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身体活動促進を目的とした集団戦略のための 介入プログラムの開発

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Academic year: 2021

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早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学)

概要書

身体活動促進を目的とした集団戦略のための 介入プログラムの開発

Development of Intervention Programs for Population Strategy to Promote Physical Activity

2015年1月

早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科

松下 宗洋

MATSUSHITA, Munehiro

研究指導教員: 荒尾 孝 教授

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1章 緒言

身体活動不足は慢性疾患や抑うつに対する危険因子であることが多くの疫学研究で明ら かにされてきた.しかし,我が国の成人における身体活動は過去 10 年間低下傾向にあり,

今後の我が国における健康増進において,国民レベルの身体活動の促進は重要な課題であ る.そのためには身体活動不足を個人レベルだけでなく集団レベルで改善することが必要 となる.身体活動の促進技法のうち,インセンティブは効果的な技法の一つであるとされ ており,近年インセンティブの健康づくりへの利用が注目されている.また,健康づくり の集団戦略を実施する上では,健康問題を有する集団に焦点を当てた戦略の構築が必要と 考えられる.そこで本論文では,運動行動の動機づけに適したインセンティブ条件の詳細 を明らかにすること,健康問題を多く有するとされる社会経済的地位の低い集団について 身体活動状況の詳細を明らかにすることを目的とした.

2章 運動行動の動機づけに効果的なインセンティブ(研究Ⅰ)

運動行動の動機づけに効果的なインセンティブの条件を検討するために,40-60歳代の男 女を対象としたインターネット調査による横断研究を実施した.インセンティブに関する 主な調査項目として,運動の条件を130分の運動を週2回取り組み始めることとした上 で,「現金」「商品券」「旅行券」「食品・飲料」「健康グッズ(運動以外)」「運動グッズ」「公 共施設利用券(運動施設以外)」「運動施設利用券」「寄附」のそれぞれのインセンティブの 種類に対する動機強化得点,およびインセンティブとして希望する現金相当額を調査した.

その結果,全ての運動の行動変容ステージにおいて運動の動機づけ効果の高いインセンテ ィブの種類は,現金,商品券,旅行券であった.また,各行動変容ステージの運動取組動

機率が50%に達するインセンティブ希望金額は,前熟考期が2,000円,熟考期が1,000円,

準備・実行期が1,500円,維持期が500円であった.したがって,運動行動の動機づけには,

運動の行動変容ステージに関わらず,現金,商品券,旅行券などが効果的なインセンティ ブであり,その金額としては2,000円相当が望ましいと示唆された.

3章 社会経済的地位と身体活動の関連(研究Ⅱ)

近年,我が国では健康格差の拡大が公衆衛生上の課題となりつつあることから,健康格 差の原因の一つである社会経済的地位(所得・学歴など)が低い集団の健康づくりの必要 性が高まっている.この社会経済的地位と健康づくりの重要な生活習慣である身体活動と の関係は,生活場面(仕事,移動,余暇)により異なることが報告されている.そこで,

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本研究では,日本人成人において社会経済的地位と生活場面別の身体活動量の関連につい て検討するために,30-50歳代の男女を対象としたインターネット調査による横断研究を実 施した.身体活動の調査には,世界標準化身体活動量質問紙(GPAQ)を用いた.その結果,

男性では,社会経済的地位は仕事における身体活動量とは負の関連を,移動,余暇および 全体の身体活動量とはそれぞれ正の関連を認めた.一方,女性では,社会経済的地位は移 動および余暇の身体活動量とは正の関連を認めたが,仕事および全体の身体活動量とは有 意な関連を認めなかった.したがって,本研究の結果から,日本人成人においては,社会 経済的地位と身体活動量との関連は生活場面によって異なり,社会経済的地位が低い者は,

仕事中の身体活動量は高いものの,余暇や移動での身体活動量が低く,総身体活動量も少 ないことが示唆された.

4章 総合討論

以上の知見から,身体活動促進を目的とした集団戦略にインセンティブ制度を導入する 際のインセンティブの種類には,現金や商品券のように用途に自由度の高いものが適して いることが明らかとなった.また,インセンティブの現金相当額を高く設定することで,

より多くの者の運動行動の取り組みの動機づけを行うことが可能であると考えられる.本 研究ではインセンティブの種類や相当額を検討したが,今後はインセンティブ制度を運営 する上での課題である 1)インセンティブ制度の運営資金の確保,2)客観的身体活動量に 基づくポイント付与,などについて検討する必要があると考えられる.

社会経済的地位が低い集団では,総身体活動量が少なく,とりわけ移動や余暇における 身体活動量が少ないことが明らかとなった.したがって,このような集団を対象とした介 入プログラムを作成する際には,特に日常生活の移動場面および余暇時に焦点を当てた身 体活動促進プログラムの開発が必要と考えられる.その際,我が国において,社会経済的 地位がどのような媒介要因を通じて身体活動に影響を与えているかといった身体活動メカ ニズムを明らかにすることが必要と思われる.そのような身体活動メカニズムに関する研 究成果を基に,今後社会経済的地位が低い集団を重点対象者とした効果的な身体活動促進 プログラムを開発することが望まれる.

参照

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