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サーボプレスと潤滑油流路付きパンチを用いたパルス 穴あけ加工

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Academic year: 2021

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(1)

サーボプレスと潤滑油流路付きパンチを用いたパルス 穴あけ加工

1. はじめに

 現在,塑性加工分野においてはサー ボモータを駆動源とした AC サーボプ レスの利用が急拡大している.サーボ プレスはスライド位置・速度が制御可 能であることから,これまで実現困難 であったフレキシブルな塑性加工プロ セスの提案,実用化が進められている.

 一方,輸送機器をはじめ多くの構造 物で軽量化が要求されており,中空部 品の製造が増加している.塑性加工に よる穴あけ加工では,加工前にパンチ や試験片表面に潤滑油を塗布するのみ に留まり,穴深部まで潤滑状態を十分 に保つことが困難なため,深穴化は困 難である.一方,ドリル加工では,外 部ノズルによる潤滑油の供給や内部に 潤滑油流路を設けたドリルによって小 径深穴化が図られている.

 筆者らはサーボプレスと潤滑油流路 を有するパンチを用いて加工途中でパ ンチを後退させることにより,パンチ 先端部から潤滑油を穴加工部に逐次供 給するパルス穴あけ加工法を考案し た.ここでは,パルス穴あけ加工法の 原理とその潤滑効果について紹介する.

2. 加工原理

 図 1はパルス穴あけ加工法の加工 原理およびパンチモーション線図であ る.内部に潤滑油流路を有するパンチ を用いて,パンチの前進・後退を繰り 返しながら穴あけ加工を行う.穴あけ 加工途中でパンチを後退させることに よって,穴加工部の圧力を低下させ,

パンチ先端部に設けた潤滑油流路から 加工穴部に潤滑油を負圧によって引き 込ませる.穴底部へ潤滑油を逐次供給 し,穴深部まで焼付き・かじり傷を生 じることなく深穴あけ加工を行うこと をねらった加工法である.

 パルス穴あけ加工におけるパンチ モーションを表すために加工段数を

n

total, 加工各段でのパンチ前進スト

ロークを

s

ai

i

=1~

n

total),パンチ後退

ストロークを

s

ri

i

=1~

n

total),パンチ 加工ストロークを

s

fi(=

s

ai-

s

ri)(

i

=1~

n

total),全加工ストロークを

s

totalとそれ

ぞれ定義する.以降では,加工各段で の

s

ai

s

ri

s

fiが一定であるため,

i

を省 略して単に

s

a

s

r

s

fと表現する.

3. アルミニウム合金のパルス穴 あけ加工

(1)

 リンク式 AC サーボプレス(コマツ 産機(株):H1F45)を用いて,加工 初期速度 150~200mm/s,室温でパル ス穴あけ加工を行った.試験片には A6061-T6 アルミニウム合金,潤滑油 には鉱油(40℃での動粘度 32mm2/s)

をそれぞれ使用した.

 図 2は金型構成および潤滑油流路 付きパンチの形状である.パンチ内部 の潤滑油流路と潤滑油タンクはチュー ブによって接続し,潤滑油流れを制御 するためのポンプ等は使用しない.こ こ で は, パ ン チ モ ー シ ョ ン は

s

f/

D

P

=1.5~6.0,

s

r/

D

P=1.0 とし,プレスの

特性上,

s

totalは最長で 36mm,

n

total

最大で 5 回とした.

 図 3は

s

total/

D

P=6.0 の穴あけ加工後

の穴側面の表面プロファイルであり,

図 4は周方向の表面平均粗さの計測 結果である.

s

f/

D

P=6.0,

n

total=1 の一段 穴あけ加工では,穴全面に加工方向と 平行にかじり傷が発生する(図 3(a)).

一方,

s

f/

D

P=1.5,

n

total =4 のパルス穴あ け加工では,穴側面にかじり傷が発生 せず(図 3(b)),穴深さ位置によら ず滑らかな穴表面が得られる.また

s

f/DP=2.0,ntotal=3 の場合では,図 4に 示すように各段での加工開始位置では 低いが,加工途中でかじり傷が発生す る. さらに

s

f/DP=1.5 では穴深さ位置に

よらず表面粗さが一定であることか ら,加工段数を増やし,全加工ストロー クを長くした場合も焼付き・かじり傷 を生じることなく深穴あけ加工が可能 であることが示唆される.

 以上より,考案したパルス穴あけ加 工法はかじり傷の発生を抑制する効果 があり,各段におけるパンチ前進スト ロークには最適値が存在する.最適な パンチモーション(各段の前進,後退 量)は使用する潤滑油の成分,粘度,

被加工材によって異なるものと考えられる.

4. おわりに

 本稿ではサーボプレスを活用したパ ルス穴あけ加工について紹介した.今 後,チタンやステンレス等の難加工材 への適用や深絞り加工や鍛造加工等の 他加工への応用に取り組む予定である.

(原稿受付 2011 年 4 月 18 日)

[松本 良 大阪大学]

( 1 )Matsumoto, R., ほか,Prevention of Gall-●文 献 ing in Forming of Deep Hole with Retreat and Advance Pulse Ram Motion on Servo Press, CIRP Annals - Manufacturing Tech- nology, 60-1(2011),315-318.

図1 パルス穴あけ加工法の加工原理

f1 r2

f r

a f2

f(total-1) rtotal

ftotal

下死点

ビレット

( -1)-th -th 1st

時間 パンチ前進 パンチ後退(潤滑油の

加工部への流入)

f( -1)

2nd

パンチ前進 コンテナ

ビレット上面

潤滑油流路付き

パンチ 潤滑油 パンチ動作 潤滑油流れ

a2

潤滑油

パンチ位置

totalth

図 2 金型構成および潤滑油流路付きパンチ

(a)金型構成 (b)潤滑油流路付きパンチ

ビレット コンテナ 潤滑油流路 付きパンチ

潤滑油 ノックアウ

トパンチ

潤滑油タンク 1

10º 潤滑油流路

φ5.9

T=φ0.5

P=φ6

φ4

I=80

R0.1

B=25

P=64

B=φ6

T=5

I=φ1.5

図 3 加工後の穴側面の表面プロファイル 100μm

100μm

100μm 100μm

加工方向 加工方向

50μm 50μm

表面粗さ 計測方向

(a) f P=6.0,total=1:

かじり傷発生(約 1.0μm (b)f P=1.5,total=4:

かじり傷なし(約 0.2μm 表面粗さ 計測方向

図 4 加工後の穴側面の表面粗さ

0 1 2 3 4 5 6

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

1.60 5 10 15 20 25 30 35

ビレット上面からの距離/パンチ直径 z / P

表面粗さ/μm

fP=6.0,total=1

fP=2.0,total=3

fP=1.5,total=4 ビレット上面からの距離 z / mm

かじり傷

日本機械学会誌 2011. 9 Vol. 114 No.1114 713

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参照

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