2021.7
2021年7月25日発行(年4回発行)第12巻第3号
世界の最新鉄道技術
グローバル時代の 鉄道技術者・マネジメント層
のための総合情報誌
出典 Railway Gazette International
出典 Der Eisenbahningenieur
ISSN 1884-734X
出典 Railway Gazette International
Table of Contents
海外主要鉄道誌 抄録 World Report Digest p3 記事抄録対象誌の概要
p4 海外主要鉄道誌 抄録
p4 コロナ後の鉄道ビジネス旅行の予測 p4 鉄道復興に向けた行動の時
p5 フランス地域圏における地方路線の再生 p6 インド国鉄の野心的な予算増額
p7 鉄道貨物輸送の起死回生策
p8 ロサンゼルスにおける長距離交通計画 p9 COVID-19 以降の需要主導型の列車運行管理 p10 トルコの国際鉄道貨物輸送の活況
p11 中国の地下鉄開業が過去最高
p12 中国の地下鉄は急速な建設ペースを維持 p13 アクセシビリティは駅デザインの中心課題 p14 鉄道網のレジリエンス測定
p15 車内空気流がコロナ感染リスクを抑える p15 アメリカの災害対策への取り組み p16 イギリスの災害対策への取り組み p17 衛星による線路近傍の状態監視
輸送・安全・環境
p18 意思決定支援ツールによる軌道保守作業の効率化 p19 軌道モニター用のスマートフォンアプリ
p20 車輪・レールの転動音対策
p21 白色塗装によるレールの温度上昇抑制 p22 鋼製まくらぎ軌道構造のルネッサンス p22 都市鉄道におけるレール再生作業 p23 高精度鋼製締結装置の有効性
p24 ヴィッティヒハウゼントンネルの短期更新工事プロジェクト p25 レッチェベルク・ベーストンネルの水害復旧
p26 鉄道構造物の標準化のさらなる発展 p27 5G を利用した航空測量
軌道・構造物
海外鉄道技術情報
世界の最新鉄道技術
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
「トンネルとその接続部(原典:ARGE Tunneler- neuerung Wittighausen)」(P24)
海外鉄道技術情報 第 12 巻 第 3 号 2021 年 7 月発行(年 4 回発行)
監修・発行所:公益財団法人 鉄道総合技術研究所
〒 185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38 本誌に関するお問い合わせ先 総務部広報 電話 042-573-7219
p28 水素燃料電池列車プロジェクト
p28 再生可能天然ガスを燃料とする貨物用機関車 p29 バイモード車のハイブリッド化
p30 LNG を燃料としたディーゼル機関車 p30 燃料電池車両の営業運転計画 p31 貨物用機関車の編成内分散配置 p31 次世代高速輸送用の独立車輪台車
p32 シュコダ社のトラムは 4 種類のラインナップで受注好調 p33 車輪・レール間の固体伝搬音に対する効率的な評価 p34 鉄道車両用転がり軸受の開発の現状
p35 車両用コネクタの商品ラインナップ p35 DC 接触器のメンテナンス低減 p36 貨車の積載量監視システム
車 両
p37 信号装置のための試験線
p38 CBTC への置き換えと運行管理の統合 p39 イタリアの高速線で ETCS が稼働 p40 大規模駅における ETCS の設置例 p41 幹線における ATO の研究 p42 在来鉄道路線の自動列車運転
p43 PRISMA プロジェクトによる列車運行管理
p44 ガイド付き輸送システムに対する安全性等の包括的アプローチ p45 相互運用可能なサイバーセキュリティ標準
p46 自宅のネット環境を車内でも 情報・信号通信
2021.7 Vol.12 No.3
「トンネル内の DTC 運用(原典:Thales)」(P38)出典:Metro Report International
「上海地下鉄 15 号線はドライバーレスで 1 月 23 日に開業 した。」(P12)
出典:Metro Report International
「アクセシビリティを最適化しつつ、多数の座席・立席を 確保した車内。」(P13)
出典:Metro Report International
出典:Der Eisenbahningenieur
海外鉄道技術情報
世界の最新鉄道技術
World Railway Technology
記事抄録対象誌の概要
本誌で紹介する海外鉄道技術誌の抄録対象は以下の 5 誌です。写真や図表とともに記事の抄録をしています。
発行:毎月 分野:鉄道全般 言語:英語
概要:世界の鉄道に関する最新のニュースや技術 を紹介しています。数行のブリーフニュー スから 1 ~ 4 ページの特集記事で構成し ています。
① RGI: Railway Gazette International
発行:年 10 回
分野:鉄道輸送、車両、軌道・構造物、情報・信 号通信など
言語:独語(特集記事は英語サマリーあり)
概要:ドイツを中心にした最新の鉄道技術を紹介 し、ほぼ全分野の記事になります。
④ ETR: Eisenbahntechnische Rundschau
発行:年 10 回 分野:情報・信号通信 言語:独語・英語併記
概要:ドイツを中心にした情報・信号通信分野に おける最新の鉄道技術を紹介しています。
本文、図表キャプションともに独語と英語 を併記しています。
⑤ SD: SIGNAL+DRAHT
発行:年 2 回 分野:都市鉄道 言語:英語
概要:世界の鉄道のうち、地下鉄、路面電車、ラ イトレールなどの都市鉄道に関する最新の ニュースや技術を紹介しています。RGI 誌 の姉妹誌です。
② MRI: Metro Report International
発行:毎月
分野:軌道・構造物、鉄道輸送、情報・信号通信、
車両など 言語:独語
概要:ドイツを中心にした最新の鉄道技術を紹介 し、約半数が軌道・構造物分野の記事にな ります。
③ EI: Der Eisenbahningenieur
パンデミック後の鉄道遠距離旅客輸送が危機前のレベル に回復するチャンスは顧客層により異なっている。戦略的 に重要な顧客層であるビジネス旅行者は、新しい働き方に
よって持続的な減少傾向を有している。これはドイツ、オー ストリア、スイス、スウェーデンの 4 か国の消費者アン ケートの結果から結論づけられる。
コロナ後の鉄道ビジネス旅行の予測
原題:
Perspektiven für Bahn-Geschäftsreisen nach der Corona-Pandemie
●著者・所属:Andreas Krämer;exeo Strategic Consulting 社、会長、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.3(2021-3) pp.13-19
●言語:独語
鉄道ビジネス旅行者層の輸送機関別の利用 変化(2019 年 10 月に対する 2020 年 10 月 の国ごとの百分率)(原典:exeo/Rogator 2020)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
ほぼ 200 年にわたり、鉄道は欧州における人流や物流の基盤であり、従事員 として数十万人、関連産業を含めれば数百万人の雇用を生み出してきた。蒸気機 関車やオリエントエクスプレスに代表されるロマンに満ちた鉄道の時代は過去の ものとなりつつあり、近年の革新的でデジタル化の進んだ鉄道は、今では人々の 生活の礎になっている。ブリュッセル(EU 本部)発の EU グリーン・ディール や「2021 欧州鉄道年宣言」によって鉄道復興への関心が高まる一方、高齢化に よる熟練従事者の大量退職と新規採用抑制、さらには急速なデジタル化を背景に 鉄道産業従事者のスキル不足が深刻化している。近年の技術革新とデジタル化は 若年世代の鉄道への関心を高めており、こうした世代を対象に、将来の持続可能 な鉄道を見据えて関連技術の研修や教育の見直しが進められている。
鉄道復興に向けた行動の時
原題:
Time to HOP on board
●著者・所属:Jean-Philippe Peuziat;UNIFE、広報部長
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.4(2021-4) pp.28-29
●言語:英語
鉄道の運行、機器製造・供給のあらゆる局面 でデジタル・スキルの必要性は増大している。
出典 Railway Gazette International
昨年 12 月の法改正により、フランスでは region(各地 域圏行政府)が域内の地方鉄道路線と支線の運用責任を担 うことになった。これは主として輸送量の少ない路線を対 象としたものであるが、地域圏行政府が望めば、これを機 に路線の運用権限を国から地域圏へ移譲できることを意味 する。運輸省と SNCF Réseau(フランス国鉄インフラ部門)
もこれを是認している。これはマクロン大統領の地方分権 化政策に沿ったものであり、さらなる法改正により鉄道網 は SNCF 直轄路線、国と地域圏が共同で管理する路線、要
望に応じて地域圏に移譲される路線の 3 カテゴリーに分 割されることになる。これに伴い、SNCF グループの社員 は期限付きで地域圏に配属替えとなる。地域圏に移譲され た路線では、軽量化された燃料電池車両の導入、信号設備 の簡素化、管理基準の見直しなどにより、コスト削減が見 込まれる。移譲に際しては現在の路線分類との整合性、輸 送量の推移、従来からの管理規約の変更など、さまざまな 制約や検討事項があるが、政府のテコ入れにより着実に進 行することになる。
フランス地域圏における地方路線の再生
原題:
Regions take on revival of rural routes
●著者・所属:Christian Scasso
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.4(2021-4) pp.38-41
●言語:英語
ルール~ルクセイユ間の輸送はブルゴーニュ・フ ランシュ= コンテ地域圏の仕様に準拠している が、少数のみ運行されている列車はすべて地域圏 内のエピナル止まりであり、地域圏に移譲される 路 線 の 典 型 的 な 姿 で あ る。(原 典:Jean-Paul Masse)
出典 Railway Gazette International
地域圏による投資はすでに始まって いる。クレモン・フェラン~ニーム 線はオクシタニー地域圏が引き受 け、サービス仕様の決定とレジオリ・
バイモードトレインへの投資を行っ た。(原典:Jean-Paul Masse)
出典 Railway Gazette International
インド政府は 2030 年までの国家鉄道計画を 策定し、これに沿って 2021 年度の鉄道予算を 大幅に増額した。この計画の目標は、貨物輸送 の鉄道シェアを 2030 年に現在の倍の 45%に するという野心的なものである。このために 2022 年にフル運転を開始する予定の 2 路線に 加えて、貨物専用線として東海岸線 1,114km、
東西線 2,328km、南北線 2,327km を建設する。
また、旅客については北部、西部、南部のおも な 都 市 す べ て を 高 速 鉄 道 で 結 ぶ。 さ ら に 46,000km に及ぶ広軌路線の電化率を現在の 72%から 100%にする。貨物の目標を達成する ためには輸送量を年率 9%で増やす必要があ る。旅客輸送量の目標は年率 4%増である。
インド国鉄の経営の課題は、社会政策のため 旅客運賃が低く抑えられていることであるが、
一方で近年は人件費が急増している。この 6 年 間で従業員数を 5%減らしたにもかかわらず、
人件費は 82%増加している。
インド国鉄の野心的な予算増額
原題:
Budget sets ambitious targets
●著者・所属:Raghu Dayal;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.4(2021-4) pp.42-44
●言語:英語
インド国鉄の輸送量と営業収支 出典 Railway Gazette International インド国鉄の設備、職員と生産性指標
出典 Railway Gazette International
フランス鉄道貨物輸送事業の振興組織である OFP(Op- erateur Ferroviaire de Proximité)の第 10 回セミナーにお いて、ジャック・ショーヴィノー理事長は同国における鉄 道貨物輸送の現状に対して深刻な懸念を表明した。現在の 国内総輸送量 3,700 億トンキロの大部分はトラック輸送が 占めており、鉄道のシェアはわずか 320 億トンキロにと どまっている。この会合でジャン・バティスト・ジェバリ
運輸大臣は鉄道貨物輸送の重要性を強調するとともに、そ の競争力、生産性および信頼性向上のための支援策として、
事業者への支援、鉄道輸送インフラの近代化投資および SNCF 路線網の設備使用料の減免措置の 3 つの施策を提言 し、参加者に歓迎された。しかし気候変動防止の観点から すると、これだけでは不十分で、ヨーロッパ全体としてイ ンターモーダル輸送推進の必要性が指摘されている。
鉄道貨物輸送の起死回生策
原題:
Government acts to lift freight from last year’s nadir
●著者・所属:Murray Hughes;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.1(2021-1) pp.26-28
●言語:英語
インターモーダル貨物とピギーバックを混載して ディジョン南方のヤードから PLM 幹線に向かう列 車(原典:Christophe Masse)
出典 Railway Gazette International
プロヴァンスとヴィエ・サンジョルジュ間の単線区間を運行する Fret SNSF の穀物専用貨物列車(原典:Christophe Masse)
出典 Railway Gazette International
この記事はロサンゼルス郡における新たな長距離交通計 画に関する内容である。2020 年 5 月、同郡の運輸当局は
「長期交通計画」の草案を発表し議論を行った。これはお もに、「対策パッケージ」に対する国民の承認と、目的に 関連した VAT(付加価値税)の増加による広範な資金調達 にもとづいている。コンセプトは 1990 年代に、すでに開 始された地域の「交通政策の変更」を背景にしている。こ
の地域は過去何十年の間、「自動車文化のメトロポリス」
を明確な「地方交通志向」と見なしていた。計画の焦点は、
最新のライトレールシステムのネットワークを拡大するこ とにある。複雑な居住構造の交通指向の地理的条件のため に、この計画は多くの点で、ドイツの大都市における行動 をモデルとしている。
ロサンゼルスにおける長距離交通計画
原題:
Los Angeles County - “2020 Langfristiger Verkehrsplan”
●著者・所属:Andreas Kossak;Kossak Forschung & Beratung 社、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.3(2021-3) pp.26-32
●言語:独語
計画された交通プロジェクト
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
現在のパンデミックの状況は私たちの日常生活に長期的 な変化を引き起こす。人々が都市鉄道輸送、つまり地下鉄 シ ス テ ム を 使 用 す る 方 法 に も 影 響 を 与 え て い る。
COVID-19 パンデミックにより、わずか数週間で平均乗客 数が半分以下に減少したケースもある。地下鉄システムの 運行管理をこの新しい状況に適応させることが不可欠であ る。運用コストの最適化、適合した列車ダイヤの確保、お よび乗客の期待への対応の間で実行可能なバランスをとる 必要もある。特に進行中の都市化とその結果としての乗客 数の増加や効率向上の期待により、パンデミック後もリア ルタイムに地下鉄運行管理を行う方法は中心的なトピック であり続けるであろう。
列車や駅の混雑は、駅の安全性を始め、列車ネットワー クのダイヤの正確さや全体的な乗客体験に影響を与えるだ けでなく、鉄道事業者が行う業務にも大きな影響を及ぼす。
一部の鉄道事業者は、列車の遅延の場合に乗客への払い戻 しをしなければならない。また、駅の列車待ち時間が長かっ たり、過密状態だったりして、サービスの評判が悪くなっ ているところもある。この記事では、これまでの列車ダイ ヤ作成に使用されてきたプロセスを調べ、駅の稼働率の課 題に対処する。次に、すでに利用可能な革新的なテクノロ ジーが乗客の流れの自動記録にもとづいて、真に需要主導 型の列車ダイヤを作成する方法をどのように提供できるか を示す。
COVID-19 以降の需要主導型の列車運行管理
原題:
Fahrgäste, Stationen & Züge im Mittelpunkt - bedarfsgerechter Betrieb während COVID-19 und darüber hinaus
●著者・所属:Hartmut Huber;Siemens Mobility 社、プロジェクトマネージャー、ドイツ Theresa Pancini Fitzek;Siemens Mobility 社、プロジェクトマネージャー、ドイツ Fabian Joos;Siemens Mobility 社、デジタル化担当、ドイツ
●誌名:SIGNAL+DRAHT Vol.113 No.1+2(2021-1+2) pp.6-11
●言語:独語 / 英語
需要予測と実際の輸送需要の比較 (原典:Siemens Mobility GmbH)
出典 SIGNAL+DRAHT
需要にもとづいた列車制御のためのシステ ム構造(原典:Siemens Mobility GmbH)
出典 SIGNAL+DRAHT
トルコでは COVID-19 パンデミックによる道路国境封鎖によってト ラック輸送が制限され、国際鉄道貨物輸送が急増している。同国の国 際鉄道貨物輸送は 2020 年の最初の 9 か月間で 2.6 百万トンになり、
対前年 34%増ですでに前年 1 年間の総量を超えた。イランとの道路 国境の完全封鎖により、トルコからイラン経由でアフガニスタンやパ キスタンへの鉄道貨物輸送は 2021 年には百万トンを超えるとみら れ、この状況が続くと、トルコの陸上貨物輸送における鉄道のシェア は直近の 5.15%から約 10%に上昇すると予想される。一方、2020 年 にボスポラス海峡を通るマルマラトンネルが開通し、ヨーロッパと中 国をトルコ経由で結ぶ路線が開業した。これは輸送コストおよび輸送 日数の削減、発着の確実性をもたらし、輸送量は前年に比べて倍増す るとみられる。世界銀行はトルコの貨物鉄道の輸送力強化のために、
2020 年に 314.5 百万ユーロ(約 418 億円)の借款を承認した。
トルコの国際鉄道貨物輸送の活況
原題:
Freight won’t wait
●著者・所属:David O’Byrne;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.3(2021-3) pp.32-34
●言語:英語
トルコ国鉄の貨物輸送拠点
出典 Railway Gazette International
トルコ国鉄の貨物輸送拠点(原典:©Railway Gazette 2021)
出典 Railway Gazette International
2020 年の最終週に、およそ 700km の地下鉄・トラムの新路線お よび拡張路線が中国の 15 都市で開業した。29 に上るプロジェクト の成果である。
中国の地下鉄開業が過去最高
原題:
Metro openings hit record high
●著者・所属:Toma Bačić;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.2(2021-2) pp.38-43
●言語:英語
2020 年 12 月に開業した中国の地下鉄一覧
出典 Railway Gazette International
寧波の乗客は 12 月 23 日開業した海岸都市で 4 番目の地下鉄線を熱心に試している。
出典 Railway Gazette International
勢いの衰えない都市人口の増加と政府の景気刺激投資政策を背景 に、中国の地下鉄とトラムの建設はめざましい速度で進んでいる。
過去半年の間に 20 の都市で合計約 1,000km の路線が営業運転を開 始し、多くは 12 月に開業した。43 の新規開業(延伸を含む)路線 のなかには、GoA4(自動運転のレベル 4)の無人運転設備を備え た 4 路線が含まれている。その一つは、中国で最も新しく地下鉄が 開業した太原市の 2 号線である。また、1 月に開業した上海の 15 号線も自動運転である。これらの開業で、上海市の地下鉄は延長 772km、459 駅と世界一の座を一層強固にした。
中国の地下鉄は急速な建設ペースを維持
原題:
Metro openings continue apace
●誌名:Metro Report International Vol.35 No.1(2021-4) pp.6-7
●言語:英語
最近の中国の地下鉄開業
出典 Metro Report International 上海地下鉄 15 号線はドライバーレスで 1 月 23 日に開業した。
出典 Metro Report International
パリ北西部のサン=ドニ地域には、グラン・パリ当局に よって創設された通称「メトロ工場」と呼ばれる GPE(グ ラン・パリ・エクスプレス)計画の立案や技術開発の拠点 が存在し、近くイル・ド・フランス地域圏で実現化される 予定の自動化されたメトロネットワークに関わる、あらゆ る試験や調整を行っている。GPE はヨーロッパにおける近 年の鉄道投資計画として最大級のもので、20 年間で 350 億ユーロ(約 4 兆 6,600 億円)を投じ、新線建設と路線延 長、68 の新駅設置等により、200km の無人運転メトロ網 を建設する。この計画ではイル・ド・フランス圏で少なく とも全人口の 12%と見積もられる交通弱者(障碍者、高 齢者、子供、妊婦など)に対して、新たなメトロへの行き 届いたアクセシビリティを提供することに重点を置いてい る。そのための対策として、駅へのアクセスの容易性確保、
駅構内の移動量削減、駅出入口の自動化、プラットホーム と車両間のギャップの縮小、券売機や案内表示および車内 の車椅子対応等が進められる。プロジェクトによる最初の 路線が開通するのは数年先となるが、より良いアクセシビ リティをめざして改善が進められる。
アクセシビリティは駅デザインの中心課題
原題:
Putting accessibility at the heart of design
●著者・所属:Christian Scasso
●誌名:Metro Report International Vol.35 No.1(2021-4) pp.30-33
●言語:英語
アクセシビリティを最適化しつつ、多数の座席・立席を確保した車内。
出典 Metro Report International
(上) 案内の容易さを考慮 した改札口と駅事務所。
(下) 車椅子ユーザー向け にデザインされた券 売機。
出典 Metro Report International
この記事は鉄道のトラブルに対するレジリエンス(回復 力)を定量化する手法に関する内容である。鉄道事業にお ける容量制限の影響を定量的に評価する手法が開発され た。具体的には列車の運休、迂回ルート、短縮ルートが決 定され、評価される。これにより、ネットワークオペレー
ターはレジリエンスを重視した方法での投資管理、技術コ ンポーネントの可用性を向上させる措置の開始、ならびに 制限の少ない設計方法を選択するためのオプションの作成 等が容易となる。
鉄道網のレジリエンス測定
原題:
Resilienzmessung in Schienennetzen
●著者・所属:Geographin Olga Konovalow;DB Netz 社、インフラ開発責任者、ドイツ Timm Kretschmar;DB Netz 社、ネットワーク開発、ドイツ
Gerald Pfau;DB Fernverkehr 社、時間管理責任者、ドイツ
Mirko Vogel;DB Netz 社、ネットワーク計画およびモデリング責任者、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.4(2021-4) pp.30-33
●言語:独語
参考事例 2040 にもとづく、ヘッセン州の地域輸送の影響例(原典:eigene Darstellung)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
車内空気流がコロナ感染リスクを抑える
原題:
Airflow study helps coronavirus fight
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.5(2021-5) pp.17
●言語:英語
マンチェスター圏ライトレール車両では、換気装置によ る空気の定常的な循環によって、エアロゾルによるウイル スの感染リスクを抑えることがわかった。マンチェスター 圏輸送会社におけるボンバルディア製 M5000 トラムの空 気流モデルをアラップ社が担当し、英国ではこの種の研究 は初めてであることを発表した。M5000 は屋根上のファ ンによって換気され、座席下の換気孔から空気が排出され る。このモデルでは特にエアロゾルのウイルス伝搬可能性 の観点から車両内の空気流を予測した。その結果、換気装 置が 50%の稼働でも 1 時間に 20 回の空気が入れ替わるこ とがわかり、これは英国の緊急時科学支援グループの推薦 よりも良い性能である。
出典 Railway Gazette International
この記事はアメリカの自然災害、異常気象災害等に対す る取り組みを紹介する内容である。暴風雨、落雷、竜巻、
地震は、遅かれ早かれ鉄道の資産に影響を及ぼし、洗堀、
地すべり、倒木や送電線が用地を侵すリスクがある。激し い風は、その経路にあるすべてのものを倒壊する。豪雨は 川や湖を氾濫させ、大規模な浸水につながる可能性があり、
堤防が破壊され、橋が基礎から崩壊するリスクもある。た
とえば、「慎重な管理者は、嵐が近づいていることを十分 に警告した上で、従業員とモバイル機器を事前に邪魔にな らない場所に移動し、必要に応じて列車を停止または迂回 させようとする」。長年の経験にもとづいて、大小の米国 の鉄道は、異常気象やその他の自然災害の影響に対処する ための費用対効果の高いアプローチを開発し、対応戦略を 進化させ続けている。
アメリカの災害対策への取り組み
原題:
Living with extreme weather
●著者・所属:DaveLustig;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.3(2021-3) pp.24-27
●言語:英語
カリフォルニア州ムーアパーク近くのグライムスキャニオンにあるメトロリンクのベンチュララインの洗堀されたセクションの緊急補修工事。(原典:Dave Lustig)
出典 Railway Gazette International
この記事はイギリス・ネットワークレール社の自然災害、
異常気象災害等に対する取り組み(TrackWater 2.0)を紹 介する内容である。同社は、より広範な気象回復力と気候 変動への適応戦略の一環として、土工と構造物の管理を見 直している。また、自身の影響を緩和することを目的とし た環境イニシアチブも実施している。洪水につながる事故 は乗客に遅延を引き起こす可能性があり、インフラに損傷 を与え、他の障害を引き起こす。地すべりや浸水軌道にお ける軌道回路の故障などのリスクがある。
イギリスの災害対策への取り組み
原題:
Getting to grips with climate change
●著者・所属:Martin Frobisher;Network Rail 社、安全工学グループ責任者、イギリス
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.3(2021-3) pp.18-22
●言語:英語
気象パターンの変動性が高まると、
全体的な回復力を高めるための対 策が講じられない限り、臨界しき い値を超えるリスクが高まる。
出典 Railway Gazette International
(上) レッドヒル・トンブリッジ線は、2019 年 12 月に発生したエデンブリッ ジ近くの地すべりを受けて、大規模な補修工事のために 3 か月間、閉鎖
(下) NR(ネットワークレール)は、2020 年 2 月に洪水の被害を受けたドラッされた。
クス発電所に通じる支線の修復に 2 か月を費やしたが、週に 90 本以上 のバイオマス列車の路線を維持した。
出典 Railway Gazette International
衛星から線路とその近傍を撮影し、AI を用いた画像処 理により、草木の繁茂、倒木、地すべりを起こす可能性の ある地盤の変状を検知して、列車運行の安全を守るシステ ムを LiveEO 社と DB Netz 社が共同開発している。巡回し て目視検査をする方法に対して大きな省力化が見込まれ、
容易に検査頻度を上げることもできる。ドローンやヘリで 撮影する方法もあるが、運行への影響を判断するための画
像処理は衛星からの撮影の方が容易である。また、ドロー ンなどでは定期的な撮影はコストが大きい。しかし、衛星 からの撮影は日中、雲がない場合に限られるので、2 つの 方法をうまく併用する手法を考えることが重要である。こ の 2 年間の共同開発で、衛星撮影画像と現地調査を突き合 わせることにより、草や樹木の侵犯によるリスク判定の確 度を上げることができた。
衛星による線路近傍の状態監視
原題:
Eyes in the sky keep railways clear
●著者・所属:Hanna Schreier;LiveEO 社、事業開発マネージャー
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.5(2021-5) pp.43-44
●言語:英語
線路に近接する草木のリスクを LiveEO's というソフトで分類できる。この例では 4 段階に分類している。
出典 Railway Gazette International
衛星方式とライダー方式の比較
出典 Railway Gazette International
シンガポールの地下鉄を運営する SMRT Trains 社は、
Bentley Systems 社が開発した軌道保守管理システム PDSS により、保守作業の効率化、故障低減目標の達成に努めて いる。従来は列車キロ 100 万 km 当たり 1 回以下という 目標を達成するために、軌道保守作業の箇所や日時の決定、
要員の配置計画の作成に多大な時間を要していた。PDSS では軌道のコンディションデータなどから最適な作業計画
案を作成し、パソコンにわかりやすく表示される。このシ ステムは現在、軌道更新作業について実用レベルに達して おり、現場のスタッフにも喜ばれている。2020 年末には SMRT の技術者がソフトを改修できるようになり、突き固 め、レール研削作業やそれに伴う保守用車の配置を含めた 作業計画についてシステム開発を進めている。
意思決定支援ツールによる軌道保守作業の効率化
原題:
Decision support tool drives up network performance
●著者・所属:Brandon Kuah;SMRT Trains 社、施設部副部長、シンガポール
Jessie Nguyen Thuy Ngoc;SMRT Trains 社、施設部マネージャー、シンガポール Andrew Smith;SMRT Trains 社、交通設備管理部、上級マネージャー、シンガポール
●誌名:Metro Report International Vol.35 No.1(2021-4) pp.50-51
●言語:英語
コンディションレポートと作業提案が PDSS により自動的に作成され、ウェブブラウザで見ることができる。
出典 Metro Report International
軌道のコンディションデータは PDSS により照合され、グラフィカルユーザインターフェースにより素早く概観できる。
出典 Metro Report International
軌道・構造物
軌道検査には特殊な試験車が投入されている。すべての 軌道を連続的に検査すること、たとえば毎日の測定はこの 種の車両では不可能である。それに対してスマートフォン があり、その統合センサー機能は常に強化されている。す
ぐにスマートフォンを鉄道システムの監視に用いることは 考えられないが、通常運転の走行品質をしっかり把握する ことはできる。
軌道モニター用のスマートフォンアプリ
原題:
Track Monitoring Smartphone-App
●著者・所属:Annika Hauptvogel;Siemens Mobility 社、サービス技術課長、ドイツ Lukas Stübinger;Siemens Mobility 社、デジタルサービス課長、ドイツ
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.4(2021-4) pp.47-49
●言語:独語
軌道モニター用のスマートフォンアプリ(原典:eigene Darstellung)
出典 Der Eisenbahningenieur
今回の実証投入でのスマートフォンの調整・保管状態 出典 Der Eisenbahningenieur
軌道・構造物
人口稠密地域での厳しい騒音問題に直面しているトラム やライトレール等の運行事業者において、現在開発中の新 しいレール削正技術が助け舟になることが期待されてい る。ウィーン市交通局はトラムネットワークでレール削正 車 ATMO (Automatic Track Machine Oscillator)のプロト タイプの試験を開始した。これはウィーン工科大学の研究 にもとづき、“Shift2Rail/In2Track” 研究プロジェクトの一 環として、関連企業、大学および鉄道インフラ事業者と協 力してプラッサー社が開発した。近年、トラムやライトレー ルは急速に発展し、その環境騒音対策が鉄道路線計画上の
新たな課題となっている。都市内では 50km/h 域での転動 音が主たる騒音源であり、その対策として車輪とレールの 表面粗さの除去が効果的である。レール削正に関しては、
従来の砥石をレールに押し付ける砥石しゅう動方式に比 べ、グラインダーをレール軸に沿って前後に振動させなが ら研削する方式が効果的である。30km/h のレール削正速 度は営業時間帯での削正作業を可能とする。現在実施中の プロトタイプの試験結果にもとづき、最適化に向けてさら なる改良が進められる。
車輪・レールの転動音対策
原題:
ATMO takes to the tracks
●著者・所属:Bernhard Antony;Plasser & Theurer 社、プルカースドルフ技術センター所長、オーストリア
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.5(2021-5) pp.38-40
●言語:英語
ウィーン市のトラムネットワークで試験中 の都市鉄道向け ATMO レール削正機 出典 Railway Gazette International
削正前後のレール表面(左:削正前、右:削正後)
出典 Railway Gazette International
軌道・構造物
この記事はレールを白色に塗装することによりレール温度を 下げる試みの紹介である。DACH (ダッハ:スイスのドイツ語圏)
地域では、DB、ÖBB、SBB が軌道の安定性を高めるための手 段として、「白い」レールの有効性を試験している。各社はこ こ数年、レールを白色化することでレールの温度を永久的かつ 大幅に下げることの可能性を調査してきた。平均 3K (ケルビ ン)から最大 8K の温度低下は、レールを体系的に白色化する ことを正当化するものではない。
白色塗装によるレールの温度上昇抑制
原題:
Robuste Gleise im Sommer
●著者・所属:Andreas Beck;DB Netz 社、軌道技術責任者、ドイツ
Bernhard Knoll;ÖBB-lnfrastruktur 社、軌道構造チームリーダー、オーストリア Norbert Krebs;Infrastruktur SBB 社、システム管理技術部長、スイス
Lukas Roessler;Infrastruktur SBB 社、レールおよびレール溶接の製品マネージャー、スイス
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.4(2021-4) pp.20-25
●言語:独語
スプレーノズルがレールに白色塗料を均一に塗布する。(原典:ÖBB Infrastruktur GmbH / Bernhard Knoll)
出典 Der Eisenbahningenieur リュシーのレール塗装仕様(原典:Infrastruktur 588 / Philippe Schneider)
出典 Der Eisenbahningenieur
軌道・構造物
この記事は鋼製まくらぎに関連する締結装置等の新技術 に関する内容である。スイスの鉄道業界との協力により、
ポイント用も含めた鋼製まくらぎを備えた SBS (弾性絶縁 レール固定システム)が開発された。このシステムは実験 室および実用条件の両方で試験されている。スイスの多く
の試験軌道には、すでにこのシステムが設置されている。
型式承認は 2020 年 12 月 21 日にベルンの BAV (連邦運輸 局)によって付与された。これにより、インフラのオペレー ターは最先端の鋼製まくらぎを使用した軌道構造の設計に 関する新たな選択肢を取得した。
鋼製まくらぎ軌道構造のルネッサンス
原題:
Renaissance des Stahlschwellenoberbaus
●著者・所属:Jia Liu;DB Netz 社、軌道技術、ドイツ
Jean-Michel Farine;Schwihag 社、軌道および分岐器技術、プロジェクトマネージャー、スイス
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.4(2021-4) pp.26-30
●言語:独語
都市鉄道においても摩耗と損傷によって、レールの使用 寿命が常に短くなっている。そこで早すぎるレール交換を 減らす目的の保守対策効果が重要である。この都市鉄道の
課題に対しては高性能なレール研磨装置が適している。
レールの損傷状態にほとんど関係なく、損傷のない新品状 態にする保守技術が可能性を提供する。
原題:
Regenerative Schienenpflege bei Stadtbahnen
●著者・所属:Richard Stock;Linsinger 社、研磨技術課長、カナダ
Thomas Rupp;Albtal-Verkehrs-Ges. 社、インフラ保守部長、ドイツ
Johannes Wundersamer;voestalpine Track Solutions Germany 社、研磨装置販売課長、ドイツ
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.3(2021-3) pp.16-19
●言語:独語
コンクリートまくらぎの W 分岐コンセプト(左)と鋼 製まくらぎの分岐コンセプ ト(右)の比較
出典 Der Eisenbahningenieur
都市鉄道におけるレール再生作業
AVG に投入されたレール研磨装置 Linsinger MG11(原典:Linsinger)
出典 Der Eisenbahningenieur
軌道・構造物
重積載の列車輸送のために鉄道陸橋上での困難な運用上 および軌道形状的な境界条件に合うように、レール締結装 置を改良しなければらない。従来は ECF (弾性締結装置)
がレール締結を担っていたが、オーバーカント区間ではポ
リマーコンクリートを充てんする。これを改善するため、
ティッセンクルップ社で開発された PSH (高精度鋼製締結 装置)とレール締結装置が用いられる。試行試験では新し いシステムの有効性についての知見が得られた。
高精度鋼製締結装置の有効性
原題:
Pilotversuch - Präzisionsstahlhöcker statt Unterguss
●著者・所属:Theresa Zimmmermann;DB Netz 社、レール締結システム担当、ドイツ Günter Seidl ;ポツダム専門大学、教授、ドイツ
Andreas Höregott;ibb Mangold 社、スペシャリストプランナー、ドイツ Thomas Ritlewsky;thyssenkrupp Schulte 社、軌道サービス課長、ドイツ
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.3(2021-3) pp.25-29
●言語:独語
150 番締結装置、溶接前の外軌側 PSH 出典 Der Eisenbahningenieur PSH 設置後の先行試験の成功
出典 Der Eisenbahningenieur
軌道・構造物
ヴィッティヒハウゼントンネルは 150 年の歴史を持つ老 朽トンネルであり、その改修に際しては厳しい時間的制約 の下で、プロジェクトの立案、実行が必要とされた。DB Netz 社における既設線のトンネル更新工事では、プロジェ クトの開始から設備の使用開始までの期間として通常、7 年を見込んでいるが、同トンネルの場合は更新工事のため に費やすことのできる期間が 4 年間しかとれず、いわば工 期重視のプロジェクトであった。このため、工事に際して
は細心のリスクマネジメントが導入された。計画初期にお ける明確な目標設定と関係者間の意識の共有、要員確保と 資金調達、工事期間中の厳格なスケジュール管理と工事品 質確保の徹底などにより、計画開始からわずか 4 年後に試 運転を行うことができた。この結果、工事の進行にとって 本質的でないプロセスの排除、仕事における通常の行動プ ロセスからの脱却と関係者の合意、プロジェクトチーム全 員の高い能力と士気の必要性が教訓として得られた。
ヴィッティヒハウゼントンネルの短期更新工事プロジェクト
原題:
Wittighausen - kurzer Tunnel, schnelles Projekt
●著者・所属:Elisabeth Obiero;DB Netz 社、プロジェクトマネージャー、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.4(2021-4) pp.34-38
●言語:独語
トンネルとその接続部(原典:ARGE Tunnelerneuerung Wittighausen)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
軌道・構造物
スイスアルプスを貫く 34.6km のレッチェベルク・ベー ストンネルは、2020 年に予期せぬ事故が生じ、鉄道運行 事業者である BLS は同年春に輸送障害を強いられた。と りあえず復旧したが、9 月から再び運行が阻害され、2021 年 2 月 26 日に再復旧した。そのおよそ 1 年前、同トンネ ルは主として東側坑道での大量出水と土砂流入により、断 続的な閉鎖を余儀なくされた。南側でカルスト地形の石灰
岩の下を貫いていることが原因である。トンネル内の排水 パイプが大量の土砂で目詰まりし、破損したことで、大量 湧水と土砂流入につながった。このためトンネル東側に巨 大な沈殿槽を設け、ここに湧水を導いて、沈殿した土砂を 定期的に搬出する対策をとって運転再開した。さらに抜本 的な対策に向けて検討が続いている。
レッチェベルク・ベーストンネルの水害復旧
原題:
Lötschberg Base Tunnel flood damage repaired
●著者・所属:Toma Bačić;Railway Gazette International 誌
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.4(2021-4) pp.22-23
●言語:英語
出典 Railway Gazette International
ベーストンネル西側坑道に流入した湧水と土砂の撤去およびトンネル壁面補修には数か月を要した。
出典 Railway Gazette International
軌道・構造物
この記事は鉄道構造物に係わる DB (ドイツ鉄道)の標 準化(ガイドライン)の進展に関する内容である。これま での経験とニーズにもとづいて、Ril (指令) 804.9040 は 2m から 16m のラーメン構造に拡張された(2013 年)。
これが使用されて以来、多くの経験が得られ、さらに、よ り大きなスパンでラーメン構造を標準化するという要望が
大きくなった。その結果、以前の経験と最適化要求が改訂 Ril 804.9040 に反映された。また、このガイドラインは最 大 16m の幅を持つラーメン構造の規制を含むように拡張 された。寸法については、現在の技術的な建築規制が考慮 されている。
鉄道構造物の標準化のさらなる発展
原題:
Weiterentwicklung der Standardisierung von Rahmenbauwerken
●著者・所属:Markus Hennecke;Zilch + Müller Ingenieure 社、EBA 認定テストエキスパート・エグゼクティブパートナー、ドイツ Tristan Mölter;DB Netz 社、EBA 認定テストエキスパート、ドイツ
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.3(2021-3) pp.39-42
●言語:独語
BIM ツールを適用したラーメン 構造(原典:DB Netz AG)
出典 Der Eisenbahningenieur
実際に標準化されたラーメン 構造(原典:Tristan Mölter)
出典 Der Eisenbahningenieur
軌道・構造物
ドローンと 5G 通信を使用して、スペイン・ガリシア州 の 鉄 道 イ ン フ ラ を 調 査 す る プ ロ グ ラ ム が、Huawei、
ADIF、Ineco などの通信グループ Telefónica が主導する パートナーシップによって開始された。ドローンには非常 に高解像度の画像を撮影できる強力なズームレンズを備え
た 360° ビジョンカメラと 5G モデムが搭載されている。
新しく設置された 5G ネットワークを介して、高解像度の 画像を 2 つの基地にリアルタイムで送信する。ADIF は、
他の方法ではアクセスが困難な回線のリモートセクション の検査に役立つことを期待している。
5G を利用した航空測量
原題:
5G aerial surveys launched
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.1(2021-1) pp.16
●言語:英語
出典 Railway Gazette International
軌道・構造物
将来の地球環境にやさしい乗り物として、内燃機関の代 替駆動技術以外に方法はない。オーストリア連邦鉄道は先 駆的な水素燃料電池列車プロジェクトの一環として、アル
ストム社の定期旅客用水素燃料電池電車の試験を行った。
特に電化の見込みがないローカル線において、この電車は 試験に合格する必要がある。
水素燃料電池列車プロジェクト
原題:
H2-Pionierprojekt ÖBB - Testbetrieb eines Wasserstoffzugs
●著者・所属:Bertram Ludwig;ÖBB-Holding 社、システム技術担当、オーストリア Martin Prießnitz;ÖBB-Personenverkehr 社、編成管理リーダー、オーストリア
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.3(2021-3) pp.72-75
●言語:独語
(原典:ÖBB/Max Wegsehei der)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
アメリカの OptiFuel Systems 社は、再生可能天然ガス
(バイオメタン)で運転できるエンジン(1,200~2,400hp)
を搭載する貨物用機関車の受注を始めたと発表した。この 機関車の新製価格は 200~270 万ドル(約 2 億 1,900 万円
~2 億 9,600 万円)、既存機関車の改造の場合は 170~240
万ドル(約 1 億 8,600 万円~2 億 6,300 万円)である。同 社はエネルギー省の補助金により、再生可能天然ガスを燃 料とする 4,400hp のエンジンを搭載した本線用ディーゼ ル機関車の試験をコロラド州プエブロの運輸技術試験セン ターで行う予定である。
再生可能天然ガスを燃料とする貨物用機関車
原題:
Natural gas freight locomotive
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.2(2021-2) pp.16
●言語:英語
出典 Railway Gazette International
車 両
SNCF はローカル列車 TER の CO2排出削減プログラムを 進めている。アルストムは電気ディーゼル両用のバイモー ド車両 Régiolis にエネルギー蓄積装置(リチウムイオン バッテリー)を搭載してハイブリッド車に改造する。編成 中のエンジン 4 台のうち 2 台をエネルギー蓄積装置に置 き換える。これにより非電化区間でも回生ブレーキを使う ことができる。消費エネルギーと CO2排出の 20%削減を 見込んでいる。また、駅に停車中はエンジンを停止できる。
同社は 2020 年 12 月にエネルギー蓄積装置のプロトタイ
プのベンチテストを完了し、この結果を反映した量産先行 装置の設計、製造にすでに着手したことを発表した。これ をバイモード車に搭載して、2022 年から営業列車で実際 の効果を測定、評価する。
他方、ボンバルディアは同社製の電車 AGC にリチウム イオンバッテリーを搭載して、架線・バッテリーハイブリッ ド車両に改造する。改造編成による試験を 2022 年に始め る予定で、非電化区間でも 80km の距離を走ることをめざ している。
バイモード車のハイブリッド化
原題:
TER goes hybrid
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.1(2021-1) pp.29
●言語:英語
アルストムのタルブ工場の主回路 システムセンターに設けられたテ ストベンチで試験されていたエネ ルギー蓄積装置のプロトタイプ。
出典 Railway Gazette International
電気・ディーゼル両用車 Régiolis はオキシタニ地方の路線で広く使 用されている。これにはクレルモ ンフェランとニームを結ぶ有名な Cévenol 号 も 含 ま れ る。(原 典:
Christophe Masse)
出典 Railway Gazette International 車 両
水素燃料電池で走行するフランス初の電車が 2024 年に ブルゴーニュ・フランシュ・コンテのヨンヌで営業運転に 入る予定である。アルストム社は 51.9 百万ユーロ(約 69 億円)の契約によって、パンタグラフと燃料電池の両方を 装備した電車を 3 編成、製造する。これは 4 地域向けの 14 編成の一部である。走行試験は 2023 年に開始される予
定で、3 両編成のコラディア・ポリバレント電車は乗客数 220 人、最高速度 160km/h で 400~600km 走行可能であ る。当地の交通副大臣は、この電車はディジョンへの電化 幹線のほか、地方線区でも運用されると述べた。水素は風 力発電と水力発電による電気分解によって、当地の燃料基 地で製造される。
燃料電池車両の営業運転計画
原題:
Hydrogen-electric trains ordered
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.4(2021-4) pp.9
●言語:英語
エストニアの貨物運行会社 Operail は、GE 製のディー ゼル機関車 30 両を LNG でも運転できるように改造する。
これにより燃料費が 30%、CO2排出量が 20%低減できる。
試験は 2021 年春に始まり、監督官庁の認可が得られれば、
引き続き営業運転に入る予定である。容量 1.8 万リットル
の燃料タンクは 3 分割され、中央部が LNG 用、両サイド が従来の燃料用である。最初の機関車の改造費は 25 万 ユーロ(約 3,300 万円)である。このプロジェクトは 2019 年から始まったが、COVID-19 パンデミックにより遅 れている。
LNG を燃料としたディーゼル機関車
原題:
Diesel to LNG loco conversion
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.3(2021-3) pp.16
●言語:英語
Operail はアメリカの GE 製の C36 型ディーゼル機関車のうち 1 両を LNG でも運転できるように改造した。(原典:Raul Mee)
出典 Railway Gazette International
車 両
DLR(ドイツ航空宇宙センター)は NGT(Next Genera- tion Train)用台車の研究プロジェクトにおいて、高速輸 送用メカトロニクス独立車輪台車の原寸大プロトタイプを
製作した。この台車は総合試験台で 2022 年末まで試験さ れ、その後、機能性と適合性がシャシダイナモメーターや 試験センターで検証される予定である。
次世代高速輸送用の独立車輪台車
原題:
DLR Forschungsinfrastruktur NGT-Fahrwerk (NGT-FuN)
●著者・所属:Daniel Lüdicke;DLR、プロジェクトリーダー、ドイツ David Krüger;DLR、研究員、ドイツ
Christian Weber;DLR、研究員、ドイツ Björn Goetjes;DLR、研究員、ドイツ Andreas Heckmann;DLR、部長、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.3(2021-3) pp.62-68
●言語:独語
NGT-FuN 台車の原寸大モデル、Simpack Simulation(左)、Modelica/Dymola Simulation(右)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
DB カーゴは、2021 年 2 月に LTE 通信技術を用いて編成 内に機関車を分散配置にする長大貨物列車の試験を勾配区 間で行う予定である。使用される機関車は 188 型が 1 両、
187 型が 2 両で、うち 1 両が編成中央に配置される。貨物
列車の編成長は 650m である。3 両の機関車による予備試 験は 2014 年 12 月に行われた。この方式の開発は 2023 年 までであるが、その時は編成長 1,500m の列車でデモを行 う予定である。
貨物用機関車の編成内分散配置
原題:
DB Cargo to test distributed power
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.2(2021-2) pp.17
●言語:英語
出典 Railway Gazette International 車 両
チェコの車両メーカーであるシュコダ社 には、低床トラム ForCity のラインナップ が 4 種類あり、受注が好調である。編成長 26.5、28.0、30.0、37.5m、車体幅 2,300、
2,400、2,500、2,650mm、 軌 間 1,435、
1,000mm とさまざまな仕様がある。100%
低床と部分低床(編成両端のみ高床)が選 択できる。両端が動台車、中間が従台車と いう構成が多いが、全軸駆動も可能である。
台車の駆動システムは、独立車輪、直接駆 動(ギアレス)、永久磁石電動機という方 式と台車側面に配置した誘導電動機から二 段減速歯車を介して輪軸を駆動する方式が 選択できる。また、架線レス運転にも対応 できるように、キャパシタ、バッテリー、
あるいは燃料電池が搭載できるタイプも製 作している。チェコやスロバキアはもとよ り、フィンランド、トルコ、中国などから 数百編成を受注しているが、直近ではドイ ツの 3 都市から 21 編成の受注を得た。
シュコダ社のトラムは 4 種類のラインナップで受注好調
原題:
ForCity family spreads its wings
●著者・所属:Harry Hondius
●誌名:Metro Report International Vol.35 No.1(2021-4) pp.39-43
●言語:英語
Forcity Alfa 15T 形は、独立車輪をばね上装架の永久磁石同期電動機が駆動するという革新的な方 式を採用した。(原典:Railway Gazette 2021)
出典 Metro Report International
スロバキアのブラチスラバ向けの 29T 形と 30T 形トラムの台車は、編成両端側の高床部の動台車、中間の低床部の動台車および従台車の 3 種類がある。共 通するのは、ダブル・ゴム/スチールばねによる車軸のガイド機構とばね、アンチロールバーおよび上下および左右のショックアブソーバ付きの Flexicoil 形 2 次ばねである。ディスクブレーキ付きのモーターはばね上装架、歯車装置はばね間装架である。両端側の台車はローラーベアリング付きのボルスタを有 し、台車中央部のリンクにより、車体を最大 2°傾斜させることができる。付随台車には 4 組のディスクブレーキがある。(原典:Škoda)
出典 Metro Report International
車 両
車輪とレール間の固体伝搬音による 200~400Hz 以下の 周波数は、鉄道車両における車内騒音の支配的要因になる 可能性がある。この騒音源の評価では、多くの場合、多大 な測定またはシミュレーション技術の投入が必要になる。
VibraTec 社と CDH 社は欧州研究プロジェクトの枠組みの 中で、これに関して効率的な数式を開発した。有限要素モ
デル法を用いて、車輪・レール接触と車体間の周波数伝達 関数が計算される。計算は動台車を例に成功裡に行われ、
実験データによって検証された。新しい運転パラメータ、
軌道状態、台車構造に関する固体伝搬音を計算する必要が ある場合に、この計算式はとくに効率的であることが証明 されている。
車輪・レール間の固体伝搬音に対する効率的な評価
原題:
Effiziente Abschätzung des Rad-Schiene-Körperschalls
●著者・所属:Martin Rissmann;VibraTec 社、プロジェクトエンジニア、フランス
●誌名:Der Eisenbahningenieur Vol.72 No.3(2021-3) pp.31-34
●言語:独語
単位力が作用した動台車のモデル化(原典:RUN- 2Rail: Deliverable 4.2 - Complete virtual test method for structureborne and airborne noise transmission, 2019)
出典 Der Eisenbahningenieur
車内の空気伝搬音と固体伝搬音の 比較(--)測定、(―)モデル(原典:
RUN2Rail: Deliverable 4.3-Validation of complete virtual test method for structure-borne and airborne noise transmission, 2019)
出典 Der Eisenbahningenieur 車 両
高速列車の車軸軸受は、鉄道技術の中で最も厳しい要求 が求められる転がり軸受である。ここでは車軸軸受の新し い開発動向だけでなく、動力伝達装置やモーターのような
駆動装置の転がり軸受の開発動向についても紹介する。次 に新しい軸受やコンセプト、さらにセンサー付き軸受の使 用拡大など、鉄道車両の転がり軸受の開発の現状を紹介する。
鉄道車両用転がり軸受の開発の現状
原題:
Aktuelle Entwicklungen bei Wälzlagern für Schienenfahrzeuge
●著者・所属:Mathias Schlapp;NSK Deutschland 社、上級プロジェクトエンジニア、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.4(2021-4) pp.74-78
●言語:独語
鉄道車両の動力伝達装置に用いられる各種軸受(原典:NSK Deutchland GmbH)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau
車 両
ハーティング社は技術規格の進歩などへ 対応するため、商品ラインナップの拡張と 商品の改良に努めている。主変圧器と電力 変換装置をつなぐケーブルでは、絶縁離隔 の確保、振動、衝撃への耐性などの国際規 格に対応した商品を開発した。また、主変 圧器と特高圧引き通し間のケーブルは過酷 な環境にも対応している。ジャンパケーブ ルでは最新の規格に対応し、保守作業のし やすさを満たした製品をそろえた。車両間 の高圧引き通し線でも、作業の安全性や機 能性を維持しながら、車両メーカーの要求 に応えるために、極力、シンプルな構造の 製品を開発した。
車両用コネクタの商品ラインナップ
原題:
An expanding range
●著者・所属:Denny Hellige;Harting Electric 社、Installation Technology 担当プロダクトマネージャー
●誌名:Railway Gazette International Vol.177 No.3(2021-3) pp.52
●言語:英語
出典 Railway Gazette International
周波数コンバータと誘導モーターを用い た最新の駆動技術は、実質的に摩耗がなく 動作する。駆動用接触器にのみ接触システ ムが必要であり、負荷を切るときに摩耗す る。電流範囲の限界がない主接触器とコン ピュータによる制御を用いることによっ て、可用性はさらに向上し、メンテナンス コストを最小限に抑制することができる。
DC 接触器のメンテナンス低減
原題:
DC-Schütze in derTraktionstechnik-Weniger Verschleiß senkt Wartungsaufwand
●著者・所属:Rudolf Prondzinski;Schaltbau 社、プロダクトマネージャー、ドイツ
●誌名:Eisenbahntechnische Rundschau Vol.70 No.4(2021-4) pp.91-93
●言語:独語
鉄道車両の検修庫(原典:iStock - xijian)
出典 Eisenbahntechnische Rundschau 車 両