Title
道路施設の破損リスクに基づく最適補修戦略決定モデルの
構築( 本文(Fulltext) )
Author(s)
杉浦, 聡志; 高木, 朗義; 倉内, 文孝
Citation
[土木学会論文集D3(土木計画学)] vol.[69] no.[5]
p.[I_145]-[I_152]
Issue Date
2013
Rights
Japan Society of Civil Engineers(公益社団法人土木学会)
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/53915
道路施設の破損リスクに基づく最適補修戦略
決定モデルの構築
杉浦 聡志
1・高木 朗義
2・倉内 文孝
3 1学生会員 大日コンサルタント 保全部(〒500-8384 岐阜県岐阜市藪田南3-1-21) E-mail: [email protected] 2正会員 岐阜大学教授 工学部社会基盤工学科(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1) E-mail: [email protected] 3正会員 岐阜大学教授 工学部社会基盤工学科(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1) E-mail: [email protected] LCC(ライフサイクルコスト)最小化アセットマネジメントにおける補修戦略は,偶発的に構造物が破 損したときの機能低下や,あるいは補修時における利用者費用を考慮していない.本研究では,施設の破 損で生じる道路利用者,道路管理者の期待費用をリスクとして定義して補修戦略を決定する方法を用いる. この方法では,複数種類の道路施設における補修の必要性を一元的に評価できる.リスクは利用者が選ぶ 経路によって暴露する大きさが異なるため,利用者間にリスク暴露の格差が生じる.本研究では,利用者 間におけるリスク暴露の格差を衡平性尺度として捉えて,衡平性指標を定義し,格差を減少させ,投資金 額に対して低減できるリスクを最大化する最適補修戦略決定モデルを構築する.構築したモデルを仮想の ネットワークで挙動確認した.Key Words : risk management, asset management, equity, integer linear programming
1. はじめに 社会資本におけるLCC(ライフサイクルコスト)最小 化アセットマネジメントは社会資本の高齢化と逼迫する 財政事情を背景に全国の自治体で普及している.ここで いうLCC最小化アセットマネジメントとは,劣化予測式 によって算出される健全度等の劣化状態指標に基づいて, 中長期における補修費用を最小とする方法を指す.各自 治体では橋梁や舗装をはじめ,上下水道施設など様々な 社会資本の中長期の補修計画が策定され,LCC最小化に 基づく補修計画が策定されている.これらの研究では, 施設に偶発的な破損が生じないことを前提としてLCCの 最小化を図っているが,現実には,予算不足や点検の不 備,劣化予測の過誤,想定外の外力の発生などの原因に より破損に至る可能性がある.道路施設の破損によって 道路網が正常に機能しないことによる道路利用者への影 響は交通渋滞や道路事故,救急医療搬送の遅延など多岐 にわたり,費用も大きく,無視できないと考えられる. そのため,予防保全においては破損したときに生じる管 理者費用と利用者費用の両者を評価して補修実施の可否 を決定する必要がある.一方で,種類の異なる道路施設 を各々の管理計画に基づいて対策を実施することは経済 性の面で効率的ではない.施設が破損した場合の利用者, 管理者への影響を考慮して優先順位を決定する必要があ る.以上の問題意識に基づいて筆者らは橋梁,舗装,危 険斜面を対象として健全度,MCI,斜面諸元に基づいて 求められる破損確率と,破損した場合に生じる利用者, 管理者両者の費用を乗じた期待費用をリスクとして定義 し,複数種類の社会資本の補修必要性を一元的に評価す る指標を提案した1).これに基づけば道路管理者は統一 された予算内で同一種類の社会資本における施設間はも とより,異なる種類の社会資本間においても補修優先度 を定めて補修計画を策定できる. 一方で,施設をリスク評価することで,道路利用者 が移動する間に暴露するリスクは利用者間の格差が明示 される.施設の補修においては効率的に管理者,利用者 の両者のリスクを低減させることが求められる.しかし, 効率性の追求により一部の利用者が暴露するリスクが大 きいにも関わらず,補修がされない状態があれば衡平性 の観点において課題となる.LCC最小化アセットマネジ 土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.69, No.5 (土木計画学研究・論文集第30巻), I_145-I_152, 2013.
メントでは,破損が生じない前提で補修意思を決定する ため,利用者間格差を考慮する余地がない. そこで本研究では,リスクに基づいて施設の補修必要 性が算出された上で,所与の予算制約の下で道路利用者 が暴露するリスクの格差縮小と投資金額に対して低減さ せられるリスクの最大化を図る最適補修戦略決定モデル の構築を目的とする. 2. 既往研究と本研究の位置付け 社会資本のアセットマネジメントは点検結果に基づき, 統計的な劣化予測モデルを構築したうえで,中長期にわ たる補修費用の最小化を図るアセットマネジメント(以 降構造物LCC型AMと呼ぶ)に関する多くの研究が進め られている.特に,点検精度,劣化の不確実性を考慮で きるマルコフ推移確率モデルに基づく劣化予測は,橋梁, 舗装をはじめとして多くの社会資本を対象とした知見が 蓄積されている.たとえば,津田ら2),青木ら3),小林ら4), 小濱ら5)がある. これらの研究は,施設の劣化予測精度を向上させるこ とで補修量,補修タイミングの精緻化を図るものである. また,これらはいずれも予算制約を制約条件,補修量, 補修タイミングを設計変数としてLCC最小化を目的とす る.構造物LCC型AMでは劣化の進行に伴って生じる道 路利用者の費用は補修意思決定に反映されない.劣化の 進行,あるいは道路施設の破損によって道路網が正常に 機能しないことによる道路利用者への影響は,交通渋滞 や道路事故,救急医療搬送の遅延など多岐にわたり,費 用も大きく,無視できないと考えられる.そのため,管 理者費用と利用者費用の両者を評価して補修を意思決定 する必要がある. 利用者費用を考慮したアセットマネジメントの研究と しては岳本ら6),鈴木ら7)がある.これらはライフサイク ルにおいて道路管理者のLCCに道路利用者費用を加えた 広義のLCCを最小とするような維持管理戦略の策定方法 について示している. ここまでの研究は,種類の異なる道路施設に対してそ れぞれの維持管理計画を策定することを前提としている. 各々の管理計画に基づいて対策を実施することは経済性 の面で効率的ではない.異なる道路施設に対して一元的 に対策の経済効率性を比較して対策実施の意思決定をす ることで,予算制約下における維持管理の投資効率を向 上させることができる.筆者らはこの問題意識に基づき 施設の破損によって発生する利用者,管理者の費用をリ スクとして評価することで複数種類の社会資本における 補修優先度を一元的に取り扱う手法を提案した1). 上記は補修の意思決定基準となるLCCや利用者費用の 評価方法に関する研究である.設定した指標に基づいて 最適となる戦略決定方法の研究としてはプロジェクトラ イフを無限としたときに1年あたりの平均費用が最小と なるような補修戦略を決定する平均費用法8)によるもの が提案されている.この方法に基づくことで補修・更新 により半永久的に構造物のもつ機能が持続する前提にお いて予算制約下における長期の投資効率は最大となる. 道路管理者は公共投資の意思決定において効率性を要 求されるだけでなく,衡平性にも配慮することが求めら れる.道路建設や公共交通計画では衡平性を議論した研 究が多くある9), 10), 11)など.適切な予防保全により道路施設の 機能が損なわれない理想的な状況を前提とすれば,道路 の供用中に生じる便益は変化しない.そのため,維持管 理における投資は,利用者間の便益格差は考慮しないた め,衡平性が議論されていない.しかし,現実的には予 算不足や,点検の不備,劣化予測の過誤などなんらかの 原因により想定外に破損する可能性が十分ある.道路施 設の機能が損なわれると,利用者費用が生じることとな る.これらの利用者費用は破損する施設の所在地やその 利用状況等により利用者間で格差が生じる.効率性の追 求により大きな利用者費用を被る可能性がある一部の利 用者がいるにもかかわらず,補修が据え置かれることも 考えられる.管理者が利用者費用の生じる可能性を認知 しているとすれば,効率性だけでなく利用者間の衡平性 に配慮した補修戦略が必要となる.そこで本研究では, 利用者が暴露するリスクを衡平性尺度の要素とした指標 を定義し,補修戦略を決定するモデルを構築する. 3. 施設のリスクに基づく衡平性の概念 (1) リスクの定義 道路施設は点検等で監視していても急速な劣化や点検 結果の過誤などの理由により不確実に破損することがあ る.一般的には点検結果が健全と評価されていれば急速 な劣化や点検結果の過誤があっても破損が生起する確率 は低く,劣化が進行していると評価されていれば高くな ると考えられる.この不確実な破損の生起確率は点検結 果と過去の破損履歴等の関係を用いて統計的な分析によ り求められると想定する.破損履歴と点検結果から破損 の生起確率を算出する方法の事例としては本城ら 12)があ る. 道路施設は破損すると社会的費用が発生する.たとえ ば,施設が破損した状態における道路利用者の旅行時間 増大たとえば7),道路管理者の事後的補修による補修費用の 増大などがある. 本稿では,道路施設が破損したときに生じる社会的費 用の増大(以下,影響度と呼ぶ)と 1 年あたりに道路施設 における破損の生起確率(以下,破損確率と呼ぶ)を乗 じた期待費用をリスクと定義する.このうち利用者が暴
露するものを利用者リスク,管理者が暴露するものを管 理者リスクと呼び,式(1)で求める. ) ( ik i i D P R =
∑
× (1) ここで,Ri:道路施設 i のリスク(円/年),Dik:道路 施設i における利用者あるいは管理者のリスク項目 k に 関する影響度(円),Pi:道路施設 i の破損確率(/年). 破損確率の確率密度関数は施設の点検で得られる健全 度のみに関係すると仮定する. ) ( i i P M P = (2) ここで,Mi:道路施設 i の健全度,P:ある道路施設 の破損確率の確率密度関数. 利用者リスクにおける影響度は道路施設が破損して, 補修されるまでの期間において道路利用者に生じる費用 を指す.たとえば舗装の場合,ポットホールが生じて補 修されるまでの間,すなわち定期的にパトロール等が実 施される場合1 日~数日間は旅行速度が減少し,ネット ワーク上の総走行時間が増大する.管理者リスクにおけ る影響度は破損した道路施設を補修するための費用を指 す.たとえば,ポットホールが生じたことによって打ち 替え等の大規模な補修のために必要となった費用を想定 する. (2) 本稿で取り扱う衡平性の定義 小林13)は公平性を巡る議論は極めて錯綜しており,一 致した見解を見出すことは困難であると指摘している. この理由の1つとして公平性という言葉の多様性につい てあげている.平等性(equality),衡平性(equity),無 羨望(envy-free),などがあり,これらの言葉は政治学, 経済学の学術分野でそれぞれ定義されているものの,分 野間で統一された定義は存在せず,分野あるいは個人で 混同されて用いられている,と述べられている.したが って本稿では,このうちで「equity」に相当する衡平性で 用語を統一し,その定義については以下で整理する. 道路ネットワーク上に存在する施設によって生じる利 用者リスクは,その施設が所在する道路区間を通過する 全ての利用者が暴露する.道路利用者1人に着目すると, 暴露するリスクは移動の起終点間の経路に存在する全て の施設の利用者リスクの総和となる.当然ながら,各利 用者が移動に際して暴露する利用者リスクの総和は起終 点やその間の経路によって異なるため,利用者間に格差 が生じることになる. ここで,各利用者は,暴露する利用者リスクの総和を 管理者による情報公開により把握できる状態を考えてみ よう.この前提にたてば,利用者は自身の曝露するリス クを知りつつも当該経路を選択していると見なすことが できるため,利用者間における利用者リスクの格差の認 知と経路の選択行動について,2つの状態が考えられる. ひとつは利用者が利用者リスクを認知し,回避すること で経路選択行動が変化する場合.もうひとつは利用者が 利用者リスクを認知しているものの,自らに生起すると 考えず,所要時間のみで経路選択する場合である. 利用者が,利用者リスクを考慮して経路選択行動を行 う場合には,時間価値と利用者リスクの和がリンクコス トとなり,それが最小となる経路を選択することとなる. このとき,利用者にはリスクの高い経路を避けることが できるため,利用者リスクを回避する機会の衡平13)が保 たれているといえる.機会の衡平が保たれる条件下では 社会的リスクを効率的に減じるような補修戦略を決定す ればよい. 利用者が利用者リスクを考慮せず所要時間のみで経路 選択する場合,暴露する利用者リスクが著しく大きい経 路も選択される.効率性のみに基づいて補修戦略を決定 するとすると,もし著しく曝露する利用者リスクが大き い利用者がいたとしても,その利用者の利用経路上に社 会的リスクを効率的に減じることができる施設がなけれ ば,この利用者の利用者リスクを減ずる対策は実施され ない.このような場合,より曝露する利用者リスクが小 さい利用者のそれが改善することとなるため,結果的に 曝露リスクの格差が相対的に増加することになる.管理 者が利用者格差を認知していながら格差是正に配慮した 投資をしないのは公共投資の衡平性の観点において課題 となる. 利用者が曝露するリスクの発生確率を考慮すると,利 用者は,利用者リスクを把握していても所要時間のみで 選択されていると考えた方が現実に即していると考える. したがって本稿では,利用者が所要時間のみで経路選択 すると考えた場合において,社会的リスクの削減だけで なく,利用者間の衡平性を高めることも目的した補修戦 略を決定する方法を構築する. なお,前述の通り,衡平性に対しては様々な定義が存 在している.そのため,以下では補修戦略の決定におけ る衡平性の評価アプローチ14), 15)を整理し,本稿のとる立 場を示すこととする. a) 衡平の捉え方 衡平の捉え方は大分すると(1)結果,(2)機会の2つの軸 があるとされている15).(2)機会の衡平とは,結果的に生 じうる事象に対して,利用者が選択する機会が与えられ ているかどうかにより判定する.今回対象とする社会基 盤構造物の災害発生リスクについては,利用者が補修の 意思決定に関わることがないため,機会を担保すること が困難である.一方で,結果の衡平とは,なにがしかの 対策によって,得られる帰結(結果)に衡平性が保たれ ているか,を評価する.そのため,本研究では,(1)結果 の衡平を図ることとする.b) 衡平の対象 衡平の対象は(1)個人,(2)領域の2つの軸があるとされ ている15).本稿では利用者間のリスク格差について問題 提起しており,個人単位での計測が可能である.そのた め,(1)個人間の衡平を図る.ただし,ここで定義してい る個人とは,道路利用者のうち「交通量1台あたり」を 想定しており,全市民における個人間の衡平は対象とし ていない.本稿で定義した道路施設によるリスクは,道 路利用者のみに生じる.そのため,個人を交通量1台と 置き換えても差し支えないと考える. c) 衡平の尺度 衡平の尺度は(1)効用,(2)資源の2つが考えられる.本 稿では衡平性における尺度の要素である利用者リスクを 負の効用として捉える.そのため,(1)効用を尺度とした 衡平を図る. d) 評価の単位期間 単位期間とは,衡平性の尺度を計測する時期を指す. 施設の補修においては,年度の補修計画との整合を考慮 すると年度末までに実施した補修事業によって変化した リスクを計測することとなる.評価の単位期間は(1)単年, (2)プロジェクトライフ,(3)任意の複数年の3つが考えら れる.(2)または(3)では,それぞれの最終年に衡平性を計 測する.この場合では,最終年までの経過においてはリ スク格差が看過される可能性がある.そのため,本稿で は(1)の毎年を単位期間として衡平を図る. e) 評価の時点 評価の時点は(1)現在と施策後の差をとる,(2)施策後の 状態をとる,の2つが考えられる.(1)では,現在の状態 において利用者間のリスク格差が大きい場合においても 施策による変分だけが計測されることとなる.そのため, (1)の手法では,施策後に残存するリスクが許容できない 大きさであっても看過されることが想定される.そのた め,本稿では(2)施策後の状態における衡平を図る. f) 評価尺度の単位 評価の単位は,(1)利用者が移動中に被る利用者リスク, (2)利用者が移動中に被る単位距離あたりの利用者リスク, の2つが考えられる.旅行延長が長くなれば経路中に存 在する施設数は多くなりやすいため,当然利用者リスク が大きくなることが想定される.(2)はこれに配慮して旅 行延長が長い利用者の利用経路に補修が集中しないよう, 合計リスクを単位距離あたりに除して評価するものであ る.この場合,長距離を旅行する利用者の暴露する合計 リスクが許容できない場合でも,単位距離あたりにする と小さくなってしまい補修がされずに看過されることが 想定される.そこで本稿では,旅行延長の長短に関わら ず移動中に暴露する合計利用者リスクが衡平になるよう な補修戦略をとるため,(1)利用者が移動中に被る利用者 リスクの衡平を図る. 以上より本稿で取り扱う衡平性の評価アプローチは表 -1に示すように整理できる. 4. 最適補修戦略決定モデル (1) 利用者の経路,経路交通量算出方法 道路利用者の移動起終点とその交通量は,交通需要予 測で用いるOD交通量で計測できる.OD間の経路と経路 交通量は交通量配分によって経路交通量を求めることで 計測できる.経路交通量は,確定的利用者均衡配分でリ ンク交通量の更新時に経路とその交通量を記憶していく 積み重ね法によって求める16).ただし,この方法で得ら れる経路交通量は,パスフローが連続的に変化するため, 一意に決められないことに注意が必要である.本稿では, 補修戦略の決定方法に焦点を置くため,経路交通量の厳 密な解法は省略し,簡易的に算出できるこの方法を採用 する.なお,本研究では配分途中に見つかった経路交通 量を用いることとし,経路交通量の推定方法については 取り扱わないが,無限にある均衡フローのうちで最も尤 もらしい経路交通量を得る手段として,エントロピー最 大化を用いることも可能である 7). (2) 最適補修戦略決定モデル a) 衡平性指標 利用者がOD 間を移動中に暴露するリスクを衡平性尺 度の要素とする.施設 i を通過するひとりの利用者が被 る利用者リスクをuiとする.ここで,経路jに施設 iが存 在するか否かを示す状態変数行列y を定義する.総数 N 個の施設があるとき,ある経路 j に存在する施設は t Nj j j j y y y y =( 1 , 2 ,...., ) で表現できる.y の要素は存在す るかしないかを示す二値変数であり,1 であれば存在す ることを示す.補修意思決定前(状態0)における経路 j の利用者が暴露する利用者リスク Uj0は以上より式(3)で 表現できる.
∑
= = N i ij i j yu U 1 0 (3) 施設の補修実施有無を示す状態ベクトル x(以下補修 戦略 x)を定義し, t N x x x , ,...., ) ( 1 2 = x で施設i の補修を するか否かを表現する.x の要素は 1 であれば補修する 表-1 本稿で取り扱う衡平性の定義 (1) (2) (3) 衡平の捉え方 垂直的(結果) 水平的(機会) 衡平の対象 個人(利用者1人) 領域(地域) 衡平の尺度 効用 資源(投資量) 評価の単位期間 単年 プロジェクトライフ 任意の複数年 評価の時点 現在と施策後の差 施策後の状態 評価尺度の単位 利用者が移動中に被 る利用者リスク量 利用者が移動中に被 る単位距離当たりの 利用者リスク量ことを示す.施設は補修されると健全度が回復すること で利用者リスクが0 になると仮定する.補修によってリ スクが解消した後の状態d における経路 j の利用者リス クUjdは式(4)で表現できる.
∑
= − = N i ij i i j jd U yxu U 0 1∑
= − = N i 1(1 xi)yijui (4) 上記のとおり Uj0は各利用者が移動にあたり暴露する 合計リスクである.ここで,すべての道路利用者は均等 に道路利用に対して課税されていると考える.このとき, ある利用者の Uj0が他の利用者と比較して大きいとき, 課税に対して不衡平な道路が供用されているといえる. 本稿では,Uj0が大きい経路に所在する施設を優先的に補 修するような戦略をとることで不衡平の解消を図る. 社会統計学の分野では不衡平の指標として所得不平等 尺度が用いられている.依田 18)では所得不平等尺度とし て特性の異なる指標が9 つ紹介されているが,それぞれ どのような場面で適用することが適切であるかが議論さ れていない.そこで,紹介されている指標の中で計算処 理が比較的簡単な分散を衡平性指標に用いることとする. すなわち,衡平性指標は,Uj0について全OD ペアで集計 した分散で定義する.一般的に Uj0が大きい経路に所在 する施設を補修すれば,利用者リスクの利用者間におけ る分散値は小さくなる.リスクが負の値とならないこと を考慮すると,利用者間の分散値を小さくするような補 修戦略x を決定することで,Uj0が大きい経路に所在する 施設を優先的に補修でき,結果的に不平等の解消が図ら れるといえる. 経路の総数がM,経路 j の交通量が hjとして,衡平性 に関する目的関数z1は式(5)で記述できる.(
2 2)
1 V(Ujd) E(Ujd ) (E(Ujd)) z = = − (5)( )
∑ ∑
∑
− = j j i i ij i j j jd h x y u h U E 1 (1 ) (6)( )
Ujd = V{
}
(
)
(
{
}
)
∑
∑
∑
∑
∑
∑
− − − j j j j i i ij i j j i i ij i j j h u y x h u y x h h (1 ) 2 (1 ) 2 (7) b) 効率性指標 衡平性に関する目的関数は,利用者リスクを尺度の要 素として定義した.一方で効率性を測るときには,利用 者リスクだけではなく,管理者リスクを考慮する必要が ある.ネットワーク上における利用者リスクと管理者リ スクの総和を効率性指標と定義する. 施設i がもつ管理者リスクを giとする.利用者リスク と同様に,施策後の状態d における経路 j の管理者リス クGj dは式(8)で表現できる.∑
∑
= = = − − = N i i i N i i i j jd G xg x g G 0 1 1(1 ) (8) ここで,Gj 0:補修意思決定前の管理者リスクの総和. 利用者リスクと管理者リスクの総和を効率性に関する 目的関数z2として定義し,式(9)で記述できる.∑
∑ ∑
= = − + = − = N i i i M j N i hj xi yijui x g z2 1 1 (1 ) 1(1 ) (9) c) 最適化問題の定式化 本研究では,所与の年予算制約の下で衡平性指標と効 率性指標の重み付き和を最小化する問題を解くこととす る.式(5),式(9)より,衡平性指標,効率性指標は対策ベ クトルx の線形結合となっていることから,この問題は 二値整数線形計画問題として定式化できる. z2の効率性指標は社会的リスクの総和であり,貨幣価 値として評価される値である.一方で,z1の衡平性指標 は利用者リスクの分散であるため, 貨幣価値として評価 できる指標ではない.そこで,衡平性に対する貨幣価値 原単位を表現するパラメータとして α を導入する.α は 任意の値で与えることができる.値は補修意思決定者が 利用者の意見や供用状態を鑑みて設定する. 以上から, 最適化問題は以下のように定式化できる. 2 1 minz=αz +z (10) Subject to budget x c N i i i≤∑
=1 (11) ここで,α:衡平性の価値基準原単位パラメータ,ci: 施設iの補修費用,budget:年補修予算. (3) 計算方法 本研究では定式化した問題を繰り返し解くことで,年 度ごとの最適対策箇所を決定していく.年度が経過する たびに劣化予測により施設の健全度を更新し,補修意思 決定前に利用者リスク,管理者リスクを算定する.この 計算を設定したプロジェクトライフに至るまで繰り返す. また,求解にはMatlabを使い,最適化問題においては整 数計画問題を解く高速アルゴリズムであるGurobiをMatlab から呼び出すことにした. 5. 最適補修戦略決定モデルの挙動確認 構築した最適補修戦略決定モデルの挙動を確認するた め仮想の道路ネットワークで試算する.試算対象は道路 舗装とする.(1) 試算条件
仮想ネットワークは25ノード,40リンクの格子状とし て,図-1に示すようにOD交通量(台/日)を設定した. 交通容量は8800(台/日),ゼロフロー時所要時間は2.0 (分)とする.経路交通量はJICA STRADAのUser Equilib-rium Assignmentで算出する.User EquilibEquilib-rium Assignmentは, 利用者均衡配分により交通量を推計するものであり,旅 行時間をリンクコストとして算出する.これは前述のと おり,利用者はリスクを認知しているが自分に生起する と考えておらず,経路選択にリスクが考慮されない状態 を前提としている.リンクは各1kmであり,100mを1区間 として,400区間が補修戦略の対象となる.健全度は値 が小さいほど劣化した状態を示す.健全度を乱数で与え た10ケースの結果でモデルの挙動を確認する.本稿の試 算では,モデル挙動確認を目的とするため,各ケースで 目的関数を効率性の項のみにした場合と,衡平性の項の みにした場合,すなわち,重みパラメータを0としたと き(以下条件A)と無限大としたとき(以下条件B)の2 つの補修戦略について求める. 試算は1年間の最適補修戦略を求めて,劣化の影響は 考慮しない.OD交通量は図-1に示すように設定した.舗 装の破損確率,補修費用は健全度に応じて表-2,表-3に 示すように設定した. (2) リスク評価 利用者リスクは舗装にポットホールが発生したときに 生じる当該区間の旅行時間増加を対象とする.ポットホ ールが発生すると1日間交通容量が1,000(台/日)減少す ると設定して,BPR関数で通常時と交通容量減少時の旅 行時間を算出する.以上より舗装区間 i のリスクは式(12), 式(13)で算出する. k t t p ui= i(i1− i0) (12) ⎪ ⎭ ⎪ ⎬ ⎫ ⎪ ⎩ ⎪ ⎨ ⎧ ⎟⎟ ⎟ ⎠ ⎞ ⎜⎜ ⎜ ⎝ ⎛ + =
∑
= ϕ φ ia N j i ij ia ia Q y h t t 1 0 1 (13) ここで,pi:施設iが破損する発生確率,k:時間価値 (40.01(円/台)),ti a:区間iの所在するリンク利用者均衡走行 時間(通常時a=0,損傷時a=1),tia0:区間iの所在するリ ンクゼロフロー走行時間(通常時a=0,損傷時a=1), Qi:区間iの所在するリンクの交通容量(通常時a=0,損 傷時a=1). 施設iに関する管理者リスクは,事後対策費用が生じる リスクを対象として,式(14)で算出する. id i i pc g = (14) ここで,cid:施設iが破損したときの対症療法的補修費用. また,対症療法的に補修したときの費用は表-3中の健 全度0での補修費用4,900(円/m2 )とする. (3) 試算結果 上記の条件で試算して得られた施策前の利用者リスク, 条件 A,条件 B の累積頻度を 10 ケースで平均して図-2 に示す.条件B はすべての経路における利用者リスクが 150,000円以下となった.一方で条件 Aは 10%程度の利用 者が 500,000 円以上の利用者リスクを被る結果となり, 条件B が利用者間の格差を小さくできていることが確認 できた. ネットワーク全体における施策前,施策後の利用者リ スク,管理者リスク合計と,補修による減少率を整理し て表-4 に示す.利用者リスクはどのケースにおいても条 件B は利用者リスクが 88%~95%以上低減できている. 一方で条件A は 29%~75%と低減率が高いケースと低い ケースがある.これは,施策前の管理者リスクの値が利 図-1 仮想ネットワーク 表-2 破損確率 表-3 補修費用 健全度 年あたり破 損確率 0 0.5 1 0.4 2 0.3 3 0.2 4 0.1 5 0.05 6 0.01 健全度 補修費用 (円/m2) 0 4900 1 4900 2 4900 3 3100 4 3100 5 1800 6 1800 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000 500,000 施策前 条件② 条件① 図-2 経路合計利用者リスク累積頻度 施策前 条件 B 条件 A用者リスクの16~29倍となり支配的であるため,条件 A では利用者リスクが補修戦略の決定への影響が小さいこ とが理由である.管理者リスクと利用者リスクの合計の 低減率は条件A が 23~25%である一方で,条件 B は 19 ~21%と小さくなった.条件 A が効率的にリスクを低減 していることが確認できた. 条件A と条件 B における補修戦略で決定された補修 箇所を健全度,交通量でクロス集計した.例としてcase1 の補修箇所について表-5,表-6 に示す.表中の数字は補 修箇所数である.条件A では健全度 3 未満の箇所が選定 されている.条件B で選定された箇所は健全度 6~7 の 箇所でも選定されており,交通量が 7,000(台/日)未満 の箇所は選定されていない.すなわち,条件B では健全 度が低くても交通量が少ない箇所は補修されない. ここ で,リスクの算出精度が十分であれば,健全度が低い箇 所もリスクが大きくない箇所は補修する必要はない.し かしながら実運用上は著しく健全度の低い箇所では設定 値以上の破損確率,影響度が生じることも想定される. そのため管理限界を設定して,超過する箇所を優先的に 補修するルールが本モデルのほかに必要である. 6. おわりに 本稿では道路施設の破損リスクに基づく補修戦略決定 モデルを構築した.本稿の概要を以下に示す. (1)道路利用者 1 人が移動の間に被る利用者リスクは利用 者間で起終点,経路が異なるため,利用者間で格差が生 じる. (2)利用者間の格差を衡平性指標における尺度の要素とし て捉え,モデル内における衡平性の評価アプローチを整 理した. (3)利用者が移動によって被る利用者リスクの分散を衡平 性指標,ネットワーク上における各施設の管理者リスク 総和を効率性指標として定義した. (4)最適補修戦略を予算制約下における衡平性指標と効率 性指標の重みつき和を最小化する問題と捉えて,二値整 数線形計画問題として定式化した.また,その計算方法 を示した. (5)構築した最適補修戦略決定モデルについて,衡平性の 項のみを目的関数とした場合,効率性の項のみを目的関 数とした場合で仮想ネットワーク上において試算し,モ デルの挙動を確認した. 表-4 最適補修戦略試算結果一覧 単位は千円/年,()内はリスク低減率 施策前 施策前 施策前 case1 10,064 3,979 (60%) 485 (95%) 231,594 183,231 (21%) 193,418 (16%) 241,658 187,210 (23%) 193,903 (20%) case2 10,247 2,589 (75%) 627 (94%) 218,765 173,146 (21%) 184,911 (15%) 229,013 175,735 (23%) 185,538 (19%) case3 8,066 3,826 (53%) 579 (93%) 212,214 163,851 (23%) 176,851 (17%) 220,280 167,677 (24%) 177,429 (19%) case4 10,981 6,671 (39%) 859 (92%) 213,655 164,949 (23%) 178,772 (16%) 224,636 171,619 (24%) 179,631 (20%) case5 9,151 5,065 (45%) 549 (94%) 201,375 152,669 (24%) 172,838 (14%) 210,526 157,734 (25%) 173,387 (18%) case6 11,680 4,451 (62%) 905 (92%) 225,454 177,434 (21%) 189,302 (16%) 237,133 181,885 (23%) 190,206 (20%) case7 11,614 4,939 (57%) 779 (93%) 205,011 160,078 (22%) 170,848 (17%) 216,625 165,017 (24%) 171,627 (21%) case8 6,822 4,811 (29%) 790 (88%) 197,534 148,142 (25%) 164,880 (17%) 204,355 152,953 (25%) 165,670 (19%) case9 13,053 4,315 (67%) 830 (94%) 207,138 159,118 (23%) 170,162 (18%) 220,190 163,432 (26%) 170,992 (22%) case10 10,794 4,490 (58%) 757 (93%) 207,103 161,141 (22%) 176,268 (15%) 217,897 165,631 (24%) 177,025 (19%) 利用者リスク 管理者リスク 合計 条件B 公平性のみ 条件A 効率性のみ 条件B 公平性のみ 条件A 効率性のみ 条件B 公平性のみ 条件A 効率性のみ 表-5 条件 Aの補修箇所の健全度-交通量分布 <1000 <2000 <3000 <4000 <5000 <6000 <7000 <8000 <9000 <10000 <11000 <12000 <13000 <14000 <15000 総計 0-1 0 0 0 4 2 4 3 1 4 2 1 2 3 26 1-2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 2-3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 3-4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4-5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5-6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6-7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7-8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8-9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9-10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 総計 0 0 0 4 2 4 3 1 4 2 1 2 0 4 2 29 表-6 条件 Bの補修箇所の健全度-交通量分布 <1000 <2000 <3000 <4000 <5000 <6000 <7000 <8000 <9000 <10000 <11000 <12000 <13000 <14000 <15000 総計 0-1 0 0 0 0 0 0 0 1 3 2 1 2 3 12 1-2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 3 2-3 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 4 3-4 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 1 4 2 2 13 4-5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 5-6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6-7 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2 0 3 7-8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8-9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9-10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 総計 0 0 0 0 0 0 0 1 4 6 5 3 5 8 4 36
(6)衡平性のみを考慮した最適戦略では健全度が著しく低 い場合でも補修されないケースがある.そのため,管理 限界を設定して優先的に補修するルールが本モデルのほ かに必要となる. 今後は,実在する構造物,ネットワークを対象にモデ ルの適合性を検証し,目的関数の衡平性重みパラメータ を設定したときの補修戦略の挙動について確認する必要 がある. 参考文献 1) 杉浦聡志,金森吉信,高木朗義,倉内文孝,森本博 昭:リスク評価に基づいた道路施設の総合維持管理 手法の開発,土木学会論文集 F4 (建設マネジメント) 特集号,Vol.67,No.4,pp.I_103-I_112,2011. 2) 津田尚胤,貝戸清之,青木一也,小林潔司:橋梁劣 化予測のためのマルコフ推移確率の推計,土木学会 論文集,No.801/I-73,pp.69-82,2005. 3) 青木一也,山本浩司,津田尚胤,小林潔司:多段界 ワイブル劣化ハザードモデル,土木学会論文集, No.798/VI-68,pp.111-124,2005. 4) 小林潔司,熊田一彦,佐藤正和,岩崎洋一郎,青木 一也:サンプル欠損を考慮した舗装劣化予測モデル, 土木学会論文集F,Vol.63,No.1,pp.1-15,2006. 5) 小濱健吾,岡田貢一,貝戸清之,小林潔司:劣化ハ ザード率評価とベンチマーキング,土木学会論文集 A,Vol.64,No.4,pp.857-874,2008. 6) 岳本秀人,石田樹,丸山記美雄,清野昌貴:道路利 用者費用を考慮した寒冷地舗装の維持修繕計画に関 する検討,建設マネジメント研究論文集,Vol.11, pp.149-160,2004. 7) 鈴木俊之,杉浦聡志,髙木朗義:道路舗装アセット マネジメントのための表明選好法を用いた安全性・ 快適性ユーザーコストの試算と考察,土木計画学研 究・論文集,Vol.25,pp.121-127,2008. 8) 貝戸清之,保田敬一,小林潔司,大和田慶:平均費 用法に基づいた橋梁部材の最適補修戦略,土木学会 論文集,No.801/I-73,pp.83-96,2005. 9) 上田孝行,長谷川専,森杉壽芳,吉田哲生:地域修 正係数を導入した費用便益分析,土木計画学研究・ 論文集,Vol.16,pp.139-145,1999. 10) 嶋本寛,倉内文孝,飯田泰敬:公共交通最適施策決 定モデルの構築,土木計画学研究・講演集,Vol.31, pp.239-246,2005. 11) 栄徳洋平,溝上章志:QoM 指標によるモビリティ水 準の地域間比較手法の提案,土木計画学研究・論文 集,Vol.25,pp.109-119,2008.
12) Honjo, Y., Otake, Y., Moriguchi, S. and Hara, T.: Road Slopes Risk Assessment of the Northern Part of Gifu Pre-fecture Japan, Risk Assessment and Management in
Ge-oengineering (GEORISK 2011), ASCE, pp. 988-995, 2011.
13) 小林潔司:衡平論を巡る最近の理論的展開,土木学 会ワンデーセミナー シリーズ 19,土木計画における 公平論を巡って,pp.51-58,2000. 14) 岡本裕豪,増田圭:平等をめぐる議論と社会資本整 備に関する一考察,国土交通政策研究,第 6 号, 2001. 15) 小林潔司:地域間衡平性を巡る論点と課題,季刊運 輸政策研究,Vol.3,No.3,pp.015-026,2000. 16) Bell, M. G. H. and Iida, Y.: Transportation Network
Anal-ysis, Wiley, 1997. 17) 滝大活,松本幸正,藤田素弘:利用者均衡配分時に おける経路交通量の計算手法の比較分析,土木学会 中部支部研究発表会講演概要集,pp.347-348,2000. 18) 依田高典:不確実性と意思決定の経済学,日本評論 社,1997. (2013. 2. 25 受付)
OPTIMAL MAINTENANCE STRATEGY PLANNING MODEL
BASED ON THE RISK OF ROAD FACILITIES
Satoshi SUGIURA, Akiyoshi TAKAGI and Fumitaka KURAUCHI
Infrastructure asset management system generally determines the optimal maintenance strategy so as to minimize the LCC (Life Cycle Cost) of facilities without considering any accidental deterioration. In real-ity, however, road facilities are exposed to various dangers such as inadequate inspection, incorrect fa-tigue estimation, unforeseen external force and so on, and they may lose their function by such factors. If such deterioration happens, the impact of the deterioration onto road users is huge and it shouldn’t be ig-nored. This study considers the risk of both road administrators and users. Especially it considers an effi-ciency of the maintenance from a viewpoint of road administrators and an variance of risks among road users to consider the equity among road users, and tries to minimize a weighted sum of the total risk of road administrators and the variance of user risks among road users. The proposed model has been ap-plied to a simple hypothetical network and the performance of the proposed method has been discussed.