特集
変革期の新しいニーズにこたえる産業用情報制御システム
新幹線向け次世代列車運行管理システム
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五十嵐昭夫*
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 ̄■1W ̄- ̄前 東北・上越新幹線向け広域分散列車運行管理システム 今後の新しい新幹線輸送形態の実現のため,新しい新幹線システムを開発した。 磯奄・こ、…-㌧〆一叫-.′一一一一、∧、亀
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各駅に制御システムを配置した,21世紀を目 指した広域分散型の運行管王里システムである。写真右上はこのシステムが持つ予想ダイヤ機能を画面に表示した例を,右下はこ のシステムによって運行するオール2階建新幹線"Max”を示す。今回,東北・上越新幹線向けの列車運行管理シス
テムを新たに開発した。東北・・上越新幹線システム
は,列車運行管理システム以外に,輸送計画・電力
系統制御・保守作業管理・車両管理の各システムで
構成された総合システムを成す。北陸新幹線などの
線区拡大や輸送管理の多様化に円滑に対応するた
め,21世紀の総合システムとしてシステム全体の一
新を図った。ここで紹介する列車運行管理システム
は,1982年に稼動した東北・上越コムトラックシス
テム1)を更新するものでもある。
総合システムの中で列車運行管理システムは,ダ
イヤ(ダイヤグラム)に基づいた列車の在線・遅延管
理,ポイントや信号機の自動制御,およびダイヤ乱
れ時の回復支援などの機能を担当する。今回のシス
テムでは,東京から盛岡,および新潟に至る各駅に
「駅システム+を配置した広域分散システム構成によ
って,高応答性と高信頼性を確保したシステムを実
現している。また,ダイヤ乱れ時の回復支援機能と
して,過去の実績から将来の到着予定時刻を推定す
る「予想ダイヤ機能+をはじめ,沿線の雨,風,雪
などの状況を監視し,列車走行に対する臨時速度制
限を提案する「沿線防災機能+など,数々の新しい
機能を実現している。これらの機能は,列車の安定
運行と旅客へのきめ細かな情報サービスを行うとと
もに,指令員・駅員の負担を軽減するものである。
*東日本旅客鉄道株式会社 **株式会社ジェイアール東日本情報システム ***日立製作所大みか工場 ****日立製作所交通事業部 *****日立製作所システム事業部 41492 日立評論 VOL】77 No.7い粥5-7)
l】
はじめに 列車運行管理システムは,列車ダイヤに従って信号機や転てつ器などの鉄道設備を制御し,列車をダイヤどお
りに走行させることを基本機能とした,列車の運行に重 要な役割を果たすシステムである。最近では,円滑な列 車運行を行うことに加え,列車の運行状況を指令員や駅 員・乗務員などに知らせること,自動放送・行き先案内 標を通じて乗客に列車の接近や出発時刻・出発番線の案 内を提供することのほか,事故・障害・災害時の状況把 握,列車ダイヤの早期回復などの支援機能も求められて いる2)。新幹線向けの列車運行管理システムは,1972年の東海
道・山陽新幹線の岡山開業時のコムトラックシステム(COMTRAC:Computer Aided Traffic ControI
System)が稼動3)したのが最初である。以降,東海道・山
陽新幹線の博多開業時のシステム更新4),5),東北・上越新 幹線l)と,すべての運行管理システムは一貫して日立のHIDIC計算機システムで構築されている。
システムを更新する際に求められている項目として, 以下のものがあげられた。(1)今後の多様化する輸送形態 に柔軟に対応し,スピードアップ・高密度運転の実現, 分割併合・新しい車種への対応,新駅設置・新線区への 接続などに容易に対応できること,さらには,(2)駅での 運転取扱業務を最小限とし,中央の指令と乗務員で列車 の運行ができることなどである。これらのニーズにこた え,21世紀を目指した次世代運行管理システムを実現し た。ここでは,HIDICシステムで構築した,東北・上越 新幹線向け列車運行管理システムについて述べる。8
システム構成の特長
今山のシステム構成を図1に示す。各駅への制御シス テムの配置による制御応答性の向上,無線端末を用いた 保守用車進路の自動設定など保守作業を中心とした駅業 マンマシンワークステーショ ン群[コ [コ
運転整理 サーバ [::::コ [:::::コ[コ
[コ [コ
マ [:::::コ⊂〕
⊂〕[コ
[コ
ン マ シ ン サ ⊂:::コ[コ [コ
バ 群 光 ネ ッ ト ワ ー ク[コ
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システム 監視 ⊂:=〕 ⊂:=][コ
中央システム 他システム群 中 無停止型計算機) 回線切換 装置 ダイヤ管理 開発訓練装置⊂】⊂〕
駅システムA[コ
駅システム白⊂〕
ルータ 高速ディジタル専用回線 高速ディジタル交換回線 (東京) 駅通信制御 】l 列車制御園
万有客 案内 42 駅通信制御 11 列車制御 (上野)〔歪)
旅客 案内 駅システム 仝27駅 ルータ (盛岡) 駅通信制御 Il 列車制御囲
旅客 案内 図l システム構成 駅ごとに配置した「駅シ ステム+と中央システムと は高速ディジタル回線で 接続して,広域分散システ ムを構成している。中央の 数多くの計算機は100Mビ ット/sの光ネットワーク で接続し,協調自律分散環 境を実現している。新幹線向け次世代列車運行管理システム 493
務の効率向上,駅に設置された旅客案内装置との密結合
によるきめ細かな情報サービスの実現,および危険分散
によるシステム稼動率の向上などを目指す構成である。
これは,従来のコムトラックシステムがCTC(Central-ized Traffic
Control:列車集中制御装置)を介した中
央集中型であったこと5)と大きく相違している。
2.1広域分散システム構成東北・上越新幹線は,東京から盛岡および新潟と広域
にわたる線路綱となっている。駅ごとに制御システムを
分散させたシステムを構築するには,各駅と中央装置と の接続方法が課題となり,光ネットワークによって各駅 と中央装置との接続を実現している例がある6),7)。 新幹線システムでは駅間が長く光ネットワークでの接続が好ましくないため,専用の高速ディジタル回線によ
って駅と中央を接続した。万一の回線異常に対しては,
回線切換装置を介して交換回線への切換によって駅と中央との接続を確保できる構成とした。また回線異常が発
生しても,駅制御装置に当日および翌日のダイヤをあら かじめ転送しておくことにより,駅端末からの番線変更 などの機能によって「駅システム+だけで列車制御を継 続できるようにした。 2.2 協調自律分散システム構成中央システムは,駅との通信を行う中央通信制御計算
機,運行管理システムのダイヤを管理するダイヤ管理計
算機,指令員とのヒューマンインタフェースを行うマン
マシンワークステーション群,およびそのサーバ群など で構成された協調自律分散システムとしている。これらの計算機群は,輸送計画系,保守作業管理系などの他シ
ステム群とあわせて,光通信による100Mビット/sの性
能を持った協調自律分散型の光ネットワークで接続して いる。これらの接続に際して,列車の在線情報,着発実績時刻などの共通的な情報では,ブロードキャスト通信
を採用し,特定の計算機間の通信はポイント ツーポイ ント方式とし,最適な通信方式を採用している。 分散システムの構築に際しては,部分的なシステム障 害発生時の必要最低限の機能の確保に配慮している。す なわち,マンマシンワークステーション群からの「運用 変更+入力は,ダイヤに関連するためにダイヤ管理計算機を介して実施されるが,指令員による手動進路制御な
どの必要最低限の機能は,ダイヤ管理計算機を介するこ となく実現できるように配慮している。 2.3 高信頼化システム構成システムの高信頼化は,無停止型計算機の活用と冗長
構成で実現している。駅に分散された「駅システム+と の接続は,無停止型計算機であるHIDICFT90/600で中
央通信制御計算機を介し,信頼性の高い「駅一中央接続+ を実現した。中央のダイヤ管理計算機,駅の列車制御,システム全
体の稼動状態の監視・管理を行うシステム監視計算機な
どは,リアルタイム制御用計算機HIDIC
V90/45および
RCS(Realtime ControIServer)を用いている。ここでは,計算機を冗長化して高信頼化を図るとともに,共通
部分を廃止したフリー ランデュアル構成によって冗長 系の同時停止の可能性を最小化している。 指令員のためのマンマシンワークステーション群は, 複数のマンマシンサーバ群によって危険分散を図って いる。 2.4システム管理とソフトウェア保守
数多くの計算機群で構成する分散システムでは,計算
機システムの運用をスムーズに行うための支援が重要と
なる。今回のシステムでは,システム監視装置からすべての機器の立ち上げをリモートで行うことができるよう
にしている。さらに,他システムを含めたすべての機器の稼動状態の監視もこのシステム監視装置で行っている。
また,将来の機能拡張などの対応として,開発訓練装置を用意した。指令員の教育訓練とソフトウェアの改修へ
の事前機能確認を兼ねた設備群である。ソフトウェアの
改修に対する機能として開発訓練装置のルータを経由し
て,駅システムのソフトのリモート保守を実現した。列 車が連行しない夜間の駅システムでの機能確認を可能と ■■ ■■ ■■ ⊂=I ■■ 甘 ■■■ ■ ロ ■■ t=コl l■■ 図2 運行状態監視の画面例 列番を用いた在線状態表示を行っている。線路の緑は進路予約状 態を示す。列者の先更頁は照合状態,後端は併合状態を示す。 43494 日立評論 VOL.77 No.7(1995-7) `臓群落狐琵ヾ■′、ヴ .ぶ 捌=布)田1識二8ら 上l宇It】かい JJ
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