Title
多自然型渓流保全工における河床礫動態の評価法に関する
研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
梅津, 健一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第470号
Issue Date
2008-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23477
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 梅 津 健 一 (鳥取県) 博士(農学) 農博甲第470号 平成20年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 岐阜大学 多自然型渓流保全工における河床礫動態の評価法に関 する研究 主査 岐阜大学 教 授 副査 岐阜大学 准教授 副査 静岡大学 教 授 副査 信州大学 教 授 照一智 弘 正 眞 和 家 相 屋 村 千 西 土 木 論 文 の 内 容 の 要 旨 本研究の目的は,既設の多自然型工法の施設において河床礫動態を評価し,更に望 ましい多自然型川づくり事業の方向性について言及することである。本研究の内容は, 以下の3つに大別される. (1)低高度空中写真による河床礫繭査法について数種の方法を提案し,その測定精度 を検証した. (2)(1)で開発した方法を改修後の多自然型渓流保全工の調査に適用することによっ て河床礫の評価を行い,その実用性を検討した. (3)(1)と(2)の画像解析に必要となる河床礫の軸径を求めるための2次元ポリゴン解 析ツールを開発した. (1)低高度空中写真による河床礫調査法の精度検証と実用性について 河床礫調査法はWintwor血(1922)が始まりとされ,観測機器や解析技術が発達して いる今日でもこの古典的な手法で行われている。また,この方法では巨礫(Boqlder) のような大粒径では観測が困難であるため,多自然型施設のような巨礫が多く散見さ れる施設での調査には不向きである。そこで多様な河床礫が配置された多自然型施設 の調査には新しい河床礫調査法を開発する必要があるため,研究開発を行うこととし た。その結果,実験棟で行った河床礫サンプルの高度別撮影実験では,幾何補正された ディジタルオルソ上で河床礫を認識可能な限界高度は10mとなり,この条件下では10 mm粒径の河床礫サンプルを明瞭に認識することが可能であることが分かった。また写 真測定法によるこの方法は分散分析による結果から精度上遜色ないことから,特に巨 礫の河床礫調査法に痺めて有効であることが明らかとなった。 ー44一
(2)改修後の多自然型渓流保全工における河床礫の評価 河床材料である河床礫を評価することを目的に,改修後の多自然型渓流保全工にお いて低高度空中写真を用いた写真湘定法による河床礫の測定を行い,河床礫の動態調 査には蛍光礫のトレーサーを用いてモニタリングを行った。その結果,本施設の河床 礫粒径分布は未改修区間よりも改修区間のほうが多様な分布を持っていることが分か った。また2006年5月の出水時にはトレーサーの移動量は300cm以内に治まった。 (3)河床礫の軸径を求めるための2次元ポリゴン解析ツールの開発 低高度空中写真によって撮影されたディジタルオルソ上で河床礫の軸径を求めるた めには,市販のGISやCADアプリケーションでは実塊化できないため,VB(Visual Basic)言語を用いて河床礫の2次元ポリゴン解析プログラムを開発することを目的と し研究を行うこととした。その結果,VB書籍を用いて開発一した本ツールは河床礫調査 法に必要な精度を確保しており,且つ汎用性や実用性を兼ね添えていることが分かっ た。 以上の研究結果により本研究は河床礫調査法の新しい方向性を示すと同時に,望ま しい多自然型川づくり事業についての言及を行った。 審 査 結 果 の 要 旨 これまでのコンクリートに依存した護岸工事の反省などから「多自然型川づく り」の通達が1990年に国土交通省(当時建設省)より出され・全国で本格的に
多自然型施設の工事が始まるようになり,2002年度では国土交通省琴注の河川
工事全体約5500カ所のうち約7割が多自然型川づくり事業として実施されるま でにもなった.河川工事は従来の治水・利水機能を保持しつつ,瀬淵の交錯,自 然石の配置など,生物多様性を確保し親しみやすく人間の生活環境にも配慮した 親水性の時代人とニーズは変化している・しかしこの事業によって全国各地で多 くの施設が改修されてきたが,特に多自然型施設を構成する最も重要な河床材料 である河床礫に関する研究成果はこれまでほとんど公表されておらず,河床礫動 態を含めた改修後の事後評価に関する基礎的なデータは依然不十分であること が指摘されてきた. そこで本研究では,この河床礫に着目し,既設の多自然型工法の施設において 河床礫動態を評価し,更に望ましい多自然型川づくり事業の方向性について言及 することを目的とした.研究内容と成果は,以下の3つに大別される. 1)低高度空中写真による河床礫調査法について提案し,その測定精度を検証し た.その結果,河床礫サンプルの高度別撮影実験では,幾何補正されたディ ジタルオルソ上で河床礫を認識可能な限界高度は10mとなり,この条件下 では10Ⅱ甘n粒径の河床礫サンプルを明瞭に認識することが可能であること-が分かった。 2)1)で開発した方法を改修後の多自然型渓流保全工の調査に適用することによっ て河床礫の評価を行った.その結果,河床礫粒径分布は未改修区間よりも改修区 間のほうが多様な分布を持っていること,また2006年5月の出水時にはトレー サーの移動量は300cm以内に治まっていることを評価することができた。-45-3)1)と2)の画像解析に必要となる河床礫の軸径を求めるためのVB(Ⅵsual Basic)言語を用いた2次元ポリゴン解析ツールを開発した.さらに,その解 析ツールを河床礫調査に適用した結呆,十分な精度を有する実用性の高い手 法であることを確認した. 以上のように,本研究は新しい河床礫調査法を提案し,この方法を用いて多自 然型渓流保全工において河床礫を評価したことに新規性がある.さらに,今後の 望ましい多自然型川づくり事業のあり方について貴重な知見を提供したことか ら,河川工事などの公共事業に対する社会貢献は極めて大きく,関連学会での評 価も高い.故に,審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた. 学位論文の基礎となる学術論文は以下の通りである. (1)梅津健一・戸松修:低高度空中写真による河床礫調査法の精度検証と実用 性について,砂防学会誌60(・1),p.19∼28(2007) (2)梅津健一・戸松修:改修後の多自然型渓流保全工における河床礫の評価, 砂防学会誌60(3),p.3∼10(2007) (3)梅津健一:2次元ポリゴン解析ツールの開発とその利用例,GIS・理論と応 用,印刷中