香 川 大 学 経 済 論 叢 第66巻 第1号 1993年6月 99-139
調 査
企業のグローパル化と原価管理
一欧州、│の日系企業の比較においてー
井 上 信 一
l は じ め に わが国企業が日本経済のグローパノレ化に如何に対応するかは,現在大変重要かつ緊 急に解決を要する課題である。在外日系企業の立場からは,現地の経済,社会,文化 などにとけ込み,ローカノレ化に積極的に取り組むことが必須のことである。他方,日 本の親企業サイドのグローパ/レ戦略の視座からは,競争力優位を確保するため日本の 親企業と海外子会社を結ぶグローパノレ・ネットワークを始めとするグローパルな経営 戦略,組織戦略の展開は重要な課題である。 日本の製造企業は,初期のアジア諸国への進出だけでなく, 1985年のプラザ合意以 後,北アメリカ及びヨーロツパ諸国での現地生産を積極的に展開してきている。筆者 (1) 調査対象としての海外進出企業(日系企業)の定義は,東洋経済新報社(1991)によって いる。従って,調査対象企業なども,この本に掲載されている製造企業を対象にした。な お,それによると日本企業の出資比率が10%以上のもの」を,日系企業と定義してい る。 なお,ここでは在英日系企業と在欧日系企業に分類して相互比較により研究する。ここ で,在英日系企業とは英国に進出している日系の製造企業を指し,在欧日系企業(英国を 除く)とは,ベルギー,フランス,オランダ,アイルランド,イタリア~ ~)レトガ Jレ,ス ペイン及びドイツ(ここでは旧西ドイツのみを指す)に進出している日系の製造企業を指 す。そのことにより,ヨーロツパにおける英国と他のヨーロッパ諸国に進出している日系 企業の経営活動と原価管理実践の実態を比較しながらその笑態と課題を明らかにでき る。100 香川大学経済論叢 100 も,郵送調査及び面接調査を基にして,在英,在カナダ,在家および在米日系企業の こ れ ま で に も そ の 一 端 を 明 ら か に し て ふ み て ' ν つ 題 勾1J H 作 の 践 実 理 管 ' 価 は 原 で と 稿 動 本 活)。 営 。 る 経 い ヨーロッパにおける日系企業の場合について,面接調査と郵送調査 による分析を基にして,在英日系企業(以下 JUKsと略称する)と他のヨーロツパ諮 その 国の日系企業(主として大陸の
EC
諸 国 : 以 下 回Cs
と略称する)の比較により, 実態と課題を明らかにすることを意図している。 井上 (1990),井上・安藤(1991)及び Inoue (1992)を参照のこと。 ヨーロツパに進出している日系企業の分布は,以下のとおりである。 (2 ) (3 ) 78 30 27 9 36 4 25 92 155 (うち製造企業) 日系企業全体 277 300 122 32 132 25 107 482 732 フ ラ ン オ ラ ン ベ ル ギ ー ア イ ル ラ ン ド イ タ リ ア ポ ル ト ガ ル ス ペ イ ン ドイツ([日間ドイツ) 連 合 王 国 ス 夕 、 456 524) 1.054 2.209 2.549 3.282 ヨーロッパ合計+ (ヨーロッパ合計++ 米 国 合 計 + + 出所:東洋経済新報社 (1991)。 注:,
+
Jのあるヨーロッパ合計は,筆者が調査した国(上記9ヶ国) の日系企業の合計数を示している。 r++Jは,東洋経済新報社 (1991)のヨーロッパの日系企業合計 数を示している。また,米国合計++,世界合計H も同様に東洋 経済新報社(1991)によるものである。 4.612 12.522 計++ ぷ合、 に コ 界 世 年次別の日系企業の海外進出数は,東洋経済新報社(1991)によれば,次のとおりである。 年次別の日系企業の海外進出企業数(ヨーロツノ{) A 圭4 Eコ "I (うち90年以後) '86 '81-'85 1976-'80 -1975 次 年: 2.549 524 336 93 1 ,283 312 483 96 286 46 441 64 全 企 業 製造企業 *)東洋経済新報社 (1991)。101 企業のグローパル化と原価管理
101-2
.
.
JUKs
とJ
E
C
s
の概要 本節では,調査対象としてのJUKs
とJECs
,回答のあった企業の規模,及びその概 要を明らかにする。 2-1 調査方法と回収状況 本稿の基礎になっているヨーロッパに進出している製造企業は,以下のような方法 で決定した。JUKs
の調査対象の母集団は海外進出企業総覧(1991年版)~をもとに して, 82社(うち面接調査29社,郵送調査対象企業53社)とした。また,JECs
として リストアップされている製造企業は190社あり,その内訳はベルギー13社,フランス45 社,オランダ23社,アイルランド9社,イタリア14社,ポルトガノレ4社,スペイン25 社,及びドイツ(J日西ドイツ)57社である。 調査は, 1989年8月より12月の5ヶ月にわたり実施した。最初の調査票(英語と日 本語の2種類)は 8月に発送され,上記の期間にその後 2回督促を行った。(なお,在 英日系企業のうち面接調査の対象になった29社へは 9月から12月に郵送調査の際に 使用した調査票と同様のものを基に面接調査を実施した。) 回答企業は,JUKs
の場合は, 82社中43社(うち面接によるもの29社,郵便によるも の14社である)から回答があった。なお,回答辞退という企業も5社あった。また, 住所不明などで返送されてきた企業が12社あった。従って回収率は, 61ι%(43/(82-12)x
100 = 61.. 4)になる。 他方,JECs
の場合は,回答企業はベルギー5社(5/13),フランス(3/45),ア イルランド(1/9),イタリア(1/14),ポルトガル(3/4),スペイン(7/25), 西ドイツ (5/57)となっている。なお,回答辞退という企業が4社あり,住所不明 で戻ってきた企業が30社ある。 従って,回収率は194% (31/ (190-30) =194)である。なお,全体(JUKs
+
JECs
の合計)の平均は, 322%である。 (4 ) 調査票は,井上・安藤(1991)の付録の調査票A (邦文)及び調査察B(英文)と同様の ものを使用した。-102- 香川大学経済論叢 102 2-2 回答企業の概要 ここ、では,調査察に回答のあったJUKsとJECsの業種構成,回答者の職位,親企業 の出資比率,設立年,規模など,会社概要を紹介する。 a)回答企業の業種構成 まず,業種別の回答企業の構成は,次のとおりである。 JUKsの場合は,テレビ,プリンタなどを製造している電気機械器具製造業が48,,8% と半数近くを占めている。次いで,自動車などの輸送用機械が約20%と組立産業の企 業が中心である。(なお,その他も18,,6%を占めている。) それに対して, JECsの場合も,電気機械は29%と最も多いが,化学工業も19ι%と その次に多くなっている。従って, JECsの場合は,電気機械と化学工業に二分されて いる。(なお,その他の業種に属する企業も25,8%と多い。) 表2-1 業種別回答企業 業 種 JUKs JECs 1) 電気機械器具 4884% 29,03% 2) 輸送用機械器具 13,95 645 3) 精密機械器具 9 30 9..68 4) 一般機械器具 6..98 9.68 5) 化 学 工 業 2 33 19 35 6) そ の {也 18..60 25.81 ぷcコミh 計 100 00 10000
*) JUKs: n=43, JECs: n=31。なお,ここでJUKsとは,英国に 進出している日系企業であり,筆者の郵送調査 (14社)と面接企業 (29社)の合計数をいう。また,JECsとは,英国を除く大陸ヨーロツ パ7ヶ国(ベルギー,オランダ,フランス,西ドイツ,イタリア, ポルトガル,スペイン)及びアイルランドの合計8ヶ国に進出して いる日系企業を指す。
b
)
回答責任者の職位 回答責任者の職位は,表2-2のとおりである。 JUKsの 場 合 は , 主 と し て 社 長 (4L9%)と経理担当取締役(395%)から回答がなされている。それに対して, JECs の場合には,社長,総務部長が各295%であり,経理担当取締役の場合も19ι%と,103 企業のグローパノレ化と原価管理 -103ー (5) 回答者の職位はJUKsの場合に比べて分散している。 表2- 2 回答資任者の職位 職 位 JUKs JECs 1) 宇土 長 41 9% 290% 2) 副 社 長 116 9..7 3) 経理担当取締役 39 5 19 4 4) 製造担当取締役
。
。
5) 人事担当取締役。
。
6) 総 務 部 長。
29.0 7) そ のf
1l!. 70 12.9 ぷE合r
計 n=43 n=31 c)回答者の国籍 回答者の国籍に関する結果は,表2- 3のとおり、である。これによると, JUKsでは 93“0%, JECsでは87.1%と,いず、れの場合も大部分の回答は日本人担当者からなされ ている。 表2- 3 JUKs及びJECsの回答者 国 籍 ゐ一 % Y似 A -A H V A H V U一
3 7 1J-Awd ぷ斗 Eコ 計 n=43 JECs 871% 12..9 n=31 1 ) 臼 本 人 2) 現地の人(ロ}カルの人)d)
親企業の出資比率 JUKs及 びJECsへの日本の親企業からの出資比率は,表2-4のとおりである。 JUKsの出資比率は,平均値が9355(標準偏差は1771)であり, JECsでは,平均値 が8187(標準偏差23..64)と, JUKsの場合が日本の親会社からの出資比率が高くなっ ている。とりわけ,日本の親企業の100%出資の場合が多くなっている。これは,各国 の外資系企業の受け入れ姿勢や進出年次(時期),及び進出企業の業種(例えば, JUKs (5) JUKsの場合は,29社には郵送したものと同じ調査察に基づいて面接調査を行った。そ の場合に面接に応じて下さった担当者は,社長(MD : managing director)か経理担当 取締役の方であったことが影響bているのかもしれない。-104 香 川 大 学 経 済 論 叢 104 では組立企業が多く, JECsでは化学工業(特に薬品))がかなり多いことが反映され ているのであろう。 表2-4 日本の親企業からの出資比率 親企業の出資比率 JUKs JECs 1) 100%出資 35(83 0%) 16(51 6%) 2) 75%以上 100%未満出資 l(2 4 ) 5 (16 1 ) 3) 51%以上75%未満出資 2 (4..8 ) 4(12 9 ) 4) 50%出資 。(
o
)
3( 9..7 ) 5) 50%未満出資 3( 7 1 ) 3( 9..7 ) 6) 不 明 2( 4 8 )O
(
o
)
Jに3コh 計 n=42 n=31 e) JUKs及び JECsの設立年 日系企業の進出時期(年)は,表2-5に示すとおりである。 JUKsの場合には, 1980 年代に大部分 (80%以上)の企業が進出しており,英国政府の外資系企業への規制緩 和や貿易摩擦(ダンピング問題やローカルコンテンツ問題)などを契機に英国への日 系企業の進出が加速されたようである。 JECsの場合は,進出時期は60年代に 16引1%, 70年代に約39%,80年代に 453%と進出年が比較的分散している。これは,進出して いる企業の業種や各国の外資系企業への規制などが影響しているのであろう。 表2- 5 JUKs及 びJECsの設立年 設 立 年 一1969 -1974 -1979 -1984 1985 1986 1987 1988 全企業数 JUKs 4 7% 7 0% 4 7% 32 6% 116% 2 3% 27..9% 9 3% n=43 JECs 16. 1 29 0 9 7 19..4 3.2 6 5 9 7 6..5 ロ=31 f)回答企業の企業規模 ここでは,回答企業の企業規模を日本企業(JPCs)の場合と比較しながら表 2-6に より検討しよう。資本金については, JUKsでは 1社平均約30億円, JECsの場合は, 約14億円と, JUKsの資本金が JECsの場合の 2倍以上になっている。また,年間売上 高についても, JUKsの 1社平均は約137億円, JECsでは69億円と,この場合もJECs の売上高がJUKsのほぽ半分になっている。従業員数については, JUKsとJECsでは, ほぽ同じ平均値になっている。1
0
5
企業のグローパル化と原価管理 表2-6
回答企業の企業規模 (1社平均) 資 本 金 年間売上高 従業員数J
U
K
s
2
,9
3
9
1
3
,6
8
4
5
3
8
J
E
C
s
1
,3
7
4
6
,9
3
2
5
3
6
日本企業1
l.9
5
9
1
7
6
,1
1
6
3
,8
0
4
*)資本金(単位:百万円九年間売上高(百万円),従業員数(人),為替 レートは(;1::LOO=
¥2
3
0
円)。 企業数:JUKs :
n=42
,J
E
C
s
:
n
ニ3
1
,J
P
C
s
(日本企業):n
=
5
1
3
。 g)その他の指標 105← 企業規模以外の指標として,企業の構成員がどのくらい一つの企業に継続して勤務 しているかを企業員の平均勤続年数でみてみよう。管理職(トップ経営者)の場合は,JUKs
で37
5
年,JECs
では75
6
年と,JECs
の場合が在職期聞が約2
倍になっている。 このことは,JECs
の中には,操業開始(あるいは設立年次)が古い企業も多くあるの に対して,JUKs
は比較的1
9
8
0
年代に設立された企業が多いこと,あるいは英国と他の 欧州諸国の労働事情(雇用のタイトネス)などが影響しているのであろうか。 次に,一般従業員(管理職以外)の平均勤続年数は,JUKs
で24
4
年(
n
=
3
8
)
であり,J
E
C
s
で68
3
年(
n
=
2
3
)
と,この場合もJECs
の従業員の平均勤続年数が遥かに長く なっている。このことについては,上述の管理職の場合についての説明と同様のこと が当てはまるのでなかろうか。 また同時に従業員の移動(採用及び退職)を間接的に明らかにするため調査した従 業員の年間採用比率(雇用)は,JUKs
では3
117%(n=40)
と非常に高く,逆にJECs
の場合はそれが8
“16%(
n
=
2
3
)
と低くなっている。これは,小生のJUKs
の経営者へ の面接調査の結果などを考慮して検討すると,この時点(
1
9
8
9
年)では,いまだ英国 の景気が比較的良かったこと,JUKs
の操業開始年が比較的最近であることなどが,英 (6) 国の日系企業における労働移動を非常に高くしている要因であろう。(
6
)
このことは,1
9
8
9
年の面接調査の際には,特に日本企業が集中的に進出し,俗に「英国 銀座」といわれていたイングランドの TELFORD地方で著ししほんのわずかな待遇条 件の相違で,いとも簡単に会社を変わるということをしばしば現地の日本人経営者から 聞いた。従って,企業によれば年間採用率が1
0
0
%
であるという企業も幾つかみられた。 しかし,今回(
1
9
9
2
年)の面接調査時のヒヤリングによれば,世界同時不況の影響もあり, 英国では失業率が10%
を越える状態なので,1
9
8
9
年のような現象は陰を潜めていた。106- 香川大学経済論叢 106 3.. JUKsと JECsにおける経営活動 本節では, JUKsとJECsにおける経営活動の実態を検討する。具体的には,日系企 業の果たしている経営職能のレベル,労働組合の有無,会社で使用される言語,生産 設備の調達先,いわゆる「臼本的経営実践」のレベノレ及び企業の戦略的目標について 順次考察することにより,ヨーロッパにおける日系企業の経営活動の一端を吟味した し〉。 3-1 ..JUKsと..JECsの果たしている経営職能 企業の経営職能には購買,生産,販売,財務,人事を始め色々な経営職能があるが, ここではそれらの経営職能のうちどの程度を現地の日系企業が果た
G
,また日本の親 企業がどの程度をサポートしているか,表 3~1 により検討してみたい。 全体的には, JECsの場合に比べて, JUKsへの経営職能の国際移転の程度は比較的 よく進んでおり,とりわけ人事活動,製造活動,マーケティング活動や,ただ移転レ ベルは低いが研究開発などの職能の分野で高くなっている。逆に,JECsの方がローカ ル化のレベルが高いのは,アフターサービス活動,購買活動などの経営職能である。 表3ー JUKsと JECsにおける経営職能 ロ ー カ ル 化 の レ ベ ル 経 営 職 1) 人事活動 2) 製造活動 ムじ 目じ 3) アフターサービス活動 4) 購買活動 5) 販売活動 6) マーケティング活動 7) 財務活動 8) 共通の企業文化・価値観 (C1) 9) 製品開発 10) 研究開発 JUKs 460( 1) 4A9( 2) 429( 3) 4 12 ( 5) 414 ( 4) 4.03( 6) 393( 7) 3 47( 8) 21O(9) L85(10) JECs 全企業 4.40( 2) 452( 1) 4 37( 3) 4 44( 2) 4A5( 1) 436( 3) 430( 4) 4l9( 4) 4 21(5) 4l7( 5) 3 90 ( 7) 3 97( 6) 397( 6) 395( 7) 363( 8) 354( 8) 2 03 ( 9) 2 07( 9) 1..61 (10) 1 75 (10) *)表中の得点は,以下のように計算した。日本本社で全面的に担当→1点, 制両者の中 間,全面的に英国あるいは欧州で担当→5点とし,各活動の総得点を合計した。それを 回答企業総数で割って 1社あたりの平均値を算出した。107 企業のグローパル化と原価管理 -107 次に,経営職能別に, JUKsのローカル化のレベノレをみると,人事(1位),製造(2 位),アフターサービス(3位), 販 売 (4位),購買(5位),マーケティング(6位) という活動が,いずれも4点台とローカノレ化のレベルがとりわけ高くなっている。逆 にロ}カノレ化の水準が低く,日本の親企業で行われている割合が高いのは,研究開発 (10イ立)と製品開発活動(9位)である。 同 Csの場合は,アフターサービス(1位),人事(2位),製造(3位),購買(4 位),販売(5位)が 4点台の得点になっている。逆に,ローカル化が進んでいないの は,研究開発(10位)と製品開発 (9位)である。 JUKsとJECsのいずれの場合も, 職能別のローカlレ化のレベルは,傾向的には良く似ている。 3-2 労働組合の有無 ここでは,ヨーロッパにおける労働組合の状態について検討する。まず, JUKsにお ける労働組合は i組合あり」が5L2%(22社)と約半分を占めており,逆に「組合な し」は46..5% (20柾),そして「不明」の会社が2..3%(1社)となっている。 JECsの 場合には i組合あり」が742% (23社)と約3/4を占め, JUKsに比べて非常に高 く i組合なし」は, 25..8% (8社)と約1/4に過ぎない。 それでは i組合あり」の場合,どのような形態の組合なのか,表3-2により検討 してみよう。まず, JUKsの場合は, 70%近くの企業が比較的穏健な労働組合であると いわれているAEU,TUCやEETPUなど日本の企業別労働組合に近い形態の組合に 所属している場合が多くなっている。なお,産業別労働組合というのも31..8%を占め JUKs JECs A Eコ 計 表3- 2 日系企業における労働組合 企業別組合 産業別組合 そ の 他 0..0% 17..4 8..9 31 8% 65.2 489 68 2%+) 17..4 42..2 *) JUKs: n=22, JECs: n=23
。
+) JUKsの「その他」は,主として日本の「企業別労働組合」に近いもの である。例えば振り子型の交渉を旨としすぐにストライキに訴えない, いわゆる“nostrike agreement"や複数の労働組合がある場合,企業は 交渉の窓口として一つの組合を選択できる,いわゆる“single union agreement"などに好意的な労働組合を「その他」に分類した。108 香川大学経済論叢 108 ている。 他方, JECsでは,産業別労働組合に所属しているのが, 655%を占め,企業別労働 組合とその他がそれぞれ174%になっている。 3-3 会議で用いられる言語 取締役会などの役員会議と一般従業員の聞のミーティングなどで,英語,日本語あ るいはヨーロッパ各国の言語のうち,日系企業はいずれの言語でミーティングを行っ ているかを検討することは,日系企業のローカノレ化を考えるのにたいへん重要なこと である。表3-3に,その結果が示されている。 まずJUKsでは,表3-3によると,取締役会など経営者の会議では大部分(約 90%)の場合に英語が用いられているが,なお日本語も24%の企業で使われている(複 数回答の企業があるため, 100%を越えている。)他方,一般従業員の場合には一社を 除く他の全ての企業では,会議は英語で行われている。これは,取締役に占める日本 人役員の割合が高く,日本人だけの場合(あるいは大部分が日本人の場合)は,日本 語もケースパイケースで併用されている場合も見られるためである。 他方JECsの場合には,取締役会では,英語が約80%,現地の言語が約52%,そして 日本語が約13%と,英語を用いて会議をする場合が多いが,同時に半分の企業では当 該国の言語を用いていることが解る。他方,一般従業員の場合には 9割近くの企業 で現地(当該国)の言語が用いられている。なお,一部 (29%)の企業では同時に英 語が用いられており,日本語によるのはl祉にすぎない。 JECsでは,いず、れのミー テイングも,日本人が含まれる場合は,両者に比較的共通している,あるいは話すこ 表3- 3 会議(ミーテイング)で用いられる言語 英 語 (JUKs: ) 1 ) 取 締 役 39( 90 7%) 2) 一般従業員 43(1000 ) (JECs: ) 1 ) 取 締 役 25( 80 7%) 2) 一般従業員 9( 29..0 ) 日 本 語 10( 236%) l(2 3 ) 4( 12 9%) l( 3 2 ) そ の f也 O( 0%)
O
(
0 )
16(51 6%) 27 (87 1 ) 不 明O
(
0%)O
(
0 )
O( 0%) 1(3.2 )*
)
JUKs: n==43, JECs: n==31。複数回答可。その他は,英語以外の言語(例えばスペ イン語, ドイツ語,フランス諮,イタリア語,ポルトガル語など)を指す。109 企業のグローパル化と原価管理
。
μ AV 7i とが出来る言語として英語が重要な役割を演じている。これはコミュニケーションの 面で,英語に比べて他のヨーロッパの言語は,日系企業にとり流暢に現地の言語でコ ミュニケーション出来る人材(勿論まず専門知識があることは前提であるが)が十分 でなく,とりわけ進出国の言語でもって現地の従業員を管理することは非常に困難で あることを示している。ここにも,ローカJレ化の理想と現実のギャップが渉み出てい るようである。 3-4 日系企業の主要な生産設備はど二で調達されたか 日本の製造企業の海外進出の一つの形態を考察するため,日系企業は,いずれの国 (企業)で製作された生産設備・機械(
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q
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)
を中心に用いている か,表3-4により検討する。 まず,JUKsでは,日本から調達している割合が93%を占めており,生産設備の大部 分を日本から調達しているといえる。日本からの調達の内訳は I日本の親企業で製造 されたもの」が44..2%,他の日本企業からの調達は48..8%と半数近くになっている。 また,進出先国やその他の国々で調達可能なものは現地でローカノレに購入する比率も 34..9%を占め,ローカルに調達可能なものは現地調達も行われている。 JECsの場合も,日本からの調達の割合が90%を越えており,その内訳は「親企業」 からのものが613%とその比率が JUKsの場合に比べてより多くなっている。逆に, 日本の他企業からの調達は29%と,少なくなっている。これは,進出企業の業種など が影響しているものと思われる。 JUKsの場合以上に I現地企業あるいは外国」から の調達の割合も39%を占めている。 表3-4 日系企業の主要な生産設備はどこで調達されたか JUKs JECs 1) 日本の親企業で製造されたもの 44 2% 61 3% 2) 1)以外の日本企業で製造されたもの 48..8 29 0 3) JUKsあるいは JECsで開発・製造されたもの 9.3 16..1 4) 現地企業や外国から調達したもの 34.9 38..7 5) 上記以外のもの 2..3 3..2 6) 不 明 2..3。
*) JUKs: n=43, JECs: n=31o複数回答のため合計が100%になっていない。-110- 香川大学経済論叢
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1
0
3-5 日本的経営実践 次にヨーロッパに進出した日系企業における,いわゆる「日本的経営実践(Japanese management practices)j の一端を,表3-5により考察しよう。 「日本的経営実践」をどのように捉えるかは,色々と議論があると思われるが r平 等主義j,r常明良j,r現場主義j,r 5 S (掃除,清掃,しつけ,清潔,整頓)運動j,rQ Cサークルと提案制度j,r集団的意志、決定」及び「多能工」という 6つのコンセプト から,それらの経営実践がどの程度行われているかを考察することにより,日本的経 営のヨーロッパに進出した日系企業での広がりを説明してみたい。 全般的には,表3-5からわかるように,JUKsにおける日本的経営実践のレベルが JECsの場合よりも実施のレベルが高いことが理解できる。このことは, JUKsの場合 に日本の親企業の出資比率がJECsの場合よりも高かったことと符号している。次に, JUKsとJECsにおける 7つのいわゆる「日本的経営実践」の傾向は,平等主義,制服 の着用,現場主義, 5 S運動などでは,いずれの場合にも実施されているレベルが比 較的高くなっている。逆に, Q Cサークルと提案制度,集団的意志決定や多能工の養 成などは,社会制度,文化などとのコンフリクトもあり,ある程度は導入されている が,全面的にというレベノレにはなっていない。 表3ー 5 日本的経営実践 JUKs JECs 1) 平等主義(食堂,駐車場,ロッカー等の平等な利用) 471(1) 4 29(1) 2) 制服(標準服)の若用 4.35(2) 3 83(2) 3) 現場主義(管理データの現場従業員へのフィードパック) 384(3) 3..50(4) 4) クリーンな工場 (5S運動) 3..81(4) 3..52(3) 5) QCサークルと提案制度 319(5) 2 52(7) 6) 集団的な意志、決定 3 15(6) 3.28(5) 7) 多能工の養成 314(7) 314(6) 本)なお,上記の得点は,全く実施していない→1点, 引,ある程度実施→3点, 積極的に実施→5点、とし,合計点を計算し,回答企業数で割り 1社あたりの平均点を 算出した。 JUKs: n=41, JECs: n=29。 3-6 企業の戦略的目標 企業の戦略的目標は,日本企業と欧米企業では非常に異なるということは,これま111 企業のグローパノレ化と原価管理 -111-でにもしばしば指摘されてきた。すなわち,欧米企業は,株主の観点から投下資本利 益率(returnon investment ROI)を重視するのに対し,日本企業はマーケット・ シェア(市場占有率)や売上高利益率(returnon sales:ROS)を重視し,資本回転率 は別のやり方(生産管理など)で管理してきたといわれている。 それ、では,海外進出した日系企業の戦略的目標は,特にここではヨーロッパの日系 企業の場合,どうであろうか。 JUKs及び JECsともに,市場占有率の増加(JUKs= L64 (1位), JECs = 1 34 ( 1位))や売上高利益率 (JUKs=O.57(4位), JECs = 0..94 ( 3位))という,売上高に関係する項目が重視されており,これは日本の親企業 の場合と同様である。 特徴的な点は,ヨーロッパに進出した日系企業の場合,生産・流通システムの合理 化が戦略的な目標の 2位を占め(JUKs=L31, JECs =1 19),現在その整備に特に 重点が置かれていることである。これは,ヨーロッパの日系企業は,現地生産を始め てから比較的日が浅く,未だこれまでの日本からの輸出=販売型の進出から現地生 産=現地販売型への過渡期にあるためであろう。すなわち,これまでの代理庖による 販売,あるいは販売会社機能のみで良かった時代は終わり,現在ヨーロッパに進出し た製造工場とヨーロッパに張り巡らされた販売会社のネットワークを巧く効率的に繋 表3- 6 企業の戦略的目標 JUKs JECs 米国企業 1) 市場占有率の増加 1 64(1) 1. 35(1) 73(3) 2) 生産・流通システムの合理化 1 31 (2) 1 19(2) 50(4) 3) 会社の社会的イメージ 100(3) 29(8) 05(7) 4) 売上高利益率 (ROS) 57(4) .94(3) 5) 株主のキャピタル・ゲイン 36(5) 58(5) 2 43(1) 6) 投下資本利益率 (ROI) 33(6) 45(7) 243(1) 7) 自己資本比率 33(6) 23(9) 38(5) 8) 新製品比率 19(8) 77(4) 21(6) 9) 作業条件の改善 02(9) 58(5) 04(8) *)JUKs: n=36, JECs: n=29。米国企業のデータは,加護野他(1983)による。表中 の得点は,以下のように計算された。最も重要と思われるものに3点,次に重要なもの に2点, 3番目に重要なものに l点を加点し,各項目の合計点をだし,それをこの質問 に対する回答企業の総数で割って社あたりの平均点を算出した。加護野他の調査に は,売上高利益率という質問項目はなかった。
-112ー 香川大学経済論叢 112 ぐ生産・流通・販売ネットワークの整備は緊急に解決を迫られている課題である。 逆に,株主のキャピタル・ゲインや投下資本利益率(ROI)など,米国企業を始め欧 米の企業で重視されている項目は, JUKsと JECsへの日本の親企業の出資比率が高 いため,また進出が財務目標を越えた戦略的な進出(貿易摩擦の解消,ローカノレコン テンツのクリアなど)であることを反映してか,その順位も得点も低くなっている。 4. 情報システム 情報システムの整備は,単に事務処理の効率化のみでなく,データベース化による 情報の戦略的高度利用,またグローパルなネットワーク化の構築に向けて,現在経営 活動にとり必須のものである。そこでこの節では, JUKsと JECsにおける整備の実態 を検討してみよう。 (7) なお, JUKsと JECsにおける企業目標の達成度に関する経営者の満足度は,次の表の とおりである。 企業目標の達成度に対する経営者の満足度 JUKs JECs 1) 売上高成長率 3 70(1) 3.35( 2) 2 ) 従業員福祉の改善 350( 2) 332( 3) 3 ) 新製品比率 315( 3) 2 78 (ll) 4 ) 製品品質の改善 3 13( 4) 315( 5) 5 ) 製品ポートオーリオの改善 304( 5) 283 (10) 6 ) 従業員のモラールの改善 2.97( 6) 3..10( 6) 7) 資産の流動性(流動資産比率,自己資本比率) 2 91(7) 3ρ7( 7) 8 ) 株主のキャピタル・ゲイン(株価の上昇) 291 ( 7) 252 (15) 9 ) 主要製品の市場占有率 289( 9) 3..29( 4) 10) 生産・流通システムの合理化 289( 9) 285( 9) ll) 従業員の退職率 2 76 (ll) 3..70(1) 12) 人材開発 2..62(12) 3.00( 8) 13) 売上高伸び率 259 (13) 260 (13) 14) マーケティング能力の強化 2.56(14) 2.77(12) 15) 研究開発能力の強化 2..52(15) 243(16) 16) 投下資本利益率 (ROI) 247(16) 260(13) *) 1点→非常に不満足, , 3点→どちらともいえない, 5点→非常に 満足とし,各項目ごとに合計点を計算し,回答企業数で割り社あたりの平均 点を算出した。 JUKs:n=38, JECs: n=31。
113 企業のグローパル化と原価管理 -113-4-1 コンビュータシステムの導入 まず,コンピュータシステムの導入の実態を,汎用コンピュータ,オフィスコン ピュータ及びマイクロコンピュータの場合にわけで考察する。 a)汎用コンピュータ 汎用コンピュータ(メインフレイム・コンピュータ)は,日本企業ではすべての企 業で利用されている。日系企業は企業規模が日本企業に比べて遥かに小さいが,メイ ンプレイム・コンピュータの導入は, JUKsで442%,それよりも更に規模の小さい JECsでは322%と,企業規模に応じてメインフレイムの導入が測られているようで ある。 導入の予定がない企業も,JUKsで約40%,JECsで50%近くもあり,汎用コンピュー タ・システム化は,現在の時点ではいまだ充分に展開されているとは言えない。 表4ー 1 汎用コンビュータの導入 JUKs JECs JPCs 1) 既に導入済み 442% 32..2% 100 0% 2) 一部導入済み 16 3 12 9
。
3) 計 画 中。
6 5。
4) 予 定 な し 39..5 48..4。
*) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=557。b
)
オフィスコンピュータ メインフレームより小さいオフィスコンピュータの導入は,日本企業では勿論100% なされているが, JECsではそれが484%, JUKsでは279%と,両者の聞の数字が逆 転している。これは, JECsでは企業規模からオフコンをメインフレイムの代わりに導 入している企業が多いことも影響しているのであろう。 表4-2 オフィスコンピュータの導入 JUKs JECs JPCs 1) 既に導入済み 279% 48.4% 100.0% 2) 一部導入済み 25..6 19..4。
3) 計 画 中 4 6 6 5。
4) 予 定 な し 4L9 25..8。
*) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=557。114- 香川大学経済論叢 114 なお,オフィスコンビュータの場合も,導入の予定なしがJUKsで約42%,JECsで 約26%もある。現在のところ,オフィスコンビュータの場合も,企業規模に応じて導 入がなされている状態である。 c)マイクロコンピュータ マイクロコンビュータは,日本企業では勿論100%の企業が利用されている。 JUKs では,既に導入済みと一部導入を合わせると,約80%の企業が利用しており, JECsで はその数字が90%近くになっといる。 表4-3 マイクロコンビュータの導入 JUKs JECs JPCs 1) 既に導入済み 44 2% 387% 100 0% 2) 一部導入済み 34..9 5L6
。
3) 計 画 中 4..6。
。
4) 予 定 な し 16.3 9..7。
*) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=557。 4-2 コンビュータシステムの導入分野 次に,メインフレーム,オフコン及びマイコンを含めた,コンビュータシステム全 体の導入分野の実態を,表4-4により検討しよう。まず, JUKsの場合には,汎用コ 表4-4 コンピュータシステムの導入分野 汎 用 オ フ コ ン マ イ コ ン JUKs JECs JUKs JECs JUKs JECs 1)購質管理 69 2% 857% 47 8% 476% 29.
4
%
35.7% 2)生産管理 76.9 57 1 60.9 47.6 32 4 50.0 3)販売管理 57 7 71 4 52..2 57..1 26 5 32 1 4)在庫管理 80 8 92 9 60..9 81 0 29..4 21 4 5)人事管理 38..5 50 0 34..8 57 1 67..7 32 1 6)原価管理 654 57.1 21 7 42.9 44.1 50 0 7) 財務会計 69 2 85 7 56.5 6L9 44.1 35..7 8) 資金会計 42..3 42..9 17.4 33.3 35..3 28..6 9) 固定資産会計 53..9 42 9 13..0 47..6 44 1 28.6 10) そ の 他 3..9。
4 4 4..8 8..8 10 7 *)JUKs: n=26, JECs: n=14。複数回答。数字は,この項目に対する回答企業のうち, 導入している企業の割合を示している。115 企業のグローバル化と原価管理 -115-ンピュータの導入の高い分野は,高い順に在庫管理 (81%),生産管理 (77%),購買 管理 (69%),財務会計 (69%)及び原価管理 (65%)の分野である。 JECsの場合には,導入の高い分野は,高い順に在庫管理(93%),購買管理(86%), 財務会計 (86%),生産管理 (57%)及び原価管理 (57%)の分野である。 オフコンになると, JUKsでは,在庫管理,生産管理,財務会計及び販売管理などの 分野では過半数の企業で導入されているが,導入率は低くなっている。JECsの場合に は,在庫管理,財務会計,人事管理,販売管理などに比較的導入している企業が多く なっている。マイコンになると,導入比率がより小さくなっている。 4-3 データベース・システムの導入 会計情報及び経営情報の高度利用,迅速化など,多目的な情報利用のため欠かせな いデータベース・システム(DBS)をヨーロッパの日系企業はどの程度利用しているの か,その実態は表4-5,表4-6,表4一7のとおりである。 汎用コンビュータ上でのDBSの利用(,すでに導入済みJ)は,日本企業の場合に
59%であったが, JUKsでは約28%,JECsでは約16%と, JUKsにおける利用がより 進んでいるが,日本企業と比べると半分以下の企業でしか利用されていなしコ。「一部導 入済み」もそれぞれ約16%である。また,逆に現在の時点で,導入の「予定なし」と いう企業も,いずれの場合も過半数を越えている。汎用コンピュータにおけるDBS は, JUKsとJECsいず、れでも,今後に整備がなされて行く段階にあるといえる。 表4-5 データベース・システム(汎用)の導入 JUKs JECs JPCs 1) すでに導入済み 27 9% 16.1% 59 0% 2) 一部導入済み 16 3 16 1 本 3) 計 画 中 2 3 9 7
*
4) 予 定 な し 53.5 58 1 串 *) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=445。‘*'印は不明である。 次に,オフコンにおけるDBSの導入は,JUKs及びJECsのいずれにおいても,15% 前後であり未だ導入が進んでいるとは言い難い状態にある。 (8 ) これは,回答企業が少なかったことも,影響しているようである。-116- 香川大学経済論叢 116 表4-6 データベース・システム(オフコン)の導入 JUKs JECs 日本企業 1) すでに導入済み 14.0% 16..1%
*
2) 一部導入済み 14.0 16 1*
3) 計 画 中 4.7 16 1*
4) 予 定 な し 67..4 51..6*
*) JUKs: n=43. JECs: n=31。‘*'印は不明である。 最後に,マイコンの場合には, DBSはこれまで検討した汎用及びオフコンの場合以 上に導入がなされていない。相対的には, JECsの場合の数字が二倍以上になってい る。 表4.-7 データベース・システム(マイコン)の導入 JUKs JECs 日本企業 1) すでに導入済み 4.7% 97% 11 5% 2) 一部導入済み 9.3 35 5*
3) 計 画 中 7.0 3..2*
4) 予 定 な し 79..0 51. 6*
本)JUKs: n=43. JECs: n=31. JPCs: n=445。‘*'印は不明である。 4-4 データベース・システムの導入分野 この項は,ヨーロツパ進出企業のDBSの導入分野について,表 4-8により検討す 表4-8 データベース・システムの導入分野 汎 用 オ フ コ ン マ イ コ ン JUKs JECs JUKs JECs JUKs JECs 1)購買管理 73..7% 50.0% 50.0% 30..0% 16..7% 21 4% 2)生産管理 68 4 50.0 50.0 30..0 16..7 42..9 3)販売管理 47.4 50..0 50..0 60.0。
42.9 4)在庫管理 79..0 60..0 4L7 60.0 16..7 14..3 5)人事管理 31 6 40.0 16..7 50.0 50.0 14..3 6)原価管理 68..4 60.0 33.3 50.0 16.7 2L4 7)財務会計 42..1 70..0 4L7 70.0 16.7 35..7 8)資金会計 21.1 50..0。
30..0。
14..3 9) 固定資産会計 26..3 50..0 8..3 60..0 16..7 14..3 *) JUKs:n=19. JECs:n=10。複数回答。1
1
7
企業のグローパル化と原価管理 117 る。まず,汎用コンピュータ上におけるDBSを導入している企業が多い分野は,JUKs では在庫管理(1位),購買管理 (2位),生産管理(3位),原価管理(3位)などの 分野でDBSが広く導入されている。またJECsでは,財務会計の分野で7社が導入し ており,在庫管理と原価管理で6
社,それ以外の分野は約半数の企業が導入している に過ぎない。 次に,オフコンの場合には, JECsにおける導入の割合か不自対的に高くなっている。 これは, JUKsの場合には,主として汎用コンピュータ上でDBSを構築し, JECsの 場合は汎用とオフコン上でのDBSの導入が相半ばしているためであろう。マイコン については,余り導入されているとはいえない。 5 生産システム 日本企業における生産システムは,ロボットやFMSの導入により高度化を進めて いると共に,生産方式は消費者ニーズの多様化を反映して,これまで多品種少量生産 化の程度を高めてきた。本節では,日本企業と比べて,ヨーロッパに進出している日 系企業はどのような特徴を持っているのか,可能な限り日本企業のデータとも比較し ながら分析してみたい。 5-1 生産システムのフレキシビリティ 消費者の多様なニーズや製品の品質向上のため,ハード面での工夫として, FMSと ロボットの導入が重要な役割を演じている。ここでは,日系企業におけるFMSとロ ボットの導入状況を表5-1により検討する。 まず, FMS/ロボット(andか 01) を導入している企業は, JUKsで約70%, そしてJECsで約52%と,過半数の企業がすでに導入を行っている。 JUKsとJECsを表5ー 1 1) すでに導入済み 2) 計 画 中 3) 予 定 な し FMSとロボットの導入 JUKs 698% 1L6 18..6 *) JUKs: n=43, JECs: n=31
。
JECs 516% 16..1 323-118ー 香川大学経済論叢 118 比較すると,組立企業の比率が高いJUKsにおいて, FMS/ロボットを利用している ケースが高くなっている。また,計画中の企業も, JUKsで約12%,JECsで約16%と なっている。 5-2 フレキシブル生産システム/ロボットの導入分野 それでは, FMS/ロボットの導入は,どのような分野(生産工程)に多いのであろ うか。日系企業における結果は,表5-2に示すとおりである。 JUKsにおいては,最も多いのは部分組立(1位:53 3%) (例えば電子部品の自動 挿入などに使われるPCBのインサート・マシンなど),溶接加工工程 (2位::30%), 塗 装 工 程 (3位)や検査工程(3位)及び最終組立工程(4位)などが,比較的導入 が進んでいる。 他方JECsでも,部分組立土程が 1位 (563%) で最も多いが,最終組立が 2位 (500%),検査工程が 3位 (3L3%),塗装工程及び包装工程及び押出工程が 4位(各 18れ8%) という順位になっている。 いずれの地域でも,部分組立でのFMSやロボットの導入を中心に,最終組立,検査 工程や塗装工程でも導入がかなり進んでいる。ただ, JUKsとJECsの聞には,業種の 差異などを反映して,多様性がみられる。 表5- 2 FMSとロボ、ットの導入分野 JUKs JECs 1 ) 鋳 造 工 程 67%(10)
。
%(12) 2) 押 出 工 程 13..3 (8) 18.8 (4) 3) 研 削 工 程 6 7 (10) 12..5 (7) 4) プレス工程 20.0 (6) 12..5 (7) 5) 溶 接 工 程 30..0 ( 2) 6.3 (11) 6) 機械加工工程 16 7 (7) 12.5 (10) 7) 塗 装 工 程 26 7 (3) 18.8 (4) 8) 部分組立工程 53..3 (1) 56.3 (1) 9) 最終組立工程 23.3 (5) 50.0 (2) 10) 検 査 工 程 26 7 (3) 31 3 (3) 11) 包 装 工 程 13..3 (8) 18.8 (4) *) JUKs:n=30, JECs:n=16。119 企業のグローパJレ化と原価管理 4噌 , ・ o d マ , 4 5-3 製品ライフサイクル この項では,日系企業が作っている製品の寿命(市場に新製品として発売されてか ら,現在までどの位の期間市場で販売され続けているかという意味での製品のライフ サイクル)の動向を,表5-3により検討してみる。 JUKsの製品のライブサイクノレは, 3年未満の製品が1984年の段階で,すでに全売上 高の3/4近くになっていたが, 1989年にはその数字が791%と更に増えている。 JECsでも, 3年未満の製品が, 1984年に 537%を占め,その数字は1989年には58..5% と,JUKsと比べるとその数字は低いが,ライフサイクノレの短い製品の割合が僧え続け (9) ている点、では,両者とも製品ライフサイクルは短縮化の傾向にある。 表5- 3 製品ライフサイクlレ(1984年と 1989年) 3年未満 3年 6年 6年以上 JUKs (1984) 74 2% 12 4% 13 3% JUKs (1989) 79 1 119 9 0 JECs (1984) 53.7% 176% 28.7% JECs (1989) 58 5 15 0 26 5 日本企業 (1986) 21 0% 208% 582% *) JUKs: n=24(1984), n=29(1989)), JECs: n=21(1984), n= 40(1989)), JPCs: n=513(1986)。 5-4 BCGの製品ポートフォーリオ ここでは,ボストン・コンサノレティング・グループ(BCG)による製品ポートフォー リオによれ JUKsと JECsにおける製品構成を検討する。 まずJUKsの場合には,花形製品が41%(1位)を占め,負け犬製品の割合が34..7% と,ニ極分解している。これは一方で日系企業が強い分野(例えば, VTRやプリン タ,電子部品など),と同時に欧米の企業を中心に世界の企業が入り乱れている分野(自 動車やCTVなど)で,どうしても戦略上(技術上)の必要性からヨーロツパに進出し (9 ) なお,日本企業と比べた際,ヨーロツパ進出の日系企業の3年未満の数字が極端に高い 理由は, 1つは業種構成が異なる点にある。日本企業は,製造業全体を対象にしているが, ヨーロツパ,英国に進出している日系企業は,特に電気機械と自動車関連企業が多いこと を反映している。(上記の業種では製品のライフサイクルがとりわけ短い。)また,日系企 業のヨーロツパへの進出は,比較的最近の傾向であり,それだげ現地で製造されている製 品のライフサイクルも,新製品の割合が多くなっているためであろう。
-120ー 香川大学経済論叢 120 ているのが大きな理由であろう。 これと比べると, JECsでは花形製品 (50%),金のなる木 (26..7%)と, 3/4以 上の製品が花形製品か金のなる木であれ現時点では企業業績に大いに貢献している 様子である。問題児 (177%)や負け犬 (56%)は,両者を合わせても 1/4以下 であり問題の少ない製品構成に成っている。 QG C E YE , d オ 一 開 S リ 一 K 一 一 U 圃 YE , d オ 由 プ -lrm ポ 一 口問一 製 一 a a T ・ 5 ・ 表 一 1 ) 花 形 製 品 2) 問 題 児 3) 金のなる木 4) 負 け 犬 *l JUKs: n=36, JECs: n=21
。
4LOO% 8..36 15 94 34.69 50.00% 17..71 26.67 5.62 5-5 生産方式 生産方式は,分類の仕方によりいろいろに分かれる。ここでは, a) 技術的特性, b) 市場的な特性, c) 製品種類の特性, d) 製品の生産量の特性,0
生産工程の 特性に分類し, JUKsとJECsにおける生産方式の特性を検討する。 a)生産方式一一技術的特性による分類 生産方式は,技術的特性を基準にすると,組立生産,機械的進行生産及び化学的進 行生産に分類される。 まず,JUKsの特徴は,その構成が組立生産に大きくシフトしていることである。全 体の791%が組立生産であり,その他は合わせて20%余に過ぎない。 JECsの場合は, JUKsの場合と比較して,化学的進行生産の割合が高く,20%近くになっているのが大 きく異なる。いず、れの場合も,日本企業の構成と比べると,組立生産の比率が高いの 表5- 5 生産方式(技術的特性による分類) JUKs JECs 日本企業 1 ) 組 立 生 産 791% 64.5% 440% 2) 機械的進行生産 9.3 3..2 26.5 3) 化学的進行生産 2 3 19.4 20.5 4) そ の 他 9 3 12 9 9..0 *) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=486。121 企業のグローパル化と原価管理 -121 が特徴的である。ここにも日本企業の海外進出の特徴の一端が窺える。
b
)
生産方式一一市場的な特性による分類 生産方式は,製品の技術的特性から,注文生産と見込生産に分けられる。表5-6 に調査の結果を示しである。それによると,JUKsの場合には注文生産の比率が581% を占め,見込生産は465%である。 JECsの場合も JUKsの場合とほぼ同じ傾向にある と言える。いずれの場合も,日本企業に比べると,注文生産の比率が高くなっている が,これは日本企業が海外進出する場合,販売会社と製造会社を別法人として設立し ている場合が多いことが大きな原因であろう。 表5- 6 生産方式(市場的な特性) JUKs JECs 日本企業 1) 注文生産 58“1% 6L3% 468% 2) 見込生産 46 5 48..4 50.9 3) そ の 他。
。
2.4 4) 不 明 3..2 3..2。
*) JUKs: n=43, JECs: n=31。複数回答可。 c)生産方式一一製品種類による分類 次に,生産方式を企業が生産している製品種類の多様性をメルクマーノレにして,表 5-7により吟味しよう。 ここで,製品種類を多品種,中品種及び少品種に分類すると, JUKsもJECsともほ ぼ同じ傾向を示しており,多品種生産と中品種生産が中心になっている。日本企業の 少品種生産が全体の3/4を占めるという傾向に比べると,やや製品種類は絞られて (10) 日本企業では,電気機械,自動車(輸送用機械),一般機械などの業種はこれまで比較 的見込生産の割合が高かったが,情報システムの整備などにより,受注生産の方向に進ん でいる。例えば日本企業では,組立生産の場合,受注生産の割合が57..5%になっている。 ヨーロツパ進出の日系企業の場合は,とりわけJUKsの場合,組立生産の割合が高く,注 文生産の比率が581%とその比率が高くなっている。これは,ヨーロッパでは,販売会社 (あるいは販売代理底)は,国別(あるいはそれに近い形)で設立され,製造会社(ある いは場合によっては製品別に生産拠点を設ける)は,ヨーロッパのいずれかの国に設立し ている。そして,その製造企業がヨーロッパ全体の市場をヨーロッパにある販売会社から の注文(あるいは需要予測・計画)に基づいて生産するという形態を取っている企業が多 いようである。そのため,メーカサイドからみれば,受注(注文)生産の占める割合が高 くなっているというのが, JUKsへの小生の面接調査から得られた理解である。122 香川大学経済論叢 122 いるよう、である。これは,勿論日本企業と比べた場合,企業規模が絶対的に小さいこ と,従って日系企業の工場数も大部分がl工場であり,規模の経済性などからして, 出来れば製品種類を絞って生産を行いたいというのが企業サイドのニーズである。し かし他方,製品の多様性を促す要因として,欧州市場と一口に言っても.EC諸国や EFTA諸国など非常に沢山の国があり,それぞれに歴史と伝統を持っており,また固 により放送方式,製品の安全性基準などのレギュレーション(規則)や言語が異なり, それぞれの市場は細分化されているケースが多く,それだけ製品の多様性を促進する 原因になっている。両者の要因が相殺された結果が.JUKsとJECsの数字に反映され ているのであろう。 表5-7 生産方式(製品種類による分類) JUKs JECs 日本企業 1) 多品種生産 465% 48.4% 74 4% 2) 中品種生産 39 5 35.5 1L9 3) 少品種生産 16.3 16..1 12 7 4) そ の 他
。
。
1 0 *) JUKs: n=43. JECs: n=31. JPCs: n=486。複数回答可。 d)生産方式一一一製品生産量(1品種当たり)による分類 製品1品種当たりの生産量を基準に,少量生産,中量生産及び大量生産に分類する と.JUKsとJECsの数字は,表5-8のようになる。この場合も.JUKsとJECsともに,中量生産が中心で.JUKsもJECsも若干少量 生産にシフトしている。特に.JECsでは少量生産の割合が高くなっているのが目立っ ている。ただ,日本企業の場合は少量生産と大量生産に二極分解する傾向がみられる 表5- 8 生産方式(製品生産量による分類) JUKs JECs 日本企業 1) 少量生産 349% 41 9% 457% 2) 中量生産 39.5 4L9 23.2 3) 大量生産 25 6 29.0 28..4 4) そ の 他 2..3
。
2..8 *) JUKs: n=43. JECs: n=31. JPCs: n=486o123 企業のグローパJレ化と原価管理 -123 が,それと対比すると中量生産の割合が高いといえる。ここにも,企業規模やヨーロツ パ市場の特性などが影響しているのであろう。 e) 生産方式一一生産工程の特性による分類 生産ラインで1回に(1ロットあるいは1パッチ)生産される生産量を基準に,生 産方式を分類すると,個別生産,小ロット生産,中ロット生産,大ロット生産,及び、 単種大量生産に分類される。その結果は,表5-9のとおりである。 特徴的な点は,JUKsでは小ロット生産と中ロット生産を合わせると,全体の79%を 占めている。それに対して, JECsでは,小ロット生産と大ロット生産がそれぞれ 387%,中ロット生産も29%を占めており,大量生産 (129%)もJUKsと比べて多 くなっている。結果的に言えることは, JECsの場合がJUKsと比べて大量生産化の傾 向が強くなっていることが特筆される。これは, JECsの業種構成などが大きく影響し ているのであろう。また, JUKs, JECsいずれの場合も,日本企業と対比すると生産 工程の多様性は,遥かに低いといえる。 表5- 9 生産方式(生産工程の特性による分類) JUKs JECs 日本企業 1) 個別(単品)生産 9.3% 12 9% 19 7% 2) 小ロット生産 48 8 38 7 48..0 3) 中ロット生産 30 2 29.0 26..2 4) 大ロット生産 9 3 38 7 8.7 5) 単種大量生産 4.7 12 9 4 3 6) そ の f也 4 7 6..5 1 6 7) 不 明
。
3.2。
*) JUKs: n=43,
JECs: n=31,
JPCs: n=486o f)生産方式一一生産管理上の特性による分類 最後に,生産管理上の特性を基準に,製番方式,かんばん方式(JIT),資材所要量方 式(MRP)に分けて,表5-10により検討しよう。JUKsもJECsとも, MRP方式を中心に製番方式を用いており, JITはJUKsで
1L6%を占めるが, JECsでは65%に過ぎない。日本企業と比べると MRPの利用が 多くなり,逆に製番方式の利用が減少しているのがJUKsとJECsの特徴である。JIT
-124- 香川大学経済論叢 124 JUKsの業種構成の相違(組立型が英国では大部分である点,及び面接調査などの話を 考慮してみると),部分的に採用されているケースや特殊な状況(例えば
J
I
T
を前提に 協力企業が進出してきている場合など)の場合が多い。特に,日系企業以外との聞で,JIT
を実施しているケースは比較的限られている。特に,組立メーカと部品メーカの関 係が種々の面で異なるため,徐々に導入が計られているようであるが,限定的な域を 出ていないというのが,面接調査を含めての筆者の理解である。 表5ー10 生産方式(生産管理上の特性による分類) JUKs JECs 日本企業 1) 製番方式 37 2% 41.9% 477% 2) かんばん方式(JIT) 1L6 6.5 11 1 3) 資材所要量方式 (MRP) 60.5 58..1 35 8 4) そ の f也。
1 4 5 3 *) JUKs: n=43, JECs: n=31, JPCs: n=486。複数回答可。 6 原価構造と原価計算 この節では, JUKsと 問Csにおける製造原価及びその周辺の原価(一般管理費及び 販売費,研究開発費等)の実態について検討する。 6-1 製造原価の構造 まず, JUKsとJECsにおける製造原価の1984年と1989年における構成について表 6-1により検討しよう。 JUKsにおいては,直接材料費は, 57 3% ('84)から671% ('89)へと増加傾向に あり,これはJUKsの会社数が急速に増加したため,それらの企業はいまだスク リュー・ドライパ(knockdown)生産と言われる段階(最終組立のみの生産)にある企 業が多く,従って生産ラインも短く,日系企業内部での付加価値も少ないためであろ う。 また,逆に直接労務費の割合は,14..9% ('84)から10.5% ('89)へと減少しており, これは直接材料費が増加した理由の裏返しの現象である。減価償却費も8.8%('84)か ら63% ('89)へと, 2 5%も減少しているが,日本企業に比べるとなお高い数字であ る。また,外注加工費の比率は, 1 7% ('89)と,日本企業に比べて極めて低くなって125 企業のグローパル化と原価管理 125ー 表6-1 製造原価の構造 JUKs JECs 日本企業 '84 '89 '84 '89 '86 1) 直接材料費 57 3% 67 1% 61 7% 58 3% 57.0% 2) 間接材料費 35 2 4 2 6 2 0 2 3 3) 直接労務費 14.9 10 5 13 1 14 9 12..3 4) 間接労務費 3 1 3.3 4 3 6.3 6..0 5) 外注加工費 1 6 1 7 2 3 2.6 11. 1 6) 減価償却費 8..8 6 3 7 5 8 1 3 7 7) その他経費 10 8 8..6 7.5 7 6 7 7 ぷ口』 計 100.0 100.0 100 0 100 0 100.0 *)JUKs: n=14('84) ,n=37('89),JECs: n=20('84) ,n=28('89), JPCs: n=486。 いる。これは,面接調査でも非常に沢山の経営者から聞いたことであるが,組立メー カと部品メーカの関係が欧米では短期的(例えば 1年契約など),水平的な関係にあり, また現地の部品メーカの品質,コスト,納期及び製品の信頼性(あるいはサービス), いわゆる
QCDR
が日本に比べて低く,また現地の部品メーカに部品の製作を日本的な 形で外注加工に出せる状態ではないためである。(なお,後で述べる JECsの場合には, 会社設立が比較的古く,合弁企業も多いことや業種構成が異なるためか, JUKsに比べ れば, 1 %近く高くなっている。詳細は,在欧日系企業への面接調査などにより,そ の理由のフォローアップ調査が必要である。その場合でも,日本企業に比べれば,外 注加工費の比率が極端に低いことは言うまでもない。) 他方 JECsにおいては, JUKsに比べて,工場設立の歴史が古い企業が多いこともあ り, 1984年と 1989年の原価構成も,若干の変動はあるが, JUKsの場合ほどの変化は生 じていなし3。それで、も, JECsでは JUKsとは逆に,直接材料費は3.4%減少して,日 本企業の数字に近づいてきている。他方直接労務費は,これも JUKsとは逆に, 13..1% ('84) から 149% ('89) と, L8%増加している。また,減価償却費は75% ('84) から 8..1% ('89) とやや増の傾向にあり,かっこの場合も日本企業と比べると, JECsの場合 と同様に非常に高い数字である。逆に日本企業と比べて低いのは,外注加工費であり, 前述のように JUKsと比べると高いが,日本企業と比べると極端に低くなっている。 この理由は前述したとおりである。126- 香川大学経済論叢 126 以上が,JUKsとJECsにおける製造原価の構成の特徴であるが,それでは今後の傾 向について,企業の担当者はどのように予測しているのであろうか。 まず, JUKsにおいては,大きくは直接材料費と直接労務費については,増加すると いう企業と減少するという企業がほぼ相半ばしている。製造原価のうち,増加するで あろうと予測している項目は,外注加工費と減価償却費のこつと?あり,これは部品メー カなどにおけるいわゆる
QCDR
が徐々に組立メーカの要求を満たせるようになるで あろうと考えられているためである。これは,同時に組立メーカと部品メーカの聞の 関係について,英国企業や日系企業に十分理解されるようになり,また要求に答えれ るようになってくることを期待しているあらわれでもあろう。他方減価償却費の増加 は,.JUKsの生産のローカJレ化の増大により生産過穏やラインの増設により,ヨーロツ パのニーズに対してはヨーロッパで、生産するのがより合理的であると考えているので あろう。 他方JECsにおいては,大きくは直接材料費は減少傾向にあると考えられているが, 間接材料費は増加するであろうと,経営者は考えているようである。また,直接労務 費については,ほぽ同じ比率であると考えられている。 次に製造原価以外の費用はどうであろうか,表6-2によりみてみよう。製造原価 にプラスされて売上原価を構成する一般管理費及び販売費は,売上高比率で.JUKsで は6..97%を占め,JECsでは542%と,JUKsの場合が15%余り高くなっている。他方, 販売費の場合には, .JUKsで492%, JECsでは5.37%と逆に JECsの場合が若干高く なっている。金融費用の場合は, .JUKsで4..01%とJECsの202%の約2倍になってい 表6- 2 製造原価以外の費用 (1989) JUKs JECs 1) 一般管理費 6..97% 542% 2) 販 売 費 4 92 5 37 3) 金 融 資 用 4 01 2.02 4) 研究開発費 1 41 1.51 5) 設備投資額 16..11 15.81 *)上記いずれも,売上高に対する比率である。 企業数:JUKs: n=24, JECs: n=26o127 企業のグローパJレ化と原価管理 -127 る。設備投資額については, JUKs "("は1611%とかなり高い割合を占め, JECsでも同 様に1581%と高い比率になっており,いずれの場合もヨーロツパでは現地に生産設備 の憎設,新設などで規模の拡大を行っている様子が窺える。 6-2 棚卸資産在高 企業の棚卸資産在高を構成する要素は,原材料在高,仕掛品在高,及び製品在高よ りなり,各構成要素及びその合計の在高は表6-3のとおりである。 まず,JUKsにおいては,全体の棚卸資産の在庫は,1984年に303%であったものが, 1989年には2305%と,在庫が約7 %減少している。この変化のうちで,最も大きいの は製品在庫の減少であり,これは生産・流通・販売システムの合理化がなされている ことが最も大きな原因であろう。また,仕掛品在庫もlド65%も減少しており,これは 生産の自動化や生産管理の整備によるためであろう。なお,原材料の在庫は,この5 (1J) 年間に若干減少しているが,他のこつの要素と比べるとごく僅かである。 表6- 3 棚卸資産在高 (期末在高) 原 材 料 仕 掛 品 製 仁口3口 JUKs ('84) 15 12% 5 22% 999% JUKs ('89) 14..81 3 57 4 67 JECs ('84) 15 65% 14 40% 18 21% JECs ('89) 1571 8 43 14 62 棚卸資産 30,33% 23..05 4826% 3876 日本企業 ('86) 7 92% 5,75% 5 75% 1942% *)棚卸資産比率=棚卸資産在高/年間売上高x1 0 00 JUKs: n=43, JECs: n=28, JPCs: n=486
。
他方JECsの場合には,JUKsに比べると棚卸資産の在庫は遥かに高く,その差異は 1984年で約18%,1989年では15..7%と際だつている。この理由は,業種の差異や日本 の親会社の出資比率の相違などが関係しているのであろう。個々の要素の比率を検討 してみると, JECsでは仕掛品在庫が5年間に,約6 %減少しており特に目立ってい る。製品在庫も約3,6%減少している。なお,原材料の在庫はほぼ同じ比率である。 (ll) なお, JUKsの商接調査をした企業(n=28)の場合しかわからないが, FOB基準の会 社は17社あり, CIF基準の会社は9社,そして不明の会社が2社である。従って, FOB 基準とCIF基準が混在しており,その相違は,日系企業の原材料在庫に影響を与えている と思われる。-128 香川大学経済論議 128 6-3 生産リードタイム 棚卸資産(原材料,仕掛品及び製品)の在庫を物量的な側面で表す在庫期間の長さ も,企業の生産能率を示すーっの重要な指標である。 JUKsと JECsの場合について, 表6-4により検討してみたい。 まず, JUKsと JECsを比較すると, 6-2で検討した金額ベースでの場合と同様 に, JUKsの生産リードタイムが JECsの場合よりも遥かに短くなっており,これは前 述したように産業の特性,現地調達比率,出資比率などの差異が影響しているのであ ろう。 次に,時系列的に生産リードタイムの動向を考察すると,JUKsと JECsのいずれに 於いても,全体としての棚卸資産のリードタイムは確実に減少傾向にある。JUKsにお いては,とりわけ原材料と仕掛品の生産リードタイムは減少傾向にあり,逆に製品の リードタイムは長くなっている。これは,生産のローカノレ化を反映し,原材料などの 現地調達の増加,生産工程や生産管理の合理化により,原材料及び仕掛品の在庫が減 少していると思われる。それに対して,製品在庫は生産のローカル化により,生産・ 流通システムを日本からの輸出=販売型から現地生産=現地販売型に転換している最 中であり,それが未だ十分に整備されていない影響が出ているのであろうか。詳細は, 面接調査などによりフォローアップする必要がある。 他方JECsにおいては,時系列的に原材料,仕掛品,製品のいずれの生産リードタイ ムも,この5年間に減少傾向にあり,とりわけ仕掛品と製品リードタイムの減少が著 しい。これは,生産ラインの合理化と生産・流通ネットワークの整備などが主として 表6-4 生産リードタイム 1984年 (日:稼働日ベース) 1989年 原材料 仕掛品 製 品 棚 卸 資 産 原 材 料 仕掛品 製 品 棚 卸 資 産 JUKs 43 50 11 35 11 33 66 18 31. 96 7..15 13..89 53. 00 JECs 48..74 32..42 32 43 113..59 46..46 18 64 24..67 89..95 *) JUKs: n=12(1984) n=37(1989), JECs: n=19(1984), n=27(1989)
。
原材料(あるいは{瑚品)の在庫期間=原材料(仕掛品)在庫盈/一日あたり生産台 数,または在庫室/一日あたり消費量。製品の在庫期間=製品在庫量/一日あたり出荷 (生産)台数をいう。129 企業のグローパル化と原価管理 -129 貢献しているためであろう。 6-4 製造間接費の配賦基準 製造間接費の配賦基準は,製造原価の決定にとり重要な課題である。そこで, JUKs と JECsのそれぞれの企業が製造間接費をどのような基準で配賦しているか,表 6
-5
により検討する。 まず JUKsにおいては,直接作業時間基準が442%と最も多く利用されており,直 接労務費基準が23..3%と,第 2位になっている。両者を合わせると 67..5%になり,現 場作業者の労働時聞を基礎にしている場合である。上記の直接労務費と並んで多く利 用されているのが製品の生産量。を基準にした配賦方法であり, 23.3%を占めている。 最近のオートメ化を反映した,機械の運転時間をベースにした製造間接費の配賦をし ている企業は,わずか9..3%に過ぎない。伝統的な直接作業時間や直接労務費を基準に した製造間接費の配賦が最も多くの企業で利用されている基準といえる。 次に JECsの場合になると,最も多いのは直接作業時間であり, 38れ7%を占めてい る。次は,製品の生産量を基準にした方法で, 258%を占めている。第 3位は,直接 材料費+直接労務費を合わせた素価を基準にした方法が16.1%,そして第 4位が直接 労務費基準で12.9%になっている。そして,機械の運転時聞を基準にした方法は 12..9% である。 JECsの場合は, JUKsに比べると,配賦基準の利用に多様性が見られるが, 表6- 5 製造間接費の配賦基準 日本企業 英国企業 配 賦 基 準 JUKs JECs (加登) (吉}IJ) (吉川[) 1) 直接労務費 23 3% 12.9% 94% 7% 34% 2) 菌接作業時間 44 2 38.7 5L8 50 33 3) 機械の運転時間 9 3 12.9 1L5 12 30 4) 製品の生産量 23.3 25.8 20..1 16 21 5) 直接材料費 20 1 11 18 6) 索 価 7 0 16.1 7..9 21 10 7 ) そ の { 也 9.3 12 9。 。
。
8) 不 明 4 7 12.9。 。
。
*)JUKs: n=43, JECs : n=31,加登 (1989): n=31,吉川 (1989): n= 139(日本企業). n=67 (英国企業)0 JUKsと JECsの調査票には, 5)直接材料費という項目はない。な お,素価=直接材料費+直接労務費をいう。一130- 香川大学経済論叢 130 ここでも現場作業者の作業時間関連の基準を利用しているケースが過半数に達してい る。 6-5 原価計算システム 原価計算システムは,生産形態の観点より分類をすると,単純総合原価計算,組別 総合原価計算,個別原価計算に分けられる。時間的観点から分類すると,標準原価計 算と実際原価計算に分けられる。また,製品原価の観点からは,全部原価計算と直接 原価計算に分けられる。以上の分類により.JUKsと JECsの場合に,どのような原価 計算システムが採用されているかを検討する。 a)原価計算システム一一一生産形態の観点から分類 生産形態の観点から分類すると,原価計算システムは,単純原価計算,組別原価計 算,及び個別原価計算に分けられる。 JUKsでは,組別総合原価計算が48..8%を占めており,これは JUKsに機械,電機, 自動車などの企業が多く含まれているためであろう。また,個別原価計算が23.3%. 単純総合原価計算も18..6%となっている。 他方 JECsの場合は,個別原価計算の利用が最も多く 35..5%を占めている。組別総合 原価計算は25..8%を占め,単純総合原価計算は12..9%になっている。 表6-6 原価計算システム(生産形態の観点から) JUKs JECs 日本企業 1) 単純総合原価計算 18.6% 12 9% 114% 2) 組別総合原価計算 48..8 25 8 38..6 3) 個別原価計算 23.3 35..5 22..2 4) そ の f也 4 7 12 9 27.8 5) 不 明 4..7 12.9 キ)JUKs: n=43. JECs: n=31. JPCs: n=492。なお,その