研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Dantsuji M et al. 5-HT2A receptor activation enhances NMDA receptor-mediated glutamate responses through Src kinase in the dendrites of rat jaw-closing motoneurons. J Physiol. 597 (9) : 2565-2589, 2019 ●Nagata A et al. Serotonin 1B receptor-mediated presynaptic inhibition of proprioceptive sensory inputs
to jaw-closing motoneurons. Brain Res Bull. 149: 260-267, 2019
●Nakamura S et al. Central neural mechanisms involved in the control of jaw movement during postnatal development. Showa Univ J Med Sci. 29 (3) : 221-229, 2017
●Nagoya K et al. Distinctive features of Phox2b-expressing neurons in the reticular formation dorsal to the trigeminal motor nucleus. Neuroscience. 358: 211-226, 2017
●Nakamura S et al. Electrophysiological and morphological properties of rat supratrigeminal premotor neurons targeting the trigeminal motor nucleus. J Neurophysiol. 111 (9) : 1770-1782, 2014
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究によって咀嚼機能の獲得に関わる神経メカニズムの新たな知見が得られるとともに、神経科学を基盤とした新た な咀嚼訓練法の開発や、摂食に問題のある子どもの対処法の確立に大きく貢献できると期待され、歯科だけでなく小児 医学・生涯発達学などの多くの分野に多大なインパクトを与えることができると考えている。 本研究では、咀嚼運動を司る中枢神経系のなかで(図1)、①脳幹に位置し咀嚼筋を支配する運動ニューロンの興奮性・抑制性シナ プスが生後どのように形成されるのか、②運動ニューロンへのシナプス形成を時期特異的に抑制することで咀嚼にどのような影響が 出るか、③口腔からの感覚が運動ニューロンへのシナプス形成にどのような役割を果たすのか、この3つの問いを明らかにし、咀嚼 機能の獲得に対する興奮性・抑制性シナプス形成の役割の解明を目指す。本研究は、パッチクランプ法(図2)をはじめとする多種 の実験手法と動物モデルを駆使してニューロンレベルから個体レベルまで包括的に解析するところに大きな特色がある。 ヒトをはじめとする哺乳類は、生後間もない時期母乳を摂取することで栄養を得るが(吸啜)、その後訓練期間を経て固形物を噛 み砕くこと(咀嚼)を習得する。近年“うまく噛めない”、“食べるのに時間がかかる”などの問題を抱える子どもの割合が高いこと が報告されており、吸啜から咀嚼への移行が適切に行われないことが原因の一つに挙げられている。この問題解決には、咀嚼を獲得 するメカニズムを知ることが不可欠である。咀嚼機能の獲得におけるシナプス形成メカニズムの解明
キーワード咀嚼、生後発達、ニューロン、パッチクランプ法
口腔生理学講座 准教授中村 史朗 Shiro NAKAMURA D.D.S, Ph.D.
https://researchmap.jp/sn0902歯学部
旗の台 キャンパス 図2:脳スライス作成とパッチクランプ法 図1:咀嚼を司る中枢神経系研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
① 論文等は“Scopus”に「Masamichi Takami」と入 力してご覧いただきたい。 ② 特許情報は“J-PlatPat 特許情報プラットフォーム”の 検索サイトに「高見正道」と入力してご覧いただきたい (9件)。 お問合せ:takami●dent.showa-u.ac.jp(高見正道)実学へのつながり・産業界へのアピールポイント
など
●プロトンポンプ遺伝子変異を対象とした遺伝子治療薬の 開発を進めるため、共同研究先を探しており、是非お声 掛けいただきたい。 ●我々は、骨の解析手法、特に破骨細胞に関しては他大学 や国内外の研究機関の持たない高度な独自技術を有して おり(下記)、培養破骨細胞の分化や骨吸収機能、骨疾 患モデル動物に対する遺伝子治療薬の効果を評価するこ とが可能である。 ●産学連携の例 ①株)オリンパステルモバイオマテリアル:歯科用骨補 填材『オスフィール®』(右上図) ②株)日立ハイテク:新型 走査型電子顕微鏡(右下図) 近年、デノスマブやロモソズマブのような抗体製剤が次々と開発され、骨粗鬆症や関節リウマチ、骨破壊を伴うがんの治療などに おいて、画期的な成果をあげている。また、抗体製剤の次の薬として、遺伝子の変異に起因する遺伝子疾患を治すことが可能な「遺 伝子治療薬」の開発が進められている。最近では、特に海外の製薬・ベンチャー企業が siRNA やウイルスを用いた遺伝子治療薬を 上市しはじめており、日本はそれに追随する形となっている。 例えば、破骨細胞のプロトンポンプをコードする遺伝子変異を主な原因とした骨代謝疾患知られており、その治療にM-CSF製剤 などが用いられているが、根本的な治療には繋がらないのが現状である。そこで私は、この遺伝子疾患の治療を実現するにはプロト ンポンプの機能を回復させるための『遺伝子治療薬』の開発が必要と考え、独自に開発した骨の研究技術(特に破骨細胞関係)を利 用し、遺伝子治療薬の開発を目指している。 私は約20年にわたり、昭和大学歯学部の研究者として骨を溶かす「破骨細胞」の研究に取組み、破骨細胞の新遺伝子の発見(J Exp Med 2002, 195 (2): 201–209)やその分化メカニズムの解明(Nat Med 2009, 15:1066–1071)をしてきた。また、骨や歯と薬物 の関係も専門としており、副作用や薬理作用の研究をおこなっている。そして現在、これまでの研究成果と解析技術を基盤として、 骨の遺伝子疾患の治療を目的とした「遺伝子治療薬」の開発に取組んでいる。骨関連疾患を対象とした『遺伝子治療薬』の開発
キーワード歯 、骨代謝、遺伝子治療薬、破骨細胞、歯科薬理学
歯科薬理学講座 教授/薬理科学研究センター高見 正道 Masamichi TAKAMI Ph.D.
https://researchmap.jp/osteoclast歯学部
旗の台 キャンパス オリンパステルモバイオマテリアル株式会社提供 日立ハイテク株式会社提供研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Soda N., Sakai N. et.al, Singleton-merten syndrome-like skeletal abnormalities in mice with constitutively activated MDA5. J. Immunology, 203 (5), 1356-1368. 2019 Sep., doi:
●Dodo Y., Chatani M. et al., Myelination during fracture healing in vivo in myelin protein zero (p0) transgenic medaka line. Bone, 133, 2020 Jap
●Isawa M., Karakawa A., Sakai N et al., Biological Effects of Anti-RANKL Antibody and Zoledronic Acid on Growth and Tooth Eruption in Growing Mice. Scientific Reports, 2019 9 (1) :19895
●Okamatsu N, Sakai N, et al., Biological effects of anti-RANKL antibody administration in pregnant mice and their newborns. Biochem Biophys Res Commun. 23;491 (3) :614-621. 2017
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究で解明された原因分子を応用できれば、骨代謝改善薬の開発や、う蝕より崩壊した象牙質の再形成を促すことが できる新規の象牙質再形成薬剤の開発に結び付く可能性がある。 高脂肪食を継続的に摂取すると脂質異常症、肥満、糖尿病など生活習慣 病の発症は広く知られている。動脈硬化症の原因物質である低密度リポタ ンパク質(LDL)は骨組織代謝にも関連しており骨粗鬆症を促進する報告 は幾つかあるが、歯について環境要因や脂質による全身疾患に関連した歯 の構造変化は不明である。本研究では骨および歯の恒常性維持における脂 質代謝関連分子の機能解明を目的とする。脂質異常を呈するLDL受容体欠 損(Ldlr−/−)マウスや歯と骨と上皮形成関与タンパク質であるペリオス チン欠損マウスを用いて、脂質が及ぼす歯の形成機序を含む硬組織変化の 発症メカニズムについて解析する。動物実験によるμCTの経時的な観察 だけでなく、組織学的観察や歯髄細胞の培養実験を施行し細胞分子レベル でもシグナル情報伝達経路の解明を目指している。さらに解明された原因 分子を応用した新規の象牙質再形成薬剤の開発も目指していく。 本研究の背景は、血中低密度リポタンパク質(LDL)レベルの上昇を特徴とした脂質異常症は、動脈硬化、脂肪肝を誘発する生活 習慣病として広く認知されているが、骨密度が低下することはあまり知られていなく、骨代謝機序に関する詳細な報告は少ない。本 研究では、脂質異常症が骨と歯の恒常性維持にいかなる影響を及ぼすか、その機能を解明することが目的である。歯と骨の恒常性維持における脂質代謝関連分子の機能解明
キーワード骨代謝、脂質代謝、骨吸収、骨再生、歯質形成
歯科薬理学講座 講師/薬理科学研究センター坂井 信裕 Nobuhiro SAKAI D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/read0053159/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●「原著」・Dodo Y, *Chatani M, Azetsu Y, Hosonuma M, Karakawa A, Sakai N, Negishi-Koga T, Tsuji M, Inagaki K, Kiuchi Y, Takami M. Myelination during fracture healing in vivo in myelin protein zero (p0) transgenic medaka line. Bone, 133, 115225, 2020. doi: org/10.1016/j.bone.2020.115225
●「原著」・*Chatani M, Mitsuhashi A, Dodo Y, Sakai N, and Takami M. Hypergravity induces vertebrae and otolith deformation in medaka fish. Biological Sciences in Space, 33, 12-17, 2019. doi:10.2187/bss.33.12.
●「原著」・Azetsu Y, *Chatani M, Dodo Y, Karakawa A, Sakai N, Negishi-Koga T, Takami M. Treatment with synthetic glucocorticoid impairs bone metabolism, as revealed by in vivo imaging of osteoblasts and osteoclasts in medaka fish. Biomed and Pharmacother, 118, 2019. doi: 10.1016/j.biopha.2019.109101.
●「著書」・Chatani M, *Kudo A (2019) Fish as a model for research in space. In: Pathak Y et al. (eds) Handbook of Space Pharmaceuticals. Springer, Switzerland, 2019. doi: 10.1007/978-3-319-50909- 9_5-1.
●「著書」・*Chatani M, Kudo A (2018) Fish in Space Shedding Light on Gravitational Biology. In: Hirata H and Iida A (eds) Zebrafish, Medaka and Other Small Fishes. Springer, Singapore. 85-97, 2018. doi: 10.1007/978-981-13-1879-5_5. ●「受賞講演」・茶谷 昌宏 メダカの宇宙適応を基盤とした骨研究 第33回日本宇宙生物科学会 奨励賞 2019年9月22日 ●「招待講演」・茶谷 昌宏 宇宙の先に見えるもの 第8回スクリーニング学研究会 タワーホール船堀HP 2017年10月25日
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●メダカ稚魚の体は小さく、半透明であるという観点からWhole Organismsを用いた創薬研究に注目されている。2017 年に製薬会社や大学が産学連携して開催した第8回スクリーニング学研究会で茶谷講師は招待講演を行い、将来的にメ ダカを用いた新薬スクリーニング研究の実現性について議論した。 小型魚類であるメダカは体外で受精するため、個体 発生の観察が行いやすく、幼生期まで体が半透明なの で、遺伝子改変すると細胞を蛍光タンパク質で標識で き、生きたまま観察するライブイメージングが可能で ある。多生歯性という特徴があり大人になると歯が 1000本近く存在し、歯の生え変わりが盛んである。さ らに、尾ヒレを切断すると骨、血管、神経が元通りに 再生することがわかっている。このような特徴を持ち 合わせたメダカを駆使することで、独創的な研究領域 の構築を目指す。 私たちの体の中では心臓が拍動し、血流が流れ、細胞は刻一刻と動き変化している。そのため生命現象を正確に捉えるには生きた 状態で体内の細胞を観察することが重要である。メダカの体は半透明であるため、遺伝子操作をすることで、骨、筋肉、血管、神経 を構成する細胞を可視化することが出来る。生体内の細胞を実際に目で見ることで新しい発見を目指す。遺伝子改変メダカを用いた骨代謝研究
キーワードメダカ、骨代謝、遺伝子改変、ライブイメージング
歯科薬理学講座 講師/薬理科学研究センター茶谷 昌宏 Masahiro CHATANI Ph.D.
https://researchmap.jp/chatani/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Dodo Y, Chatani M, Azetsu Y, Hosonuma M, Karakawa A, Sakai N, Negishi-Koga T, Tsuji M, Inagaki K, Kiuchi Y, Takami M. Myelination during fracture healing in vivo in myelin protein zero (p0) transgenic medaka line. Bone. 7, 133, 115225, 2020,.
●Isawa M, Karakawa A, Sakai N, Nishina S, Kuritani M, Chatani M, Negishi-Koga T, Sato M, Inoue M, Shimada Y, Takami M. Biological Effects of Anti-RANKL Antibody and Zoledronic Acid on Growth and Tooth Eruption in Growing Mice. Sci Rep. 27, 9, 19895., 2019,
●Handa K, Kiyohara S, Yamakawa T, Ishikawa K, Hosonuma M, Sakai N, Karakawa A, Chatani M, Tsuji M, Inagaki K, Kiuchi Y, Takami M, Negishi-Koga T. Bone loss caused by dopaminergic degeneration and levodopa treatment in Parkinson's disease model mice. Sci Rep. 24, 9, 13768, 2019.
●Karakawa A, Fukawa Y, Okazaki M, Takahashi K, Sano T, Amano H, Yamamoto M, Yamada S. Diclofenac sodium inhibits NFkappaB transcription in osteoclasts. J Dent Res. 88, :1042, 2009.
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究は既に成人で臨床応用されている薬剤を使用し、小児治療に対する早期のエビデンス充実と、治療選択の幅の拡 充を目指すものである。組織形成期における骨系統細胞の時期特異的な役割や、骨吸収抑制薬と発達との関連を解明す ることで、成長期の骨系統疾患治療における指針の一助となると考えられる。 本研究では、胎児期~成長発育期のマウスに骨吸収抑制薬を投与して破骨細胞抑制モデルをを作製し、以下の①~⑤の解明を目指 す。本モデルは破骨細胞抑制を開始する時期を研究者が選択できるため、発達期における破骨細胞の時期特異性を解析できる。 ① 骨組織への影響を明らかにすることで、時期特異的な破骨細胞の機能の違いや、骨芽細 胞など他の骨系細胞との成長期における連関を解明する。 ②骨格異常と他器官発生の連関の有無を解明する。 ③ 時期特異的に破骨細胞活性を抑制した際の、骨系統疾患の発症期と生命予後を明らかに する。 ④顎骨の形成や歯の萌出に対する作用を解析する。 ⑤小児に発症する骨系統疾患のモデルマウスを作成し、投薬による影響を解析する。 骨吸収抑制薬として、近年認可された強力な骨吸収抑制薬である抗RANKL抗体製剤(一般 名デノスマブ)や、成人の癌骨転移治療に有効なビスホスホネート製剤であるゾレドロネー ト製剤など、成人で高い臨床成績を挙げた薬剤を用い、最終的に骨吸収抑制薬の小児への 適応拡大の可能性を検索する。 小児の骨系統疾患は骨格形成や顎顔面の発達に関与し、全身の成長発達や成人後のQOLに生涯を通じて大きな影響を及ぼす因子 である。大理石骨病における骨吸収障害や骨形成不全症における骨折には臨床的観点から骨吸収抑制薬が応用されているが、小児へ の適用が承認された薬剤は未だ少ない。安全で最適な治療選択のため、基礎的知見の早急な充実が望まれる。骨吸収抑制薬を用いた破骨細胞の時期特異的作用の解析
キーワード破骨細胞、骨吸収抑制薬、骨格形成、歯の萌出
歯科薬理学講座 助教/薬理科学研究センター唐川 亜希子 Akiko KARAKAWA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/akar/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Azetsu Y, Chatani M, Dodo Y, Karakawa A, Sakai N, Negishi-Koga T, Takami M, Treatment with synthetic glucocorticoid impairs bone metabolism, as revealed by in vivo imaging of osteoblasts and osteoclasts in medaka fi sh. Biomed. Pharmacother., 118 (2019), 109101
●畔津佑季,茶谷昌宏,根岸(古賀)貴子,坂井信裕,唐川亜希子,高見正道,「メダカのin vivoイメージングシステムを 用いた骨代謝におけるグルココルチコイドの機能解析」,第37回 日本骨代謝学会学術集会(2019年10月)口頭発表
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究で硬組織(骨や歯など)の恒常性維持に対するGCの新規作用機序を発見出来れば、GC治療中でも硬組織への 悪影響を選択的に緩和できる薬剤の開発に大きく貢献できる可能性がある。 本研究の目的は、骨と歯の恒常性維持機構とGCの関係性を明らかに することである。我々は、骨吸収を担う“破骨細胞”と骨形成を担う “骨芽細胞”がそれぞれ蛍光タンパク質で標識された遺伝子改変メダカ をGC研究に応用するために、GC投与モデルメダカを作製した(図1, 2)。このモデルを用いて尾ひれの骨折修復を経時的に観察することで、 GC製剤が破骨細胞と骨芽細胞の機能や動態に及ぼす影響のより詳細な 解析を行う(図3)。 また我々はCRISPRゲノム編集技術を用いて全身でGCシグナルを遮 断した遺伝子改変メダカを作製し、成魚まで生存することを確認した。 このメダカを用いて下記の実験を行い、成魚におけるGCの生理的作用 を検討することで、骨や歯の恒常性維持に対するGCの新規作用機序発 見が期待できる。 炎症・自己免疫疾患の治療薬として有用であるグルココルチコイド(GC)の合成製剤は、副作用で骨代謝に悪影響を及ぼす。ま た歯の発生や恒常性維持への関与も示唆されたことから、その機序解明に対する重要性は高い。しかし全身でGCシグナルを遮断し た遺伝子改変マウスは生存できずGCの生理的作用検討が困難であることや、GCが生体内で作用する様子を直接観察した研究がほ とんどないため、骨や歯の恒常性維持とGCとの関連性には不明な点が多い。そこで我々は体の透明度が高く、生きたまま顕微鏡下 で骨や細胞を観察できるメダカをGC研究に応用し、骨と歯に対するGCの生理的作用を検討した。骨と歯の恒常性維持機構におけるグルココルチコイドの機能解析
キーワード骨代謝、薬理学、発生生物学、メダカ、ホルモン
歯科薬理学講座 助教/薬理科学研究センター畔津 佑季 Yuki AZETSU Ph.D.
https://researchmap.jp/azetsu/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Shimomura N., Tanaka R., Shibata Y., Zhang Z., Li Q., Zhou J., Wurihan, Tobe T., Ikeda S., Yoshikawa K., Shimada S., and Miyazaki T. Exceptional contact elasticity of human enamel in nanoindentation test. Dental Materials 35: 87-97, 2019
●Maruyama N., Shibata Y., Mochizuki A., Yamada A., Maki K., Inoue T., Kamijo R., Miyazaki T. Bone micro-fragility caused by the mimetic aging processes in α-klotho defi cient mice: in situ nanoindentation assessment of dilatational bands. Biomaterials 47: 62-71, 2015 (*leading opinion paper)
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●我が国は世界に類を見ない超高齢社会に突入しており、国民の健康長寿の願いに応えるためには、優れた医療機器が不 可欠である。特に大量の資源を必要とせず、生活の質に大きく貢献できるような付加価値の高い医療デバイス開発は、 我が国の産業形態に適している。最新の材料解析理論は生体組織の病態にも応用可能であり、新たな治療法の開発が期 待できる。 歯科では、より天然組織と機能的に近い材料を用いた新たな治療方法の開発が求められる。歯科臨床ではエナメル質や象牙質の切 削治療が日常的に行われ、その代替材料として歯科生体材料が進歩してきたが、天然歯質の材料特性は十分に議論されていない。こ の点、人体で最も硬いエナメル質であっても高度なナノスケールの複合材料であり、咬合力に対する緩和機能を示すことを明らかに した(図1)。我が国では高齢化に伴う骨の退行性疾患が大きな社会問題であり、歯科領域でも顎骨の質的劣化により十分な治療を受 けられない患者が急増している。近年では、ナノインデンテーション法で骨組織の力学的特性を材料レベルで解析し、正常な骨組織 が優れた耐久性を示すメカニズムを解明した。理工学の最新分析理論を生体組織に応用し、新たな治療法の開発につながる病態の数 値化にも取り組んでいる。 生体材料は組織の形態だけでなく機能まで模倣するべきであり、天然組織を標準試料とした評価が最新の生体材料開発には必要で ある。工業材料の規格試験では天然組織の機能を完全に把握することは出来ない。このため、硬組織・軟組織の評価に適した評価方 法を確立し、従来の生体材料をはるかに凌駕する最先端材料開発に必要なベースラインデータを提供していく。生体組織・再生組織の理工学的解析
キーワード生体材料、バイオメカニクス、インプラント
歯科保存学講座 歯科理工学部門 教授柴田 陽 Yo SHIBATA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/read0066062/歯学部
旗の台 キャンパス 図1:エナメル質のナノインデンテーション試験研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●論文・学会発表など 1) 蛍光・分子および組織学的方法を用いたStreptococcus mutansに感染したう蝕歯における病理学的構造の質的お よび量的研究(英文論文) 山田 理, 有本 隆文, 森崎 弘史, 桑田 啓貴, 伊佐津 克彦, 長谷川 篤司 日本歯科保存学雑 誌 60 (5) 245-254 2017年 2) 励起蛍光を用いた根管細菌の発見のための即時診断法の解析(英文論文) 瀧野 浩之, 伊佐津 克彦, 長谷川 篤司 日本歯科保存学雑誌 61 (3) 171-177 2018年6月 ●知的財産 1)特開2018-064669 歯科用治療装置 長谷川 篤司, 大澤 雄三, 福田 洋介, 藁品 大介 2)特開2018-064668 歯科用治療装置および切削工具 長谷川 篤司, 大澤 雄三, 福田 洋介, 藁品 大介 3)特開2016-214642 歯科用内視鏡保持装置 福田 洋介, 長谷川 篤司実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●研修医をはじめとした若い臨床家が安心安全に信頼性の高い臨床診断、治療が行えるような器材、システムの開発を目 指した研究、開発に努めている。 今後、青色励起光を応用してう蝕罹患歯質などを識別できる治療機器の研究 は、診療室での精度高い治療だけでなく、術野への十分な照明の得られにくい 在宅治療などで有効に応用されることが期待される。 また、内視鏡システムは、精度高い歯内治療を容易に実施できるよう改善が 進んでいる。 一方、口腔内の情報をビッグデータとして共有、管理できるようにする研究 を継続しており、患者さんの口腔の健康状態を生涯にわたってネットワーク上 で適切に管理、共有できれば、いつでもどこでも安心して口腔健康管理を享受 できることが期待される。 私はこれまで歯科保存学を中心に臨床診断に関わる器材の開発やその器材の 臨床応用に取り組んでいる。 これらのうち、波長約₄05nmの青色励起光を①う蝕罹患歯質や②難治性根尖 性歯周炎の根管浸出液、③プラークなどに照射すると赤色励起蛍光を発現する 現象を応用して、精度高く診断や診療を実践する機器の開発を行ってきた。同 時に、歯内治療用の口腔内内視鏡を開発し、術野を視認しながら根管内の罹患 歯質を削除するシステム(右図)をも開発してきた。歯科診療における青色励起光に関する検討
キーワード青色励起蛍光、う蝕原因菌、内視鏡歯内治療
歯科保存学講座 総合診療歯科学部門 教授長谷川 篤司 Tokuji HASEGAWA D.D.S., Ph.D. (Med), Ph.D. (Dent)
https://researchmap.jp/tokuji#!#industrial_property_rights
歯学部
歯科病院 歯内治療用内視鏡システム 内視鏡固定用クランプ 根管内所見(左:白色光、右:青色励起光)研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●勝又 桂子, 山田 理, 伊佐津 克彦, 長谷川 篤司 ヒト臼歯の咬合面う蝕におけるICDASと3種う蝕診断装置の診断精度に関する研究 149回日本歯科保存学会学術大会 抄録集 P.95(2018.10) 横浜 ●勝又 桂子, 長谷川 篤司 昭和大学歯科病院総合診療歯科を受診した初診患者の実態調査 第26回日本口腔内科学会第29回日本口腔診断学会合同学術大会 抄録集P.142 2016.9 岡山実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●新しいう蝕診断であるICDASをベースに、非接触う蝕診断装置を併用するシステムを検討することで、より臨床に即 した非接触う蝕診断装置の使用方法の確立や新しい装置の開発の一助とすることが期待される。 本研究の目的は、初期う蝕における脱灰と再石灰化のメカニズムを障害することなく、非接触でう蝕の進行を評価できる診察法及 び検査器具の精度を明らかにすることである。 初期う蝕抜去歯を用いて、非接触のう蝕検査法として近年世界的に注目されているICDAS検査法に加えて、電気抵抗値検査、レー ザー光を利用したDIAGNOdent、青色励起光を利用したVISTACAM-Pから得られる計測値を比較検討し、それぞれのう蝕診断能 を検討し、その後、計測した抜去歯の断面標本を作製し、う蝕進行度の確定診断を行い、非接触のそれぞれの診断法の検出能力を比 較検討し、よりよい精度の高い診断方法を確立する。 クリニカルカリオロジーの発展により、初期う蝕病変を早期に診断して切削介入を要する実質欠損に進行しないよう管理すること が推奨され、より有効性と精度の高いう蝕診断とリスク管理が求められている。ICDAS(International Caries Detection and Assessment System)は、エナメル質初期う蝕において歯質実質欠損の有無だけでなく、その前段階である白斑形成にも着目し て詳細に分類された新しいう蝕診断基準であり、その診断が管理指針にリンクするメリットから、これからの初期う蝕診断の世界基 準として期待されている。臼歯咬合面う蝕病変に対する
ICDAS診断と3種非接触型う蝕診断法の有効性の比較検討
キーワードICDAS、う蝕、診断、DIAGNOdent
歯科保存学講座 総合診療歯科学部門 助教勝又 桂子 Keiko KATSUMATA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/012345歯学部
歯科病院研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Yamada M, Arimoto T, Morisaki H, Kuwata H, Isatsu K, Hasegawa T.
Qualitative and quantitative investigation of pathological structures in caries infected with Streptococcus mutans using fl uorescence, molecular, and histological methods, Jpn J Conserv Dent. 2017:60: 245-254 ●山田理, 有本隆文, 森崎弘史, 桑田啓貴, 伊佐津克彦, 長谷川篤司 青色励起光によって識別されるう蝕象牙質内S.mutans の検討, 第63回 昭和大学学士会総会, 東京, 2016年11月 抄録集P20
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究によって、う蝕関連細菌と赤色励起蛍光の関係性が明らかになることにより、臨床現場において青色励起光を利 用した精度の高いう蝕認識が可能となり、過不足ないう蝕罹患歯質の除去を行うことを可能となる。 我々はこれまでに顕微鏡蛍光測定システム(下図)によって₄05nm の青色励起光の照射によって、う蝕罹患歯質が630nm の赤色励 起蛍光を発することを見出すとともに、励起蛍光を発する微小区間内にStreptococcus mutans(S. mutans)が必ず存在する ことをリアルタイムPCRによって確認し、報告してきた(Yamada M., et al)。しかしながら、う蝕罹患歯質に青色励起光を照射し た際に赤色励起蛍光を発現する条件やメカニズムは十分に解明できていない。 本研究の目的はS. mutansおよびその他のう蝕関連細菌の発光物質産生のプロセスやメカニズムを解明してう蝕罹患歯質を明確 に識別する方法を確立することである。 予後の良いう蝕治療のためには、う蝕罹患歯質の過不足ない除去が必須であり、う蝕罹患歯質を識別するための旧型染色液は赤色 色素をプロピレングリコールに溶解したものであったが、分子量の小さい溶媒が多孔化された歯質の深部にまで色素とともに侵入す るためにう蝕罹患歯質を超えて健全象牙質まで染色してしまう欠点があった。 この欠点は溶媒を分子量の大きいポリプロピレングリコールにした新型う蝕染色液によって改善されたが、現在でも染色の程度に ついての論議が残っており、う蝕罹患歯質を明確に識別する方法はなく、予後の良いう蝕治療のために精度高くう蝕罹患歯質を識別 する方法を確立することは急務である。う蝕罹患歯質における赤色励起蛍光発現に関する検討
キーワード励起蛍光、う蝕関連細菌、象牙質う蝕
歯科保存学講座 総合診療歯科学部門 助教山田 理 Michi YAMADA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/yamada-michi/歯学部
歯科病院研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Kato M, Tanaka J, Aizawa R, Yajima-Himuro S, Seki T, Tanaka K, Yamada A, Ogawa M, Kamijo R, Tsuji T, Mishima K, Yamamoto M: Visualization of junctional epithelial cell replacement by oral gingival epithelial cells over a life time and after gingivectomy. Sci Rep. 9: 7640, 2019.
●Seki T, Aizawa R, Tanaka J, Yajima-Himuro S, Kato M, Tanaka K, Mishima K, Yamamoto M: Establishment of mouse gingival junctional epithelial cell line using a bioengineered tooth system. Biochem Biophys Res Commun. 497 (1) : 167-172, 2018.
●山本松男,氷室沙羅,西井浩介,塚本康己,林 庸以,相澤 怜,関 辰明,田中準一,美島健二:接合上皮の解析. 日歯周誌.57 (1) : 11-17, 2015.
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究により、歯肉接合上皮の維持、歯周病に対する防御機構を明らかにすることで、歯周病の予防もしくは治療に有 用な手法の開発に結び付く可能性がある。また、歯周組織に対する新薬等の薬効を検討するために、不死化接合上皮細 胞が有用な研究材料として利用できると考えられる。 歯肉接合上皮は良好なマーカーが確立されておらず、細胞の単離、細胞株の作製が困難であったことから、特にin vitroにおける 有用な接合上皮の研究材料は存在しなかった。近年、我々の研究グループはマウスにおける人工再構成歯胚技術を用いて、GFP陽 性接合上皮細胞の単離、不死化細胞の作製に成功した。また、マウス口蓋由来の不死化口腔上皮細胞の作製も行っており、これらの 不死化細胞は接合上皮の研究における有用な材料となることが示唆されている。 本研究では、接合上皮の生体における環境を模倣し、不死化接合上皮細胞の硬組織上での性質の解析、炎症状態での接着・免疫・ 抗酸化ストレス関連遺伝子群の発現様式の解析を行う。また、これらの解析から得られた知見について、歯周炎惹起モデルマウス、 歯肉切除後の創傷治癒モデルマウスを用いた生体での解析を実施することで検討を行う。 歯周病は口腔内の歯周病原性細菌による感染症であり、歯周炎においては歯肉接合上皮の歯面との付着機構が破壊される。接合上 皮は口腔細菌の侵入に対して最前線に位置し、防御の役割を果たしている。しかし、生体からの接合上皮細胞の単離は困難であり、 細胞株も樹立されていなかったため、ターンオーバーなどの接合上皮の維持機構の詳細は明らかになっていない。歯肉接合上皮における維持・防御機構に関する検討
キーワード歯周病、接合上皮、不死化細胞
歯周病学講座 助教相澤 怜 Ryo AIZAWA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/air/歯学部
歯科病院研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Yasuhara R, et.al., Wnt Signaling in Cartilage Development., Encyclopedia of Bone Biology
●Yasuhara R, et.al., The roles of beta-catenin in bone homeostasis. The Showa University Journal Of Medical Sciences, 77,5, 501-507. (2017).
●Yasuhara R, et.al., Resident mesenchymal progenitors of articular cartilage. Matrix Biol. 39:44-9. (2014)
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●表層細胞を用いた軟骨分化培養系は新規分子標的薬のスクリーニングに応用可能であること、亜鉛のエキソソームに対 する作用の解明により、関節疾患の病態メカニズムや治療法開発に新たな知見と理解をもたらすと考えられる。 表層細胞は硝子軟骨のバリアとして重要な役割を担っている。私たちはマウス関節軟骨から関節表層細胞と軟骨細胞の単離培養に 成功し、関節表層細胞の性質解析を行っている。この表層細胞は、隣り合う軟骨細胞とは異なる形質を示し関節の機能発現に必須で ある一方、環境に応じて硝子軟骨に分化し得る細胞であり、新規分子標的に対する機能解析が可能となった。これまでにWnt/β-catenin シグナルが表層細胞の維持や変形性関節症の病態発現に主要な役割を担うことを明らかにした。Wnt/β-cateninシグナルの生理的 機能は幅広く、シグナルクロストークの理解により関節症の分子標的の探索を目指している。 一方で、必須微量元素である亜鉛不足は骨格形成不全をきたすが、その詳細はまだ明らかにされていない。私たちは亜鉛トランス ポーター欠損マウスの解析から亜鉛の恒常性の破綻が軟骨細胞でエキソソームや細胞死に関わる遺伝子群の発現制御に変動をきたす ことから、がんや疾患のバイオマーカーとして臨床応用されるエキソソームに着眼し、軟骨代謝機構に対する亜鉛シグナルの役割解 析を進めている。 超高齢社会では顎関節症を含めた全身の関節障害や骨粗鬆症、筋力低下などの運動器障害がQOLを低下することから、歯科医学 的にも硬組織の細胞代謝制御への理解が重要である。細胞分子生物学的手法を用いた詳細なシグナル伝達経路の解明や細胞機能制御 に関わる分子標的の検索は発生期からの骨格形成障害や外傷や老化による骨軟骨損傷、悪性腫瘍からの骨転移に至るまで骨関連疾患 の病態解明に幅広く応用されている。骨軟骨代謝異常をきたすシグナル制御機構の解析
キーワード骨軟骨代謝、Wntシグナル、変形性関節症、腫瘍
口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 講師安原 理佳 Rika YASUHARA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/read0124436/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Tanaka, J. et al. Sox9 regulates the luminal stem/progenitor cell properties of salivary glands. Exp. Cell Res. 382, 111449 (2019).
●Tanaka, J. et al. Generation of orthotopically functional salivary gland from embryonic stem cells. Nat. Commun. 9, (2018). ●田中準一、美島健二 マウス多能性幹細胞から機能的唾液腺オルガノイドを作製 実験医学 2019, 2月号, 429-432
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究でiPS細胞からヒト唾液腺オルガノイドを作出することで、口腔乾燥症に対する創薬スクリーニングをこれまで の培養細胞より高いレベルで行うことが可能となる。また、CRISPR-Cas9などのゲノム編集技術を応用し、これまで 困難であった唾液腺腫瘍発生メカニズムに対しても重要な知見が得られると予想される。 本研究では、独自に開発したマウスES細胞由来唾液腺の分化誘導技術を改変し、ヒトiPS細胞よりヒト唾液腺オルガノイドの誘 導技術を開発する。ヒト唾液腺オルガノイドを用いて免疫不全マウスへの唾液腺切除部位への同所移植によりヒト唾液腺をマウス内 で発生させる。移植可能な機能的ヒト唾液腺オルガノイドの作出により、唾液腺障害に対する創薬、再生医療への応用のみならず、 今まで困難であった唾液腺腫瘍を含む病態解析において極めて有用なツールとなることが予想される。また、ヒトオルガノイドを用 いた臓器の代替は唾液腺以外の臓器でも期待され、次世代の再生医療として重要な基礎的知見を創出する。 近年、ES・iPS細胞などの多能性幹細胞から「ミニ臓器」とも呼ばれる3次元的な組織構築を持ったオルガノイドの分化誘導が報 告され、再生医療、疾患メカニズム解析、薬剤スクリーニングのツールとして大きな注目を集めている。我々の研究グループは世界 に先駆けて、マウスES細胞より唾液腺オルガノイドの分化誘導方法を確立し、さらに同所移植により口腔内への唾液分泌能を有す ることを報告した(Tanaka J.︐ et al.︐ Nat Commun︐ 2018)。本研究では、マウスES細胞由来唾液腺の分化誘導技術を改変し、ヒ トiPS細胞よりヒト唾液腺オルガノイドの誘導、および同所移植による唾液腺の再生を目的とし、口腔乾燥症や唾液腺腫瘍を含む唾 液腺疾患に対する、病態解明、創薬、再生医療の実現に向けた基盤技術を構築する。ヒトiPS細胞を用いた唾液腺オルガノイドの作出
キーワードiPS細胞、唾液腺、口腔乾燥症、オルガノイド
口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 講師田中 準一 Junichi TANAKA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/j-tanaka/歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Junichi Tanaka et al. Generation of orthotopically functional salivary gland from embryonic stem cells. Nature communications. 9:4216, 2018
●Junichi Tanaka, Yo Mabuchi, Kenji Hata, Rika Yasuhara, Koki Takamatsu, Satoko Kujiraoka, Akane Yukimori, Ikuko Takakura, Hidetoshi Sumimoto, Toshiyuki Fukada, Masayuki Azuma, Haruhiko Akiyama, Riko Nishimura, Toshikazu Shimane, Kenji Mishima. Sox9 regulates the luminal stem/progenitor cell properties of salivary glands. Experimental Cell Research, 2019 Sep 1; 382 (1) :111449
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●近年の超高齢社会を背景に、唾液腺の組織障害による口腔乾燥を訴える患者が増加傾向にある。現時点では口腔乾燥症 への対応は人工唾液などの対症療法にとどまり、根本的な治療として唾液腺の再生が期待されているが、現状では唾液 腺の再生技術は確立されていない。本研究成果は外部からの細胞を必要としないヒト唾液腺組織再生技術への応用に結 び付くことが予想される。その結果、口腔内環境のみならず全身のQOLの維持・増進に貢献できるものと期待される。 本研究では以下の内容を計画している。 ①リプログラミングに必要な転写候補遺伝子の同定 ② 候補遺伝子を線維芽細胞に遺伝子導入し、3次元培養後にマウス唾液腺 組織への移植を行い、その唾液腺の組織構築の解析 ①リプログラミングに必要な転写候補遺伝子の同定 1)マウス線維芽細胞の単離と培養 2)RNA-sequence法を用いた遺伝子プロファイルの作成と比較 3)候補遺伝子(転写因子)の解析(スクリーニング) ・レンチウィルスベクターの作製 ・線維芽細胞に遺伝子導入と分化の解析 ② 候補遺伝子を線維芽細胞に遺伝子導入し、3次元培養後にマウス唾液腺 組織への分化誘導の有無を検証する 1)形態学的評価および免疫組織化学的解析 2)分子生物学的解析(遺伝子発現解析) 3)機能解析 ・唾液分泌能の解析 ・唾液分泌に関連する細胞内シグナルの解析 唾液腺再生の試みに様々な種類の多能性幹細胞が実験に用いられているが、唾液腺の再生方法は確立されていない。当研究室では マウスES細胞から唾液腺への分化誘導に成功し、新たに唾液腺誘導に重要ないくつかの転写因子を見出した。一方で、体細胞から 多能性幹細胞を経ずに特異的な分化細胞に直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」という技術が開発された。これらを応用 し、唾液腺特異的な転写因子を探索し、線維芽細胞に導入することでより安全な唾液腺への分化誘導を目指す。マウス線維芽細胞へのダイレクトリプログラミングによる
唾液腺の誘導
キーワードダイレクトリプログラミング、唾液腺
口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 助教行森 茜 Akane YUKIMORI D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/yukimon歯学部
旗の台 キャンパス研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Morita S, Iwasaki K, Maruoka Y, Okada Y, Ando T. Identifi cation of periodontal bacteria from carotid artery plaque in chronic periodontitis patients J Oral and Maxillofacial Surgery,Medicine, and Pathology 26: 450-455, 2014
実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究で内頸動脈プラーク・口腔内プラークとでの細菌叢を構成する菌を解明することで、効果的な周術期口腔機能管 理を行うことが可能になり、脳梗塞予防やの合併症の減少に大きく貢献できると考えられる。さらに医科歯科連携を推 進し、チーム医療の相乗的な進展が期待される。 ① 昭和大学病院脳神経外科で内頸動脈狭窄症により内頸動脈内膜切除術を施行する症例で、昭和大学病院歯科を受診し、周術期口腔 機能管理を行う患者が対象である。内頸動脈内膜プラークは昭和大学病院手術室で採取し、口腔内プラークは歯科外来で採取する。 ②ゲノムDNAの抽出と内頸動脈プラーク内・口腔内の細菌の同定 ③次世代シークエンサーで解析 ④ 得られた配列データの相同性検索から菌種を同定し、サンプル間で菌種の存在量を比較解析し、内頸動脈プラーク・口腔内プラー クとでの常在細菌叢を構成する菌を解明する。 本研究の背景は、本邦での脳血管疾患での死亡者は第₄位であるが、脳梗塞後の後遺症で要介護状態に至る患者は少なくない。近 年アテローム性動脈硬化症などの病変部より歯周病性細菌や口腔レンサ球菌が検出され、口腔細菌叢と動脈硬化の関連が注目されて いるが、その詳細は明らかになっていない。そこで進歩が著しい高速シークエンシングを用いて、内頸動脈狭窄症患者に対して内頸 動脈内膜剝離術施行時に摘出したプラークと、口腔細菌叢をメタゲノム的に解析することで、特異的口腔内細菌に対応した効率的な 周術期口腔機能管理のプロトコールを確立し医科・歯科チーム医療の推進が目的である。口腔内細菌の内頸動脈狭窄症に及ぼす影響についての検討
キーワード内頸動脈狭窄症、口腔内細菌、メタゲノム解析
スペシャルニーズ口腔医学講座 地域連携歯科学部門 教授丸岡 靖史 Yasubumi MARUOKA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/maruoka歯学部
歯科病院研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●本研究では現在データを収集している段階であり、現時点での学会発表、論文投稿は行っていない。実学へのつながり・産業界へのアピールポイントなど
●本研究より得られる食事介助における適切なペーシングに関する知見は、食事介助の効率化を図ることに繋がるもので ある。介護の現場において介護職員の人員不足や、介護者の介護負担の大きさは大きな問題となっており、本研究は介 護の現場において食事介助における介護負担を軽減させることに繋がるものである。本研究は誤嚥性肺炎予防などにお ける医療費の削減につながるのみではなく介護の効率化において大きな意味を持つものである。 本研究の概要は“食事介助時において嚥下タイミングを可視化することにより適切なペーシングで食事介助を行うことを可能と し、窒息事故や誤嚥を予防し、同時に介護職員の食時事の介護負担の軽減を獲得すること”である。 具体的な調査項目として以下の事項について明らかにする。(Ⅰ)嚥下タイミングの可視化した情報が食事介助のペーシングに与 える影響。(Ⅱ)嚥下タイミングの可視化した情報が食事時間に与える影響。(Ⅲ)嚥下タイミングの可視化した情報が食事中のムセ の回数に与える影響。以上の項目から食事介助時に介護者及び、被介護者において嚥下タイミングの可視化した情報がどの様な影響 を与えるのかについて明らかとする。嚥下タイミングのの可視化には頸部装着型嚥下機能計測機器GOKURI(図)を使用する。 本研究の背景は世界的に食事介助における介護者の負担という事に焦点を当てた報告が近年増えている。老人福祉施設等における ミールランド(食事観察)の現場において“いつ飲み込んだのか”が分かることで食事介助が楽になるという意見を多く聞いた。そ こで、本研究では食事における嚥下タイミングの可視化を行う方法を確立することを目的としている。食事介助における嚥下情報の可視化が与える影響
キーワード摂食嚥下障害、食事介助
スペシャルニーズ口腔医学講座 口腔リハビリテーション医学部門 講師伊原 良明 Yoshiaki IHARA D.D.S., Ph.D.
https://researchmap.jp/iharayoshiaki/歯学部
歯科病院研 究 背 景
研 究 概 要
知的財産・論文・学会発表など
●Takeuchi-Sato T, Ono Y, Funato M, Sato H, Suganuma T, Baba K. Efficacy of an email-based recording and reminding system for limiting daytime nonfunctional tooth contact in patients with temporomandibular disorders: a randomized controlled trial. Journal of Oral Rehabilitation. 2020; 47:158-163.
●Takeuchi T, Arima T, Ernberg M, Yamaguchi T, Ohata N, Svensson P. Symptoms and Physiological Responses to Prolonged, Repeated, Low ‐ Level Tooth Clenching in Humans. Headache: The Journal of Head and Face Pain. 2015, 55 (3), 381-394.