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高齢者介護保険施設における介護食提供の現状と取組み

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Academic year: 2021

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(1)

平 成23年12月(2011年) 一11一

研 究 ノ ー ト

高齢 者介 護保 険施 設 にお け る

介護 食提 供 の現状 と取 組 み

樹 山 敦子

Aspects

of supplying

meals for elderly

people at facilities

covered

by long-term

care insurance,

and the remedial

measures

on service

Atsuko Kiyama

abstract

The population of elderly people of Japan is continuing increasing, and it is an important problem of Japan

to keep and raise the quality of life of the elderly person.

For elderly people, "to eat" is pleasure and it can become one factor to influence that improves their QOL.

Therefore, in facilities for the elderly, various efforts have been done for the meals served to the elderly people

with impaired chewing and/or dysphagia.

We conducted the questionnaire survey on the aspects of providing diet meals in the facility for elderly in

Hiroshima and surrounding prefectures, in February, 2010. This survey was carried out for 201 institutions, and

the answer from 97 institutions.

In this report, we represent the efforts of the facility staff to provide meals, and discussed issues that remain

for supplied meals to the elderly people with impaired chewing and/or dysphagia.

( Received October 19, 2011)

1.は じ め に

  超 高 齢 社 会 とな っ たわ が 国で は,さ ら な る高 齢者 の増 加 は 必 至 で あ り,高齢者 へ の社 会 生 活 の 保 障 と, 如 何 に して 高齢 者 のQuality of Life(QOL)の 維持 向上 を図 るか は 引 き続 い て の課 題 で あ る。 高 齢 者 の QOLの 維 持 向上 に お い て 「食 事 」 は大 き く影 響 す る要 因 の一 つ で あ る とい え る1)2)。 「食べ る こ とだ け が楽 しみ 」 とい う高 齢 者 は多 い 一 方,加 齢 に伴 う 筋 肉 の衰 えや脳 梗 塞 麻 痺 に よ る咀 囑 嚥下 機 能 の低 下 に よっ て食 べ る こ とが 難 し くな り,充 分 な栄 養 量 の 確 保 が で き ない こ とか ら老 衰が 加 速 して しま う場 合 や,食 べ られ な い こ とか ら生 きる こ とに対 す る気 力 を失 う とい った ケ ー ス も少 な くない 。   「口 か ら食 べ る こ と」は身体 機 能 を維持 改 善 とい っ

京都女子大学家政学部食物栄養学科

た生 理 的 な効 用 だ け で な く,高 齢 者 の生 きが い や 自 活 し よ う とす る気 力 の 根 底 とな り,精 神 面 で の サ ポー トに繋 が る とい っ た認 識 の広 ま り とと もに,そ のた め の 栄養 ケ ア ・栄 養 管 理 の重 要 性が いわ れ て い る。 介 護 に お い て は2005年10月 の介 護 保 険 法改 正 に よ り介 護保 険施 設 で の栄 養 管理 体 制加 算,栄 養 マ ネ ジ メ ン ト加 算,経 口移 行 加算,療 養 食加 算 の 導 入 と,2006年4月 か ら は経 口維 持加 算 が は じま った3)。 また,医 療 に お い て も同 じ く2006年 よ り診 療 報 酬 に栄 養 管 理加 算 が 新 設 され4),個 別 に対 応 した よ り 細 や か な 栄養 管 理 体 制 が実 施 され る よ うに な り,介 護保 険施 設 や 病 院で 喫 食者 の 摂 食 能力 に合 わせ た多 様 な形 態 の 食事 を提 供 す る ため の取 組 み が な され る よ うに な って い る。 しか し,多 くの場 合 に おい て栄 養士 ・管 理 栄養 士 は栄 養管 理 だ け で な くそ の他 の 多 くの 業 務 を行 な わ な け れ ば な らな い状 況 下 にあ り, 限 られ たス タ ッフ数 で の 多様 な食事 形 態 を提 供 す る

(2)

事 や,ま た,食 事 の 見直 し,改 善 を図 る ため の時 間 の確 保 が難 しい とい う声 もきか れ る 。 こ うい っ た こ とか ら,今 回,各 施 設 で の介 護 食 提供 の現 況 と取 組 み を知 る こ とを 目的 と し,高 齢 者 介 護保 険施 設 を対 象 と した ア ンケ ー ト調 査 を行 った 。 五.調 査 方 法  調 査 対 象 は広 島県 お よび近 隣県 下 の 高齢 者 介 護保 険 施設204施 設 と した 。 平 成2010年2月 に郵 送 に よ る ア ン ケ ー ト調 査 を依 頼 し,2010年4月 まで に回 答 の あ っ た97施 設 につ い て結 果 を ま とめた 。ア ンケ ー トは 自 由記 述 式(一 部,選 択項 目あ り)と した。 ア ンケ ー ト項 目は 図1に 示 した とお りであ る。 皿.ア ン ケ ー ト結 果 1)食 事 形 態 に つ いて  今 回 の調 査 で は常 食(普 通食)と は 別 に,喫 食 者 の摂 食 能力 等 に合せ て 調 理 ・提 供 され てい る食事 を 「介 護 食 」 と し,介 護 食 を常 食 よ り も固 さ を軟 らか く仕 上 げ られ た も の を 「軟 菜 」,食 材 の大 きさ を小 さ く した もの を 「カ ッ ト⊥ ミキ サ ー等 に か け た も の を 「ミキ サ ー」,凝固剤 等 で 固 め た もの を 「凝 固」, そ れ ら以外 を 「そ の他 」 と して 形 態 別 に 区分 した。 この うち 「カ ッ ト」 は さ らに 「一 口大 」,「1∼0.5 cm角 程 度 」,「み じん切 り」 の3つ に細 区分 した。   ア ンケー トの項 目1-2)の 結果 よ り,各 施 設 で 1  施 設 につ い て お伺 い します。 ① 施 設 で食 事 提 供 に 関 わ る方(栄 養 管 理 ・調 理)は 何 人で す か? ② 一 食 あ た りの 食事 提 供 数 は何 食 で す か?(職 員 食 を 除 く) H  食 事 につ いて お伺 い します 。 ① 介 護 食 の対 象 者 は い ます か?  (は い ・い い え) ◆H,一 ① で 「は い」 と答 え られた 方 に お伺 い し ます。     1)介 護 食 は何 人 に提 供 され て い ます か?  (     2)介 護 食 は何 種 類 あ ります か?      (        そ れ ぞれ の 形 態 は どの よ うな もの で す か? )人 )種 類 3)介 護 食 の喫 食 状 況 は どうで す か?    (全 食 が多 い ・ほ ぼ全 食 ・残 す 人 が 多 い         割 程 度)   残 され る原 因 と して多 い と考 え られ る こ とは どの ような こ とです か?    (症 状,体 調 ・形状 ・味 ・匂 い ・食 欲 ・量 が 多 い)    そ の他,ご 記 入 下 さい。 4)介 護 食 を作 る時 に困 っ てい る こ とはあ ります か?    (コ ス ト ・手 間 ・時 間 ・栄 養量 の確 保 ・味 ・匂 い ・品質 の 均 質化)    そ の 他,ご 記 入 下 さい。 5)介 護 食 の調 理 や 提 供 で扱 い に くい食 品 ・食 材 に は どの よ うな ものが あ ります か? 6)介 護 食 に既 製 品 を利 用 され て い ます か?  (は い ・いい え) ◆1,.① で 「い い え」 と答 え られ た方 にお伺 い します 。   介護 食 喫 食 者へ の対 応 は どの よ うに さ れて い ま す か? ② そ の他,食 事 を美 味 し く食 べ て頂 くた め に取 り組 ま れて い る事 を教 え て下 さい。 図1介 護 食 につ い て の調 査 ア ンケ ー ト項 目

(3)

平 成23年12月(2011年) 常 食 以 外 に常 時 提 供 さ れて い る介 護 食 の 種 類 数 と, そ れぞ れ に用 い られ て い る呼 称 を ま とめ た(表1-1,2)。 提 供 され て い る介護 食 の種 類 につ い て は2 ∼11種 類 と幅が あ った が,4種 類 を提 供 して い るが 25施 設,5種 類 の 提 供 が39施 設 で,お お よ そ4∼5 種 類 の 介 護食 で対 応 され てい た 。各 施 設 で 提供 さ れ て い る介 護 食 の呼 称 は55種 類 で あ っ た 。 そ れ ぞ れ の食 事 形 態 区分 で 用 い られ てい る呼 称 を比 較 した と ころ,「カ ッ ト」の 区 分 で は 「一 口大」 と 「1∼0.5cm 角 」 に共 通 して 粗 き ざみ(菜 ・食)が,ま た,「 一 口 大 」,「1∼0.5cm角 」,「み じん切 り」 の3細 区分 に 共通 で き ざみ菜(菜 ・食)が 用 い られ て いた 。 ま た,「み じん 切 り」と 「ミキサ ー 」の 区分 で ブ レン ダー 食 「ミキ サ ー」 と 「そ の他 」 で 流 動 食 ペ ー ス ト 食 の重 複 が み られ た。 表1-1介 護 食 の種 類 一13一 につ い て多 い と考 え られ る こ とにつ い は,全 回答 の う ち(複 数 回 答 含 む)「 症 状 ・体 調 」 が42%,つ い で 「食 欲」27%,「 形 状 」12%,「 量 が 多 い」9%,「 味」 8%,「 匂 い」2%で あ った(表2-2)。 そ の他 と し て,自 由記 入 で は 「個 人 の 嗜好 や 偏 食,気 分(機 嫌) に よ る」,「食 事介 助 の必要 な人 に比 べ て 自力 摂取 の 人 に残 食 が 多 い 」 や,「 調理 食 材 の 固 さ に よ っ て残 食 量 が 変化 す る」 とい う回答 が 複 数 み られ た 。 表2-1  介 護食 の喫 食状 況

全食が多い

ほぼ全 食 が 多 い

残す人が多い

そ の他(未 記 入等)

合計

種類

2

施設数

13 62 to 3 4 5 6 7 8 9 11 12 97

施設数

2 7 25 39 8 3 1 1 1 常 食 以 外 に常 時 調 理 ・提 供 され て い る 介 護 食 の種 類 と提 供 施 設数 を示 した 。 表2-2  残 食 の原 因 症 状 ・体調

形状

匂 い

食欲

量が 多 い

合計

  回答 数 (複数 回答 含) 68 19 13 3 43 15 i61

(%)

42 12 8 2 27 9 100 2)喫 食 状 況 と残 食 の原 因 につ い て   毎 回 の喫 食 状 況 につ い て項 目II-3)で たず ね た と ころ,「 ほ ぼ全 食 」 と答 え た施 設 が62施 設 と最 も 多 く,つ い で 「全 食 が 多 い」13施 設 「残 す 人 が多 い 」 が10施 設 で あ っ た(表2-1)。 ま た,残 食 の 原 因 3)介 護 食 の調 理 提供 での 問 題  介 護食 の調 理 提 供 で の問 題 と して,項 目II-4) で介 護 食 を作 る時 に困 って い る こ と につ いて た ず ね た 。 そ の 回答 は,「 手 間 」59施 設,「 栄 養量 の確 保 」 54施 設 で あ り,半 数 以上 の施 設 が 問 題 点 と して 上 げ て い た(表3)。 自 由記 入 の 回答 で は 「見 た 目が 表1・2  各 食 事 形 態 の 区分 にみ られ る呼称 軟菜 軟 菜食 ソフト食 全粥菜 軟飯 軟 食 やわらか食 カット 一 口大 一 ロカット きざみ大 大きざみ きざみ色 紙 きざみ1 粗 きざみ(菜 ・食) 一口大きざみ食 きざみ食 ざく切 り カット食 1∼0.5cm角 粗 きざみ中 中きざみ きざみ(菜 ・食) きざみ2 粗きざみ(菜 ・食) 粗みじん 極粗 きざみ(菜) 小きざみ 軟菜 きざみ みじん切 り 極きざみ(食 〉 きざみ小 小きざみ 超きざみ(食) きざみ3 みじん きざみ(食) ブレンダー食 ミキ サ ー ミキサー(食) ペースト(食) ブレンダー食 流動食 超軟菜 食 凝固 ムース(食) ソフト食 ゼリー(食) なめらか食 茶碗蒸 し風 その他 濃 厚流動 食 経 腸栄養(食) 経 管栄養(食) 経 口栄養食 流 動食 ペ ースト食 高カロリー栄養流動 ペ ーストゆるめ ペ ーストかため 食 事 形 態 別 に各 施設 で用 い られ て い る呼 称 は55種 類 あ った 。 そ の う ち他 の 区分 で重 複 して い る もの を太 字 で 示 した 。

(4)

表3介 護 食 の調 理 提 供 で 困 っ てい るこ と コス ト

手 間

時間

栄養量の確保

匂 い

品質の均質化

合計

  回答数

(複数回答含)

17 59 23 54 25 5 32 161

(%)

8 27 11 25 12 2 15 100 同 じに な る 」 「常 食 に 比べ て献 立 の種 類 が 少 な い⊥ 「使 用 で きる 食 材 が 限 られ る ⊥ 「飲 み 込 み易 くす る た め に か け る"あ ん"や"と ろ み"が ム セ の原 因 に な る 」,「個 人 の 咀 噛 嚥 下 能 力 に合 わせ た"と ろ み"や 固 さ調 節 の 対応 が 難 しい 」,「食 事 の 種類(形 態 の種 類)を 増 や した いが,調 理 員 の 数 が 少 な く対 応 で き て い ない ⊥ 「咀噛 嚥 下 能 力 の個 人 差 が大 き く,給 食 調 理 で の対応 の 限界 を感 じる」,「メニ ュ ー試 作 の 時 間 が ない 」 とい っ た調 理提 供 をす る立場 側 の 問 題 だ け で な く,「 き ざみ ・ミキサ ー の 食事 で は何 の 食材 が 使 わ れて い る か,何 の料 理 か わか らな い」,「食事 介 助者 の人 数 が足 りない 」 とい う喫 食 者 も し くは 食 事 介助 側 の 問題 につ い て の 回答 もみ られ た。 4)介 護 食 の調 理 や 提 供 で扱 い に食 品,食 材   介護 食 の 調 理 や提 供 で扱 い に くい 食 品,食 材 に つ い て の 回答 を表4に 示 した 。 表4介 護 食 の 調理 や 提 供 で扱 い に くい 食 品 ・食 材 食材 穀類 いも類   こん にゃく 豆 ・種 実 類 野菜類  葉野菜 ・山菜等  根菜類 果実類 きのこ類 ・海 草 類 肉類 魚介類 加工食 品等 その他 回答数 15 2 11 10 36 55 10 25 15 43 8 回答に多 かった食品 餅,麺 類 納 豆,き なこ,高 野 豆 腐 ごま,ピ ーナッツ ほうれ ん草,ブ ロッコリー,レ タス ご ぼ う,れ ん こ ん,た け の こ 生の果 物 き く ら げ,え の き,わ か め, こ ん ぶ 骨 付 き肉,厚 み の あ る 肉 骨 付 き の 魚,タ コ,イ カ, 貝 類 ソ ー セ ー ジ,ち く わ,大 福, 桜 餅 硬 い 食材(12)繊 維 の多 いもの(21) 揚 げ 物(2),生 で食 べ る物(3) *(数 字)は 回 答 数 を示 す 。   一 般 的 に介 護 食 の調 理 にお い て扱 い に くい と され る食 材 に は,繊 維 の多 い もの,破 断 性 や粘 性 の 高 い もの,粉 砕 しきれ な い もの が あ げ られ る。 今 回 の ア ンケ ー トで は それ らに加 えて 色の 変 わ りや す い果 物 や 間食 と して提 供 され てい る和 菓 子 類 な ど もあ げ ら れ て いた 。 ま た,ム セ の原 因 とな りや すい 料 理 と し て酢 の物 が あ げ られ てい た 。 5)介 護食 喫食 者 へ の対応 と取 組 み   食 事 をお い し く食べ て頂 くため の 取組 み につ い て の 回答 を ま とめ,調 理 提 供 と個 人 対 応 に 区分 した。   調 理 提供 に おい て,対 利 用 者の 対 応 ・取 組 み につ い て は食 形態 の 区分 に 関わ らず 「料 理 の盛 付 け ・色 彩 のバ ラ ンス に気 を配 る」,「食器 ・食 器具 の 工 夫(弁 当箱,ラ ンチ皿 の 利 用,箸 置 を 日替 わ りにす る,麺 類用 の箸 を用意,自 助具 ・自助 食器 の 利 用 な ど)⊥ 「適 温 で の提 供 」,「旬 の もの ・新鮮 な食 材 の使 用 」,「選 択 食 メニ ュ ー ・行 事 食,リ クエ ス ト食 な どの 実施 」, 「焼 き そ ば や お 好 み 焼 き な ど 目の 前 で 調 理 をす る, 一緒 に作 る 」 な どの他,「 手作 りの 箸 置 き・メ ッセ ー ジ カ ー ドや ポ ス ター な どの作 成」,「声 が け をす る」, 「食事 ア ンケ ー ト ・メニ ュ ー希 望 調 査 の 実 施 」,「食 事 場 所 の 工 夫(屋 外 で お弁 当 な ど)」,「BGM」 な ど, 食事 環 境 に対 す る工 夫 につ い て の 回答 が あ った 。 ま た,き ざ み や ミキサ ー 区分 の 食 事 につ い て は,「 と ろみ の調 整 」,「使 用 した食 材 に あ わせ た絵(肉 や魚 な ど)を 描 く ・型抜 きで 形 を作 る」,「常食 と似 た見 た 目に近 づ け る」 とい う 回答 が み られ た。   対 職 員 へ の 取 組 み と して は,「 給 食(メ ニ ュ ー) 会議 を頻 回 にす る」,「介 護 士,施 設 ス タ ッフ との連 携 を密 にす る⊥ 「厨 房ス タ ッフ も し くは職 員 全員 で の メ ニ ュ ー 試 食(食 事 ア ン ケ ー ト)」,「調 理 員 へ の 嚥下 に関 す る教 育 」,「厨 房 ス タ ッフ に よる食 事 時 間 の見 回 り,喫 力 者 へ の声 が け 」 とい った 回答 が あ っ た。   個 人対 応 に 関 す る 回答 で は 「体 調,ア レル ギ ー, 禁 忌,嗜 好 に あ わせ た代 替 え食 の 提 供 」 の 他,「 残 食 が 多 い 人 の 配膳 量 を減 ら して 完 食 で き る よ うに し,食 べ る 自信 を と り もど して も らう」 があ げ られ て い た。 皿.ま と め  今 回の ア ンケ ー ト調査 か ら,い ずれ の 高齢 者 介護 保 険 施設 にお い て も,施 設 利 用者 へ の きめ細 か な対 応 と介 護 食 の 調理 提 供 の取 組 み や改 善 の努 力 が なさ れ て い た。 しか し,同 時 に介 護 食提 供 の 実施 で 各 施 設 の抱 え る問 題 や,問 題解 決 の 難 しさ も浮 き彫 り と

(5)

平 成23年12月(2011年) な った 。   各 施 設 の あ げ る問 題 点 につ い て解 決 や 改 善 を難 し く して い る要 因 として,一 つ め に は食 事 提 供 や 食事 介 助 に関 わ る人 員 数 が あ る と考 え られ る。 介 護 食の 調 理 提 供 で 問 題 と な っ て い る こ と を たず ね た 項 目 で,最 も多 くの 施 設 が 「手 間 」 と答 え て お り,4番 目に は 「時 間」 が あ げ られて い た 。今 回の 調 査 で 回 答 の 得 られ た施 設 に常勤 す る栄養 士 ・管 理 栄 養士 は 2.0±1.5人 で あ る。 その 他,直 営 も し くは 委 託 の給 食 業 者 の 栄養 士,調 理 ス タ ッ フ等 の食 事 提 供 に 関 わ る 人員 数 は10.7±5.5人 で あ った 。 対 して 提 供 さ れ る 食 数 は朝 食90.2±49.4食,昼 食115,8±70.7食, 夕食91.5±49.2食 で あ る。 また,デ イサ ー ビス 等 の 配食 が 含 まれ る昼 食 は 除 き,朝 ・夕食 で の 介 護 食 の 提 供 数 は46.2±31.2食 と,約 半 数 を 占め て お り,そ れ らが お お よそ4∼5種 類 の 食 事 形 態 に 分 け られ調 理 され て い る こ とが わ か った 。 先述 の食 事 提 供 に 関 わ る人 員 に は,食 器 洗 浄 や食 材 発注 等 の 業 務 の み を 行 うパ ー トタ イ ムで の従 事 者 も含 まれ て お り,さ ら に,勤 務 時 間 の シ フ トな どを考 慮 す る と,毎 時 の食 事 提 供 は,実 際 に は上記 よ りも少 な い人 員 数 で 対応 され て い る こ とが 推 察 で きる。また,「食 事 の 種 類(形 態 の種 類)を 増 や した い が,調 理員 の数 が 少 な く対 応 で きて い な い」,「咀 囎 嚥下 能 力 の個 人差 が 大 き く, 給 食 調 理 で の対 応 の 限界 を感 じ る」,「メニ ュー 試作 の時 間 が な い」 とい う記 述 は,各 施 設 の 苦 悩 を現 し て い る とい え る。   二 つ め の 要 因 と して,介 護 食 の調 理 や 提 供 にお い て扱 い に くい食 品 ・食材 があ る と考 え られ る。 介護 食 の調 理 で は,常 食 に比 べ て食 材 を軟 らか くす る, 大 きさ を小 さ くす る,又 は ミキサ ー等 にか けて な め らか にす る等 の調 理 過程 が必 要 とな る。 そ れ らの 過 程 に不 向 きな食 材 を使 う手間 や,提 供 した 場 合 に生 じる か も しれ な い事 故 等 の リス ク を考 え る と,そ れ らの食 材 を用 い な い献 立 に な るの は必 然 で あ る。 ま た介 護 食 で は常 食 に比 べ て含 水 量 が 多 くな る こ とに 加 え て,さ らな る加 熱 や裏 ご し等 で栄 養 素 は減 少 す る こ と とあ わ さ り 「栄 養 量 の確 保 」 の 難 しさ につ な が っ てい る とい え る。   三 つ め に,今 回 の調査 で残 食 の 原 因 と して 回答 数 の22%を 占 め て い た 形状,味,匂 い が あ げ られ る。 介護 食調 理 で加 わ る過 程 で は,形 状 だ けで な く味 ・ 匂 い の変 化 が 少 な か らず 生 じる。 ヒ トが美 味 しさ を 感 じる要 素 と して 「味 ・匂 い ・食感 ・温 度 ・色 ・形 」 が あ るが,介 護 食 の調 理 に お い て,場 合 に よっ て は これ らの要 素 が損 な われ て しま う。 如何 に美 味 しさ 一15一 の 要 素 を保 ちな が ら,喫 食者 の 咀 噛 嚥 下 能力 にあ っ た食 事 の調 理 提 供 を してい け る かは,先 の二 つ の 要 因 と も関 連す る とこ ろで あ る。   こ こ まで,介 護 食調 理 提供 の問 題 解 決 の難 しさに つ い て 述べ たが,食 事 をお い し く食 べ て頂 くた め の 取 組 み につ い ての 項 目で は,「 料 理 の 盛付 け ・色 彩 のバ ラ ンス に気 を配 る」,「使 用 した 食材 にあ わ せ た 絵(肉 や魚 な ど)を 描 く ・型 抜 きで 形 を作 る」,「常 食 と似 た見 た 目 に近づ ける 」,「適 温 で の提 供 」 な ど の 回答 が多 くの施 設か らあ げ られて お り,い ず れ も 問 題 の 改 善 を図 る ため の 取組 み で あ る 。 また,手 間 や 時 間 の確 保 が 難 しい と しなが ら も,既 製 品 を使 わ ず に旬 の 食材 を用 い て手作 りの食 事 を提 供 した い と い う回 答 もあ り,各 施 設 で の取 組 み と努 力 に は感服 す るの み で あ る。   今 回 の調 査 を通 して,高 齢者 介 護 保 険施 設 にお け る介 護 食提 供 の 現 況 と取組 み につ い て の実 際 を知 る こ とが で きた。 そ の う えで,ひ とつ の疑 問 を提 示 し たい 。 そ れ は介 護 食の 形態 区分 別 の 呼称 につ い て で あ る。 これ まで に も高 齢 者 施設 な どで 食事 形 態 や そ の呼 称 に つ いて,共 通 認 識 が な いた め 食事 の 統 一 が 見 られ な い との 報 告 は あ った が5),今 回 の調 査 結 果 か ら も同様 の現 状 が伺 えた 。 回答 を得 た 施設 で 用 い られて い た介 護 食 の形 態 区分 別 の呼称 で あ るが,例 え ば,「 ブ レ ン ダー 食 」 と呼 ば れ て い る もの に は み じん切 り とペ ー ス ト状 に まで に され て い る もの が 存 在 して い た 。一 般 的 に,み じん切 り形 態 の食 事 の 対 象 と な る喫食 者 は飲 込 む こ とは で き るが,咀 噛 の 機 能が 衰 え て い る場 合が 多 く,対 して,ペ ース ト状 の ものは 咀 囎 だ けで な く,上 手 く嚥 下 が で きな い喫 食 者 に提 供 され る こ とが多 い 。つ ま り,同 じ呼称 であ っ て も異 な る食形 態 の食 事 が 提供 され て し まっ た場 合 に摂 食 時 の事 故 につ なが る危 険性 が 潜 ん で い るの で あ る。 今 回 の調 査 は 高齢 者 介 護保 険 施 設 の み を対 象 と してい るが,お そ ら く病 院 で も同様 の こ とが 考 え られ,病 院 か ら介 護保 険施 設 に移 られ た 場合 な どに は,食 事 形 態 につ い て も充 分 な伝 達が 必 要 とい え る。 今 後,日 本 社会 にお け る介 護 食 の 区分,呼 称 につ い て は,整 理 され なけ れ ば な らな い ので は な い だ ろ う か 。   最 後 に,介 護 食 の 調理 と提 供 に つ いて,介 護 食 で 扱 い に くい 食 品食 材 が 数多 くあ げ られて い た 。使 用 が 避 け られ て い る これ らの食 材 を上 手 く介護 食 の 中 に取入 れ る こ とが で きれ ば,献 立数 の増 加 や 栄養 素 確 保 の 問 題 解 決 につ なが る の で は な い か とい う考 え,今 後,一 つ の課 題 と して取 り組 んで い きた い。

(6)

謝辞

  今 回の ア ンケ ー ト調 査 に ご協 力 頂 き ま した各 施 設 の皆 様 に厚 く御 礼 申 し上 げ ます 。   また,本 調査 は安 田女 子大 学 家 政 学 部 管理 栄 養 学 科 第4期 生   尾 添彩 加 さん,菅 原 風 花 さん,白 島 美 希 さん,藤 岡 智 代 さ ん,松 岡 麻美 さ ん,光 成 美 里 さ ん,矢 賀 亜 希 子 さん,米 津 真 亜 子 さ んが 卒業 研 究 の 一 環 と して取 り組 ん だ 内容 を再 編 した もの です 。

引用文献

1)総 務 省 統 計 局 ホ ー ム ペ ー ジ   人 口 推 計(平 成   21年10月1日 現 在)一 全 国:年 齢(各 歳),男   女 別 人 口 ・都 道 府 県:年 齢(5歳 階 級),男 女   別 人 ロ ー  http:〃www.stat.go.jp/data/j insui/2009np/   index.htm#05k21-a,(2010) 2)内 閣 府,高 齢 社 会 白 書 平 成23年 版,(2011) 3)厚 生 労 働 省,介 護 保 険 平 成17年10月 改 訂 関 係    通 知(平 成17年9月7日 発 出 分)http:〃www.mhlw.   go.jp/topics/2005/09/tpO907-1.html,(2009) 4)厚 生 労 働 省,診 療 報 酬 の 算 定 方 法 を 定 め る 件 平    成18年3月6日(厚 生 労 働 省 告 示 第 九 十 二 号)

http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/03/d1/

tp0314-a01.pdf, (2009)

5)手 島登 志 子,食 介 護 の 視 点 か らみ た 高齢 者 の 栄   養 管 理(1),96(1),1-8(2000)

参照

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