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石 井 伸 一

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〈 研 究 ノー ト〉

フ ラ ン ス1997年

ジ ョス パ ン政 権 発 足 の こ の1年

石 井 伸 一

目 次

は じ め に

1経 済 最 優 先 の ジ ョ ス パ ン内 閣 ジ ョ ス パ ン 内 閣 の 政 策

190σ4

}

H 皿 H H n

失業 者対 策(雇 用対策) 通貨 統合 とEU労 働 市場情勢 35万 人 の雇用 創 出計 画

労 働時間短 縮 によ る雇用 創 出計 画 経 営者全 国評議 会が激 しく反発 皿 独 仏 基 軸 の き しみ と再 始 動

皿 一1ア ム ス テ ル ダ ム 首 脳 会 議

皿 一2ア ム ス テ ル ダ ム 条 約 の 雇 用 に 関 す る 条 項 皿 一3欧 州 中 央 銀 行 と経 済 政 府 の 関 連

IVワ イ マ ー ル の 独 仏 首 脳 会 談

IV‑‑1エ ァ バ ス 株 式 会 社 化 で 合 意

N‑一一一一2財 政 赤 字3パ ー セ ン ト以 下 達 成 の 課 題 IV‑3財 政 赤 字 を め ぐ る フ ラ ン ス の 思 惑 Vユ ー ロ 評 議 会 と 雇 用 サ ミ ッ ト

V‑1ユ ー ロ 評 議 会 V‑2雇 用 サ ミ ッ ト

VI第 三 次 コ ア ビ タ シ オ ン(保 革 共 存 政 権) VI‑1な ぜ コ ア ビ タ シ オ ン な の か VI‑2第 一 次,第 二 次 コ ア ビ タ シ オ ン VI‑3第 三 次 コ ア ビ タ シ オ ン(1997‑) お わ り に

は じめ に

1997年 は ま た フ ラ ン ス に と って 重 要 な 年 とな っ た 。一 っ に は,保 守 中

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66商 経 論 叢 第34巻 第1号 0297)

道 の シ ラ ク大 統 領 が98年5月 の 単 一 通 貨 参 加 国 決 定 を 前 に ,磐 石 の 態 勢 を 固 め よ う と,財 政 緊 縮 政 策 を 国 民 に 信 を 問 う た め,解 散 総 選 挙 に 打 って 出 た こ と が 挙 げ られ る。 しか し,こ れ に対 して,過 半 数 以 上 の 国 民 は ノ ン と答 え,思 惑 は完 全 に裏 目 に 出 た の で あ る。 国 民 は 当 時 失 業 率 が12パ ー セ ン トを 超 え る失 業 対 策 を 一 つ の 公 約 に 掲 げ る社 会 党 に ウ イ と 応 え,こ の 結 果 社 会 党 主 導 で 共 産 党,緑 の 党 と連 立 す る リオ ネ ル ・ ジ ョス パ ン首 相 が 率 い る左 翼 政 権 が 発 足 した。

今 回 の 総 選 挙 で は 保 守 中 道 派 は惨 敗 した が,結 果 論 と して,フ ラ ン ス に と っ て 最 大 の 課 題 が 失 業 対 策 で あ る こ と が 浮 き彫 り と な った 点 は 大 き い。 も ち ろ んT前 の ア ラ ン ・ジ ュ ペ 保 守 ・中 道 政 権 も雇 用 対 策 に腐 心 は して き た が,緊 縮 財 政,規 制 緩 和 中 心 の 経 済 政 策 を遂 行 して き た だ け に 失 業 者 問 題 は 潜 在 化 して い た の で あ る。 選 挙 の 結 果 は雇 用 を切 実 に 希 求 す る フ ラ ン ス市 民 の 声 が 反 映 さ れ た も の で,私 は1997年9月 に現 地 を 訪 れ て,こ の 社 会 の うね りを肌 で 感 得 す る こ とが で き た。

こ の 結 果,1997年 は フ ラ ン ス に と っ て は,(1)通 貨 統 合 参 加(2)失 業 者 救 済(雇 用対策)が 重 要 課 題 で あ る こ と が 明 確 と な った 。 ジ ョス パ ン左 翼 連 立 政 権 は,1998年5月 に迫 っ た ブ リュ ッセ ル で の 欧 州 連 合 首 脳 会 議(以 下EU首 脳会 議)を 前 に,単 一 通 貨 「ユ ー ロ」 に参 加 す る た め の 最 大 の 収 敏 基 準(convergencecriteria)‑97年 度 の 財 政 赤 字 は国 内 総 生 産 の3パ ー セ ン ト以 下 一 を 達 成 し,同 時 に若 年 者 層 を 初 め と す る失 業 者 向 け に雇 用 を 創 出 す る と い う二 兎 を 追 う と い う困 難 な対 応 を 求 め られ る こ と に な っ た 。

実 は,社 会 党 は総 選 挙 の 際 財 政 赤 字 は国 内 総 生 産 の3パ ー セ ン ト以 内 と い う参 加 基 準 の緩 和 を 求 め る と公 約 して い た た め,1997年6月16 , 17の 両 日 ア ム ス テ ル ダ ム で 予 定 さ れ て い たEU首 脳 会 議 を 前 に 緊 張 が 走 る。 特 に,一 緒 に な って 欧 州 の統 合 を 牽 引 して き た ドイ ッ と の い わ ゆ る独 仏 機 軸 に さ ざ波 が 立 つ 一 幕 もあ った 。 結 論 的 に は フ ラ ンス が 提 唱 し た 「雇 用 は 欧 州 の 課 題 」 と して扱 う こ とで 妥 協 が 成 立 し,独 仏 基 軸 は 新

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(296) フ ラ ン ス1997年 一 一 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 67

た な 関 係 を 構 築 して い く こ と に な る。

この 雇 用 対 策 の 問 題 に つ い て は,フ ラ ンス は 緊 急 対 策 と して 財 政 出 動 を 含 め た 対 応 を 迫 られ た の に対 して,ド イ ッ は 財 政 支 出 に は反 対,ま た 18年 ぶ りに 政 権 の 座 に返 り咲 い た,「 ニ ュ ー ブ レア 」 の イ メ ー ジを 掲 げ て 発 足 した イ ギ リス の ブ レア 首 相 も,失 業 問 題 は 柔 軟 な 労 働 市 場 の 場 で 解 決 す る と い う考 え に立 ち,立 場 が 分 か れ た 。 しか し,マ ー ス ト リ ヒ ト 条 約(欧 州連 合条約)を 改 訂 した ア ム ス テ ル ダ ム 条 約 の 中 に 「雇 用 」 の条 項 を 設 け,(3)1997年 は,雇 用 問 題 が 欧 州 連 合 の枠 内 に位 置 づ け られ た年

と もな っ た。

この 意 味 は大 き い。 失 業 問 題 は加 盟 各 国 の 個 別 の 問 題 で あ り,労 働 市 場 も構 造 的 に 多 様 で は あ るが,欧 州 連 合 全 体 の 失 業 率 が10パ ー セ ン ト

を超 え,1800人 が 失 業 して い る こ と,単 一 通 貨 が1999年1月1日 か ら 予 定 通 り発 足 し,資 本,貿 易,労 働 が 新 た な局 面 に立 ち 至 る こ と を 考 慮

す る と,雇 用 対 策 をEUの 枠 内 に取 り込 ん だ こ と はs通 貨 統 合 に 連 動 す る先 取 り策 と み る こ と もで き る の で は な か ろ うか 。 もち ろん,政 府 が 進 め る緊 急 救 済 措 置 と は別 に,労 働 市 場 も近 代 化 を 迫 られ て い る こ と も確 か で あ ろ う。 こ う し た背 景 を踏 ま え,1997年11月21,22日,ル ク セ ン

ブ ル ク で 初 め てEU雇 用 首 脳 会 義 が 開 か れ た 。

一 方,通 貨 統 合(マ ース トリヒ ト条約で は経済通 貨 同盟 一EMUと い う)に 関 して,フ ラ ン ス は,単 一 通 貨 が ス タ ー とす れ ば,そ れ に伴 っ て経 済, 財 政 政 策 を 調 整 す る機 関 と して,経 済 政 府 の 設 置 が 必 要 で あ る と提 唱 し

た。 ま ず,ス トロ ス 濡 カ ー ン と ワ イ ゲ ル の 独 仏 蔵 相 会 談 で,

1一 単 一 通 貨 を コ ン トロ ー ル す る 欧 州 中 央 銀 行 は加 盟 国 か ら干 渉 を受 け な い独 立 した 機 関 で あ る こ と を 確 認 す る,し か し,

2一 単 一 通 貨 の ユ ー ロ(euro)加 盟 国 の 間 で,欧 州 中 央 銀 行 の 外 に,ユ ー ロ参 加 国 蔵 相 が 非 公 式 に経 済,財 政 政 策 を 調 整 す る機 関 (経済 政府 の呼称 か らユー ロ評 議会 へ と変 わ って い く)を 設 け る

こ とで 合 意 した。 これ を 受 け て,1997年12月12日,13日 に ル クセ ン ブ

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68商 経 論 叢 第34巻 第1号 0295)

ル ク で 開 か れ たEU首 脳 会 議 で 設 置 が 決 ま っ た 。

こ う して97年6月 に 発 足 し た ジ ョ ス パ ン政 権 か ら み た 世 界 は ,国 内 の (1}失業 者 救 済,② 通 貨 統 合 参 加 へ の 最 後 の 準 備 か ら飛 び 立 って,③ 雇 用 対 策 をEUの 枠 内 に位 置 づ け,ま た,通 貨 統 合 に 関 連 してEU内 に 非 公 式 の 経 済 政 策 調 整 機 関 を 設 け る と い う よ う に 政 治 的 波 動 を 広 げ て い っ た 。 そ れ に 至 る ま で は,様 々 な 緊 張,例 え ば,雇 用 対 策 に つ い て は各 国 の 方 針 が 異 な り,ま た ユ ー ロ評 議 会 一 仮 称 に つ い て は,ヨ ー ロ不 参 加 の イ ギ リス,ス ウ ェ ー デ ン,デ ンマ ー ク,ギ リシ ャが 警 戒 感 を 持 っ な ど, 前 進,後 退 の 曲 折 を辿 っ て き て い る。

そ の 他,12月 の ル クセ ン ブル ク首 脳 会 議 で は,1998年 春 か ら,旧 東 欧 の ポ ー ラ ン ド,チ ェ コ,ハ ン ガ リー,ス ロベ ニ ア,エ ス トニ ア,そ れ に 地 中 海 に 浮 か ぶ キ プ ロ スの6ヵ 国 の 新 規 加 盟 の 交 渉 を 開 始 す る こ とで 合 意 した し,ま た12月9日 に は,英 独 仏 政 府 が,ボ ー イ ン グ と マ ク ドネ ル ・ダ グ ラ ス社 の合 併 と い う事 態 の 中 で,航 空 ・防 衛 ハ イ テ ク産 業 の 再 編 ・統 合 で 合 意 と発 表 す る な どEU産 業 の 戦 略 的 再 編 とめ ざ す 出来 事 も 起 き た。 こ う して,ヨ ー ロ ッパ は,1998年5月 の 通 貨 統 合 第 一 陣 参 加 国

の 決 定 と相 ま って,一 層,統 合 の 深 化 と拡 大 を 目指 す 動 き が 胎 動 して い る が,今 回 は,フ ラ ン ス に 登 場 した ジ ョス パ ン政 権 か らみ た 世 界,特 に EUの 一 っ の 要 で あ る独 仏 関 係 に焦 点 を 当 て な が ら,1997年 の ヨー ロ ッ パ の 軌 跡 を辿 る こ と と した い。

1経 済 最 優 先 の ジ ョスパ ン内 閣

リオ ネ ル ・ジ ョスパ ン(Lione1Jospin)社 会 党 第 一 書 記 は,1997年6月 1日 の2回 目の 投 票 で 保 守 中 道 陣 営 が 惨 敗 し,社 会 党 中心 の 左 翼 陣 営 が 過 半 数 を 上 回 っ て 勝 利 を 確 実 に し た あ と,シ ラ ク 大 統 領(保 守 中 道)か ら

首相 に任 命 され,ジ ョ スパ ン内 閣 は6月4日 発 足 した 。 一 ヵ月 前 の5月 1日 に は,イ ギ リス の 総 選 挙 で 労 働 党 が 圧 勝 し,18年 振 り に保 守 党 か ら 政 権 を 奪 回 し,ブ レア(TonyBlair)労 働 党 内 閣 が 発 足 して い る。 ブ レ ア

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(294) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一69

政 権 は,保 守 党 よ り ヨー ロ ッパ 大 陸 に は 前 向 き な 姿 勢 を み せ ・EUに 対 して積 極 策 に転 じて い る。 社 会 憲 章 に調 印 した の を 初 め,通 貨 統 合 に も 単 一 通 貨 第 一 陣 の ス タ ー ト以 降 早 い 段 階 で の 参 加 を 検 討 して い る。

さ て,ジ ョスパ ン内 閣 は,社 会 党,共 産 党,急 進 社 会 党,緑 の 党,市 民 運 動 な ど の連 立 で,国 民 議 会(下 院)の577議 席 の う ち55パ ー セ ン ト に あ た る320議 席(社 会党 は246議 席)に 支 え られ(図 一一1一 参照),首 相 を 除 い て26名 の 閣 僚 か ら成 って い(1). r党 か ら3名,急 進 社 会 党 か ら3 名,ま た環 境 保 護 派 の 緑 の党 か ら国 土 開 発 ・環 境 相 に ド ミニ ッ ク ・ヴ ォ

ワ ネ が 入 閣 して い る。 実 力 派 の 女 性8人 が 入 閣 して い る の も特 徴 で,法 相 に エ リザ ベ ー ト ・ギ グ ー,雇 用 ・連 帯 相 に マ ル テ ィー ヌ ・オ ブ り,政 府 の ス ポ ー ク ス ・ウ ー マ ンに カ ト リー ヌ ・ トロ ッ トマ ンが入 閣 した 。 ま

た,外 相 に は,ミ ッテ ラ ン大 統 領 時 代 に ミ ッ テ ラ ン外 交 の 設 計 者 で 大 統 領 府 報 道 官 を務 め た ユ ベ ー ル ・ヴ ェ ド リー ヌが 入 閣 した。

図一1‑‑1仏 国民議 会選 挙結果(1997年5月25日,6月1日 実施) 仏 国 民 議 会 勢 力 分野

議 席 獲 得 数(注:右 翼 は 日本 語 の 意味 と異 な る)

320議 席 一一一左 翼

右 翼 一257議

フ ラ ン ス民 主 連 合

共和国連合

1独 立 右 派 (LDI) i国 民 戦 線

出 所=LeMonde(Hebdomadaire‑samedi7juin1997)か ら 作 成

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70商 経 論 叢 第34巻 第1号 (293)

ジ ョス パ ン首 相 は,1937年7月12日 生 ま れ 。1965年 に エ リー一ト官 僚 の 養 成 校,国 立 行 政 学 院(ENA)を 卒 業 後,一 時 パ リ大 学 分 校 の 客 員 教 授 と して 教 鞭 を 執 っ た 。 フ ラ ン ソ ワ ・ミ ッテ ラ ンが1971年 に エ ピネ ー で 新 生 の 社 会 党 を 結 成 す る と こ れ に 入 党 し,1981年 に 第 一 書 記 と な っ た が,後 本 職 を 辞 し,1995年5月 の大 統 領 選 挙 に立 候 補 し,保 守 ・中 道 派 の 推 す シ ラ ク候 補 と決 戦 投 票 で 争 うが 敗 れ る。 大 統 領 選 挙 後 ,第 一 書 記 に返 り咲 く。率 直,誠 実 さ で 知 られ,首 相 就 任 後,テ レ ビな ど を通 じて , 通 貨 統 合 へ の 参 加 な ど分 か りに くい経 済 の 問 題 を 直 接 市 民 に語 りか け る 対 話 の 路 線 が 少 しず っ ジ ョス パ ン支 持 率 を上 げ て き て い る と い う(1997 年9月17日,パ リ13大 学経 済学部 の ジ ャック ・マ ジエ教授 の当時 の評価)。

ジ ョスパ ン内 閣 の 基 本 路 線 は,フ ラ ン ス市 民 の 声 に 応 え て y雇 用 創 出 を最 大 の 課 題 に した 布 陣 と な って い る こ とが うか が え る。 そ の 第 一 は, 雇 用 ・連 帯 相 と経 済 ・財 政 ・産 業 相 の 二 本 の 柱 で あ る。 雇 用 ・連 帯 相 は,国 立 行 政 学 院 卒 業 後,労 働 畑 で 活 躍 しt91‑93に 労 働 ・雇 用 ・職 業 教 育 相 を 務 め た マ ル テ ィ ー ヌ ・オ ブ リ(MartineAubryetdelaSolidarity)。

経 済 ・財 政 ・産 業 相 は,か つ て ジ ャ ン ・モ ネ が 長 官 を 務 め た こ と の あ る 経 済 計 画 庁 の 副 長 官,パ リ10大 学 の 経 済 学 教 授 を 務 め た 経 済 通 の ド ミ

ニ ッ ク ・ ス ト ロ ス;カ ー ン(DominiqueStrauss‑一 一Kahn‑Ministrede 陀conomiqdesFinancesetderIndustrie)。 傘 下 に4人 の 閣 僚 を 従 え て い

る。貿 易,予 算,中 小 企 業 ・商 業 ・手 工 業,産 業 の4つ の 担 当 相 で あ る。

これ ま で 産 業 相 は,独 立 した 大 臣 で あ っ た が,今 回 の 内 閣 で ス トロ ス ー カ ー ンが 統 括 す る こ と に な っ た。

フ ラ ンス の 行 政 の長 の 格 付 け,職 務 は 多 様 で あ る が 第 五 共 和 制 以 降 , 今 日 で は お よ そ,3種 類 の 閣 僚 の ポ ス トが あ る。 本 稿 は 内 閣 の 説 明 を 目 的 と す る も の で は な い の で,詳 細 を 省 く が,近 年 で は(1}ministre(2) ministredャ1ャgue(3>secr6taired喰tatの3つ が あ る。(1)は 何 れ も大 臣 で あ る が,担 当 す る政 権 に よ っ て特 徴 を 出 そ う と す る た めa常 に 同 じ呼 称 と な る こ と は な く,今 回 の ス トロ ス=カ ー ン経 済 ・財 政 ・産 業 相 は そ

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0292) フ ラ ン ス1997年 一 一 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の この … 年 一71

の例 で あ る。 ②,(33は 共 に 担 当 職 務 が あ り,閣 僚 の ラ ン く付 け の 差 で, ま た ポ ス トの数 は 内 閣 に よ って 異 な る。 例 え ば,前 の 内 閣 の 第 二 次 ジ ュ ペ 内 閣 時 は,(3)は14の ポ ス トで あ った が,今 回 は10の ポ ス トの配 分 と な って い る。 ②,(3}の 日本 語 訳 に つ い て は,(2}は 付 き副 大 臣,付 き担 当 相,(3)は,付 き閣 外 相,付 き政 務 長 官,付 き次 官 な ど と訳 さ れ て い る が, 私 は共 に 「付 き担 当 相 」 と した。 国 内 報 道 は,一 般 的 に は 「付 き相 」 と

して い る。

IIジ ョス パ ン 内 閣 の 政 策

大統 領 が保 守 中道,政 府 は左 翼 連立 とい う コア ビタ シオ ン(ミ ッテラ ン大統領時代 に,大 統領が社会党,政 府 は保守中道 とい う一次,二 次の保革共存 政権を経験 している)で 発 足 した ジ ョスパ ン政 権 は,当 面 の最 大課 題 を(1) 通 貨統 合 の参 加 基 準 の達 成,と りわ け財政 赤 字 をGDPの3パ ーセ ン ト 以 下 に抑 え る,② 失 業 率 が20パ ー セ ン トを上 回 った若 年 者層 を 中心 と

す る失 業 者救 済 に置 き,船 出 した。

社会 党 は今 回 の選 挙 中次 の公約 を掲 げた。

1一 財 政 措 置 に よ り,公 的部 門 と民 間部 門 で若 年 者 層 向 け に70万 人 の雇用 を創 出 す る

2一 賃 金水 準 を引 き下 げず に法 的労 働 時 間 を週39時 間 か ら35時 間 に 短 縮 す る(時 間短縮分で雇用を創出するのが狙 い)

3‑・公務 員 の削 減 を 中 止す る

4‑一 部 の製 品 に対 す る付 加 価 値税 を見 直 す

5一 フ ラ ンステ レコムな ど国営 企 業 の民 営 化 を見 直 す 6一 通 貨 統 合 に は予 定通 り参加 す る

7‑一 しか し,財 政赤 字 のGDP比3%以 下 とい う収 敷 基準 の緩和 を要 求 す る

8一 イ タ リア,ス ペ イ ンの通 貨 統 合第 一 陣 へ の参 加 を要 求 す る

ジ ョスパ ン政権 が推進 す る政策 につ いて,首 相 は,6月19日,国 民 議

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72商 経 論 叢 第34巻 第1号 X291)

会 で 初 め て の 施 政 方 針 演 説 を 行 い,基 本 的 に は公 約 を 確 認 し,民 営 化 に つ い て は 「国 際 競 争 力 の 強 化 の 観 点 か ら場 合 に よ っ て は民 営 化 を実 施 す る」 と の 柔 軟 路 線 を 打 ち 出 した 。 ま た,高 速 増 殖 炉 ス ー一パ ー フ ェ ニ ッ ク ス は 閉 鎖 す る,移 民 法 の 改 正 を 提 出 す る と も述 べ ,お しな べ て,公 務 員 削 減,国 営 企 業 の 民 営 化,社 会 福 祉 制 度 の 改 革 な ど前 の ジ ュ ペ 保 守 中 道 政 権 の 構 造 改 革 路 線 を 修 正 した もの とな っ て い る。 国 際 競 争 力 を っ け る に は 自 由 主 義 的 な構 造 改 革 は避 け て は通 れ な い が,構 造 改 革 は 短 期 的 に は 直 ち に雇 用 増 に っ な が らず,ジ ョス パ ン政 権 は 国 内 とEU枠 内 で の 雇 用 対 策 を 推 進 して い く こ と に な る。

ジ ョ スパ ン政 権 の 経 済 ・財 政 を 取 り仕 切 る二 本 の柱 で あ る,オ ブ リ雇 用 ・連 帯 相 は ど ち らか と い う と社 会 福 祉 重 視 の 社 会 民 主 主 義 的 な ヨ ー

ロ ッパ 路 線 に立 ち,ま た ス トロ ス=カ ー ン経 済 ・財 政 ・産 業 相 は

,柔 軟 な プ ラ グ マ テ ッ ク な路 線 に立 っ と い わ れ る。 ス トロ ス ユ カ ー ン蔵 相(以

下これ を使 用 す るがr経 済 ・財政 ・産業相 の こと)はf実 用 主 義 的 な 考 え の旗 し ょ くを 鮮 明 に した 見 解 を フ ィ ナ ン シ ヤ ル ・タ イ ム ズ(FinancialTimes , SundayJuly23,1997)と の イ ン タ ビ ュで 述 べ て い る の で 紹 介 した い。

「国 は 経 済,特 に財 政 問 題 で も は や 如 何 な る役 割 も果 た す べ き で な い と か,公 的 支 出 は レベ ル や 使 用 目 的 の如 何 を 問 わ ず に 常 に有 効 で あ る と い う何 れ の 見 解 に も政 府 は組 しな い。 政 府 に と って ,投 資 と成 長 の 面 で 消 費 指 導 型 の 景 気 回 復 を 奨 励 す る の が 義 務 で あ り,企 業 か ら労 働 者 へ 富 の 再 配 分 を 図 るの が こ の 方 途 の 一 っ と考 え る」 と語 った 。 ま た,「 法 定 最 低 賃 金 の 引 き上 げ と公 共 部 門 で の 雇 用 創 出 プ ロ グ ラ ム と相 侯 って,次 に 提 出 す る予 算 案 は,消 費 の 活 性 化 に役 立 っ と思 う。 支 出 を 減 ら して もそ れ を 無 駄 に使 うな ら,公 的 支 出 を 増 や し,赤 字 と な る方 が ま しで あ る」

と述 べ た。 更 に,単 一 通 貨 「ユ ー ロ」 参 加 へ の最 大 の 関 門 で あ る財 政 赤 字 のGDP比3パ ー セ ン ト以 内 達 成 の 点 に っ い て,前 の 政 権 か ら3 .5 パ ー セ ン トの 財 政 赤 字 を 引 き継 い で い る と した上 で,97年 度 の3パ ー セ ン ト達 成 は実 現 で き な い か も しれ な い が,98年 度 に は達 成 で き る と い う

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0290) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一 一73

見 通 しを述 べ,解 釈 に柔軟 性 を持 た せ て い るの が特徴 とな って い る。

II‑1一 失 業 者 対 策(雇 用対 策)

フ ラ ンス で は1960年 代 以 降 に 就 労 可 能 人 口 が 第 二 次 ベ ビ ー ブ ー ム を 反 映 して,年 に20万 人 の 割 合 で 若 年 労 働 者 層 が 労 働 市 場 に参 入 した。同 時 に フ ラ ン ス で は女 性 の 職 場 進 出 が 活 発 で,ま た,植 民 地 独 立 に続 い て 移 民 労 働 者 の 参 入 も労 働 事 情 の も う一 つ の特 徴 と な って い る。 公 務 員 の 数 が 多 い の も特 徴 の 一 つ で あ る。 例 え ば,公 的 部 門 の就 労 者 は 広 義 に は 全 体 の3分 の1に 近 い。女 性 に っ い て は,1968年 に は就 労 可 能 人 口 の35 パ ー セ ン トだ っ た の が1996年 に は45パ ー一セ ン トを 占 め る に至 っ た(図 一U‑1‑1を 参 照)。 就 労 可 能 人 口 は,1996年3月 で2559万 人 で,男 性 が1407万 人 に対 して,女 性 は1152万 人 で あ る。 失 業 率 は,1996年3月

に12.1パ ー セ ン トで あ った が,1997年6月 に は12.6パ ー セ ン トと戦 後 の最 悪 を 記 録 し,失 業 者 は313万900人 と な っ た。 フ ラ ン スで は1980年 代 か ら失 業 率 が 上 昇 し,フ ァ ビ ュ ー ス政 権 時 代 の1986年 に10パ ー セ ン

トを 超 え,1988年 の シ ラ ク政 権 時 に10パ ー セ ン ト,そ れ か ら一 旦 減 る 図II‑1‑1性 別,年 令 別 の 就 業 率

(1954年5月 時 と1996年3月 時 の 比 較) 100%

80

60

40

zo

o評

♂ 評0.33ぜ ♂ 評50詑 試 ㊥建 べ ♂

出 所:emploi,INSEE(国 立 統 計 経 済 研 究 所1997‑1998)

(10)

74商 経 論 叢 第34巻 第1号

㎝ ー 一 1 閏 ー 図 心 .書 睾 ① お 墓 置 ︒ ω 2 ︒︒ ︒ 宕 ︒ 芝 3 ・ 瞳 ヨ

0289)

が1992年 か ら ま た10パ ー セ ン ト台 と な り ジ ュ ペ 政 権 の1997年 に は12パ ー セ ン

ト台 へ と跳 ね 上 が っ た(図 一II1‑2を 参照)

。 フ ラ ン ス で 失 業 者(cho‑

meur)と はr雇 用 に関 す る 定 期 的 な ア ン ケ ー トの 実 施 に よ っ て(1職 の な い者,② 就 労 可 能 な 状 態 の者,③ 報 酬 の あ る職 を求 職 中 の 者,

・(4)報酬 の あ る職 を 積 極 的 に 探 して い る者 の4つ の 条 件 を 満 た して い る者 を 指 して

(z)

い る。 フ ラ ン ス国 立 統 計 経 済 研 究 所 に よ る と,1997年 3月 時 点 の 失 業 率 は12.3 パ ー セ ン トで ,前 年3月 時 の12.1パ ー セ ン ト か ら 02パ ー セ ン ト上 回 り,こ

の 一 年 間 で 新 た に5万 3000人 が 失 業 した。 こ れ を 男 女 と も年 令 別 に み る と, 失 業 者 は 男 性 全 体 で 就 労 可 能 な15歳 か ら24歳 ま で が 全 体 の24.6パ ー セ ン トで 四 人 に 一 人 が 職 が な い状 態 で,ま た 女 性 は32.8

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0288) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ スパ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一 一75

パ ー セ ン トと ほ ぼ 三 人 に一 人 が 失 業 して お り,男 女 と も に若 年 層 に しわ よ せ が 重 くの しか か っ て い る こ とが 分 か る(表 一II‑1‑1を 参 照)。 フ ラ ンス は ま た,職 務 資 格 が 厳 格 で,技 術,技 能 の 資 格 が 低 い 者 に失 業 の 比 重 が か か って い る こ とが 次 の表 か ら うか が え る(表m‑1‑2を 参照)。

こ の 他,フ ラ ン ス在 住 外 国 人 の 失 業 率 は1990年 に フ ラ ン ス 人 が10.4 表II‑1‑1性 別,年 令 別 による失業 率(%)

3月 時点 1985 1995 lsgs 1997

男 性 25才 以 下

25‑49才 50才 以 上

計 女 性 25才 以 下

25‑49才 50才 以 上

24.5 6.2 5.9 8.5

30.5 9.7 7.1 12.6

21.0 8.9 7.3 9.8

32.2 12.9 8.2

×3.9

22.1 9.6 7.8 10.4

31.9 13.6 8.4 14.2

24.6 9.9 8.O lO.8

32.8 13.4 9.2 14.2

体10.211.612.1

出 所:TableauxdeL'EconomieFrangaise,INSEE,1997‑1998

一II‑1‑2(%)

12.3

年月

資格 1990年1月 1995年3月 1996年3月 1997年3月

免状 な し 13.0 1fi.5 17.2 17.5

第…段 階初等 免状 (BEPC) 職 業 教 育 免 状

(BEP) 職 業 適 性 証

{CAP)

8.4 XO.7 11.4 11.5

s.5 10.1 10.4 11.4

バ カ ロ レ ア 十2

(短 期 コ ー ス) 3.7 7.4 7.5 8.2

大 学 教 育 修 了 証 3.5 s.9 7.4 7.3

全体 9.2 11.6 12.1 12.3

出 所:TableauxdeL'EconomieFrangaise,INSEE,1997‑1998

(12)

76商 経 論 叢 第34巻 第1号 0287)

パ ー セ ン ト だ っ た の に 対 し て 外 国 人 は19 .5パ ー セ ン ト,元 フ ラ ン ス 領 土 の マ グ レ ブ 系 移 民 特 に ア ル ジ ェ リ ア 人 は27.5パ ー セ ン ト だ っ 喫 。

こ う した フ ラ ンスの失 業 問題 を考 え る とそ の要 因 は,

1一 第二 次 ベ ビー ブー ム期 に誕 生 した若 年 者 層 が就 労 可能 な年 令 に達 した

2一 賃 金 体系 は能 力給 が基 本 で 年令 的 な格 差 は大 き くはな い。 この た め,資 格 保 持 者 とか,熟 練 労 働 者 が 雇用 上 有 利 とな る

3一 労 働 者 はい ったん採 用 され る と,労 働 組 合 の影響 力 で,解 雇 され に く くな り,新 規 の若 年労 働 者 の新 規 採 用 は少 な くな る

4一 能 力給 は ヨー ロ ッパ に共通 した シス テ ムで あ る

5一 若年 労 働 者 は近 年 は転職 希 望 が強 く,自 発 的 に離 職 す る傾 向が あ (4)

6‑一女性 労働 者 に っ いて は,家 事 か らの解 放 や 託児 所 な どの普 及 で, 結 婚,出 産 が求 職 の障害 とな らな くな る

7一 外 国 人 につ い て は,戦 後 一 時 期 は不 足 す る労 働 者 を補 充 す る役割 を担 った が,景 気 が低 迷 期 に は い る と,職 務 資格 の低 さ と差別 か ら失 業率 が高 くな り,特 に マ グ レブ系 移民 の失 業率 は高 くな った こ う した労 働 事 情 にあ る フ ラ ンスで は,構 造 的 な失 業 問題 に加 え,企 業 の効 率 化,吸 収 合併,海 外 移転 とい った企業 の体 質 強化 を 目指 す産 業 の再 編 成 で,国 内 で の労 働 者 の増 加 分 を吸 収 で きなか った面 もあ る。 そ して,1997年 の総 選 挙 で,深 刻 な失 業 問題 が フ ラ ンスが直 面 す る大 きな 社会 問 題 と して顕 在 化 した。

ジ ョスパ ン政権 は こ う した中 で,オ ブ リ雇 用 ・連 帯 相 が 失 業 中 の若年 労 働 者 向 け に35万 人 の公 的部 門 で の雇 用 創 出 の 法 案 をバ カ ンス最 巾 の 8月20日 に ま とめ た。 ま た,同 時 に賃金 水 準 を引 き下 げ な いで,法 定労 働 時 間 を現 行 の週39時 間 か ら35時 間 に短 縮 す る雇 用 対 策 案 を ま とめ, 1997年10月1日 に首 相 府 で 労 使 の代表 を招 いて話 し合 う雇 用 会 議 を開 催 した。

(13)

(286) フ ラ ン ス1997年 一 一 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一77

H‑2通 貨 統 合 とEU労 働 市 場 情 勢

ジ ュ ペ 政 権 時 の1997年 に 失 業 率 が12パ ー セ ン トを 超 え る 中 で,特 に,15‑24才 ま で の 若 年 者 層 の 失 業 は深 刻 で,ジ ュ ペ 首 相 は学 生,企 業 の 代 表 を 首 相 府 に招 い て 「若 年 雇 用 会 議 」を 開 催 し,1997‑98年 の2年 間 で 凡 そ40万 人 就 労 の機 会 を 若 者 に与 え て 欲 し い と企 業 に 要 請 し た こ とが あ る。 しか し,ジ ュ ペ政 権 は,産 業 の近 代 化 を 目指 して,規 制 緩 和,民 営 化,福 祉 保 障 制 度 の 見 直 し,公 務 員 の 削 減 と い う構 造 改 革 路 線 を 推 進

して い る最 中 の こ とで あ り,一 方 で 企 業 は1999年 か ら ス タ ー トす る史 上 初 め て の 通 貨 統 合 を前 に企 業 の生 き残 りを 賭 け て,競 争 力 強 化 の 大 幅 な 合 理 化 を 進 め て い た 時 期 に あ っ た。 こ う した 状 況 下 で は短 期 的 に は失 業 者 を大 量 に 吸 収 で き る労 働 環 境 は な か った と い え る。

す で に,1980年 代 に,1992年 末 か ら始 ま る市 場 統 合 を 前 に,EU域 内 で の 競 争,ま た ア メ リカ,日 本 企 業 と の 競 争 と い う経 済 の グ ロ ー バ ル化 を 視 野 に入 れ た 競 争 を 迫 られ,企 業 の 吸 収 ・合 併,提 携 と い う産 業 の再 編 成 の 波 が 押 し寄 せ た 。1988年1月,イ タ リア有 数 の 実 業 家,オ リベ ッ

テ ィの カ ル ロ ・デ ・ベ ネ デ ィ ッテ イ 会 長 が,ベ ル ギ ー の 有 力 企 業 グ ル ー プ,ソ シ エ テ ・ジ ェ ネ ラ ル ・ ド ・ベ ル ジ ッ ク の乗 取 劇 が 嗜 矢 と な っ た ヨ ー ロ ッパ の 産 業 再 編 成 が 展 開 さ れ た。 しか し,こ う した 民 営 化,企 業 合 併 と い った 競 争 力 の 強 化 を 目指 す 企 業 の 展 開 は,一 面 的 に は,潜 在 的

な失 業 者 を増 大 させ る結 果 と もな る。

フ ラ ン スで は,例 え ば,車 の 企 業 合 併,提 携 を み る とsプ ジ ョー が シ トロ ー エ ンを 傘 下 に 収 め,ル ノ ー と ス ウ ェ ー デ ンの ボ ル ボが 提 携 して お り,自 動 車 産 業 の 再 編 は急 ピ ッチ で 進 ん で 来 て い る。 ル ノ ー は,市 場 統 合 の 後,通 貨 統 合 を 睨 ん で,域 内 生 産 拠 点 の 再 配 置 に 乗 り出 し,ベ ル

ギ ー 中 部 の ビ ル ボ ル ド(vilvoorde)工 場 の 移 転 計 画 を 発 表 し た 。 ル ノ ー の ビル ボ ル ド工 場 閉 鎖 は,失 業 が 深 刻 化 す る ヨ ー ロ ッパ で は 大 きな 関 心 を 呼 ん だ 。 フ ラ ン ス総 選 挙 前 の97年3月,工 場 の 閉 鎖 反 対 を掲 げ て ブ

リ ュ ッセ ル で 行 な わ れ た デ モ に は ジ ョス パ ン 自身 が 参 加 した こ と もあ っ

(14)

78商 経 論 叢 第34巻 第1号 0285)

て,ジ ョス パ ン政 権 に撤 回 の 努 力 を 期 待 す る声 も 出 た と伝 え られ た 。 結 局,ビ ル ボ ル ド組 立 工 場 は,ス ペ イ ンに 移 転 す る こ とが 決 ま っ た が, こ れ は1999年1月 か ら ス タ ー トす る単 一 通 貨 に ス ペ イ ンの 参 加 が 見 込 ま れ,為 替 相 場 の 変 動 が な い 上 に,生 産 コ ス トや 現 地 の 購 買 力 を 勘 案 し て ス ペ イ ン に 白 羽 の 矢 を 立 て た と み られ る。 こ の こ と は,ト ヨ タ が,

ヨー ロ ッパ の 第 二 の 工 場 を フ ラ ン ス に建 設 す る計 画 を 明 らか に した こ と も通 貨 統 合 の 始 動 を 視 野 に入 れ た もの と い う こ と が で き よ う。 トヨ タ の 奥 田 社 長 は1997年 の年 も押 し迫 っ た12月9日,パ リで,イ ギ リス に 次 い で,ヨ ー ロ ッパ 第 二 の 工 場 を フ ラ ンス 北 部 の リ ー一ル市 に 近 い バ ラ ン

シ ェ ン ヌ近 郊 に 建 設 す る と発 表 した。2001年 か ら小 型 車 生 産 を 開 始 す る 予 定 と い う こ とで あ る が,日 本 の 自動 車 メ ー カ ー の フ ラ ン ス へ の 進 出 は トヨ タが初 め て と な る。 通 貨 統 合 の 発 足 を 視 野 に入 れi予 想 さ れ る一 層 の 市 場 統 合 の 流 れ に遅 れ ま い と す る 先 行 投 資 と み る こ と が で き よ う。

1992年 末 に 発 足 した 市場 統 合 前 後 の 企 業 の 再 編 成 に続 い て,通 貨 統 合 に 合 わ せ て,企 業 の 新 た な 再 編 成 に発 展 し,同 時 にEU域 内 で の 労 働 市 場 に も広 域 化,再 編 成 の波 が 押 し寄 せ る もの と考 え られ る。

H‑335万 人 の 雇 用 創 出 計 画

フ ラ ン ス政 府 は1997年8月20日,公 的 部 門 で35万 人 の 雇 用 創 出 案 を 閣 議 決 定 した。 こ の 内 の15万 人 に っ い て は 法 案 成 立 時 か ら1998年 末 にか け て 創 出 す る計 画 とな って い る。 今 回 の 雇 用 は,5年 間 の 個 人 契 約 と し,賃 金 は 法 定 最 低 賃 金(現 行 で月額手 取 り5240フ ラ ンー].0万4,800円[1 フ ラ ンー20円 と してDを ベ ー ス と し,こ の 最 低 賃 金 一 全 産 業 一 律 ス ライ

ド制 最 低 賃 金(SMIC)一 の80パ ー セ ン トは政 府 が 財 政 支 出 す る。 残 額 の 部 分 は,公 営 企 業r地 方 自 治 体,低 家 賃 住 宅 公 社 な ど の 雇 用 主 が 負 担 す る こ と と し,政 府 は この た め3年 間 に わ た り350億 フ ラ ンを 見 込 ん

(5)

で い る。 この 公的,準 公 的 部 門 で の雇 用計 画 は,選 挙 公 約 に対 す る初 め て の回 答 と いえ る もの で,具 体 的 な職務 は国 家 の意 志 遂 行 とい う任 務 に

(15)

0284) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一79

は直 接 か か わ らな い,教 育,住 宅,福 祉,文 化,交 通 とい った分 野 で, 対 象 者 は15‑25才 と失 業 手 当 て の受給 資格 取 得 に必 要 な期 間働 いた こと

のな い30才 以 下 とな って い る。 法 案 は9月 の特 別 国 会 に提 出 され可 決 成 立 した。

保 守 中道 の シ ラ ク大 統 領 は,8月20日 の閣 議 で声 明 を発 表 し,「 私 個 人 と して は この法 案 の精 神 しか支 持 で きな い。 公 的部 門 で の雇 用 はす で に過 去 最 高 とな って い る」 と し,失 業 者 を減 らす に は民 間部 門 で の雇 用 が有 効 で あ る と い う見解 を述 べ て い る。 フ ラ ンスで は,公 務 員,公 共 企 業体 な どの職 員 の比 重 が高 く,広 義 の公 的 部 門 の雇 用者 数 は,全 雇用 者

(6)

数 の約3分 の1に 達 す る。 解 散前 の保 守 中道 政 権 は,財 政構 造 改 革路 線 に立 ち,国 営企 業 の民営 化,公 務 員 数 の削 減 な どに よ って,経 済 構造 の 改 善 を 目指 したが,大 統 領 の発 言 の裏 に は こ う した背 景 が あ る。 通 貨 統 合 後 は 国 内市 場 とEUの 域 内市 場 は一 層 近 くな り,公 に は92年 末 か らの広域 市 場 に な って い るわ けで,労 働 市場 の 弾力 化,ま た近 代 化 も課 題 に な って きて い る。 この点 につ いて は,情 報i技 術 革命 時代 に相 応 し

い,職 業 訓 練,教 育 に よ って洗練 され た労働 力 の供給 が求 め られて お り, また,ボ ーイ ング ・マ グ ドネル ・ダ グ ラスの大 型合 併 に対 抗 して の エ ア バ ス ・イ ンダス トリーの株式 会 社 化 で は,賃 金,労 働 時 間 な ど につ いて 労 働 の標準 化 に も発 展 して い くの で はな か ろ うか。

皿一4労 働 時間短 縮 に よ る雇 用 創 出計 画

雇 用 創 出 の第 二 の 計 画 は,今 の賃 金 の ま ま法 定 労 働 時 間 を現 行 の39 時 間 か ら35時 間 に短 縮 し,4時 間 の労 働 時 間 で も って新 しい雇 用 を創 る

とい う狙 いが 込 め られ て お り,選 挙 公 約 実 施 の二 番 手 とな る もの で あ る。

ジ ョスパ ン首 相 は,労 働 時 間 の短 縮 にっ い て は,1995年 の大 統 領 選 挙,1997年 の 国民議 会議 員選 挙 の際 に選 挙 公 約 に掲 げ,失 業者 を減 らす に は欠 か せ な い施 策 で あ る と して きた。1997年10月10日,ジ ョスパ ン

(16)

80商 経 論 叢 第34巻 第1号 (283)

首 相 は,首 相 府(H6telMatignon)に フ ラ ン ス の経 営 者 団 体 の 経 営 者 全 国 評 議 会(CNDF)と 労 働 側 か ら労 働 総 同盟(CGT一 共 産党 系),民 主 労 働 総 同 盟(CFDT一 社 会党系),労 働 者 の 力(CGT‑FO)な ど の主 要 な 労 働 組 合 の 各 代 表 を 招 き,雇 用 会 議 を 開 い た 。 この 席 に は,オ ブ リ雇 用 ・ 連 帯 相,ス トロ ス=カ ー ン蔵 相 らが政 府 側 か ら出 席 し,ジ ョス パ ン首 相 が この 労 働 時 間 短 縮 案 を 説 明 し,協 力 を求 め た。97年10月13日 付 け の ル ・モ ン ドに よ る と,雇 用 ・賃 金 ・労 働 時 問 に 関 す る国 民 会 議 と呼 ば れ る この 雇 用 会 議 で,首 相 は次 の よ う に説 明 した 。

従 業 員10人 以 上 の企 業 は,2000年1月1日 か ら実 施 し,従 業 員 が そ れ 以 下 の 企 業 は2002年 か ら実 施 す る こ と と し,こ の 法 案 を1998年 初 め に 提 出 す る(国 民議 会 に提 出 され た法案 で は10人 以 上 の企 業 が20人 以上 の企 業へ変 更 して い る)。 こ の 案 で はa(1贋 金 の 引 き下 げ は しな い,(2))賃 金 引 き 上 げ は節 度 あ る も の と す る,(3)選 挙 公 約 に掲 げ た法 定 最 低 賃 金 の 引 き 上 げ は9S年 以 降 に持 ち 越 す と な っ て い る。 こ の 他,(4)1998年 度 に労 働 時 間 を10パ ー セ ン ト短 縮 し,現 在 よ り雇 用 人 員 を6パ ー セ ン ト以 上 増 や し た 企 業 に 対 して は,従 業 員 一 人 当 た り年 に9000フ ラ ン助 成 す る方 針 を 明 らか に した 。

ジ ョ スパ ン首 相 は,雇 用 会 議 後 の 記 者 会 見 で 「フ ラ ンス の 親 密 な 隣 人 は,成 長,雇 用,社 会 的 結 合 に 関 して,際 立 っ た業 績 を 挙 げ た 国 も あ る が,フ ラ ンス はそれ に見 習 う必要 はな い」 と述 べ た。 この発 言 は,最 低(7)

賃 金 を法制 化 せずs社 会 福 祉 の削 減 を含 む英 米 の雇 用 創 出方 式 は フ ラ ン スの社 会質 にそ ぐわ な い と して い る。 ま た,首 相 は,増 大 す る失 業 は単 に経 済 だ けの問 題 で はな く,「連帯 と責 任 」感 の啓 発 に あ る と も述 べ て い るが,こ れ は労 使双 方,い や む しろ フ ラ ンス社 会 に対 して,問 題 解決 の 基 本 的 な理 念 を訴 え た といえ よ う。

これ に関 す る基本 的枠 組 み を決 あ た法案 は,1998年 初 め に議 会 に上 程 され,2月10日 に国 民議 会 を通 過 し,成 立 に 向 けて大 き く前 進 したが, 施 行 の細 目 を取 り決 め る法 案 は,1999年 に上 程 の運 び とな る。 来 年 の

(17)

(282) フ ラ ン ス1997年 ジ ョス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 81

1999年 に は,改 めて政 府 と経 営 者評 議 会 の代表 が会 談 し,景 気 と企 業 の 状 況 を検 討 し,労 働 時 間 の短縮 に関 す る交 渉 の進展 の度 合 いを踏 まえ て 第 二 の実 施 の細 目を取 り決 めた法 案 を提 出 す る予 定 とな る。 そ の基本 的

な枠組 は,

1一 法 定35時 間 を越 え る 「追加 的労 働 時 間」 の使 用 の取 り決 め 2一 労 働 時 間法 の修正 と変更

3一 管 理 職 と零 細 企業 に対 す る35時 間 の適 用

4一 構 造 的助 成(経 営者負担分の引 き下 げ)の1998‑1999年 の設定 な どの細 目に関 す る もの とな る。

H‑5経 営 者 全 国 評 議 会 が 激 し く反 発

こ の案 に つ い て は,経 営 者 団 体 の 考 え 方 は,企 業 の 競 争 力 が 弱 ま る, 逆 に 景 気 回 復 の 足 を 引 っ張 る こ と に な る と して,フ ラ ン ス経 営 者 全 国 評 議 会(ConseilNationalduPatronatFranGais)の ジ ャ ン ・ガ ン ドワ(Jean Gandois)会 長 が10月10日 の 雇 用 会 議 か ら3日 後 に 辞 任 した 。 ガ ン ドワ 会 長 の 辞 任 の 理 由 は,ル ・モ ン ドに よ る と,a一 ヨー ロ ッパ 建 設 と い う重 要 な 時 期 に,フ ラ ン ス企 業 の 競 争 力 を っ け る,b一 失 業 と排 除 を減 らす た め に貢 献 す る,砒 よ り積 極 的 で よ り近 代 的 な対 話 の 道 を 開 け て お く と い う3つ 目標 を 掲 げ て 努 力 して き た が,政 府 の決 定 は こ の シナ リオ を す っ か り変 え て し ま っ た と反 発 して い る。 こ れ に対 して,労 働 界 は この 案 を 概 ね 好 意 的 に受 け入 れ て い る。

労 働 時 間 の 短 縮 に よ る雇 用 創 出 計 画 を ど う み る か 。 最 も厳 しい一 っ の 見 方 と して,10月13日 付 け の 英 紙,フ ィナ ン シ ャ ル ・タ イ ム ズ が あ る。

これ は,35時 間 の 労 働 時 間 の 実 施 は1999年 提 出 の 細 目取 り決 め の 第 二 の 法 案 待 ち で あ る こ と,法 定 労 働 時 間 を 減 らせ て も,現 行 の 追 加 労 働 時 間(許 容 され た時間外 労働)の 使 用 が 罰 則 な しに認 め られ る可 能 性 が あ る こ と,追 加 的 労 働 時 間 に対 す る手 当 て は,週 単 位 で な く年 間 の 就 労 時 間 を 基 準 に した 計 算 に な る余 地 が 残 さ れ て い る こ と,そ の 他,就 労 者 に は

(18)

82商 経 論 叢 第34巻 第1号 (2$1) 一 般 の 従 業 員 よ り労 働 時 間 の 長 い 管 理 職 や

,経 営 陣 も い る こ と な ど か ら,実 際 の 効 果 は期 待 で き な い の で は な い か と い う見 方 を 伝 え て い る。

この 労 働 時 間 短 縮 プ ロ グ ラ ム が 有 効 に 機 能 した 場 合 に は50万 人 か ら 100万 人 の雇 用 を 創 出 で き る と い う試 算 も あ る よ うで あ る が,ジ ョスパ

ン政 権 が 真 っ正 面 か ら取 り組 ん で い る 失 業 者 救 済 の 雇 用 対 策 は,ヨ ー ロ ッパ に 共 通 した 構 造 的 な 失 業 問 題 の 対 応 策 で あ る だ け に(表 一II‑S lを 参照),EUで は 大 き な 関 心 を 持 って 推 移 を 見 守 って き て い る。 ジ ョ

ス パ ン政 権 は そ れ だ け に,雇 用 対 策 は フ ラ ン ス 国 内 だ け で は な くEU全 体 が 抱 え る課 題 で あ る と して,域 内 に連 動 す る もの と してEUの 枠 組 み

に っ な げ る経 済 外 交 を 展 開 して い く。 そ して,こ の こ と は,財 政 出 動 を 一 部 伴 うた め,現 在 のEU最 大 の課 題 で あ る欧 州 通 貨 統 合 が 実 現 で き る

表 一II‑5‑1

19941995199519971998

(予測)(予 測)

1964‑1974‑1986‑1991一 1993 1973 1985 19901995

ベ ル ギ 2.0 7.7 8.78.5 8.9

0.9 6.4 i+i・ 10.1

0.7 4.2 5.97.3 7.9

4.2 3.8 ss83 8.6

2.8 11.3 18,920.9 22.8 2.2 6.4 9,711.1 11.7 ア イ ル ラ ン ド 5.7 10.6 15,514.5 15.6 5.2 7.a 9,610.3 10.3 ル ク セ ン ブ ル ク o.o 1.7 2.12.5 2.7

Y.3 7.1 7.46.4 6.6

ト リ ア 1.7 2.5 3.43.7 4.0 ボ ル ト ガ ル 2.5 6.9 6,15.6 5.7

ン ラ 2.3 5.1 4,514.0 16.9

ェ ー デ 2.0 2.5 2.17.5 9.5

イ ギ リ 2.0 6.9 9.09.5 10.4

E U 2.4 s.4 8.9io.o 10.7

カ 4.fi 7.5 5.9fi.fi fi.9

日 本 1.2 2.2 2.5z.s 2.5

024913342180486

0888424137377994

1 1 1

0σOJ

U

9.99.89.7 7.26.9fi.0 8.28,910.0 9.29.69.5 22.922.121.0

11.712.412.5 12.311.810.8 11.912.012.1 2.93.33.6 6.96.35.5 3.94.44.4 7.3z.3s.s 16.315.413.8

9.210.010.4 8.78.26.4

10.s10.9×0.7

5.65.45.0 3.13.43.3

848383598827698

859992913446295

1111111 301 1

400

出 所:欧 州 委 員 会,1997年 秋 の 経 済 予 測

注 一 ドイ ツ に っ い て は,1990年 ま で は 西 ドイ ッ の デ ー タ。

(19)

(28Q) フ ラ ン ス1997年 一 一 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一 年 一一83

か ど うか の鍵 を 握 る財 政 赤 字 の 削 減 問 題 と も絡 ん で い る こ とか ら,「 雇 用 」 と 「通 貨 統 合 」 は 同 じ土 俵 の 上 で 新 た な 展 開 を み せ る こ と に な る。

特 に ジ ョスパ ン政 権 の誕 生 に最 大 限 の 関 心 と懸 念 を 持 って 見 守 って き た の は ドイ ッ の コ ー ル 政 権 で あ ろ う。 フ ラ ン ス と ドイ ッ は戦 後,ヨ ー ロ ッパ の 復 活 は独 仏 和 解 に よ る統 合 以 外 に な い と して,1957年 の ロ ー マ 条 約 調 印 後,ヨ ー ロ ッパ の統 合 を 主 導 す る役 割 を 担 って き た。1995年 の マ ド リー ドで のEU首 脳 会 議 が1999年1月1日 か ら単 一 通 貨 「ユ ー ロ」

の ス タ ー トで 合 意 した後 で 、 ま た,1997年 は,参 加 条 件 で あ る財 政 赤 字 のGDP比3パ ー一セ ン ト以 下,政 府 債 務 のGDP比 の60パ ー セ ン ト以 下 の 達 成 な ど と い う収 敏 基 準(convergencecriteria)を 満 た せ るか ど うか

の瀬 戸 際 の 時 期 で あ た だ け に,ジ ョス パ ン政 権 の 発 足 に よ って ドイ ツ は 緊 張 して い た の で あ る。

皿 独仏 基軸 の き しみ と再始 動

そ の 最 初 の難 問 は,単 一 通 貨 「ユ ー ロ」 の安 定 を 確 実 にす るた め,参 加 国 の財 政 を 規 律 す る 「安 定 協 定 」 に 向 け られ た。 フ ラ ン ス の社 会 党 は 選 挙 中 に,単 一 通 貨 参 加 基 準(収 敏基準)の 緩 和 を求 め る意 向 を 示 して い

た た め,フ ラ ン ス の 新 た な 反 応 が 注 目 され て い た 。発 足 直 後 の6月9日, ル ク セ ン ブ ル ク で 開 か れ たEU蔵 相 会 議 で,フ ラ ン ス の ス トロ ス ニ カ ー

ン蔵 相 が,「 安 定 協 定 を 再 考 す る猶 予 期 間 が 必 要 で あ る」 とい う見 解 を 表 明 した 。ユm(euro)を 安 定 させ る た め に は財 政 規 律 は絶 対 に欠 か せ な い と して 条 件 を 固 守 す る ドイ ッ と異 な る発 言 で あ る。 ま たzス トロ ス=

カ ー ン蔵 相 は,単 一 通 貨 発 足 後 に設 立 さ れ る欧 州 中 央 銀 行 と は別 に,参 加 国 で 構 成 す る 「経 済 政 府 」 の 新 設 を 提 唱 した 。 フ ラ ンス の 蔵 相 の真 意

は,a一 ダ ブ リ ン で1996年12月 に 合 意 して い る 財 政 の 安 定 協 定 を 蒸 し返 す こ と は な い が,b一 加 盟 国 が加 盟 後 に 財 政 赤 字 がGDPの3パ ー セ ン ト を 超 え た場 合 に 罰金 を 課 す か ど うか の 条 項 を 採 択 す る 前 に,成 長 と雇 用 の 問 題 も考 慮 す る必 要 が あ る と い う もの で あ っ た 。

(20)

84商 経 論 叢 第34巻 第1号 0279)

皿一1ア ム ス テ ル ダ ム 首 脳 会 議

これ に対 して,ド イ ッ の ワ イ ゲ ル 蔵 相(TeoWaiger)は ,ダ ブ リ ン交 渉 で 決 ま った こ と は 問 題 に す る こ と は で き な い,ま た 成 長 と雇 用 の 問 題 に つ い て は フ ラ ン ス の 要 求 に対 して 慎 重 な態 度 を 取 っ た が

,ド イ ツ で は疑 念 を もって受 け止 め られ た と伝 え られ喫.そ れ だ1ナに6服17の 両 日sア ム ス テ ル ダ ム で 開 くEU首 脳 会 議 の 推 移 に 大 き な 関 心 が 集 ま っ た 。 この ア ム ス テ ル ダ ム首 脳 会 議 は,マ ー ス ト リ ヒ ト条 約(欧 州連 合 条約) を 見 直 す た め1996年3月 か ら続 け て き た 政 府 間 協 議 を締 め く く る 日程 と な って い るだ け に 重 要 な 会 議 で あ っ た。 本 稿 は,フ ラ ン スか ら見 た 世 界 に重 点 を 置 い て い る の で,単 一 通 貨 に か か わ る財 政 安 定 協 定 と そ れ に 関 連 した テ ー マ に 限 定 す る。

ア ム ス テ ル ダ ム首 脳 会 議 に は フ ラ ン ス側 か ら シ ラ ク大 統 領,ジ ョスパ ン 首相,ド イ ッか ら コ ー ル首 相(HelmutKohl)が 参 加 し,結 論 的 に は妥 協 が 成 立 し,独 仏 関 係 の 修 復 が 成 り,独 仏 基 軸 は新 た な 軌 道 に乗 っ た。

ドイ ッ が 強 く主 張 した,財 政 安 定 協 定 は修 正 な く採 択 され ,ま た フ ラ ン ス が 提 案 した 成 長 と雇 用 に っ い て は決 議 案 が 採 択 さ れ た の で あ る。5月 に 就 任 して 以 来 「ニ ュ ー ブ レア 」 の 新 風 を巻 き お こ した イ ギ リス の ブ レ ア首 相 が独 仏 の仲 介 に動 いた と もいわれ留.こ の媒̲時 危惧 され た ヨ ー ロ を め ぐ る独 仏 の 危 機 は今 回 の ア ム ス テ ル ダ ム の 妥 協 で 一 応 の 決 着 を み,フ ラ ン ス は 時 の 推 移 と と も に現 実 路 線 を と っ て い く。

安 定 協 定 に は,目 的,制 裁 規 定,制 裁 の 例 外 規 定 が 盛 り込 ま れ て い る が(注 一 制裁 規定 の中 に,「 あ る参加 国 の財 政赤字 が国 内総生 産 の3パ ー セ ン ト を超 え た場 合,国 内 総生 産 比 の0.5パ ー セ ン トを 上限 に欧州 連 合 が制 裁 金 を課 しt無 利子 で積 み立 て る。2年 以 内 に財政 赤字 が減 少 しない場 合 に は,制 裁金 は没 収 さ れ,欧 州 連 合 財 源 の 一 部 と して参 加 国 の た め に使 用 す る」),こ の 安 定 協 定

は大 き な意 味 が あ る。 単一通 貨(マ ース トリヒ ト条約 に基 づ く経済 通貨 同盟 の第三 段階 へ の移行)の 参 加 条 件 は,a一 イ ン フ レ率 ,b一 長 期 金 利,C一 財 政 赤 字,d一 政 府 債 務 残 高,e一 為 替 レー トの収 敏 基 準 を 満 た して い る か ど う

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(278) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一一年 一85

か で 決 ま るが,こ の う ち財 政 赤 字 のGDP比3パ ー セ ン ト以 内 は ユ ー ロ の 安 定 の 持 続 に は欠 か せ な い 財 政 上 の 条 件 で あ る。

こ の参 加 の条 件 を 満 た して い るか ど うか の判 定 に つ い て は,マ ー ス ト リ ヒ ト条 約109J条 項 に基 づ い て,ブ リュ ッセ ル の欧 州 委 員 会 と フ ラ ン ク フ ル トの 欧 州 通 貨 機i関(EMDが1998年3月 に 資 格 に 関 す る報 告 書 を 発 表 し,参 加 国 に 関 す る勧 告 の準 備 作 業 に入 る。次 いで,1998年5月 の 第 一 週 に ブ リュ ッセ ル で 欧 州 連 合 議 長 の イ ギ リス の ブ レア首 相 の 司 会 の 下 にEU首 脳 会 議 を 開 きs蔵 相 理 事 会 の 勧 告 に基 づ い て,予 定 通 り 1999年1月1日 か ら通 貨 統 合 を 開 始 す る か ど うか,開 始 す る場 合 に は ど の 国 が 参 加 す るか を 決 定 す る。参 加 資 格 の判 定 の基 準 は,1997年 の 収 敏 基 準 と1998年 の 収 敏 の 予 測 値 。 欧 州 委 員 会 が1997年10月14日 に 発 表 した1997年 秋 の 経 済 予 測 で は,財 政 赤 字 に っ い て は3パ ー セ ン トを 上 回 る国 は,4.2パ ー セ ン トの ギ リシ ャ,3」 パ ー セ ン トの フ ラ ン ス と な っ て い る。 しか し,欧 州 委 員 会 は,フ ラ ンス は98年 に は3.0パ ー セ ン トを 達 成 す る 見 通 しで,ま た 現 在 の 財 政 緊 縮 策 次 第 で は,97年 度 中 の3.0

パ ー セ ン ト達 成 も可 能 と して,参 加 基 準 に達 しな い ギ リ シ ャ,不 参 加 の 移 行 を 表 明 して い る デ ンマ ー ク,ス ウ ェ ー デ ン,そ れ に イ ギ リス を 除 い た11ヵ 国 が 第 一 陣 に 参 加 す る見 通 しで あ る こ と を 明 らか に した(表 一 皿 一1) 。イ ギ リス で は,1997年5月 の総 選 挙 で労 働 党 が 圧 勝 し,18年 振 り に政 権 を 掌 握 し,通 貨 統 合 に つ い て は 意 欲 的 で あ る が,現 段 階(1998年3 月)で は1999年1月 ス タ ー トに は 間 に 合 わ な い と す る 見 方 が 大 勢 で あ った 。ま た,イ タ リア は97年 に は3パ ー セ ン トを 達 成 す る と予 測 して い る が,98年 に つ い て は3、7パ ー セ ン トと予 測 し,改 善 が 必 要 と さ れ た 。 一 方 欧 州 通 貨 機 関 当 局 者 に はS財 政 赤 字 が3パ ー セ ン ト以 内 と い う の はi必 ず し も3.0パ ー セ ン トの こ と を 意 味 し な い と い う 見 方 も あ り, 同 時 に重 要 な こ と は 安 定 協 定 で 歯 止 め を 掛 け て い る通 り,財 政 赤 字 を3 パ ー セ ン ト以 下 に 持 続 で き る の か ど うか の持 続 性 に あ る と して い る。(io)

一 方,フ ラ ン ス が 提 案 した 成 長 と雇 用 の 問 題 は,決 議 案 と して採 択 さ

(22)

86商 経 論 叢 第34巻 第1号 0277)

表 一 皿 一1

財 政収支(97年)(98年) 政府債務

一2 .6 一2 .3 124.7

十一1.3 十1.9 s70

一3 .0 一2

.6

一4 .2 一3

.0 109.3

一2 .9 一2 .4 68.1

一一一3 .1 一3

.0 573

ア イ ル ラ ン ド 十Q.fi 十L2

一3 .0 一3

.7 123.2

ル ク セ ン ブ ル ク 十L6 十LO 6.7

オ ラ ン ダ 一2 .1 一1 .9 73.4

オ ー ス ト リ ア 一一2 .8 一 一2

.6 66.1

ポ ル ト ガ ル 一2 .7 一一2

.4 62.5

フ ィ ン ラ ン ド 一L4 一 〇.2 59.0

ェ ー デ 一1 、9 一 〇

.2 77.4

2.0 一 〇.6 X2.9

EU平 均 一2 .7 一一一2 .2 72.4 欧州委 員会 のBU経 済 見通 し(対GDP比%)

政府 債務(97年)(98年)

出 所:Autumn1997EconomicForecasts,EuropeanCommission.97年, も 予 測 値 。

121.3 62.2 fi1.7 10fi.4

ss.5 58.2 59.2

×21.9

71.E 65.6 60.8 57.3 75.3 51.5

71.5

98年 は 何 れ

れ,ア ム ス テ ル ダ ム条 約 の 中 に 「雇 用 」 と して新 設 さ れ た。1997年10月 2日 に 加 盟 各 国 首 脳 が 調 印 した条 約 の109n条 か ら109s条 に わ た る が,(11)

主 な点 を 以 下 に紹 介 して お き た い(要 約)。

皿一2ア ム ステ ルダ ム条約 の雇 用 に関 す る条項

1‐109n条 一 加 盟 国 と共 同体 は,雇 用,特 に,経 済 情 勢 の変 化 に対 応 で きる,技 能 を持 ち,熟 練 され た適 応 力 の あ る労 働 力 と労 働市 場 を奨 励 す るた めの統 一戦 略 を立 て る。

2‑1090条2項 一 加盟 国 は,雇 用 の促進 を共 通 の関 心事 とみ な し,閣 僚 理事 会 の枠 内 で行 動 を調 整 す る。

3‑109q条1項 一 欧 州 理事 会(首 脳会議)は,毎 年 共 同体 内 の雇 用情 勢 を検 討 し,理 事 会 と委 員 会 が作 成 す る共 同 の年 次 報 告 書 に基 づ い

(23)

C276) フ ラ ン ス1997年 一 一 ジ ョ ス パ ン 政 権 発 足 の こ の 一 年 一 一87

て結論 を採択 す る。

4一 同条2項 一 欧 州理 事 会 の結論 に基 づ いて,閣 僚 理 事 会 は加 盟 各 国 が雇 用政 策 に関 して考慮 に入 れ る ガイ ドライ ン(指 針)を 作 成 す るa

5一 同条4項 一 閣僚 理 事 会 は,雇 用 の指 針 に照 ら して,加 盟 各 国 によ る雇 用 政策 の実施 状 況 を審査 す る。 理 事 会 は,委 員 会 か らの勧告 に基 づ い て,適 当で あ る と考 え る場 合 に は,特 定 多数 決 で も って 加 盟 国 に勧 告 す る こ とが で き る。

6一 同 条5項 一審 査 の結 果 に基 づ いて,閣 僚理 事 会 と委員 会 は,雇 用 情 勢 と雇 用 の指針 の実施 状況 にっ いて欧 州 理事 会 に共 同 で年 次報 告 を行 な う。

7‐109s条 一 閣僚 理 事 会 は,雇 用 と労働 市 場 政策 に関 す る加 盟 国 間 の 調 整 を促 す た め,諮 問 の地 位 を持 っ 雇 用委 員 会 を設 置 す る。 雇 用 委 員会 は,加 盟 国 と共 同体 の雇 用情 勢 と雇 用政 策 を監 視 す る。

これ につ いて は,フ ラ ン ス と ドイ ッ は と もに満 足 の意 向 を表 明 した が,妥 協 の内実 は異 な る。 フ ラ ンスは雇 用 が今 後,ヨ ー ロ ッパ の優 先事 項 にな った と受 け止 めて い るの に対 して,ド イ ツは雇 用 の た め に新 規 の

追 加 支 出 は義 務 づ け られ なか った とい う見 方 を して い る。 フ ラ ンスは 自 国最 優 先 の課 題 とな った失 業 対策 と して,雇 用 基 金 の創 設 を提案 し,各 国 に新 た な財 政 支 出 を求 め た。 しか し ドイ ッが新 規 の財 政支 出 に依存 し

な い考 え に立 ち,イ ギ リス,オ ラ ンダ も柔軟 な労働 市 場 政策 に よ って雇 用 を改 善 す る とい う立 場 に立 って いた。 労 働党 の イ ギ リス は,こ れ まで

と異 な りよ り積 極 的 にEUに 参 入 す る姿勢 を取 り始 め・ 雇 用 問題 につ い て も,柔 軟 な労働 市 場 に立 脚 した考 え方 を提示 す る とい う独 自 の,し か しど ち らか とい う と現 段 階 で は ドイ ッに近 い ア プ ロー チ を取 って きて い る0

とはい え,各 国 と も失 業対 策 が重要 な こ とは認 識 して お り,今 回 の妥 協 が成 立 した とい え る。 現 に ドイ ツ 自身 雇 用情 勢 は険 し く,ド イ ッ連 邦

(24)

88商 経 論 叢 第34巻 第1号

(275) 雇 用 庁 に よ る と,失 業 者 は1997年2月 に467万2000人 と戦 後 の 最 悪 を 記 録 し,1998年1月 に は失 業 率12 .6パ ー セ ン ト,失 業 者 数482万 人 と 最 悪 を 更 新 特 に 旧 東 ドイ ツ で 失 業 率 が21 .1パ ー セ ン トと 初 あ て20 パ ー セ ン トを 上 回 っ た(98年2月6日 付 けの 日本経 済新聞)

。 ドイ ツへ は 旧 ユ ー ゴ ス ラ ビ ア な ど 旧 東 ヨ ー ロ

ッパ 圏 か らの 難 民,労 働 者 の 流 入 も多 く,雇 用 問 題 は決 して 対 岸 の 火 事 で は な く,ま た 通 貨 統 合 後 に労 働 市 場 は・EUの 域 内 問 題 と して の在 り方 が 一 段 と問 わ れ る こ と に な ろ う

。 そ して ・ 新 規 の 財 政 支 出 は採 用 され て は い な い が

,成 長 と雇 用 に 関 す る決 議 は・ 欧 州 投 資 銀 行 を 通 じて 中 小 の ハ イ テ ク企 業 向 け に 低 利 の 融 資 を し

た り,ヨ ー ロ ッパ 横 断 イ ン フ ラ ・ネ ッ トワ ー ク な ど未 開 拓 の 分 野 へ の 融 資 備 じ る こ と に よ っ て 耀 用 を 創 出 す る と い う発 想 を 提 示 した

。 ル ・モ ン ド(1997年6月21日)は

,雇 用 に 関 す る決 議 の 中 で,ス トロ ス eカ ー ン蔵 相 の 目 に 映 る最 も重 要 な の は

,財 政 以 外 に経 済 政 策 の 調 整 に 関 す る もの だ と して い る。 これ は単 一 通 貨 を 取 り仕 切 る独 立 した存 在 の 欧 州 中 央 銀 行 の 外 に,加 盟 国 に よ る経 済 政 策 の 協 議 機 関 とで も い う調 整 機 能 が 必 用 で あ る点 を 切 り出 した 訳 で ,通 貨 統 合 は全 て 欧 州 中 央 銀 行 に 任 せ る の で は な く,そ れ を 取 り巻 く経 済 環 境 を 政 治 的 に取 り仕 切 る必 用 が あ る と して 経 済 政 府(こ の段 階)の 必 要 性 を 打 ち 出 した もの と解 釈 で き る。 今 回 の ア ム ス テ ル ダ ム首 脳 会 議 はs

(1>フ ラ ンス は財 政 安 定 協 定 再 考 の 必 要 は な い もの の

,雇 用 創 出 に は 財 政 出動 が 必 要 な こ と,ま た ユ ー ロ の コ ン トロ ー ル は欧 州 中 央 銀 行

に だ け任 せ る の で は な く,加 盟 国 に よ る経 済 政 策 を 調 整 す る場 と し て の 経 済 政 府 が 必 要 な こ と を 主 張 した。 これ に 対 して,

② ドイ ッ はユ ー ロの 安 定 に は厳 格 な 財 政 規 律 が 必 要 不 可 欠 で あ り , 雇 用 対 策 に っ い て は追 加 的 な 財 政 出 動 は 必 要 で は な い

,ま た 欧 州 中 央 銀 行 は マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 に規 定 され て い る通 り独 立 した 存 在 で あ り,経 済 政 府 に つ い て は今 後 の協 議 の 場 で 図 られ る と い う もの で あ っ た。 結 局 フ ラ ンス は,ジ ョ ス パ ン政 権 に な って[Europesoc 一

(25)

0274) フ ラ ン ス1997年 ジ ョ ス パ ン政 権 発 足 の こ の 一一年 一89

iale]の 路 線 に 立 っ た の に 対 し て,ド イ ッ の コ ー ル 保 守 政 権 は 基 本 的 に は[Europeliberale]の 路 線 に 立 っ て い た 。

皿一3欧 州 中央 銀行 と経 済政 府 の関連

と ころで,単 一 通 貨 発足 確 定後 に設立 され る欧 州 中央銀 行 と加 盟 国 の 中央銀 行 か らな る欧州 中央銀 行 制 度(ECBS)の 最 大 の任務 は,物 価 の 安 定 で(マ ース トリヒト条約105条),通 貨 政策 の策定,履 行,外 国 為替 操 作,加 盟 国 の外 貨準 備 の保 有,決 済体 制 の 円滑 な運 用 が基 本 的 な職 務 で あ るが,欧 州 中央 銀 行 は独 立 した存 在 とな る。 通貨 統 合,っ ま り,経 済 通 貨 同盟 の第 三 段 階 へ の移行 を準 備 して い る フ ラ ンク フル トの欧 州 通貨

(12)

機 関 に よ る と,欧 州 中 央 銀 行 の 意 思 決 定 機 関 は次 の 三 っ か ら成 る。

1一 執 行 理 事 会(ExecutiveB・ard)4G裁 副 総 裁i最 高4人 ま で の 理 事

2一 運 営 評議 会(G・verningCouncil)一 執 行 機 関 の メ ンバ ー と ユ ー ロ 加 盟 国 の 中 央 銀 行 総 裁 か ら成 る

3‑一一一一般 評 議 会(GeneralCouncil)一 執 行 理 事 会 の 総 裁t副 総 裁 とEU 加 盟 国 の 中 央 銀 行 総 裁

この う ち最 も重 要 な 意 志 決 定 機 関 は運 営 評 議 会 で,欧 州 中 央 銀 行 の通 貨 政 策 に 関 す る全 て の 問 題 を 決 定 す る。 執 行 理 事 会 は 運 営 評 議 会 の 指 針 と決 定 に 従 って 単 一 通 貨 政 策 を実 施 に 移 し,ユ ー ロ圏 加 盟 国 の 巾 央 銀 行 に 対 して 指 示 す る こ と に な って い る(参 考:表 一IK‑3‑1)。 ま た,ユ ー ロ不 参 化 国 が い る場 合 に は,一 般 評 議 会 が 運 営 評 議 会 に対 して 補 佐 的 な 立 場 に立 っ 。欧 州 通 貨 機 関 に よ る と,欧 州 中 央 銀 行 は98年7月1日 ま で に 設 立 さ れ る こ と に な っ て お り,本 部 は現 在 の 欧 州 通 貨 機 関 の あ る フ ラ

ン ク フ ル トの ユ ー ロ タ ワ ー に 置 か れ,す で に コ ン ピ ュ ー タ ー ・ネ ッ ト ワ ー ク や 法 体 系 の シ ス テ ム づ く りの 準 備 が 完 了 して い る。 フ ラ ン ク フ ル

トで の最 大 の 関 心 は,98年3月 現 在 で,総 裁 の 椅 子 で,総 裁 を含 め 執 行 理 事 会 の メ ンバ ー は,EU蔵 相 理 事 会 の勧 告 に 基 づ き,欧 州 議 会 と欧 州

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