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博士学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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京都女子大学大学院

博士学位論文内容の要旨

学位申請者氏名 平川 由紀

論 文 題 目 Development of the Assay Methods for Pesticides by Immunological Technique

(免疫学的手法による農薬定量法の開発)

論文審査担当者

主 査 成田 宏史 ㊞ 審査委員 川添 禎浩 ㊞ 審査委員 八田 一 ㊞

近年、食品への残留農薬問題が多発したことを受けて、食品衛生法に基づき全ての農薬につい て各食品の残留基準を設定するポジティブリスト制度が施行された。これらの農薬測定の公定法 としては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-質量分析器(MS)とガスクロマトグラフィー

(GC)-MSによる一斉分析法が導入されているが、高価な装置と高度な技術が必要なため、食 の流通の現場、食品事業者の活用は困難であった。

一方、農薬測定に免疫学的手法(直接競合ELISA)が導入され、迅速・簡便・安価な手法とし て、食品の生産・流通現場において用いられるようになってきている。本研究は、検出頻度が高 い殺菌剤クロロタロニルとボスカリドを対象に、これらに特異的なモノクローナル抗体を作製す るとともに、直接競合ELISA、さらには表面プラズモン共鳴(SPR)による分子間相互作用測定 装置(Biacore T200 )を利用したイムノセンサーを構築し、多検体同時測定および自動化を試みた ものである。

第1章 クロロタロニルに対する直接競合ELISAの開発

植物カビ病用殺菌剤として汎用されているクロロタロニルに対するモノクローナル抗体

TPN9Aを作製し、これを用いた直接競合ELISAを確立した。本法の測定範囲は、0.10-6.0 ng/mL で、各種の農産物に対する残留基準値(0.5-50 ng/g)を測定可能であった。また、他の農薬とは、

フサライドと22 %、キントーゼンと17 %の交差反応性を示すものの、既存のELISAと比較し て高い特異性を示した。野菜を用いた添加回収試験では、回収率が97.1~125 %、HPLCとの相 関性も相関係数が0.98~0.99と良好で、実用性の高い直接競合ELISA開発できた。

第2章 表面プラズモン共鳴(SPR)を用いたクロロタロニルに対するイムノセンサーの開発 次に、上述のTPN9A を用いたSPR-イムノセンサーをめざしたところ、感度は間接競合ELISA と比較して10倍低かったが、測定範囲は8.0-44 ng/mLと残留基準値の測定には十分で、測定時 間が3分と短く測定精度もELISAより高いものの開発に成功した。野菜を用いた添加回収試験で は、回収率が90-118 %、HPLCとの相関性も相関係数が 1.00と良好だった。なお、チップから の抗体の解離に 2段階法を導入することにより、200回の利用を可能にした。本法は、野菜中の 残留農薬測定方法としてSPRを用いた世界初の成功例である。

第 3章 直接競合 ELISAおよび表面プラズモン共鳴を用いたイムノセンサーによるボスカリ

(2)

京都女子大学大学院 ドの測定

灰色かび病、菌核病に高い効果がある殺菌剤ボスカリドに対するモノクローナル抗体BSC7を 作製し、これ用いて直接競合ELISAとSPR-イムノセンサーを開発した。どちらも残留基準値以 下で測定可能であり、野菜を用いた添加回収試験では、前者の回収率が 100-124 %、後者が 85-109 %、トマト実試料の測定においてもHPLCと相関係数が0.97と0.95と良好であり、実用 的な免疫測定法を開発できた。

第4章 表面プラズモン共鳴を用いたイムノセンサーによるボスカリド、クロチアニジン、ニ テンピラムの同時分析

クロチアニジンとニテンピラムは、現在最も汎用されているネオニコチノイド系に属す殺虫剤 である。殺菌剤ボスカリドとは同時期に施用されることがあるため、3 チャンネルを併行測定可 能なSPR-イムノセンサーの特徴を生かして両者の同時測定方法の開発を試みた。まず、それぞれ の農薬の測定に対して他の農薬は妨害しないことを確認した。さらに、野菜を用いた添加回収試 験では3農薬共に72~105 %の回収率、直接競合ELISAとの相関性も0.98-1.00と良好だった。

本研究の成功により、社会ニーズの高い同時多成分測定用SPR-イムノセンサーの開発への第一歩 が踏み出されたことを意味している。

まとめ

残留農薬測定のための免疫測定法として直接競合 ELISA、SPR-イムノセンサーを開発した。

直接競合ELISAは、市販キットと同様に出荷前検査などに使用できると考えられる。また、SPR-

イムノセンサーの確立は、今後同時多成分測定へと進めることによって、新しい農薬残留分析シ ステムの構築を期待させるものである。

参照

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