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無水酸硬化エポキシ樹脂の誘電性と動的粘弾性

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(1)

無水酸硬化エポキシ樹脂の誘電性と動的粘弾性

DielectricandDynamic

MechanicalPropertiesofAnbydride-CuredEpoxyResins

彦*

トシェ**

夫**

Nobulliko Sbit∂ Toshie Kasagi Mikio Sat∂

エポキシ系の絶縁材料のモレキュラーデザイン資料を得る目的で,分子構造的に特色のある8種の無水酸を 用いて硬化したエポキシ樹脂の構造と諸性質との関係を調べた。 これよりガラス転移点,比容積,誘電吸収,動的ヤング率,ロックウェ′レかたさなどの諸性質に対する樹脂 の分子構造の寄与を明らかにすることができた。

l.緒

言 近年,電気機器の性能ほ,使用絶縁材料とくに高分子絶縁材料の 進歩とともに飛躍的に向上したが,絶縁材料に対する性能上の要求 は年とともにますます高度に,複雑に,また特殊的になってきてい る。今日の絶縁材料関係の研究者,および技術者の最も電要な任務 は,高分子材料の分子構造と性質に関するit三しい知識に2ぷづいて, 用途に応じて常に最適の材料を提供することで,これに対してモレ キュラーデザイソ,あるいはモレキュラーエソジニヤリングという 言葉が使われている。 固体高分子の分子構造と性質との関係については,従来不明確な 点が多かったが,高分子関係の学問の進歩により,今日では定性的 にはかなりはっきりわかってきている。 さきにわれわれは,こうした高分子の基本的な知識と詳細な実験 結果に基づいて,誘電的性質の面からみた不飽和ポリエステル樹脂 のモレキュラーデザインの法則を提案した(】)。 本報では,同じくモレキュラーデザインの資料を得ることをH的 として,現在絶縁材料として最も広く用いられている硬化エポキシ 樹脂を対象にとりあげ,分子構造と電気的性質,機械的性質との関 係を調べて,現在の高分子について得られている一般的な知識を手 がかりに,できるだけ定量的な検討を行なった結果を報告する。

2.硬化エポキシ樹脂試料

硬化エポキシ樹脂は,エポキシ基をもったいわゆるエポキシ樹脂 を硬化剤で橋かけした三次元の網状構造の高分子である。現在市販 されているエポキシ樹脂,硬化剤の種類ほきわめて多く,これらの 組み合わせにより種々の性質の硬化樹脂が得られる。 今回の実験ではエポキシ樹脂としてShell社のビスフェノールA 形のエポキシ樹脂エビコート828を用いた。その平均構造を弟】図 に示す。硬化剤としては無水コハク酸(SA),無水メチルコハク酸 (MSA),無水フェニルコハク酸(PSA),無水ドデセニルコハク酸 (DSA),無水マレイン酸(MA),無水フクル酸(PA),無水ヘキサ ヒドロフクル酸(HHPA),無水メチルハイミック酸(MHA)(2)の計 8種の無水酸を使用した。これらは第2図に示す分子構造のもの で,こうした構造の差異が硬化後の樹脂の性質にどのように放映し ていくかを調べようとしたものである。 エポキシ樹脂と無水酸を,エポキシ基1個に対して無水酸1分子 の割合になるように混合し,さらにエポキシ樹脂100部に対して1 部の2,4,6一トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを硬化促進 剤として加えたものを,80℃/5h+120℃/2lュ十150℃/24hの条件で 硬化してこ試料を作成した。 * 日立製作所日立研究所 理博 ** 日立製作所日立研究所 CH3 1

CH2-CH【CH2-0一ぐ二〉-C-く≡〉

\0/

とH3

「ら一CH2苫-CH2-0--ぐ>-…≡ぐ二>〕。.19

0-CH2-CH-CH2 \0/ 第1図 エ ポ キ シ 樹脂 名

称+略号』

無水コハク酸 無水 メ チ ル コ ハ 酸 無水フェニル コ ハ ク 酸 無∴水ド デ セ ニルコハク酸 無水マレイン酸 外与水フタル酸 無水ヘキサヒド ロ フ タ ル酸 無水メチルハイ ミ クl酸 SA MSA PSA DSA MA PA HHPA 分 子 式

…:…二…3〉0

1

CH3 ̄…:二…3〉0

1

ぐ ̄ラ ̄…≡二…3〉o

C12H23 ̄…:二…3〉0

…:二…3〉0

1

∈)こ……〉0

CIi2 / \ CH2 CfI l l C}Ⅰ2 CH \cH2/

…3〉0

CH

MHAし呂き与粧…3〉0

巳CH3 CH

し竺里l_備__L

100 114 176 266 98 148 154 178 合 成 合 成 合 成 Allied Chem, 社製 一 級 試 薬 一 級 試 薬 Allied Chem. 社饗圭 日立化成社拳法商 品名MHAC-P 第2図 8 の 無水醸硬化剤

3.比容積および体膨張係数

膨張計を用いて測定した8種の樹脂のガラス転移点,ガラス転移 ノ∴如こおける比容積,体膨張係数を策1表に示す。 3.1ガラス転移点 比容積の温度特性にあらわれる折れ曲り点がガラス転移点***で, ガラス転移点より高い温度では高分f鎖のセグメントはミクロ・ブ ラウン運動を行なっているが,ガラス転移点以下ではセグメントの ***熱肪掛£一種の体寿ご壬緩不郎郎呈なので,ガラス転移点も昇温あ るいは冷却の速比に依存するが,通常の測定では±10℃以 下におさまることが知られている(さ)。

(2)

-127-日

立製作所

立研究所創立三十周年記念論文集

第1表 各樹月旨のガラス転移点,比容積,体膨張係数 無水酸 硬化剤

SA認諾恥HHmMHA

ガラス転移点 fヴ(℃) 才打における比容積p(cc/g) 。bs

】。al

体膨張係数(10▲4/deg)

右右「一こ「 ̄】 ̄芯 ̄ニ ̄;

事 αp,αrはそれぞれガラス状態,ゴム状態の体膨張係数をあらわす。 運動は凍結している。このためにガラス転移点を境に高分子の諸性 質は著しく変わり,低温側でほガラス状,高温側ではゴム状になる。 以上の理由から,高分子物質のガラス転移点の高低は,実用的に きわめて重要な意味をもっている。 ガラス転移点は熱による分子鎖の回転運動が分子間の凝集力にう ち勝って,セグメント運動がはじまる温度である。したがって一般 に分子間の凝集熱が大きく,また分子鎖が回転しにくいほどガラス 転移点は高い。 定性的には極性基が増すほど凝集熱が大きくなることが知られて いたが,河合氏(4)は,沸点における分子凝集熱の加算性を応用して, 高分子のガラス転移点における凝集熱密度(単位体箭当たりの凝集 熱)を分子構造から求める方法を提案している。 エポキシ基と無水酸が化学量論的に反応し,硬化後の樹脂が弟3 図に示す平均構造をとるものと仮定して,ガラス転移点における凝 集熱密度を河合氏の方法により計算し,ガラス転移点との関係を求 め弟4図に示す。SAに側鎖のついたDSA,MSA,SA,PSA硬化樹 脂の系列では,凝集熱密度の増加とともにガラス転移点が高くなっ ていくが,その効果は比較的小さい。またMHA,HHPA,PA,MA 硬化樹脂はSA系列の樹脂と同様な凝集熱密度をもつにもかかわら ず,ガラス転移点は後者に比べて約40℃ほど高い。 分子鎖の回転運動は分子間の橋かけによってもある程度妨害され ると考えて,ガラス転移点におけるみかけの橋かけ密度(単位体積 中の橋かけのモル数)とガラス転移点との関係をしらべた結果を策 5図に示す。みかけの橋かけ密度はさきに第3図に示した平均構 造* とガラス転移点における比容積の値から算出したものである。 ーC-R′-C

C-0-CH2-CH-CH2 0 ‖ 0 二 ′‖ ニ 0-■C-R-C H C ル

アW胡

C-0-CトR-C-一 H C 一 〇

一 R 一 〇 CH3

R:-≪≡≫一手一≪二≫一

CH3 R′: SA MSA PSA DSA 第3図 弟3図の平均構造で, -CH2-CH2-CH3 l -CH¶CHz-ク\

kノ

ー -CIi-CII2-C12H23 l -CH-CH2-硬化エポキシ樹脂の平均構造 DSA 140 120 0 0 nU ハスU (Uしさ 叫蛭凝ぺ小知 60 MHA O HHPA O

皆野

PSA O

九一瞥哲

70 80 90 100 110 凝集熱密度C.∬β.(ca】イc) 第4図 凝集熱密度とガラス転移点 DSA O (Uし思叫浩描べ小転 140 0 ハリ 2 0 0 8 60 MHA O

MA O HIIPA C〉 PSA O

M㌢習

1.0 1.5 2.0 2.5 みかけの怖かけ密度氾×103(mol/4c) 第5図 みかけの橋かけ密度とガラス転移点 みかけの橋かけ鮮度とガラス転移点との間にほ明らかな関係は認め られない。 各樹脂のガラス転移点の高低をきめるのに最も大きな役割を果し ているのほ,分子の構造に由来する分子鎖の回転束縛と考えられ る。各樹脂の分子構造の差は橋かけの無水酸に由来するエステル結 合間の部分だけであるが,この部分の分子鎖の回転が全く困難な無 水酸,すなわち2垂結合をもつMA,ベンゼン環をもつPA,シク ロヘキサン環をもつHHPA,2重の環をもつMHAで硬化した樹

0--R-〕£詣CH2一三H-1 Cこ=0 l --=R′---・ l C=0 MA PA HHPA MHA 破線わく内が構造単位 端の4個の無水酸のうち2個,中央の 0.19個の無水酸が橋かけ分子になり,結局橋かけの数は平均 構造あたり(1+0.19/2)個となる。 CH2-0-C【R′一C【 ll 1-0‡ 0 -CH=CIi一 /■=\ ㌔ ク

く ̄己〉

峯HH

一 一 比容積についても, 脂はいずれも高いガラス転移点を 示し,この部分の分子鎖の回転が 可能な無水酸,すなわち側鎖のつ いたSA系列で硬化した樹脂はい ずれも低いガラス転移点を示す。 なお,さきの側鎖のついたSA 系列で硬化した樹脂で,ガラス転 移点に対する凝集熱密度の影響が 比較的小さかった理由も,それぞ れの側鎖による回転障害の大きさ を考慮するとよく理解できよう。 3.2 比容積および体膨張係数 第1表からガラス転移点におけ

る比容積を比較するとDSA硬化

樹脂がとびぬけて大きく,他はだ

いたい似た値を示しているが,

MA,PA,SA硬化樹脂の比容積 がやや小さい。 定性的には,環状構造やCl,Brなどがはい ると比容積が小さくなることなどが知られているが,河合氏(5)は沸 点における液体の分子容に加算性があるのと同様に,ガラス転移点

(3)

における無定形鎖状高分子にも分子容の加算性があることを見いだ している。 河合氏の方法にしたがい,沸点の原子容の75%の値を用いて計 算した各樹脂のガラス転移点における比容毒責の値を第l表にあわせ て示した。各樹脂とも実測値に3%以内の偏差で一致している。 分子内に橋かけ構造があれば,その部分だけ分子間距離が減るの で,橋かけのない場合に比べてガラス転移点iこおける自由体積(分 子間の空孔)がいくぶん減るはずであるが,線状高分子のガラス転 移点における自由体積自体が全体積の約2,5%程度(6)(7)といわれて いるので,楕かけによる自由体積の減少効果を上記の分子容の加算 の精度で検出することは不可能である。 弟1表で,ガラス状態の体膨張係数α打として2.0∼2.8×10】ソdeg, ゴム状態の体膨張係数αγとして5.3∼7.2×10 ̄ソdegの値が得られ ているが,これらの値は一般の鎖状高分子について得られている値 と同様である。α′とα打との差は自由体積の膨張分をあらわすが,弟 1表の(αr-αヴ)の値は3.1∼5.2×10 ̄ソdegで後述のWLFの式(6)か ら噂かれる円山体積の膨張分4.8×10 ̄ソdegとほぼ一致している。

4.誘

各樹脂について30kc/sで測定した誘電率,損失率の温度特性を 第占図に示す。どの樹脂についてもー60℃から200℃までの測定 温度範囲内に2個の緩和過程が存在し,おのおの誘電率の急増(分 散)および損失率の極大(吸収)が認められる。ガラス転移点より 高温にあらわれるα過程のみかけの活性化熱の実測値は60∼90kcal で主鎖セグメントのミクロブラウン運動に基づく緩和過程と考えら れる。ガラス転移点より低温にあらわれるβ過程のみかけの活性化 熱の実測値は10∼16kcalで主鎖のさらに局部的な回転運動に基づ く緩和過程と考えられる。

4.1α吸収,β吸収の極大値

一つの緩和過程における分散の大きさほこの過程の配向分極の大 きさを表わし,吸収の大きさは双極子回転によるエネルギー吸収の 大きさを表わすので,いずメtも配向にあずかる極性基の濃度ととも に増すはずである。 硬化エポキシ樹脂がさきに弟3図に示した平均構造をとるものと すれば,樹脂中にふくまれる極性基はエステル基,エーテル基,フ ユニル基だけである。 弟3図の平均構造から樹脂中のエステル基,エーテル基,フェニ ル基濃度を計算した結果を第2表に示す。エステル基,エーテル基 は無水酸分子量の増加とともに減少するが,フユニル基はフェニル 基を含む無水酸を用いた場合に著しく増加する。フェニル基の双極 子能率0.4D(8)はエステル基の1.8D(8),エーテル基の1.2D(8)に比 べて小さいので,樹脂全体の極性をエステル基(エーテル基でも同 様)濃度であらわしてもそれほど大きな誤りはない。 α吸収,β吸収の損失率の極大値とエステル基濃度との関係を弟 7,8図に示す。β吸収では極性基濃度とともに損失率極大値が増加 するが,α吸収では損失率極大値は極性基濃度と一見無関係に見え る。α吸収の極大値が極性基濃度によらない理由としては,導電損

失の影響,みかけの橋かけ密度(極性基濃度に比例して増す)の増

加による配向の束縛,2垂結合や環構造による分子内回転の禁止,

分子鎖の幾何学的な配置による双極子能率相互の打ち消しなどが考

えられるが,弟7図の様子からはいずれとも決められない。

4.2 緩和時間の温度依存性 一般にガラス化する物質のガラス転移点以上で緩和現象を測定し た場合に,緩和時間の温度依存性は次のWLFの式(6)にしたがうこ とがよく知られている。 5 匂 4 3 0【×三U A SAMSAPSADSAMAPAHHPMHA β ○ ● △ ▲ ロ ■ ㊧ @ -40 0 40 80 120 160 200 測 定 温 度(Oc) 第6図(1)誘電率の温度特性(301くC/s) A PA SAMSAPSADSAMAPAHHMH O ● △ ▲ □ ■ ◎ ㊥ 40 40 80 120 160 測 定 温 度(Oc) 200 第6図(2)誘電損失率の温度特性(30kc/s) 第2表 各樹脂のガラス転移点における極性基濃度

無水酸靴剤l諒㌢£灘雪男

エーテル基濃度(10 ̄3mol/cc) (10 ̄3皿01/cc)フユニル基濃度 SA MSA PSA DSA MA PA HHPA MHA 10glO(わ、= -8.86(T一丁5) 101.6+r一了1 丁=αT Tざ‖. ここに,r: 丁: T5: Ts: αT:

一129-..(1) …‥(2) 温 度 緩 和 時 間 ガラス転移点より約50℃高い基準温度 了1における緩和時間 シ フト 因子

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立製作所

立研究所創立三十周年記念論文集

10 A S D SA O 〇一×匂.■一芸∈㍉ A SO D PA M打A O MSA OopsA O 〃〃PA O 6 7 8 10 SA O 如A O エステル基過度×103(mo】メc) 3 4 5 エ【テル基濃度×10き(mo】メc) 第7図 α吸収の誘電損失率極大値と 極性基濃度 N〇一×平岩己㍉ 九IHA O HHPA PSA O MSA O PA 5 6 7 8 エステル基濃度×103(mo】メc) 3 4 10 芸 2 】og叫 WLF式 -8.86(rr,) 101.6十rT, MA O エーテル基濃度×103(mol/々c) 第8図 β吸収の誘電損失率極大値と 極性基濃度 実測したガラス転移点より50℃高い基準温度における各樹脂の 誘電緩和時間丁5.∈けをもとに,60c/sより300kc/sの範囲で測定し たα過程のシフト因子αTと(r一丁5)との関係を第9図に示す。ど

の樹脂の測定値も実線で示したWLFの曲線上によく乗っている。

これは各樹脂の損失率極大温度の高低の順位が,さきのガラス転移 点の高低の順位に支配されることを示すものである。 WLFの式は自由体積分率の温度依存性に基づくものとして理論 的な根拠(6)も与えられているが,基準温度にガラス転移点7七をと りいっそう物理的な意味をはっきりさせた次の(3)式を用いた場合 には各樹脂の測定値の(3)式からのかたよりはきわめて大きかっ た。同様な事実は従来も報告されており(6)(9),WLFの式が理論式

としては定性的な関係を示すにとどまり,定量的な意味でほ一種の

実験式にすぎないことを示している。なおWLFの式のシフト因子

αrは,別の温度で測定した誘電特性データを重ね合わせる際にきわ めて重要な働きをする(10)。 10glO(7r′= 丁=αノTg..

二!担生土工:二三旦〕

51.6十r【7'g ‥(3) ‥(4)

5.動自勺粘弾性

高柳氏らの開発した強制振動非共振法(11)により110c/sで測定し た各樹脂の動的弾性率(動的ヤング率)および損失率の温度特性を第 10図に示す。誘電性の場合のα,β緩和過程に対応して,同様なα,

β緩和過程が存在し,ヤング率の減少および損失率の極大が認めら

れる(一部の樹脂のβ過程は測定温度範囲外に存在するものと思わ れる)。 5.1誘電性との対応 α吸収の損失率極大温度の高低の順位ほ,誘電性の場合と同様に

ガラス転移温度の高低の順位とはぼ一致している。

基準温度Tgにおける誘電緩和時間T5.e′′を借用しそれに対する動

的粘弾性のシフト国子を求め,(T-7も)との関係を弟9図にあわせ

て示した。国中破線でかこんだものが粘弾性の測定値で,WLFの 曲線からかなりはずれている。これは,基準温度r5における動的 粘弾性の緩和時間丁5・ど′′が誘電性の緩和時間T5咋†′より数けた小さい ことを示すものである。誘電緩和時間は力学的遅延時間に対応する が,一般に力学的緩和時間よりも長く,力学的遅延時間よりは短い といわれている。なお前田民ら(12)およびThurn氏ら(13)ほ超音波縦 波の吸収極大温度が誘電性の吸収極大温度より数度ないし数十度低 いことを報じており,逆にFitzgerald民ら(ユ4)は動的ずれ応力の測 定から吸収極大温度が誘電性の吸収極大温度より10皮内外高いこ とを報じている。こうした差異が動的粘弾性の測定法の違いに基づ ∧UO (NEて岩音).■叫 0 (N∈やむF(ヨ ■叫 10E

SAMSAPSADSAMA㌫MHA

ー40 -60 -40 -√′ ̄ ̄■、1助川.脚性 \、-′′ その他Jユ誘1に特性 A A A・几 P・八 A S S S A A H H S M P hU M P H M 20 0 20 ㌻r,(一K) 40 ()0 ロックウニルかたさ(A主jこ) 第9図 各実験より求めたシフト 因子αrと温度との関係 40 80 120 160 200 測定 捉度 ぐC) 第10図(1)動的ヤング率の温度特性(110c/s) A nrA SAMSAPSADSAMAPAHHMH ー40 40 80 12D 160 200 測 定 温 度(Oc) 第10図(2)損失率の温度特性(110c/s)

(5)

第3表 各樹脂のガラス状態,ゴム状態における 動的ヤング率 無水醸 硬化剤

SA仙藍MAPAHHPAMHA

ガラス状態におけるヤング率〔25℃〕 (1010dyne/cm2) E′ヴ

I

Eダ.。al ゴム状態におけるヤング率〔f打+100℃〕 (108dyne/cm2) E′γ ET・・Cal くものか否かは明確でない。なおWilliams氏ら(15)は基準温度Tg における動的粘弾性の緩和時間Tg・且′′を基準にして動的粘弾性のシ フト因子αrを求め,基準温度r5における誘電性の緩和時間丁5・∈′′ を基準にして誘電性のシフト因子∂ァを求めれば,両者が全く一致 することを確かめている。 5.2 ガラス状態の動自勺ヤング率 各樹脂の25℃における動的ヤング率を第3表に示す。いずれも 1.0∼1.3×1010dyne/cm2の間の値を示し,試料による差は少ない。 ToboIsky上毛(16)は分子間のポテンシャルエネルギーがLeonard-Jones氏の式(17)によるとして,ODKにおける分子結晶の体杭弾性率 +払.0が00Kの凝集熱密度(C.ガ.β.)0に比例する(5)式の関係を導 いた。 β。.0=8.04(C.ガ.β.)。… ..(5) 高温の体積弾性率も近似的にその温度の凝集熱照度(C.孜β.)を 用いた同じ形の(6)式で表わされ,結晶状,ガラス状の高分子に適 用されるという。 且.ダ=8.04(C.且β.) ‥(6) DSA MA (). 3.0 5 <U 5 ハU ▲ソ】 (。て一■。E)わ○【X・こ芸 当寵芋や整軍信 0.5 PSA O PA O。 HA MSA 1.0 1.5 2.0 2.5 みかけの怖カーけ密度¶×103(mol/毛c) 一般の結晶状,ガラス状の高分子ではポアソソ比は0.25∼0.33な のでヤング率臥gは体積弾性率β。.ヴにほぼ等しい。 &.g=8.04(C.〃.β.)‥ …(7) 既述の加算法則(4)から求めたガラス転移点における凝集熱密度を (7)式に代入して得たヤング率私。。1は,弟3表に示すように25℃ における動的ヤング率の実測値且ワ′の約3倍の値になる。この差は

加算法則の精度および動的ヤング率の測定精度から考えられる誤差

よりも大きい。無定形高分子ではガラス転移点以下でも局部的な分 子鎖の回転が行なわれている(1B)ので,ヤング率且ヴほこうした分子 鎖の回転による分子配置の変化のない結晶のヤング率E。より小さ くなるはずで,実測した弟10固からも局部的な分子鎖の回転運動 の凍結するβ分散より低温では動的ヤング率E′が25℃の値よりか なり大きくなることが予想される。 5.3 ゴム状態の動自勺ヤング率 ゴム状態の高分子をひきのばした場合に伸長度が300%程度まで は,エネルギー変化がほとんどなく,エントロピーの減少だけがみ られることはよく知られている〈19)。伸長率が小さい場合の理想ゴム のヤング率且rは(8)式であたえられ,楕かけ密度打と絶対温度T に比例する。 且r=3〃月T ‥‥(8) 第11囲 みかけの橋かけ密度と有効橋かけ密度 (ガラス転移点における値) 算した場合の有効橋かけ密度‰Hを求め,これとみかけの橋かけ密

度絶との関係を第11図に示した。なお比較はガラス転移点の値で

行なった。側鎖のないMA硬化樹脂,SA硬化樹脂では両者はほぼ 一致しているが,無水酸の分子量が増し77がへるにしたがって〝eff が乃よりも急激にへることが注目される。この機構は明確でない が,大きな側鎖の存在による立体障害のためむこ,硬化時に分子内橋 かけの機会が多く,結局弾性にあずかる有効橋かけ数が減ったと解 釈することもできる。 る.ロックウェルかたさ ASTM法(20)によりロックウェルかたさ(A法Rスケール)およぴ αロックウェルかたさ(B法)の温度特性を測定した結果を弟12図 に示す。ロックウェルかたさ(A法)の極小になる温度の順位,αロ ックウェルかたさ(B法)が急激に低下する温度の順位は,さきに策 1表に示したガラス転移点の高低の順位とよく一致する。 占.1ロックウェルかたさとヤング率 秋田氏(21)は粘弾性のVoigt模型をロックウェルかたさのひずみ の解抑こ応用し,ロックウェルかたさ(A法)のひずみrAおよびα ロックウェルかたさ(B法)のひずみrβをあらわす次の(9),(10) 式を導いた。 0 nU 各樹脂のガラス転移点より100℃高い温度における動的ヤング率 の実測値Er′は弟3表に示したように0.5∼3.1×108dyne/cm2の広 い範囲の値をとる。第3図の平均構造より同じ温度におけるみかけ

の橋かけ密度乃をもとめ,これを(8)式に代入して得たヤソグ率

Eγ.。alの値を同じく第3表に示す。Eγ・Calの大小の順位は実測値Er′

の大小の順位とよく一致するが,無水酸の分子量が増しみかけの橋 かけ密度〝が小さくなるほど実測値との差が大きくなっている。 逆に動的ヤング率の実測値Er′から(8)式を用いて理想ゴムに換

-131-・・・晰-如-叫・,恥-小・L2。

2 4 6 一 一 一 〔ユ丁ホペ出光三 村ヤヤ+、Hケヘ>n 一60

SA脱PSAmMA㌫MHA

⊥4。 80 100 120 140 160 洲完さ㍊.度(□C) 第12図(1)ロックウェルかたさ〔A法Rスケール〕 の温度特性

(6)

日立製作所日立研究所創立三十周年記念論文集

∧U <U ∧U 2 0 8 〔墟巴 仙‥でやミHケヘ㌣D也 0 0 60 A ASASASAAAHPHA SMPDM…plHM 20 40 60 80 100 120 140 160 別 荘 j止度(8c) 第12図(2)αロックウェルかたさ〔B法〕の温度特性 1

rA=(訂〔1+6g▲チ▼6β ̄チーβ

1

γ月=(訂〔ト6β ̄チーβ

2(2才十go)1

〕2

.‥(9) 2(f+fo)1

T〕2

‥(10) ここに,E:ヤ ン グ T:遅 延 時 間 A‥ 荷重と鋼球の径によってきまる定数 ≠0:小荷重を加えた後にゼロ点をあわせるまでの時間

才:大荷重負荷時間および大荷重を除いて後に測定す

るまでの時間 また∠=0すなわちゼロ点を調整したときのひずみr。は次の(11) 式で与えられる。 1 2fol

ro=(昔)す〔トβ ̄丁〕す

…‥(11) ひずみがrの場合に半径月の鋼球のおしこまれる深さゐはr丘で 与えられるので,ロックウェルかたさ(A法)月。およびαロックウ ェルかたさ(B法)月βはそれぞれ(12),(13)式の形であらわされる。 月A=130-500月(γA-r。) =130一α

(浅-)‡‥

丘β=100-500月(rβ-r。) =100-ろ

(÷)‡

‖(12) ‥(13) α,∂は遅延時間Tの関数なので物質および温度によって変わる。 (12),(13)式は定量的にほ正しくないが,定性的にはよくロック ウェルかたさの測定にあらわれる現象を説明するという。

ガラス状態で実測したロックウェルかたさ(A法)屯・Aとαロッ

クウェルかたさ(B法)屯・月との間には屯・A≒屯・β+30の関係が

成立し,大荷重除去後のひずみの回復がはとんどないことを示して いる。25℃のロックウェルかたさ(A法)鞄・Aと同温度の動的ヤン グ率且g′との関係を弟】3図に示す。MSA,PA硬化樹脂をのぞいて だいたい直線に近い関係が得られている。MSA,PAのはずれてい るのは遅延時間丁の差に基づく本質的なものでほなく測定誤差によ るものと思われる。 勺恥喝 〔ミⅠ心ぺ出城三和ヴやミりかへ、占 DSA PSA PA 封HpA MSA () 1.0 1.1 1.2 動的ヤング率E;×10 ̄10(dyne/4m2) 第13図 25℃における動的ヤング率と ロックウニルかたさ〔A法Rスケール〕 ハリ O O nU O nU .4 2 り人-・4 丘じ

言・毒筆て単

【 ■ -〔ミⅠ心ぺ田淵ヱ仙以一やミリ小へ、占 DSA HHPA 00 トIHA PSA O MSA (〕 PA O SA O 九1A (⊃ 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 動的ヤング率E;×10 ̄8(dyne/々m2) 3.5 第14図 ゴム状態のヤング率とロックウェルかたさ 〔A法Rスケール〕極小値 ガラス転移点以上でセックウェルかたさ(A法)が極小になる温度 は各樹脂の遅延時間丁がいずれも等しくなる一種の対応状態と考え られるので,この温度では(12)式のαが各樹脂とも同じ値になり, ロックウェルかたさ(A法)の極小値月A・血nの値はその温度におけ る各樹脂のヤング率grによってのみきまるはずである。弟14図に 示すように各樹脂の凡4・minとゴム状態における動的ヤング率Er′ との間にはだいたい対応が認められる。 る.2 他の緩和現象との対比 秋田氏(21)は(12)式からロックウェルかたさ(A法)の極小のあら われる温度で遅延時間rが才の約2倍になることを導いたが,ここ では一応f=15秒を遅延時間とみなして,基準温度T5における誘 電緩和時間T5・どけをもとにシフト因子αrをもとめ,(アーアざ)との 関係をしらべた。さきの弟9図で点線でかこんだ測定点がそれで, 誘電緩和時間から求めたWLFの曲線上によく乗っている。動的粘 弾性の場合と異なり遅延時間であることに,上記の一致の原因があ るのかもしれない。

7.結

8種の無水酸を用いて硬化したエポキシ樹脂の諸性質を測定し,

分子構造の影響をしらべた結果,モレキュラーデザインの資料とし て次の諸点が明らかになった。 (1)ガラス転移点の高低を支配する因子としてほ凝集熱密度と

分子鎖の回転束縛とがあるが,分子鎖の回転が禁止される

二重結合,環構造の導入がガラス転移点を高くするのに最

も有効である。

(2)ガラス転移点の比容積は分子容の加算別により3%以内の 偏差で予沸できる。

(7)

(3)β域の誘電吸収極大は極性基濃度とともに増すが,α域の 誘電吸収極大の大きさは必ずしも極性基濃度によらない。 (4)誘電緩和時間のシフト因子はWLFの式にしたがう。 (5)強制伸縮振動を与えて測定した動的粘弾性の緩和時間は誘 電性の緩和時間より短い。 (6)ガラス状態の動的ヤング率は樹脂の種窺によらず1.0∼1.3 ×1010dyne/cm2の値を示し,凝集熱密度から計算した値 の約1/3である。 (7)ゴム状態の動的ヤング率は0.5∼3.0×108dyne/cm2の値を 示し,側鎖のない無水酸を用いた場合はみかけの橋かけ密 度から計算した値とほぼ一致するが,側鎖が大きくなるに したがい計算値より小さくなっていく。 (8)ガラス状態のロックウェルかたさ(A法)およびαロックウ ェルかたさ(B法)は動的ヤング率の増加とともに増す。 (9)ロックウェルかたさ(A法)の極小値はゴム状態の動的ヤン グ率の増加とともに増す。 本研究に対しご指導をいただいた日立製作所日立研究所中牟田昌

治博士,坂下潔博士,河合鱗次郎博士,実験に協力された田村竹

男,本道健一,箕輪秋雄の諸氏に深く感謝する。 参 芳 文 献 (1)紫藤:日立評論44,1761(1962) (2)堀辺,小川:目立評論44,1768(1962)

特許舞300954号

本発明ほたとえばイソコネルのような高合金材料の板持板の突合 せ溶接方法に関するものである。0.2mmの極薄板の突合せ溶接は 従来きわめて困難でありその改良手段として本発明者等によって先 に表当板溶接方法とも称すべき,突合せ溶接部のピードを当てるべ き表地に同材質の薄板を載置しその上部からアークを当てて行なう 手段が提案された。この手段はステンレスなどには好結果が得られ たが,特殊なインコネルなどについてほなお満足することができな かった。 本発明ほこの問題を改良させるために努力した結果生まれたもの で,前記の表当板溶接方法における表当板の表面にあらかじめ空気 中熱処理などの方法により慧色酸化被膜を形成させることを特徴と するものである。 図(a)において1および2ほ突合せ板,3ほあらかじめ表面に酸 化放膜処理を施した当板,4はピードである。同園(b)は(a)の裏 面であり5は融合部を示す。当板の酸化皮膜の程度は男色の緻密な 色択を呈するほどが効果的である。裏面は磨かれてあるを可とする。 本発明の方法によればピードは安定し,溶込みが均一でしかも十 分であり溶孔を生ずることがなかった。本発明による酸化皮膜の施

3 4 5 6 (7) (8) (9) (10) (17) 18 19 20 日本物理学会編:高分子の物理148,154(1963,朝倉書店) 河合:高分子占,348(1957) 河合:高分子化学13,139(1956) M.Williams,R.Landel,J.Ferry:J.Am.Chem.Socリ77, 3701(1955) 5戸井:高分子5,194(1956) C.P.Smytb:Dielectric Behavior (1955,McGraw-Hill,New York) J.Ferry:Viscoelastic Properties of and Structure,252 Polymers,217,231

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Materials(1961)

(21)秋田:高分子化学17,733(1960)

渡 辺

潔・朝

重 次

法 行は溶融金属の保護およびアーク熱を集中させる働きがあり,他方 電子放射を容易にしてアークの安定性を増す作用を有するものと考 えられる。 (高橋) (a) (b)

Ⅶ133∬

参照

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