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浜名湖で採集したコンジンテナガエビについて

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Academic year: 2021

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C A N C E R 4

(1

995)

, p .

1

1-1

4

11

浜名湖で採集したコンジンテナガエビについて

伊 藤

日本の淡水域に生息、が確認されているテナガ エ ビ科のエビ類は2属

13

種であり, これらのエビ類 の中で九州以北に分布しているのは,

2

7

種で あります ( K U B O,

1940;

H O L T H U I S,

1950;

上田,

1970;

藤野,

1972 ;

諸喜田,

1979;

S U Z U K I et al.

1993).

コンジンテナガエビ

crobrachium lar は,東アフリカから,アジア, ポリネシアのマ ルケサス諸島までのインド 太平洋域に広く分布 し,河川の中流域から上流域にかけて生息してい る こ と が 知 ら れ て い ま す が ( K U B O,

1940;

H O L T H U I S,

1950;

K A M I T A,

1966;

嶺井,

1972 ;

Y u &

M I Y A K E,

1972;

諸 喜田,

1977

1979;

S U Z U K I et αl. , 1993) , 日本での生息分布域は薩 摩 ・大 隅 半 島 が 北 限 と な っ て い ま す ( S U Z U K I et al. , 1993). 3 40 50' 4 5' 浜名湖は,静岡県西部に位置する周囲

103 k m

, 水域面積

68.8 k m '

,最大水深

15.8m

,平均水深

5

m の汽水湖であり,湖岸には入り江が多く存在 しています. 湖口は幅

2 0 0 m

の今切口で遠州灘に 開口し,外洋水が

1

2

回潮汐により流出入を繰 り返しています. 静岡県水産試験場浜名湖分場は, この浜名湖南部の埋め立て地に存在し,アユ ・ウ ナギの養殖研究や湖内魚介類の資源生態調査,環 境保全調査等を行っており,場内に総面積

1

519

m '

の試験池が設置されています( 図1) . 試験池 から浜名湖内に排水が流れていますが, この排水 溝にコンジンテナヵーェビが生息していることが確 認されたので, このことについて報告したいと思 います. まず,なぜコンジンテナガエビの生息を確認す [ 出 ー 伽 間 同 日 制 的efectual 1

F帥eriesExperi欄 nt 5tationj

LAKE H A M A N A K O B・ 3 40 4 0' 1370 3 0' P A CIFIC O C E A N 3 5' 13704 0'

L

→一←却m 図1 . 調査場所 ・ : 試験池,

A :

排 水 口. B :湖水の取水場所.

C

M a d o k a ITo: Record of M αcrobrαchium lαr CFabricius) from Lake H a m a n a

(2)

12 浜名湖で採集したコンジンテナガエヒについて るに至ったかについて話をしてみます. 浜名湖では過去に テナガエビとミナミテナガエ ビの採捕記録があり( 後藤, 1987), また排水溝 には以前からテナカゃ エ ビ類が生息していることは 知られていたようです. 1991年9月に試験池から ウナギを取り上げていた時今まで見たこともない テナガエビを偶然採集しました. この時採集され たのは雌でしたが,どう見ても本州で生息が確認 されているテナガエビやミナミテナガエビ, ヒラ テテナヵーエビには見えす‘,後で確認しようと思い 別 の試験池に収容しておきました. ところが この エビは数時間もしないうちに池から脱走してし ま ( A ) P o n d N い,排水溝に逃亡してしまいました. そこで排水 ( 8 ) P o n d M 講を全面的に調査することにし, コンジンテナガ エどを確認したという次第です. 1992年5月に2日間で述べ5時聞かけ排水溝お よび試験油で手網を用いてエビの採集を試みまし た. また,生息場所の環境条件を知るため図1 に した. 4カ所中

a

が最も上流側 で,dが最も下流 側となります. また ,aを除いて排水溝には蓋が しであります. 1. 試験地及び 場内の試験池の底面積は , 合計1,519 m 2で, まざまで空になったり ,海水を流したりとその度 変わ っていきます. 排水溝は,底面積が154. 1 m 2 ( 土管部11.7 m 2) で,排水口( 図l のA ) に向かつてなだらかに傾 斜し,その底面には, コンクリ ー ト上に砂利, ア サリの殻等が蓄積しているところもあります. 壁 面には所々に試験池の排水口が底面より 8 c m の所に閉口し ,壁面下部には所々裂け目があ ります. そして池と 排水溝とはおよそ図

2

のよう に接続しています. 排水溝に流れる 水 は,浜名湖水と井戸水( 淡水) が混ざっており ,排水 口から浜名湖に流れ込んで います. 塩分濃度は使用する海水と淡水の比率に より年聞を通して変動しています. 井戸水は水温がほぼ240

C

で一定で,海水は試験 図2. 試験地と排水溝の接続 単位はc m.M とN 池は図1を参照 水 を採水 しています. 試験場西側 (図1のC ) で の浜名湖弁天島表面水( 午前9時) の水温と塩分 の変化 を図3に示しました . 1965年から1991年 ま で、の浜名 湖弁天島で・の旬毎の平均水温は,8月中 旬に27.00Cで最高となり 1月下旬に9.00Cで最低 となり ,旬毎の平均塩分は,2月中旬に34.0施。で 最高となり ,7 月中旬に29.1児。で、最低になってい ま す ¥ 1992年5月16日から1993年2月28日までの排水 溝内4 ヶ所での水温と 塩分についてみると ,水温 ば,冬季でも180 C以上でした. 塩分濃度について * ・静岡県水産試験場浜名湖分場,1965-1992. 弁天 島の気象,海況,はまな, 47- 370号.

(3)

伊 藤 30, 25 R H E 初 市 w E E T 官 E E E T副 wτ J F M A 扇 : , J A 5 0 H

M O N T刊 図3. の平均水温と塩分の推移 % とかなり変動していました.

2.

コンジンテナガ、 エビ (図

4)

採集した個体数は計22個体で,頭胸甲長の範囲 m m ( n = 11), m m ( n = 28.3 m m ( n = 9 ) でした( 図5 ). すべて排水 溝で採集しました . 1991年9月に試験池で採集し た個体は,排水溝から試験池へ進入した個体と考 えられます. 3. コンジンテナガエビの分布について 諸喜田( 1979) は,東アジアに生息する陸水エ ビ類を,インド 西太平洋域での地理的分布から, 6群に類別した. そのうちインド ー西太平洋型は, 夏の海面水温が250 C以上の暖流水域内にある大陸 や島々に生息している型で, コ ンジンテナガエビ はこの型に属しています. 浜名湖が開口している 遠州灘は黒潮の流路にあたり,浜名湖弁天島の夏 期 の水、温は250C以上で、す. またコ ンジンテナガエ ビは飼育水槽内では水温150 Cでは全く体が動かな くなる ことが観察されました. 諸喜田( 1979) は,さ らに幼生の塩分耐性と分 布型の関係について,幼生が高塩分を好む種は広 分布し,比較的低塩分を好む積の分布は狭くなる と述べています. そしてコンジンテナガエビは, 海水に近い飼育水で良 く生育 ・変態し,幼生の浮 円 13

"

E '25 図4. コンジンテナガエビA 1acrobrachiur.n lar (Fabricius) A: ♂. B: ♀ M a l e . 0 Z C A R A P A C E L E N G T H Imml 図5. 採集したコンジンテナガエビの頭胸甲長組成 . ・抱卵個体 ( A T K I N S O N, 1977; 諸喜田, 1979). また藤本ら (1972) は卵 ・稚仔輸送拡散機構の研究として海 流瓶の投入後の動向を調査 し,九州南西 薩南海 域の黒潮流域で投入された海流瓶には, 卜カラ海 峡周辺の島々に漂着するグル ープとトカラ海峡を 抜けた後,太平洋岸 に順次漂着しながら伊豆諸島 や房総,鹿島灘沿岸に漂着するグループがあり, るとしています. さらにS U Z U K Iet al. は,従来

(4)

14 浜名湖で採集したコンジンテナガエビについて 沖 縄 島 が 北 限 と さ れ て い た ス ベ ス ベ テ ナ ガ エ ビ M . equidens,コツノテナガ、エビM . latimanus, ツブテナガエビM . gracilirostreの 3 種 が 大 隅 諸 島で採集されたことから,これら3種は黒潮を通 して幼生分散により分布域を拡大できたと述べて います. 浜名湖ではインド ー西太平洋に広く分布し,従 来日本での再捕記録がなか ったインドエビの小型 個 体 が , 小 型 定 置 網 に よ っ て 漁 獲 さ れ て い ま す ( H A Y A S H I

et

α

l

.

1992) .

こ の こ と は 南 方 か ら 幼 生が運搬される可能性を示唆しています. これらのことを考えあわせると,人間により持 ち込まれたという人為的な影響を完全に否定する ことはできないものの, コンジンテナガエビの幼 生は,長い幼生生活の聞に黒潮に運ばれ日本の沿 岸域に流れっき,浜名湖内に流入し,そして静岡 県水産試験場浜名湖分場の排水溝の水温が高い こ とから,その後生残が可能であったのではなし、か と考えられます. 最後に本稿をまとめるに当たり貴重な意見を頂 いた琉球大学の諸喜田茂充博士にお礼を申し上げ ます. 参 考 文 献

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参照

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