表示遅延を短縮するために,ライブビューに関する制御 (CMOS センサーの駆動,取り込んだ画像データの処理方法, EVF の駆動)を全て見直した. 従来は CMOS センサーから取り込んだ画像が 1 画面分完 成してから EVF に出力しており,1 画面分のデータが完成 するタイミングによっては 1 フレーム分の無駄な待ち時間が 発生していた.対して,X-T1 では画像データが 1 画面分完 成する前に表示をスタートさせている.これを可能にしたの が CMOS と表示デバイスを完全に同期させるという手法で ある.従来発生していた CMOS と EVF 間の待ち時間を削 減することで,1 画面分完成前に表示することが可能となっ た. 3-5 デバイス制御(フレームレート) X-T1 では表示遅延が最短となるシーンを拡大させている. 暗い所では十分な量の光を取り込むため,一般的にフレーム レート(1 秒あたりに画面表示を更新する回数)を落とすが, それに伴い表示遅延が大きくなる. X-T1 では表示遅延が最短となるシーンを拡大させており, 従来機よりも暗所でフレームレートが落ちにくいように設計 している.それでも暗いシーンではフレームレートを落とす が,その場合でも CMOS センサーと EVF の同期を維持す ることで表示遅延の増加を最小限に抑制している. 3-6 ファインダー光学系 X-T1 のファインダー光学系は「覗いた時に感動を与える ファインダー」を目標に開発を進めており,3 枚 3 群のレン ズ構成で世界最大ファインダー倍率を実現した.G1 レンズ に高屈折率ガラスモールド,G2,G3 レンズにも高屈折率ガ ラスを採用することで単に倍率が高いだけでなく,見えの良 いファインダーを実現している.G1 レンズでは,特別な形 状のガラスモールド,G2,G3 レンズでは高屈折率ガラスを 使用することで,像の歪み・色の滲みを極限まで抑えた世界 最高倍率のファインダーを実現した.特に,色収差を抑制す る事で,隅々まで抜けの良い高画質を実現した. 3-7 ユーザーインターフェース X-T1 では世界最大倍率の大画面を生かし,ファインダー 表示が見やすくなるような工夫をしている. Fig. 7 デバイス制御方法 Fig. 8 表示フレームレート 明るさ[EV] フレームレート [fps] 暗 明 遅 速 Fig. 9 ファインダー光学系

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具体的には,「フル」「ノーマル」「2 画面」の 3 種類の表 示スタイルを状況に合わせ選択できるようにしている. フル EVF パネルの表示エリアを最大限使い画像を大きく表示 することで,被写体を大きく細部まで確認できる. ノーマル 従来機種と同程度の表示倍率に抑えることで全体が見渡し やすい. 2 画面 マニュアルフォーカス時にクリーンなライブビューと フォーカスアシスト映像を同時に表示することで,構図とピ ントの山を同時に視認することができる. 他にも,カメラを縦位置に構えたときに情報表示も回転さ せ,縦位置でも表示が見やすくなるようにしている. 4. まとめ 「富士フイルムの画質性能」を「より広いフィールド」で「快 適に使っていただく」ことをテーマに様々な技術を投入し, X-T1 を開発した.X-T1 に投入した技術の中でも,従来ミラー レスカメラの弱点とされていたファインダーの「見にくさ」 「表示遅れ」への挑戦,「リアルタイム・ビューファインダー」 の開発について解説した. 今後もフイルム同様,お客様の声,ユーザーの声を聞きな がら写真を撮る愉しみが得られるカメラ,覗く愉しみが得ら れるファインダーを開発,提供していきたい.

Fig. 4 約 80 点に施したシーリング

参照

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