接 頭辞♪urh‑を持つOE派生動詞 ヽ
接 頭 辞 p u rh ・ を 持 つ O E 派 生 動 詞
一言語研究の課題
‑ 457‑‑
荒 井 義
明C a ユ
G・He ヨ
p2‑は、科学的探究の部門を'経験科学と非経験科学の二つの群に分けている。経験科学と非経験科学とを区別する規準は'命題の証明が経験的証拠に依存するか否かということにある。経験科学が求める
ことは'われわれの住んでいる世界における出来事を調査し'記述し'説明し'そして予測することであるとしpmu1ている。
A
.D .
deGrootは'経験科学の目的は、その学問領域によって扱われる現実の特殊部門に属する知識の獲得であるとする。科学的知識は、公的な知識であり'言語で表現されなければならない。科学は'現実についての1■1■ー■JI2叙述される明示的な'伝達可能な知識を目指している。科学は'その特定部門で出会う現象の経験を,<観察>
<帰納><演縛><検証> FJt3<評価>の科学研究のサイクルを用いて処理する。
恩田彰博士は'創造の過程は'その活動分野を科学研究またはこれに準じた活動に限ると'問題解決過程とし
て捉えることが出来るとLtその過程を'㈲問題発見'
㈲
課題形成'㈲課題解決の三つの段階に分けている。問題発見の段階は、現在および未来を見通して'解決し'処理しなければならない問題を発見することである。課
題形成の段階は'問題を分析し'実際に解決処理し得る貝体的な課題にすることである。課題解決の段階は、仙川■れu4
情報の収集'
㈲
仮説の設定'㈲仮説の仕上げ'棚検証、㈲評価に分けることが出来る。既に述べたdeGrootの科学研究のサイクルは'この課題解決の段階の操作になる。
恩田博士に従えば、科学研究の問題解決過程は'先ず問題の発見から始まることになる。KaユR・P
op pe r
も'ヽノ5あらゆる認識は'問題から出発すると指摘している。Th oヨ aS S.
Kuhコは'「発見は'変則(aコ○ヨ a
‑y)に気付くこと'すなわち'自然が'通常科学(コOrヨa‑
sc ieコ Ce )
を支配するパラダイムから生ずる予測をどういうわけか破ることから始まる。次に'その変則の領域を幾分広範囲に探究する。そしてパラダイム理論が変則が1J6予測になる様に修正された時にのみ終子するのである。」と述べて'問題発見に始まる問題解決過程を概略してい
る。
問題は、Kuhコが指摘している様に'変則として'すなわち'パラダイム理論と事実の不一致という形で生ずEiiZI7
る。従ってtE
hsa beth S tr ㌢ er
が述べている様に、「すでに或ることを知っているものだけが問うことができる。」のである。
susaココeK.r
aコ ge r
は'「問題解決の﹃手法﹄'すなわち'取り扱い方は'問として'それが先ず表現されることから始まる。問いの仕方は'正しいにせよ誤りにせよ'その問いに対する答えが与えられる仕方を限定し、
(8)配列するのである。」と述べている。
S
tr'dkerに従えば、科学においては'問いは、「事態がどうであるのか」と接頭 辞purh‑を拓っOE派生動詞
「‑・という事態がなぜそうであるのか」の二つになる。そして「事態がどうであるのか」を確保することがヽ‑ノ記述である。また「‑・という事態がなぜそうであるのか」という問いに答えるものが説明である。 9
田辺元は'記述とは、分類によって同じ類に統一された対象の属性を命題に表わすこと,すなわち・その類が
有する特徴を分析して'これをその類概念を主部とする命題の賓部として言い表わすことであると説明している。
概念の内包を明確に規定することによって概念の意義を明らかにする方法を定義と呼ぶが,定義は・従って,記EidO1
述の目的を成すものである。
今道友信教授は'記述は'対象のある任意の位相的現象の普遍的記号による正確な再現であると規定し,記述
命題は、対象に内属する構造乃至性質の現象形式を分析的に記述することによって成立している命題であると説EiiiZI1
明していか。従って,記述は,ただ一個の物についての命題,すなわち,単称命題(sing
u ta
rproposition)でもあり得る。
しかしながら'今遺教授は'更に'「属性記述という断定によって言はば或る物差しで測量するように対象を
1定の形相に還元したあと.・この形相を介して思考は形相相互の系譜を求めて員的次元から質的次元に上昇し・ヽノe]問題は質化され、その結果として'定義をその現実態とする本質比較判断が成立する.Jと述べている。このこと
は、記述は'単称命題から全称命題(universalproposi‑ion)へ向かうのであるが'そこに員里から質への転
換があるということである。
記述は'田辺元に従えば'類に共通な属性で他の類と異なる特徴を成すものを分析して,定義を求めるものでヽ
ぁった。田辺元は'更に'「記述する所の属性が或類の本質的属性ならば'其が普遍的なることは分類の本性上
必然に要求せられることである。斯様に或類に属する対象が必然有する所の属性を明にするものとしては記述の
‑ 459‑I
判り1成果は即ち法則である・。」と述べて、記述は、定義から法則へ至ることを明らかにしている。
記述は,従って・<観察>‑<帰納>!<演鐸>‑<検証>‑<評価>の科学的方法と、区分
(d ev isi on )
'分類(C︼a
ss ifi ca tio
コ)'定義(defi邑 io n )
の分析的操作によって'事物間の不変的関係である法則=aw)の発見を目指すものである。打nu41
田辺元は、法則に経験法則
( em
piric a=
aw)と因果法(c asu a:
aw)の区別を認めている。S
trtikerは、この区別を経験法則と理論法則という名称で区別している。経験法則は、量的法則であり'理論法則は'経)旭験法則を特殊な場合として含むtより一般的な新しい経験法則の構成により得られる法則であるとしている。従
って・経験法則は'分析的操作によって得られる法則であり'理論法則は、経験法則に、構成的操作を施して得
られる・よ
り
高次のtより一般的法則ということが出来よう。St r
tSkerは、理論法則のl定の総括が科学理論Eid
6であるとする。このS
trb k
erの説明が正しいとするならば'記述は'個物の測定から出発して'究極的に最も 1普遍的な科学理論を目指すと言えよう。
Heヨpe‑は、科学的概念'法則'理論的原理相互の関係を網にたとえている。すなわち'科学的概念は'網のEid71結び目にあたり'法則と理論的原理は・糸にあたるとしている。このたとえに従えば'経験科学における記述は'
その学問領域によって取り扱われる現実を'概念にまとめ'その概念相互を法則や理論の糸で結び合わせ'そ
し
てその網でその学問領域の取り扱う現実を覆い尽‑す作業になる。
田辺元は,説明(e旦aコat
io
n)とは'因果法によって特殊の事実の存する理由を理解せしめることであるErhu8と定義してい聖
str+dk er
は'「科学者は'個々の事実を1
一定の初期条件の汗で ‑
法則から、さらに法則91
より高い段階の法則から'そして最後にはもち合わせている理論から︽説明する︾。」と述べている。このことか
‑ 460‑
接頭 辞Purh‑を持つOE派生動 詞
ら'説明は記述と逆の方向を持つ活動であることが明らかである。
l
oh コ H osp ers
は'法則と理論との関係について'自然の法則は'われわれが発見するものであるが'理論はE■iuO2事物間の不変的関係である法則を説明するために'われわれが構成する( co n st ru ct )
ものであると述べている。また・H
eヨ pe
‑も'科学的仮説や理論は'観察された事実から導びかれるのではな‑'それらを説明するために発E11nuI2明される
( in
くent)のであると述べている。若しそうであるならば、法則と理論は次元の異なるものであるということになる。このことから'記述の目指すものは、究極的には、str∝kerの述べている理論法則になり'
説明の目指すものはtH
os
pers
の言う理論の構成ということになる。既に述べた様に'経験科学の目的は、その学問領域によって取り扱われる現実の特殊部門に属する知識の獲得
であった。この知識の獲得はt
H os
pers
が述べている様に'事象の中に規則正しさ(regutarities)を認めるこEiiZ122とから生じ'科学的概念と法則の網を構築する記述の方向と'その網のよって釆たる根拠を明らかにする理論の
構成と、事象をこの網の中に定位する説明の方向の二つの過程によって行われると言えよう。そして変則を理論
が予測し、説明出来なくなると'画題が生じ'再び知識の獲得活動が始まるのである。
言語学()ing
uis
tics)は'言語の科学(scien ce o
ftangu ag
e)'すなわち、言語という学問領域を対象として'言語に関する知識を獲得することを目的とする経験科学である。従って'言語学の課題は'先に述べた記
述と説明とによって'言語に関する認識をより分化Lt深化Lt発展させることにある。
科学的伝統文法
( sci eコ tif i
ctraditi o
na‑gr aヨ ヨ ar )
の建設者であるHeコryS
weetは'理論的観点から見るならば'文法(gr
am m ar )
は、言語の科学(scien
ceofta
ngu ag
e)であるとして'文法に記述文法(de・Eiiiu23scriptivegr
am m ar
)と説明文法(expta n at o
rygr am m ar
)があるとした。変形生成文法の建設者である'461
NoaヨChomskyは'文法記述の成功の段階を三つに分け'それぞれを観察の妥当性の段階
( leく
e‑Ofobser.くatioコaHad
eq ua
cy)'記述の妥当性の段階e<
e‑ofdescriptiくeadeq ua
cy)'説明の妥当性の段階(‑e <
e‑姻ofexptanatoryad
eq ua
cy)と呼んでいる。これらは皆、成功の程度の差はあっても、記述と説明による言語の認識を目指しているものと言えよう。
二二語形式の課題
語形成(w
or d ・f o rm at io
n)という術語は'新しい語の形成と、新しい語の形成という言語現象を研究対象とする言語学の分野の双方を指すのに用いられる。ドイツ語では'前者を造語(w
o
rtbニduコg )
、後者を造語論(W
o rt b
itdungs lle hr e )
と両者を区別して名付けている。文法の領域は、通例音韻論'形態論、統語論の三つに分かれる。E
u g
eコeA.N id
aは'形態論は形態素とtの一一462‑‑‑‑
2語を形成する際の形態素の配列を研究するとしている
。c ha ユ es
F.H oc ke tt
は、と派生(derivation)とを区別する。屈折は'屈折接辞
( in fte ct io
nataffix) 語の形成に'屈折(iロ f‑e cti o
コ)犯を取り扱う。語から屈折接辞RlHu72を取り去ったものが語幹
( st eヨ
)である。そして派生は'語幹の構造を取り扱うとする。HansMarchandは、語形成は'三宝柑が新しい語勇単位
( )ex ica
luni t
)、すなわち'語を形成する型tFnu82
(pattern)を研究する言語学の一分野であると定義している。またErh
a
rdAgric o
ta(etat.)編'Diedeut
sc he s P ra
cheでは'造語論は'新語の形成( B itd un g
neu
erW6
rter)に際し摘用される法則(Gru
nd・・ sa tz )
と方式(Verfahren)を明らかにLt語の形成が従う法則性(Gese tz m .d Bi g ke
it)を研究すると説明ヽノ92されている。接 頭辞purh‑を持 つOE派生動詞
以上の説明による語形成の研究は'「語形成という事能茄どうであるのか」という問いに対する答、すなわち、
語形成が従う法則性の発見にあるのであるから'記述を志向していると言える。
ある要素が'文法的に逸脱性(de
via
ncy)を生ずることな‑、ほかの同種の要素と同一の文'句'語などの中に生起する時'二つの要素は互に共起関係
( co oc u
rre nc e
reta tio n)
を持つという。例えばtThesilenceofthehousefrightenher.は'正常な文であるがtTheboymayfrightensincerity.は'正常な文ではない。従って'thesilence
o
fthehouseとfrightened.frightenedとherは共起関係を持つが,theboyとmayfrighten.mayfrightenとsincerityは共起関係を持たない。語についてはtuncOnSCiousは正
常な語であるが、inconsciousは正常な語ではない。従ってtu
n
とconsciousは共起関係を持つがtinと・consciousは共起関係を持たない。
この様に、文'句'語における要素間の相関関係を考える場合'統語論においても'形態素配列論においても'
すべての要素がすべての要素と生起するわけではない。この要素間の選択上の制限は、共起制限
( co oc u
rreコCerest ric tio
コ)と呼ばれる。この共起制限の問題は'従来の語形成においては'見過ごされて来たものである。従って'ある要素とある要
素が結合して新語を形成する型を記述することが出来ても'換言すれば'「如何に」の問いに答えることが出来て
も'説明'すなわち'「何故」ある要素とある要素が結合するのかの問いには答えることが出来ないのである。こ
のことから、共起関係、共起制限を説明することが'新たに語形成の課題になる。
語形成における共起制限を説明する問題の解決のためには'統語論における共起関係の検討が役に立つであろ
・
つ 。
463
一
'三
統語論における共起関係変形生成文法では'統語上の共起制限を記述するために'選択制限(Sel
ec tio n a‑ re s
tric tio
n)という機構を設けている。
ChoヨSkyの提唱する文法においては'文法は'統語部門'意味部門'音形部門の三つの主要部門から成る。
統語部門は'基底部門と変形部門の二つの下位部門から成る。基底部門は'枝分かれ規則(br
anch iコg
ru‑es )
と'下位範時化規則
( su b ca te go riz
atio
コru‑es )
とから成る。下位範時化規則は、統語素性(s
yn tac
ticfeature)を導入する規則である。下位範時化規則には'固有素性(inherentfeature)を導入する文脈自由下位範噂化規則(context・fr
ee su bc at eg o
riz
atio
nrute)と文脈素性(con
te xt u at
feature)を導入する文脈依存下位範時化規則(con te xt ・s en sit iv e
sub
categoriz
ationru︼e)がある。文脈依存下位範噂規則には、厳密下位範時化規則(strictsu
b
categorizationru‑e)と選択規則(seH
ec ti oコ
a‑r亡 le )
がある。厳密下位範時化規則は'厳密下位範時化素性(S tl ic t su bc at eg or iz at io
nfeature)を導入する規則である。また選択規則は、選択素性( Se Hec tio
na‑feature)を導入する規則である。選択規則をChoヨSkyは次の様に定式化している。
一一
46 4
‑i‑MH■rHH
t[
・
V]‑cs,( [+
Abstr
act]Aux[‑Abs
tr
act]Aux‑
D
et[+
AコiヨateI D
etL‑Ammate」」 ]
事
I‑ ‑ノ
そしてこの選択規則は、選択制限
( se ‑ec tio
コaHrestrict io
コ)または共起制限( re st ric tio ns o
fcoo cu
rreコ Ce ) )0 3
と呼ぶものを表わすものとしている。接 頭 辞purh‑を持つOE派生動詞
frightenには'[[
+
Abs‑rac‑]‑ ・・‑ A‑ ・・
[+
Anim a
te]].すなわちtfrightenは,主語に[+Abstract]という固有素性を持つ名詞を取り'目的語には[+A
コ iヨ a
te]という固有素性を持つ名詞を取ることを表わす選択素性が付与されている。この選択素性に基づいてtThesilenceofthehousefrightened
her・という文は'適格文(well・for
med se n ‑ en ce
)であると認められる。またTheboymayfrighten一sinceri
ty.
という文は'上述の選択制限に反するので'逸脱文(devi an t se n t en ce )
とされる。この様に'選択制限というものは'語の有意味結合が行われるための'必要にして充分な条件を示すものであ
る。選択素性は、この条件を'名詞の固有素性を用いて'その名詞が生起する環境を動詞に付与する形式で表示
するものである。
既に述べた様に'下位範時化規則は'統語素性を導入する規則であった。これは'名詞と動詞を下位区分する
規則である。この下位範時化規則は、文脈自由(context・free)のものと文脈依存
( co n te x t ・ se ns iti ve )
のものとの二つに分かれる。文脈自由下位範時化規則は'固有素性を導入し、これにより名詞を下位区分する。文
脈依存下位範時化規則は'厳密下位範時化規則と選択規則に分かれるが、これらによって動詞の下位区分が行わ
れる。
Ferdin
a
nddeS a
ussureは'言語学を内的言語学in gu ist iq ue in ‑e
rne)と外的言語学(1in gu ist iq ue
lいれuHり3externe)とに分け'言語の固有の秩序である体系を取り扱うのが内的言語学であるとした。そして言語記号は,言語内的な統合関係
( ra pp or t sy nt ag ヨ at iq ue )
と連合関係( ra pp o rt as so c i
atif)の中に位置付けられる)2
3ことによって価値(邑e亡
r)を持つとしている。このことから'文法学の一切の資料は'統合論か連合論の二EiA33つの軸の上に整理することが出来るとする。‑465‑
文脈依存下位範時化規則によって導入される厳密下位範時化素性と選択素性はtSa
u
ssu r
eの述べる統合関係の分析により得られる素性であると言うことが出来る。
元来素性(feature)は'音素論に由来する術語である。音の流れを時間的継起に従って区切ると単音を得る。
この単音を同時的性質に分析すると成分(c
oヨ pO ne
nt)を得る。この成分の中で'ある音素を他の音素から区別するのに役立つ成分を弁別的特徴(dist
in ct iv e fe
atur
e)と名付ける。音素的価値を有しない成分を余剰的特徴(redundan︹feature)と言う。単音は、弁別的特徴と余剰的特徴とから成り'音素は弁別的特徴のみから
成る。素性という概念は、音素論における単音を構成する同時的成分である特徴
(fe atu r
e)に由来すると考えられる。
固有素性(in
he re
ntfeature)という術語も音韻論に由来すると考えられる。lakobsonとHa e
は、弁別︻rhu43
的特徴を'韻律特徴(proscxlicfeature)と固有特徴
( in he re
ntfeature)の二つに分けている。韻律的特徴は'音節を枠として現われる特徴である。これに対して固有特徴は'音素を単位として現われ'その成分とな
る。
音素を解体して同時的成分(si
ヨ
u‑tan eO uS CO ヨ pO ne E )
を得る操作を成分分析(.c om po ne 邑 ia ‑ a
na‑
ysis)と言う.この成分分析は'親族名称や色彩語の分析に応用された。生成文法における[廿C
om m o n ] .
[什Ani
ヨ a
te]などの固有素性は'成分分析の手法によって体系的に得られるものである。成分分析はtS
aus su re
の言う連合関係に基づく言語記号の弁別的特徴を抽出し、その特徴の組み合わせによっておのおのの言語記号を記述しようと試みる手法である。
以上の考察から明らかな様に'生成文法は'連合関係に基づく語の成分分析から得られる固有素性と'統合関
‑ 466‑
接頭 辞purh‑を持 つOE派生動詞
係に基づ‑文の分析から得られる厳密下位範時化素性と選択素性とによって'共起関係における規則性を記述す
ると言うことが出来る。
一、四語の意味の記述と共起関係Gid53服部四郎博士は'単語の意味的側面を「意義素」
( se ヨ eヨ e )
と名付けている。そして「意義素」は同時に現われる多くの「意義的特徴」に分析出来ると想定する。この意義特徴には'「語義的意義特徴」'「文法的意義特徴」・「文体E■'‑u63
的意義特徴」がある。そして理論的には'各単語の意義素を意義特徴の束として記述出来るはずであるとしていEid7
る。しかし'束といってもその内部構造がどうなっているかについては'色々な問題があると述べている。 3
Chomskyは'語嚢記載項目(lexical
en ‑
ry)は'弁別的素性行列(distinctivefea tu re m a
trix)Dと複合記号(co
m p le x sym
bol)Cとから成るとする。複合記号C
は'さまざまな種類の素性の集合である。その素性には'統語素性'意味素性'どの様な形態論的操作または変形操作が問題となっている項目を含む記号)8
列に対して適用されるかということを指定する素性、一定の音形規則から項目を免除する素性などがあ聖Eid93Jeffrey
S・ G ru be
rは、互に言い換えられる文は、同じ語勇前の構造(pretexicatstructure)を持つという前提に立って、語勇項目を分解して、その結果得られる抽象的な意味範噂を基礎的な単位として,統語的,意味
的事象を記述することを主張している。これは'固有素性と文脈素性の基本的意味範噂(e‑
em en ta
ryse ヨ an tic
cat。g.ry)への再編成と'それに基づ‑多範噂語勇項目付与(p.t
y ca te 町
oria=exicalat ta
chment)の新しい方式である。この方式による語勇記載項目の形は'基底部門
( bas
ecoヨ pO コe nt )
で生成されるものと同じEiiJ0
4種類の部分枝分かれ図( S亡 b‑
ree )
であって、下部(b0‑‑0ヨ)に形態素が付与される。Gmbe r
は、この方法‑ 467‑
︻■1■り日日4
で選択制限や共起関係にある語嚢項目間の関係を包括的に記述することが出来るとする。
G ru be
rの説明に従えばthorseは'基底部門における次の規則によって'派生枝分かれ図が得られる。そしてこの枝分かれ図にhorseが付与される。
Nl(CONCRETE)CONCRETEl(OrD)(ANIMATE)
ANHMATE
l (M
A︹E)(HORSE)N
C ON
CREづEANIMATE
HOR
S
E‑ 46 8‑
♯horse
また次の語勇前の構造にはtstallionとmalehorseが付与可能である。
C
ON
CRETEAN iM AT E \ /
MAr E H O RS
EG ru be
「のこの方式は、語の意味の構造の記述と同時に、語と語の共起関係を統一的に記述することが出来る接頭辞purh‑を持つOE派生動詞
点で優れていると言えよう。
二'一動詞接頭辞の機能
Ju
a
nM・deteCruZに従えば'印欧祖語における句動詞(phrasatverb )
は'印欧諸語の大多数において'動詞前接統合体(preくerbia‑
co コS O‑
idatio
n)に合体した。動詞前接統合体とは'不変化詞(partic‑e)が本来の自律性を失なって'動詞語幹(くel
b
a‑stem)に接頭辞として付けられ'それによって句の体系(phrasalsyste
m
)から、派生語の体系( de riv
ativesys te m )
になったものである。ゲルマン語においてはGd2再び新しい句の体系が生じるのであるが、この副詞と動詞との結合は'接頭辞の弱化と相関連してい聖
RandotphQuirkとC.L.W
ren n
は、語形成の過程を形能菱換(formativ e
conversion)と限定( ヨ Od if ic at io
n)の二つに分けている。形能菱換は'接尾辞添加やその他の形能王の変化を伴なう品詞の転換による語形成である。限定は'複合と接頭辞添加による語形成である。そして接頭辞添加による動詞の限定には、FHu3
接頭辞が持つ副詞的意味による限定と、アスペクト(aspect)の転換を引き起こす場合があるとしてい聖
H
a
コSMarchaコdは'複合・派生によって形成された語を'文法的結合逮合( gl aヨ ヨ
atica‑syコ ta gヨ )
)4と呼び'規定詞(d
et er m in
ant)と被規定詞(determinatum)から成ると述べてい聖動詞前接統合体にあっては、接頭辞が規定詞'動詞が被規定詞である。接頭辞の機能はtQuirkが述べている様に、接頭辞が
本来持っている副詞的意味による動詞の限定と、動詞の持つアスペクトの転換ということになる。
C ha
rtesE・Towns en
dは'接頭辞添加の型を語勇的(texica
t)と副語嚢的( su b t
exica))の二つに分けている。語勇的添加の型において'接頭辞は'具象的な意味'あるいは'日豪的な意味から派生した抽象的または質
一 一 一 469‑ ‑
的意味に関連した新しい語嚢的要素を導入する。例えばL19mLI(‑togo)にebL・を添加した8・bLLLma(
‑
togoout)にあっては'接頭辞
8b
L・は、動詞EEPmLZの動作を「具体的あるいは抽象的事物の領域外に出る」という意味に限定している。
副語勇的添加の型においては'接頭辞は、動作態様(typeof
ac tio n 、
Akt io ns
art)を限定する。例えば、fly ,PLl き (
‑tosmoke)にebL t
を付けたebL.NyLLmb(‑ to fin i sh sm ok i
ng )
にあっては'接頭辞ebLIは、1日‑1nu54動詞
NyP
LZmbの動作態様を限界態に限定している。接頭辞添加の型には'前記の様に'語勇的接頭辞添加
( tex ica t pr ef ix at io
n)と副語勇的接頭辞添加(sub
・te x ic at
prefixatio
n)の二つがある。ebLlを持つロシア語の派生動詞の考察からも明らかな様に'接頭辞が語勇的機能を持つか副語勇的機能を持つかは'動詞語幹によって決定されるoすなわち'接頭辞ebL・が、移動
を表わす動詞ugJmLtと結合する場合には、語勇的機能を持つ。これに対してtebL・が移動を表わさない動詞
NyP
amlbと結合する場合には副語嚢的機能を持つ。語勇的接頭辞添加には、移動を表わす動詞と結合する場合の外に'場所内部での動作を表わす動詞と結合する
場合がある。例えば、CmOHmbは、tostand,tobe,tobesitu
a te d
を意味し'その表わす動作は場所内部で行われる。CmOHmbは'接頭辞om・(‑awayfrom)の語勇的接頭辞添加によって'一omcmoHmb,
(‑to
b e aw
ay)を形成する。従って、語嚢的接頭辞添加には'移動を表わす動詞と結合する場合と'場所内部での動作を表わす動詞と結合する場合の二つがあることになる。
副語勇的接頭辞添加は、既に述べた様に、
KJJP
Ltmbの様な動詞の他に前に述べた二種類の動詞と結合する場合がある。例えば'前述の
c
moHmbは、接頭辞yI(=away)と結合してtycmoRPlb(=toresist)‑ 470‑
接頭辞purh‑を持 つOE派生動詞
を形成Ltその動作態様は、継続態に限定される。
二
'二
接頭辞と結合する動詞JeffreyS
.G ru be r
は'動詞を移動動詞( m ot io n
at
verb)'継続動詞(dura tio
natve rb
.I)'不定動詞phu64
(non・descriptverb)の三種に区分している。移動動詞は'主題が移動することを表わす動詞である。継続動詞
は'ある一定期間動作が継続することを示す動詞を言う。不定動詞は'継続的であるのか'瞬間的であるのかに
関しては不定であるものを言う。
G m be
rは、この三種の動詞の区別をM O
づlO N
AL}DCRATIO N
Ar,N O N D
ES
CRHPTの範噂を用いて表示する。移動動詞は、更に
仙
「位置の転移(tra ns it io n o
fpos it io n )
」を表わすもの'㈲
「所有の転移( tr an sit io n
of
po ss es
sio
n)」を表わすもの、矧「頬の転移(tra
nsit io n o
fth e
ctas sこ
」を表わすもの、㈲「活動の転川■ーhu74
移(tr
an sit io n o
facti vi
ty)」を表わすものの四種に下位区分される。Gru be
rは、この四種の転移をtPos i
・lunu84ti
on
at.P os se ss
ion
at,(d en tif ic at io
nat .
Cir cu m s
tanceの媒介変数(param et e
r)で表示している。G ru be
rの前述の記述方式を用いるとt.g o や
runの様な動詞は'移動動詞で'位置の転移を表わす動詞であると共に'継続動詞でもある。またlieやstayの様な動詞は'継続動詞であるが'同時にある位置での動作
を表わす動詞である。若しlieを
D U R
ATiO N
ALとPos it io
natを用いて記述するとするならば、pos it io
nalIは'定義によれば「位置の移転」を表示するものであるから、予盾することになる。
G
ru be
rがgoの様な動詞をM O
TtO N
ALやPos it io
natを用いて記述する方法はtch a rt es B at t
yが所記の累加
( cu m
utdessignifi6S)と名付けているものがその根底にある。所記の累加についてtBatty‑ 471‑
は'「1個の唯一不可分の能記が'記憶的連合によって'はっきり分析することができる幾つもの価値を含む時tFJt94
所記の累加(略して単に累加)がある。」と説明している。例えば、ドイツ語のSchimmelは'「白い」と「馬」
という同時的成分から成っている。すなわちSchimmelは'「白い」と「馬」とを編入している
(in co
rporate)のである。編入
( in co
rp^orat io
n)とはtG ru be
rに従えば'語勇項目の音韻形態によって語勇前の記号列の要0素を置き換えることであか。これをG
ru 訂
rの方式で表示すれば'次の様になるであろう。CO N C
RETEANIMATE
\ /
WHlづEHORS
E‑ 472‑
♯
S ch iヨ ヨ
e‑Chomskyは'既に述べた様に'名詞に関しては'固有素性を用いて下位区分をLt動詞に関しては'厳密
下位範時化素性と選択素性を用いて下位区分をした。
G r亡 be
rは'名詞のみならず動詞をも'累加に基づいて'換言すれば'基本的意味範噴(e‑e
ヨ en ta
rySe ヨ aコ
ticcat ego
ry)に基づいて、更にその意味構造を多範噂語勇項目付与の方式によって表示しようと試みるのである。
Gru
be r
は、riseをM O T tO N
AL,POStTZONAL,UPという範噂を用いて'次のように記述してい接頭辞purh‑を持つOE派生動詞
、.ノl・▲5る。
R H一 6∫t
Vr M O T t O N A
LPO S I T IO NArUP
rlSeーノ25またsurroundをPOSITIONAL,AROUNDという範噂を用いて'次の様に記述している。
V
PO S lづlONArAROUND
surro亡nd
473‑ .
riseとsurroundをposIT10NALという同一の範噂を用いて記述することの矛盾は既に指摘した通りで
ある。この矛盾を解決するためにはtriseとSurrOundを別個の動詞に分類して'その基底動詞範境を新たに
作りtpOSIT10NAL.UP,AROUNDもそれぞれ新たな意味範暗に作り直さなければならない0riseは'移動(tran
sto ca
tio
n)を表わす動詞である。この様な動詞を「運動動詞(ver b o f m ot io n )
」と名付けることが出来る。移動のみを表示する基底運動動詞をrOCOMOづEを用いて表示することが出来る。
riseは、「上への運動(up
w ar d Lo co m ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。今、riseのこの運動の方向性(DIRECTtON)に関する基本的意味範噂をUPWARDで表示するならばtrise
の語勇記載項目は'次の様なものになるであろう。
V
5ii "川 場
rOC
OMOTEU
PWARDr‑S
e
surroundはtriseと異なり、場所内部的(int
ra L oc at )
動作を表わす動詞である。この様な動詞を、運動動詞に対して'「静止動詞(ver
b
ofrest)」と名付けることが出来る.静止動詞は'基底静止動詞LOCATEと位置(po
s
‑T‑ON)を編入している動詞である。surroundは'「(ある物)を取り巻く位置(circu
m ・p os iti on )
」という一定の位置性を持つ動作を表わす動詞である。今surroundのこの位置性に関する範噂をcIRCUM‑PO
S I
T10 N
で表わすならばtsurroundの語嚢記載項目は次の様なものになるであろう。
‑ 474‑
V
\//CHRC
U M ・
POS
iT‑ONrOCATE♯s
u r
ro亡 コ d
ロシア語
NyP
umJbは'運動動詞にも静止動詞にも属さない動詞である。Hyp
LZmbの表わす動作態様は継続態である。
KyP
Llm:bが接頭辞ebL・と結合して形成されたo・bLHyLLmbは'限界態(d eti m ita tiv e )
を表わす。
Hyp
.tLmb 8bLJ{y
LLm Jb
の表わす動作態様に関する範噂をtDELZMITATZVEを用いて表示すればtebL・の語勇記載項目は、次の様になるであろう。
接 頭辞purh‑を持つOE派 生動詞
bL
fCP
LLmb以上の考察によって明らかな様に、運動動詞は'基本的には、基底運動動詞rOCOMOTEと運動の方向性に
関する範噂を編入していると考えられる。静止動詞は、基底静止動詞LOCATEと位置性に関する範噂を編入
していると考えられる。またその他の動詞は、基底動詞と動作態様に関する範噂を編入していると考えられる。
動詞は'上で述べた方向'位置'動作態様の他に'速度(speed)'方法
( ヨ an ne
r)'様式(ヨOd e
)'道具(inst
ruヨ en
t)などに関する基本的意味範噂を編入する場合もある。これらの範噂は、名詞の固有素性と同様に'動詞の内在的特徴
( i邑 rin sic ch ar ac te ris
tic)である。Chomskyの記述方法は'固有素性と文脈素性に基礎を置‑文の構造記述である。そして文脈素性には、統合
関係の操作的分析によって得られた素性である。この様な操作的手順によって得られた素性を記述や説明の基本
に用いることは循環論に陥る。この問題を解決するためには、内在的特徴による構造記述の方向を採らなければ
ならない。
‑ 475 ‑
二
'三
運動動詞の方向性に関する基本的意味範噂ロシア語の移動動詞(VerbderFortbewegun
g
)には'定的動詞(det er m in ie rt es
Ver b )
と不定的動詞ヽノ3LL)(inde te rm in ie rte
sVer b
)とがある.定的動詞にあっては'移動はlつの方向に生じる。不定的動詞にあっては'動詞は如何なる方向指示をも持たない。従って定的動詞は'常に運動の方向性に関する意味範噂を編入して
いる動詞であると考えることが出来る。このことから'定的動詞の分析によって'その内在的特徴の一つである
運動動詞の運動の方向性に関する基本的意味範噂が得られると考えられる。
riseについては既に述べた。fallは'「下への運動(d
o
wnwardtoc om ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。fallのこの運動の方向性に関する意味範噂をDOWNWARDで表示することが
出来る。
vomitは、「外への運動(outward
to co m ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。vomitが持つ運動の方向性に関する意味範噂をOUTWARDで表示することが出来る。
drinkは'「内への運動
( in
wa rd to co m ot io
n)」というl定の方向性を持った運動を表わす動詞である。drinkのこの運動の方向性に関する意味範噂を
tN
WARDで表示することが出来る。sailは'水平で「前方への運動(.f
or w a
rd
loc om ot io n
)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。sailのこの運動の方向性に関する意味範噂をFORWARDで表わすことが出来る。
bac k
は'「後方への運動( b ac k
wardLoc om ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞でbac k
のこの運動の方向性に関する意味範噂をBACKWARDで表示することが出来る。faceは'「(何かの)前への運動(fr
o
ntw ar d to co m ot io
n)」という1定の方向性を持った運動を表わす動詞である。faceのこの運動の方向性に関する意味範噂をFRONTWARDで表示することが出来る。
hideは'「(何かの)後への運動
( hi nd w a
rdloc om ot io
n)」というl定の方向性を持った運動を表わす動詞である。hideのこの運動の方向性に関する意味範噂をHINDWARDで表示することが出来る。
一一 476
接 頭辞purh‑を持つOE派生動詞
s
k id
は、「横への運動(sidewardltOC O m Ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。skidのこの運動の方向性に関する意味範噂を
S
IDEWARDで表示することが出来る。crossは'「(何かを)横切る運動( cr os sw i
seto co m ot io n )
」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。crossのこの運動の方向性に関する意味範噂をCR
O S S
WIS
Eで表示することが出来る。directは、「(何か)の方への運動」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。directのこの
運動の方向性に関する意味範噂をづOWARDで表示することが出来る。carryは'「ある場所から他の場所への運動(tran
sit ien
tto co
mo
tio
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。carryのこの運動の方向性に関する意味範噂をTRANILIENCEで表示するこ
とが出来る。
st
ab
は'「(何かを).貫通する運動(penetration)」というl定の方向性を持った運動を表わす動詞である。stabのこの運動の方向性に関する意味範噂をPENETRAT10Nで表示することが出来る。
am+veは'「(何かに)帰着する運動」という一定の方向性を持つ運動を表わす動詞である。arriueのこの
運動の方向性に関する意味範噂をTERMINA「で表示することが出来る。
overは、「(何かを)超越する運動
( s
uper
・toc om o tio
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である.Joverのこの運動の方向性に関する意味範噂を
S
UPER.LOCOMOTZONで表示することが出来る。rotateは'「(何かの回りを)回る運動(circu m
votution)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。rOtateのこの運動の方向性に関する意味範噂をCiRCUMVOLUT10Nで表示することが出来る。
Pass(by)は、「(何かの)傍らを通る運動(at
o
ng si d e to co m ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を‑477
表わす動詞である。・rPrass(Py)のこの運動の方向性に関する意味範噂をA
L O N G S
IDEで表示することが出来る。
wanderは'「方向の走らない運動
( in d
efin ite Lo co m ot io n
)」という不定の方向性を持った運動を表わす動詞である
。 Wa n
derのこの運動の方向性に関する意味範噂をlNDEFINiTEで表示することが出来る。cling
は'「(何かに)付着する運動(addition)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。cling
のこの運動の方向性に関する意味範噂をADDITtONで表示することが出来る。leaveは'「(何かから)離れる運動(Separ at io
n)という1定の方向性を持った運動を表わす動詞である。leaveのこの運動の方向性に関する意味範噂をs
EPARAT10Nで表示することが出来る。stretchは'「1次元的運動( on e
dim en sio nal to co m ot io n )
」という1定の方向性を持った運動を表わす動詞である。StretChのこの運動の方向性に関する意味範噂をEXTE
N S 10 N
で表示することが出来る。sP re
adは'「二次元的運動(two dim en
sio
natto co m ot io n )
」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である。
SP r
eadのこの運動の方向性に関する意味範噂をEXPAN S 10 N
で表示することが出来る。swellは、「三次元的運動(three dim en sio n
atto co m ot io
n)」という一定の方向性を持った運動を表わす動詞である
。 sW
elI'のこの運動の方向性に関する意味範噂をDILATATtONで表示することが出来る。co
meは'「話者への運動( Lo co m ot io
nto w ar d th e sp ea ke
r)」というl定の方向性を持った運動を表わす動詞である
。 co
meのこの運動の方向性に関する意味範噂をTO
WARDTHES
PEAKERで表示することが出来る。
goは'「話者から離れる運動
( to co m ot io
na w ay fr om th e s
pea ke r )
」という一定の方向性を持った運‑ 478 ‑
接頭辞♪urh‑を持つOE派生動詞
動を表わす動詞である。gOのこの運動の方向性に関する意味範噂をAWAYFROMTHE
S
PEAKERで表示することが出来る。
運動動詞をVERBtt静止動詞をvERB2'その他の動詞をVER
B
3で表示し、基底運動動詞をLROI
MOづEで表示し'方向性をDiRECTIONで表示すると'運動動詞は'運動の方向性に関して'次の書き
換え規則によって書き換えられる。
VERBi(VERBt)(VERB2)(VERB,)
VERBt1(LOCOMOTE)(DIRECTION)
DIRECT
‑ O N 」
UPWARDDO W N
WARD:N
WARD●二
、四静止動詞の位置性に関する基本的意味範噂運動動詞は'移動を表わすことがその特質である。これに対して静止動詞は'場所内部的動作を表わす動詞で
ある。静止動詞については'位置に関して'運動動詞の方向性に関する基本的意味範噂と同様に'様々な基本的
意味範噂があると考えられる。surroundの分析によって得られたcIRCUM.PO
S
ITtONは、その1つである。
静止動詞の取り得る位置は、「上部の位置(upsid
e po sit io n )
」、「下部の位置(d。
wnsidepo 笠 io n
)」'「外部の位置
( ou ts id e po sit io
n)」'「内部の位置(inside p os iti on )
」'「前部の位置( fo rJe si d e p os iti on )
」、「後部の位置( ba ck sid e po sit io
n)」'「付着(adhe sio n )
」'「分離(segrega tio
n)」、「並置(ju xa po sit io
n)」、「(ある物を)由り巻‑位置(ci
rcu ‑
pos iニ o
n)」、「(ある物の)上方の位置( su
per ・p os i‑1 oコ )
」,二位置ー 479 ‑
不定
(in def
initeposi tio
コ)」である。これらの位置に関する基本的意味範噂を、それぞれUPStDE.DOWNSIDE.OUTSIDE.tNStDE.
FORESIDE.BACKSIDE.ADHES
I
DN,SEGREGATtONLUXTAPOStTtON.CZRCUM・POSTT10N.SUPER・POSIT10NLNDEFI
N t
TEで表示することが出来る。前節で述べた様に'運動動詞をVERBlt静止動詞をVERB2'その他の動詞をVERB3で表示し'基
底静止動詞をrOCATEで表示し'位置性を・PoSITiONで表示するならば'静止動詞は'その位置性に関し
て、次の書き換え規則によって書き換えられる。
VER
B
i(VERBL)(VERB2)(VERB3)VERB21(LOCATE)(POSITtON)
POStTtONL}(U?S
S
INDsEIDP)480
二
'五動作態様に関する基本的意味範噂動詞の文法範噂には、時制'法'態'相'動作態様'人称、数がある。
英語およびフランス語では'ドイツ語のAktioコ
Sa
rtに相当する語がないために'相も動作態様も共にaspectと呼ばれている。
N id a
は、as
pect( th e ki n
dofac ti o
n).Townsendは、Aktion sa rt
(type of ac ti o
n)としている。相と動作態様は、よ‑混同されるが'相が話し手の観方に依存する主観的な表現形式であるのに対
して、動作態様は話し手の観方から独立した、動作・事象のさまざまな経過状況(くe
ユa ufs
weise)に対するFHt45客観的なあるきまった表現形式である。
接 頭辞
pu血
を持 つOE
派生動詞事象の経過としては'まず開始(Ei
ns e‑Z en )
'進行(verla u
f)'および終了(Enden)がある。開始の段階を表わす動作能様は、起動態(incho
a ‑ ive
)である。これを図示すれば,・1となる。 be g in
の持つ動作能藤は起動能等ある。この動作態様に関する基本的意味範噂を(NCHOATIVEで表示することが出来る。
進行の段階を表わす動作髄様は'継続態(dura‑ive)である。これを図示すれば,1となる。Slee
P
の持つ動作能様は継続能等ある。この動作能様に関する基本的意味範噂をDURATIVEで表示することが出来る。
終了の段階を表わす動作能藤は'結果態
( res ut‑ a‑ i
ve)である。これを図示すれば・1・となる。f in is h
の持つ動作能様は'結果態である。この動作態様に関する基本的意味範噂をRESULTATtVEで表示すること
が出来る。
継続態は'動作の進行に妨げがな‑継続する場合であるが・同じ動作が反復継続する場合は,反復態(iterat
iv e )
と言う.これを図示すれば'‑・1となる。beatの持つ動作能藤は'反復態である。この動作能様に関す
る基本的意味範噂をITERATiVEで表示することが出来る。
ぁる動作が間を置いて繰返される動作能様をrepe‑i‑iveと言う。これを図示すれば・1ニーニ1二I
lとなる。inte‑itの持つ動作能様はtrep
e‑ i‑i ve
である。この動作態様に関する基本的意味範噂をREPETIITtVEで表示することが出来る。
一回の瞬間的動作を表わす動作態様は'1回能二se
m elf ac ‑iv e )
である。これを図示すれば,・となる。hitの持つ動作態様は二回能等ある。この動作態様に関する基本的意味範噂を
・・S ・
EMELFACTIVEで表わすことが出来る。
限界のある動作を表わす動作能藤を限界能de
lim i‑
a‑ive)と言う。これを図示すれば,(1)となる。‑ 481‑
glanceの持つ動作態様は、限界能苛ある。この動作能様に関する範噂をDEL
tM
ITATIVEで表示することが出来る。
動作の強度(inte
ns ity
)が次第に強まることを表わす動作態様を増加態(a ug
mentativ e )
と言う。これを図示すれば'鼻となる。
grO W
の持つ動作態様は、増加態である。この動作能様に関する基本的意味範噂をAUGMENTATIV町で表示することが出来る。
反対に動作の強度が次第に弱まることを表わす動作態様を減衰態(・a‑1eコ
ua
‑i<e)と言う。これを図示すれば、冒 V
となる。dwin dle・
の持つ動作態様は'減衰態である。この動作態様に関する基本的意味範噂をAT・
TENUATi<Eで表示することが出来る。
動作の強度が強い場合を強意態
( in te ns i
ve)と言う。hammerの持つ動作態様は'強意態である。この動作態様に関する基本的意味範噂をlNTENSIVEで表示することが出来る。反対に動作の強度が弱い場合を縮小
悲(di
ヨ in
utiくe)と言う。この動作態様に関する基本的意味範噂をDIMINU→Ⅰ<Eで表示することが出来る。
作意を表わす動作態様を作為態
( fa c‑ i‑ iv
e)と言う。setの持つ動作態様は'作為態である。この動作能様に関する基本的意味範噂をFACTITlくEで表示することが出来る。
動詞の動作態様は、次の書き換え規則によって書き換えられる。
‑ 482 ‑
(
N
CHOA T
IVEDURATI V
EAK T
IONSAR
T←RESULT A
TtV
E接頭辞purh‑を持つ
OE
派生動詞二'六、1位置の移動を表わす運動動詞と結合するPu
rh ・
b u rh
・が'位置の移動を表わすfaran (‑ to go )
やga n (‑ to go )
の様な運動動詞に添加されると'その移動を「ある地点から他の地点へ」という「地点間の移動」に限定する。
Pu
r
h・
が添加されて「地点間の移動」を表わす様になった派生動詞はtFixaspurhg合Pabassiisにおける様に経路を表わす名詞の対格を伴なう。この対格は、格文法で経路格と呼ばれるものを表示している。
P Ju rh
ganの語勇記載項目は、次の様なものとなろう.㈹\/
TRANS‑rHENCErOCOMOTE
Purhgan
‑ 483‑
武器などが主語になるとtHisswurdsCealbu
r
hganpTnesauJeleにおける様に'Pur
h・と位置の移動を表わす動詞の結合が'次節で述べる貫通する運動を表わす。このことは、動詞の意味を限定するものは'接
頭辞ばかりでな‑、主語や目的語の性格によっても限定が行われることを示唆するものである。
二 ' 六 ' 二
貫通を表わす運動動詞と結合するpurh・・
b u rh
・がtd e l
fan(Itodig)の様な貫通を表わす運動動詞に添加されると、その運動を「ある物を貫通する」運動に限定する。
この「貫通する」運動を表わす派生動詞の対格目的語はt
H
jpurhdulfonmTnehandaandmTnefet.における様に'ある体積を持った物体である。この対格は'格文法で場所格と呼ばれるものを表示している。
Purh
de lfa n
の語嚢記載項目は'次の様なものとなろう。purhde‑f
a
ョburh・は'物理的運動を表わす動詞のみでなくtSe.On(‑
to
see)やw lJ.
tan( ‑ to to o k )
の様な動詞と結合して'その動詞の運動を貫通する運動に限定する.Godgesboband廿urhse‑opeallehisgeceafta.や
we‑nemagunhygeponcesferde.agumPurhwlf.tanにおけるPurhse.
on
やPurhwl/‑tanがその例である。
‑ 484‑
二'六'三面的運動を表わす運動動詞と結合するPu
rh ・
・・gaTnの表わす位置の移動は'1次元的運動である。これに対してtSmy
ri a n ( = to sm ea
r)の様な動詞は'二次元的運動を表わす。廿urh・がsmyri
an
の様な動詞と結合すると、その二次元的運動がある場所の限界に達する迄行われることを意味する。
He・mideleandmid
crT sm a n
me.Purhsmyrede.における対格me.は、格文法で場所格と呼ぶものである。この文においてtPurhsmyrianはtSmyri
an
という二次元的運動がme.という場所の全てに百一って行われることを表示している。
接頭辞purh‑を持 つ
OE
派生動詞Purhsmyri
an
の語嚢記載項目は、次の様なものとなろう。Pur
hs m y ri a
n二'六'四副語柔的接頭辞としてのPurh・
Purh・が副語勇的に添加する動詞は'運動動詞に属さない動詞である。
burh・がtwunianの様な静止動詞と結合すると、動詞の動作能藤を持続態に限定する。wunianは't
o in ha
bitJto re m
ain,tobeused等の意味を持つがtpurh・と結合して、bur hw
unianになるとtHisrJIceburhuJunap
on e.
cnesseにおける様にtto re m
ainを意味し'その動作態様は持続態のみに限定される.のである。
bu
r
huJunianの語勇記載項目は'次の様なものである。‑
4 8 5 ‑
P u
rhwunianPurh・がteton(‑toeat)の様な不定動詞と結合するとtSewyrmba.e.agunpurhetep.における様
に'動詞の動作態様を結果態に限定する。
burhet
an
の語勇記載項目は、次の様なものであろう。V
\ ∴ .
RESUrT AT Hく E EA T
P,ur
he ta n
三'一結語
本稿の問題は'二つあった。その第一は'接頭辞purh・を持つOE派生動詞が形成される型'すなわち、こ
れらの派生動詞の形成が従う法則性の発見である。第二は'これらの派生動詞における二つの要素'すなわち'
接頭辞
bu
rhlと動詞の共起関係の説明であった。この二つの問題の解決のためにt
G ru berの提唱する多範噂語勇項目付与の方式が有効であるという見通しに
立って'運動動詞の方向性、静止動詞の位置性'および動作態様に関する基本的意味範噂を分析した。そして'
これらの意味範噂と'基底運動動詞、基底静止動詞を用いることによって'共起関係の記述と説明が可能になっ
た。
語形成の型としては、T
o
wnseコdが述べている様に、基本的には'語勇的と副語東的の二つになる。語勇的な範噂に属するものはt
b u
rh・が運動動詞と結合する場合である。この型は更に'「地点間の移動」'「貫通」'「二次元的運動」の三つに分かれる。副語勇的な範噂に属するものは〜Purh・が静止動詞およびその他の動詞‑ 486‑
接 頭辞purh‑を持つOE派生 動詞
と結合する場合である。この場合は'二つに分かれる。静止動詞と結合すると'派生動詞の表わす動作態様は、
継続態になる。その他の動詞と結合する場合には、派生動詞の表わす動作態様は'結果態になる。
[註]̲tH=u一1■HHJ川HL
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cartG.Hempet,PhilosophyOfNaturalScience,P・7・一A.D.deGroot,Methodology.岩脇三朗'梅本重夫監訳'「行動科学の方法」p・22・
Hbid..pp.33‑34.恩田彰'「創造心理学」ti)p.23‑24.
高島弘文'「カール‑ポパIの哲学」tp.46.
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Revolutions.pp ・ 52 ‑ 53
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r,Einfiihrung i n d ie
wissensch af ts th eo
rie.常俊宗三郎'西谷敬訳'「科学哲学の根本問題」tp.Nr
S
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nger.Philosop h y in a N e
uJKey.・P・)・Eti
sa be th S
tr'6k e
r,op.cit.,p.29.田辺元、「科学概論」tpp.2)6‑218.
今道友信'「存在と知識」'岩波講座哲学Ⅷtp.237.
tbi
d.,p.270.田辺元t
op
.°it.Yp.223.1bid.,p.224・
Eti
sa b et h S
tr'dker,op.°it.﹀p.74.t
b id .・, p
.76.CartG.Hempet,op.cit.,p
.9 4.
田辺元・op.C.it.,pp.224‑225,
E tis ab et h S t
r+dke r
,op
.cit.,p.32.‑ 487 ‑