• 検索結果がありません。

オンライン授業における学びの場づくり 木下 直子

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "オンライン授業における学びの場づくり 木下 直子"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

実 践 紹 介

59 1.授業概要

 「社会人基礎力」とは,経済産業省が2006年に提唱した「職場や地域社会で多様な人々 と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を言う(経済産業省HP)。社会人基礎力に は,コミュニケーション能力が重要だと言われており,本科目では「論理性(説得力)」

「他者意識」を基本としたコミュニケーション・スキルの向上を目指している。具体的に は,大学やインターンシップ先での問題(木下ほか2015)をもとに,どのようにその問 題を解決するか,どのように会話を展開させ,他者を配慮した表現を用いるかについてグ ループで検討している。また,最終課題の一つに,社会問題に対して説得力のある意見を 発表する課題があるが,説得力を高めるために,ロジックツリーやクローバーチャート

(図1)といったシンキング・ツールを活用している。

シンキング・ツールをクラスメートに示し,自分の意 見とは異なる立場の人が導き出す理由づけをもとに考 える活動を行っている。

 オンライン教育は,一般的に知識伝達型の学びに適 していると考えられているが,計画的に授業をデザイ ンし,仕掛けづくりをしておくことで,学習者間の相 互作用を促すような学びの場づくりを試みた。

 本稿では,2020年度春学期に本科目で試みたオン

ライン授業を紹介するとともに,より活発な学びの場づくりについて検討したい。

2.授業の流れ

 本科目は,発表やテストの回を除き,図2のような流れでオンライン授業を行った。そ れは,①リアルタイム配信(Zoom)で授業のねらいやスケジュールを確認した後,〇時

△分にZoomに戻るよう伝える。②Moodle上のオンデマンド講義の動画を視聴する。動 画には各回のテーマと課題があり,一人で課題に取り組む。③決まった時間にZoomに戻 り,制限時間を確認した後,ブレイクアウトルームでグループディスカッションを行う。

④メインルームに戻り,グループの見解を説明し,全体で共有する,という流れである。

早稲田日本語教育実践研究 第 9 号

オンライン授業における学びの場づくり

木下 直子

  科目名:社会人基礎力をつける 5−8

  レベル:初級 1・2 /中級 3・4・ 5 /上級 6・7・8   履修者数:33 名(うち,大学院生 8 名)

図 1 クローバーチャート(参考)

(2)

早稲田日本語教育実践研究 第 9 号/ 2021 / 59―60

60 3.学びの場づくりのための工夫

 2020年度春学期に,オンライン授業で場づくりのために工夫した点を2点紹介する。

 1点目は,ブレークアウトルーム時のグループディスカッションで,Google slideを活 用したことである。トライアルの授業でブレークアウトルームを利用した際,グループで 起きていることが把握できず,フィードバックの質が下がった。そこで,話し合いの進捗 状況を教師がリアルタイムで確認するために,Google slideを用いた。Google slideは,「編 集」に設定してそのURLを共有すれば,誰もがオンライン上のスライドに入力できる。

各スライドにグループ番号を記載しておけば,1つのファイルを準備するだけなので,簡 便である。教師はオンライン上のスライドに入力されていく文字を見ながら,進展のない グループにはサポートに入ることができる。また,学生たちは,他のグループのスライド を見ることもできた。この方法により,対面のグループディスカッションでは,学生の理 解度をうなずく様子や雰囲気で把握していたところがあったが, Google slideの活用によっ て学生たちの思考が可視化され,必要なフィードバックが把握できた。

 2点目は,ポスター発表を動画の作成に切り替え,Moodleのフォーラム上にアップロー ドする形にしたことである。これにより,対面の授業と同様,学生自身が関心のある発 表を選択して聞くことができた。また,時間的制約もなくなり,学生たちは発表の動画 をいくつでも,いつでも,繰り返し見ることができ,さらに,フォーラム上で繰り広げら れている議論に数日後であっても入ることができた。この点について学生から「オンラ イン上で疑似討論ができた」と評価があった。ただ,動画の作成方法,Moodle上にアッ プロードする方法の説明,アップロードする際の選択肢の確認が必要となる。授業では,

Contents Creation Studioのほか,オンラインストレージサービスを活用した。

4.今後の課題

 本科目は,毎学期受講生の4分の1は大学院生である。彼らは,近い将来,研究発表を して論文をまとめてあげていくわけだが,自分の意見にも他者の意見にも論理の矛盾をつ くような「深い問い」ができる学生は限られている。共創的な要素を入れた活動を取り入 れるとともに,「深い問い」の意義を考える機会を増やしていくことが課題である。

参考文献

木下直子・木山三佳・徳田恵(2015)『コミュニケーション・スキルの学び』実教出版 経済産業省HPhttps://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html>(202094日閲覧)

(きのした なおこ,早稲田大学日本語教育研究センター)

①導入〈約5 10分〉

出欠・授業のねらい スケジュール確認

②課題〈約30分〉

テーマの説明 課題

③ディスカッション

〈約30分〉

グループの意見のまとめ

④全体共有

〈約20 25分〉

情報共有・ふりかえり 図 2 授業の流れ

参照

関連したドキュメント

「職業指導(キャリアガイダンス)」を適切に大学の教育活動に位置づける

本文書の目的は、 Allbirds の製品におけるカーボンフットプリントの計算方法、前提条件、デー タソース、および今後の改善点の概要を提供し、より詳細な情報を共有することです。

・ 化学設備等の改造等の作業にお ける設備の分解又は設備の内部 への立入りを関係請負人に行わせ

一方、Fig.4には、下腿部前面及び後面におけ る筋厚の変化を各年齢でプロットした。下腿部で は、前面及び後面ともに中学生期における変化が Fig.3  Longitudinal changes

基本目標2 一人ひとりがいきいきと活動する にぎわいのあるまちづくり 基本目標3 安全で快適なうるおいのあるまちづくり..

C :はい。榎本先生、てるちゃんって実践神学を教えていたんだけど、授

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に