サ-ビス経済の拡大と人的資本の蓄積について
著者
今村 肇
著者別名
Imamura Hajime
雑誌名
経済論集
巻
12
号
2
ページ
p73-94
発行年
1987-01
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005471/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja東洋大学「経済論集
J
12巻 2号 1987年 1月サービス経済の拡大と人的資本の蓄積について
今 村
肇
1) 問 題 の 所 在 サーピス経済化・情報化という言葉が,巷間の注目を集めるようになって久しし、。しかし,この 言葉のもつ経済学の分析用語としての意味については,依然、として暖味な点の多いことを否定でき ない。この言葉から我々が想起する経験的事実は,この言葉の包含する領域の広さゆえ,個々の観 察者の視点によって見逃すことのできない偏りを持っている。あえて一般的な言い方をすれば,サ ービス経済化・情報化とし、う言葉は,ここ数十年の間に起こったり起こりつつある経済のダイナミ ックな構造的変化に関する観察事実のなかで,顕著に表面化した事象を総称的に指すものである。 つまり,もともと分析的な意味がはっきりしないうえに,言葉だけが独り歩きしたため,その注目 の度合に比べると経済学において本来問題とすべきサービス経済化・情報化の構造的側面について はまだ十分な解明が行なわれていないのが現状であるO したがって,現状においてはこの言葉の背 景にある経済の構造的変化を一つ一つ解明することが急務であり,本来その手続きを経てからでな ければ,サーピス経済化・情報化の経済分析における意味を問うことは出来ないはずである。 本論では,このような現状をふまえ,経済の観察者としての立場から,特に生産性と雇用という 視点を中心にして,サービス経済化という観察事実の背後にある構造的要因を解明するための第1 次的アプローチを試みる。数ある分析の可能性のなかで,経済発展と人的資本の蓄積という視点に よるアプローチの現状と,今後の可能性を明確にすることを最も重要な課題とする。 とりわけ,本論では,労働の質とし、う視点に多くの比重を置いた。なぜ、ならば,経済発展と人的 資本の蓄積という視点を集約する一つの有効なアプローチとなりうるからである。そのアプローチ のスタンスは,有効な資源配分のメカニズムとしての競争的な労働市場の下で,個々の主体の合理 的な行動の結果として成立する均衡賃金を,属性の異なる労働の質の尺度にしようというものであ 73る。つまり,労働の質の推移を観察することにより,そこに含まれているサーピス経済化が労働市 場に与えるイムパクトに関する情報を読み取ろうというものであり,その意味で第1次的なアプロ ーチと呼ぶのである。 本論における分析の手11原は,先ずサービス部門の経済学的研究の鳴矢であるフュックス (1968) にさかのぼって,そこで経済発展におけるサービス化と労働の質変化の関係について行われた言及 の論点を整理する。特に,産業聞における労働の質変化の格差としづ視点に注目して,経済発展の 文脈の中でその分析上の意味を検討する。そして,その後の研究成果をふまえながら,労働の質変 化をサーピス部門を中心にして実際に計測するO そこでの分析結果をもとに,サービス経済の拡大 が経済発展に果たす労働の役割にどのような変化をもたらしたのかを,高度成長期と石油危機以後 を比較しながら検討する。 そこで得られた暫定的な結論を要約すると,まずサーピス経済部門における人的資本蓄積のスピ ードが製造業部門のそれを,石油危機以降になって上回り始めたとし寸観察事実が得られている。 それは,製造業部門からサーピス経済部門へと,人的資本蓄積の中心的な役割を果たす産業が,入 れ替わっていることを意味している。そして,その事実はまさにフュッグス (1968)が, サービス 部門拡大による人的資本蓄積へのインパクトとして予測した,婦人の雇用機会の拡大,高学歴労働 者の蓄積,熟練の向上や訓練の増大といった内容と,その結果として起こるサービス部門における 労働の質の向上とが,日本におけるサービス経済拡大の過程で起こっていたことを示すものである。 とりわけ,卸・小売業や金融・保険業ではその傾向がはっきりと読み取ることが出来,今後の日本 経済において人的資本蓄積の中心的存在となることが予想されるのである。 2) 経 済 発 展 に お け る サ ー ビ ス 経 済 の 拡 大 と 労 働 の 質 サービス部門雇用のウェイト増大がマクロ経済の生産性に与える影響について,サーピス経済の 本格的分析の鳴矢といえるフュッグス(1968)においては,サーピス部門と鉱工業部門における労働 の質の差に注目するという形で重要なテーマのーっとなっていた。さらに,サービス経済の分析に とって重要と思われるいくつかの指摘も行なわれている。そこで,以下においてはフュッグス (19 68)の分析を,産業聞の労働の質変化格差という視点を中心にもう一度振り返ってみることにする。 フュックス (1968)はその中で1つの章を割き,部門間生産性格差と労働の質の問題を吟味して いる。労働の質がここで問題として取り上げ、られたのは,産業部門別生産性比較をした際1), その 1) ここで産業別生産性格差が問題になったのは,サービス履用の相対的成長を産出のサーピスへの移行によって説羽しょ うとしたが,その結果は僅かな効果しか見いだすことができなかったためである。そ4で,今度はI人当たり産出の部門 7JU変化率によってサーピス雇用への移行を説羽しようとしたのである。 一 一
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← 一 一サービス経済の広大と人的資本の蓄積について 指標として採用した労働投入1単位当たりの生産高:2)と,単なる1人当たりの生産高とが釆離する ため 1人当たりの労働時間と労働の質の差によって説明しようとしたことにあるo1929-65年の 聞に1人当たり産出高は,鉱工業部門で年率2.2%,サービス部門で年率1.1%の伸びであった。両 部門の差は1.1%である。一方労働報酬や労働時間に関して調整を行なった「労働投入 J 1単 位 当 たりの生産高の差は, 0.6%にしかならなし、。したがって 1人当たり産出高の半分は「労働投入」 と「雇用」の差によって説明できることになる。ここでのフュッグスの重要な指摘は 1人当たり 報酬の数字を基にして,労働の質がサービス部門におけるよりもはるかに速く鉱工業部門で上昇し つつあるという点である。それをフュッグスは次の4つの要因で説明している。 ① 両部門の技術変化の要素ノてイアスが異なり,サーピス部門より鉱工業部門においてよけいに 熱練労働を必要とした。 ② 労働の質と物的資本の間に補完性があり,たとえばそれは, より複雑な工場や設備を操作す るのに熟練労働が必要とされるとし、うような場合が考えられる。 ① 熟練労働と未熟練労働や,資本と未熟練労働との間の代替の弾力性の部門別格差があり,未 熟練労働の相対価格上昇傾向の下で,鉱工業部門の方が,より未熟練労働を熟練労働や資本に 代替させるのが容易であった。 ① 未熟練労働の価格上昇率が,組合運動や最低賃金法のために,鉱工業部門でより高かった。 さらにそれ以降の章でフュックスは労働の質を考慮、した分析を続け,労働の質を考慮、した時間当 たり稼得額の産業間および部門間比較を行なっている。性,年齢,学歴,人種などの人口学的な要 因を労働の質の代理変数とみる立場にたち,全部で168個のメッシュに細分化して,経済全体で合 計されたそれぞれのメ γシュの時間当たり平均稼得額をもとにして,各産業・各部門の「期待」稼 得額を求めている。この「期待」稼得額と実際値の比率を求めたのが(表1)である。 この表を見て何よりも明白なのは,サービス部門において「期待」値を実際値が下回る場合が多 いということであるO 特に男性の場合は顕著で,取り上げられた11のサービス部門のうち8{if,門ま でが期待を下回る実際値を示している。その一方鉱工業部門では期待を下回る産業はなかった。サ ービス部門と鉱工業部門全体では,鉱工業部門の方が実際の稼得額は17%高いという結果が示され ている。しかし,
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期待J稼得額はサービス部門と革工業部門ではほとんど違わず,したがって両 部門の稼得額の差は労働力構成の差では説明できないと結論している。 そこで,サービス部門と鉱工業部門の稼得額格差を〔表2)にあるような9つの要因に分解して, それぞれの寄与率を回帰分析によりもとめている。そのなかで最も大きな寄与を示したのは,組合 化率であった。時間当たり部門間稼得額格差のうち,実に3分の 2以上は組合化の部門間格差で説2) Fuchs I主労働投入の集計に当たって,基本約にDenison(l 96ï) や Iイ~endrick (1961) などと同僚賃金報酬額が何ら かの労働の質の指標になるという考え方に基づいて集計している。
表 1 1959年の部門別および主要産業グループ別に見た時間当り稼得額の実際値と期待値a ノ口"- 計 男 性 女 i主 実際値の 実際画面 実際値の 実 際 値 期 待 値 群 鉱 実 際 値 期 待 値 碧 空
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実 際 値 期 待 値 暫 思 率 率 率 全 産 業b $2.50 $2.50 鉱 工 業 部 門 2.70 2.50 2.31 2.51 2.89 2.62 2.87 2.58 2.67 2.47 2.79 2.54 2.51 2.38 2.70 2.57 2.63 2.45 2.69 2.28 2.58 2.59 2.58 2.78 2.88 2.71 1.96 2.37 2.92 2.63 2.43 2.56 1.36 1.82 2.28 2.40 2.63 2.77 務 2.49 2.71 2.35 2.29 1. 00 $ 2. 79 $ 2. 79 1.08 2.88 2.69 . 92 2. 69 2. 94 1.10 2.94 2.66 1. 11 2. 90 2. 61 1.08 2.91 2.70 1.10 2.94 2.69 1.05 2.86 2.72 1.05 2.75 2.63 1.07 2.90 2.75 1.18 3.40 2.87 1.00 2.68 2.70 .93 2.61 2.87 1.06 3.04 2.89 . 83 2. 22 2. 68 1.11 3. 58 3. 17 . 95 2. 50 2. 70 .74 1.93 2.57 . 95 2. 39 2. 62 . 95 3. 31 3. 58 . 92 2. 64 3. 02 1.03 2.61 2.58 0 2 4 K 3 2 9 7 6 5 8 4 7 3 2 6 0 1 q v o l -o l -0 2 1 8 0 L L ・ L L L L L L L L L L L ・ L 0 3 4 K 8 1 5 8 3 1 0 7 7 3 3 2 7 6 7 8 7 6 6 5 7 7 7 7 7 7 6 7 L L L L L L L L L L L L L L L L e o 0 4 3 h b 2 0 6 9 1 6 0 4 4 5 4 2 7 8 6 9 0 8 9 6 0 9 0 8 2 0 3 8 L L L L 乙 L L L Z L Z L 乙 L L L@ 。
0 7 1 0 1 8 9 5 4 6 8 9 1 5 3 3 0 0 Q U I -o o o n V A v -9 9 0 8 1 ...•• , , 1 1 4 1 1 1 1 1 1 1 1 4 1 守 l . 92 2. 04 1. 79 . 75 1. 00 1. 35 .91 1.94 1.71 1.14 .74 1.13 . 92 1. 97 1. 99 . 88 2. 06 1. 86 .99 1.11 サ ー ピ ス 部 門 鉱 業 建 設 業 製 造 業 耐 久 財 非 耐 久 財 運 輸 通 信 ・ 公 益 事 業 通 信 公 益 事 業 郵 便 サ ー ビ ス 卸 売 業 小 売 業 金融,保険,不動 産業 対事業所および修 理サーピス 対 個 人 サ ー ビ ス 娯楽およびレクリ エ ー シ ョ ン 専門的関連サービ ス 公 産 た つ , D E 4 j の 答 田美 1.02 1.72 1.61 1.07 (注):本表および以下の表において, 実際値の期待稼得額に対する割合は, 友に示された資料よれより詳細なデ-jlから 計算された。 (資料): 1/1.000サ ン プ1レっ a 期待稼得富震は,どの産業のどの労働者も,人種, 年齢, 性別および学歴についての国民的平均に等しい時間当り 賃金をえていると仮定して求められた。 b 本章のすべての表と同様,農業,林業,および漁業を除く。 c 50以下の観察値にもとづく。 (Fuchs (1968)よりヨl用〕 明されてしまうのである。 2番 目 は 事 業 所 規 模 で あ る が , そ の 大 き さ は 組 合 化 の 3分 の l以 下 に 減 ってしまう。 フュックスはこれらの分析を行なった後,サービス部門の拡大が経済に対して持つ意味として, 次 の5つを指摘している。 ① サ ー ビ ス 部 門 の 多 く の 職 業 が 男 性 固 有 の 資 質 に 対 す る 特 別 の 需 要 を 作 ら な い こ と , ま た パ ー一
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サーピス経済の鉱大と人的資本の蓄積について 表 2 回帰結果による鉱工業部門とサーピス部門の稼得額格差の分解 加 重 平 均 額時間当り稼間寄得格 変 数 鉱 工 業部 門 サービス部 門 百分比差ユ 回帰係数 差与トのに〉〈部対%門ボするイγ Xl人口特性 2.5083 2.4916 0.5 1.34 0.7 X2組合化率20-60 48.3919 20.2414 28.2b 0.3i 10.4 J白地域と都市規模 2.5006 2.4869 0.5 0.61 0.3 X4 SMSA内の位置 2.5076 2.4948 0.5 5.18 2.6 X5事業所規模 52.8330 16.8296 103.4 0.03 3.1 X6雇用成長 1.2671 1.3210 -4.2 0.03 0.1 X7失業率 4.8430 3.3969 35.1 -0.06 -2.1 Xs年間労働時間 19.7745 20.5138 3.67 -0.33 1.2 Xg 自営業 i.6344 21.7752 96.2 0.02 -1.9 9倍の独立変数の寄与合計 14.2 五時間当り稼得額 15.2 説明されない残余 1.0 a 鉱工業部門とサービス部門の各平均の差は, 2つの平均値の平均によって割っている。 b 回帰係数によって現われた稼14額の百分比変化は, -二の度数が対数型で掲げられていないので,絶対差に適用された。 (Fuchs(1968)よりヲ1用〉 トタイム雇用が婦人の雇用機会を拡大することなどから,経済全体における女性の雇用比率に 重要な意味を持つ。 @ 自営業の占める比率がサービス産業において相対的に高い,サービス部門の拡大は自営業へ の門戸が閉ざされるのをくい止める効果がある。 ① サービス部門の持続的成長は,米国における組合の影響の低下をもたらす可能性がある。ま た,組合のサーピス部門の労働者の組織化の努力は,組合運動の性質に影響を及ぼし,またそ れらの産業の労働の質,生産性,失業に関係する。 ④ サービス部門は相対的に高学歴労働者を雇用する比率が高し、。 ① サービス雇用の増大は,工業化の過程て・失われたといわれる自分の仕事との人格的一体性を とりもどすという可能性を持っており,個人の熟練度の向上や訓練にとって重要な影響を与え る。 これらのうち, とりわけ①婦人の雇用機会,④高学歴労働者,①熟練の向上や訓練とし、う次元に 於て,サーピス経済化はプラスの側面を持つとし寸指摘は重要である。前節で扱ったとおり, iサ ービス産業=低質労働者の大量雇用」という誤った通念に対して,積極的な反論になるからである。 そこで,この様なフュッグスの指摘したような労働の質の次元での変化が,果して,これまでサ ービス経済が拡大してきた日本経済において経験的に確かめられるのだろうか。これまでにも,我 我は高度成長期の労働の質変化については,技術水準のキャ γチアップと同時に,製造業を中心に して,企業内での経験或は学校教育といった次元での人的資本の蓄積があり,それが経済の急速な
成長を支えたことを示した(今村(1983))。個々では更に,視野をサーピス経済中心に移し,高度成 長期から石油危機以降を通じてその様な製造業中心の人的資本蓄積のパターンがどのように変化し たかを見ることにする。
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)
経 済 発 展 と 労 働 の 質 の 関 係 を 分 析 す る た め の 枠 組 み フュックスが用いた労働投入の指標は,基本的にデニソン (1967)やケンドリッグ (1961)などの 方法を踏襲していると考えられる。しかし,これらの研究に比べるとフュックスの労働の質とマク ロ雇用・生産性の扱い方は部分的なものでありなおかつ質的な解釈が中心であった。そこで,先ず 労働の質の経済成長に与える影響を直接的かつ数量的にとらえた代表的な方法としてデニソンらの 研究方法を整理L,それの分析上の意味について考えることにする。 デニソンは,企業の合理的行動により労働者の相対賃金は限界生産力の比に一致するとし、う仮定 の下に,労働投入量を集計する。その際に集計量に影響を与える項目として,雇用者数,労働時間 (平均労働時間・効率相殺・グループ間移動相殺),性一年齢構成,学歴を考えている。これらのうち, 効率相殺およびク。ループ間移動相殺の項目は 1時 間 当 た り 成 さ れ た 労 働 の 量 (workdone per hour)が,時系列および雇用形態によって同一でないとし、う事態を修正するためのものである。す なわち,効率相殺とは時系列でみられる労働時間の観測値と効率単位でみた労働投入量との主主離を 埋めようというものであり,またクーループ間移動相殺とは,異なる雇用形態にまたがる労働移動の 際に,それぞれの雇用形態で、効率単位で、見た一時間当たりの労働投入量が異なることによって起こ る見かけ上の労働時間の変動を修正するための項目である。 デニソンは相対賃金率一定という仮定の下に,それをウェイトにして労働投入を集計しているが, 集計指数の存在が保障されるためには,労働投入以外の要素投入の増減が労働投入内の属性の異な るもの同士の限界代替率に影響を与えないとし寸仮定(弱分離可能性〉が必要である。デニソンの場 合には,性一年齢の集計に関して限界代替率を一定と仮定しているから,より強い意味で上の条件 を満たしていることになるO 但し学歴については別個に集計しており,性一年齢のメッシュの各 各で学歴の構成比が全く等しいという強い仮定が入っている。 しかしそれに加えて,デニソンは彼の指数の中に考えられるあらゆる要因を取り入れようとした ために,その指数は経済理論との整合性を失うことになる。つまり,アド・ホック的に取り入れた さまざまな要因がそれぞれ経済の成長に与えるインパグトの大きさは異なる筈であるにも拘らず, それぞれに全く等しいウェイトを与えて指数を集計しており,それが集計量としての指数の値の解 釈上大きな支障となるのである。 これに対して経済理論との整合性という点では,ジョルゲンソン=グリリカス (1967)の フ レ ー 一一一 78一一一サーピス経済の拡大と人的資本の蓄積について ムワークtま, ソロー (1957) 以 来 の 経 済 成 長 の 要 因 分 析 の 枠 組 み を 用 い て , 生 産 の 理 論 と の 整 合 性 を厳密に維持しているとし、えるO 但L, デニソンの場合も同様であるが, ジ ョ ル ゲ ン ソ ン = グ リ リ カ ス は マ ク ロ の 一 国 経 済 に お け る 経 済 成 長 の 要 因 分 析 が 主 な 研 究 の 目 的 で あ っ た た め , フ ュ ッ ク ス (1968)で 示 唆 さ れ た サ ー ビ ス 部 門 と 鉱 工 業 部 門 間 の 労 働 の 質 の 格 差 に つ い て は 直 接 言 及 さ れ て い な い 。 部 門 別 の 労 働 の 質 の 動 き を 計 測 し た の は , ギ ャ ロ ッ プ = ジ ョ ル ゲ ン ソ ン (1980) に 至 っ て か ら であるの。一方, 日 本 に つ い て は 渡 部 = 荏 開 津 (1967)以 来 幾 つ か の 労 働 の 質 の 研 究 が 行 な わ れ て い る が , 最 も 近 年 次 ま で 部 門 聞 の 労 働 の 質 変 化 を 計 測 し て 比 較 し た の は , 今 村 (1983) がある。 労 働 の 集 計 指 数 は , 他 の 要 素 投 入 の 集 計 指 数 と と も に 総 要 素 投 入 と し て 指 数 化 さ れ る 。 そ し て , 生 産 物 の 成 長 率 か ら 総 要 素 投 入 の 成 長 率 を 引 い た も の が , 総 要 素 生 産 性 の 上 昇 率 で あ る か ら , 要 素 投 入 全 体 に 占 め る 労 働 投 入 の 分 配 率 に よ っ て ウ ェ イ ト 付 け さ れ た 分 だ け , 生 産 物 の 上 昇 に 寄 与 す る ことになるO つまり,本節の分析は, そ の よ う な1冨 経 済 全 体 の 生 産 性 の 推 移 の メ カ ニ ズ ム を 考 慮 し た う え で , 行 な っ て い る も の で あ る 。 以 下 に そ の 分 析 枠 組 み の 概 要 を 示 す こ と に し よ う 。 新 古 典 派 の 理 論 に 基 づ く 総 要 素 生 産 性 の 分 析 に お い て は , 産 出 物 の 成 長 率 は , 生 産 関 数 の 一 次 同 次 性 と 完 全 競 争 の 仮 定 の も と で , 総 要 素 投 入 の 成 長 率 と 総 要 素 生 産 性 の 成 長 率 の 和 で 表 わ さ れ る 。 これを式で書けば, (1) Zi Tl'i Xi , T T I Ki , T T I Li =V~ーでL 十 v~ "'T~I
+
V/-~_!__ 十円 Zi-, Xλ I ' K Ki j 'L. Li J '1 ここで1Zi:総生産物, ...rY
i:中間投入, K'資本投入, Li:労 働 投 入,Vj, V, V
正
i
:
そ れ ぞ れ中間,資本, 労働投入の総生産物にしめるシェア, Vj:総 要 素 生 産 性 , 添 字 のiはi産 業 部 門 で あ る こ と を 表 わ す 。 ま た ・ は そ の 変 数 の 時 間 当 た り 変 化 量 を 意 味 す る 。 (1)式 の 右 辺 の そ れ ぞ れ 中 間 , 資 本 , 労 働 投 入 は , そ れ ぞ れ が さ ら に 異 質 性 を 持 っ た 投 入 要 素 の 集 合であるから, そ れ ら が1つの指数として集計され, Xi, !(i,L
の{査が求められている。 17Uえtま 労 働 投 入 の 場 合 , 具 体 的 に 性 , 年 齢 , 学 歴 , 職 種 の4つ の 次 元 に よ っ て 労 働 の 質 が 区 分 さ れ て い る 3) 経済の供給サイドに注目して,経済成長のさまざまな要因を量約に比較しようという分析は. Solow (1957)によって 始まったと言ってよい。生産関数の存在を前提にした,いわゆる新古典派的手法による経済成長の婆因分析が,その後大 きな発展を見るのであるが,その過程で焦点となった1つの問題は,生産関数で定義される労働や資本といった要素投入 の計測の精級化である。その端緒は Solow(1957)の計測において,労働生産性の上昇のうちの 87.5%が技術進歩によっ て説明されたという観測j事実であった。技術進歩とはこの場合,経済成長のうち資本や労働といった要素投入の増大によ って説明きれなL、部分のことであり,総要素生産性とも呼ばれ,その計算は,生産物の上昇から全要素投入のf申びを差し 引いた「残差」として導かれるのであるc但し. Solow (1957)の枠組みは,資本,労働という 2分割のみで,しかも要素 投入の異質性を考慮していない。そのために要素投入の伸びが過少に集計されたため「残差」が大きくなったのである。 従って,生産物や要素投入の計測に誤差があれば,技術進歩の数字もその影響を受けてしまうのである。その後 Jorgenson =GriIiches (1967)がおこなった計測は,生産物や要素投入の計測を精級化することにより,その問題を克服しようとし たものであるc言い換えれば,労働や資本などの要素投入の異質性を精密に把握する指数を計測することが,より正確な 技術進歩(総要素生産性〉の尺度を得るために必要だということになる。 総要素生産性に関する議論については,ジョノレゲンツン=黒田ニ吉凋(1984)に,簡潔で,包括的な説明があるので, それを参照されたい。 79とすれば, (1)式の総要素投入の部分と同様,シェアでウェイトづけされた個々の要素の成長率の形 で指数化される。 (2)
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但し Vsoea,iは,性 (5),年齢 (a),職種 (0),学歴 (e)の次元でグロス区分されたうちの, 第 soea番目の労働に対する賃金支払い額が i産業における全体の賃金支払い額に占めるシェアであ る。また,H"叫 tは i産業における第 soea番目の労働投入量であるO このようにして集計され た指数を,労働投入のディヴィジア指数という。これは,労働の質を考膚した指数であるから,デ ィヴィジア指数の伸びから単なるマン・アワー量の伸びを引し、たものが,労働投入の質変化であ る4)。
しかし,これだけでは労働投入の質変化がどんな要因によって起こったのかを知ることはできな い。つまり,質変化の上昇がマン・アワー量で測った労働生産性を上昇させたということはわかっ ても,それが熟練を身につけた中・高年齢層の割合が増加したからなのか,学校教育の平均年数の 増大によるものなのか知ることはできなし、。それらの要因別の質変化への貢献を共通の尺度で、比較 することが,ディヴィジア指数をさらに要因別に計算することによって出来る。いま,性 (5), 年 齢 (a),学歴 (e),職種 (0)の4つの属性が,それぞれ単独に生産性上昇に果たす貢献を「主効果」 と呼び,それにさらに「交差効果」と呼ばれる他の罵性との各種の交互作用を加えたものを, I限 界効果」と呼ぶ。つまり, I限界効果」とは, 各々の属性が生産性の上昇に直接間接に及ぼす貢献 の合計であるということになるの。 これまでの定式化で用いた iは i産業を意味するものであったが, 本節では実際に次の9分類 の産業について分析を行なった。 ① 軽工業型製造業 ① 素材型製造業 ① 加工・組立型製造業 4) この総要素生産性分析における各々の指数は,単なるシェアをウェイトにした集計指数という意味だけでなく,市場に おいて完全競争が成立していること,及び生産関数が一次向次であるという仮定の下に,新古典派の生産の理論と整合性 を持っている。この整合的であるということの意味は,総要素投入のレベルあるいは,各要素投入のVペノレで,集計関数 のパヲメ-Jilを直接知ることなしにその集計関数の動きを分析することができるとし、うことである。特に,集計すべき要 素の数が多い場合には,それらを変数として直接パヲメ-Jilの計演を行うミとは,現在の計量分析では困難である。した がって,この方法は異質の労働力に関する生産の技術約条件への第一次的なアプローチとして有力なツーノレであると言え Q。 ディグィジア指数が整合性を持つ集計関数は, トランス=ログ関数 (TranscendentalLogarithmic Function)であ る。特に,生産関数として定式化される場合にはトランス=ログ生産関数と呼び,投入財数量や生産物数量の対数値の2 次形式という形をとる。それは, Christensen=Jorgenson=Lau(1973)によって開発されたもので,それまでのCES生 産関数や,コプ=ダグラス型生産関数における分析において問題とされていた,同次性や加法性の仮定を先取りすること によってもたらされる制約が緩められた3つまり,コプ=ダグラス型やCES型を特殊形として含んだより一般的な関数 形である。 トランス=ログ関数とディヴイジア指数の整合性に関するより詳細な議論:主,今村(1983)を参照されたい。 一 一 80-一ーサ ー ピ ス 経 済 の 鉱 犬 と 人 的 資 本 の 蓄 積 に つ い て ① 運輸・通信業 ① 電気・カ‘ス・水道 ① 卸・小売業 ① 金融・保険業 ① 不動産業 ① サーピス業 ま た , 労 働 の 麗 性 に つ い て は , 性 , 年 齢 , 学 歴 , 職 種 の 各 々 に つ い て グ ロ ス 集 計 さ れ た 賃 金 構 造 基 本 調 査 を 用 い た 。 そ の 各 々 の 内 訳 は 次 の と お り で あ る 。 ① 性 1)男 II) 女 ① 学 歴 I) 旧小・新中卒 II) 旧中・新高卒 の そのための指数は(2)式と類似の形で定義される。但L.その前に(2)式を現実経済のデータに当てはまゐように書き換え ておく。(2)式では連続変量を念頭において定式化したが,現実のデ-jq立競数変量であるから, (2)式:土 (2)'l.LlnL,ow, ,=2::2::2::2::V soce, i .LlLH",n, i sο , a となる。但し,
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は隣接する2慰問の平均価値シェア Ali差分演算子をあらわーすっこれを,離散型ディヴィジア指数と 呼び,実際の分析にはこの(2)'式の類似形として.次の4つの指数をまず定義しよう。 (3) マン・アワ」量指数 Ll.!nL, =Ll.ln 2::2::2::2::H ",", , (4) 1次指数 (s,0, e, aに共通) Ll.!nL",=2::Vs
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Ll.!η2::2::2::H., '"α.' (5) 2次指数 (50,sa, se, oa, oe, ea) sluLso, i二2::2::V,o".lLln 2::2::H","., (6) 3次指数 (soe,soa, sea, oea) LllnLs()(',事二2::2::2::V"",
Ll.!n 2::H.soeο" S 0 e a 更に, 4次指数というのも定義できるが,モれは(2)'と向ーのものである。この(2)'式及び(3}-(6)の指数を用いて,主 効果,交差効果という分析概念を定義する。 (7)主効果 (5,0, e, aについて共通〉 qs,t.ニLl.!nL",-Ll.lnL, (8) 1次の交差効果Qso , i= A. lnLso・i- D. I~Li-qs. t-qo. i
(9) 2次の交差効果
qsoe, t.=.d.lnLsoe, i-slnLi
q"., t-qo, i-qe, i
-qS(), i-qoe, ,f-qse, i
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日)1 3次の交差効果
qsoca, i=.d.lnLsoeα,i-.d.lnLt -qs, t-qo, i-q.:, ,t-qa, i -qUJ i-qso,事 一qsa,i-qoe, i-qα0, i
qsoc,t-qsοαt i-qu(Jr i-qol'(l,i
ill) 高専・短大卒 N) 旧大・新大卒 ① 年 齢 I) 17歳以下 ll) 18-19歳 ill) 20-24歳 N) 25-29歳 V) 30-34歳 VI) 35-39歳 VJI) 40-49歳 四) 50-59歳 IX) 60設以上 ④ 職 種 1) 生産労働者 ll) 非生産労働者 また,期間成長率を比較する擦の期間分割は, ① 1960-1967年 ① 1967-1974年 ③ 1974-1977年 ④ 1977-1979年 と
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た。石油危機後の期聞を2
つに分割したのは,石油危機による雇用調整期と,その後の安定成 長期における雇用の変動とを区別して観察するためで、あるO 4) サ ー ビ ス 産 業 と 製 造 業 の 労 働 の 質 変 化 に お け る 特 徴 期間ごとの労働投入の動きについて,各産業の特徴を探ってみよう(図1-1,1-2参照〉。先ず石油 危機前の2期間は, 1960-67年に労働者数ないしはマン・アワー量の大きな増大がみられ, 1967-74年に労働の質が 顕著に上昇するというバターンをとっている産業が多い(①軽工業,②素材,①加工・組立,④運輸・ 通信,①卸・小売,①金融・保険,③サーピスの7産業)01960-67年は, 若年労働力の豊富な供給もあ って,日本経済の高度成長に伴い雇用が増大していた時期て、あり,それに対して1967-74年は,高 度成長期初・中期に新規雇用された未熟練労働力が,勤続を重ねて熟練を形成し,より高い生産性一
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サービス経済の拡大と人的資本の蓄積について 24
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1960-61図
1967-14 マ図
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E答 -4 -8 -12 加工組立 電気7lス 金融保険 サーピス 運輸逮信 卸小売 不動産 産業部門 図 1-1産業別マンアワーの時系列変化 2.50 労 f'ih 2 の 質 変 化 率 1.50 0.50。
-0.50 軽工業 加工組立 電気ガス 金融保険 サービス 素材 運輸通信 卸小売 不動産 産業部門 図 1-2産業}]IJ労働の質変化〈時系列〉一
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四国図図
を持つに至った時期だといえる。したがって,石油危機前の期間は,全産業がほぼ同時に雇用の伸 びから質の向上という,人的資本の蓄積パターンを示していることが大きな特徴といえる。 それに対して,石油危機後の2期聞は,各産業でそれぞれ異なった特徴を示すようになっている。 マン・アワー量と労働投入の質変化について, 1974-77年, 1977-79年の 2期間でどのような変化 が産業別に観察されるのかを見てみよう。まず,マン・アワー量について見てみると, 1974-77年 においては,マン・アワー量の減少している産業は,①軽工業,⑤素材,①加工・組立,④運輸・通 信,①電気・ガス・水道,⑤卸・小売の6つである。一方増加している産業は,①卸・小売,⑦金 融・保険,@不動産,①サービスの3つである。これは,先程述べた全期間での労働投入の動きの うち,石油危機後の特徴を成長率の形で表わしていることにもなる。ここで注意すべきは 2つに 分かれたク'ループのうち前者は,資本設備等の大きさから見て,製造業ないしはそれに近い生産技 術をもった,いわゆる「製造業型」の産業が多いということである。その後の1977-79年の期間に おいては 8産業でマン・アワー量の上昇が見られるようになっている。この期間では全体的な労 働投入量の増大が見られるのであるが,特に①サービスにおいてはマン・アワー量の伸びは9.7% と飛び抜けて大きな値をとっている。さらに,①卸・小売の5.2%,①金融・保険の3.2%と,③不 動産を除いて, 1974-77年の石油危機後に雇用の伸びを維持していた「サーピス型J産業と,それ 以外の「製造業型」産業とし寸分類に産業ごとの特徴を分類することが出来るO また,質変化の大きさについて, 1974~77 と 1977-79 の 2 期間で,どちらの方が大きな伸びを示 しているかとし寸比較を産業ごとに行なってみると,前期の方が後期よりも質の上昇が大きかった 産業は,②素材,①加工・組立,④運輸・通信,①電気・ガス・水道,①サーピスであった。また, 後期の方が前期より大きかった産業は,③卸・小売,⑦金融・保険,@不動産,①軽工業であった。 ①サーピスと①軽工業が入れ替わりになっているのを除けば, 1"サーピス型」産業で質の伸びが高 まっていることがわかる。 石油危機前の2期間については, 1967-74年がほぼ全産業で、人的資本の蓄積が行なわれた時期て、 あることを指摘したが,石油危機以後の2期間については,上に述べた観察事実より,人的資本蓄 積の主体が, 1"製造業型J産業から. 1"サーピス型」産業へと移りつつあると言える。つまり, 1977 -79年においてより高い質の上昇を示しているのが,①卸・小売,⑦金融・保険,①不動産という 「サーピス型」産業であり,とくに⑤卸・小売と⑦金融・保険では,マン・アワー量と労働の質と の両方で顕著な上昇傾向を示しており,高度成長期における労働投入と質変化のパターンと類似し ている。それに対して, 1"製造業型」産業では,確かに1974-77年では質の上昇が見られるのであ るが,一方ではマン・アワー量の大幅な減少が起こっており,若年や女子といった賃金水準の低い 労働力の構成比が企業の雇用調整によって一時的に低下したことによる可能性が高し、。 一一-84一一一
サーピス経済の拡大と人的資本の蓄積について 労 働 の 質 変 化 の う ち 人 的 資 本 蓄 積 の 占 め る 割 合 5) これまで見て来た労働投入の質変化とは,各産業ごとに集計された指数であった。しかし,質変 化を計測するための属性として,性,年齢,学歴,職種という4つの次元を用いて求められた質変 化の指数は,仮にその値が同じ動きをしたとしても,産業間,時点間では質変化の中身が異なって それぞれの変 学歴,職種の4つの屠性について, いるかもしれなし、。そこでこんどは,性,年齢, 人的資本の蓄積がどの様な形で行 化が生産性に及ぼす直接・間接の効果を比較することによって, われているのかを,探ってみよう。 労働投入の質変化の要因分析の結果のうち,各寓性の限界効果の部分だけを(図2-1から図2ーのま そ でにグラフ化して整理した。各グラブの棒グラフとは別に折れ線グラフがかきこまれているが, 主効果と交差効果の合 それぞれの期に対応する労働の質変化の大きさをしめすものであり, れは, 主効果のうち最も大きな割合を占めているのは,年齢の主 全産業を通じて, 計に等しし、。全期間, 効果である。特に, 1967~74年, 1974-77年, 1977-79年の 3期間において大きな伸びを示してお 歴 齢 種 性 学 年 職
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1 9 7 4 ノ 7 9 1 9 7 0 / 7 4 2.40 2.20 2.0。
1.80 1.60 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 'i't 0.00 -0.20 -0.40 -0.60 -0.80 -1.00 -1.20 -1.40 '-1.60 -1.80 -2.0。
労 働 の 限界効果の期間別比較軽工業型産業 85 図 2-1ハ H V A U V ︽ H ν ︽ 川 υ n H u v n H V A H V A H V A H U A H V A H V A H u n H ν A H v n u v A H v n H V A H V ハ u u n H V A H v n H v n H ︾ ハ H v n H V A H V nuauavn宅。GAvooavd句。&ハUQuavd ヨ ワ h u n υ つ 白 d “ .auaunV9&8 也 氏 voonu
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F L 同 t p 歴 齢 種 性 学 年 戦 口 図 図 図 1974/79 1970/74 1960/70 9 7 7 / 7 91
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素 材 型 1974/77 1967/74 1960/67 'Ji {~b の 業 産 図 2-2 この期間において年齢の次元での人的資本の蓄積,すなわち企業内教育訓練による人的資本の り, 蓄積が顕著であったことを示すものである。但し,産業によって肢行性が存在する。特に,石油危 どちらの期間で年齢の効果が大きかったかを比 機以降の 1974~77 年及び 1977~79 年に注目して, 較してみよう。 1977~79年の方が 1974~77年よりも年齢の効果が高かった産業は,⑤卸・小売,① 金融・保険,③不動産,①加工・組立の4産業である。それに対して, 1974~77年の方が高かった 産業は,①軽工業,①素材,④運輸・通信,①電気・ガス・水道,①サービスの5産業である。前 企業内教育訓練による人的資本の蓄積がさら 者の年齢の主効果がより高まっているク'ループでは, に高まっていることを示しており,後者のうち①サービスを除く 4産業では,石油危機後若年者の 採用を控えた結果,雇用量減少の下で一時的な年齢構成の高まりによって年齢の主効果が 1974~77 年において上昇したが,新たに熟練を身につける若年層が減少し,過去に身につけた熟練が陳腐化 していく高齢者の割合が高まって, 1977~79年では年齢の主効果の伸びが鈍化じているのである。 しかも伸びの鈍化が見られるの 最後に残った①ザーピスでは,年齢の主効果の値そのものが低く, は,先に労働投入の動きのところで示したような雇用量の増大が,他の産業と比較すると,特に若 一一-86一一一n υ A U A u n U ︽ UAUAU ︽ U A U A U n υ n U ︽ U A U A U A U n υ のυAU ハU n υ n υ n U A U A U A U 0864208642086420246802ιι80
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師 長 歴 齢 種 性 学 年 職 口 図 図 図 サーヒ、ス経済の拡大と人的資本の蓄積について 1 9 7 4 / 7 9 1 9 7 0 / 7 4 9 7 7 / 7 9 期 間 加工・組立型産業 1960/70 1 9 6 0 / 6 7 ヲr
働 の 図 2-3 それが結果として年齢の主効果の伸びを抑えていると考えられるので 年層のところで顕著であり, ある。 以上のファクト・ファインディングスから導かれるインプリケーションは,①軽工業,①素材, ④運輸・通信,①電気・ガス・水道といった高度成長期から人的資本蓄積を行なっている産業では, 1974~77年においては一時的な若年層の雇用減少とそれ以前の人的資本蓄積の効果が現われて年齢 その人的資本の蓄積に伸び悩みの傾向が見え の主効果が上昇しているが, 1977~79年においては, 始めたと言える。一方,@却・小売,①金融・保険,@不動産は,石油危機直後も雇用が増加し続 また①加工・組立も含めて引き続き雇用の大きな増大が期待される産業では,人的資本 けた産業, の蓄積が伸びているのである。①サービスについては,若年層を中心にした雇用の伸びが大きいた あるい 人的資本の蓄積が現われてこないとし、う可能性もあり, めに,年齢の効果として見た時に, 雇用構造そのものに人的資本の蓄積を妨げる要因が含まれているのかも はまた,①サービスでは, さらに詳しい検討が必要である。 学歴の効果が正で安定的な値を示している。しかし,産業別に一-
87一一一 この点については, さらに,年齢以外の主効果では, しれないが,歴 齢 種 性 学 年 職
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1 9 7 0 / 7 4 1 9 6 0 / 7 0 1 9 7 7 / 7 9 期 間 運輸・通信業 1974 ノ 7 7 1 9 6 7 / 7 4 1 9 6 0 / 6 7 ︽ υAUAHvnHvnUAHvnυAunvAHvnυAUAUAUnUAUAUAUAυnUAHVAUnU A U R u p o n O R V 4 6 η 4 A U O 岳 民 vd 位 。 4 0 v η L a A Z p o n 邑 n u n L a a τ F O n S A U•.••••••••••••••••••••••••
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- r a 、 W μ O F 、 、 , 万 信1 の 図 2-4 一般的教育訓練という形で,全産業に均等に効果が むしろ, 見たときに,特に顕著な差異はなく, 現われていると見るべきであろう。また,性の主効果は,学歴に比べてもさらに小さな値であり, ただ 1 つ1960~67年においては,④運輸・通信,①電気・ 質変化に対する貢献は小さし、。しかし, ガス・水道を除いては性の主効果がマイナスで大きな値を示している。この期間においては,相対 賃金の低い女子の雇用増によって,性の次元での質変化が,負の要因として働いたことを示すもの である。最後に,職種の効果については,製造業 3 部門のみで観察可能である。 1960~67年, 1967 ~74年, 1974~77年の 3 期間においては値そのものが小さくほとんどゼロに近かったのであるが, 3産業すべてにおいて無視出来ない負の値をとるようになっている。これは, 1977~79年になると, 生産労働者よりも 生産労働者の構成比がこれらの産業で増大していることが原因と考えられるが, 雇用の減少が著しいことによるものと考えられる。 一一-88一一一 非生産労働者の方が,歴 齢 穫 性 学 年 職 ロ 図 図 図 サーピス経済の拡大と人的資本の蓄積について 1974/79 1970/74 9 7 7 / 7 9 期 間 電気・ガス・水道 1960/70 1974/77 1967/74 1960/67 ハ U A H V A u n v n u n u n v n H v n u u A u n v n u n v n u n u ハU の L A υ 。 , 臼 A U ヮ “ a A 3 P 0 0 0 ハU ワ h F S後 p o n a n u -q d ワ 白 ワ u ワ ハ 目 。 & q G 噌 6 ・ 司 i143A 司ムハ unvAU ハ V A v n u n v n v A U T i -ム 唱 1 1 品 1 L 9 -時 4、 斤 g J 労 f動 の 図 2-5 分 析 の 要 約
6
)
重要な 以上の分析をもう一度まとめてみよう。今後の日本経済の生産性の推移を考えるうえで, 鍵を握っている労働投入の質変化に注目し,産業別にそれを観察した。その結果,高度成長期には 石油危機後には産業別に肢行性を持つ 各産業で共通にもっていた労働J投入の質変化の上昇傾向が, ようになって来たことがわかった。それは一言でいえば「製造業型」産業から,r
サ ー ピ ス 型J産 業へ,人的資本蓄積の主役が移りつつあるということである。労働投入の質変化を要因別に分解し たとき,年齢の効果が飛び抜けて高く,次いで学歴の効果が高いというのは,ほぼ全産業を通じた その効果の大きさを時系列でみると「製造業型」は低下,r
サービス型」は 共通の傾向であるが, 上昇する傾向があることが分かった。年齢の効果を企業内における人的資本の蓄積,学歴の効果を 人的資本の蓄 一般的教育訓練の蓄積と読み変えるならば,石油危機後の雇用調整が済んだあとは, その傾向のは 積の主体は「サービス型」産業へと移りつつあるということができょう。なかで、も, っきりしているのは,①卸・小売と⑦金融・保険である。 89歴 齢 径 桧 学 年 聡 口 図 盟 国 A U ︽ υ n u n u n u e o
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u a u z ----q A E q a q a q B 1 9 7 4 / 7 9 1 9 7 0 / 7 4 1 9 6 0 / 7 0 Z 9 7 7 / 7 9 期 間 卸 ・ 小 売 1 9 7 4 / 7 7 業 図2-6 今後の産業構造の変化に伴う雇用の変動について.r
サービス型」産業の雇用吸収力について, 高 懐疑的な意見も少なくなし、。しかし,本節でみてきたように.r
サービス型」産業においても, 一概には議論できないことは明 度成長期のような人的資本蓄積のパターンのみられる産業もあり, そ らかである。アメリカ合衆国に比べて,勤続による熟練形成の効果の大きい日本経済において, の完全ではないが一つの指標である年齢の効果が.r
サービス型」産業で大きくなりつつあるとい うことは,考えてみるべき問題であるといえる。とりわけ,各部門における人的資本形成に格差が 示唆に富んだ意味を持っている。第一 見られることは,今後の日本経済の雇用構造を考える上で, に企業内の人的資本形成と技術進歩の関係について,第二にサービス部門における人的資本形成の 鉱工業部門との格差が将来のサービス部門の雇用構造にどのような意味を持っているかについてで ある。前者は高度成長期に鉱工業部門が経済成長に果たした役割に関係しているO このように急速 企業内人的資本形成をあらわす年齢と, に生産性上昇が実現していた時代に,労働の質とりわけ, 因果関係としての前後の問題は 日本経済のメカニズムにこのような経済成長を可能にするシステムが組み込 一 一 -90ー ← ー 一般的な教育訓練をあらわす教育年数の効果が大きかったことは, 考慮すべきであるが,反齢日間 性 学 年 戦 ロ 国 昭 図 サービス経済の拡大と人的資本の蓄積について 1974/79 1970/74 1960/70 1 9 7 7 / 7 9 期 間 1974/77 1967/74 1960/67 3.00
、
4 71 {;h の 金融・保険業 図 2-7 サービス産業の一部が最近に至って同様の動きを示している まれていたことを意味する。従って, ことには,相応の注意が払われるべきであるO それを分析するためにはダイナミ γグな経済 いったいこのようなメカニズムとは何であるのか, 発展のメカニズムを総合的に捉える視野が必要である。単なる雇用制度の変化の記述的な調査では あるいは成立している経済合理性とその相互依存関係にまで立ち その背後で成立していた, なく, 入った,綿密で視野の広い分析こそ必要なのである。 参 考 文 献Christensen, L.R., D. W. Jorgenson and L. J. Lau, "Transcendental Logarithmic Production
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歴 齢 種 佐山一千年職 ロ 図 図 図 1974/79 1970/74 1960/70 9 7 7 / 7 9 JtJJ
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1974/77 1967/74 1960/67 A U A U ハ υAU ︽ U A U A H V A U A H M A u n v ハ unU ハ U n υ ハ U ハ υ ハ UnununvAUnunυ 0 8 6 4 2 0 6 4 2 0 8 6 4 2 0 2 4 6 0 2 4 6 8 0••••••..•••.•.••••••••••••
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歴 齢 種 位 学 年 職 ロ 国 図 図 サービス経済の拡大と人的資本の蓄積について 1 9 6 0 / 6 7 1 9 7 4 / 7 9 1 9 7 0 / 7 4 1 9 6 0 / 7 0 問 u e P 4 ・ 1 9 7 7 / 7 9 間 知 1 9 7 4 / 7 7 1 9 6 7 / 7 4 AHvnHVAHVAHVAHvnHVAHvnHV ︽ 川 VAHunHUAHvnHunuu ︽ H V 内 H v n H V A H U U A H V A H u n H V ︽ H v n H u w n H U ハ U V A H V 08642086420864202ASAA2A 五 o A J . , ••• , ...• A y -1 1 十 l i 32222211111000000000111112
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