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★ザンビア共和国 ザンビア投資促進

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Quality Resources Reserve Class

Calorific  Value  (cal/gr)

Total % Probable Proven Total %

Low < 5,100 21,183.04 20.21% 6,704.02 1,105.40 7,809.42 41.59% Medium 5,100 ‐ 6,100 69,550.65 66.40% 5,647.43 2,904.41 8,551.84 45.53% High 6,100 ‐ 7,100 13,021.49 12.43% 825.76 1,410.44 2,236.20 11.91% Very High > 7,100 1,001.65 0.96% 73.29 109.18 182.47 0.97% Total 104,756.83 100.00% 13,250.50 5,529.43 18,779.93 100.00% 表4-10 インドネシアの品位別資源量、埋蔵量 図4-22 石炭資源量、埋蔵量の年度変化 (2) 国内発電所用石炭の推定埋蔵量 表4-11 にインドネシアの主要石炭企業の保有する資源量、埋蔵量を示した。これらの 企業は石炭を大量に生産輸出しているが、同時に表4-3に示した PLN の石炭長期契約先 でもあり、国内の石炭火力発電所にも供給をしている。いずれの企業も資源量は 10 億 t 以上あり、可採埋蔵量も 1 社を除いて数億トン以上保有している。 一方、今後の石炭火力発電所で主に使用される低品位炭については、上記の大手企業も 保有しており、生産を開始している企業もある。2007 年ごろからの石油価格の高騰に伴い、 中国、インドなどで石炭需要が急増し、これまで市場性がなかった低品位炭の取引も行わ れるようになってきたことや、クラッシュプログラムをはじめとする新規石炭火力発電所 の計画、建設の進展により、低品位炭の需要が増加してきていることから、低品位炭鉱区 を保有する企業も生産に着手するようになってきた。表4-12 にはこれから生産を開始す る低品位炭の企業が保有する石炭埋蔵量を示した。いずれの企業も数億トン以上の埋蔵量 60,513 7,006 61,365 6,760 65,400 9,480 93,402 18,712 104,756 20,960 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 2004 2005 2006 2007 2008 Resources Reserves

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を保有しており、この 8 社だけでも 158 億 t もの埋蔵量がある。これら 8 社以外にも低品 位炭鉱区を所有している企業も、今後、生産開始を検討するものと思われることから、国 内発電所用の石炭の埋蔵量は、電力計画等で想定されている石炭利用量に十分であるとい える。 表4-11 主要石炭企業の資源量及び埋蔵量 No 石炭企業 場所 資源量 (10 億 t) 埋蔵量 (10 億 t) 1 PTBA South Sumatra 7.30 1.30 2 KPC East Kalimantan 3.47 0.62 3 Berau Coal East Kalimantan 2.75 0.19 4 Indominco East Kalimantan 1.25 0.04 5 Kideco East Kalimantan 1.05 0.66 6 Arutmin South Kalimantan 2.51 0.54 7 Adaro South Kalimantan 1.97 0.42

合計 20.3 3.77 表4-12 生産開始が予定されている低品位炭の企業の埋蔵量 No Company Reserve (  Billion ton ) 1 Bhakti  Energi  Persada, PT 5,24 2 Pesona  Khatulistuwa Nusantara, PT 0,17 3 Iltabhi  Bara  Utama, PT 3,33

4 Pendopo Energi Batubara, PT 1,95

5 Baramutiara  Prima, PT 0,61 6 Adaro, PT  ( Wara concession ) 2,31 7 Mantimin  Coal Mining , PT 0,26 8 Delma Mining Corporation, PT 2,00 TOTAL 15,87 4-4 現行のインドネシアによる石炭利用技術に関する取り組み概要 インドネシアには石油、天然ガス、石炭資源が豊富に存在しており、これらの資源を生産し輸 出してきていたが、近年、石油、天然ガスの新規開発が停滞し、生産量もそれほど増加していな いため、2004 年から石油の輸入国に転じた。国内のエネルギー需要は経済成長とともに増大して いることから、インドネシア政府は 2025 年までに石油の比率を 2005 年の 54%から 20%以下とす

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低品位炭は

加熱

すると

瀝青炭同等

まで水分は減少するが容易に再吸水する。

低品位炭は比表面積が大きく、親水性の表面官能基が多い。

再吸水させない為には

表面改質

が必要。

全水分 発熱量(到着基準) 固有水分 発熱量(恒湿基準) (wt%) (kcal/kg) (wt%) (kcal/kg)) 褐炭 50~70 2,000~3,000 15~20 6,000~6,500 亜瀝青炭 25~45 4,000~5,000 10~15 6,500~7,000

瀝青炭

7~10 6,000~6,500 2~5 7,300~7,800

脱水/加熱

低品位炭は

加熱

すると

瀝青炭同等

まで水分は減少するが容易に再吸水する。

低品位炭は比表面積が大きく、親水性の表面官能基が多い。

再吸水させない為には

表面改質

が必要。

全水分 発熱量(到着基準) 固有水分 発熱量(恒湿基準) (wt%) (kcal/kg) (wt%) (kcal/kg)) 褐炭 50~70 2,000~3,000 15~20 6,000~6,500 亜瀝青炭 25~45 4,000~5,000 10~15 6,500~7,000 全水分 発熱量(到着基準) 固有水分 発熱量(恒湿基準) (wt%) (kcal/kg) (wt%) (kcal/kg)) 褐炭 50~70 2,000~3,000 15~20 6,000~6,500 亜瀝青炭 25~45 4,000~5,000 10~15 6,500~7,000 全水分 発熱量(到着基準) 固有水分 発熱量(恒湿基準) (wt%) (kcal/kg) (wt%) (kcal/kg)) 褐炭 50~70 2,000~3,000 15~20 6,000~6,500 亜瀝青炭 25~45 4,000~5,000 10~15 6,500~7,000 全水分 発熱量(到着基準) 固有水分 発熱量(恒湿基準) (wt%) (kcal/kg) (wt%) (kcal/kg)) 褐炭 50~70 2,000~3,000 15~20 6,000~6,500 亜瀝青炭 25~45 4,000~5,000 10~15 6,500~7,000

瀝青炭

7~10 6,000~6,500 2~5 7,300~7,800

瀝青炭

7~10 6,000~6,500 2~5 7,300~7,800

瀝青炭

7~10 6,000~6,500 2~5 7,300~7,800

脱水/加熱

することができれば、石炭利用における石炭灰処理や脱硫等の環境対策問題、あるいは石炭資 源の有効活用に効果がある。 図4-24 に脱水・改質の概念を示した。一般的に石炭化度が低い石炭ほど多くの水分を含有 する。亜瀝青炭、褐炭等の低品位炭は水分が 25~70%と高いため、発熱量は 2,000~5,000kcal/kg と低い。水分 10%程度まで脱水すると、発熱量は 5,000~7,000kcal/kg 程度となり、一般炭とし て流通している瀝青炭とほぼ同程度となるが、単に脱水するだけでは上記の特徴から容易に再 吸水するため、表面を改質し再吸水を防ぐことが必要となる。また、脱水・乾燥だけでは自然 発火を引き起こすことになるため、山元での発電等の前処理技術としての適用となる。 図4-24 低品位炭の脱水・改質の概要 低品位炭改質技術は、低品位炭の発熱量を改善し有効利用が図られるため、これまでさまざ まな技術の開発が行われてきた。インドネシアでは、現在、実用化段階にあるプロセスである オーストラリアのBCB法、日本のUBC法、米国のK-Fuel法、及びこれらに次ぐ日本のHWT法の 適用が検討されている。

(1) BCB(Binderless Coal Briquetting)プロセス

BCBプロセスはオーストラリアのWhite Energy社により実用化が進められている。オー ストラリアのCSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)が0.2t/h プラントで基本プロセスを開発後、同社が西オーストラリアの亜瀝青炭を対象に10t/hプラ ントによる開発を進めた。 プロセスは図4-25に示すように、数ミリ以下に粉砕された石炭を400℃程度に加熱さ れた水蒸気の多いガス中で急速脱水し、ブリケット成型するもので、機器構成が簡単であ る。フラッシュチューブ内のガスは、大半が石炭から蒸発した水蒸気のため酸素濃度が少 なく、石炭の酸化はほとんど起こらない。脱水後にサイクロンで回収された石炭内部には 水蒸気が満たされた状態になっており、ブリケット成型で圧縮する際に粒子内部、粒子間 の水蒸気が凝縮してガス圧が下がるため、圧縮力が効果的に粒子に伝わり粒子内の空隙が

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潰れて急激に密着して成型される。このため成型時のバインダーが不要であり、成型速度 を増大して生産することができるとされている。またダブルロール型の成型機の各ロール の速度に差をつけることにより、ロール間で圧縮力と剪断力を与えてブリケットを緻密化 するため細孔の空隙率は50%以上減少する。このため、強度や自然発火性も問題ないとい われている。 図4-25 BCBプロセス BCB プロセスによるインドネシア低炭化度炭の改質処理の結果を表4-13 に示した。改 質後の水分含有量は 7~10%程度であるが、フラッシュチューブ内での脱水時間が短いた め、水分含有量が多い石炭では製品炭の水分含有量も多くなる傾向があることから、亜瀝 青炭に向いているともいえる。また改質条件が穏和なため、揮発分等の石炭性状の変化は 少ない。 2007 年よりインドネシアの Bayan 社と最初の商業機である年産 100 万 t プラントを東カ リマンタン州に建設し 2009 年上半期に完成した。試運転後、商業運転を開始していると されている。また中国、米国での事業展開も積極的に進めている。 表4-13 BCB プロセスによるインドネシア炭の原炭、製品炭の性状例 原炭水分含有量 (%) 37.6 32.3 26.0 53.6 24.5 39.6 BCB 水分含有量 (%) 5.9 7.8 4.6 9.9 4.2 7.8 原炭発熱量 (kcal/kg) 4,094 4,468 5,159 2,656 4,980 3,817 BCB 発熱量 (kcal/kg) 6,095 6,117 6,623 5,234 6,325 5,788

(2) UBC(Upgraded Brown Coal)プロセス5 1) プロセス概要

UBC プロセスは、60%以上の水分を含有するオーストラリア褐炭液化プロセスの前処

5

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アスフ ァ ルト 循環油 石炭l 循環 油 循 環油 油分 回収 スラリ ー脱水 スラ リ ー調製 凝縮液 (廃水) UBC製 品(粉) UBC製品 ( ブ リケッ ト) UBC成 型 固液分離 (Centrifuge) 表面水 細孔内水 重質油 低品位炭原炭 改質炭(油中脱水後) 重質油が、細孔内に選択 的に吸着することにより、 水分の再吸着を防止 表面水 細孔内水 重質油 表面水 細孔内水 重質油 低品位炭原炭 改質炭(油中脱水後) 重質油が、細孔内に選択 的に吸着することにより、 水分の再吸着を防止 理技術であるスラリー脱水法に基づいて㈱神戸製鋼所により開発された蒸発法の改質技 術であり、油中で脱水することを特徴とする。改質技術のなかで処理条件が最も穏和で あるとともに、脱水後に回収した蒸気の蒸発潜熱を熱源に利用することによりエネルギ ー消費量の削減を図ることや、重質油の吸着による改質炭の安定化を図ることで、従来 の蒸発法の欠点を克服している。2006 年からインドネシアにおいて 600t/d プラントの大 型実証プラントの開発を行っており、その後の商業化計画も進めている。 プロセスは次の工程から構成されている(図4-26)。 a) スラリー調製工程 粉砕された原炭と軽質油(循環溶剤)及び少量の重質油(アスファルト等)を混合 しスラリー化する。 b) スラリー脱水工程 スラリーを加熱し石炭中の水分を油中で除去後、石炭表面等に重質油が吸着し、脱 水・改質・安定化する。 c) 油分離・回収工程 改質後の石炭から軽質油を分離・回収し、回収油は循環する(改質炭は粉状)。 d) 成型工程 粉状の改質炭を成型する(山元以外で使用する場合の輸送用のため。山元発電等の 場合には成型せずに直接利用することが可能)。 このほかに前処理として石炭の粉砕工程が必要となる。 UBC 法の主な特徴は以下のとおりである。 ・ 脱水条件が穏和(140~180℃、350kPa)なため化学反応が起こらない。このため 廃水処理が容易。 ・ 分離された水分(蒸気)の潜熱を利用することによるエネルギー消費量の低減。 ・ アスファルト等の重質油が多孔質な低品位炭内部の細孔に吸着し石炭性状を安 定化し、自然発火性を抑制。石炭からの脱水後に、低品位炭内部の細孔へ吸着す るため、比較的低い温度、圧力での操作が可能となっている。図4-27 にこの脱 水、重質油吸着の状況を示した。 図4-26 UBC プロセスのプロセスフロー 図4-27 UBC プロセスの原理

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  Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC

全水分 wt% ar 22.6 1.9 32.4 2.0 36.2 2.0 40.2 5.0 26.0 2.3 灰分 wt% db 4.4 4.8 3.0 2.9 4.3 3.5 4.2 4.9 4.3 4.2 揮発分 wt% db 46.4 46.9 50.1 49.9 49.7 49.6 53.8 52.5 47.8 48.0 固定炭素 wt% db 49.2 48.3 46.9 47.2 46.0 46.9 42.0 42.6 47.9 47.8 燃料比 - 1.06 1.03 0.94 0.95 0.93 0.95 0.78 0.81 1.00 1.00 発熱量 kcal/kg ar 5202 6687 4253 6441 4093 6680 3488 5818 5115 6996 kcal/kg db 6721 6816 6291 6573 6415 6816 5832 6124 6912 7160 D炭 E炭 B炭 A炭 C炭 2) 改質炭の性状 低品位炭の改質は、主に脱水が中心であり石炭性状そのものの変化は少ない。UBC プ ロセスによる原炭と改質炭の性状の例を表4-14 に示した。改質により水分が大きく減 少し発熱量が増加しているが、灰分、揮発分等は改質前後でほとんど変化していない。 これは、処理条件が穏和なため、熱分解反応や化学反応等が生じていないことを示して いる。 表4-14 UBC 法によるインドネシア炭の原炭、改質炭の性状例 低炭化度炭で最も問題となる自然発火性は、基礎試験の結果や石炭輸送船によるイン ドネシアから日本への大量サンプルによる試験結果から問題ないことが示されている。 また、燃焼試験の結果では、改質炭は NOx 濃度が瀝青炭に比べて低く、未燃分が少ない ことから良好な燃え切り性を有していること、低 NOx 燃焼条件下でも未燃分をほとんど 排出しないことなど、優れた燃焼特性を示した。低炭化度炭は揮発分が高いことから良 好な燃焼性を有していると考えられるが、高水分のため燃焼効率が低くなるといわれて いる。低炭化度炭の改質により低水分となり、本来の優れた燃焼特性を発揮したものと 推定される。自然発火性、燃焼性については、大量サンプルをインドネシアから日本へ 石炭輸送船により運送し、日本の発電所の実機ボイラーでの燃焼試験を行った結果でも 問題ないことが示された。 600t/d 実証プラントでの開発開始時には、35~40%水分の低品位炭が商業化の対象で あったが、その後、これらの石炭は市場での取引が行われており改質の必要性がないこ とから改質の対象炭は水分 50%以上の褐炭となっており、UBC も水分 60%の褐炭を対 象に商業化計画を進めている。 (3) K-Fuelプロセス K-Fuelプロセスは米国のEvergreen Energy社が開発を進めている非蒸発法の改質技術で ある。プロセスの改良を重ねたあと、ワイオミング州ジレット市近郊に年間75万t(原炭基 準。製品基準では年間50~60万t)のプラントを建設し運転中である。 粗粉砕した塊炭を240℃、34kg/cm2 、蒸気中で脱水する方法で、図4-28にプロセスの概 要を示した。従来、塊炭を加圧下で260℃及び430℃の2段階で処理するセミバッチ方式であ ったため、大型化や連続処理化が難点だったが、南アフリカ共和国(以下、「南アフリカ」 と記す)のSasolで実績のあるルルギMark-Ⅳガス化炉を脱水系に採用するとともに、操作 条件を大幅に緩和することで問題を解決した。米国エネルギー省等の補助を受けて自社開 発を進めているため、プロセスの詳細は明らかではないが、ワイオミング州のパウダーリ バー炭田の亜瀝青炭を改質した場合、発熱量は8,000~8,800 Btu/lbから1万500~1万1,500

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Btu/lbに向上し、水分含有量は30%から7%に低減できるとしている。しかし、高温、蒸気 での処理のため廃水量が多く、石炭中の有機分が廃水中に溶解、混入するため、廃水処理 に課題があると推定される。一方、高温処理による石炭の分解等により、米国で石炭利用 上の問題になっている石炭中の水銀が30~80%程度除去されることをPRしている。 図4-28 K-Fuelプロセス 2006年ごろからインドネシアの石炭会社とF/Sを行うなど、インドネシアへの普及を図っ たが、現在あまり進展していないようである。

(4) 熱水改質-cs 法(Hot Water Treating)

日揮㈱は、(財)石炭利用総合センター〔現(財)石炭エネルギーセンター〕及び日本 COM㈱(2002 年解散)とともに、「低品位炭の改質技術」の開発を通産省石炭利用技術振 興補助事業として 1991 年より 1996 年までの 5 年間にわたり共同で実施した。この共同開 発の初期段階において、低品位炭の改質方法としてエネルギー効率が良く、改質炭の利用 方法としてのスラリー燃料(Coal Slurry:CS)化に適した熱水改質法(HWT 法:Hot Water Treating の略)を低品位炭改質プロセスに選定、後半(1994 年)には日本 COM㈱小名浜工 場内に世界最大級の HWT 法改質パイロットプラントを建設するとともに、オーストラリ ア褐炭及びインドネシア亜瀝青炭 2 炭種の計 3 炭種を代表低品位炭として改質試験、スラ リー化試験、燃焼試験及びガス化試験を実施し、良好な結果を得た。図4-29 に HWT 法 概念図を示した。

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高空隙率 高カルボキシル基酸素分 高含水率 高親水性 高揮発分 300 ℃ 150 kg/cm2

低品位炭・原炭

改質炭

30min. 空隙は収縮し溶融タール類で充填 COOH基はCO2と水に分解 固有水分は大幅に削減 石炭表面は疎水化 揮発分は減少しない 熱水改質 図4-29 熱水改質(HWT)法 概念図 HWT 法は 300℃の加圧熱水中で脱酸素、脱水作用(水分を蒸発させずに熱水中に抽出さ せる)によって、低品位炭の表面性状を親水性から疎水性に改質し、さらに低品位炭の一 部が分解されることによって発生するタール状物質が低品位炭内部の空隙を充填して内部 へ水分が再吸湿しないようにすることによって、高濃度の石炭スラリーが製造できる技術 である。さらに、本技術はバイオマスの炭化にも適用でき、植物が長い年月をかけて地中 で石炭化していく過程を人工的に 30 分で再現する、人工石炭化プロセスである。将来的に はバイオマスからの人工石炭を混合することによって石炭でありながら、CO2 排出原単位 が石油、天然ガス並の Bio-Coal(スラリーまたはブリケット)製造をめざすものである。 図 4-30 に熱水改質・石炭スラリー製造プロセスを示した。2010 年度から、NEDO 事業とし て褐炭を原料とした石炭スラリーをインドネシアで事業展開するためのデモプラント(年 産 1 万 t 規模)をインドネシアで開始した。

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図4-30 熱水改質 石炭スラリー製造プロセス

HWT 法の改質炭は微粉の固体としても回収できるが、コスト的には石炭スラリー製造 技術(Coal Water Mixture:CWM)製品とする方が適している。このため、他の改質法が瀝 青炭の代替品であるのに対し、HWT 法は重油代替品として既設の重油ボイラーへの適用 が計画されている。また、HWT 法により製造された CWM をディーゼル発電機に利用する 開発も米国で行われていたことから、将来的にはインドネシアの小規模発電で多数利用さ れているディーゼル発電へ適用することも計画されている。

(5) その他の改質法及び乾燥技術

インドネシアで開発された CUB 法(Coal Upgrading-Briquette)があるが、BCB 法とほぼ 同様のプロセス構成である。米国 Alstm 社で 2t/d プラントの運転を行ってオーストラリ ア・ビクトリア州には水分 65%程度の褐炭が大量に賦存し、現在主に発電に利用されてい る。この褐炭発電の効率向上による CO2削減等のため、幾つかの脱水改質法が開発されて おり、2009 年ごろからインドネシアへもプロセスの展開、普及を開始している。 また、改質法は脱水と同時に石炭表面を改質することにより自然発火性を抑制するため、 現在の市場で流通している瀝青炭と同様に市場で取り扱うことが可能であることから、改 質炭は輸出用として利用できる。一方、山元発電のように脱水後すぐにボイラーへ供給で きる場合には、よりコストの低い乾燥技術を組み込むことで効率向上、CO2削減を行うこ とが可能となる。今年度(2010 年)の日本の経済産業省の二国間クレジット調査事業で、 インドネシアの発電所に既存技術であるスチームチューブドライヤによる脱水乾燥を組み 込んだ場合の検討が行われることになっている。 4-4-2 石炭液化 インドネシアは石油輸出国であったが、生産量の停滞や国内需要の増加により現在は石油を 輸入していることもあり、石炭から液体燃料を得ることができる石炭液化には以前から関心が Fuel Circulated Water 30300120bar 120 bar 800 bar Lignite Hot Oil CS 20mm 1mm 0.02mm Upgrading Process Slurrification Process

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高く、開発の検討が進められてきた。 石炭の液化には、石炭から直接液体燃料を製造できる直接液化法と、石炭をガス化したあと、 生成したガスを化学反応により液体燃料にする間接液化法に大別できる。一般的に、エネルギ ー効率は、直接液化が 60%以上に対し間接液化が 40~45%と低く、油の収得率も直接液化の 方が多い。また直接液化から油はオクタン価が高くガソリンに適しているが、間接液化の油は ディーゼル用の軽油に適している。 (1) 直接液化 低品位炭の褐炭を対象にした石炭液化としては、1970 年代のオイルショック時にオース トラリア・ビクトリア州の褐炭を対象にした褐炭液化法(図4-31)が日本で開発された が、その後の石油価格の安定化により、液化開発は中断した。この褐炭液化法について、 日本とインドネシアの政府間協議により、1994 年から褐炭液化法の研究協力、及び南スマ トラのバンコ炭、東カリマンタンのブラウ炭、南カリマンタンのサツイ炭を対象とした F/S が行われ、2006 年に液化のセミナーがジャカルタで開催され、これらの成果が報告された。 このセミナーでは、石炭液化油を搭載した車を当時のプルノモ MEMR 大臣が運転するデ モンストレーションも実施された。 この成果を受け、2006 年の国家エネルギー政策(大統領令 2006 年第 5 号)で、2025 年 には石炭液化油でエネルギーの 2%を占めることとなった。また、代替燃料として液化石 炭の供給と利用に関する大統領令 2006 年第 2 号により、経済調整担当大臣以下、エネル ギー鉱物資源、財務、国営企業、運輸、工業、内務、研究技術の各大臣及び州知事、県知 事 に 対 し 、 液 化 促 進 の た め の 担 当 業 務 が 示 さ れ た 。 さ ら に 、 経 済 調 整 担 当 大 臣 令 (No.Kep11/M.Ekon/02/2006)、エネルギー鉱物資源省大臣令(No.1640K/73/Mem/2007)に より、液化の商業化に関する技術検討チーム、液化実用化の促進に関するコンソーシアム チームを結成した。技術チームは、MEMR、経済調整担当省、技術研究応用庁(BPPT)、 バンドン工科大学、インドネシア石炭鉱業協会に、日本の液化技術担当の神戸と双日がメ ンバーとなった。また、コンソーシアムには、MEMR 研究開発庁、国営石炭会社の PTBA のほか、アダロ、バンプ、ブラウ、ブミリソーシズ等の民間石炭会社、液化油を取り扱う プルタミナ等が参加した。 計画では、日本政府、NEDO 及び褐炭液化技術を保有する企業と、1t/d の試験設備と 1 万 3,500bbl/d のセミコマーシャルプラントの建設について MOU を締結し、2009 年から開 始を予定していた。しかし、インドネシア側が液化プラントに対する技術保障を要求した ことに対し、パイロットプラントまでの実績しかない日本側は受け入れなかったため、計 画は中断となっている。

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図4-31 褐炭液化法 (2) 間接液化 間接液化は、石炭ガス化+フィッシャートロプシュ合成反応の組み合わせにより行われ る。フィッシャートロプシュ合成反応は、天然ガスを原料に液体燃料を製造する GTL(Gas to Liquid)プロセスに利用され、既にマレーシア、カタール国(以下、「カタール」と記す) 等で GTL の商業プラントが建設、稼働しているように、完成された技術である。また、石 炭ガス化も実用化されていることから、間接液化は技術的には問題はない。 直接液化の計画が進展しないこともあり、インドネシアでは間接液化についても検討が 進められた結果、間接液化で唯一実績のある南アフリカの Sasol と BKPM が 2009 年に MOU を締結した。実施計画について現在調整中であるが、今後、原料石炭の検討や間接液化プ ラントからの CO2による石油(原油)増進回収(Enchanced Oil Recovery:EOR)も含めた 検討を行う計画となっている。 現在商業規模のガス化炉としては Shell や GE のガス化炉があるが、これらは瀝青炭に主 に対応しており、高水分の低品位炭をそのまま利用するには問題がある。これに対し Sasol で利用しているルルギ炉は、固定床のため効率上は流動床や噴流床のガス化炉には劣るも のの、褐炭にも適用可能である。現在、褐炭で大規模に商業化ガス化を行っているのは、 米国のノースダコタ州の褐炭を対象にしたものだけであり、ルルギ炉が仕様されている。 Sasol は GTL でも有力な企業であることから、Sasol によるインドネシアでの間接液化での 問題は少ないように思われる。 4-4-3 石炭ガス化 インドネシアのガスの国内需要は増加しているが、天然ガスの生産はほとんど増加していな

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いことや、有力な生産地域であったスマトラ北部のアチェの天然ガス生産が地震等の影響もあ って停止したこともあり、天然ガスを原料としているスマトラ北部の肥料工場も生産停止の状 況になっている。また、小規模発電で行われているディーゼル発電機用の軽油の利用量抑制の ため、石炭の小規模ガス化によるガスを利用することも考慮されている。さらに、日本では CO2 排出量の少ない天然ガスの利用を増加したいこともあり、インドネシアの低品位炭をガス化し 合成天然ガスを製造したあと、天然ガス(LNG)として日本へ輸送する計画もある。 これらの状況から、現在インドネシアで取り組まれているガス化の利用計画を図4-32 に示 す。 図4-32 インドネシアにおける石炭ガス化による利用計画 (1) 小規模ガス化 小規模なガス化としては、中小の産業用と軽油を利用するディーゼル発電用を対象にし ている。ディーゼル発電機はインドネシアの小規模発電によく利用されているが、軽油価 格の上昇もあり経済性に問題があることから、軽油量を抑制するため石炭ガス化のガスを 軽油と合わせて燃料とすることを計画している。 図4-33 に示したように、石炭をガス化後、ガス精製工程でタールと粒子を除去し、軽 油と一緒に発電機に導入する簡単な構成になっており、既にプロトタイプのプラントによ り開発が進められている。このガスの利用により、軽油使用量の 60%をガスで代替できる。 中小産業用としては、中国製の 2.5t/hr 以下(ガス量で 9,000Nm3・/h 以下)のガス化炉が あり、セラミック、タイル、石灰石焼成等の工場で利用されている。

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図4-33 ディーゼル発電用石炭ガス化 (2) 大規模ガス化(TIGAR 石炭ガス化ほか) 現在のガス化炉は、低品位炭のガス化では石炭の高水分の問題があるため、そのままで は適用困難な場合がある。日本の IHI が開発している循環流動層ボイラー技術に基づいた 二塔式のガス化炉(TIGAR)は褐炭のガス化にも適用可能なため、インドネシアの低品位 炭をガス化し肥料工場用の原料とする F/S を、MEMR 研究開発庁、国営肥料会社、IHI、 双日が 2006~2007 年に実施した結果、肥料工場用への適用可能性が実証された。これを 受けて、プロトタイプのガス化炉建設の計画が検討された。現在、ガス化炉の技術確立を 経済産業省の補助事業として 2010~2011 年において進めていることから、インドネシアで のガス化計画は 2011 年ごろに再検討される予定である。 4-4-4 コークス化 インドネシアでは製鉄用、鋳物用コークス用の製造に必要な原料炭はほとんど生産されてい ないため、輸入している。原料炭となる石炭は中部カリマンタン地域に存在しているが、イン フラ等の問題から開発が進んでいない。このため、鉄道建設の計画が検討されているが、生産 にはかなりの時間を要するものと推定される。 MEMR 傘下の鉱物石炭技術研究開発センターは、低品位炭からのコークス化の開発を行って いたが、2009 年の日本・インドネシア石炭政策対話での協議の結果、2010 年より日本側が開 発協力することとなり、インドネシア炭からのコークス製造用バインダーの検討等が行われて いる。

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4-5 人材育成 インドネシア MEMR には、人材育成部門として教育訓練庁が設置され、傘下に石油・ガス、 電力・再生・新エネルギー、鉱物・石炭、地質の 4 つの教育訓練センターがある。石炭について は鉱物石炭教育訓練センターが行っているが、主に石炭の生産、保安が対象となっている。電力 関係では、電力・再生・新エネルギー教育訓練センターにおいて研修が実施されている、地方分 権によって地方政府に各種許認可や監督業務が移管されたこともあり、中央政府、地方政府の公 務員を対象とした研修が主体となっている。発電所等の人員の研修については、国営電力公社の PLN の自社内に研修センターがあり、PLN 関連の人員の研修、訓練を実施している。 しかし、これらの教育訓練、研修機関では、CCT に関する研修等は体系的に行われておらず、 日本が実施している CCT に関する研修が実質的にインドネシアの CCT 研修といえる。 4-5-1 日本における CCT 研修概要 日本における CCT 研修は、NEDO 事業として平成 8 年度(1996 年)から(財)石炭利用総 合センター〔現在の(財)石炭エネルギーセンター〕により実施されている。NEDO は、国際 協力関係の事業として、日本の CCT をアジア諸国へ移転・普及するモデル事業を実施していた。 その一環としてソフト面での事業として研修を行っており、アジア太平洋地域への CCT の啓発、 導入、普及支援を図るため、①CCT 導入による対象国の環境改善、②日本の CCT 機器の導入、 ③CCT 導入普及のための人脈形成を目的としている。 このため、研修はモデル事業の実施国を対象国に行っており、当初は中国、タイ王国(以下、 「タイ」と記す)、インドネシア、フィリピン共和国(以下、「フィリピン」と記す)の 4 カ国 を対象として開始され、その後、モデル事業の実施先となったベトナム社会主義共和国(以下、 「ベトナム」と記す)、マレーシア、インドが順次加わり、2008 年度にモンゴル国(以下、「モ ンゴル」と記す)が参加している。 1996 年度から 2008 年度までの研修参加者数を表4-15 に示す。 インドネシアからは延べ 167 名が参加している。電力関係では PLN 本社及び関連発電所から の参加者がほとんどだったが、現在では IPP の発電所からの参加者も増えてきている。 表4-15 CCT 研修の国別参加者数 4-5-2 日本における CCT 研修の内容 研修内容は、モデル事業の CCT の技術に対応した選炭・前処理コース、石炭利用コース、石 炭発電コース等が設定され、各分野の技術者が参加した。また、政府・企業の政策・経営に関 年 度 国 名 H 8 19 96 H 9 19 97 H 1 0 1 99 8 H 11 199 9 H 1 2 20 00 H 1 3 20 01 H 1 4 20 02 H 1 5 20 03 H 1 6 20 04 H 17 2 00 5 H 18 2 00 6 H 19 2 007 H 2 0 20 08 T o tal 中 国 2 2 2 7 1 7 1 6 1 9 2 4 2 0 1 2 1 2 11 11 2 0 0 2 11 タ イ 8 11 8 7 1 0 11 9 1 4 11 1 0 9 11 2 1 1 4 0 イ ン ド ネ シ ア 1 2 1 8 11 7 1 2 11 9 1 0 1 0 1 0 1 0 1 9 2 8 1 6 7 フ ィリ ピ ン 8 11 9 9 8 1 2 8 8 6 6 4 - - 8 9 ベ トナ ム - - 6 5 9 8 6 11 1 0 9 9 1 0 2 7 11 0 マ レ ー シ ア - - - - - 6 7 4 5 5 4 - - 3 1 イ ン ド - - - - - 6 2 2 3 8 1 3 1 7 * 2 1 7 2 モ ン ゴ ル - - - - - - - - - - - - 3 3 計 5 0 6 7 5 1 4 4 5 8 7 8 6 1 6 1 5 7 5 9 6 0 7 7 1 0 0 8 2 3

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連する管理者、技術者を対象とした管理者コースも設定し、技術者コースでは専門講義、実習 を主体とするが、管理者コースでは、技術は概論程度とし、経済性評価などを加えて実施した。 2009 年度の研修例を表4-16 に示したが、表のように、事前調査での打合せ、技術者選定 から始まって、研修、研修後のフォローアップで終了する。研修内容については、毎年のニー ズ調査や研修者のヒアリング結果に基づいて国別に内容を検討し、できるだけ各国ごとの状況、 ニーズに対応した研修を行えるように、年度ごとに内容を適宜修正している。 表4-16 石炭火力発電コースの研修-2009 年度高効率石炭火力発電所導入の例 Step1 事前調査 ・現地カウンターパートとの詳細打合せ、ニーズ発掘 ・専門家による事前調査、技術者の選定等 Step2 現地での技術交流 (例)高効率石炭火力発電所導入等にかかわる技術セミナーの 開催 ・USC に係る日本側メーカー、エンジニアリング会社専門家に よる技術交流 ・USC 導入に係る経済性評価 ・対象者は電力会社の技術責任者、発電所設計に係るエンジニ アリング会社技術者等 Step3 日 本 に お け る 技 術 研 修 高効率石炭火力発電所導入に係る日本での技術交流 ・現地の電力会社の技術者、発電所設計に係るエンジニアリン グ会社の技術者等を日本に招聘 ・USC の高効率発電所の見学 ・USC に係るボイラー、タービン等のメーカー技術者による技 術研修 ・日本の電力会社の発電所設計技術者による技術研修 Step4 フォローアップ 事後調査 ・帰国した技術者のフォローアップのためのセミナー、技術交 流 ・帰国した技術者への面談、成果確認 ・関係機関との研修内容のニーズ確認、打合せ等

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第5章 環境社会配慮の現状と課題

5-1 環境基本情報 5-1-1 社会環境の概要 (1) 国土 インドネシアは、世界最大の群島国家であり、ジャワ、スマトラ、スラウェシ、ボルネ オ(カリマンタン)、ニューギニア(パプア)の5つの本島、小スンダ列島やマラッカ諸島 など30の群島そして大小の有人・無人島の合計1万8,110の島々で構成されている。国土面 積は領土約186万400km2(日本の約5倍)と排他的経済水域及び領海約790万km2と合わせた 合計約980万km2 である(図5-1)。6

出所:State of Environmental Report in Indonesia 2009, Ministry of Environment, 2010

図5-1 インドネシアの行政区分 (2) 行政区分 インドネシアには2層の地方政府が存在し、第1レベルの地方政府が州(Provinsi)であり、 その下位に第2レベルの地方政府である県(Kabupaten)と市(Kota)が置かれている。第1 レベル地方政府としては、2009年時点で28の州、4の特別州、1の首都特別州が設置されて いる。州知事(Gubernur)は州内における地方自治を担うとともに、中央政府の代理機関 としての機能を有しており、州は県・市の境界をまたがる事務、県・市が自ら実施できな い事務、中央政府から委任された補佐任務を実施するとともに、中央政府の代理機関とし て委託を受ける権限分散事務の実施、県・市の行政事務の指導・監督等を行っている。 第2レベルの地方政府は、2006年時点で349県・91市が置かれていたが、2009年には約500 の地方政府が存在するようになった。県と市には行政機能上の差異はなく、都市部に置か れるのが市で、それ以外の田園地域等に置かれるのが県である。なお、県・市には、行政 区としての郡(Kecamatan)とその下には区(Kelurahan)が置かれる。なお、都市以外の 6 インドネシアの地方自治、(財)自治体国際化協会、2009 年

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地域には村(Desa)が置かれているが、これは区の担う行政機能に代わり、地縁的・慣習 的なコミュニティであり、行政区ではない。7 (3) 人口 インドネシアの人口は2億4,300万人であり、うち約1億人がジャワ島に住む。人口増加率 は2.3~2.7%/年であり2050年には3億8,000万人に達すると推定されている。人口に係る主 要な問題点は以下のとおり。8 ・ ジャワ、バリへの人口の集中 ・ 幼児・若年層の人口が多い。 ・ 就業率の低さ ・ 妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率が高い。 (4) 経済 インドネシアは市場経済原理に基づく経済活動を行っているが、164の国営企業をもち、 主要産品(燃料、コメ、電気など)の価格を統制している。インドネシアは天然資源に恵 まれており、原油、天然ガス、スズ、銅、金などを豊富に産出する。特に天然ガスについ ては世界第2位の輸出国である。しかしながら、原油については近年輸入国となっている。 農業については、コメ、茶、コーヒー、ココア、香辛料、ゴムなどが主要産品である。 世界的な景気後退の影響を大きく受けなかったため、1人当たりのGDPも2005年から2009 年にかけて倍増しており、失業率も順調に低下している。2009年第3四半期のGDPは前年比 で4.2%のプラスとなっており、すべての産業セクターで好調となっている。9, 10 インドネシアの基本情報を表5-1に示す。R&Iカントリーリスク調査によると、インドネ シアはアジア金融危機後の混乱によりカントリーリスクが劇的に高まり、1996年に6.7(C 評価)あったものが1999年には3.6(D評価)へと急激に指数を悪化させたが、2010年1月の 指数では6.2を記録するまで安定性を回復している。2010年1月にB評価(7以上)の仲間入 りを遂げた中国とインドには及ばないものの、リーマンショック後の世界的な景気後退に もかかわらずカントリーリスクは回復を示し続けている。評価の上昇の要因としては、堅 調な内需に支えられ高い成長を維持する経済、2009年10 月に圧倒的な支持率で発足した 第2次ユドヨノ政権による政治的安定への期待が挙げられる。 7 インドネシアの地方自治、(財)自治体国際化協会、2009 年 8

State of Environmental Report in Indonesia 2009, Ministry of Environment, 2010 9 同上

10 温室効果ガス削減のための新たな国際協力枠組み、アジア太平洋研究所トライアルプロジェクト、グリーンニューディール

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表5-1 インドネシアの基本情報 出所:温室効果ガス削減のための新たな国際協力枠組み、アジア太平洋研究所トライアルプロジェクト、 グリーンニューディール(GND)研究レポート、2010 年 9 月 5-1-2 主な環境問題 (1) 森林破壊 インドネシアは、アジア地域で最も広大な熱帯林面積を誇る国で、世界でも有数の熱帯 林保有国である。島々はかつて鬱蒼とした熱帯林に覆われ、多種多様な動植物の宝庫であ ったが、近年人間の活動により急激に荒廃しつつある。インドネシアの森林の総面積は1950 年には約1億6,200万haあったとされているが、2005年のインドネシアの森林面積は約8,850 万haにまで減少している。2000~2005年の森林減少量はアジア地域の中で最も大きく〔世 界でもブラジル連邦共和国(以下、「ブラジル」と記す)に次いで2番目〕、毎年平均約187 万ha、わずか5年間で935万haもの森林が失われた。11 森林破壊の原因としては、木材の需要の高まりに伴う「違法伐採」及びパーム油原料の アブラヤシを栽培する大規模プランテーション造成のための伐採などのほか、大規模森林 火災の多発が挙げられる。従来インドネシアの島々では、年間を通じて降雨量が多く、落 雷や自然発火も極めて稀なため、森林火災が起こりやすいとは考えられていなかったが、 大規模なアブラヤシプランテーションを造成するための火入れ(アブラヤシの木を植える 前に、それまであった森林を伐採し、伐採跡地を焼き払う)や、大量伐採による森林の過 疎化・低質化による乾燥が原因とされている。 インドネシアにおける森林火災で特徴的なことは、同国が世界最大の熱帯泥炭保有国で あり、乾燥化していったん火がつくと、地上の森林が燃え尽きたあとも地中で延々とくす ぶり続けることになる。1997~1998年の大規模森林火災の際には、エルニーニョの影響で 乾燥が続き、森林・泥炭が激しく乾燥したところへプランテーション造成のための火入れ

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が延焼して、消火不能な状態に陥ったものと分析されている。12

2005~2009年における森林火災件数及び2000~2005年における7つの島の森林破壊面積 を表5-2、5-3に示す。

表5-2 2005~2009年における森林火災件数

出所:State of Environmental Report in Indonesia 2009, Ministry of Environment, 2010年

表5-3 2000~2005年における7つの島の森林破壊面積

出所:State of Environmental Report in Indonesia 2009, Ministry of Environment, 2010年

(2) 生態系保全 インドネシアはブラジルに次ぐ世界第2位の熱帯林保有国であり、世界の熱帯林の約10% を有している。この森林の大部分は熱帯降雨林であるが、熱帯林や亜熱帯林は、その他の 植生に比べ生物種数が多いといわれている。また、インドネシアの特徴として、同国は① 熱帯多雨林、熱帯季節林、海岸線にみられるマングローブ林、ヌサトゥンガラ等にみられ るサバンナ林、イリアンジャヤにみられる高山帯植生など多様性に富んでいる、②島嶼国 12 地球と未来の環境基金 http://www.eco-future.net/eco/indonesia.html

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であるため、生物種が隔離・進化している、③異なる動物地理学区分が存在する(ウォー レス線により東洋区とオーストラリア区に分かれている)等の理由から、世界有数の生物 多様性を有しており、地球全体の生物多様性の保全及び潜在的な生物資源の貯蔵庫として、 特に重要な国と位置づけられている。 インドネシアは、このような地理的特性に基づく多様な生息・生育環境により、世界陸 地面積の1.3%の国土に、世界の20%に相当する約32万5,000種の野生動植物が生息・生育 している。植物は世界の約10%にあたる2万9,375種の顕花(種子)植物が生育し、そのう ち、同国にしか生息しない種(固有種)の割合は60%とされている。動物もまた、世界有 数を誇っており、その種数及び固有種の割合が大きい。哺乳類は457種が記録され、この うち固有種の占める割合は49%であり、世界一の生息数である。同様に他の高等動物種数 及びその固有種の割合は、鳥類1,530種で27%、爬虫類514種で59%、両生類285種で40%と なっている。 ワシントン条約付属書Ⅰ掲載の国際的希少種である、シーラカンス、スマトラサイ、ス マトラトラ、サイチョウ、コモドオオトカゲなど、数多くの種が生息し、絶滅危惧種も鳥 類126 種、ほ乳類63種、は虫類21種となっている。 前述したように、森林破壊により貴重な生態系の急激な崩壊が進行しており、その保全 対策は国際的な急務となっている。13 (3) 水資源及び水質汚染 インドネシアにおける水不足は深刻な状況になりつつある。その原因としては、人口の 増加・集中、産業、農業などにおける水需要の急増と、集水域の森林崩壊による保水能力 の低下が挙げられる。降雨期には森林破壊により地下に浸透することなく洪水となって一 気に流下するため、乾期においては地下水が枯渇する。 2007年におけるインドネシアの家庭で使用する水の約58%は地下水である。Waterworks Companyによる水道供給は16%、河川水3%、雨水2.6%、湧水12.6%などとなっている。 水質汚染も深刻である。家庭、産業、農業などから発生する廃棄物や汚水が主要な汚染 源であるが、2006年における農業やプランテーションに使用される無機肥料と農薬の使用 量は2004年比で5倍となっていることから、これらによる水質汚染も懸念される。 特に人口が急増しているジャカルタ首都圏などの都市部でも水道設備が劣悪であるこ とから生活用水として井戸水が使われること多いが、トイレなどの汚水が地下水に混入し 糞便性大腸菌に汚染されている状況にある。過度の地下水利用により適切な対策を取らな い場合、2015年には水不足に陥る可能性が高い。14 (4) 大気汚染 インドネシアの大気汚染は人口の集中が続く大都市部を中心に顕在化している。産業活 動による大気汚染については局地的なものを除いて、これまで大きな問題にはなっていな い。一方、多くの人口を抱え急激に自動車が増えているジャカルタ首都圏やスラバヤなど の大都市部では、自動車の排気ガスが原因とみられる大気汚染が年々深刻化しており、既 13 インドネシア共和国 生物多様性保全センター設立計画基本設計調査報告書、JICA、2003 年

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に二酸化窒素(NO2)と粉じんについては大気環境基準を超える値が観測されている。自 動車用のガソリンには通常有鉛ガソリンが使用されていること、排ガス対策の難しい古い 自動車が多いことなどを背景に自動車排気ガスによる健康被害の発生も懸念されている。 大気汚染については、環境基準、工場と自動車からの排出基準は決められているものの、 ジャカルタなど一部都市を除いては大気汚染物質のモニタリングはほとんど実施されて おらず、全国的な大気汚染の実態は把握されていない。 1997年夏にカリマンタン島などで発生した大規模な森林火災が、ヘイズといわれる広範 囲な煙害を引き起こした。このヘイズは、数多くの住民に眼病、呼吸器疾患、皮膚病など の健康被害を発生させたほか、航空機の墜落事故までも引き起こしている。その影響範囲 もインドネシア国内にとどまらず、海を越えて隣国のマレーシアやシンガポール共和国 (以下、「シンガポール」と記す)などにも及んだ。毎年広範囲な森林火災が発生するイ ンドネシアでは、これも特有の大気汚染問題のひとつといえよう。15 (5) 廃棄物管理 インドネシアにおける廃棄物の発生量は、人口の増加、経済活動の活発化、家庭ごみの 増大に伴い、急増しつつある。また、有害・有毒な廃棄物も増えつつあり、その処理は深 刻な社会問題になっている。生ごみの廃棄物不法投棄はネズミの大量発生・伝染病の蔓延 を触発し、悪臭の原因となる。オープンダンピング方式のごみ埋立処分場での火災により 大気汚染が発生したり、埋立処分場の浸出水が水源・地下水・河川の水質悪化の原因とな ったり、さまざまな環境問題の発生原因となっている。 山積みとなった廃棄物の周辺では、人々が皮膚病、チフス、コレラ、赤痢、循環器系な どの病気に罹ることも多い。2005年には、西ジャワ州バンドンの埋め立て処分場で、ごみ の山が崩れ、140人の死者が出た事件も発生した。 インドネシアのごみ処分方式をみると、廃棄物全体の55.5%が最終処分場に運搬されて いるが、全体の40%が処理されているにすぎず、処理場に運搬されない廃棄物量はかなり 膨大である。オープンダンピング方式による埋め立てが一般的であり、管理埋め立て方式 はジャカルタの1カ所にすぎない。有害でない産業廃棄物は、これらの処分場に埋め立て ることが可能となっている。 有害廃棄物の処理・処分に関しては、有効利用、焼却、埋立の3つに分類されて統計が 発表されている。しかし、実際の有害廃棄物の発生量は、届出があった処理・処分量より もかなり多いと考えられている。有害廃棄物の処理・処分を行っているPPLI社の推計によ ると、2003年時点で700万tを超える有害廃棄物が発生しているという。処理・処分されて いる量は、全体の3割程度の可能性がある。16 5-2 環境管理システム 5-2-1 主要環境関係官庁 インドネシアにおける主要環境関係官庁は以下のとおりである。 15 インドネシアにおける環境問題の現状と環境保全政策について、陳 禮俊、環境省地球環境局「平成 15 年度地球環境研究 計画地球環境研究総合推進計画」、2003 年 16 インドネシアの産業廃棄物・リサイクル政策、作本直行・小島道一、アジア各国における産業廃棄物リサイクル政策情報提 供事業報告書、日本貿易振興機構・アジア経済研究所、2007 年

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(1) BAPPENAS (National Development Planning Agency)

BAPPENASは環境管理に関する長期計画の策定及び関係政府機関の調整を行っている。 2004-2009国家中長期開発計画(National Medium-Term Development Plan)では、天然資源 管理方法の改善、経済的により有効な環境保全のあり方などについて述べている。

(2) 環境省(Ministry of Environment:MOE)

環境省は環境政策や環境基準の制定、環境影響評価(Environmental Impact Assessment: EIA)(AMDAL) の評価・承認、環境データの収集などを主務とする調整機関である。環 境省は本省のほか、スマトラ、ジャワ、カリマンタン、バリ、スラウェシの5カ所に支所を もっている。環境省の支所はこれら地方の環境行政と中央政府との調整を行っている。 <環境省設立の経緯> 1972年大統領令第16号により国家環境委員会が設置された。この委員会が天然資源・ 環境保全に関する国家計画を策定し、国家大綱と5年ごとに策定される国家開発計画に天 然資源管理・環境保全計画が盛り込まれる仕組みができあがった。 1978年には、国務大臣を長とし環境行政をも扱う開発環境省(PPLH)が設置された。 1982年に 環境管理 のた めの基本規 定に関す る 法律(Basic Provision for Environmental Management: Act No.4 of 1982)が制定され、同年開発環境省を改組した人口環境省(KLH) が設置された。

1990年に大統領令第23号により環境管理庁(Environmental Impact Management Agency: BAPEDAL)が発足した。1993年3月には人口環境省が分割され、環境政策に関する独立 した省として環境省(LH)が設置された。これによって環境省が環境問題に関する政策 の企画立案などの調整機能を果たし、環境管理庁が具体的な環境保全対策や公害対策を 実施する仕組みが整備された。 1999年に地方分権化二法が可決され、その後の不安定な政治情勢ゆえに、十分な政策 準備がなされていないにもかかわらず、2001年から実施に移された。分権化の主体が、 1950年代の地方独立運動に対する抵抗感から、州ではなく県・市に置かれたことも特筆 すべきことであった。インドネシアの分権化議論は、スハルト体制の終焉、民主化要求 の高まり、民族問題激化のなかで、脆弱な政治基盤を分権化による地方支持拡大を通じ て乗り越えようとしたハビビ政権の思惑のなかで誕生した。17 2002年、環境管理庁は環境省に吸収合併され、現在の環境省ができあがった。旧環境 管理庁の業務は地方政府に委譲された。この合併により、中央官庁が行っていた環境行 政の一部が地方政府に移管されたことが、その後の環境行政の二元化をはじめとする諸 問題もたらす要因のひとつともなっていったと考えられる。18 (3) 森林省(Ministry of Forestry:MOFo) 森林省は国土の約7割を管轄する機関であるが、現在では森林破壊によりその1/3がもは や森林ではない状態にある。主要責務は、森林の育成・保全、流域管理、林野業及び森林

17 地方分権化という課題を考える―「インドネシア」の事例から、菅原由美・東條哲郎、JAMS News No.29、2004 年

18

Environmental Assessment and Management Related Higher Education: An overview of Indonesian situation, Tjuk Kuswartojo B, 2010 http://twoeam-eu.net/malaysia/utm_presentations/EAMHEindonesiaOverview_TjukKuswartojo.pdf

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依存村社会の指導・育成などである。森林省の地方事務所は地方分権化により地方政府の 森林行政機関に吸収されている。

(4) 内務省(Ministry of Home Affairs)

内務省は地方政府における環境行政を監督する責務を有する。同省は地方政府による環 境管理に対する技術的及び予算面での支援を行っている。大部分の地方政府は財務的に中 央政府に大きく依存しており、中央政府から地方政府へ多額の補助金が交付されている。 (5) 地方政府 過去10年来の地方分権の結果、約500の地方政府が存在するようになった。これらの地 方政府は州(Province)/県(district)/市(city)のレベルであり、県及び市レベルの自治体 が環境管理に重大な権限と責任をもっている。地方政府の環境関連制度は以下のようなも のである。 a) 州政府 州政府は中央政府と県・市レベルの地方政府の調整機関であり、地方分権の観点から す る と 、 そ の 存 在 は 大 き い も の で は な い 。 地 方 開 発 企 画 庁 ( Regional Planning and Development Boards:BAPPEDA)が県・市レベルの調整を行う機関であり、各自治体の 地域環境管理計画やモニタリング計画などに対して予算を含む大きな権限を有している。

b) 県・市レベルの地方政府

県・市レベルの地方政府には、Environmental Service Agency (Dinas Lingkungan Hidup) あるいはEnvironmental Office (Kantor Lingkungan Hidup) が置かれている。Environmental Service Agencyは天然資源の回復や保全、汚染防止に関する技術面及び運用面での政策立 案、環境や鉱山に関する法規などを策定する。Environmental Officeは主として汚染防止 や環境モニタリング等の実務面で自治体の環境管理活動を行っている。19 5-2-2 環境法規 (1) 国の環境関連法規 インドネシアで初めての環境に関する総合的・統括的な法律は1982年3月11日の法第4号 で制定された環境管理法である。第5次国家開発計画の期間中(1988~1994年)には、数 多くの環境関連の法律や規則が制定された。 具体的には、生物資源及びその生態系の保全に関する法律(1990年法第5号)、水質汚濁 の防止に関する政令(1990年政令第20号)、環境影響評価に関する政令(1993年政令第51 号)、有害廃棄物の管理に関する政令(1994年政令第19号)のほか、環境管理庁に関する 大統領令(1990年大統領令第23号、1994年第77号大統領令にて改正)などもこの時期に制 定されている。 1997年9月19日には新しい環境管理法が大統領によって署名され、法律となった(1997年

(25)

法第23号)。これに伴って1982年法第4号の旧環境管理基本法は廃止されている。新しい1997 年環境管理法の特徴としては、①事業活動に対する環境規制の強化、②罰則の強化、③環境 紛争処理規程の充実、④国民の環境情報に関する権利規定の導入などが挙げられる。20

Environmental Protection and Management LawがAct No. 32/2009として2009年10月に制定 された。旧法Environmental Management Act (No. 23/1997)からの主な変更点は、EIA評価・ 認証システム、ライセンス発行システムのほか、関連する法規の改定などである。しかし ながら、同法の改定に伴う関連法規の改定作業が完了していないため、現行のAct No. 27/97 が現在でも有効であり、EIAシステムにも変更はない。関連法規の整備は数箇月以内に終 了する予定であり、そののちには新法に従って環境行政が行われるとのことである(環境 省ヒアリングによる)。 インドネシアにおける主要な環境関連法を表5-4に示す。 表5-4 主要環境関連法 主要環境法 備考 Constitution, 1945 憲法は 2002 年に環境の持続発展性を通したバランスのとれた発 展を協調するように改定された。 Environmental Management Act (No. 23/1997) 他の省庁が管轄する地域や産業セクターについて環境省が環境 法規を定めることができることなどを規定。

Basic Forestry Law (No 41/1999)

森林管理は、①経済成長の促進、②富の公平な分配、③環境の持 続性の確保の 3 つの目標から成る。

Law on Marine & Coastal Resources 2007 沿岸域における適正な商業利用などを規定。 Law on Energy (No 30/2007) エネルギー政策や開発目標を制定する機関の創設などを規定。 Law on Mining 2009 鉱山開発許可、鉱山経営者の責任、鉱山活動などに関する規定。 Law on Fisheries (No. 31/2004) 漁業資源の確保と環境との調和などを規定。

Law on Water Resources 2004

水資源管理の地方分権化、水質汚染の防止、開発、保全、災害対 応などを規定。

Law on Toxic Wastes 1997 有害廃棄物のライフサイクル管理及び越境移動の禁止などを規 定。 国際条約 インドネシア政府の批准した主な国際条約は以下のとおり。 生物多様性条約、ワシントン条約、国際熱帯木材協定、ラムサー ル条約、京都議定書、ウィーン条約、砂漠化対処条約、バーゼル 条約、包括的核実験禁止条約、国際連合海洋法条約、MARPOL73/78 条約

出所:INVESTING IN A MORE SUSTAINABLE INDONESIA, COUNTRY ENVIRONMENTAL ANALYSIS 2009, World Bank(一 部改)

20 日系企業の海外活動に当たっての環境対策(インドネシア編)「平成 9 年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」

(26)

<参考>

Asian Development Bank(ADB)が掲げるインドネシアの主要な環境関連法規は以下のとお りである。21

・ Act concerning Basic Provisions for the Management of the Living Environment (Act No. 4 of 1982)

・ Act concerning Indonesian Waters (No. 4 of 1960)

・ Act No. 4 of 1982 on the basic provisions for the management of the living environment ・ Act on the conservation of biological resources and their ecosystems (Act No. 5 of 1990) ・ Act Regarding Waste Management 2008

・ Decision of Governor of DKJ Jakarta Province no. 58/2004 on mechanism for handling environmental pollution in DKI Jakarta Province

・ Decree No. 1 of the Minister of Agriculture on the Conservation of the Riches of the Fish Resources of Indonesia

・ Decree of the Minister of Energy and Mineral resources No. 1457 K/28/MEM/2000 on the Technical Guidance for environmental management in the mining and energy sector

・ Decree of the Ministry of Forestry No. 424/KPTS-VI/1994 on the Guidelines on Crocodile Management in Indonesia

・ Decree of the State Minister for Environment No. 133/2004 on the standard quality of emission for activities of the fertilizer industry

・ Environmental Management Act 1997 (No. 23 of 1997)

・ Environmental Management, Law Concerning (Law No. 23, 1997) ・ Fisheries Law (No. 9 of 1985)

・ Government Regulation No. 20/1990 on Water Pollution Control

・ Government Regulation No.27/1999 RE Analysis of Environmental Impacts

・ Government Regulation of the Republic of Indonesia regarding environmental impact assessment (No. 51 of 1993)

・ Government Regulation on land use management

・ Indonesia Environmental, Health and Safety (EHS) Legislation ・ Environmental Management, Law Concerning (Law No. 23, 1997) ・ Law No. 41/1999 on Forestry

・ Presidential Regulation No. 5/2006 on National Energy Policy

・ Regulation No. 77 (2001) on irrigation Various Implementing Regulations

(2) 国の基準と自治体の基準との関係 インドネシアでは州と特別行政区を第一級自治体、県と特別市が第二級自治体と呼ばれ ている。第一級と第二級の自治体は環境関係の条例を独自に制定する権限をもっている。 県あるいは特別市の水質基準は州政府の基準を参考にして制定されているが、なかにはま ったくユニークな項目が採用されていたり、不合理ともみえる厳しい基準値が設定されて

21 Environmental Laws and Regulations in ADB Developing Member Countries、ADB ホームページ http://www.adb.org/Environment/laws-regulations.asp#Indonesia

(27)

いることもある。 排水基準を例に取ってみると、国の定める排水基準は1991年に初めて設定されたが、自 治体の基準値はそれよりはるかに早く、1982年にジャカルタ特別行政区も西ジャワ州もそ れぞれ独自の基準値を設定していた。そのため、国の基準値ができたときには既に各工場 には自治体の基準値が設定されておりそのまま現在に至っている。国の基準と自治体の基 準を比較すると採用されている項目が一致していなかったり、基準値について一方が厳し かったり、ゆるかったりまちまちである。1997年の環境管理法の制定によって、自治体の 基準値が国の基準値よりゆるい場合は国の基準に合わせるように定められたが、中央政府 と地方自治体の環境基準にはいまだに統一性がないのが現状である。22, 23 5-2-3 環境アセスメント関連法規の概要 (1) 関連法規 インドネシアにおけるEIAプロセスはAMDALと呼ばれ、環境影響評価書(ANDAL)、環 境管理計画書(RKL)、環境モニタリング計画書(RPL)から成る。AMDALの作成・評価・ 承認の仕組みは、1999年政令第27号により規定されている。 AMDALの対象となる事業については、2006年環境担当国務大臣令第11号に規定され、 エネルギーセクターを含む13セクターが対象分野となっている。環境担当国務大臣は、事 業規模、範囲、事業予定地と保護区との近接度及び開発が環境に与える影響等に基づき、 AMDALの実施可否を決定する。AMDALが必要でない開発であっても、環境管理(RKL) と環境モニタリング(RPL)は行わなければならない。 州知事/県知事/市長は、現地の立地条件、環境状況を考慮し、管轄地域においてAMDAL を必要とする事業タイプを規定できる。事業者は2006年環境担当国務大臣令第11号だけで なく、活動を行う地域の地方政府/自治体が発行する地方法規(Perda)に注意しなければ ならない。 AMDALに関する一般的なガイドラインは、1994年環境担当国務大臣令第14号、2000年 環境管理庁長官令第9号により規定されている。また、RKL、RPLの作成ガイドラインは、 2002年環境担当国務大臣府令第86号により規定されている。なお、1999年の地方自治法の 施行前は、環境管理庁(BAPEDAL)が、AMDAL、RKL/RPLのための技術ガイドラインを 作成していた。現在は、州/地方政府に環境管理の権限が移譲されているが、すべての州/ 地方政府が、独自の技術ガイドラインを発行したわけではない。発行していない州/地方政 府は、従来のBAPEDALが発行した技術ガイドラインを使用しているので注意が必要であ る。24 主要な環境影響評価関連法規は以下のとおり。25

・ Law concerning Environmental Management (Law No.23/ 1997,Re public of Indonesia ) ・ Government Regulation concerning Environmental Impact Assessment ( Indonesian

Government Regulation No.27/1999)

・ Decision on EIA Guidelines ( Decision of the State Minister for the Environment

22

INVESTING IN A MORE SUSTAINABLE INDONESIA, COUNTRY ENVIRONMENTAL ANALYSIS 2009, World Bank

23 日系企業の海外活動に当たっての環境対策(インドネシア編)「平成 9 年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」

報告書、財団法人 地球・人間環境フォーラム、1998 年

24 インドネシアにおける鉱業環境規則について、池田 肇、金属資源レポート 7 月号、2007 年

25

(28)

No.021/2000)

・ Decision of the State Minister concerning Community Involvement and Information Disclosure in the Process of Environmental Impact Assessment (Decision of the Head of the Environmental Impact Management Agency No.08/2000)

・ Guidelines for Preparing Environmental Impact Assessment Papers (Decision of the State Minister for the Environment No.08/2006)

・ Decree of the State Minister on Types of Projects and Necessity for Implementing Environmental Impact Assessment (Decree of the State Minister for the Environment No.11/2006)

・ Decree of the State Minister for Procedures of EIA Commission (Decree of the State Minister for the Environment No.05/ 2008)

(2) 発電設備に係る環境影響評価 1) EIA が必要な発電設備(火力発電) インドネシアでは電力施設関連の影響評価は、州政府に属するAMDAL評価委員会 (BAPEDALDA)が審査・承認する。ただし、プロジェクトが2州にまたがる場合には中 央政府がAMDALの審査・承認を行う。環境影響評価が必要な事業かどうかは2001年環 境大臣令第17号で定められており、火力発電所では100MW以上の事業が該当する。 2) 環境影響評価手続き 環境影響評価事業の手続きとして、まず事業者は、原則として新聞、地方の村等では 役場の掲示板を利用してプロジェクトの公表を行う。この時期はF/Sの着手前である。そ の後、関係コミュニティにプロジェクトや環境影響評価実施の説明をする。そのときの コメントを反映して、環境影響評価実施計画書(KA-ANDAL)を作成し、再度関係コミ ュニティに説明して合意を得ることになる。合意が得られなければKA-ANDALは修正さ れる。KA-ANDALには、プロジェクトの概要、調査項目、調査範囲、調査方法、分析方 法などを記載する。 その後、事業者は環境影響評価事務局を通じて所轄官庁の承認機関(環境省、州知事、 市長のいずれか)にKA-ANDALを提出し、そこの環境影響評価委員会の承認を得る。こ のときには必要に応じてKA-ANDALの見直しが求められる場合もある(図5-2)。 KA-ANDALの承認を得た事業者は続いて、環境影響評価書(ANDAL)、環境管理計画 書(RKL)、環境モニタリング計画書(RPL)を、環境影響評価事務局を通じて所轄官庁 の承認機関に提出して承認を得る(図5-3)。26 環境影響評価の実施を必要としない事業においても、ある一定以上の影響を生じる可 能性のある事業については、環境管理計画書(UKL)、環境モニタリング計画書(UPL) の提出が義務づけられている。UKLとUPLが必要かどうかは、BAPEDALDAの判断によ る。さらに、UKLとUPLの提出を必要としない事業でもSPPLと呼ばれている簡略な書類 を提出することになっている。27

26 The Study on the Improvement Measures for Electric Power Generation Facilities in Java-Bali Region in the Republic of Indonesia, Final Report, JICA, 2006

参照

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