本学の産業共同研究センターが中心になって、NPO 法人彦根景観フォーラムとの協力・連携のもと、以下のような 多様で多彩なまちづくり活動を展開した。
彦根の景観を活かしたまちづくり
【1】 はじめに
本年度実施の主な事業は、シンポジウム、調査・研究会・町家活用相談、書籍出版である。 シンポジウムについては、6 月、11 月、1 月に 3 回実施した。調査・研究会・町家活用相談については、談話室、 木造伝統構法研究会、世界遺産委員会、3 件の町家について活用相談、2 件の歴史的建造物についての実測調 査を行った。本年度の特筆すべきことは、書籍を 3 冊上梓したことである。【2】 主な実施事業
滋賀大学 産業共同研究センター 教授 山﨑 一眞 客員研究員 岡野 睦 事 業 名 場 所 参加人数 H18 6.10 彦根景観シンポジウム2006「世界の城下町彦根を目指して」 夏川記念館 160人 8.27 星空映画祭2006「雨あがる」 四番町スクエア 250人 11.23 ぶらっと彦根・まちナビシンポジウム2006「彦根を遊ぼう」 彦根商工会議所 135人 H19 1.21 発刊記念シンポジウム「彦根歴史散歩 ~過去から未来をつむぐ」 彦根城博物館 90人 H18 5月~ 築城400年祭 談話室「それぞれの彦根物語」 (32週) 寺子屋力石 6月~ 彦根歴史散歩編集委員会 (5回) 滋賀大学 木造伝統構法研究会 (6回) 寺子屋力石 防災・耐震・まちづくりワークショップ (7回) ACT-Q 10月~ 世界遺産委員会 (3回) 滋賀大学 11月 栗生家・百々家・多賀町一円家他 活用相談 滋賀大学 H19 3月 町家実測調査 栗生家・長曽根御門他 H18 6.23発行 12.20発行 H19 3月発行予定* *H19.5.23発行 「彦根歴史散歩 -過去から未来をつぐむ-」 「100年前に描かれた彦根-イギリス人水彩画家アルフレッド・パーソンズの話-」 延900人シンポジウム
開催年月日研究会・フォーラム・談話室・町家活用相談協力
書籍出版
「町家に住む-建築技術活用法 -彦根の町家を生かしたまちづくり- Series2」彦根景観シンポジウム 2006 「世界の城下町彦根を目指して」
彦根景観シンポジウム 2006 は、国宝・彦根城築城 400 年祭をきっかけに、彦根のもつ価値と、今後 100 年の「まち づくりビジョン」を考えることを目的とした。【1】 「彦根景観シンポジウム 2006」 内容
〈 講演 1 〉 「彦根の脇街道と善利組組屋敷」 ◇ 城下町の成立と脇街道 彦根の城下町建設は、慶長 9 年に始まった。都市部約 5 万人、領内約 25 万人の政治・経済の中心を新しく 創り出すため、中山道の流通機能を城下に取り込む計画が立てられた。鳥居本宿、高宮宿は慶長 7、8 年の 中山道整備時に現在地に移転され、2 つの脇街道(彦根道)が設けられた。城下町には、問屋場「伝馬町」が 設置され、「内町大通り」がにぎわった。脇街道には、塩、味噌、魚、麻布、古金、炭など特徴のある職種がみ られ、当時の物資流通を知ることができる。 ◇ 善利組の足軽組屋敷 足軽組屋敷は、初代藩主の頃(18 万石)は、中薮 6 組、善利組 12 組だったが、領地加増にあわせ善利組・ 大雲寺組が増設され、最大で 1,120 人になり、大消費地を形成した。他の藩に比べ高禄で、敷地も広く、建物 は一戸建が基本で、組毎に隣接して建てられた。また、本来は世襲制ではないが彦根藩では職務を相続する 傾向にあった。 ◇ 城下町の景観の現状と課題 近代以降は、鉄道などの新交通手段により旧街道は衰退し、内町大通りは商店街として活性化したが、脇 街道筋は袋町の歓楽街や七曲の仏壇街へと大きく変化した。さらに近年は、モータリゼーションにより中心部 の空洞化が進み、足軽組屋敷は、昭和 43 年に 158 棟あったものが平成 13 年には 52 棟に激減し、いかに保 全するかが緊急の課題である。 また、脇街道筋にあたる裏新町、岡町、沼波町に点在する町家の保存、「内町大通り」にあたる立花町の道 路拡張工事に伴う町家の再生、七曲仏壇街の継承など、将来の城下町・彦根のあり方を問う課題が山積みし ている。 ■ 日時:平成 18 年 6 月 10 日(土) 10:00~15:00 * 「アートフェスタ勝負市」協賛 物産展示・工芸作家実演 ■ 場所:夏川記念館 (彦根市京町 2 丁目) [ 第 1 部 ] 彦根の歴史を学ぶ&ミニ散策 10:00~12:30 ① 講演 「彦根の脇街道と善利組組屋敷」 講師:京都女子大学 助教授 母利 美和 ② 河原町周辺散策 [ 第 2 部 ] 世界の城下町彦根になるために 13:30~15:00 ① 講演 「彦根の町並みの保存と活用」 講師:元 滋賀県立大学 学長 西川 幸治 [ 第 3 部 ] 彦根を語ろう 17:30~19:30 ① 懇親会・フリートーク コーディネータ:産業共同研究センター 教授 山﨑 一眞 [ 開催概要 ]〈 講演 2 〉 「彦根の町並みの保存と活用」 最近、文化的景観・世界遺産という言葉を、新聞やテレビを通じて耳にされると思う。世界遺産登録はユネスコ の事業であるが、実際にはイコモス(ICOMOSU)という下部組織が主に活動している。 世界遺産の中には、文化遺産と自然遺産、複合遺産があり、特に文化と自然の複合した遺産が最近注目され、 これが文化的景観と呼ばれるものである。日本でも「文化財保護法」が改正されて、文化的景観が付け加えられ た。 文化的景観とは、人間が営む生活や生業と結び付いたかけがえのない景観のことで、それを 1 つの文化財の 分野として認めようということである。手順としては、それぞれの自治体が文化的景観を指定し、その中で国が重 要と認めたものを重要文化的景観に選定する。その第 1 号が、滋賀県近江八幡の水郷になった。世界遺産に対 する国際的な関心の高まりの中で、こういう動きが出てきたのである。 歴史を活かしたまちづくりとは、年輪を刻み込んでいけるようなまちということである。今日のまちよりも、明日の まちがよくなっていく、そういうことを記憶できるような、誇りにできるような、過去と現在が、過去と未来とが衝突し 合いながら年輪を刻んでいけるようなまちづくりになればいいと考えている。
【2】 河原町通り周辺のミニ散策
安藤忠雄設計の①夏川記念館、②西覚寺、③旧家老屋敷の庭園と茶室、⑤昭和 8 年の銭湯、町家店舗、⑪七 曲仏壇店、⑫旧家具店、「花の生涯」の舞台となった袋町を代表する⑬料亭と⑭旧貸座敷、⑰旧明治銀行などを散 策した。築城 400 年祭 談話室 「それぞれの彦根物語」
談話室とは、ひこね街の駅「寺子屋力石」を会場に、彦根市民がそれぞれの楽しみを紹介しあうもので、毎週 土曜日の午前中に行っている。 〈 開催レポート 1 〉 彦根物語 1 「その後の直弼:20 世紀に生きた郷土の偉人」 「その後の直弼」という題には、井伊直弼が生きた軌跡をたどり彼の生を再現するのではなく、彼がその生涯を 終えたあとに、彼がどのように想い起こされ語られたのかを通して、そのときどきの時代や社会の意味を考える、 という狙いがこもっています。 こういうスタイルをとると、私にとっては、井伊直弼が誰だったのか(どんな人物だったのか)は、いつまでたっても 空白のままとなってしまいます。 その反面、直弼のイメージ(像)に投影され、またそれが照らしかえす時代や社会 [ 「それぞれの彦根物語」の語りと語り部 ] 回 語り 語り部 1 5 13 「その後の直弼:20世紀に生きた郷土の偉人」 NPO法人彦根景観フォーラム 会員 2 20 「私の好きな彦根のスポット」 NPO法人彦根景観フォーラム 会員 3 27 「林檎・ワリンゴ・彦根りんご」 彦根りんごを復活する会 会員 4 6 17 「彦根で出会ったもの」 NPO法人芹川 理事長 5 24 「彦根あれこれ」 彦根雨壺山・護林会 会長 6 7 1 「井伊直弼~新しい人間像をさぐる」 国特別史跡 埋木舎 統括管理責任者 7 15 「白露庵見学 茶室と茶庭」 社会福祉法人近江ふるさと会 理事長 京都女子大学 講師 8 22 「ヴォーリズ建築と再生」 ヴォ-リズ建築保存再生運動一粒の会 会長 9 29 「伝統的木造建築と私」 NPO法人彦根景観フォーラム 会員 10 8 5 「青い目で見る彦根:30年以上彦根に住んでいる経験」 滋賀大学経済学部 外国人教師 11 19 「江戸時代、彦根の女性の旅 -自芳尼『西国順拝名所記』から-」 滋賀大学経済学部 教員 12 26 「絵本から広がる世界『私のギャラリーに、ようこそ!』」 板絵作家 13 9 2 「水戸から見た『桜田門外の変』 -彦根と直弼」 彦根ボランティアガイド協会 会長 14 9 「新しいまちづくり型観光」 (有)地域観光プロデュースセンター 代表 15 16 「料亭の女将が語る『一期一会』」 料亭やす井 女将 16 23 「当世観光の裏事情」 文教スタヂオ 代表取締役 会長 17 10 28 「佐和山を10倍楽しむ法」 佐和山城研究会 代表 18 11 4 「女将が語る『袋町今昔物語』」 料亭小島 女将 19 11 「伝統的建築物群保存地区(伝建地区)のまちづくり」 滋賀県教育委員会 文化財保護課 20 18 「私達のボランティア支援について」 カンボジア大地の会 彦根顧問 21 25 「商店街~過去~現在~未来へ」 彦根商店街連盟 会長 22 12 2 「100年前に描かれた彦根」 NPO法人彦根景観フォーラム 会員 23 9 「画家パーソンズが日本に見ようとしたもの」 滋賀大学教育学部 教員 24 16 「洋画家 父・島戸繁と彦根」 市民 25 1 13 「彦根南部の民話」 彦根史談会 副会長 26 20 「滋賀大学キャンパスツーリズム構想」 NPO法人彦根景観フォーラム 理事長 27 27 「彦根史話のいろいろ」 彦根史談会 会長 28 2 3 「彦根市で大切にしたい自然」 彦根自然観察の会 会長 29 10 「彦根市の野鳥」 滋賀県希少野生動植物調査監視指導員 30 17 「彦根城の自然」 彦根城オニバスプロジェクト 代表 31 3 17 「長野義言門下 中村長平」 彦根史談会 会員 32 24 「文学にみる彦根」 市民 開催日の様相が明らかになると見通しています。 談話室では、横浜の掃部山公園に建つ直弼の銅像と、彦根の金亀公園でみられる彼の銅像をとりあげました。 日本第一の港都を象徴する人物として横浜で選ばれた直弼は、それを喜んでいるでしょうが、横浜からすると 地元出身の代表を選出できなかった悔恨がそこにあるように見えます。また、地元のお殿さまとして銅像にかた どられた直弼は、天守閣に向いたその姿があまりにあたりまえすぎる地味なものに見え、余所者の私からしても なぜもっと目立つ場所に(例えば、鎌倉大仏や高崎観音ほどではないにしても、表門橋の袂に、10m の台座を建 てたその上に)彼を立たせないのかと不満を感じてしまいます。 談話室での私の収穫は、直弼をめぐる、いわばフォークロアをうかがえたことにありました。彦根では 3 月 3 日に 雛祭りをしない、彦根では大根おろしに醤油をかけない、彦根市長選のときには直愛さんを土下座して迎えた地 域があったなどの民話です。築城 400 年にむけて、私は彦根にとって直弼とはなんだったのかを、できるだけ彦 根の人々に寄り添いながら辿っていきたいと思いますし、それとともに、彦根の人の神経を逆なでするような意地 の悪い研究者としての直弼論を書いてみようと準備しています。 〈 開催レポート 2 〉 彦根物語 22 「100 年前に描かれた彦根-イギリス人水彩画家アルフレッド・パーソンズのまなざし-」 イギリス人水彩画家 アルフレッド・パーソンズ(Alfred William Parsons)は、英国サマセット州ベッキントン生まれで 明治 25(1892)年に日本を訪れ、その滞在記を 4 年後に「NOTES IN JAPAN」という書名で出している。3 月 9 日に長 崎港に入り、約 9 ヶ月の日本旅行の後、12 月 10 日に太平洋へと去っている。彼が日本のどこへ行き、何を描いた かが追跡できるのである。 本国イギリスで水彩画家として知られ、風景画や植物画を得意とし、のちにロイヤル・アカデミー会員となり、さら に王立水彩画家協会会長まで務めた人物であり、日本に来た理由を「極東の花の国である日出づる国に来て絵を 描くことが長年の夢であった」と記している。 明治 25 年 3 月 9 日から 12 月 10 日までの日本の滞在中、 パーソンズは 2 度、彦根を訪れている。最初は 5 月 19 日か ら 6 月 18 日の 1 ヶ月間。びわ湖畔の城下町に古く美しい庭 園があり、そこに宿泊施設もあると聞き(楽々園)、彦根行きを 決める。 パーソンズは、楽々園滞在中、周囲の田んぼに広がるレン ゲ畑や、幼い女中との語らい、芹川で催されていた競馬を楽 しんだ。楽々園の庭(玄宮園)は、池の蓮が青々とした葉を伸 ばし、水際では花菖蒲が咲き、ところどころ躑躅が顔をのぞ かせていた。 楽々園での 2 週間が過ぎた 6 月の初旬、ボーイがたくさんの躑躅が咲いていて景色のよい天寧寺という寺を見つ けてきた。そこに泊めてもらえるということで、2 人は天寧寺へと移る。天寧寺はパーソンズの目には「かつては 人 気があったが、今はすっかりさびれて」見えた。2 人は、この天寧寺の本堂脇に今も残る書院に滞在することにな る。 天寧寺は、五百羅漢の寺として彦根ではよく知られているが、パーソンズは、書院から見える裏山の石仏、十六 羅漢を横側から描いている。天寧寺でのパーソンズの生活は、滞在中唯一、日本の普通の家庭生活を体験する 機会となった。住職、その妻、息子の 3 人は、ともに買い物に出かけたり、茶道の手ほどきをしたり、彼のために料 理の腕をふるった。 パスポートの更新のため神戸へ戻ることになり、その後、日本国内の他の場所を旅行した。10 月に再び米原に来 ることになり、4 ヶ月ぶりに天寧寺の 3 人と再会を喜びあった。 [ 楽々園 ]
パーソンズが日本滞在の 9 ヶ月のうち 2 度も訪れたところは、彦根だけである。おそらく、楽々園や天寧寺のみん なが、西洋人に対しても家族的な付き合いをしてくれたことに感激したためと思われる。パーソンズを彦根に呼び寄 せたきっかけは景観や花であったが、再び呼び寄せたのは彦根の人たちの温かさであった。彦根の何気ないポイ ントに画題を求め、それを気負いなく写している。西洋人から見て変わった風物を描こうとしたようなところは見られ ないし、彦根藩無き後の寂れた彦根や、近代化に向けて邁進していた彦根も描こうとはしなかった。ただ美しい自 然を、画家らしいまなざしで見つめ、素直に描いた。こんなすばらしい人が、100 年前に彦根に来て、彦根を気に入 って、彦根を描いていた。私たちはもっと自慢してもいいと思う。
ぶらっと彦根・まちナビシンポジウム 2006 「彦根を遊ぼう」
「彦根遊び博」とは、自分だけで味わっている「それぞれの彦根物語」を紡いで、みんなで楽しむ"遊び博覧会"に 進化させたもので、「国宝・彦根城築城400年祭」の協賛事業に採択され、平成19年度に本格的に実施する。 今回は、その事前一日試行として、4つの遊びを計画・実行した。 第1部では、彦根を語るときに避けて通ることのできない「井伊直弼」に焦点を当て、彼の人となりを私人・公人の 立場から解き明かし、掘り下げる機会にしたいと考えた。第2部では、「それぞれの彦根物語」で話題とされた彦根 の新しい遊び方を現地でみんなと体験しようと考えた。 なお、平成 18 年度に国土交通省からの助成事業「まちナビ」の実証実験も同時に実施され、携帯電話を利用した 最先端の技術にも触れてもらった。【1】 「ぶらっと彦根・まちナビシンポジウム 2006」 内容
〈 第 1 部 〉 彦根の歴史を学ぶ ◇ 講演 1 「プレ『彦根遊び博』で遊ぼう」 講演 1 「プレ『彦根遊び博』で遊ぼう」では、山﨑一眞氏(産業共同研究センター 教授)から世界遺産への道 筋として「屋根のない歴史博物館構想」と、「彦根遊び博」の提言があった。また、谷口伸一氏(滋賀大学 ■ 日時:平成 18 年 11 月 23 日(木) 10:00~16:00 ■ 場所:彦根商工会議所 他 [ 第 1 部 ] 彦根の歴史を学ぶ 10:00~12:00 ① 講演 1 「プレ『彦根遊び博』で遊ぼう」 講師:産業共同研究センター 教授 山﨑 一眞 ② 講演 2 「新史料で語る『井伊直弼』」 講師:京都女子大学 助教授 母利 美和 [ 第 2 部 ] プレ遊び博「彦根を遊ぼう」 13:00~16:00 ① 善利組屋敷界隈で遊ぼう ② 脇街道・七曲がりで遊ぼう ③ 芹川堤・雨壺山で遊ぼう ④ 城郭・内曲輪で遊ぼう [ 第 3 部 ] 彦根を語る 17:30~19:30 ◆ 実証実験 : 携帯電話を利用した「まちナビ」実証実験 10:00~16:00 ◇ 協賛事業 : 第 5 回 近江中世城跡琵琶湖一周のろし駅伝と鉄砲演舞 10:00~ [ 開催概要 ]経済学部 教授)より「まちナビ」システムの案内、柴田いづみ氏(滋賀県立大学環境科学部 教授)から「防災・ 耐震・まちづくりフォーラム」の紹介があった。 ◇ 講演 2 「新史料で語る『井伊直弼』」 母利美和氏(京都女子大学 助教授)による講演では、明治以後今日まで、彦根では政治的タブーとされてい る直弼の人物像が、実は史料の改ざんによって作られた虚像であることが、側用人宇津木氏の史料から発見 されたことや、勅許を待たない開国が実は独断専行ではなく、幕閣の総意に忠実であったこと、直弼は消極的 開国論者であったことなどが明らかにされた。 〈 第 2 部 〉 プレ遊び博 「彦根を遊ぼう」 今回の「彦根を遊ぼう」は、2007 年 3 月 21 日から 11 月 25 日まで実施される「国宝・彦根城築城 400 年祭」の 協賛事業である「彦根あそび博」の事前試行(プレ「彦根遊び博」)として開催した。 談話室「それぞれの彦根物語」で語られた場所を取り上げ、4 コースに分かれて散策し、計 82 名の方に参加い ただいた。アンケートでは、「本物の保存に感動した」、「もっと多くの参加者を期待する」、「市民運動としての保 存活動が必要」、「こんな古民家に住みたい」、「子どもの参加を」などの意見と、「大変良かった」との感想が得ら れた。同時に実施された学習型まち案内システム「まちナビ」実証実験でもおおむね好評を得た。 ◇ 善利組・組屋敷界隈で遊ぼう 彦根藩湖東焼美濠(みほり)美術館で、幻の湖東焼を学芸員の解説で鑑 賞したあと、湖東焼の再興をめざす「一志郎窯」で作品を楽しんだ。 その後、朝鮮通信使の宿舎「宗安寺」から、芹橋の「善利組足軽屋敷」へ。 太田家、中居家を特別に公開していただき、表千家流のお点前でお茶を いただき感激。彦根市教育委員会の谷口氏の解説で、武家文化を体験し た。最後に、伝統製法によるおいしい生湯葉を買った。 ◇ 高宮脇街道・七曲で遊ぼう 新設された七曲がり仏壇展示場をはじめとし、七職の見学では、見事な 手仕事に目を奪われた。 その後、濱崎一志氏(滋賀県立大学人間文化学部 教授)の丁寧な解説 による七曲がりの町家を学び、町家の新しい住まい方に感動。佛教関係 の展示が準備され、将来は地元を始め、人々のたまり場になればとのお 話。これも第二の「街の駅」として成功してほしいと願いながら村岸邸へ。 村岸邸では茶菓をいただきながらのフリートーク。参加者が一番知りた い”町家に住むための本音”の解説もあり、有意義な一時となった。 ◇ 芹川・雨壷山で遊ぼう 紅葉が美しい芹川堤のけやき道を、樹医さんに古木や巨木の解説をして いただきながら散策。続いて、芹川沿いにある晒庵(さらしあん)では、芹川 清掃や彦根りんご復活などの取り組みについて話を聞いた。 後半は、まず長久寺内の梅の古木や石碑を見学。 その後、雨壷山へ。彦根雨壺山・護林会会長の大野紘一郎氏に、里山 復活のための竹林整備のお話をしていただいた。身近な川と里山の歴史・ 自然について学ぶことができた。
◇ 城郭・内曲輪で遊ぼう かつての武家屋敷である花木家跡、長野家跡から、切り通し御門を経て、 直弼が青年期を過ごした「埋木舎」へ。ここで、直弼の暮らしや茶室での 茶会、有名な一期一会の解説を伺った。さらに、佐和口門を入り、直弼の 歌碑や大老像の前で、阿部安成氏(滋賀大学経済学部 准教授)より、横 浜開港にまつわる直弼についてなどの解説をいただいた。 その後、欅御殿(楽々園)を経て、黒門口にて松の木などの植物や石垣 の特徴について、ボランティアガイドより説明を受けた。身近な場所での 新発見の多いコースであった。