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小売業のパーソナル・マーケティング戦略-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第71巻 第4号 1999年3月 17-86

小売業のパーソナル・マーケティング戦略

原 田

I . は じ め に 昨今,経済社会の成熟化傾向が構造的に強まる中において,また,短期的に は,ますます深みに巌まりつつある消費環境を捉えて,小売業においては企業 の存亡を賭けた戦略展開への挑戦を行っている。このような状況下で,小売企 業の経営戦略においては,従来の売上指向から利益指向へ,そして,フロー指 向からストック指向へ,と根本的な転換を行いはじめている。まさに,小売企 業においても,ビッグパンに遭遇しているかのような激動の波にさらされてい る。 そこで,にわかに注目されはじめたのが,マーケティング戦略のマス・マー ケティングからパーソナlレ・マーケテイングへの転換なのである。これは,顧 客起点

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のビジネスシステムを構築するという戦略思想、から 構築された,いわば

1

人ひとりの顔の見える個的存在としての顧客に対する ノfーソナノレなコミュニケーションを前提にした企業と顧客との良好な関係の構 築を指向している。このような小売企業におけるマーケティング革新は,昨今 (1) 顧客起点:流通システムの構築にあたって,その起点を顧客においた戦略対応を行う ことである。従来のメーカー起点,小売起点から次第にデマンドサイドのイニシアチブを 尊重した顧客起点に立脚したシステムが構築しはじめられている。 (2 ) ソリューション:解答のことである。従来,メ}カーにおいては製品を製造して販売し ていたのだが,昨今におけるサービス経済化の進展のなかにおいて,顧客が望ソリュー ションの提供を行おうという方針への転換が行われている。その意味においては,今後の メーカーはいわばソリューション・プロバイダーに進化することが期待されている。

(2)

-18- 香川大学経済論叢 1074 の情報通信技術の飛躍的な発展や高度なソリューションを提供するソフトウェ アの開発などによって可能になってきた。 そして,急速にデータベースの戦略 的な活用を基軸としたパーソナル・マーケティングがマーケティングの主流に なりつつある。 そこで,本稿においては小売企業の未来展望を可能にせしめるものとして, 以下においてデータベース活用のパーソナル・マーケティング?について,戦略 モデ、ルの形成へ向けて多面的, かつ実証的な考察を試みてみる。すなわち,第 1は「米国小売業のパーソナル・マーケティング、戦略j,第2は「わが国百貨庖 のパーソナル・マーケテインク、戦略j,第3に「西武百貨屈のパーソナル・マー ケテイング戦略j,第 4に「小売業におけるデータベース・マーケティングのモ デ 、yレ形成j,の 4点についての論述である。 II.米国小売業のパーソナル・マーケティング戦略 今,話題のパーソナル・マーケティングは,米国において圧倒的な進展を遂 げたマーケティング手法であるが,昨今の先進的な情報通信技術の進展によっ てデータベースシステムを根幹においた形態が主流になってきた。わが国にお いても,現在,パーソナル・マーケティングへのデータベースシステムの戦略 的な活用方法について本格的に模索しはじめたところである。 そこで, わが国 小売業において,戦略的にパ}ソナル・マーケティングを推進していくために, 以下において,先行している米国のパーソナノレ・マーケティングについてデー タベ}スシステムの戦略的な活用という観点に立脚した論述を行うことにする。 すなわち,これは,上記の問題意識に立脚した米国小売業のパーソナル・マー ケティング戦略についての以下の

4

点の論述である。具体的には,第

1

は鮮明 化するマーケティングにおける顧客起点,第

2

はカスタマイズド・マーケティ ングの展開,第3はカスタマー・スペシフィック・マーケティングの展開,第

4

は顧客戦略によって復活した米国の小売業, という 4点についてである。 も ちろん, ここでは, いずれについても,特にデータベースシステムとの関連性 を強調した考察を行っている。

(3)

1075 小売業のパーソナル・マーケテイング戦略 -19ー 1 鮮明化するマーケティングにおける顧客起点 昨今,マス・マーケティングからパーソナル・マーケティングへとマーケティ ング戦略は根本的なパラダイムシフトを行いつつある。このような状況下で, 流通システムの構築視点についても,次第に川上から川下へと転換しはじめて いる。すなわち,かつてのメーカー起点の流通システムから卸起点の流通シス テムへ,そしてQRやECRによって現出した小売起点の流通システムからい よいよ顧客を基軸に置いたいわば顧客起点の流通システムへと転換しつつあ る。こうして,従来の生産者中心主義に根差したサプライチェーンは崩壊して, 消費者中心主義に根差したいわゆるデマンドチェーンへの転換が実現してく る。 このように,米国においては顧客起点を指向した流通システムが模索される のだが,その背景には,特に小売業に対する進化した消費者の影響によるとこ ろが多大なのである。すなわち,舟本秀男の論述をよるならば,流通革新を誘 因した条件として以下の

5

点をあげることができる。それらは,第

1

は賢い消 費者の登場,第2は年齢別人口構成のシフト,第3は競争環境における一層の 激化,第4はネイパーショッピング、への回帰傾向,第5は情報通信技術の飛躍 的進化,という

5

点である。 第

1

の賢い消費者の登場とは,最大にインターネットなどに代表されるデジ タル化の波が日常生活に浸透してきたことに起因している。これは,言い換え れば,多くの情報をいわば属性の壁を越えて自在に入手できることで,まさに 限りなく無限の選択肢から自らの欲しい商品やサービスを,エージエントのサ ポートによって的確に行えるようになったことを意味している。こうして

1

人ひとりが固有のニーズを徹底的に追求するようになって,そのために,マー ケテイング戦略についても従来のマス・マーケティングからパーソナル・マー ケテインクゃへと転換しはじめた。こうして,多様化した情報武装した賢い消費 者に対するリレーションシツプの追求によるリテンシヨン・マーケティンダ)が 重視されつつある。 (3) 1)テンション・マ」ケティング:データベース・マーケテイングの展開によって注目さ

(4)

20 香川大学経済論叢 1076 第

2

の年齢別人口構成のシフトとは,実はベビーブーマーの子供たちである ジェネレーション

X

がマーケットの牽引者になりつつあることを示している。 だからこそ,彼らに対しては,次第に Oneto Oneのアプローチが不可欠にな りつつある。その理由は,まさに高支出指向性を持ったベビーブーマーが極端 に減少しはじめているからである。過去においても,このような具合に,世代 毎の消費に関わる影響度を掌握した上でターゲット・マーケティングやリレー ションシップ・マーケティングへの大転換が行われてきた。 第3の競争環境における一層の激化とは,消費者の購買行動の多重化に伴う 業態間競争の現出なのである。従来は,食料品はスーパーマーケット,薬品は ドラッグストア,家庭雑貨や軽衣料はディスカントストアでという使い分けが 明確であった。ところが,昨今,ウォノレマートに代表されるディスカウントス トアのスーパーセンターや,カテゴリーキラーによる取り扱い商品のラインロ ビングや転換などによって,次第に業界を分ける垣根が次第に低くなっている。 このような状況下で,顧客から継続的な指示を獲得するには,従来とは異なっ た手法の導入が不可欠となり,結果的には,リテンション・マーケティングが 追求されてきた。 第4のネイパーショッピングへの回帰傾向とは,消費の2極化現象に伴った 消費者行動を繁栄した現象である。昨今,消費の傾向は,一方では,時間,かつ空 間消費的なビッグなエンタテイメント指向,他方では,イージーショッピングや れはじめた顧客対応である。新規顧客を開拓するための?ーケティングをコンクェウス ト・マーケティングというのに対して,既存顧客を維持するためのマーケテイングをリテ ンション・マーケティングというのである。

( 4 ) One to One :ドン・ペノ Tーズとマーサ・ロジャーズが提唱したOnetoOneマーケティ ングによって広まったパーソナル・マーケティング時代における究極の関係概念である。 Oneto Oneマーケティングとは 1人ひとりの顧客のニーズへの対応を指向すべく,個 客との対話によって商品やサービスの提供を行っていくマーケティングである。これは, また顧客との対話によって個別に商品やサービスの提供を行っていくマーケティングな のでもある。そして,また,これは顧客とのリレーションシップを通じた顧客維持のため の最適なマーケティングなのである。 (5 ) イージーショッピング:買い物を買い易い環境で楽に行いたいという欲求への対応で ある。昨今,庖舗は大規模化し複雑化する一途であり,これへの不満足をいだく顧客が期 待する買い物の形態である。

(5)

1077 小売業のパーソナ1レ・マーケティング戦略 -21-ショートタイムショッピングを指向するコンビニエンス指向へ, とまったく正 反対である

2

極での消費の使い分けが行われている。このような状況下で, わ が国におけるコンビニエンスストアと類似した感覚でネイパーショッピングを 充足させる, きわめて小規模なネイパーフッド型のショッピングセンターがお おいに注目されている。 第 5の情報通信技術の飛躍的進化とは,例えば,先進的な超並列コンピュー ターやデータベースソフトの進化であって, これによって顧客を明確に個とし て識別できるようになってきた。 こうして, いわば顔の見える顧客とのきめ細 かいパーソナル・マーケティングがデータベースシステムを活用して展開され てきた。 まさに,時代は, ブライアン・ウルフがいう顧客識別マーケティング に向けて動きはじめている。 また, そのため,小売業の情報化へ向けた設備投 資は飛躍的に増大しており,いよいよ小売業は情報をインフラとするナレッジ コーポレーションへと進化しはじめている。 このように,昨今では,時代の要請は小売業に対しては次世代小売業にふさ わしいものたるべく根本的なイノベーションを要請しており, これらの動きの 中で,業種や業態の枠を越えた業界融合化時代の競争戦略が展開されはじめて いる。そこで, このような傾向をポジティブに捉えて,すべての先進的な流通 システムのプレイヤー達は,流通システムを従来のプロダクト・パイプライン としてのサプライチェーンから, 1人ひとりの個別な顧客に対する可能な限り 個別な満足の提供を指向するカスタマーサポート・システムへの組替えを熱望 しはじめた。 また,この際においては,特に消費者へのフロントエンドに位置 する小売業こそが,顧客と流通産業を多重にネットワークできるいわば各個人 (6 ) ショートタイムショッピング:昨今,大規模ショッピングセンターに代表される大規 模商業集積においては,買いたい商品を探したり,行きたい底に到達するまで多大な時聞 がかかるなど,買い物に対する時間節約のニーズが強まってきている。すなわち,このよ うな買い物において時間軸での利便性を追求する購買行動である。 (7) ナレッジコーポレーション:昨今,企業経営においてナレッジ(知識)の重要性がおお いに期待されている。そこで,企業活動をいわば知の循環サイクルとして捉えた戦略対応 が不可欠になってきた。すなわち,このような知識ベースの経営を指向する企業がナレツ ジコーポレーションである。

(6)

-22- 香川大学経済論叢 1078 のライフスタイJレのオルガナイザーとして,いわゆるバッファ機能を主体的に 担っていくことが期待されている。 一方,インターネットの世界的な制覇に伴って,グローパノレなショッピング がネットを通じて行われることも,次第に日常化しつつある。このような状況 下で,商品が従来のメーカー,卸,そして小売と流れる直線的なサプライチェー ンはいよいよ解体されることになり,まさに顧客を中心に置いたカスタマ}セ ントリックな流通システムが構築されてくる。そうなると,従来の伝統的なプ ロダクト・パイプラインは解体し,顧客による自在なチャネルの選択肢が拡大 するわけで,そのためメーカーや卸も含めたダイレクトなシステムが形成され てくる。こうなると,伝統的な小売,卸,メーカーという区別は意味をなさな くなり,今後においては,いかに顧客の要望に応えられるかが重要な競争戦略 上の武器になる。そこで,従来から最も顧客に精通していた小売こそが,この 流通システムの再編成過程においても,まさに顧客のエージエントへと転換す ることで流通業界におけるヘゲモニーを獲得することが期待されてくる。 このことは,今後においては,まず以って,カスタマーセントリックなシス テム構築を,そして,カスタマーファーストのサービスの提供を最優先してい くことが不可欠であることの明示である。こうして,いよいよフォー・ザ・カ スタマーではなく,カスタマーレディ発想、に立脚したビジネスシステムの構築 (8 ) カスタマーセントリック:企業活動の中心に顧客を位置づげた戦略対応である。これ は,すべての企業活動については,顧客の支持をうけることで満足を増大するためには, 顧客に対して徹底的に奉仕することがきわめて大切であることを意味している。 ( 9 ) エージエント:代理人。従来では,広告代理屈などのサービス産業に利用されている場 合が多かった,いわば専門機能を代理するという概念である。デジタル化の波のなかにお いては,場面に応じて意図をよく理解しながら自立的な判断に基いた処理を実行するよ うな機能が期待されてくる。これは,すなわち,次世代のマンマシーン・インターフェー スとして提案されている概念である。また,昨今では,ネットワークを通じたビジネスな どにおいて,消費者サイド,または供給者サイドのいわばサーバントとして,両者の聞に 介在する中問機能のビジネス化という観点からも期待が高まりつつある概念なのであ る。 (10) カスタマーファースト:企業における営業の基本姿勢を,顧客最優先とする考え方で ある。これは,すべての企業活動については,まさに顧客の支持をもらうことが企業存亡 の最大の危機を乗り切るためのものである。

(7)

1079 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 -23-が期待されてくる。すなわち, このことは,実は,すべての戦略がカスタマー レディから構想されることが必要なことを意味している。 2, カスタマイズド・マーケティングの展開 このようなカスタマーレディに立脚した具体的な戦略転換については,例え ば, マーケティング戦略におけるマス・マーケティングからパーソナル・マーケ テインクゃへ進化に端的に見い出すことが可能である。ここにおける最大の特徴 とは,第1に可能な限り提供されるサービスをカスタマイズしていく姿勢と, 第2にそのためには可能な限りデータベースをマーケティング戦略に活用して いく考え方の重視である。そこで,このような観点に立脚して,以下において, カスタマーレディの戦略としての

2

大特徴である,いわばカスタマイズ指向と, これを可能したデータベース活用について概括的な考察を行ってみる。 ここでいうカスタマイズとは,たとえマスプロダクションの商品であっても, これが顧客ごとにカスタム化した商品やサービス形態で提供されていることで Uu ある。 したがって, これは,実際にはマスカスタマイズというのが正確な表現 である。そこで, ここで,小売業のカスタマイズ対応に入る前にマスカスタマ イズについて一般的な理解を深めることにする。 ここにおいて最も大切な観点 は, ビジネスシステムとしてマスプロダクションとカスタマイゼーションをト レードオフの関係としてではなく両立させることである。 したがって,このマスカスタマイズを展開することは,まさにメーカー,卸, 小売といったすべてのプレイヤーの協力によってはじめて実現できることであ る。このことは,言い換えれば,ビジネスプロセスの全領域において,顧客ニー ズを最大限に満足させるように根本的に再編することを意味している。そこで, このことを正確に理解すべく, このマスカスタマイズをサプライチェーン発想 による従来型のシステムである大量生産や継続的な改善と比較することで, そ (11) マスカスタマイズ:マスプロダクションによる製品サービスをカスタム化することで ある。具体的には,顧客ごとに最適な製品やサービスの提供を行うことを意味している。

(8)

-2淫 ー 香 川 大 学 経 済 論 叢 1080 図表1 マスカスタマイゼーションと大量生産 大王量生産 継 続 的 な 改 善 マスカスタマイゼーション 基 本 戦 略 可 能 な 限 り 低 コ ス ト で 生産プロセスの改善に 顧客ニーズをベースに の生産 よるコスト削減,柔軟 した開発・生産・販売・ 性 の 確 保 配送プロセスのトータ Yレな見直し 推 進 組 織 職 能 別 の 階 層 組 織 自立した小集団 緩 や か に 結 ば れ た チ ー ムのネットワーク 仕 事 の 流 れ 計 画 に し た が っ て 実 施 小集団内での密度が向 顧客ごとにつくられる される,標準化された く,相互作用的な仕事 価 値 連 鎖 に 基 づ く 仕 事 仕 事 の 流 れ の 流 れ の 流 れ 管 理 者 の 役 割 厳 格 な 監 督 者 小集団のリーダー ネットワークの調整者 コントロ-}レ 集 権 化 さ れ た 上 意 下 達 分権化された小集聞に 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク を 通 システム の命令システム よる意思決定と,小集 じたチームの管理 団 に よ り 管 理 さ れ た 命 令システム 情 報 技 術 の 活 効 率 ア ッ プ の た め , 手 職能横断的なコミユー 社内の情報共有化,向顧 用 作業をオートメーショ ケーションシステムの 客 サ ー ビ ス の 水 準 上 ン化 導 入 などのための情報ホッ トワークの駆使 江夏健一「マス・カスタマイゼーションJ~最新経営イノベーション手法50~ 日経 BP 社より の特徴をより鮮明にさせてみる(図表1)。 江夏健ーによるならば,これら 3者の比較については,実は基本戦略,推進 組織,仕事の流れ,管理者の役割,コントロールシステム,情報技術の活用と いう 6つの視点から行われるべきものである。また,ここで大切な観点とは, このマスカスタマイズが,顧客ニーズをベースにして開発・生産・販売・配送 プロセスのトータノレの再考を要請することである。また,これが同時に顧客ご とに構築されたバリューチェーンに基づく仕事の流れを追求することである。 このように,カスタマイズはマスカスタマイズにこそ多大な戦略的な意義が あり,また,マーケティングのみならず製造段階まで踏み込んだ対応が前提で ある。しかしながら,以下に論述するカスタマイゼ、イションについては,特に 小売業の戦略であることを考慮して,とりわけ

PB

商品と

NB

商品の双方を対 (12) バリューチェーン:価値連鎖である。企業活動を行うにあって,機能や事業を効果的に 再 配 置 す る こ と で , プ レ イ ヤ ー 全 体 で 構 成 す る シ ス テ ム 総 体 の 付 加 価 値 の 実 現 を 目 指 す システムについての考えかたである。

(9)

1081 小売業のパーソナ1レ・マーケティング戦略 25-象にした主にマーケティング活動にフォーカスを行った展開について考察を 千子ってみる。 このカスタマイズは,現代の小売業におけるマーケティングのニューパラダ イムであって,実は,後述するデータベースによって多大な効果を発揮するも のである。すなわち,顧客データベースの戦略的活用によって,買手としての 顧客の購買力が瞬時に各人別に補足できるからである。それでは,このような 観点に立脚して,以下において,この新たなマーケティング手法である小売業 のカスタマイズド・マーケティングについて言及を行う。 江尻浩によるならば,このカスタマイズド・マーケティングとは以下のよう に定義することができる。すなわち,カスタマイズド・マーケティングとは, I人ひとりの顧客を標的として個人顧客の要望に商品,売場,販売促進,価格 を適合せしめるいわば個人顧客のためのテーラーメイドを指向するマーケティ ングである。また,これは前述したカスタマイズの概念を発展させた形態とし て提示されている。すなわち,カスタマイズをメーカー起点から考えるのでは なしまさにカスタマーレディの観点からのマーケティング戦略として展開す る手法がカスタマイズド・マーケティングであるという主張である。昨今にお ける時代の要請を鑑みれば,この段階において,カスタマイズド・マーケティ ングという概念を提示することも意味があると思われる。 それでは,以下において,引き続き,この小売業におけるカスタマイズド・ マーケテイングの確立に向けた方法論について考察を行ってみる。これは,具 体的には,第

1

に既存顧客のターゲット化,第

2

に既存個人顧客についての要 望の把握,第3にターゲット顧客の選別,第4にターゲット顧客の組織化,第 5にマーケティング手段についての顧客要望への適合,第6にモジューlレ化や 標準化の追求,第7にカスタマイズド・マーケティングの確立,第8は究極の 顧客満足の実現という 7段階ものマーケティングの発展過程をトレースする ことなのである(図表

2

。) 第l段階の既存顧客のターゲット化とは,既存の個人顧客にシフトしたマー ケティング、を行った方がはるかにマーケティングコストの生産性がに効果的で

(10)

26 香川大学経済論叢 図表2 カスマタイズド・マーケティングの発展段階 ( 論 理 展 開 規 定 要 因 )

二二円一一一一│

コスト効率

顧客データベース

市場細分化

一-

-

-

-

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リレーシヨンシツプ モジューノレ化 標準化 カストマイズド・マーケティング 究緩の顧客満足の実現 1082 井尻弘 r小売業データベース・マーケティング』より あるため,個人顧客に対して繰り返してアプローチを行うことである。このこ とは,まさに 80-20の原理にも示されるように,上位20%の顧客に集中すれば コスト面から最大効率のマーケティングの実践が可能なことを意味している。 その理由は,データベースの最も有効な活用方法が個人単位におけるデータ活 用だからである。こうして,データベ}ス・マーケティングの実施によって, カスタマイズド・マーケティングの実施に向けたはじめの一歩が踏み出される。 第2段階の既存の個人顧客についての要望の把握とは,顧客データベースの 活用によって顧客の要望を的確に入手することである。ここで大切なことは, これらの要望が,実際にカスタマイズド・マーケティングに利用される際には, まず,新規の顧客のものではなく既存の顧客のものであること,そして,集団 としての要望ではなしあくまで個人としての要望であることが前提になって

(11)

1083 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 27 いる。こうして,次第に既存顧客の個人レベルの要請を掌握するデータベース・ マーケティングが推進されてくる。 第

3

段階のターゲット顧客の選別とは, データベース・マーケティングにお いては,経営資源の最適活用に向けたターゲット顧客の完壁な絞り込みが必要 とされることを意味している。そして,このことから競合資本に対する比較優 位性の獲得が実現するわけである。そのために,ターゲット顧客の選定方法に ついても多彩な発展を遂げており,現在では,

RFM

分析方などの開発もすでに 本格的に行われている。第

1

R

とはリーセンシー

(

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c

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)

のことで,これは 最近の購入行動を高く評価する尺度である。第

2

F

とはフリークエンシー

(

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)

のことで,これは頻繁な購入行動を高く評価する尺度である。第

3

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とはマネタリーバリュー

(

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)

のことで,これは多額の購入 金額を高く評価する尺度である。 そして, データベース・マーケティングを展 閲するには,現時点では, これら 3つの尺度に基づいて顧客の選別を行う方法 が最も有効であると思われる。 第4段階のターゲット顧客の組織化とは,長期的に,顧客のリテンションの 獲得を追求することである。すなわち,これは,言い換えれば,顧客との聞で 良好なリレーションシップを形成することである。 こうして,顧客との連携を 強めることができれば,以下のようなメリットを入手することが可能になる。 すなわち,具体的には,第

1

に顧客との取引に基く本来の利益を獲得できる, 第2に顧客との連携によって追加利益の獲得が実現する,第3に事業運営の習 熟によるコストダウンが実現する,第

4

に顧客が顧客を呼ぶことで新たな顧客 の獲得も可能になる,第

5

にたとえ価格の上昇を行っても顧客が離反せず安定 した多大な利益の確保が可能になる,という

5

点のメリットの享受である。 第5段階のマーケテイング手段についての顧客要望への適合とは, データ ベースから

1

人ひとりの顧客の要望を抽出して, その結果を提えて, それぞれ の要望を満たすべくえたマーケティングとりわけ展開を行うことである。すな わち, データベース・マーケティングにおいては,以下のことを追求すること が大切である。すなわち,第1に1人ひとりの顧客にフィットした商品を,第

(12)

-28ー 香川大学経済論叢 1084 2に1人ひとりの顧客にとって最適な売場で,第3に1人ひとりの顧客にぴっ たりフィットした情報伝達を行い,第4に1人ひとりの顧客の要望にフィット した価格での提供を行う,という 4点である。 第6段階のモジュール化や標準化の追求とは,実は,カスタマイズする際の 方法論であってこれは可能な限りコスト負担を低くする方法を選択することが 大切なことを意味している。したがって,展開予定のマーケティング手法がモ ジュール化や標準化が困難な場合には,カスタマイズド・マーケテイングの導 入は思避すべきなのである。また,当然ながら,カスタマイズド・マーケテイ ングを展開する際には,まず、以って,モジューJレ化や標準化を行うことが前提 になっている。 第7段階のカスタマイズド・マ}ケティングの確立とは,このモジューノレ化 や標準化が完成した後に展開しうるマーケティング手法である。したがって, これは,取りも直さずカスタマイズするための科学的なマーケテインク。へのア プローチ方法であって,あくまでデータベースを軸とした先進的な情報システ ムの活用が条件になる戦略手法である。 第8段階の究極の顧客満足の実現とは,カスタマイズド・マーケティングが 顧客にもたらす満足の状況を表わしている。そこにおいては,顧客データベー スを利用した顧客の要望についての正確な掌握と,これに対応すべきマーケ ティングの実践が期待されている。すなわち,カスタマイズド・マーケティン グとは,実は,カスタマイズすることで究極の顧客満足の実現を行うべきマー ケティング戦略なのである。 3 カスタマー・スペシフィック・マーケティングの展開 米国の小売業においては,パーソナル・マーケテイングがマーケティング戦 略の主流になりつつある。そのような状況下で,おりしも前述したカスタマイ ズド・マーケティングが登場してきたのである。このように,小売業のマーケ ティング戦略においては,可能な限り個別のニーズを持った

1

人の顧客として 捉える方向性が確実に強まっている。そして,いよいよポストプロモーション

(13)

1085 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 29-戦略としてのカスタマー・スペシフィック・マーケティングを現出させること になった。これは,従来から展開されていた

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Program)

プログラムを発展させたもので,ブライアン・ウノレフが理論化したマーケティ ングの戦略モデルである。 そこで,以下において,このブライアン・ウルフが展開するカスタマー・ス ペシフィック・マーケティングについて要約を行ってみる。このカスタマー・ スペシフィック・マーケティングは

2

つの原則によって規定されるマーケテイ ングである。これらは,具体的には,第

1

はすべての顧客は平等ではない,そ して,第

2

は顧客の行動は見返りに左右されている,ということである。 第

1

のすべての顧客は平等ではないということは,言い換えれば,顧客を自 社にとって差別化することを意味している。それは,また,顧客の多様性を容 認することを意味しており,だからこそ,顧客のロイヤノレティに応じた販売条 件の設定が行われている。このことは,いわば歓迎されるべき顧客をはっきり と明示することで顧客のリテンションを実現して,この結果として,高効率な 経営の実践を行おうという構想である。また,顧客サイドにおいても,このよ うな考え方に対しては概ね賛同しているようである。すなわち,上得意顧客の 地位を維持するには,顧客もそれなりの努力を惜しまない状況が現出している。 第

2

の顧客の行動が見返りに左右されるということは,実は,そこで,顧客 の行動が実際入手できる見返りに大きく左右されると感じることである。その ための対応を行うことが,マーケティングにとってきわめて効果的なのである。 そこで,顧客がして欲しいと思っていることに見返りを与えることがきわめて 有効になるのである。したがって,小売業にとっては,従来の顧客への見返り の提供体系を再考することが大切になる。 このように,今後のマーケティングは可能な限り顧客の顔が見える,すなわ ち,いわば識別できる顧客の差別化戦略が不可欠になってくる。これは,従来 のマス・マーケティングとの完全な訣別を意味しており,今後は,特に経営資 源を顧客情報の収集に結集させていくことが大切になる。言い換えれば,この ことはマス・マーケティング砕からパーソナル・マーケテイングの転換について

(14)

-30- 香川大学経済論叢 1086 図表3 カスタマー・スペシフィツク・マーケティングの手法 会10の具体的な手法会 1 価 格(Price) 6 社会貢献(ProBono) 2 購入総額特典(Purchase) 7 特別待遇(Privileges) 3 ポイント (Point) 8 個人対応(Personalization) 4 ノ{-トナー(Partners) 9 顧客参加(Participation) 5 懸賞・くじ引き(Prizes) 10 スピード(Prest) ブライアン・ P・ウルフ『個客識別マーケティング』より の示唆なのである。そして,このカスタマー・スペシック・マーケティングに おいては,従来のマーケティングの補完手法としての展開ではなく,まさに新 手の独立した戦略としての展開が期待されている。 そこでブライアン・ウルブは,このカスタマー・スペシフィック・マーケティ ングを転化するにあたって,以下に論述するような

1

0

の具体的手法があること を提示している。これらは,いずれも

P

ではじまっているため

1

0P

と命名する ことが可能である。これらは,具体的には,第 1は価格 (Price),第 2は購入総 額特典 (Purchases),第 3はポイント (Point),第 4パートナー (Partners),第 5 は懸賞・くじ引き (Prizes),第 6は社会貢献 (ProBono),第 7は特別待遇 (Privi -leges),第 8は個人対応 (Personalization),第 9は顧客参加 (Participation),第 10はスピード (Presto)の 10点なのである(図表 3)。これらにはまったく異 なった性格を持った特徴があるため,各社とも自社の顧客にマッチした競争力 のある方法を探索することが大切なのである。 第

1

の価格については,カスタマー・スペシフィック・マーケティングにお いては,特に特典の組み合わせ要素としてはきわめて戦略的な役割を担うこと を期待されている。この代表的な方法として,カードを利用した顧客の識別方 法をあげることができる。この方法については,カードを持たない顧客に対し ては通常価格で販売することで,結果的に,カードを持っている優良顧客への

(15)

1087 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 -31-価格面でのメリットを提供することである。このような方法としては,例えば, エレクトロニック・クーポン,まとめ買いに対する割引,関連商品に対する割 引,パイワン・ゲット・ワンフリー,ダブルクーポンなどがあげられる。 第

2

の購入総額特典については,カードメンバーに対して一定期間の購入累 計額に応じた特典を提供する方法である。これは,前述した

RFM

の,特に

M

に フォーカスした特典と考えることができる。この特典の付与とは通常のカード メンパ一向け特典とは別途に提供されるサービスであって,購入金額の多い顧 客を優先することを意味している。このような考え方に立脚して,昨今では, 航空会社においてはマイレージから支払い金額へと特典体系を変更しつつある。 第

3

のポイントについては,上記の航空会社のマイレージプログラムが代表 的なシステムである。もちろん,この方法についてはどんな業種業態にも応用 可能であって,実際に,ホテノレ,レンタカー会社,宝飾庖,百貨店など多くの 業種や業態においても広範に活用されている。とりわけ,昨今においては,こ のいわゆるポイントプログラムは小売業の中核的な戦略としておおいに注目を 浴びている。例えば,ニーマン・マ}カスのインサークノレ・プログラムやゼ、ラー スのクラブZなどは特に著名なプログラムなのである。 第 4のパートナーについては,同社の特典の組み合わせにパートナーのそれ を組み入れる方法である。これが行われる理由は,実施する小売業にとって最 小限のコストで多大なメリットの実現が約束されているからである。また,こ の代表的な事例としては,例えば,スーパーマーケットが近隣戦車サービス庖, 美容院,ガソリンスタンド,クリーニング屈などとアライアンスを締結するこ (13) エレクトロニック・クーポン:クーポンを電子的に読み込めかつ発行できるようにし たシステムである。クーポンとは,一定の優待条件つきのチケットで,消費者の購入促進 をはかるもの。日本においては,米国のようにクーポンはさかんでない。 (14) ノTイワン・ゲツト・ワンフリー:商品を 1つ購買すると lつおまけでついてくるという 販売促進策である。同じ商品に大量のニーズがある場合にはきわめて有効な手法になる。 (15) ダブルクーポン:商品の購買において複数のクーポンが入手できる手法である。ポイ ントシステムにおけるダブルポイントなどと同様の発想、から開発されたものである。 (16) マイレージ:航空会社が展開する FFP(フリークエント・フライヤーズ・プログラム) において利用者に提供されるポイントである。基本的には,飛行距離によってしかるべく 得点が付与されるというシステムである。

(16)

-32- 香川大学経済論叢 1088 とが想起される。そして,これらを総合的に組み込んだサービスの実施に向け では多目的カードの検討が行われているが,この多目的カードの導入について は顧客にとってもまた望ましい方法のlつなのである。 第5の懸賞・くじ引きについては,米国においては顧客のリテンションのた めに使用される一般的な手法の

1

つである。これについては,顧客のカードを 読み込む際に,コンピューターで機械的に当りはずれを決めるのが典型的なや り方である。具体的には,顧客が望んだ場合には,顧客単に参加申込用紙に記 入してもらえばよい。このように,自動的に参加でき,かつ景品がもらえるこ とは,それなりの顧客に対する強いインセンティブになっている。 第6の社会貢献については,特に小売業が地域に根差した産業であることも あって,地域からの多様な協力依頼に対して積極的に応えることを意味してい る。例えば,現金や現物での寄付,学校にパソコンを贈る活動,駐車場での募 金活動などがその代表的なものとして考えられる。現在では,特に多くのカー ドプログラムを展開している小売業が,このような慈善事業に対して支持する 姿勢を強めつつある。具体的には,年に

1

度の寄付,学校にパソコンを贈ろう 活動,特定目的の寄付,コミュニティグループへの協賛,教会への寄付,地域 の寄付活動などが,それらの活動における代表的な事例である。 第7の特別待遇については,いわば特権願望への戦略的な対応であって,こ れは人間の存在について自己主張を巧みに利用した手法である。実際に,何ら かの基準にしたがって,自分自身が他の人とはまったく異なった特権を入手で きることは,多くの人々をおおいに喜ばせている。現在では,カードを通じて 容易に特別待遇を受けるべき顧客を特定できるため,とりわけ彼らに対して特 別な感謝の気持ちを表わすことも可能である。例えば,特別なディスカウント が受けられることなどは一般的なことだが,それ以外に,実際には思いがけな い多くの特典も散見される。それは,例えば,バレンタインデイに小さなフラ ワーアレンジメントを贈るとか,感謝祭には七面鳥,そして復活祭にはハムな どを贈ることである。このように,これは,この優良顧客に対して特権を付与 する際に,特に有効な方法がデータベースの積極的な活用なのである。こうし

(17)

1089 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 -33ー て,次第にデータベース・マーケテイングが効果的な手法として定着すること が期待されている。 第

8

の個人対応については,個人に対するいわば

Onet

o

One

の対応であっ て,

POS (

P

o

i

n

t

o

f

S

a

l

e

s

)

を通じた顧客データの活用や個別の顧客アプローチ などがその代表的な対応なのである。例えば,レジでカードをスキャンすると, 顧客サイドの画面には,個人の名前を表示された挨拶文で呼びかけが行われる。 そして,キッシャーサイドの画面には,顧客への対応に必要な当該顧客に関す る情報が瞬時に表わされる。したがって,顧客のロイヤルティにしたがって, 各段階に特別な対応が行える。とりわけ,顧客を個客として識別した接客サー ビスについては顧客との人間関係を構築するためには不可欠な手法であり,こ れのハイテクとの巧みな共生方法の検討が期待されている。 第9の顧客参加については,商品選びから庖舗設計にいたるまで多様な領域 で顧客の参加を促すことで,顧客の要望を理解できるばかりか顧客との関係を 深めることも可能になってくる。このように,顧客の時聞を自屈との付き合い に多く費やしてしまう状況の構築が大切なのである。こうして,小売業におい ては,顧客参加を積極的に推進することで,パーソナノレ・マーケティングの狙 いである顧客のリテンションを容易に獲得できる。 第

1

0

の即時性については,顧客の期待レベルに可能な限り近づくために先進 的な情報技術を駆使することである。これは,いわば顧客に対する競合他庖と の差別化戦略を展開することである。すなわち,そのことは情報技術を駆使し て顧客にかかわるすべての情報を瞬時に解析することで,いつでもその場にお いて何に対してでも対応できるサービスの提供を行うことである。今後の小売 業の課題は,まさに,このスピードへの戦略的な対応であり,瞬時に,その場 でして欲しいという欲求にいち速く対応することが競争戦略における優位性の 獲得ができるのである。 4ゆ 顧客戦略によって復活した米国の小売業 昨今,米国における小売業については比較的に順調な推移を見せはじめてい

(18)

34 香川大学経済論議‘ 1090 る。それは,この米国の小売業か,顧客戦略の革新をデータベースシステムの 活用による顧客マーケティングを実現したからである。このような状況を踏ま えて,以下においては,この顧客マーケテイングについて3点の概括的な考察 を行ってみる。すなわち,具体的には,第

1

は米国小売業の

FSP

にみる成功手 法,第

2

は百貨庖にみるパーソナル・マーケティング戦略,第3はチェーンス トアのパーソナル・マーケティング戦略,についての論述である。

(

1

)

米国小売業の

FSP

にみる成功手法 米国においては,

FSP

やロイヤルティプログラムが小売業の中心的な競争戦 略になりつつある。昨今では,多くのコンサルタントや研究者が米国のパーソ ナル・マーケティングの事情を紹介しているが,ここでは,主に舟本秀男のレ ポートを中心にした論述を行うことにする。

AC

ニールセンの調査によれば,昨 今では,全米の全家庭の約

55%

が何らかのプログラムへの参加を行っており, その伸長率も次第に高まりつつある。また,特に年収の高い顧客層については ほとんどがこのプログラム参加しているのが実態である。 実際,リテイルマーケティング・アンド・アドパタイジング社の調査によれ ば,

43%

のメンバーがプログラムへの参加によって当該庖舗における購買金額 や購買頻度が上昇しているとの解答を寄せている。このようなことからも,こ の

FSP

やロイヤルティ・プログラムはきわめて有効なマーケティング手法で あることが理解できる。また,食品業界団体の

FSP

の調査によっても,平均購 買金額,週あたり来庖回数,平均組利益率,顧客の離反率について,

FSP

メン ノT一顧客における通常顧客に対する優位性は明白である(図表

4

)。例えば,平 均購買金額でみると,通常顧客が

2

2

ドルに対して

FSP

メンバー顧客は

3

6

ド ノレと,概ねL5倍以上の成果をあげているし,平均組利益率においても,通常 客が

23%

であるのに対して,

FSP

顧客メンバー顧客は

25%

2%

も高い結果 が現出している。 このように,小売業における

FSP

の成功は目をみはるものであるが,そのこ ともあって多くの企業が追随を行いはじめている。そこで,以下において,現 在まで米国で実際に展開された事例の中から,一部には前述したブライアン・

(19)

1091 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 図表4 FSPメンバ}顧客の通常顧客への優位性 平均買物金額 週当たり来屈回数 平均粗利益率 顧客離反率 FSPメンバ一顧客 過常顧客 $ 36 .00 1 96回 25% 18% $ 22..00 220回 23% 21% 35 舟本秀男『流通再生戦略』より ウルブの主張と重複する箇所もあるのだが,舟本秀男が自らの経験を通じて推 奨できると評価している手法のいくつかについての概括的な紹介を行ってお く。 第

1

はチェリーピッカーの排除である。このチェリーピッカーとはいわば ノTーゲンハンターであって,決して固定顧客にはならない浮動顧客なのである。 したがって,これらの顧客が来屈しても,利益面ではまったく貢献しないばか りか,優良顧客に対しでもたいへん迷惑な存在になっている。したがって,こ のチェリピッカー排除プログラムの導入によってカード会員以外は完全に締め 出してしまい,庖舗にとって大事な顧客に絞り込んだ差別化戦略を展開する考 え方である。こうして,優良顧客のロイヤルティを確保でき,同時に,広告宣 伝費などのオペレーションコストの削減も実現できる。 第2はマンスリーでのニユ}スレターの送付である。これは,自庖の商品情 報,メンバーに対する特別優遇プログラムなどを毎月メンバー顧客に郵送する ことである。通常では,過去2ヵ月聞における購買金額の上位30%の優良顧客 に対して絞って送付するのが有効とされている。ニコースレターを送付された 顧客においては,当然ながら,庖が自分のことを大切だと思っていることを感 じることで,それらの顧客の庖舗に対するさらなるロイヤルティの増大に結び ついている。 第3はサンキューレターの送付である。これは,庖舗の責任者,例えば,庖 長が自ら有優良顧客に対して自筆の感謝の気持ちを表わしたレターを送付する ことである。実際は,購買金額の上位1%で庖全体の10%を越える庖舗がある

(20)

36~ 香川大学経済論叢 1092 そうで,このような場合には,この

1%

に対して庖長からのサンキューレター の送付を行えばよいわけである。また,同時に,これらの超優良顧客について は,当然ながら,顧客の顔をしっかりと覚えておき,よりハイタッチかっ,パー ソナルなアプローチを行うことも大切である。 第 4はターキープログラムの採用である。これは,きわめて米国的な対応策 なのであるが, 11月の感謝祭において一定の購買金額に到達レている顧客に対 して七面鳥を無料で送ることである。このプログラムの狙いとは,このように 顧客の生活におけるビッグイベントに自庖のサービスプログラムを提供するこ とで,実は,顧客と自庖との深い結びつきを実現することである。 第5はクーポン送付プログラムの導入である。顧客データベースが完備され れば,顧客の全購買履歴が完全に掌握されてくる。そこで,個人別,家族別に どんな商品が購買されているかを掌握して,毎月その当該商品についての割引 クーポンを送付するニュースレターの中に封入するだけでよい。 第6は電子クーポンプ グラムの導入である。これは,クーポンを電子化し たものであって,あらかじめ特定の商品をリスト化して顧客に郵送するシステ ムである。顧客は,このリストを持ってショッピングに行くわけで,また対象 商品を購入するならば自動的に特別価格の適用が受けられる。 第7はキオスクプログラムの導入である。これは,キオスクを自庖の庖頭に 設置して,顧客が自らカードによって電子クーポンを入手する,いわば電子クー ポンの発展したシステムである。また,このキオスクは,クーポンの発見のみ ならず,来店ポイントの加算や,庖舗の案内や商品情報についてのインフォー メーション機能としての活用も有効である。 第8はステイノレスマーケティングの実践である。このステイルスとは湾岸戦 争で使用された有名な戦闘機である。実は,このステイルス戦闘機におけるレー ダーの補足率は通常のものに比較して 1,000の 1になっている。このように, まさに多くの競合企業にまったく補足されることなしまた完壁な精度でもっ て戦略ターゲットの補足を行える手法がステイルスマーケティングなのであ る。顧客とのダイレクトコミュニケーションを重視する

FSP

においては,当然

(21)

1093 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 -37ー ながら,競合企業には手の内を知られてはいけないわけで,そのためにこそ, きめ細かい配慮がきわめて重要になってくる。また,このような手法を,ある 特定の商品に適用するならば,比較的に小額のコストで顧客の離反を思避する ことも可能なのである。 第9はスイープステークス(抽選)プログラムの導入である。この方法は, いわば宝くじをカードメンバーのリテンションに利用するという米国的なプロ グラムである。これには,実用的には,メンバ}カードがチェックアウトで処 理される際に,まさに当選かまたは外れかについて完全に識別できるシステム が導入されている。 第

1

0

はコミュニティプログラムの導入である。これはブライアン・ウルブの いう社会貢献を意味している。すなわち,このプログラムについては,顧客が 庖で購買するにあたって,それぞれが購買金額の一定率,例えば

1%

とか

2%

の範囲において屈が用意したコミユニティプログラムに参加することである。 第11はキーホルダー取り付け型メンバーカードの導入である。米国のカード はバーコード対応のものがたいへん多いようで,したがって,カードのサイズ を気にかける必要がまったく生じていない。そこで,例えば,キーホルダーに つけることができるカードをつくることが可能で,これによって,顧客は車の キーホルダーにカードを付けられるため,ショッピングの際には,決してカー ドを忘れることがないというメリットなどもある。 このように,単にカードを発行するだけでなく,カードを顧客のリテンショ ンに結びつけることが大切なのである。すなわち,カードから入手できる多様 なデータを顧客のロイヤノレティーを高めるためにこそ,

FSP

の効果的な展開が おおいに期待されるのである。したがって,小売業のマーケティングにおいて も,例えば,

FSP

RFM:

を基軸としたデータベース・マーケティングが,今 後における競争戦略の決め手になっている。

(

2

)

百貨店にみるパーソナル・マーケティング戦略 米国の小売業においては,特に百貨庖が先進的な取組みを行うことで顧客の 固い込みに成功し,マーケテイング戦略のコンクエスト・マーケティングから

(22)

-38- 香川大学経済論叢 1094 リテンション・マーケティングへの転換に成功している。そこで,米国の代表 的な百貨店において取組まれているデーターベースを活用したパーソナノレ・ マーケティングについて概括的な紹介を行っておく。 第

1

はブルーミングデーノレの事例である。これは,具体的には,ブ、1レーミン グデーyレにおける上得意客プログラムである。例えば,化粧品の常連客にはファ クシミリを無料で提供して,これによる注文に対しては配送を無料にするサー ビスの提供を行っている。また,既婚の男性顧客に対しては,家族の誕生日や 結婚記念日の直前にはギフトカタログを届けるなどの対応が行われている。さ らには,無料でスーツの加工修理サービスを行ったれまた家族に対する購買 金額に応じた景品に提供を行っている。 第

2

はサックス・フィフス・アベニューの事例である。ここでbは,か、って売 場の販売員が登録していた顧客台帳をデータベース化して,いわゆる統合デ} タベースの構築を行っている。これによって,セグメント化された顧客に対し ては,コアコミュニケーション,ニューズレター,ファースト特典情報などの レターが届けられて,このことでリレーションシップの大幅な向上が実現して いる。例えば,もう少しで1万ポイント以上のプラチナポイントの水準に到達 しそうな顧客に対しては,特にランクアップのための専用プログラムが用意さ れている。 第3はデイトン・ハドソンの事例である。ここでもすでに上得意客のリテン ションプログラムを稼動させている。これの活用方法は,クレジットカードの データから顧客データベースの構築を行って,このデータベースを利用して顧 客分析を行うものである。この結果,今日の上得意客,また上得意客に変わる 可能性の高い顧客,さらには普通客という 3つの顧客グループに分類したマー ケティングを行っている。すでに,このプログラムを通して,デイトン・ハド ソンにおいては上得意客が普通顧客の 4倍の購買額があることが証明されてい る。 第4はニーマン・マーカスの事例である。ここにおける高額購買顧客の組織 化戦略については,特に著名なインサークJレというクラブを通じて展開されて

(23)

1095 小売業のパーソナ1レ・マーケティング戦略 -39ー いる。このクラブに参加している上得意客に対しては,最新商品が満載されて いるきわめてステイタスの高い会員誌が郵送されてくる。また,家族宛てには クリスマスなどの行事への招待状が届けられるなど,きわめて豪華なサービス の提供が重視されている。すなわち,ニーマン・マーカスにおいては,このよ うなパーティーを通じて顧客とのリレーションシツプを高める手法が随所に多 面的な形態で採用されている。 (3) チェーンストアのパーソナル・マーケティング戦略 このようなデータベースを活用したパーソナル・マーケティングについては, 百貨庖のみならず,多くの小売業においても一般的な手法として定着しつつあ る。そこで,以下においては,荒川圭基による多くの報告の中から,米国の小 売業で特に優れた展開を行っている事例について概括的な紹介を行っておく。 第

1

はシアーズ・ローパックの事例である。シアーズにおいては,すでに

1

9

9

2

年からシアーズ・ベストカスタマー・プログラムの展開を1Tっている。それは, シアーズ内部の分析結果から以下のようなことが認識できたからである。すな わち

1

人の顧客を失うと,その分新たに

5

人の新規顧客の獲得が必要になっ ている。また,この

5

人の顧客を獲得するためには

1

0

0

ドルの経費が必要になっ ている。すなわち,実際には,

1

人あたり

2

0

ドルものコストがかつてしまうわ けである,そこで,既存顧客については完全に維持すべく,シアーズ・ベスト カスタマー・プログラムの導入に踏み切ったわけである。こうして,結果的に はシアーズにおいては,ベストカスタマーの75%の顧客をリテンションするこ とに成功して,このことによって,まさにパーソナル・マーケティングの急速 展開が行われたのである。 第2はミードについてである。ミードはカリフオノレニア州のピザレストラン であり,激戦のマーケットにおいてきわめて良好な実績を実現している。ここ が導入したプログラムはザッパーというリワードプログラムである。このザツ ノ'¥-とはピザの注文にポイントを付与するものだが,この際に,キオスクの導 入によってセルフ化を行うとともに,同時に,ポイントに応じてピザの無料券 を発千子できるようにした。また,このミードにおいては,このキオスクの利用

(24)

-40ー 香川大学経済論議 1096 によって,マウンテンバイクが当るなどのギミックも提供されている。それは, このザッパーが,実は子供が購買の決定権を持っているという判断から採用さ れた手法だからである。こうして,ミードでは子供の組織化を図ることで売上 高が飛躍的に増大したわけである。 第3はテスコについてである。このテスコは英国における最大のスーパー マーケットであるが,ここのデータベース・マーケティングについてもきわめ て著名である。ここのカードはテスコクラブカードといわれており,このカー ドにおいては,クラブメンバーに対して

1%

のポイントを提供するというプロ グラムが設定されている。しかしながら,

1

回の購買が

1

0

ポンド以下の場合に はこのポイントの提{共を行つてはいなしユ。その理由は,実は,テスコにおける 顧客の約半数が

1

0

ポンド未満の購買金額の顧客だからである。すなわち,この システムは,購買金額の比較的に多額である半数の顧客に限定した特典を提供 することを狙ったものである。また,ここでのユニークなサービスとしては, 例えば, ドライビングスルー・ショッピングをあげることができる。すなわち, このシステムを利用するならば,顧客は昼食時の来庖や電話でのショッピング サービス,退社時間までにショッピングバッグに包んでおくなどの付帯的な サービスも受けられる。また,顧客がドライブスノレーの窓口において名前をい うだけで商品を受け取れるサービスも提供されている。 第4はモービルについてである。ガソリンスタンド業界は顧客のリテンショ ンを行うことがきわめて困難な業界である。その理由は,このスタンドについ ては,価格がやすければ基本的にはどこでもよい,というのが顧客の偽らざる 声だからである。このような状況下で,実際に,顧客のリテンションを実現す るのは至難の技なのでもある。そこで,モービノレでは,果敢に顧客のリテンショ ンを実現すべく,多彩なプログラムの推進を積極的に行ってきた。例えば,セ ントルイスからスタートさせたハイテク活用のパーソナノレサービスの展開など である。これは,実は,メンバーになった顧客のハンドルにトランスデューサー を取り付けるというものであった。そして,これを取り付けると,顧客がスタ ンドに入ってくるとディスプレイに顧客の名前が大きく表示され,顧客は給油

(25)

1097 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 -41-機に向かつてトランスデユーターを振るとクレジットカードを出さなくても清 算が完了する。また,このようなスピードのサービスについては,まさに忙し い顧客にとってはたいへんありがたいサービスなのである。 1II.わが国百貨庖のパーソナル・マーケテイング戦略 継続する消費の冷え込みを経験するなかで,わが国におげる小売業のマーケ ティングについては根本的なパラダイムシフトが要請されている。このような 状況下で,特に百貨店においては,データベースシステムを活用したパーソナ ル・マーケティングの本格的な展開による顧客のリレイションシップの獲得に 向けた囲い込みの展開が行われている。すなわち,これによって,利益指向の 成熟経済にふさわしい経営構造の確立へ向けた模索が行われている。 そこで,以下において,わが国の百貨庖におけるパーソナル・マーケティン グ戦略についての概括的な論述を行ってみる。しかしながら,現時点では,完 全な形態で,すなわち完成形態のパーソナノレ・マーケティングは実現できてお らず,いわば過渡期における試行錯誤段階の事例の提示を行わらずをえない状 況なのである。なお,具体的には,第1は顧客囲い込み戦略導入の必要性,第 2は顧客囲い込みに向けた戦略的アプローチ,第 3は百貨屈のパーソナノレ・マー ケテイング戦略,第

4

はワン・トゥ・ワン協議会によるマーケティング革新, についての論述である。 1 顧客固い込み戦略導入の必要性 わが国においても,今後のマ}ケティング戦略の主流はいわば顧客の

1

人ひ とりの顔が見えるパーソナル・マーケティングである。そして,そのためには 顧客のリテンションととりわけ特別顧客への優遇戦略が不可欠であるという認 識が次第に高まりつつある。この顧客聞い込みを的確に行うためには,まず誰 が優良顧客かを明確に掌握することが前提条件になってくる。すなわち,ロイ ヤルマーケティングともいうべき経営思想をしっかりと理解しておくことが大 切なのである。

(26)

-42ー 香川大学経済論叢 図表5 FSPによる優良顧客創造のプロセス ターゲット設 定した消費者 の中でも,来 庖が可能な顧 客を絞り込 み,来庖して もらうための 作業活動 見込み客にま ず度は来屈 してもらい, 庖舗や商品そ してサービス を理解しても らうための仕 組みづくり 利益(小) 1098

鈴木豊「マーケットシェアから顧客シェアへの転換J I販売革新j 1998年10月号より その理由は,小売業において現在導入が急務である

FSP

を効果的に展開す るために,まさに顧客創造システムを顧客の特定化の観点からしっかりと構築 することが不可欠だからである。そこで,まず以下において,鈴木豊が主張す る顧客満足向上へ向けた仕組み作りについての紹介を行っておく。すなわち, 優良顧客創造のプロセスとは,実は,マーケティング戦略におけるマス・マー ケティング砕からパ}ソナノレ・マ}ケティングへの進化のプロセスと捉えること である。それは,取りも直さず大衆市場から特定化された市場へとマーケティ ングのターゲットを変更していくことでもある(図表 5)。 そのためにこそ,まさにいわゆるロイヤルマーケティングの取り組みプロセ スの正確な理解と,これに立脚した

FSP

への果敢な挑戦が不可欠な戦略課題 になっている。それは,まず従来からの売上指向から顧客満足指向へと経営の 方針を転換することからはじめることが大切である。具体的には,チラシや特 売などに依存した価格遡及一辺倒でのプロモーショナル体質からの完全な脱却

(27)

1099 小売業のパーソナル・マーケティング戦略 図表6 ロイヤノレマーケティングの取r組みプロセス 顧客満足保証主義への経営方針の転換 チラシ広告および特売 の実施頻度の低減 特定顧客へのDMの実施 ロイヤルティ プライシングの導入 顧客サービス メエューの開発 特定顧客への 特定サービスの提供 -43ー 鈴木豊「マーケットシェアから顧客シェアへの転換j W販売革新J1998年10月号より を図ることである。続いて,これをベースにして顧客を特定化して,庖舗への 利益貢献度に応じて顧客のセグメントを行うわけである。そして,この中で, 特定の優良顧客に対して特別のサービスの提供を行っていくわけである(図表

6

。) この際に,特に重要になるのが先進的な情報システムによる武装なのである。 こうして,顧客にかかわるデータが多面的に詳細に入手できるようになる。そ して,会員特典については,顧客のロイヤルティ段階を捉えながら可能な限り 高質はサービスの供与を展開することが不可欠になる。このように,ロイヤル マーケティングにおいては,会員聞に得点に基いた明確な差別を行うことが大 切なのである。この平等な基準に基く差別化こそが,実は真に顧客に対して公 平に対応することなのである。このような公平観を持って顧客を固い込むこと が,今後のリテンション・マーケティングの本格的な展開においては強く要請 されている。

参照

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