278 (78) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ナン バ ハル コ難波治子(昭和
博士(医学) 乙第1325号平成4年12月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
超音波パルスドップラー法による胎児循環機能評価 (主査)教授 武田 佳彦 (副査)教授 門間 和夫,野嫡 幹弘論 文 内 容 の 要 旨
目的 正常ヒト胎児の成長,特に各臓器の発達においては, 臓器毎に妊娠週数によって,発達の程度に差がみられ る.しかしながら,各臓器の発達と,各臓器別の血流 動態との関係については,未だ十分解明されていない. そこで,超音波カラーパルスドップラー法を用いて, 正常妊娠例胎児各動脈部位の血流量,Resistance Index(RI)を測定し,各臓器での血流動態の妊娠週数 による変動について検討した. 対象及び方法 1988年5月~1990年6月の間に,東京女子医科大学 第2病院産婦人科に通院していた正常妊婦58例を対象 とした.超音波パルスドップラー装置 東芝SSA・270A 2.5MHzを用い,妊娠21~42週の妊婦について,胎児 の中大脳動脈,総頸動脈,下行大動脈(横隔膜直下の 部位),腹部大動脈(腎動脈分岐部と総腸骨動脈分岐部 の間の部位),総腸骨動脈及び膀帯動脈を対象として, 血流波形を計測しResistance Index(RJ.)を算出し た.又,総頸動脈,下行大動脈においては血管径計測 が可能なため血流量を算出した. 結果 1)総頸動脈,下行大動脈血流量はいずれも妊娠週数 に対し増加傾向を示した.総頸動脈血流量とBipar・ ietal Diameter(BPD),下行大動脈血流量と腹部面積 との関連をみるとそれぞれ相関係数0.902,0.901と正 の相関を認めた. 2)中大脳動脈,総頸動脈RIは妊娠後期にいずれも 減少傾向を示した.これに対して,下行大動脈,腹部 大動脈,総腸骨動脈RIは妊娠期間中ほぼ一定の値を 示した.騰勢動脈RIは妊娠週数に伴い減少がみられ, 妊娠20~23週に対し妊娠32~35週,妊娠36~39週は有 意に低下した. 3)頭部循環の基準として総頸動脈,腹部循環の基準 として下行大動脈を選び頭部では中大脳動脈,腹部で は腹部大動脈,総腸骨動脈,および贋帯動脈の各脈間 RI値の比を求めた.中大脳動脈,総頸動脈RI比は妊 娠28~31週にかけて減少を示したのに対して腹部循環 系では,各動脈の下行大動脈に対するRI比は末梢ほ ど低下傾向をしめしたが,同一部位においては妊娠期 間中,ほぼ一定の値となった. 考察 総頸動脈血流量は胎児頭部成長,下行大動脈血流量 は胎児腹部成長の指標になると考えられた. .頭部循環においては妊娠後期に中大脳動脈血管抵抗 の減弱が考えられ,腹部循環においての各動脈RI値 は,妊娠期間中ほぼ一定の値を示していることより, 妊娠記数に伴う臓器発育と循環動態はほぼ並行すると 考えられた. 胎盤末梢抵抗は妊娠後期に減弱し,胎盤循環の増加 に対応すると考えられた. 結語 正常ヒト胎児において超音波パルスドップラー法を 用いて,血流分布の妊娠週数に対する変化を検討した. 胎児発育に伴い循環血液:量は増加するが,増加の傾向 と程度は部位によって異なり,その差は各臓器の発育 と成熟に関連し,又,RI値はいずれもバラツキが少な 一912一279 く同定の困難な分枝血管の血管抵抗を推定することが 可能となり,IUGR,胎児仮死等異常児の臓器血流の分 布から病態評価が可能になると考えられた.