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「人口減少」が作る悲観

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Academic year: 2021

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【 視 点 】

「人口減少」が作る悲観

(財)土地総合研究所 常務理事 草間 一郎

日本の人口は2005年に減少に転じた。世の中に「少子高齢化」の文字が氾濫している。

そのような中で、「英人口、60年後に日本を逆転」というニュース(日経07年12月26 日)が出た。また、「英米の1人当たりGDP逆転も=19世紀以来初」というニュース(時 事・08年1月7日)が追いかけてきた。

イギリス政府の人口推計で、2066年には8,100万人(中位数)と現在の1.3倍になると する。合計特殊出生率は人口維持に必要な2.1(先進国ではアメリカが唯一2.1)には達 しないものの、1.9前後で安定する中で、移民の増加が続く。イギリス人自身、大英帝国 の伝統からか、海外転出が好きなお国柄のようで、10人に1人が海外で暮らしているとい われる(英国IPPR報告書=朝日07年7月6日)ほどだが、05年には、こういったイギリ スから海外への転出を上回る56万5000人が入国したという。国別ではインド、EUに加盟 した東欧諸国の中でポーランド、そして中国が多くなっている。

イギリスも、60年代から70年代にかけて、有色人種増大に対する社会的抵抗感から、移 民入国禁止に向かっていたが、90年代後半のITブームによるアメリカを先頭とした技術者 確保競争もあり、また、福祉サービス維持のための労働力の必要もあったりで、2000年に かけて移民の規制が緩和されていった。その後05年7月7日にはロンドン地下鉄同時テロ といった問題が起きたものの、経済活性化のための移民導入についての積極的姿勢は保た れている。

なお、ヨーロッパ各国は、新大陸ほどではないのは当然としても、外国生まれの人口比 率が高い。01年の数字ではドイツが12.5%、フランスが10.0%、イギリスでも12人に1 人となる8.3%となっている。

労働力の拡大が経済拡大に不可欠かとなると、労働力以上に、資本ストックや生産性の 要素の方が大きいとはいわれている。ただ、労働力の不足が制約要因のひとつにはなる。

逆に、経済拡大の差が労働力の移動を生むということについては、国内の地域間の人口移 動にはっきりと現れているだけでなく、05年に国外流出超過によりドイツで人口減少が生 じたような国際的な移動が、先進国の間でも起こっている。

日本でも研究者の流出や、さらにわかりやすいところでは、プロ野球選手が大リーグを 目指すといった野球そしてサッカーのようなスポーツの世界での話題があるが、優秀な人 材が国外に流出するという問題は、発展途上国だけの問題ではない。ひとつ間違うと、人

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口が流入しない国が、人口が出て行く国にもなりかねない。

1人当たりGDPは、2000年には日本がトップだった。05年にはアメリカ、オランダ、

イギリスに抜かれ4位の位置にいる。日本経団連は今年の年頭所感で、現状の閉塞感を打 破するためにも、今後10年以内にトップに返り咲くという目標達成を目指すことを政府に 求めた。「人口減少」と「高齢化」といった言葉が日常化していることで、そもそも完全に は見透せないはずの将来に対して、悲観的な「じり貧」意識が、日本人の発想のどこかに 入り込んでしまっている可能性がある。人種の均一性が高い日本で人口問題をどう捉えて いくかは、それぞれに歴史を背負ったヨーロッパとは同じではないのは当然だが、競争相 手でもあることだし、世界の動きを無視するわけにもいかない。国技の大相撲の横綱に日 本人がいない時代に、プロ野球選手ならぬ経済力の流出を避けるための将来ビジョンが必 要になっているようだ。

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