• 検索結果がありません。

“音楽リズム”の内容論 (1) :その歴史的変遷

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "“音楽リズム”の内容論 (1) :その歴史的変遷"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

175

"音 楽 リ ズ ム

.の

内 容 論(1)

その歴史的変遷一

4

On  the  content  of  "Music  and  Rhythm"(1) 一A  historical  approach一

Yutaka  Oda は   じ  め   に   幼 稚 園 教 育 の 目的,目 標 を 実 現 す る た め に, 幼 児 に達 成 させ るの が 望 ま しい具 体 的 な ね らい を昭 和31年3月 の文 部 省 告 示 に よ る幼 稚 園 教 育 要 項 で は 健 康,社 会,自 然,言 語,音 楽 リズ ム, 絵 画 制 作 の6領 域 に 分 類 して 示 して い る 。 この 6領 域 は 幼 児教 育 の 基 本 で あ る一 発 達 に 即 し 発 達 を 促 す 一 とい う全 面 発 達 を め ざす も の で あ る 以 上,相 互 に 関 連 し,あ い ま って 教 育 さ れ なけ れ ば な らな い こ とは 自 明 な こ とで は あ る が,同 時 に それ ぞ れ の 領 域 自体 の 正 しい 理 解, 洞 察 な く して は,真 の 相 互 効 果 も,又,あ りえ な い。 そ こ で,こ こで は,そ の領 域 の1つ で あ る 「音 楽 リズ ム」 に 関 す る保 育 内 容 の 歴 史 的 な 流 れ に焦 点 を合 わ せ,そ の視 点 を ど こに 置 くか を 考 え る た め の ノ ー トづ く りを試 み た 。   この事 は,将 来6領 域 全 体 の相 互 関 係 の把 握 に結 び つ く もの と確 信 す る。       1  音 楽 りズ ム の 流 れ     な の   明 治9年11月 に 東 京 女 子 師 範 学 校(現 在 の お 茶 の水 女 子 大 学)に 創 設 され た附 属 幼 稚 園 が, わ が 国 に お け る 幼 稚 園 教 育 の 始 ま りとい わ れ て           い る。 附 属 幼 稚 園 規 則 の 第1条 に 「幼 稚 園 開 設 ノ主 旨 ハ学 齢 未 満 ノ小 児 ヲ シテ天 賦 ノ知 覚 ヲ開 達 シ固 有 ノ心 恩 ヲ啓 発 シ,身 体 ノ健 全 ヲ滋 補 シ 交 際 ノ情 誼 ヲ暁 知 シ善 良 ノ言 行 ヲ慣 熟 セ シム ル ニ在 リ」 と知 育,徳 育,体 育 を基 本 に お い た保       ヒとヨラ 育 を 行 い,そ の 保 育 科 目は 「第一 物 品 科,日 用 ノ器 物 即 チ椅 子 机 或 ・・花 蝶 牛馬 等 ノ 名 目 ヲ 示 ス,第 二 美 麗 科   美 麗 トシ好 愛 ス ル 物 即   彩 色 等 ヲ示 メス,第 三 知 識 科 観 玩 二由 テ 知 識 ヲ開 ク即 チ立 方 体 ・・幾 箇 ノ端 線 平 面 幾 箇 ノ角 ヨ リ成 り基 ノ形 ハ如 何 ナ ル 等 ヲ示 メス,右 ノ三 科 包 有 ス ル 所 ノ子 日左 ノ如 シ」 と な っ て お り,こ の 内 容 は フ レー ベ ル の 愚 物,計 数,博 物 理 解,唱 歌, 体 操,遊 戯 を 基 調 と して い る。 そ れ は 明 治11年 に 東 京 女 子 師 範 学 校 に幼 稚 園 保 母 練 習 科 が 設 置       むヨむ され そ の学 科 に 「教 育 論 物 理 学 生 理 学 修 身 学 幾 何 学 用 画 幼 稚 園 制 ノ大 意 二 十 愚 物 大 意 並 二用 法 布 列 別 ノ略 伝 体 操 音 楽 唱 歌 及 ヒ実 地 保 育 ナ リ」 と して い る こ とか ら推 察 で きる 。 こ の 東 京 女 子 師 範 学 校 附 属 幼 稚 園 の フ レーベ ル の恩 物 を 中心 と した 保 育,泪 が 現 在 の 幼 稚 園 教 育 要 項 の基 礎 で あ る6領 域 へ の 出 発 を さ し示 して い る こ とは 疑 い の な い こ と であ る。     ならユ   一 方 鈴 木 信 政 氏 に よれ ば 我 国 の幼 児 教 育 の発' 達 は 歴 史 的 に以 下 の4期 に 分 け られ て い る。    第1期   明 治9年11月   東 京 女 子 師 範 学 校 に 幼 稚 園 が 開 設 され てか ら   の20年 間 。     第2期   明 治32年 頃 か ら大 正 末 期   文 部 省 が 幼 稚 園 に お け る保 育 や 設 備 に つ い て   の 規 定 を さ だ め,そ の 性 格 を 明 確 化 す る こ と   に っ とめ た時 期 。     第3期   大 正15年 か ら終 戦 まで   大 正15年 の幼 稚 園 令 か ら第2次 世 界 大 戦 の 終   結 ま での 発 展,変 動 期 。     第4期   終 戦 よ り現 在 ま で   戦 後 の教 育改 革 の な か で,幼 稚 園 が学 校 教 育   法 に よ っ て学 校 体 系 の 中 に位 置 づ け られ て か

(2)

ら現 在 に い た る ま で。 こ の4期 は 幼 稚 園 の 教 育 課 程,指 導 法 の 変 表1  音楽 リズ ムの流れ 遷,す な わ ち保 育 内 容 と方 法 の 改 定 の経 過 と対 応 して の 区 分 け と考 え られ る。  (表1参 照) 省               令 一 般的 な流 れ(唱 歌,遊 戯 関 係 の 出版) 明治9年 東京 女子師範学校附属幼稚園 創 設(唱 歌,遊 戯,体 操) 明 治20年 「幼 稚園 唱 歌 集」 文 部 省 明治30年 ・母の遊戯及育児歌・匙 ゴ 蜻 ..、ウ訳麟 幼鯛 明治32年 幼稚園保育及設備規定 (遊 戯,唱 歌,談 話,手 技) 明治37年 京 阪 神連 合 会 「唱歌 遊 戯」 を 発表 明治43年 「体 操遊 戯 講 和 集」 体 育研 育 会編 ,大 日本図書株式会社 大正6年 「律 動 遊 戯 」土 川 五郎 著 律 動遊 戯 研 究所 大正7年 雑 誌 「赤 い 鳥」 鈴 木三 重 吉 主 幹  赤 い 鳥社 大正15年 幼稚園令 (遊 戯, μ昌歌,  観 察,  談 言舌, 手 技) 昭和2年 「唱 歌遊 戯 」 戸 倉 ハル 著   目黒 書店 昭和3年 「コ ドモ ノ遊 ビ」 三 浦 ヒ ロ 著   日本 体 育 学 会 昭和5年 「ダ ンス通 」 坪 内士 行 著  三 省堂 昭和6年 「可 愛 ら しいお遊 戯 」 水 谷 しきを著   共 益 商 社: 昭和7年 「幼 稚 園 の舞 踊 」石 井 小 浪 著  厚生 閣 昭和8年 「幼 稚 園 一小 学 校談 話 遊 戯」 長 田博 著   目黒 書 店 昭和11年 「幼 稚 園 に おけ る 唱歌 遊 戯」 戸 倉 ハ ル著   達 文 館 昭和13年 「リ ト ミ ッ クの授 け 方 」山 内 千 代 子 著   シ ン フ ォ ー ニ ー 楽 譜 昭和14年 「フ レーベ ル愛 児 保育 歌 曲 集」 津川 主 一 訳   教 育音 楽 社 昭和17年 「興 亜 こ どもの 歌」 童 謡 常 会  新聖 音 楽 出 版 昭和22年 「保 育 遊 戯 集」 全6巻 土 谷 渡箸   ひか りの くに 株 式会 社 昭和23年 保育要領 保育学会発足 , (見 学,リ ズ ム,休 息,自 由 遊 び,音 楽,お 話, 絵 画 制 作,ご っ こ遊 び,自 然 観 察,戯 遊 び, 人形 芝居,健 康 保 育,年 中 行 事) 昭 和24年 「お ん が く と リズ ム ゆ う ぎ」戸 倉 ハ ル,小 林 つ や え,教 育 科 学 社 昭 和25年 「こ ど もの 楽 しい 歌遊 び 」 副 島・・マ 著   白眉 社 昭 和27年 「運 動 と リズ ム」 日本 リズ ム運 動 協 会  不 昧 堂 昭 和28年 「幼 稚 園 の ため の 指導 書 ・音 楽 リズ ム編 」 文 部省 昭 和29年 「幼 児 歌 曲 集」 山 本道 子   音楽 教 育 社 昭 和31年 幼稚 園教育要領 (健 康,社 会,自 然,言 語,音 楽 リ ズ ム,絵 画制 作) 昭 和36年 「幼 稚 園 教 育指 導 書 ・健 康 編」  文 部 省 昭 和41年 「日本 の わ らべ 唄 遊 び指 導 の 展開 」 須 川 久  新 読 書 社 昭 和44年 「わ らべ うた の研 究」 小 泉 文夫 編   わ らべ うた研 究 会 昭 和46年 「わ らべ うた で あ そぼ 」コダ ーイ芸 術 教 育研 究 所 明治 図 書

(3)

"音 楽 リズ へ 、の 内 容 論(1)(小 田) 177   そ こで 明 治9年 に 創 成 され た東 京 女 子 師 範 学 校 附 属 幼 稚 園 の 保 育 科 目を 出発 と して,保 育 内 容 の変 遷 を辿 りな が ら,特 に 現 在 の 領域 「音 楽 リズム」に至 る ま で に 少 な か らず 影 響 を与 え た と 思 わ れ る 事 象 を 拾 い つ つ,前 記 の4期 の 区 分 を 基 本 と して 新 た に 「音 楽 リズ ム」 成 立 に 至 る ま で を 主 眼 と して5期 に 分 け て 考 察 してみ よ うと 思 うの で あ る。 1.明 治 初 期 の 音 楽 リズ ム   「東 京 女 子 師 範 学 校 附 属 幼 稚 園 」 の 開 園 当時       を   の 保 母 で あ った 豊 田英 雄 が 「保 育 の 栞 」 の 「保 母 の 心 得 」の 中 で 次 の よ うに述 べ て い る。 「… … 各 々席 に つ き奏 楽 一 声 と共 に 本 日の 礼 を 述 べ 続 きて 保 母 再 び 奏 楽,こ れ に和 し唱 歌 を 一 同歌 は しむ … …(中 略)… … 物 の整 頓 を 導 きて 遊 戯 室 に 至 り遊 戯 を な す。 又 遊 戯 に換 る に 簡 単 な る体          む  く      くコ  む          む          む 操 を以 っ てす る も よ し。 然 れ ど も奏 楽 之 に伴 ふ む  む  む  む   む  む  む  む を 以 って 最 良 とす。  (下 略)」(傍 点 筆 者)   こ の遊 戯 で あ り,唱 歌 で あ り,体 操 で あ る 内 容 こそ,現 在 の音 楽 リズ ムの 出発 点 とな る もの と考 え られ る。 こ こで 注 目す べ き は傍 点"奏 楽 之 に 伴 ふ を 以 っ て最 良 とす"と い う箇 所 で あ る。 つ ま り動 き と音 楽 との連 絡 を 保 つ こ とを 最 良 と指 摘 して い る点 で,さ ら に これ の 具 体 化 し た もの と して 次 の例 を あ げ る こ とが で き る。 こ こで は 明 らか に 唱 歌 と遊 戯 が 結 び つ け られ て い る。   働       家   鳩      (豊 田 芙 雄 作)     い へ ば との   す ど こひ ら きて   放 ち あ る     ゆ くへ やい っ こ  山 に野 に  あ そ び て あ らば     と く きて  か へ らな ん     す ど こ   と ちて ん  す ど こ  と ち て ん       (全 音 出 版 刊 「児 童 舞 踊50年 史 」 よ り)   これ は 歌 い な が ら,輪 を作 りそ れ を 鳩 の 巣 に み た て,幾 人 か を 鳩 に選 び 「す ど こひ ら きて」 で輪 に な っ て い る手 を 離 す と鳩 に な っ た子 供 は そ の 輪 か ら 出 て遊 び 「と く きて か へ ら な ん」 の と こ ろ に な る と再 び 輪 に 戻 る と い う 遊 戯 で あ り,歌 い な が ら動 作 す る事 が 確 か に こ の期 か ら 幼 稚 園 教 育 の 中 に 行 われ 始 め ていた の であ る。そ の こ とに 大 き な役 割 を 果 した と思 わ れ る の は 明 治20年 文 部 省 の 手 に よ る 「幼 稚 園 唱 歌 集 」 の発 刊 で あ り,明 治30年 フ レーベ ル の 著 作 「母 の遊 戯 及 育 児 歌 」 の ア ン ニ ー エ ル ・ハ ウ 訳 で の 出 版 で あ る と い え る 。 2.明 治 後 期 の 音 楽 リ ズ ム       なの   明 治32年6月 「幼 稚 園 保 育 及 設 備 規 定 」 が 公 布 され,こ れ に よる と保 育 項 目 は 「遊 嬉,唱 歌,談 話 及 手 技 」 と され,遊 嬉 と 唱 歌 の 内 容 は, 一、 遊 嬉   遊 嬉 ノ・随 意 遊 嬉 共 同遊 嬉 トシ随 意 遊 嬉 ノ・幼 児   ヲ シテ 各 自 二運 動 セ シ メ共 同 遊 嬉 ノ・歌 曲 二合   ヘ ル 諸 種 ノ運 動 等 ヲナ サ シ メ心 情 ヲ快 活 ニ シ   身 体 ヲ健 全 ナ ラ シ ム。 一 、 唱 歌   唱 歌 ・・平 易 ナ ル歌 曲 ヲ歌 ・・シ メ聴 器 発 声 器 及   呼 吸器 ヲ練 習 シテ其 発育 ヲ助 ケ心 情 ヲ快 活純 美   ナ ラ シ メ徳 性 涵 養 の 資 トス 。 と定 め られ,唱 歌 遊 嬉 の 保 育 項 目で の 位 置 づ け が 明瞭 に な った 。 す な わ ち 遊 嬉 は 幼 児 が 自由 に遊 ん だ り,動 い た りす る 随 意 遊 嬉 と動 作 と音 楽 とを 合 わ し舞 踊 的 要 素 を思 わ せ る共 同遊 嬉 の 2つ に 分 け,唱 歌 は 歌 詞 の 容 易 な も の を 選 ぶ と 共 に 歌 詞 の理 解 に 努 め る よ うに 規 定 し た 。 一 方,明 治37年 に 京 都,大 阪,神 戸 の 保 母 た ちが       あ   結 成 した 「京 阪 神 連 合会 」 で は,独 自 に保 育 内 容 の 研 究 を進 め,こ れ ま で 唱 歌 と遊 戯 と を分 け て保 育 して い た もの を,唱 歌 の 時 間 は 特 に は 設 け ず,歌 い な が ら動 作 に表 わ して 遊 戯 す る とい う"唱 歌 遊 戯"と い う名 称 の も と に保:育を進 め て い た 。 3.大 正 末 期 の 音 楽 リズ ム   この 時 代 に は 幼 稚 園 の教 育 自体 に は さ して 大 き な変 化 は な い が,大 正15年 この 期 の 終 りに幼 稚 園 令 が 公 布 され て お り,こ れ に は 保 育 項 目 と し て 新 し く 観 察 が 追 加 され て い る こ と ぐ らい で あ る 。 しか し,音 楽 リズ ム に 関 す る 分 野 で は 非 常 に 大 き な 動 きの あ っ た 時 代 で あ る。 大 正 7年,雑 誌 「赤 い 鳥 」 は"こ ど も の心 を 生 か し た 歌 を"と い う主 旨の も と,鈴 木 三 重 吉 の 主 唱 で 発 刊 され,北 原 白秋,泉 鏡 花,西 条 八 十 ら が ・寄 稿 し,た ちまち童謡詩 への人 気 と愛 好は異常 な ま で に 高 ま り子 供 を 主 体 と した 種 々 の 雑 誌 の 発 刊 等,童 謡 運 動 と もい え る ほ どの 動 きに 発 展 した 。 さ ら に,そ の 童 謡 に仕 舞 を す る 事 が 始 ま

(4)

り,保 育 の 中 に と りい れ られ る こ とに よ り音 楽 リズ ムへ 大 きな 変 化 を もた ら しは じめ た 。 一 方        コ 大 正6年 に 「律 動 遊 戯 」 を 発 表 した土 川 五 郎 は 遊 戯 に 関 す る研 究 を 生理 学,体 操,フ ォー ク ダ ンス 等 の 面 か ら取 り組 み,従 来 行 わ れ て き た幼 稚 園 で の 遊 戯 を 批 判 し,そ の 著 作 の 中 で 律 動 遊 戯 の 有 用 性 を 次 の よ うに 説 い た。 ⊂曙 楽 に よ って 快 感 を起 こす こ と が 近 道 で あ る。 しか もそ の 曲は 低 級 の も ので は 児 童 の 偉 大 な る 芸 術 的 純 真 を 汚 す お そ れ が あ るか ら高 級 の もの で あ る べ きは 当然 で あ る 。 ② リズ ム と運 動 が 内的 に 調 和 され た もの,す な わ ち 運 動 か ら リズ ムが 出 て 来 た か,リ ズ ムか ら 運 動 が 出 て ぎた の か 境 が わ か らな いほ ど よ く調 和 さ れ て,初 め て そ の気 分 も 出て,真 の 快 感 が 得 られ る の で あ る。 換 言 す れ ぽ,従 来 の よ う に,曲 は 借 り物 で 音 と りズ ム と運 動 に な ん の 交 渉 もな く,た だ 数 で動 く よ うでは いけ な い 。 ③ 表 現   そ の運 動 の も とは 児 童 の 感 情 か ら表 わ れ た 表 現 を と ら え て こな け れ ば な らな い 。 児 童 には 児 童 の世 界 が あ る。 児 童 の 生 活 に 現 わ れ た 表 現 に よ らな け れ ぽ,児 童 に 生 活 化 しな い お と な の 考 え や お とな の表 現 で は,児 童 は,け っ し て生 活 化 され る も の で は な い 。 ④ 美 化   表 現 は 児 童 の表 現,ま た は 日常 彼 らの 目に ふ れ 理 解 で き る表 現 を,さ ら に美 化 しな け れ ば な ら な い。 この 美 化 され る点 に お い て,り っ ぽ な 身 体 効 果 を 起 こす の で あ る。   す な わ ち,リ ズ ム の研 究,音 と りズ ム と表 現 の関 係,生 理 学 的,心 理 学 的 発 達 影 響 を考 え 幼 児 の 無 意 識 の 中 に,楽 しみ を 与 え 身 体 発 育 を 増 長 し,そ れ に よ って 人 間 の精 神 を 高 め られ る よ うな遊 戯 教 育 を す べ きで あ る と主 張 し,そ の 理 論 と実 践 は 戸 倉   ルに よ って 継 承 され,次 の 昭 和 期 の 保 育 に 大 き な影 響 を 与 え た 。 4.昭 和 前 期 の 音 楽 リズ ム   こ の 期 の初 期 は 大 正 末 項 か らの 影 響 で 自由 思 想 的 考 え は 幼 児 の 音 楽 リズ ム へ の 研 究 熱 を 高 め,さ ま ざ ま な 角 度 か ら の接 近 が 試 み られ た 。 昭 和2年 に 「唱 歌 遊 戯 」 を発 表 し た 戸 倉   ル は,土 川 五 郎 の 理 論 の実 践 と し て 作 品 を 発 表 し,3年 には 三 浦 ヒ ロの 「コ ドモ ノ遊 ビ」 を 発 表,前 者 は こ とば で,後 者 は 音 で の 創 作 と して 位 置 づけ,5年 に は 坪 内 士 行 が 「ダ ンス通 」 の 中 でE.1.Dalcrozeの 感 じた りズ ム に よ って 心 が 動 く ま まに 身 体 を 動 か す と い う,リ ト ミッ ク の 初 期 理 論 を 発 表,そ れ と同 時 に 曲 の りズ ムを タ ンバ リンや 太 鼓 な どで 演 奏 す る 器 楽 合 奏 が 始 め られ,又 大 正 期 か ら ラ ジオ 放 送 の 始 ま りで 音 楽 鑑 賞 も取 り入 れ られ,  「音 楽 」 そ の もの の 指 導 が 強 ま り始 め た 時 と もい え る。 しか し,や っ と子 ど もの 自主 性 や 創 造 性 を 重 ん じる保 育 へ と花 開 きか け た 昭 和 の初 期 で あ っ た の に,昭 和 8年 頃 か ら軍 国 主 義 の傾 向 を 強 め 幼 稚 園 の 保       なゆ 育 内 容 や 指 導 法 も戦 時 の影 響 を 受 け一 、少 年 航 空 兵'呪"天 に 代 りて"な ど戦 争 に 関 連 した 唱 歌 が 保 育 の 内 容 の 中 に 登 場 し,唱 歌 や 遊 戯 の 自由 な 発 展 の道 を 一 時 鎖 ざ して し ま った の は,大 きな 損 失 で あ った。 加 え て昭 和19,20年 の 前 後 は 大 半 の 幼 稚 園 は 閉 鎖 され る に 余 儀 な く され た 。 5.昭 和 後 期 の 音 楽 リズ ム   昭 和22年 に 「学 校 教 育 法 が 制 定 され,幼 稚 園 は 学 校 と して 新 た に 発 足 し,翌23年 に は 「保 育 要 領 一幼 児 教 育 の 手 引 」 が示 され た 。 保 育 内 容 は"見 学,リ ズ ム,休 息,自 由遊 び,音 楽,お 話,絵 画,制 作,自 然 観 察,ご っ こ遊 び,戯 遊 び,人 形 芝居,健 康 保 育,年 中 行 事"の14項 を 掲 げ,遊 戯,唱 歌 の 細 分 化 が 行 わ れ,新 た に "音 楽 ""リ ズ ム"の 項 が登 場 し,そ の性 格 を 次 の よ うに示 して い る。 リズ ム: ○意 味 内 容 な しに 行 う リズ ム的 身 体 運 動 も幼 児   に と っ て 大 切 で あ る。 o子 ど もの考 え て い る こ とを 身 体 の 運 動 で 表 現   させ よ。 O歌 い な が ら 自然 に 組 織 だ った 遊 び を し,身 分   た ちの 考 え で振 りつ け を創 作 す る よ う導 く。 ○環 境 の 自 然 物 か ら得 た りズ ム的 動 き を身 体 で   表 現 させ よ。 o過 去 の 経 験 か ら得 た 印 象 を 創 作 的,想 像 的,   リズ ム的 に表 現 させ よ。 ○ 自発 的 に リズ ム遊 び を させ る よ う自 然 の ふ ん   い 気 を つ くれ。 ○伴 奏 音 楽 は リズ ム遊 び を誘 発 す る の に適 す る   もの を 選 べ。 音 楽:

(5)

"音 楽 リ ズ ム 、、 の 内 容 論(1)(小 田) 179 O歌 う,弾 く,聴 くの3項 目に 分 け 幼 児 に 音 楽   の喜 び を 味 あわ せ 心 か ら楽 し く 歌 う よ う に   し,そ れ に よっ て音 楽 の 美 しさを わ か らせ, 音 楽 を 楽 しむ こ とに よ って 幼 児 の 生 活 を豊 か にす る。 「そ れ は ほ か の遊 び を しなが ら身 体 の 運 動 を 伴 な った りす る 事 も幼 児 の 自然 で あ   る」 こ の よ うに 音 楽 と動 き(リ ズ ム)の 関 係 に つ い て述 べ て い るが,こ の実 際 の 指 導 に つ い て の解 説 と指 導 は され て い な か った が,昭 和26年 に文 部 省 か ら 「幼 児 指 導 要 録 」 が 出版   され,昭 和28年 に は 「幼 稚 園 の た め の 指 導 書 一音 楽 リズ ム」 が 刊 行 され ,  "リ ズ ム"と   "音 楽"の2つ に 分 け られ て い た 内 容 が,こ こで1つ に な り 「音 楽 リズ ム」 とな った の で あ る。 そ して,そ こで の 内容 は ○ 聞 く こ と ○歌 う こ とOひ くこ と ○動 き の リズ ムの4つ に分 け られ,そ の 各 々に 具 体 的 な指 導 目標 や 方 法 を 明 らか に した。 更 に 昭 和31年 に 「保 育 要 領 」 が 改 訂 され 「幼 稚 園 教 育 要 領」 とな り, そ の 内 容 は,現 在 の6領 域 へ と流 れ て い った の で あ る。 II  そ の要 約 と考 察   以 上 の よ うに 唱 歌,遊 戯 か ら領 域 「音 楽 リズ ム」 成 立 に 至 る ま で を5期 に 分 け て 通 時 的 に み た の で あ る が,そ れ ぞれ の 時 期 を 要 約 す る な ら ば, 1.未 分 化 の時 期(唱 歌,遊 戯 共 存 の 時 代) 2.開 拓   の時 期(公 的 確 立 の 時 代) 3.発 展   の時 期(遊 戯 全 盛 の 時 代) 4.継 承   の時 期(可 能 性 そ して 中 断 の時 代) 5.混 迷   の 時 期(細 分 化,統 合,拡 大 の時 代) とみ なす こ とが で き る。 1。 唱歌,遊 戯 共 存 の 時 代   東 京 女 子 師 範 学 校 附 属 幼 稚 園 に お け る 開 園 時はゆ の保 育 時 間 を み る と,1日4時 間 の 保 育 を し, 3,4,5歳 児 と もに遊 戯 は 毎 日1時 間30分 唱 歌 は30分 あ て て い る。 他 の 時 間 は愚 物 の 保 育 に 力 点 が あ っ た よ うで あ る。 こ こ だ け を み れ ぽ 遊 戯 重 視 に み え るの だ が,唱 歌 に つ い て 同 校 の 罎 要 ノ校 務 二関 ス ル意 見 」 に 「唱歌 ハ 緊 要 ノー 教 科 ニ シ テ女 子 ノ教 育 ト幼 稚 園 幼 稚 ノ保 育 二至 テ ・・殊 二諸 教 科 中 ノ貴 重 ナ ル モ ノ ナ リ然 ル ニ本 邦 諸 学 校 二至 テ未 タ此 教 科 ノ設 ケ ア ル ヲ 聞 カ ス実 ニ一 大 欠 点 ト言 フ ヘ シ本 校 夙 二此 教 科 ヲ設 クル ニ見 マ リ因 テ式 部 寮 ノ俗 言 二嘱 託 シ テ 歌 曲 ヲ選 択 セ シ メ先 ツ コ レ ヲ幼 稚 園 幼 稚 ノ遊 二用 ヒ次 テ 本 校 生 徒 ノ正 課 二充 テ ン トス … … … 」 とい う文 面 が あ り唱 歌 の 重 要 性 を述 べ,そ れ を 実 施 す る こ と を指 導 して お り前 述 の 豊 田 英 雄 の(遊 戯 を す る時)「 奏 楽 之 に伴 ふ を 以 って 最 良 とす 」 の 言 も あ った 。 さ ら に,前 述 の 「幼 稚 園 唱 歌 集 」

の緒言の中照

唱脚 自然幼稚・鵬 ・養

ヒ 其 発 声 ノ 節 度 二慣 レ シ ム ル ヲ要 ス ル モ ノ ナ レ       む  くコ くひ  む  くコ  くコ む       む く  バ 殊 二幼 稚 園 二欠 ク可 ラズ 諸 種 ノ園 戯 ノ如 キ モ む  む  む  む     くう  くう  む  くう む  くう  くコ       む  む          む  くう       む  くう       む  む 亦 音 楽 ノカ ヲ仮 ル ニ非 レバ 十 分 ノ効 ヲ奏 ス ル 能 む   くコ くじ くコ くコ  む   む ハ ザ ル モ ノナ リ」(傍 点 筆 者)の 個 所 もあ り, 以 上 の こ とか ら,こ の 時 期 に は 唱 歌,遊 戯 は 保 育 時 間 に も差 を つ け られ た 出 発 で は あ った が, しだ い に現 場 や 指 導 層 か らそ の 相 互 が 関 連 しあ って い る こ との 指 摘 や 関 連 させ て の保 育(前 述 の 「家 鳩 」 の 例 参 照)が 行 わ れ は じめ た こ とが 分 る。 そ して 唱 歌,遊 戯 と して ほ ぼ 安 定 して 共 存 して い た とい え る。 2.公 的 確 立 の 時 代   明 治32年 の 幼 稚 園 に 関 す る始 め て の 省 令 に よ る 保 育 項 目は,そ れ まで 義 務 制 で は な か った が 唱 歌 遊 戯 で あ った も の が遊 嬉(明 治33年 す ぐ に遊 戯 と名 称 が も ど っ て い る が)唱 歌 とな り, 前 述 した よ うに 遊 嬉,唱 歌 の 保 育 項 で の位 置 づ け が,そ れ ぞ れ 明 瞭 に され た の で あ る 。 しか し な が ら非 常 に 重 要 な 点 は 遊 嬉,唱 歌 は 前 期 で の 遊 戯,唱 歌 を そ の ま ま承 け た の では な か った と い う点 で あ る。 つ ま り従 来 唱歌 の 中 に 含 まれ て き て い た遊 戯 と関 わ り合 う部 分(そ れ は 歌 い な が ら動 くこ とで あ った り,伴 奏 音 楽 等 も 含 め て)は 遊嬉 の 中 に,共 同遊 嬉 と して 取 りこま れ て し ま った 。 つ ま り前 期 の遊 戯,唱 歌 は そ の大 部 分 を 随 意 遊 嬉,共 同 遊 嬉 と して"遊 嬉"に 抱 括 され 唱 歌 の 中 の 一 部 分,ま さ に歌 う こ と の部 分 だ け を と りだ して"唱 歌 、 とい う項 目が定 め られ た の で あ る。 そ して,こ の 分 類 は 昭 和22年 の 省 令 改 訂 まで 踏 襲 して い た 。1一方,現 場 で は 東 京 女 子 師 範 学 校 附 属 幼 稚 園 の よ うに,1日 の 傷鰭}時 間 中3時 間 を 遊 戯,1時 間 を 唱 歌 そ の 他 に あ て て い る 園 もあ った が,先 に述 べ た よ うに

(6)

京 阪 神 連 合 会 で は 「従 来 は 多 く唱 歌,遊 戯 と時 間 を分 け て 保 育 せ しか ど も,実 験 に 徴 して は 特 に 唱歌 の 時 間 を 設 くる必 要 を 認 め ず 」 と真 向 か ら,こ の 公 的 な 指 示 に 反 対 し独 自 に"唱 歌遊 戯 、 とい う名 称 を用 い 統 合 した もの と して保 育 して い た。 さ ら に,こ の よ うな 機 運 を うけ て 遊 戯 に 関 す る研 究 も さか ん に な って き た 。 明 治43年 に 東 京 帝 国 大 学 で 開 講 され た 「体 操 遊 戯 講 演 会 で の宮 下正太郎 の講 演記録 に よる癒 蔽 の分類は, 今 日の 保 育 内 容 の 形 式 に も大 きな 影 響 を 与 え.て い る と考 え られ るq   す なわ ち宮 下 氏 は 遊 戯 を,

 {:1灘1欝1嫌1罰

と述 べ 単 な る唱 歌 や 音 曲 に伴 な う遊 戯 が 生 理 的,心 理 的 な もの を と もな う表 現 的 活 動 や 身 体 の 教育 へ と発 展 す る こ とを 示 威 して い る の に 注 目 しな け れ ぽ な ら な い。 そ して,こ の 時 期 を 一 口に い うな らぽ 比 較 的 平 穏 に 共 存 して い た 前 期 か ら,そ れ ぞ れ の 明 確 な 規 定 を 求 め て,よ うや く混 乱,混 迷 の 兆 しが み え て きた 時 期 とい え る。 3.遊 戯 全 盛 の 時 代   宮 下 丑 太 郎 の 示 威 した 幅 広 い角 度 か らの お さ えは,こ の 時 代 に 発 展 的 に 承 け つ が れ た 。 雑 誌 「赤 い 鳥 」 に 啓 発 され て ,ま った く新た に子供 文 化 を 見 直 す よ うな 種 々 の(そ して そ れ が も っ と も顕 著 に 表 わ れ た の は 童 謡 の世 界 で あ った の で)い わ ば,童 謡 運 動 とい っ て もい い動 きが あ り,さ ら に,そ れ らの 新 鮮 な優 れ た 童 謡 へ の 仕 舞 を 付 け る こ とが 保 育 の 中 に取 り入 れ られ る こ とが 始 ま った。 ほ ぼ 同 時 期 に な され た土 川五 郎 の 「律 動 遊 戯 」 とい う提 言 は 大 正 十 年 前 後 の新 教 育,自 由教 育 思 想 と又,先 の す ぐれ た 童 謡 の 多 出 とあ い ま 。て 芸 術 的 思 想 を 伴 。た 催 育 ダ ンス」  「童 謡 遊 戯 」 が 流 行 し,こ こに 遊 戯 全 盛 と も い え る時 代 を 呈 した の で あ っ た。 そ の こ と       まセ の は 大 正14年 に 全 国幼 稚 園 保 育 項 目を 調 査 した 結 果 か ら も裏 付 け られ る。 表2  全 国 幼稚 園 保 育項 目の 種 類 (大正14年) 保育項 目 園 数 遊 戯 唱 歌 談 話 手 技 会 集 言 語 練 習 書 方 画 方 観 察 園 芸 運 動 郊 外 保 育 数 方 そ の 他 師 範 附 属 21 21 21 21 21 一 一 一 4 71 211 市 町 村 立 304 304 302 302 302 6 一 5 53 28 9 3 13 2 36 私    立 608 608 608 607 597 9 1 4 57 26 22 9 27 6 117 933 933 931 930 920 15 1 9 114 61 31 13 42 8 164 計

100% 99.8 99.7 98.6 1.6 0.1 0.7 12.2 6.5 3.3 1.4 4.5 0.9 17.6 (「 幼 稚 園 教 育90年 史 」113ペ ー ジ よ り,%は 筆 者 が 参 考 の オ   この 表 の示 す よ うに遊 戯 は 全 て の幼 稚 園 で取 り上 げ られ て い る。 そ して こ の よ うな 遊 戯 発 展 の 最 大 の 要 因 は 土 川 五 郎 や 「赤 い 鳥」 な ど にみ られ る 共 通 した姿 勢 で あ る とい え る。   そ れ は,大 正6年,文 部 省 主 催 の 体 育 講 習 会 に お い て 土 川 五 郎 が 示 した 次 の事 柄 で あ る。 こめ 加 え た) オお  L児 童 の 表 現 を ら え な け れ ば 児 童 の 生 活 に 合 致   しな い 。 2.世 界共 通 の 国 際 性 の うえ に,国 民 性 を織 り込   まな け れ ぽ な らな い。 3.児 童 の心 理 に 合 致 して,そ の 感 情 を 陶 冶 しな   け れ ば な らな い。

(7)

"音 楽 リズ ム "の 内 容 論(1)(小 田) 181 す な わ ち,理 知 的 な面 を教 育 す るだ け で は な く,大 切 な 感 情 を 教 育 す る こ とを 忘 れ て は な ら な い と指 摘 し,そ の た め に子 ど もを しっか り観 察 し,音 楽 とそ の 表 現 とに よ って,幼 児 の心 理 を捉 え,美 化 し,リ ズ ム と の 調 和 を 計 ろ う とす る 姿 勢 で あ った 。 そ して,そ れ は 前 期 の 宮 下 氏 の位 置 か ら,さ らに 自 由 に幅 拡 く感 情 を 持 って 発 揚 して い った もの と い う こ と もで き る と思 わ れ る の で あ る。 4.可 能 性 そ して 中 断 の時 代   戸 倉 ハ ル は この 時 期 を 通 じ最 も意 欲 的 な活 動 を 行 った1人 で あ った 。 それ は 土 川 五 郎 の理 論 の実 践 と して発 表 され る作 品 で あ り 「唱 歌 遊 戯 」 の 出 版 で あ った が,思 想 的 に は 土 川 五 郎 の 継 承 で あ って特 に 目新 しい とい うほ どの もの は な い。 そ の こ とは 他 の続 出 した創 作 や 理 論 の ほ とん どに もい え るわ け で あ り,そ れ は 前 期 の特 に土 川 五 郎 の影 響 が,い か に 大 き く深 い もの か を示 す も の で あ る。 しか しな が ら,彼 に よ って 「遊 戯 」  (保 育 内 容 にお い て の意)と い う もの の捉 え方 は ま さに ベ ー ル を は ぐ ご と く自 由 に広 大 に な った 。 この 時 期 は 枠 を 除 され た 「遊 戯 」 に関 して 様 々の 接 近,取 り組 み が 試 み られ た の で あ る。 そ の1つ の 例 と して,こ の 時 期 紹 介, 発 表 され た もの の い くつ か を あ げ る と, ○坪 内 士 行(昭 和5年)  「ダ ンス 通 」 リ ト ミ ッ   クの 紹 介 ○水 谷 し き を(昭 和6年)「 可 愛 ら しい お 遊 戯 」   パ ン トマ イ ムの 紹 介 O石 井 小 浪(昭 和7年)  「幼 稚 園 の 舞 踊 」 唱 歌   遊 戯 の 紹 介 ○長 田  博(昭 和8年)  「幼 稚 園 小 学 校 説 話遊   戯 」story-playの 紹 介 ま さ に百 花 撩 乱 … …,枚 挙 に い と まの な い わ け であ る が,こ こに あ げ た もの だ け で も,そ の 幅 広 い 内容 は 注 目に 値 す る。 そ して,特 に リ トミ ッ ク,パ ン トマ イ ム,ス トー リー プ レイ 等 の 示 す よ うに 欧 米 の理 論 が 次 々 と紹 介 され は じめ, 世 界 に 目を 向 け る と い う動 きは,今 ま で に は な か った もの で あ った 。 そ して,そ れ は ラ ジオ や 器 具 の 利 用 とい う用 具 手 段 の 面 で の 発 達 拡 大 と あ い ま って,1つ の 発 展 を確 実 に 実 らせ 得 た 時 期 の は ず で もあ った 。 しか しな が ら,こ の 時 期 は 戦 争 とい う トンネ ル の 中 に 入 りな が ら終 って い った の で あ って,広 く,か つ 多 様 な 取 り組 み の 中 でや っ と芽 ば え 育 ち つ つ あ った 子 供 の 自主 性 や 創 造 性 は 無 残 に も踏 み に じられ 闇 に 閉 籠 め られ て しま った とい え る の で あ る。 5.細 分 化,統 合,拡 大 の 時 代   戦 争 とい う トンネ ル を抜 け 昭 和22年 新 た に 学 校 教 育 法 が制 定 され,つ い で14の 保 育 項 目を 示 す 保 育 要 領 が 出 され,長 い 間 使 用 され た 従 来 か ら の唱 歌,遊 戯 とい う保 育 科 目は,自 由遊 び, ご っ こ遊 び,戯 遊 び,人 形 芝 居,健 康 保 育,音 楽,リ ズ ムの7項 目に渡 って 細 分 化 され,そ れ ぞ れ に性 格 づ け が な され た の で あ る が,そ の 特 長 は 自由 な 表 現 を させ る,創 作 的 表 現 を養 うと い う言 葉 に 集 約 され て い る。 しか し,そ の 具 体 的 な指 導 案 が 示 され て は お らず,単 な る 細 分 化 に 終 った た め に 文 部 省 は 昭 和28年 に 「幼 稚 園 の た め の指 導 書,音 楽 リズ ム編 」 を 出 し,指 導 の 目標 並 び に 方 針 を 明 らか に し ょ う と し,こ こ に 音 楽 と リズ ムは 一 括 して 扱 わ れ 統 合 され た か に 見 え た の で あ るが,実 は これ は 細 分 化 した も の. を 現 場 で 具 体 的 な実 践 に 移 す 際 に,お 互 が か ら み あ って きた た め,そ れ を 関 連 づ け ざ るを 得 な くな った 処 理 で あ る と考 え られ る。 こ の こ とは 昭 和31年 の 保 育 要 領 の 改 訂 へ と連 な り,さ ら に 現 在 の 健康,社 会,自 然,言 語,音 楽 リズ ム, 絵 画 制 作 と い う6領 域 へ の再 分 類 へ と直 接 通 じ て い くの で あ る。 この6領 域 の 中 に 音 楽 リズ ム の項 を 設 け た の は,従 来 唱 歌 や遊 戯 で 総 称 され て きた もの が,こ こに 統 合 され た と見 が ち で あ る が,実 は これ は統 合 では な く,逆 に と り とめ もな い 拡 大 で あ る とい え る の で あ る。 つ ま り音 楽 リズ ム と い う名 称 は 確 立 した も の の,そ の実 体 は 他 の5領 域 の 中 に 分 散 して 入 っ て しま い, 言 ひ 換 れ ば 「さ ま よ え る」 状 態 な の で あ り, 「拡 大 」 と い い 「混 迷 」 とい うの は ,こ の こ と で あ るが,そ れ が 具 体 的 に は ど うい う こ とで あ り,さ か の ぼ って,そ の 原 因 は,ど こ に あ る の か とい うこ と を 以 下,一 試 論 と して 述 べ てみ た いo III音 楽 リ ズ ム へ の 一 試 論 従 来,唱 歌 や 遊 戯 で 総 称 され,そ の 内 に取 り

(8)

込 まれ て い た 種 々の 幼 児 の動 き に 関 す る保 育, す な お ち,リ ズ ムや 歌 や 音 に関 す る 保 育 は,戦 後 の 第1段 階 に お い て,そ の 教材 と現 象 面 で の 差 に よ って,お よそ7項 目(リ ズ ム,自 由 遊 び,音 楽,ご っ こ遊 び,戯 遊 び,人 形 芝 居,健 康 保 有)に 細 分 化 され た 。 これ ら7項 目が,あ る共 通 項 を 持 っ た 多 様 な 発 現 で あ る との 認 識 は され な か っ た し,そ の示 唆 も され て は い な い 。 も し,こ の 時 期 に 共 通 項 は 何 か とい う方 向 に そ っ て踏 み 出 す こ とが 出来 た の な らぽ ゴ 保 育 の 実 践 お よび 次 の再 編 成 の段 階 で 別 の 展 開 を み た か も知 れ な か った 。 しか し,実 際 は,こ の 多 様 な 保 育 項 目を,い か に こ な す か とい う事 が 保 育 現 場 で の 主 要 な課 題 と な り,技 術 的 な 解 決 策 を 求 め る こ とが 保 育 の 達 成 とみ な す 傾 向 を 生 ん だ 。 しか し,細 分化 され た7項 目は,独 立 して 存 在 して は い な い の で あ'り,関 連 させ て 実 践 せ ざ る を 得 な い とい う認 識 が され は じめ 保 育 項 目を 再 編 成 しな お す と い う第2段 階 に い た った 。 そ の 再 編 成 に お い て 「音 楽 リズ ム」 と い う領 域 が 設 け られ た の で あ るが,そ れ は 第1段 階 で の7項 目全 域 を統 合 した もの で は な く,7項 目の 内 の 音 楽 と リ ズ ムを 合 同 した も の と して 設 定 され た に す ぎ なか った 。 他 の5項 目は,そ れ ぞ れ が6 領 域 の 中 で,各 領 域 を 達 成 す る た め の 方 法 の 諸 様 式 と して 処 理 され て しま った の で あ る。 つ ま り,「 音 楽 リズ ム」 とい う領 域 の 設 定 は,単 に,音 楽 や リズ ム と して と らえ る こ との 出来 る 動 きや 表 現 に関 して の 具 体 的 な指 導 の 方 針 を示 した だ け の も の な の で あ る。 そ して,そ れ 以 前 の 遊 戯 や 唱 歌 の 時 代 か ら開 拓 され,つ け 加 え ら れ た 本 来,こ の 領域 に 含 め られ る は ず の も の が,6領 域 の 中 に 分 散 され た こ とに よ り, 「音 楽 リズ ム」 の領 域 は,結 局 と りとめ もな く拡 大 して し ま っ た の で あ る。 そ れ は 第1段 階 で 関 連 しあ った 各 項 目の 把 握 の仕 方 が,共 通 項 を み つ け る とい う方 向 に 踏 み だせ な か った 事 が 直接 の 原 因 で あ ろ う。 しか しな が ら,も う一 歩 進 め る な らば,実 は 唱 歌,遊 戯 と して,こ の領 域 が 発 現 した と きか ら,そ れ は形 成 され 続 け て い た の で あ る。 つ ま り,音 楽 や リズ ム の 保 育 の 中 で の,と ら え 方 に 原 因 が あ るの で あ る。   そ の1つ は 「幼 稚 園 保 育 及 設 備 規 定 」 の 中 の 「遊 嬉 ハ … … 心 情 ヲ快 活 ニ シ ,身 体 ヲ健 全 ナ ラ シ ム」,「唱 歌 ハ心 情 ヲ快 活 純 美 ナ ラ シ メ純 活 ノ 資 トス 」 の よ うに 「一 セ シ メ,一 ナ ラ シ ム 」 とい う認 識 や 土 川 五 郎 の 「律 動 遊 戯 」 で 述 べ られ た 有 効 性 を重 視 して の認 識 の よ うに,唱 歌 や遊 戯 を 体 を 作 った り,心 を養 う 目的 の 手 段 と して み る方 法 で あ る。 も う1つ は,戦 後 の 「保 育 要 項 一 幼 児 教 育 の 手 引」 の 中 に 多 用 され る 「表 現 させ よ」 とい う語 に表 わ され る技 術 的 な 面 で の達 成 を 目的 とす る方 法 で あ る。 この2 つ は,ど ち ら も遊 戯,唱 歌 あ る い は,音 楽,リ ズ ムを 効 果 や 結 果 に 価 値 を お い て と らえ る とい う実 用 的,技 術 的 な も の と して と らえ た も の で あ る。 したが って,保 育 の場 で 取 り あ げ る 際 も,実 用 的,技 術 的 な,そ れ ぞ れ の,又,他 の 保 育 項 目 との時 間 的,内 容 的 な バ ラ ンス を とる とい うこ とに主 眼 が お か れ が ち で あ った 。 今 ま で の種 々の貴 重 な 保 育 の実 践 や 保 育 研 究 の 多 く も,こ の域 を 出 て い な い。 そ して,そ れ は,幼 児 が そ こに お り,幼 児 と共 に 進 ま ね ぽ な らず, そ の こ とに 急 の あ ま り,と りあ えず の 処 置 を必 要 と した 現 場 で の 要 求 に した が って な され た こ と な の で あ る。 と ころ が,実 は,現 場 に ど う組 み 込 む か を 提 起 した と きに,1つ の 分 岐 点 が あ っ た の で あ る。 そ こで,  「幼 児 が い る」 とい う 方 へふ り返 るか,そ れ と も,  「ど う 処 理 す る か 」 の方 へ 進 む か で 大 きな 差 が 出 て く るの で あ る。 そ して,今 ま で の 保 育 や 保 育 理 俺 等 の 多 く は,こ の 分 岐 点 に立 った 時 に,  「幼 児 の 方 へ ふ り返 る 」 の で は な く,「 ど う処 理 す る か 」 とい う方 向 を と った の で あ った 。 この 「ど う処 理 す る か」 とい う問 い か け を 積 み 重 ね た 結 果,現 状 に 至 った の で あ り,現 状 が 抱 え.てい る 諸 問 題 と は,こ の 積 み 重 ね られ た 答 の 総 和 の 要 求 に 他 な らな い の であ る。   だ とす れ ぽ,す で に,分 岐 点 に立 ち 戻 るべ き 時 期 に き た とい うこ と で は あ る ま い か 。 す な わ ち,「 ど う処 理 す るか 」 を,こ れ 以 上 問 うの で は な く,今 ま で は,ほ とん ど無 視 され 続 け て き た 「幼 児 が そ こに い る」 とい う点 か ら 見直 しを は じめ な けれ ぽ,新 しい 答 は,で そ う もな い と い うこ とで あ る。   「幼 児 が そ こに い る 」 と い う観 点 は,す べ て

(9)

"音 楽 リズ ム"の 内 容 論(1)(小 田) 183 の 物 ご とが 「在 る」 こ とを見 つ め る とい う視 点 で もあ る。 そ こに 立 つ と い うこ とは,「 音 楽 リ ズ ム」 とは 何か を,も う一 度 問 い な お す こ とで あ り,さ ら に,「 音 とは 何 か 」  「動 き と は 何 か 」 とい う問 を 重 ね る こ とで あ り,加 え て 「幼 児 に と って 」  「幼 児 とは 何 な の か 」 の 問 を 発 し,そ の 後 に 「ど う処 理 す る か」 を 問 うこ とな の で あ る。 これ らの 各 々に つ い て は,今 後 の課 題 で あ り,次 の 機 会 に述 べ た い。 こ こで は,次 の 事 は 明言 した い 。   そ れ は 「"音 楽 や リズ ム は,そ れ 自体 は 目的 とは な ら な い」 とい う こ とで あ る。 そ れ は,音 楽 や リズ ムを表 現 す る こ と 自体 も含 め,音 楽 や リズ ム に よ って 直 接 に もた らす 効 果 や 結 果 も 目 的 に は な らな い と い う こ とで あ る。  「幼 児 が そ こに い る」 とい う視 点 で み るな らぽ,そ の こ と は 明 らか に な るは ず な の で あ る 。 な ぜ な ら, 「幼 児 が 生 きて い く こ とが 何 よ りも尊 重 され ね ば な ら な い 」 と い う見方 が,当 然 で て く るか ら で あ る。 と こ ろが,  「幼 児 が そ こ に い る 」 の 観 点 に 立 っ て 問 い を発 して い くと き に,も う1つ の 分 岐 点 が 存 在 して い るの は,あ ま りきず か れ て い な い 。 そ の分 岐 点 は,微 妙 で,ご く些 細 な 差 異 で あ る と しか見 え な い た め,そ れ に 気 づ か ず,結 局 は 「幼 児 が そ こに い る」 とい う観 点 か ら全 く外 れ た と ころ に 陥 っ て し ま うの で あ る。 そ の 微 妙 な 差 とは 何 か とい うと,そ れ は 「幼 児 が そ こ に い る」 とい う立 場 に立 ち な が ら,次 の 問 い か け を 「幼 児 に と って 」 とす るか,  「幼 児 の た め に 」 とす る か,そ の2つ の 問 に 生 じて く る の であ る。 この2つ は,ほ とん ど同 じに み え る の で,そ の差 に,気 づ くの は非 常 に む つ か し い 。 しか し,  「幼 児 が そ こ に い る」 とい う観 点 に 立 っ て,次 に 「幼 児 のた め に 」 と い う形 で 問 う こ とは,  「た め に ∼ こ うす べ き で あ る」, 「∼ た め に,か くあ りた い」 と必 然 的 に 続 くの で あ る。 そ して,も っ と も危 険 な こ とは,一 端 は 「幼 児 が そ こに い る」 の 観 点 に 立 った こ とが 免 罪 符 とな り,結 局 は 「た め に 」 と い う判 断 は,保 育 者 や 親 や そ の 他,大 人 の側 か らな され る もの で あ る 事 に 留 意 され な くな る点 で あ る。 言 ひ換 れ ば,  「幼 児 の 側 」 に 観 点 を 据 え た よ う に 見 え て,実 は 「大 人 の 側 」 か ら一 歩 も動 い て は い ず,  「幼 児 が そ こ に い る 」 と い う 事 か ら は,遙 か に 隔 た って しま う とい うこ と な の で あ る。   一 方,  「幼 児 に と って 何 な の か 」 との 問 い か け を す る な らぽ,そ れ は,  「幼 児 に と っ て 音 楽 や リズ ム とは 何 なの か」とい う問 い か け とな る。 さ ら に 「幼 児 とは 何 か」,「幼 児 の 動 き とは 」「音 とは 」  「遊 び と は」 等,  「幼 児 が 生 き る こ とは 何 か 」 を お さ え な お す必 要 が 生 じて く る の で あ る。 そ れ に 答 え る た め に は,ま ず,幼 児 の あ り の ま まを み つ め なけ れ ぽ な らな い。 す な わ ち, 幼 児 自身 の 生 活 をみ きわ め る事 で あ り,幼 児 自 身 が 生 活 を 持 って い る こ とを 確 認 す る こ と で あ る。 そ の 中 へ,大 人 の 持 つ 判 断 とい う夾 雑 物 を 決 して 入 れ ぬ こ とな の であ る。 操 り返 し述 べ る な ら 「幼 児 に と って 何 か 」 を問 うこ と は,  「幼 児 が 生 き て い る」 事 実 を 大 切 に す る事 を 第 一 義 とす る こ とに つ な が る。 そ の た め に は,大 人 の 側 か ら は手 を 下 さず,大 人 か ら与 え る もの は 最 少 と しな け れ ば な らな い の で あ る。した が って, 「音 楽,リ ズ ム」 が 幼 児 の 中 に 真 に存 在 して い る とす る な らぽ,そ れ は 「生 活 の手 段 」 と して 取 り上 げ られ て い なけ れ ば な ら な い。と こ ろ で, 幼 児 に と って 「生 活 の 手段 」と な る と い うの は, 幼 児 が 生 活 の 中 で 自然 発 生 的 に 作 りだ し,使 う も の で あ るだ ろ う。 しか し,さ ま ざ ま の 情 報 に 取 り囲 まれ た 現在 の幼 児に とって 自然 発 生 的 な も の を望 む こ と は,ほ とん ど出 来 な い で あ ろ う。だ が,遊 び が 生 活 時 間 の 大 部 分 を 占め て い る幼 児 に は,生 活 す な わ ち遊 び とい う こ とが で き る。 した が って,生 活 の 手 段 とは,す な わ ち,遊 び の 手段 と い う移項 も出 来 る の で あ る。 そ こ で, 幼 児 の 遊 び の 手段 の中 に あ る 「音 楽,リ ズ ム」 を 拾 い 出 す とい うこ とで,彼 ら の 「生 活 の 手 段 」 と して 生 きて い る音 や リズ ム等 を取 り上 げ る こ とが 出 来 る の で あ る。 そ こか ら 「幼 児 に と って の 音 楽,リ ズ ム と は何 か 」 の 解 明 へ とす す む の が 「幼 児 とは 何 か 」 の 解 明 へ も至 る確 実 な 道 の 1つ で あ る と い え る の で あ る。   そ の意 味 で,昭 和41年 の 頃 か ら 「わ らべ うた 」 に 関 して の 研 究 が 盛 ん に な りつ つ あ る こ とは, 古 くて(唱 歌,遊 戯 の 時 代 にす で に 実 践 は あ っ た と思 わ れ る ので)新 しい研 究 と して 注 目に値

(10)

す る。 な ぜ な ら,  「わ ら べ うた 」 を 構 成 す る非 論 理,ま た は 無 秩 序 な部 分,あ るい は 大 人 の 判 断 にか か らな い 非 教 育 的 な 部 分 は,意 図 的 で な く幼 児 に 利 用 され る こ と が 出 来 る と い う意 味 で,幼 児 に と っ て,非 常 に豊 富 な 材 料 だ か らで 一あ る 。 そ して,幼 児 自身 が 大 人 の 判 断 に か か わ らぬ と ころ で 創 って い る も の こそ,い か に も不 合 理 な非 教 育 的 な もの で あ ろ う と,彼 ら には, ま さ し く合 理 的 で あ り,教 育 そ の もの な の で あ る。 そ の 意 味 で 「わ らべ うた」 そ の もの の研 究 と 同時 に,「 わ らべ うた 」 と幼 児 との 関 りあ い と い う事 は,も っ とみ つ め な お され るべ きだ と 思 うの で あ る。   こ の 稿 を と お して,音 楽 リズ ムを 保 育 の 中 で と らえ る さい に2種 の 方 法 の あ る こ とを 提 示 し て き た。 そ の一 方 は,「 ど う処 理 す るか 」 「幼 児 の た め に 何 な の か 」 と い う保 育 者 や 親 な ど大 人 の側,つ ま り上 か らの 発 想 を重 視 す る問 いか け であ り,他 方 は 「幼 児 に と って 何 で あ るか 」 と い う幼 児 の 側,つ ま り下 か らの 発 想 を 重 視 す る問 い か け で あ る。   一 方,現 在 の 幼 児 教 育,と くに,「音 楽 リズ ム」 の 領 域 で の 混 迷 を もた ら した もの は 何 か をみ る と き に,戦 後 す ぐの 教 育 改 革 に よ って,こ の2 種 の聞 け か け の 対 立 が,先 鋭 化 した こ と に よる も の と見 る事 が 出 来 るの で あ る。 な ぜ な ら,先 に 考 察 した よ うに,戦 後 す ぐの教 育 改 革 は,そ れ 以 前 の もの を 切 り捨 て て 全 く新 しい 出 発 と し て 行 わ れ た 。 そ こで 「保 育 」 は 「教 育 」 に変 っ て しま った 。 こ の こ とは,幼 児 を 「教 育 され る 者 」  「指 導 され る者 」 と して と らえ る もの で あ り,こ の 改 革 が 上 か らの 発 想 に よ って な され た も ので あ る こ とを 示 して い る。 そ して,戦 前 の 試 行 錯 誤 の 中 か ら,よ うや く芽 ば え て きつ つ あ った,下 か らの 発 想 は 汲 み 上 げ られ な か った 事 を 意 味 す る もの で あ り,  「唱 歌 」  「遊 戯 」 と現 在 の領 域 「音 楽 リ ズ ム」 とは 流 れ と して,つ な が って い るの で は な い こ とを 意 味 して い るの で あ る。 した が って,「 唱 歌 」 「遊 戯 」 と 「音 楽, リズ ム」 を つ な ぐ こ とが 出来 れ ば,上 か ら の発 想 と下 か らの 発 想 の2つ も収 束 さ れ て,領 域 「音 楽 リズ ム」 は 確 立 され る の で あ る。 そ して それ は,現 在 の 設 定 範 囲 の単 な る 見 直 しや 補 充 に よ っ て は,な さ れ な い の で あ る 。 全 く 新 し く 「音 楽 リ ズ ム 」 の 内 容 を 作 り出 す 作 業 を 通 し て し か,可 能 と は な ら な い 。 お  わ  り  に   以上,現 在 の領 域 「音 楽 リズ ム」 に 至 る まで の 流 れ を 辿 り,そ の結 果,現 わ れ て きた さ ま ざ ま の 諸 問 題 と 「音 楽 リズ ム」 そ の も の とを解 明 す る た め の 提 言 を した わ け で あ る が,そ の提 言 を 確 か に す るた め に は,先 ず,な に よ り幼 児 の と ころ に 帰 らね ば な らな い 。 幼 児 を み な け れ ぽ な らな い 。 彼 ら に与 え るの で は な く,彼 らの 中 に あ る もの を,彼 らの 位 置 ま で降 りて い って 見 つ め な け れ ぽ な ら な い。 そ して,一 方 で は 「音 楽 とは 」「動 き とは 」「遊 び とは 」  「幼 児 とは 」 に つ い て,そ れ 自体 の 科学 的 な 解 明 に 取 り組 まね ぽ な らな い の で あ る。 そ して,そ の2つ が 付 き 合 わ され た と き に,新 た な 道 が 拓 け る こ と と思 う。   した が って,こ の 次 の段 階 で は,「 音 楽 」 「動 き」 「遊 び 」 「幼 児 」 の 本 質 を 科学 的 に 解 明 し て い こ うと して い る 種 々の 試 み に つ い て の,い わ ば共 時 的 な分 析 考 察 を 軸 と して 「音 楽,リ ズ ム」 に か か わ り合 う範 囲 の 広 大 さを 示 し,又, そ の取 り組 み の 多 様 性 と深 さを 明 らか に して い き た い。 ㊧ 1)文 部 省(1969)  「幼 稚 園 教 育90年 史 」 ひ か りの く に 株 式 会 社   P296 2)  1)に 同 じ  P519 3)  1)に 同 じ  P519 4)  1)に 同 じ  P523 5)鈴 木 信 政 著(1972)  「改 訂 幼 児 教 育 概 論 」 川 島 書 店 P20 6)  1)に 同 じ  P626 7)  1)に 同 じ  P337 8)  1)に 同 じ  P102∼103 9)土 川 五 郎 著(1917)  「律 動 遊 戯 」 律 動 遊 戯 研 究 所 刊 10  長 谷 川 賢 二 著(1942)  「日 本 の 子 供 の 歌 」 新 興 音 楽 出 版 社 1カ  1)に 同 じ  P80 1⇒  1)に 同 じ  P521 1⇒ 文 部 省(1887)「 幼 稚 園 唱 歌 集 」 文 部 省   P1∼2 10  1)に 同 じ  P99

(11)

"音 楽 リズ ム "の 内 容 論(1)(小 田) 185 1⇒  体育 研 究 会(1910)  「体操 遊 戯講 話 集」 大 日本 図 書  株 式会 社  P89∼92 10 真 行寺 朗 古 著(1914)「 近 代 日本体 育史 」 日本 体育 学 会  P101 切  1)に同 じ P113 凶  ④に 同 じ P45       参  考  文   献 1)土 谷澄 著(1973)  「動 きの リズム」 ひか りの くに株 式 会社 2)木 村 信 久著(1968)  「創進 性 と音 楽教 育 」 音 楽 の友 の 社: 3)幼 少 年 教育 研 究 所編(1970)「 音 楽 リズ ム」 協 同出 版' 4)須 川 久 著(1974)  「乳 幼 児音 楽 教 育 の実 践 」鳩 の 森 書 房 5)戸 倉 ・・ル著(1936)「 幼 稚園 に お け る唱 歌 遊 戯 」 廻 文 館 r

参照

関連したドキュメント

「1.地域の音楽家・音楽団体ネットワークの運用」については、公式 LINE 等 SNS

・ぴっとんへべへべ音楽会 2 回 ・どこどこどこどんどこ音楽会 1 回 ステップ 5.「ママカフェ」のソフトづくり ステップ 6.「ママカフェ」の具体的内容の検討

67 の3−12  令第 59 条の7第5項の規定に基づく特定輸出者の承認内容の変 更の届出は、

英国のギルドホール音楽学校を卒業。1972

イタリアでは,1996年の「,性暴力に対する新規定」により,刑法典の強姦

SDGs を学ぶ入り口としてカードゲームでの体験学習を取り入れた。スマ

これに対し,わが国における会社法規部の歴史は,社内弁護士抜きの歴史