地球環境政策と環境法における問題点
著者名(日)
浅野 裕司
雑誌名
東洋法学
巻
38
号
1
ページ
33-44
発行年
1994-09-10
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000540/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja地球環境政策と環境法における間題点
浅
野
裕
司
はじめに
地球環境政策は、経済的に持続可能な環境政策でなければならないし、企業の環境責任のみを厳しく追及するだけ では環境汚染は解決されない。環境政策は可能な限り国際的に調整が必要で、経済的に豊かな国と途上国における異 なった実情の存在を認め、持続可能な開発︵ω拐蜜冒ぎ一ΦU磐巴8BΦロけ︶や汚染者負担原則︵勺o一一旨段悶亀ω汐冒06一Φ︶ を考慮しなければならない。公害から環境へ用語の変化はあるが、複雑で大規模な地球環境問題の打開には身辺の公 害問題の解決がまず必要である。論議を要する環境税間題や環境基本法等国内環境政策上の諸問題も意識の高まりの 中で、新しい視点から実情に合わない規制も含め、積極的な論争の展開が必要と考える。そこで若干の指摘をもって 大方の御批判、御叱正を仰ぐことにしたい。 東 洋 法 学 三三地球環境政策と環境法における問題点 三四 地球環境保全政策と共生 一九九二年六月、国連はリオデジャネイロにおいて、二一世紀へ向けて経済的貧困を解決し、環境を保全するため の開発の在り方を求める国際会議︵C巳什aZ簿δ話OO践R980p国莞ヰ9ヨ①旨碧α∪①<巴oOヨ①鼻困08冒器一δ ω−に冒器這8︶、すなわち、﹁地球サミット﹂を開いた。会議では、﹁リオ宣言﹂︵↓箒困OU8一舘讐一99両莞冒9BΦ旨 碧αUo<の一8ヨ①導︶とそれに基づく行動計画としての﹁アジェンダ21﹂︵︾閃9母曽︶を採択し、﹁気候変動枠組み条 約︵温暖化防止条約︶﹂︵q三けaZ蝕○霧閃声Bo毒o詩OO薯o導一99Ω言讐①O冨鑛Φ︶と﹁生物多様性条約﹂ ︵09<9江99田巳o瞥8一9奉邑蔓︶について多数の参加国が会期中に調印し、﹁森林に関する原則声明﹂︵Zo早 一①磯巴貯画&一轟窪90葺蝉賦<Φω什再Φ目Φ暮o言ユ8巨Φω8国㊤ひQ一〇げ巴8易窪ω諾9浮①ヨ磐蝉ひQ﹃①ヨ①鼻8器R<豊9㊤民 ω器$営呂一①8<色8ヨ窪け9匙蔓冨ω98おω琶を決め、﹁砂漢化防止条約﹂を早い時期に策定することを決定し ︵−︶ た。この地球サミットは、多くの失敗と課題を残した。 世界一八三力国が集まった地球サミットから二年経過して地球環境問題に対する熱意も現実の壁に突き当ってお ︵2︶ り、NGO︵非政府組織︶も、その場限りの資金集めや運動母体の思想団体との関係から批判的意見がある。わが国 は、地球サミット以後、一見華々しい取り組みを見せた。環境基本法の成立、地球環境保全のための行動計画﹁アジ ェンダ21﹂の国別計画を、他の主要国に先駆けて作成し、開発途上国の環境保護のための﹁地球環境基金︵GEF︶﹂ にも一九九四年から三年間で米国に匹敵する四億ドルを出資することにしている。しかし、人的な国際貢献の面でも、
わが国が環境分野で一年以上、途上国に派遣した人数は、一九九二年度に僅か一八人に留まっている。資金援助問題 ︵3︶ でも、二本柱と言える環境ODA、GEFとも、世界全体で見ると、規模は余り伸びていない。地球サミットのその 後の展開として、一九九三年五月、﹁第一回砂漢化防止条約の政府間交渉委貝会﹂は、地球サミットで条約の必要性に ついて合意し、一九九四年六月の第五回交渉委員会迄に条約を締結する予定を立てた。一九九三年六月、米国におい て﹁第一回国連持続可能な開発委員会﹂を開き、一九九七年の国連環境特別総会の開催や、それ迄のスケジュールを ︵4︶ 決定した。一九九三年一一月、わが国は、国際協調による地球環境保全を揚げる環境基本法を成立させた。一九九三 年一二月、わが国は、アジェンダ21の行動計画策定をなし、NGOの意見を採り入れたものの、基本的には、各省庁 の現行政策をまとめて作成した。アジェンダ21自体にはない原子力発電推進が盛り込まれた。一九九三年一二月、﹁生 物多様性条約﹂が発効した。これは、多様な生物界を後世にそっくり残す狙いがあり、第一回締約国会議が、一九九 四年一一月に予定され、各国が現状を報告する。カナダやノルウェi等では、条約を実施するための国家計画をいち 早く決定した。わが国は一九九三年五月、同条約を批准した。一九九四年一月、﹁国際熱帯木材協定﹂を改定した。熱 帯林を持続的に利用するための協定で、一九八五年に発効しており、一九九四年三月の期限切れを前に、協定を改定 した。二〇〇〇年迄に持続的経営が行われている森林から伐採された木材のみを貿易の対象とし、新たな基金の設置 も決定した。一九九四年二月、マレーシアにおいて﹁アジェンダ21の資金問題会合﹂があり、主要国と発展途上国の 政府関係者、研究者等が、ODAの伸び悩みを指摘した。研究者はODAに替わる新たな資金メカニズムが必要であ ると提案した。一九九四年三月、スイスにおいて﹁第五回新GEF増資・特別参加国会合﹂があり、世界銀行を中心
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地球環境政策と環境法における問題点 三六 に運営されている﹁地球環境基金﹂の一九九四年七月から三年間の資金規模を二〇億ドルにする。地球サミットでは、 途上国を中心に﹁三〇億ドル以上は必要である﹂との意見が出ていた。一九九四年三月、地球温暖化防止条約が発効 した。日米等三六力国と地域は、九〇年代末迄に、温室効果ガスの排出量を一九九〇年のレベルに戻すとしている。 一九九五年春の第一回締約国会議では、二〇〇〇年以降の更に厳しい目標設定が焦点になっている。わが国は、一九 九三年五月に批准している。当面、環境基本法成立とこれからの環境政策が世界から注目されていることを忘れては ならない。 世界各地で広がっている砂漠化を防ぐための﹁第五回砂漢化防止条約の政府問交渉委員会﹂が、わが国をはじめ百 力国以上が参加して、一九九四年六月にパリのユネスコ本部で開かれた。同委員会で﹁深刻な干ばつまたは砂漢化を 経験している国々、特にアフリカにおける砂漢化防止に関する条約﹂︵砂漢化防止条約︶が採択された。今回の条約で は、援助を受ける側は砂漢化防止のために具体的な行動計画を策定し、それを先進国側が技術的、資金的に支援する 枠組みが決まった。途上国側が主張した国際的基金の創設こそ実現しなかったが前進したことは認められる。一九九 二年の地球サミットにおいては、EC諸国は砂漢化は地域的な環境問題として国際条約の作成に最後まで反対した。 わが国も砂漠化防止に対する取り組みは不十分であり、情報を一元化する仕組みや現地で応用するための協力体制も 整っていない。ここで、国際社会は協力して砂漢化防止に努めることを確認し合った。条約では、砂漢化の影響を受 けている国は、潅概事業や緑化対策等、長期的な行動計画を作成して、各国に報告する。主要国は、この計画を資金、 技術面から援助する。更に砂漢化の現状を詳細に把握するための専門家グループを締約国会議の下に設置する。
気候変動枠組み条約︵地球温暖化防止条約︶は、先進国にCO等﹁温室効果ガス﹂の排出量を、二〇〇〇年迄に一 九九〇年レベルで安定化させる措置をとるよう義務付けている。地球サミットで締結された地球温暖化防止条約の﹁二 〇〇〇年に二酸化炭素の排出量を九〇年レベルに戻す﹂という約束が、わが国内で実行できるか否か微妙な状況にあ る。長期エネルギー需給見通しによると、今後のニパーセント台の実質経済成長率を見込んで、エネルギー需要の伸 びは年率一パーセント程度であり、太陽光等、新エネルギーを大幅に増加させると共に、石炭等も少量増加し、石炭 依存度を抑制するとしている。しかし、二〇〇〇年のCO排出量は、人口一人当りでは九〇年水準に抑えることが可 能であるが、国内の排出総量では、人口増加分に相当する三パーセント程度増加し、二〇一〇年になって九〇年水準 に戻る見通しが関係省庁からも出ている。地球温暖化防止条約の第一回締約国会議では、二〇〇〇年以降の目標が議 論になる予定で、九〇年レベルより更に厳しい目標設定をすべきであるとする意向が各国から出ている。わが国は、 CO抑制目標の抽象的表現の条約より、地球サミット前の一九九〇年に政府が独自に策定した﹁地球温暖化防止行動 計画﹂が、国際的公約との認識がある。同計画は二〇〇〇年のCO排出目標として、①一人当りに換算して九〇年レ ベルにする、②テレビの液晶化等、革新的技術開発で国内全体の排出量が九〇年レベルになるよう努めるとなってい る。策定当時、通産省は前者だけを主張した。環境庁の抵抗で、両論併記になった経緯がある。主要各国は、二〇〇 O年の産業別のCO排出量見通しを、一九九四年九月迄に国連に報告しなければならない。一九九五年三月の第一回 温暖化防止条約締約国会議では、開催国のドイツは同会議で議定書を採択して追加措置を決めたいとの意向を示して おり、大幅な排出削減義務が追加されれば、資源エネルギー庁が進めている長期エネルギー需給見通しが、改めて見
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地球環境政策と環境法における問題点 三八 直しを迫られる可能性がある。 環境政策は、経済問題が重要な位置を占める。持続可能な開発の実現へ向けて、環境と経済との新たな関係を探究 ︵5︶ しなければならない。経済的手法︵国8ぎ巨o冒雪霊ヨo日︶の重視という基本動向に沿って、わが国でも新たな環境 政策の展開を図る熱意も示されている。経済的手法とは、一般的に経済主体が代替的行動の間で選択を行う際の費用 と便益に影響を与えることによって、環境保全を優先する方向へと行動を変えさせる誘因を与える様な政策手法であ って、導入する基本的な目的は、環境資源に適切な価格付けを行うことによって環境資源の効率的な使用ないし配分 ︵6︶ を促進することである。環境保全型経済︵国莞畔9ヨ①簿四ξω2巳きα望馨巴轟げ一Φ80ぎ日く︶の実現とそのための 総合的な政策の在り方は、現代の環境政策の基本的な政策分野と関連する。それは、環境汚染に係わる制御政策︵勺9宰 江900導8一勺○一三8︶、自然生態系に係わる保護政策︵乞蝉εお○○霧段轟江9勺畠9①ω︶、アメニティに係わる保全 政策︵︾日①三蔓HB鷺o奉ヨ①耳勺o一こ8︶であり、これらの政策領域を総合的な環境保全計画の中で適切に位置付ける ︵7︶ ことにより将来の社会全般の良好な環境の保全を重要視しなければならない。経済的手法と国際的協力に関連するも のに共同実施︵ぢぎ江日巳①ヨ窪蜜江自︶があり、一国の政府あるいは企業が温室効果ガスの排出削減またはその吸収増 大を支援するために他国におけるプロジェクトや計画等に投資を行い、その貢献に対して、多国籍機関により排出削 減あるいは吸収増大の一部が投資国の債権として承認され、当該国が気候変動枠組み条約で負っている排出削減債務 へ充当できる仕組みである。経済的手法は、それをどの程度の規模で活用すべきか、ということであって、判断基準 は、環境保全の効果︵9<嘗9目9鼠ざ臣8江く窪8ωγ経済的効率性︵①8ぎ巨oΦ農q2昌︶、公平性︵89蔓︶であ
︵8︶ り、これは国際的で地球規模での視点に立ったものである。わが国の環境白書は、地球サミットで合意した持続可能 な開発の実現へ向けて、環境と経済との新たな関係を探っている。地球環境保全の視点から、産業界に対して大量生 産、大量消費、大量廃棄の仕組みを変える努力を求めている。環境か、それとも経済かという二分思考ではなく、環 境に配慮する経済活動へと変革し、両者の統合を目指すという考え方である。但し、環境への影響の少ない経済活動 に変えようと打ち出したものの行政の姿勢は及び腰である。環境へ配慮することは、産業界にとっても有利であると 言っているに過ぎない。環境保全への投資も長い目で見れば経済活動にとって有益であるし、短期的にも生産や雇用 を誘発するとし、企業を説得しているが、不況の産業界に配慮した点があり、大切な点が忘れられている。どの様に コストが掛っても環境保全を優先させなければならない。環境税やデポジット制度等、環境保全へと誘導する経済的 手法についても触れてはいるが、導入への道筋は全く不明確である。二一世紀に向っての環境行政にとって最大の根 拠となるのは、国の環境基本計画である。種々の開発計画や土地計画等を環境保全の視点から調整できる基本計画を 作成できるか否か行政責任は重要である。地球に優しいという偽装で、各種の事業や計画が景気回復の名のもとに続 出することになろうが、確実に環境に配慮したものか判定する役割と責任があり、他人任せの環境行政は避けなけれ ︵9︶ ばならない。重要なのは、倫理と環境政策の問題である。長期化する不況の影響は、企業の環境投資にも色濃く表れ ︵m︶ ている。しかし、環境監査も新たな課題がある。欧州連合︵EU︶は、一九九五年四月から、外部の公認検証人によ る環境監査や監査結果の公表等の制度の実施を決定した。更に取組みを客観的に評価するため、国際規格づくりも国 際標準化機構︵ISO︶で進められている。この点、わが国の産業界は、欧州に比べ立ち遅れている。わが国の電機
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地球環境政策と環境法における問題点 四〇 業界は、企業活動に伴う環境への悪影響を減らす﹁環境管理・監査﹂システムを導入するため、﹁日本環境認証機構﹂ ︵JACO︶を一九九四年一〇月に設立する。有力な輸出相手先である欧州連合が一九九五年四月に導入するため、 ①国際的な規格に基づく環境監査を整備しないと、輸出が難しくなる、②フロンや粗大ごみの処理問題等、地球環境 問題が経営を直撃しているとの危機感から、業界独自に設立することとなった。企業の環境管理・監査システムとは、 各企業が環境に関する経営方針を立て、企業活動に伴う環境へのマイナス影響︵負荷︶を調べ、﹁リサイクルしやすい 材料開発を行う﹂、﹁産業廃棄物の量をX年度迄に半減させる﹂等の目標を設定し、詳細なマニュアルを作成して実行 する。また、企業は環境管理の内容や今後の行動計画を盛り込んだ﹁環境声明書﹂を定期的に発行し、企業内の内部 監査も実施する。JACOは、企業の環境声明書が国際的な規格に従っているか等を審査し認証する外部監査を行う。 認証制度は法的義務はないが、いわば地球に優しい企業の証明書になる。 環境問題に産業界も取組まねば経済摩擦の原因となり、企業として生き残れないという認識は、広がりつつある。 その一方で、産業界の大勢は、環境監査の法制化を急がず、企業の自主性にまかせるべきであるという意見が強い。 ︵n︶ しかしながら監査機関の独立性と、情報公開が今後の課題である。温暖化防止や生物多様性保護のために、企業は具 体的に何をなしたらよいのか、明確な方向性や国の指針が見えてこない現状では多くの企業が戸惑っている実態を理 解しなければならない。 これ迄の様に、公害防止で済む時代ではなく、国境を越える地球環境問題は個別企業では対応しきれないことを、 ︵12︶ 国も行政も企業も再認識すべきである。今でこそ多くの人々が環境問題の重要性を説いているが、数年前まで公害・
環境の法的問題で実態に触れて書くと、公害論争の過程を経験したことのない学究者からもハウ・ツウものと酷評を 浴びせられた。こうした学界の姿勢も反省の余地がある。こうした傾向は、二酸化窒素の環境基準に対する一九七八 年の大幅緩和や一九八四年の環境保全のための決め手として法制化が期待されていたアセスメント︵環境影響事前評 価︶制度の立法化を挫折させ要綱に格下げさせた素地を見る思いがする。未だに全面解決をみていない水俣病の認定 基準の狭められたことによる水俣病患者被害救済問題があり、また、一九八八年三月施行の公害健康被害補償法第︼ 種地域︵四一地域︶の全面指定解除は、公害・環境問題を産業界・政界と共に軽視してきた学究者の責任でもある。 環境破壊は、対策によって少しも克服されていない。一九八○年代迄の公害・環境問題は終わっていないし破壊・被 害も克服されていない。窒素酸化物については、環境基準の大幅緩和にもかかわらず、自動車から排出されるNOの 総量削減は環境政策にとって重要な課題であった。そこで、自動車のNO総量削減法の制定過程においては、一定地 域内のNO総量の上限を定めて、これに基づいて各工場・事業場ごとの自動車使用による排出総量の許容限度を定め る手法や特定地域につき自動車乗入れを規制する自動車使用規制が提案されていた。しかしながら、制定された法律 では、有効な手法はディーゼルエンジンの転換が中心であり、大幅緩和された環境基準でも達成できるか疑問である。 環境政策の基本原理としての汚染者負担原則については、経済協力開発機構︵OECD︶が一九七二年国連人間環 ︵13︶ 境会議において、﹁環境政策の国際経済面に関する指導原理﹂を理事会勧告として採択したが、その中で環境に係わる コスト負担原則として汚染者負担原則︵PPP︶が表明された。この原則は﹁希少な環境資源の合理的利用を促進し、 国際貿易及び投資における歪みを回避するための汚染防止・制御装置に伴う費用の配分のために用いられる原則が、 東 洋 法 学 四一
地球環境政策と環境法における問題点 四二 いわゆる勺○一一暮R勺2ω即ぎ息巳Φである﹂と定義し、﹁この原則は、受容可能な状態に環境を保つために公的当局に より決められた前記の措置に対して、汚染者が資金上の責任を負うべきであるということを意味する。換言すれば、 それらの措置に対する所要の費用は、その生産と消費の過程において、汚染を引き起こす財及びサービスのコストに 反映されるべきである。従って、これらの措置を講じる際には、貿易と投資に著しい歪みを引き起こす様な補助金を 併用してはならない﹂としている。一九七三年﹁PPPの実施に関するノート﹂、一九七四年﹁PPPの実施に関する 理事会勧告﹂が採択された。一九八五年のOECDの会議では、PPPの一貫した適用及び直接規制との結合による 経済的手段のより効果的な使用を通じて、汚染防止対策の企画・実施における柔軟性、効率及び費用効果を更に向上 させる様に努力するということが宣言された。一九九三年三月、﹁税制と環境に関するタスクフォース﹂の最終報告書 が公表され、環境政策と財源政策の統合という観点から、環境に関する新たな税を導入するだけでなく、既存の税制 ︵1 4︶ の歪みを是正することで、環境改善に貢献し、経済的効率性を高めることができるとしている。このPPPは、環境 政策の基本原理の一つであり、予防原則と同様に、初期のEC環境行動計画の中で定式化されて以来、強化され続け てきた。単一ヨーロッパ議定書によりEEC条約の一部分にさえなっている。その原則は、環境に損害を与えた原因 者が損失の金銭的コストを支払うべきであるというものである。但し、PPPは、エネルギー、流通、交通、農業、 その他の部門で益々有効なものになる様にしなければならないこと、汚染者は、許容される基準以下の場合でさえも 金銭的負担︵例えば特別課徴金︶を負わねばならないこと、市場を基礎とする経済的手段が、環境保護において実質 ︵焉︶ 的にもっと重視されねばならないこと等が実現した場合に、今後も環境政策の要石の一つとして役割を果していくで
あろう。 地球環境を気づかう社会とは何か、今後この課題を考え続けなければならない。これまで人澗は様々な資源の枯渇 や汚染の原因を作り出し、これに悩まされ、時には過去の歴史が証明する様に文明の滅亡をもたらす原因ともなった。 ︵16︶ 技術だけに頼り地球環境問題を解決できるという思考は危険であり、先進国にありがちな考え方でもある。環境哲学 が重要であり、国際社会の﹁共生﹂ということがこれからの地球環境政策の基礎とならなければならない。 ︵1︶ ︵2︶
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