• 検索結果がありません。

幾何学図形の種類により変容する視覚的短期記憶容量

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "幾何学図形の種類により変容する視覚的短期記憶容量"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.39.2

幾何学図形の種類により変容する視覚的短期記憶容量

1

竹 島 康 博

同志社大学

Simple geometric shapes modulate visual short-term memory capacity

Yasuhiro Takeshima

Doshisha University

Simple geometric shapes modulate performance in visual detection tasks. This phenomenon may be attribut-able to the emotional information conveyed by simple geometric shapes. On the other hand, emotional information affects visual short-term memory performance. However, it is unclear whether simple geometric shapes can modu-late the memory process. Therefore, this study investigated the effects of simple geometric shapes using a memory task designed to resolve some experimental problems. Experiment 1 compared the visual short-term memory capac-ity for a circle (rated positively), inverted triangle (rated negatively), and triangle (rated neutrally). Memory capaci-ty for the circle was larger than for the inverted triangle. Experiments 2A and 2B did not indicate that the advantage in memory capacity associated with the circle was attributable to redundancy. Experiment 3 showed that the advan-tage associated with the circle was replicable in the single probe paradigm. These results indicated that emotional in-formation conveyed by simple geometric shapes modulate visual short-term memory capacity. Future work should investigate the relationship between the advantage associated with the circle and other mental impressions during memory tasks and clarify the mechanisms underlying the effects of simple geometric shapes on cognition.

Key words: simple geometric shapes, visual short-term memory, change detection task

序 論

幾何学図形の種類によって課題の成績が変容すること が,これまでの研究から明らかとなっている。Larson, Aronoff, & Stearns (2007) では,視覚探索課題において逆 三角形がターゲットの場合に三角形や円形よりも探索時 間が短くなることを示している。また,Takeshima & Gyoba (2016) は順向と逆向の二重のマスキング下での検 出課題において逆三角形の検出感度が三角形よりも高く なることを報告している。本研究では,このような幾何 学図形の種類による課題成績の変容が,視覚的短期記憶 の過程においても観察されるかについて検討することを 目的とした。 幾何学図形が課題成績を変容させる過程には,感情次 元の情報が関わっていると考えられている。刺激のもつ 感情次元の情報を測定する手法の 1つに,意味微分法 (SD 法) を 利 用 し た も の が あ り (Aronoff, Barclay, & Stevenson, 1988; Aronoff, Woike, & Hyman, 1992; Lundqvist, Esteves, & Öhman, 1999, 2004),線画の表情刺激やその構 成要素に対してSD法を使った評定を行った場合,「感情 価」,「活動性」,「力量性」の3因子が抽出される (Lun-dqvist et al., 1999, 2004)。Larson et al. (2007) では幾何学 図形の感情価を測定しており,相対的に逆三角形がネガ ティブ,円形がポジティブな感情価をもつことを示して いる。また,Larson, Aronoff, & Steuer (2012) は潜在連合 テスト (Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) を,Wat-son, Blagrove, Evans, & Moore (2012) はフランカー課題 (Eriksen & Eriksen, 1974) を利用してそれぞれ逆三角形が

ネガティブな感情価をもつことを,Armbruster, Suchert,

Gärtner, & Strobel (2014) は,上記の主観評価と皮膚コン ダクタンス反応を用いて円形がポジティブな感情価をも Copyright 2020. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved.

1 本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金 (若手研

究 (B),課題番号17K18069) による補助を受けた.論 文の執筆にあたり,有益なコメントや結果の解釈の示 唆をいただいた査読者の方々に感謝申し上げます. Correspondence address: Faculty of Psychology, Doshisha University, 1–3 Tatara Miyakodani, Kyotanabe, Kyoto 610– 0394, Japan. E-mail: yasuhiro.takeshima@gmail.com J-STAGE First published online: August 7, 2020

(2)

つことを示している。

逆三角形がネガティブ,円形がポジティブな感情価を

もつことは,磁気共鳴機能画像法 (fMRI) を用いた研究

からも裏づけられている。Larson, Aronoff, Sarinopoulos, & Zhu (2009) は,fMRI を使用して逆三角形,三角形, 円形それぞれの提示個数の判断課題中の扁桃体の活動を 測定した。その結果,逆三角形の数量判断時には扁桃体 の活動が高まることが示された。扁桃体は脅威の検出に 関連した脳領域であり,ネガティブ画像 (Irwin et al., 1996) や怒り顔 (Kesler-West et al., 2001) の提示によって も活動が高まることが報告されている。また,日常の物 体および単純なパターンを使用した研究では,丸みを帯 びた物体やパターンの扁桃体の活動は,角ばった物体や パターンよりも低くなっていた (Bar & Neta, 2007)。こ れは,丸みを帯びた物体からは角ばった物体よりも脅威 を感じにくく,それゆえに好まれることを示している。 事象関連電位 (ERP)を用いた研究でも,逆三角形が ネガティブ,円形がポジティブな感情価をもつことが示 されている。この研究では,幾何学図形 (逆三角形/円 形) を先行刺激として提示し,実験1では表情 (怒り顔 /幸福顔) を,実験2 では単語 (ネガティブ語/ポジ ティブ語) の刺激を後続刺激として提示し,後続する刺 激のカテゴリー弁別を課題としている (Wang & Zhang, 2016)。先行する幾何学図形と後続の表情および単語の 感情価が一致の条件と不一致の条件が存在し,条件間で 反応時間およびERP成分の振幅の比較を行っている。そ の結果,どちらの実験でも反応時間は一致と不一致の条 件間で有意な違いは見られなかった。一方,ERP成分の 振幅の比較では,どちらの実験も先行する幾何学図形と 後続する表情および単語刺激の感情価が不一致の条件 で,一致条件と比較して後期陽性成分 (LPP) の振幅が 大きくなることが示されている。LPPは感情次元の情報 処理に関連した ERP 成分であり (Cacioppo & Berntson, 1994),表情刺激のカテゴリー弁別の課題において,先 行提示される表情刺激の感情価と不一致の場合に振幅が 大 き く な る (Werheid, Alpay, Jentzsch, & Sommer, 2005)。 この結果より,幾何学図形のもつ感情価が表情や単語と いった刺激と同質であることが示唆されている。

感情次元の影響については,視覚的短期記憶の成績も 変容させることが報告されている。Svärd, Fischer, & Lun-dqvist (2014) は,記憶した顔の表情の強度をマッチング させて再認する課題を実施し,幸福顔の記憶成績が怒り 顔よりも高くなることを示している。さらに,8枚の顔 刺激とブランク画面を交互に10秒間提示し,任意の位 置の顔刺激の表情を応答させるというフリッカー法によ る記憶課題を行った場合でも,幸福顔はその他のネガ ティブな表情刺激よりも正答率が高くなる (髙橋・村 井・ 平 野・ 行 場,2014)。一方,Jackson, Wu, Linden, & Raymond (2009) は,顔の同定成績が怒り顔では高くな ることを明らかにしている。また,Takahashi, Kawachi, & Gyoba (2015) は視覚パターンを刺激として,変化検出 課題による空間記憶および物体記憶の容量の測定とパ ターンに対する好みの測定を行ったところ,嫌いと評定 されたパターンの方が空間記憶と物体記憶のいずれも容 量が大きいことを示している。 感情刺激による視覚的短期記憶の促進には,処理過程 における符号化と保持への影響,および刺激の感情次元 の関与が報告されている。Jackson et al. (2009) は表情刺 激が視覚的短期記憶に関与する可能性のある要因として 符号化の速さ,効率的な注意の割り当て,保持の促進, 長期記憶過程の関与をあげたうえで,怒り顔が符号化と 保持のいずれか,もしくは両方を促進すると主張してい る。Takahashi et al. (2015) も,好みの影響が短期記憶の 限界容量を超えた時に生じていることから,嫌いなパ ターンが保持容量を拡大していることを主張している。 一方,刺激の感情次元については,力量性が視覚的短期 記 憶 に 関 与 す る こ と が 報 告 さ れ て お り,Svärd et al. (2014) では怒り顔での力量性の評定値が高くなるほど 記憶成績も向上することが示されている。対して,位置 の視覚的短期記憶の課題では刺激の活動性は記憶成績に 関与しないことが報告されている (Costanzi et al., 2019)。 一方,幾何学図形の種類が記憶成績に与える影響を検 討した研究はいまだ行われていない。感情次元の情報が 視覚的短期記憶の成績を変容することが示されているこ とから,感情価をもつ一部の幾何学図形も視覚的短期記 憶の課題にも影響を与えると予測される。 記憶成績への影響について調べるうえでは,幾何学図 形の冗長性についても検討する必要がある。冗長性とは 刺激の形態的な簡潔性に関連した概念であり,冗長性の 高い視覚刺激は符号化効率も高く (Rauschenberger & Yantis, 2006; Takahashi, Hidaka, Teramoto, & Gyoba, 2013), 記憶成績を向上させる可能性が考えられる。幾何学図形

を用いた視覚探索課題 (Larson et al., 2007) や検出課題

(Takeshima & Gyoba, 2016) では,冗長性については注目 されていなかった。しかし,幾何学図形によって形態的 な簡潔性が異なると考えられ,その違いが記憶成績に関 与する可能性も考えられる。したがって,本研究では幾 何学図形の感情次元の情報が記憶成績を変容させると予 測を立てたうえで,冗長性の影響が生じていないかにつ いても検討を行う。

(3)

本研究の目的に関わる実験を実施するにあたり,実験 課題を設定するうえで2点考えなければならない問題が ある。1点目は,刺激としての幾何学図形の種類と情報 の少なさである。表情刺激の場合は,様々な個人で同様 の感情刺激を作成できるため,記憶画面で複数の刺激を 提示し,テスト画面で同定を行うといった課題 (Jackson et al., 2009) が設定できる。また,モーフィングを使って 同一の個人の顔でさまざまな感情価の強度の刺激が作成 できるため,記憶画面で提示した強度と同様の強度をテ スト画面で調整させるといった課題 (Svärd et al., 2014) も 設定することが可能である。一方で,幾何学図形の場合 は感情刺激として使用できる形態が限られており,また モーフィングによる感情価の強度の操作も難しいため, 上述のような記憶課題は行いにくい。2点目は,2種類の 幾何学図形を提示した場合に,ネガティブ刺激である逆 三角形が注意を引きつけやすいこと (Larson et al., 2007) である。視覚探索課題の探索画面で逆三角形,円形,三 角形が混在している場合には逆三角形に注意が向きやす いことから,注意の向きやすさと記憶のされやすさを区 別することが難しい。そのため,複数種類の刺激が同時 に提示されるような提示方法は望ましくなく,髙橋他 (2014) が実施したフリッカー法による記憶課題を幾何学 図形で行うことも難しい。そこで,本研究では提示した 幾何学図形の位置を記憶するという課題を実施すること で,幾何学図形を用いた場合の問題点を解決した。この 課題は,Takahashi et al. (2015) の実験1で用いられてい る課題を参考に考案したものであり,上記の問題点をい ずれも解決している。この課題を用い,本研究では幾何 学図形による記憶成績への影響について検討を行った。 実 験 1 方 法 実験参加者 学生20名 (男性16名,女性4名,平均年 齢=23.35±2.41歳) が実験1に参加した。サンプルサイ ズ は, 効 果 量 (f)=0.25, 有 意 水 準 (α)=.05, 検 出 力 (power)=.80で主効果を検出できるよう事前に検定力分 析を行って決定し (算出された最小のサンプルサイズは 18名),これを満たすように参加者を募集した。なお, サンプルサイズの決定過程において効果量が未知であっ たため,Cohen (1992) にしたがって中程度の値を採用 した。全員が正常な視力もしくは矯正視力を有している ことを報告していた。実験は,口頭および書面による実 験参加者のインフォームド・コンセントを得たうえで実 施した。本研究は,同志社大学研究倫理委員会より承認 を得て実施された (承認番号: 17013)。

装置 刺激の制御および提示はMATLAB (The Math-Works Inc.),Psychtoolbox (Brainard, 1997; Pelli, 1997; Klein-er, Brainard, & Pelli, 2007) で作成した自作の実験プログラ ム,PC (MacBook Pro, Apple Inc.) を使用して行った。視 覚刺激は CRTディスプレイ (Trinitron CPD-G520, Sony; 解像度: 1024×768 pixels; リフレッシュレート: 100 Hz) 上に提示した。実験は暗室内で行い,実験参加者から ディスプレイまでの距離はあご台を使用して約70 cmに 固定した。 刺激 視覚刺激には,三角形,逆三角形,円形の3種 類の幾何学図形を使用した (Figure 1a)。三角形および逆 三角形は,底辺の視角が0.9°,高さが1.0°の二等辺三角 形であり,円形は直径が視角1.0°の正円であった。3種 類の幾何学図形は,いずれも白色で作成した。これらの

Figure 1. (a) Simple geometric shapes used in the present study. (b) A schematic representation of the procedure used in the present experiment. In this representation, the visual stimulus is a triangle, and there is a change between the memory and test displays.

(4)

視覚刺激は,1つのセルの大きさが視角3.0°×3.0°とし た,5×5の仮想マトリクス上に提示された。注視点は 白色の十字 (0.75°× 0.75°) であった。また,マスク刺激 として白色と黒色で作成したチェッカーボード (15°× 15°) を使用した。なお,画面の背景は黒色であった。 手続き 空間配置の視覚的短期記憶容量を調べるため に,変化検出課題を行った。Figure 1bに一試行の流れを 示す。各試行は,「0」キーを押すことで開始された。注 視点が 500 ms提示された後,記憶画面が100 ms提示さ れた。提示される刺激の個数は5個,7個,9個のいずれ かであり,仮想マトリクス上に毎試行プログラムによっ て決定されたランダムな配置で提示された。一試行で提 示される刺激はすべて同じ形状であった。記憶画面の消 失 直 後 に マ ス ク 刺 激 が 500 ms 提 示 さ れ た。 そ の 後 1000 msのブランク画面を挟んで,テスト画面が100 ms 提示された。テスト画面に提示される刺激の形状は記憶 画面と同一のものであった。半数の試行では,テスト画 面の刺激の配置は記憶画面と同一であり,残りの半数の 試行では空間配置が異なっていた。空間配置が異なる場 合は,提示された視覚刺激のうち1個の位置が変化して いた。位置が変化する刺激および変化後の位置はプログ ラムによってランダムに決定され,変化後の位置は記憶 画面で刺激が提示されていないマトリクスのいずれかで あった。実験参加者の課題は,テスト画面における空間 配置の変化の有無を判断することであった。変化がない 場合には「1」のキーを,変化がある場合には「3」のキー を押すように教示された。変化の有無 (2)×図形 (3)× 記憶サイズ (3) の18条件を20試行ずつの繰り返し数を 設定して計 360試行を実施した。なお,実験条件のブ ロック化は行わず,18条件をプログラムが決定したラ ンダムな順序で実施した。 実験後,参加者は使用された図形の印象に関する質問 紙への回答を行った。質問紙は楕円や表情の印象の測定 に使われる 11 項目の SD 法のもの (Aronoff et al., 1992; Lundqvist et al., 1999, 2004) を利用し,7件法で回答して もらった。得点化の際には,感情価がネガティブになる ほど,また活動性と力量性が弱くなるほど各得点が低く なるようにした。「不快な–心地よい」,「親しみにくい– 親しみやすい」,「冷酷な–優しい」,「悪い–良い」の4項 目を感情価次元の,「消極的な–自発的な」,「無気力な– 活発な」,「落ち着いた–興奮した」の3項目を活動性次 元の,「弱い–強い」,「軽い–重い」,「小さい–大きい」, 「壊れやすい–丈夫な」の4項目を力量性次元の得点の算 出に使用した2 結 果 はじめに,各次元に含まれる形容詞対の評定値を平均 して,図形ごとに感情価,活動性,力量性の得点を算出 した (Table 1)。図形間の評定値を比較するため,図形 (3) を参加者内要因とした一要因分散分析を行ったとこ ろ,感情価 (F(2, 38)=39.63, p≦.001, ηp2=.68) と活動性 (F(2, 38)=12.83, p≦.001, ηp2=.40) については主効果が有 意であった。多重比較 (Bonferroniの補正,以下の多重 比較も同様の補正を使用) を行ったところ,感情価では 逆三角形の評定値が,三角形 (p=.003) や円形 (p≦.001) よりも低くなっていた。円形の評定値は,三角形よりも 高くなっていた (p≦.001)。活動性では,円形の評定値三角形 (p=.001) や逆三角形 (p=.001) よりも低く なっていた。三角形と逆三角形の評定値には有意な違い は見られなかった (p=1.00)。力量性に関しては,主効 果が有意ではなかった (F(2, 38)=1.10, p=.344, ηp2=.05)。 続いて,図形および記憶サイズごとに Cowan (2000) にしたがって記憶容量 (k) を算出した (Figure 2)。空間 配置に変化がある試行で変化ありと応答した場合をhit, 変化がない試行で変化ありと応答した場合をfalse alarm, 記憶サイズをNとして,k=N*(hit−false alarm) の式で 算出された。図形および記憶サイズによる記憶容量の違 いを調べるために,図形 (3)×記憶サイズ (3) の二要因分 散分析を行った。その結果,図形 (F(2, 38)=5.31, p=.009, ηp2=.22) と記憶サイズ (F(2, 38)=36.01, p≦.001, ηp2=.65) の 主効果は共に有意であった。さらに,図形×記憶サイズ の交 互 作 用 も 有 意 で あ っ た (F(4, 76)=3.07, p=.021, ηp2=.14)。記憶サイズの単純主効果は,いずれの図形に お い て も有 意 で あ っ た (三 角 形: F(2, 38)=14.00, p≦.001, ηp2=.42; 逆 三 角 形: F(2, 38)=6.43, p=.004, ηp2=.25; 円 形: F(2, 38)=34.90, p≦.001, ηp2=.52)。 図 形 の単純主効果については,記憶サイズが7個 (F(2, 38)= 3.54, p=.039, ηp2=.16) と9 個 (F(2, 38)=4.88, p=.001, ηp2=.20) の条件で有意であった。多重比較の結果,記憶 2 各次元に含まれる項目についてはAronoff et al. (1992) に し た が っ た. 同 じ 項 目 を 用 い た Lundqvist et al. (1999, 2004) では,「軽い–重い」の項目の因子負荷量 の絶対値が感情価と力量性の 2つの因子で近い値に なっており,また 0.3–0.4程度と低くなっている.し かし,彼らの研究で評定されたのは線画の顔刺激およ び そ の構 成 パ ー ツ で あ る. 対 し て,Aronoff et al. (1992) は本研究と同様に幾何学図形を評定したもの であり,いずれの項目も因子負荷量が0.55以上であっ た.ゆえに,本研究でも同様の方法を採用し,因子負 荷量は考慮せずに各次元に含まれる項目の平均値を得 点とした.

(5)

サイズが9個の条件では円形の記憶容量が逆三角形より も有意に大きく (p=.005),円形と三角形 (p=.172) およ び逆三角形と三角形 (p=1.00) の記憶容量に有意な違い はなかった。記憶サイズが7個の条件では,円形の記憶 容量が逆三角形よりも有意傾向で大きく (p=.064),円形 と三角形 (p=1.00) および逆三角形と三角形 (p=.302) の記憶容量に有意な違いはなかった。一方,記憶サイズ が5個の条件では図形の単純主効果は有意ではなかった (F(2, 38)=0.58, p=.567, ηp2=.03)。 考 察 主観評定の結果は,感情価の次元では逆三角形の評定 値が低く,円形の評定値が高く,三角形はその中間と なっていた。したがって,先行研究 (Armbruster et al., 2014; Larson et al., 2007, 2012) と同様に三角形の評定値を 基準に逆三角形がよりネガティブな刺激,円形がよりポ ジティブな刺激として評定されていたといえる。 記憶課題では,ポジティブ刺激となる円形の記憶容量 が,記憶サイズが7個および9個の条件でネガティブ刺 激となる逆三角形よりも大きくなっていた。したがっ て,幾何学図形を使用した刺激位置の視覚的短期記憶の 課題では,ポジティブ刺激の記憶容量がネガティブ刺激 Table 1.

Results of emotional and redundancy ratings.

Valence Activity Potency Redundancy

Ex. 1 Circle 5.78 3.13 4.14 ̶ (n=20) (0.85) (0.96) (1.12) Triangle 4.50 4.28 4.34 ̶ (0.87) (0.99) (0.86) Inverted-triangle 3.31 4.23 3.86 ̶ (0.89) (1.02) (1.11) Ex. 2A Circle 5.47 3.57 4.24 ̶ (n=18) (1.01) (0.73) (0.90) Square 4.47 3.19 5.32 ̶ (0.82) (0.19) (0.65) Inverted-triangle 3.25 3.96 3.13 ̶ (0.62) (0.91) (0.64) Ex. 2B Circle 6.00 3.62 3.80 6.07 (n=14) (0.72) (1.05) (0.78) (1.00) Triangle 3.30 4.31 4.09 4.86 (1.10) (1.11) (1.00) (1.46) Square 4.05 3.02 5.84 5.79 (0.67) (0.95) (0.70) (0.89) Inverted-triangle 2.73 4.14 3.64 3.43 (1.00) (1.26) (1.08) (1.28) Ex. 3 Circle 5.69 3.48 4.07 ̶ (n=18) (0.78) (0.86) (0.98) Inverted-triangle 3.75 4.33 4.00 ̶ (1.06) (1.03) (0.64)

Note. Values in parentheses indicate standard deviation.

Figure 2. Results of Experiment 1. The vertical axis in-dicates memory capacity, and the horizontal axis indi-cates memory size. Error bars represent the standard error of the mean (n=20).

(6)

よりも大きくなるという結果が得られた。記憶サイズが 7個以上の条件でのみポジティブ刺激とネガティブ刺激 の記憶容量に違いが現れたのは,限界記憶容量が関連し ていると考えられる。空間配置の記憶については,記憶 できる刺激の個数は6, 7個程度といわれている (Franco-neri, Alvarez, & Enns, 2007)。したがって,記憶できる容 量の限界以上の個数の刺激が提示された場合に,刺激の 感情価による記憶容量の違いが生じてくると推測され る。 実験1の結果,幾何学図形の位置の視覚的短期記憶で は,円形の方が逆三角形よりも記憶容量が大きいという 円形の優位効果が示された。そこで,次の実験では記憶 成績の違いに幾何学図形の冗長性が関与していないかを 調べる。冗長性は,回転および鏡映の変換によって生じ る内的な刺激セットの総数 (同等集合サイズ) によって 定 量 的 に 規 定 す る こ と が で き る (Garner & Clement,

1963)3。実験 2Aでは円形と同等集合サイズが同一であ る正方形を使うことで,刺激の冗長性の影響について検 討を行う。 実 験 2 A 方 法 実験参加者 実験1とは異なる学生 18名 (男性8名, 女性10名,平均年齢=23.11±3.11歳) が実験2に参加し た。本実験は実験1とほぼ同様の実験であったため,サ ンプルサイズは実験1と同様の方法で決定してこれを満 たすように参加者を募集した。全員が正常な視力もしく は矯正視力を有していることを報告していた。実験は, 口頭および書面による実験参加者のインフォームド・コ ンセントを得たうえで実施した。 刺激 正方形,逆三角形,円形の3種類の幾何学図形 を視覚刺激として使用した。逆三角形と円形は実験1と 同様のものであった。正方形は,一辺が視角1.0°となる ように白色で作成された。これらの視覚刺激は,実験1 と同じ仮想マトリクス上に提示された。背景やマスク刺 激などは,実験1と同様であった。 手続き 実験1と同様の手続きで実施された。実験参 加者は,変化の有無 (2)×図形 (3)×記憶サイズ (3)× 繰り返し (20) の計360試行を実施した。記憶課題実施 後に,実験 1と同様に使用した刺激の印象をSD法で評 定させた。 結 果 実験1と同様,印象評定について図形ごとに各次元の 評定の平均値と標準偏差を算出した (Table 1)。図形間の 評定値を比較するため,図形 (3) を参加者内要因とした 一要因分散分析を行ったところ,いずれの次元でも主 効果が有意であった (感情価: F(2, 34)=38.73, p≦.001, ηp2=.69; 活動性: F(2, 34)=3.90, p=.030, ηp2=.19; 力量 性: F(2, 34)=38.71, p≦.001, ηp2=.69)。多重比較を行った ところ,感情価では逆三角形の評定値が,正方形 (p≦ .001) や円形 (p≦.001)よりも低くなっていた。円形の 評定値は,正方形よりも高くなっていた (p≦.001)。活 動性では,逆三角形の評定値が正方形よりも高くなって いた (p=.021)。逆三角形と円形 (p=.724) および正方形 と円形 (p=.448) の評定値には有意な違いは見られな かった。力量性では,逆三角形の評定値が正方形 (p≦ .001) および円形 (p=.004) よりも低くなっていた。ま た,正方形の評定値は円形よりも高くなっていた (p≦ .001)。 実験1と同様に,図形および記憶サイズごとに記憶容 量を算出した (Figure 3)。記憶容量の違いを調べるため に図形 (3)×記憶サイズ (3) の二要因分散分析を行った ところ,図形 (F(2, 34)=7.48, p=.002, ηp2=.31) および記 憶サイズ (F(2, 34)=22.55, p≦.001, ηp2=.57) の主効果が 有意であった。多重比較を行ったところ,図形では円形 の記憶容量が逆三角形 (p=.032) および正方形 (p=.010) よりも大きくなっていた。逆三角形と正方形の記憶容量 には,有意な違いは見られなかった (p=1.00)。記憶サ イズでは,記憶サイズが5個の条件の記憶容量が,7個 (p≦.001) および9個 (p≦.001) の条件と比較して有意に 小さくなっていた。7個と9個の条件間では,記憶容量に 有意な違いは見られなかった (p=.810)。また,図形× 記憶サイズの交互作用は有意ではなかった (F(4, 68)= 0.40, p=.811, ηp2=.02)。 考 察 主観評定の結果は,正方形の感情価の評定値は実験1 の三角形の評定値と大きく変わらなかった。また,正方 3 ある形態について,90°, 180°, 270°回転させて (回転変 換) 生じる形態,さらにそれを鏡映しにして (鏡映変 換) 生じる形態を内包する刺激セットとして,その形 態の総数が同等集合サイズ (equivalent set size: ESS) と 定義される (Garner & Clement, 1963). ESSが小さい形 態は冗長性や簡潔性が高いといえる.三角形や逆三角 形は回転変換で向きが変わるので基の形態と合わせて 4つの形態が生じるが,鏡映変換では同じ形態が生じ るだけなのでESSは4となる.一方,円形と正方形は 回転変換と鏡映変換を行っても同一の形態が生じるた め,ESSは1となる.ESSの概念に従えば,三角形や逆 三角形と比べて円形と正方形の冗長性は低く,この2 つの幾何学図形の冗長性は同一である.

(7)

形と比較して逆三角形の評定値が低く,円形の評定値が 高くなっていた。したがって,実験2では正方形の評定 値を基準に逆三角形がよりネガティブな刺激に,円形が よりポジティブな刺激として評定されていた。 記憶課題における円形の優位効果についても,実験 2Aにおいて観察された。本実験では,円形の記憶容量 が逆三角形および正方形よりも大きくなっていた。一 方,逆三角形と正方形の記憶容量には有意な違いが観察 されなかった。同等集合サイズの概念 (Garner & Clem-ent, 1963) の観点では,円形と正方形の冗長性は同程度 であり,逆三角形は他の2つの図形よりも冗長性が低い と考えられる。したがって,本研究の幾何学図形の種類 による記憶容量の違いは,同等集合サイズの概念で規定 される図形の冗長性では説明できないことが示された。 一方で,幾何学図形の冗長性が同等集合サイズの概念 だけで規定されるかについては疑問が残る。そのため, 幾何学図形の冗長性について測定する必要がある。冗長 性の高さは,形態の「良さ」を評定することで測定され る (例えば,Garner & Clement, 1963)。そこで,実験2B では実験1および実験2Aで使用した4つの幾何学図形に ついて,冗長性の指標である「良さ」を含めた主観評定 と記憶容量の測定を行うことで,幾何学図形の種類によ る記憶容量の違いに冗長性が関与しているかについて追 加の検討を行った。 実 験 2 B 方 法 実験参加者 実験1・2Aとは異なる学生14名 (男性4 名,女性 10名,平均年齢=21.86±2.53歳) が実験2Bに 参加した。本実験は実験1・2Aとほぼ同様の実験であっ たため,サンプルサイズは同様の方法で決定してこれを 満たすように参加者を募集した。全員が正常な視力もし くは矯正視力を有していることを報告していた。実験 は,口頭および書面による実験参加者のインフォーム ド・コンセントを得たうえで実施した。 刺激 三角形,正方形,逆三角形,円形の4種類の幾 何学図形を視覚刺激として使用した。三角形,逆三角 形,円形は実験 1と,正方形は実験2Aと同様のもので あった。これらの視覚刺激は,同じ仮想マトリクス上に 提示された。背景やマスク刺激などは,これまでの実験 と同様であった。 手続き 実験1・2Aと同様の手続きで実施された。実 験参加者は,変化の有無 (2)×図形 (4)×記憶サイズ (3)×繰り返し (20) の計480試行を実施した。記憶課題 実施後に,刺激の印象をSD法で評定させた。質問項目 は,実験 1・2Aと同じ感情次元を測定する11項目と, 幾何学図形の冗長性を測定するために「悪い–良い」の 形容詞対を使用した。なお,感情次元の質問項目にも 「悪い–良い」の項目が入っているため,こちらは「印象 として」の良さについて,冗長性については「形態とし て」の良さについて評定するよう教示した。 結 果 実験1・2Aと同様,印象評定について図形ごとに各次 元の評定の平均値と標準偏差を,加えて新たに測定した 冗長性についても平均値と標準偏差を算出した (Table 1)。 図形間の評定値を比較するため,図形 (4) を参加者内要 因とした一要因分散分析を行ったところ,いずれの評定 でも主効果が有意であった (感情価: F(3, 39)=46.41, p≦.001, ηp2=.78; 活 動 性: F(3, 39)=3.40, p=.030, ηp2= .21; 力量性: F(3, 39)=15.64, p≦.001, ηp2=.55; 冗長性: F(3, 39)=20.36, p≦.001, ηp2=.610)。多重比較を行ったとこ ろ,感情価では逆三角形の評定値が,正方形 (p≦.001) や円形 (p=.001) よりも低くなっていたが,三角形の評 定値とは有意な違いは見られなかった (p=.202)。円形 の評定値は,正方形 (p≦.001) および三角形 (p≦.001) よりも高くなっていた (p=.000)。一方,正方形と三角 形の評定値には有意な違いは見られなかった (p=.106)。 活動性では,正方形の評定値が三角形よりも低くなって いた (p=.046)。また,正方形の評定値が逆三角形よりも 有意傾向で低くなっていた (p=.061)。一方,その他の 図形間の評定値には有意な違いは見られなかった (ps= 1.00)。力量性では,正方形の評定値が円形 (p≦.001), 三角形 (p=.006),逆三角形 (p≦.001) よりも有意に高く Figure 3. Results of Experiment 2A. The vertical axis

indicates memory capacity, and the horizontal axis in-dicates memory size. Error bars represent the standard error of the mean (n=18).

(8)

なっていた。一方,その他の3つの図形間の評定値には 有意な違いは見られなかった (p=1.00)。冗長性では,円 形の評定値が逆三角形 (p≦.001) および三角形 (p=.018) よりも有意に高くなっていた。また,逆三角形の評定値 が正方形 (p≦.001) および三角形 (p=.013) よりも低く なっていた。一方,正方形と円形 (p=1.00) および三角 形 (p=.323) の評定値の間には有意な違いは見られな かった。 実験1・2Aと同様に,図形および記憶サイズごとに記 憶容量を算出した (Figure 4)。記憶容量の違いを調べるた めに図形 (4)×記憶サイズ (3) の二要因分散分析を行った ところ,記憶サイズの主効果が有意であった (F(2, 26)= 31.59, p≦.001, ηp2=.71)。一方,図形の主効果は有意でな かった (F(2, 34)=2.08, p=.118, ηp2=.14)。また,図形×記 憶サイズの交互作用も有意であった (F(6, 78)=3.13, p=.008, ηp2=.19)。記憶サイズの単純主効果は,三角形 (F(2, 26)=15.42, p≦.001, ηp2=.54),逆三角形 (F(2, 26)=7.23, p =.003, ηp2=.23),円形 (F(2, 26)=34.60, p≦.001, ηp2=.73) では有意であったが,正方形 (F(2, 26)=2.21, p=.130, ηp2=.15) は有意ではなかった。図形の単純主効果について は,記憶サイズが9個の条件で有意であった (F(3, 39)= 4.13, p=.012, ηp2=.24)。多重比較の結果,円形の記憶容量 が逆三角形 (p=.019) および正方形 (p=.019) よりも有意 に大きくなっていた。円形と三角形 (p=.174),逆三角形と 三角形 (p=1.00),逆三角形と正方形 (p=1.00),および正 方形と三角形 (p=1.00) では記憶容量に有意な違いは観 察されなかった。一方,記憶サイズが5個の条件では図 形の単純主効果は有意傾向であり (F(3, 39)=2.85, p=.050, ηp2=.18),7個の条件では有意ではなかった (F(3, 39)= 0.57, p=.637, ηp2=.04)。 考 察 主観評定の結果は,三角形の感情価の評定値が実験1 と比べて低く逆三角形と有意な違いがなかった。円形の 感情価の評定値が一番高く,逆三角形の評定値が一番低 く,正方形がその中間の評定値である点はこれまでの実 験と同様であった。冗長性については,逆三角形が他の 図形よりも低くなっていた。円形の冗長性は三角形より も高くなっていたが,正方形とは有意な違いはなかっ た。 記憶課題では,円形の記憶容量は記憶サイズが9個の 条件で逆三角形および正方形よりも大きくなっていた。 主観評定で測定した円形の冗長性は逆三角形よりも高く なっていたが,正方形とは有意な違いがなかった。した がって,同等集合サイズの概念から検討した実験2Aと 合わせて実験2Bの結果からも,本研究の幾何学図形の 種類による記憶容量の違いは図形の冗長性の高さでは説 明できないことが示された。 これまでの実験の結果より,幾何学図形においてポジ ティブ刺激の記憶容量がネガティブ刺激よりも大きいと いう優位効果が繰り返し確認された。Wheeler & Treisman (2002) は,視覚的短期記憶の検索段階の影響を調べる

ためにテスト画面の刺激数を1個にする単一プローブ法 という方法を提案している。Wheeler & Treisman (2002) では,空間配置の視覚的短記憶ではテスト画面の刺激提 示数が記憶画面と同数 (全画面) でも1個だけ (単一プ ローブ) でも記憶課題の正答率に有意な違いがないこと が報告されている。しかし,視覚的短期記憶における円 形の優位効果の頑健性を示すうえで,単一プローブ法を 用いた検討は有用であると考えられる。そこで,実験3 ではテスト画面に全画面条件と単一プローブ条件を設定 して,円形の記憶容量が逆三角形よりも大きくなるとい う効果が再現されるかを検討した。 実 験 3 方 法 実験参加者 実験1・2A・2Bとは異なる学生18名 (男 性 5名,女性13名,平均年齢=19.89±0.68歳) が実験3 に参加した。サンプルサイズは,実験1と同様の基準で 1次の交互作用を検出できるよう事前に検定力分析を行っ て決定し (算出された最小のサンプルサイズは16名), これを満たすように参加者を募集した。なお,効果量に ついては実験1や2とはデザインが異なり未知であった ため,実験1と同様に中程度の値を採用した。全員が正 Figure 4. Results of Experiment 2B. The vertical axis

indicates memory capacity, and the horizontal axis in-dicates memory size. Error bars represent the standard error of the mean (n=14).

(9)

常な視力もしくは矯正視力を有していることを報告して いた。実験は,口頭および書面による実験参加者のイン フォームド・コンセントを得たうえで実施した。 刺激 実験1で使用したものと同様の逆三角形と円形 の2種類の幾何学図形を視覚刺激として使用した。これ らの視覚刺激は,実験1と同じ仮想マトリクス上に提示 された。背景やマスク刺激なども,実験1と同様であっ た。 手続き テスト画面の刺激の提示方法を除いて,実験1 と同様の手続きで行った。実験3では,テスト画面に出 てくる刺激の個数が記憶画面と同数 (全体画面: whole-display) の場合と,1個だけ (単一プローブ: single-probe) の場合とを設定した。半数の試行では,テスト画面の刺 激の配置は記憶画面と同一であり,残りの半数の試行で は空間配置が異なっていた (単一プローブの場合は,記 憶画面で提示された位置とは異なる位置にテスト刺激が 1個提示された)。変化の有無 (2)×テスト画面 (2)×図 形 (2)×記憶サイズ (2)×繰り返し (20) の計320試行を 実施した。記憶課題実施後に,他の実験と同様に使用し た刺激の印象をSD法で評定させた。 結 果 実験1・2A・2Bと同様,印象評定について図形ごとに 各次元の評定の平均値と標準偏差を算出し (Table 1),円 形と逆三角形の評定値を比較するためにt検定を行った。 その結果,感情価は円形の方が逆三角形と比較して評定 値が高くなっており(t(17)=5.93, p≦.001, d=2.09),活 動性は逆三角形の方が円形よりも評定値が高くなってい た (t(17)=2.29, p=.035, d=0.90)。一方,力量性の評定値 は円形と逆三角形の間で有意な違いはなかった (t(17)= 0.22, p=.827, d=0.08)。 続いて,テスト画面,図形,記憶サイズごとに記憶容 量を算出した (Figure 5)。記憶容量の違いを調べるため に,テスト画面 (2)×図形 (2)×記憶サイズ (2) の三要 因分散分析を行った。その結果,テスト画面の主効果が 有意であり,全体画面の記憶容量の方が単一プローブよ りも大きくなっていた (F(1, 17)=17.17, p≦.001, ηp2=.50)。 図形の主効果も有意であり,円形の記憶容量の方が逆三 角形よりも大きくなっていた (F(1, 17)=7.34, p=.015, ηp2=.30)。さらに,記憶サイズの主効果も有意であり, 9個の条件の方が5個の条件よりも記憶容量が大きくなっ ていた (F(1, 17)=11.25, p=.004, ηp2=.40)。図形×記憶サ イズの交互作用は有意傾向であった (F(1, 17)=4.01, p= .061, ηp2=.19)。テスト画面×図形の交互作用(F(1, 17)= 0.73, p=.406, ηp2=.04),テスト画面×記憶サイズの交互 作用(F(1, 17)=0.11, p=.739, ηp2=.01),三要因の交互作 用は有意ではなかった (F(1, 17)=0.18, p=.678, ηp2=.01)。 考 察 実験3においても,記憶課題におけるポジティブ刺激 の優位効果が観察された。主観評定の結果は,実験1・ 2と同じ傾向であり,円形がよりポジティブな刺激,逆 三角形がよりネガティブな刺激として評定されていたと いえる。そのうえで,円形の記憶容量が逆三角形よりも 大きくなっていた。したがって,実験3においても円形 のもつポジティブな感情価が記憶容量を促進させていた と推測される。

一方,本研究ではWheeler & Treisman (2002) の結果と は異なり,全体画面の記憶容量の方が単一プローブより も大きくなっていた。これは,参加者が記憶画面で提示 全体を1つのパターンのように記憶し,テスト画面と照 合していたため,単一プローブだけでは上手く変化を検 出できなかったためと考えられる。記憶画面において提 示された刺激群を1つのパターンのように捉えて記憶す るという方略が取られていたことから,本研究で測定し ていた記憶容量には,体制化して記憶できる容量の影響 が混在していた可能性が残る。実験の課題としては刺激 の位置を記憶するように教示していたが,もし提示され た刺激の配置を個別に記憶していたのであれば,単一プ ローブ条件の記憶成績はWheeler & Treisman (2002) と同 じく全体画面条件と同程度になると考えられる。した がって,本研究で円形は刺激位置の記憶容量もしくは記 憶時の刺激の体制化容量を促進していたと推測される。 Figure 5. Results of Experiment 3. The vertical axis

cates memory capacity, and the horizontal axis indi-cates test type and memory size. Error bars represent the standard error of the mean (n=18).

(10)

総 合 考 察 本研究では,幾何学図形の種類が視覚的短期記憶容量 に与える影響について,4つの実験による検討を行っ た。実験1では逆三角形,円形,三角形を使用し,変化 検出課題によって測定した課題成績の比較を行った。そ の結果,円形の記憶容量が逆三角形よりも大きくなって いた。実験2Aでは,三角形から同等集合サイズが円形 と同じである正方形に変え,幾何学図形の冗長性の影響 について検討を行った。その結果,円形の優位効果は変 わらず観察された一方で,逆三角形と正方形の記憶容量 には有意な違いは生じていなかった。さらに,実験2B では4つの幾何学図形の冗長性の評定と記憶容量の測定 を行った。その結果,記憶サイズが9個の条件で円形の 記憶容量が逆三角形および正方形よりも大きいという結 果が再現された。また,円形の冗長性は逆三角形よりも 高くなっていたが,正方形とは同程度であった。実験3 では,円形の優位効果の頑健性を確認するため,実験 1・2で用いられた全画面条件と合わせて,単一プロー ブ法による記憶容量の測定も行った。実験の結果,全画 面条件と単一プローブ条件のいずれにおいても円形の優 位効果は観察された。 4つの実験の結果では一貫して,円形の記憶容量が大 きくなるという促進効果が示された。各幾何学図形につ いて感情次元の評定を行ったところ,感情価について円 形はポジティブに,逆三角形はネガティブに,三角形お よび正方形は中性に評定されていた。活動性について は,三角形が高い一方で正方形が低く評定されていた。 また,逆三角形の方が円形よりも評定値が高くなる傾向 が見られたが,実験2Aや実験2Bのように評定値に有意 な違いがない場合も見られた。力量性については,正方 形が高く評定されていた。その他の3つの幾何学図形に ついては,実験2Aでは逆三角形が円形や三角形よりも 有意に低く評定されていたが,その他の実験では評定値 間に有意な違いはなかった。記憶容量と感情次元の対応 を考えると,円形の優位効果と対応しているのは感情価 であるといえる。また,刺激の活動性は位置の視覚的短 期記憶の成績に関与しないことを報告している研究もあ る (Costanzi et al., 2019)。力量性については,記憶した 顔の表情の強度をマッチングさせて再認する課題におい て怒り顔の記憶成績とは有意に相関するが,幸福顔の記 憶成績とは関連しないことが示されている (Svärd et al., 2014)。したがって,円形のもつポジティブな感情価が 視覚的短期記憶容量を促進したと考えられる。 本研究においてポジティブ刺激である円形でのみ優位 効果が生じていた背景には,記憶課題の性質が関与して いると推測される。Jackson et al. (2009) では,本研究と は異なりネガティブ刺激である怒り顔の視覚的短期記憶 における優位効果が報告されている。しかし,Jackson et al. (2009) で用いられた記憶課題は,提示された顔その ものを記憶する課題であり,位置の記憶課題ではなかっ た。位置の記憶を用いた研究では,ポジティブ刺激とネ ガティブ刺激の直接的な比較は行われていないが,短期 記憶ではポジティブ刺激のみ優位効果が生じることが示 されている (Putman, van Honk, Kessels, Mulder, & Koppen-schaar, 2004)。したがって,物体の短期記憶ではなく位 置の短期記憶を測定した場合,ポジティブ刺激の優位効 果が生じると考えられる。一方,Takahashi et al. (2015) では本研究と同じく位置の記憶を測定し,ネガティブな 刺激である嫌いなパターンの保持容量が拡大することを 示している。しかし,Takahashi et al. (2015) では全体的 な配置パターンの評定を行っているのに対して,本研究 では提示される個々の刺激である図形の評定を行ってい る。刺激位置の視覚的短期記憶課題において,ネガティ ブな感情価は全体処理の結果として促進的に作用し,ポ ジティブな感情価は局所処理の結果として促進的に作用 するのであれば,2つの研究結果を整合的に解釈するこ とが可能である。 幾何学図形の印象形成には形態的特徴が関わっている ことが示唆されており,逆三角形はV字の特徴やその先 端がネガティブな印象形成のうえで重要である (Larson et al., 2007)。また,逆三角形がマスキング下でも検出さ れやすいのは,この特徴をもつ刺激が視覚情報として入 力された場合,扁桃体での粗い視覚処理によってこの情 報が抽出され,優先的な処理を行うよう視覚野の活動を 調整するメカニズムが存在するためであると推測される (Takeshima & Gyoba, 2016)。円形についても,丸みとい

う形態的特徴がポジティブな印象形成のうえで重要であ ることが示唆されている (Aronoff et al., 1992; Bar & Neta, 2006)。ポジティブ刺激についても皮質下の処理が行わ れていることが報告されている (Li et al., 2018) ことか ら,円形でも特徴が抽出されることによって逆三角形と 同じく視覚野の活動が調整されて優先的に処理が行わ れ,さらにその後の視覚的短期記憶容量に関わる後頭頭 頂皮質 (Todd & Marois, 2005) の活動を変容させるという メカニズムが考えられる。円形のもつポジティブな印象 がこのようなメカニズムで記憶処理を促進させているの かについては,今後神経生理学的な手法による検討で確 かめていく必要がある。

(11)

暢性の影響についても考える必要がある。冗長性の高い 視覚刺激は符号化効率も高く (Rauschenberger & Yantis, 2006; Takahashi et al., 2013),処理効率の高さ (知覚的流 暢性の高さ) によって好ましさが誤帰属され (例えば, Reber, Winkielman, & Schwarz, 1998),ポジティブに評価 されると考えられる。しかし,実験2Aで円形と冗長性 の指標である同等集合サイズ (Garner & Clement, 1963) が同じである正方形と比較したところ,円形の記憶容量 は正方形よりも大きくなっていた。同等集合サイズに よって符号化効率が規定されることから (Rauschenberg-er & Yantis, 2006; Takahashi et al., 2013),視覚的短期記憶 における円形の優位効果は符号化効率の違いだけでは説 明できないと考えられる。また,実験2Bでは形態的な 「良さ」を指標として各幾何学図形の冗長性の高さを測 定したところ,円形の冗長性は逆三角形よりも高くなっ ていたが,正方形とは同程度であった。実験2Bにおい ても円形の記憶容量は正方形よりも大きくなっていたこ とから,円形の優位効果は冗長性の高さによる影響では ないといえる。 幾何学図形の種類と空間配置の限界記憶容量との関連 については,記憶容量の個人差が関わっていると考えら れる。実験1では円形の優位効果は記憶サイズが7個以 上,特に9個の条件で顕著に表れていた。また,実験2B でも円形の優位効果が見られたのは記憶サイズが9個の 条件であった。しかし,実験2Aでは幾何学図形間の記 憶容量の違いは,提示される記憶サイズには依存してお らず,円形の優位効果が空間配置の限界記憶容量である 6, 7個 (Franconeri et al., 2007) よりも多い記憶サイズで生 じるという結果は,一貫したものではなかった。個人の 記憶容量,特にワーキングメモリーの容量には個人差が 存在することが知られている (例えば,Unsworth & En-gle, 2007)。実験2Aでは,すべての記憶サイズの記憶容 量が実験 1や実験2Bよりも小さくなっており,記憶サ イズが5個の条件から限界記憶容量近くになっていた可 能性がある。したがって,記憶容量の個人差の影響に よって実験2Aでは記憶サイズにかかわらず円形の記憶 容量の促進効果が生じていたと考えられる。 今後の課題として,幾何学図形の種類が視覚的短期記 憶容量を変化させる要因を明らかにするためには,幾何 学図形についてより広範な心的印象を調べる必要があ る。本研究も含めてこれまでの幾何学図形を用いた研究 では,感情次元に焦点を絞って検討を行ってきた (例え ば,Larson et al., 2007; Takeshima & Gyoba, 2016)。 し か し,幾何学図形という単純な形態の刺激あることから, 感情次元以外にもさまざまな心的印象をもち,これらが 課題の成績に関与している可能性も考えられる。このよ うな心的印象を調べていくことで,形態が認知に与える 影響のメカニズムの解明に繋がる可能性がある。本研究 の発見をもとに,今後さらなる実験を積み重ねていく必 要がある。 引用文献

Armbruster, D., Suchert, V., Gärtner, A., & Strobel, A. (2014). Threatening shapes: The impact of simple geometric con-figurations on peripheral physiological markers. Physiology

& Behavior, 135, 215–221.

Aronoff, J., Barclay, A. M., & Stevenson, L. A. (1988). The rec-ognition of threatening facial stimuli. Journal of Personality

and Social Psychology, 54, 647–655.

Aronoff, J., Woike, B. A., & Hyman, L. M. (1992). Which are the stimuli in facial displays of anger and happiness? Con-figurational bases of emotion recognition. Journal of

Person-ality and Social Psychology, 62, 1050–1066.

Bar, M., & Neta, M. (2006). Humans prefer curved visual ob-jects. Psychological Science, 17, 645–648.

Bar, M., & Neta, M. (2007). Visual elements of subjective pref-erence modulate amygdala activation. Neuropsychologia, 45, 2191–2200.

Brainard, D. H. (1997). The psychophysics toolbox. Spatial

Vision, 10, 433–436.

Cacioppo, J. T., & Berntson, G. G. (1994). Relationship be-tween attitudes and evaluative space: A critical review, with emphasis on the separability of positive and negative sub-strates. Psychological Bulletin, 115, 401–423.

Cohen, J. (1992). A power primer. Psychological Bulletin, 112, 155–159.

Costanzi, M., Cianfanelli, B., Saraulli, D., Lasaponara, S., Doricchi, F., Cestari, V., & Rossi-Arnaud, C. (2019). The ef-fect of emotional valence and arousal on visuo-spatial working memory: incidental emotional learning and mem-ory for object-location. Frontiers in Psychology, 10, 2587. Cowan, N. (2000). The magical number 4 in short-term

mem-ory: A reconsideration of mental storage capacity.

Behavior-al and Brain Sciences, 24, 87–185.

Eriksen, B., & Eriksen, C. (1974). Effects of noise letters upon the identification of a target letter in a nonsearch task.

Perception & Psychophysics, 16, 143–149.

Franconeri, S., Alvarez, G., & Enns, J. (2007). How many loca-tions can be selected at once? Journal of Experimental

Psychology: Human Perception and Performance, 33, 1003–

1012.

Garner, W. R., & Clement, D. E. (1963). Goodness of pattern and pattern uncertainty. Journal of Verbal Learning and

Verbal Behavior, 2, 446–452.

Greenwald, A. G., McGhee, D. E., & Schwartz, J. L. K. (1998). Measuring individual differences in implicit cognition: The implicit association test. Journal of Personality and Social

Psychology, 74, 1464–1480.

(12)

J. A., & Turski, P. A. (1996). Human amygdala activation detected with echo-planar functional magnetic response imaging. NeuroReport, 7, 1795–1769.

Jackson, M., Wu, C.-Y., Linden, D., & Raymond, J. (2009). En-hanced visual short-term memory for angry faces. Journal

of Experimental Psychology: Human Perception and Perfor-mance, 35, 363–374.

Kesler-West, M., Andersen, A., Smith, C., Avison, M., Davis, C. E., Kryscio, R., & Blonder, L. (2001). Neural substrates of facial emotion processing using fMRI. Cognitive Brain

Research, 11, 213–226.

Kleiner, M., Brainard, D. H., & Pelli, D. G. (2007). “What’s new in Psychtoolbox-3.” Perception, 36, ECVP Abstract Supplement.

Larson, C. L., Aronoff, J., Sarinopoulos, I. C., & Zhu, D. C. (2009). Recognition threat: A simple geometric shape acti-vates neural circuitry for threat detection. Journal of

Cogni-tive Neuroscience, 21, 1523–1535.

Larson, C. L., Aronoff, J., & Stearns, J. (2007). The shape of threat: Simple geometric forms evoke rapid and sustained capture of attention. Emotion, 7, 526–534.

Larson, C. L., Aronoff, J., & Steuer, E. (2012). Simple geomet-ric shapes are implicitly associated with affective value.

Mo-tivation and Emotion, 36, 404–413.

Li, F., Yin, S., Feng, P., Hu, N., Ding, C., & Chen, A. (2018). The cognitive up- and down-regulation of positive emotion: Evidence from behavior, electrophysiology, and neuroimag-ing. Biological Psychology, 136, 57–66.

Lundqvist, D., Esteves, F., & Öhman, A. (1999). The face of wrath: Critical features for conveying facial threat.

Cogni-tion & EmoCogni-tion, 13, 691–711.

Lundqvist, D., Esteves, F., & Öhman, A. (2004). The face of wrath: The role of features and configurations in conveying social threat. Cognition & Emotion, 18, 161–182.

Pelli, D. G. (1997). The video toolbox software for visual psychophysics: Transforming numbers into movies. Spatial

Vision, 10, 437–442.

Putman, P., van Honk, J., Kessels, R., Mulder, M., & Koppe-schaar, H. (2004). Salivary cortisol and short and long-term memory for emotional faces in healthy young women.

Psychoneuroendocrinology, 29, 953–960.

Rauschenberger, R., & Yantis, S. (2006). Perceptual encoding efficiency in visual search. Journal of Experimental

Psycholo-gy: General, 135, 116–131.

Reber, R., Winkielman, P., & Schwarz, N. (1998). Effects of perceptual fluency on affective judgments. Psychological

Science, 9, 45–48.

Svärd, J., Fischer, H., & Lundqvist, D. (2014). Adult age-differ-ences in subjective impression of emotional faces are re-flected in emotion-related attention and memory tasks.

Frontiers in Psychology, 5, 1–12.

Takahashi, J., Hidaka, S., Teramoto, W., & Gyoba, J. (2013). Temporal characteristics of the effects of visual pattern re-dundancy on encoding and storage processes: Evidence from rapid serial visual presentation. Psychological Research,

77, 687–697.

Takahashi, J., Kawachi, Y., & Gyoba, J. (2015). Visual short-term memory is modulated by visual preference for spatial configuration between objects. Gestalt Theory, 37, 141–160. 髙橋純一・村井諒平・平野智久・行場次朗 (2014).ネ

ガティブ顔優位性効果とポジティブ顔優位性効果の異 なる生起過程 認知科学,21, 363–371.

Takeshima, Y., & Gyoba, J. (2016) Facilitation of visual target detection by pre-perceptual processing of negative emotion driven by simple geometric shapes. Experimental Brain

Re-search, 234, 549–557.

Todd, J., & Marois, R. (2005). Posterior parietal cortex activity predicts individual differences in visual short-term memory capacity. Cognitive, Affective & Behavioral Neuroscience, 5, 144–155.

Unsworth, N., & Engle, R. W. (2007). The nature of individual differences in working memory capacity: Active mainte-nance in primary memory and controlled search from sec-ondary memory. Psychological Review, 114, 104–132. Wang, Y., & Zhang, Q. (2016). Affective priming by simple

geometric shapes: Evidence from event-related brain poten-tials. Frontiers in Psychology, 7, 1–11.

Watson, D., Blagrove, E., Evans, C., & Moore, L. (2012). Nega-tive triangles: Simple geometric shapes convey emotional valence. Emotion, 12, 18–22.

Werheid, K., Alpay, G., Jentzsch, I., & Sommer, W. (2005). Priming emotional facial expressions as evidenced by event-related brain potentials. International Journal of

Psychophys-iology, 55, 209–219.

Wheeler, M. E., & Treisman, A. M. (2002). Binding in short-term visual memory. Journal of Experimental Psychology:

General, 131, 48–64.

Figure 1. (a) Simple geometric shapes used in the present study. (b) A schematic representation of the procedure used in the  present experiment
Figure 2. Results of Experiment 1. The vertical axis in- in-dicates memory capacity, and the horizontal axis  indi-cates memory size
Figure 5. Results of Experiment 3. The vertical axis indi- cates memory capacity, and the horizontal axis  indi-cates test type and memory size

参照

関連したドキュメント

特に, “宇宙際 Teichm¨ uller 理論において遠 アーベル幾何学がどのような形で用いられるか ”, “ ある Diophantus 幾何学的帰結を得る

「サントリー天然水」は、大容量及び小容量(500ml

(4) The basin of attraction for each exponential attractor is the entire phase space, and in demonstrating this result we see that the semigroup of solution operators also admits

We prove that for some form of the nonlinear term these simple modes are stable provided that their energy is large enough.. Here stable means orbitally stable as solutions of

ケーブルの種類および太さ ケーブルは,許容電流,電圧降下,短絡容量,施設方法等に応じて 次の中から選定いたします。 なお,ケーブルの許容電流は,日本電線工業会規格(JCS

タンク・容器の種類 容量 数量 化学物質名称

図 21 のように 3 種類の立体異性体が存在する。まずジアステレオマー(幾何異 性体)である cis 体と trans 体があるが、上下の cis

・ 教育、文化、コミュニケーション、など、具体的に形のない、容易に形骸化する対 策ではなく、⑤のように、システム的に機械的に防止できる設備が必要。.. 質問 質問内容