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112 「蔵書検索−いま・むかし」

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Academic year: 2021

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GAIDAI BIBLIOTHECANo.231 2020年にロシア語学科が開設されるのに合わ

せて前年のオープンキャンパスでは、図書館展 示会のオブジェとしてロシア語のタイプライ ターが展示された。これは、かつて本学図書館 でロシア語の蔵書目録を作るときに使われてい たものである。

 そういえば、かつてはタイプライターを使っ ていたなぁ、我が家にもまだあるぞ!とか、蔵 書目録もよく利用したなぁなどと、使っていた 当時のことが懐かしさとともに思い出された。

 私が学生だったころは、蔵書目録が紙のカー ド型から電子化へ移行される過渡期だった。和 書や欧文の洋書は学内のコンピュータで蔵書検 索ができるようになっていたが、さすがにロシ ア語の文献は電子化されていなかった。そこで 大いに活躍していたのがロシア語でタイプ打ち された「カード目録」だった。著者のアルファベッ ト順に並んだ膨大なカードから目的の書籍名と その配架場所が記されたお目当てのカードを探 し出し、それをメモして目的の書籍にアクセス するのが常だった。目的の書籍を探し出すため にカードを一枚一枚めくっているうちに、こん な本もあるのか、あんな本もあるのか、と本来 の目的から逸脱して、タイトルからいろんな本 の内容に思いを巡らせたこともある。今ならさ しづめネットサーフィンの感覚だろうか。

 今日のように学内外の図書館の蔵書検索が手 軽にできるようになったのは、世の中にパーソ ナルコンピュータやインターネットが普及しは じめてからのこと。それまでは、必要な文献に アクセスしようとすれば、まずはどこの大学・

機関にその目的の書籍があるのか、あたりをつ けるところからスタートしなければならなかっ た。所属する大学の図書館に目的の書籍があれ ばよいが、ないとなると、それはそれは一大事 であった。そもそもその書籍がどこにあるのか。

果たして日本国内に存在しているのか。指導教 員に相談をして、その書籍の存在のありかを発

見(!)し、紹介状を書いてもらい、他大学の図 書館を緊張しながら訪問したり、その蔵書のあ る大学に通学する友人を引き連れて、その大学 の図書館を訪問したりしたこともある。一冊の 本やジャーナルにアクセスするまでに膨大な時 間や労力を費やしていたのだなと改めて実感す る。まさに人海戦術。人と人とのネットワーク が有効な時代であった。1990年代にインターネッ トの普及によってオンライン蔵書目録の「OPAC

(Online Public Access Catalog)」が構築さ れ、このシステムによって目的の書籍がどこの 大学図書館や公共図書館にあるのかが横断的に わかるようになったことは画期的なことである。

 ところで、冒頭で紹介した本学所蔵の年季の 入ったタイプライターを拝見した際にも感じた のだが、本学図書館にはロシア語学科ができる 何十年も前からロシア語を駆使し、外国語大学 としてふさわしい数々のロシア語関連書籍を蒐 集してくださっていた先人がいたことに感謝の 念を抱かずにはいられない。先見の明に長けた 先人にお礼を述べたい。この蔵書の蒐集にあた られた方はきっとロシア語学科の開設を喜ばれ ていると思う。我々後人が大いに活用したいも のである。本学図書館にはありがたいことに「ロ シア語図書書誌データベース」も存在する。「カー ド目録」から世代交代した「蔵書検索システム」

を最大限に駆使して、皆さんも知識の宝を掘り 当ててほしい。

 パーソナルコンピュータの普及とともに姿を 消していった「タイプライター」や、片手に収 まるほどの大きさ(縦75mm、横125mmが標準)

をした「カード目録」。どこへ姿を消したのだろ うか。知識の探究に疲れたら一休みして、本学 図書館内のどこかに今も存在するロシア語タイ プライターやカード目録の痕跡を探してみては いかがでしょう。

ひしかわ くにとし(教授・ロシア語学)

学生時代と図書館 112

「蔵書検索−いま・むかし」

菱川邦俊

5

研究者と図書館

GAIDAI BIBLIOTHECANo.231

参照

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