岡山大学埋蔵文化財調査研究センター
2004年 2月
岡山大学埋蔵文化財調査研究セ ンター
〔表 BIt〕 鹿日通跡第 7次 調査 換形木製品のスケッチ 舘虐時代末〜室町時代
〔裏表紙〕津島岡大遺跡第10次調査 細頸整、弥生時代後期
岡山大学埋蔵文化― 財調査研究 センター組要 2002
2004年 .2月
岡山大学埋蔵文化財調査研究土ンター
2002(平 成 14)年 度 には、津 島地区の創立五十周年記念館 、 自然科学系総合研究棟 、農学部共 同溝、鹿 田地 区の総合教育研 究棟 のそれぞれ建設地 において発掘調査 を実施 しま した。おお む ね年度 を通 じて発掘調査がつづ き、 2つ の現場が重 なる場合 もあったのですが、事故 な く発掘 作業 を遂行 で きた ことはまことに幸いで した。
創立五十周年記念館建設地 においては、弥生時代前期 の水 田遺構や中世の条里制 にかかわる遺 構等が発 見 された ほか、縄文時代後期 に属す るやや規模 の大 きい焼 け土遺構 を確 認す る こ とが で きま した。津 島地区の縄文時代遺跡 については、旧河道の岸辺 に設 け られた堅果類貯蔵穴 の 調査 な どで多 くの資料が蓄積 され、全 国的に も注 目をあびてい ます。 しか し、西 日本 の一般 的 な傾 向 とはいえ、 ドング リ類 を食べ たはずの人間の集落のあ り方が まだ十分 に明 らか に され て い ないのが実状 です。今 回発見の焼 け土遺構 は、たんなる焚 き火跡 とい うよ りもう少 し複雑 な 構造物 に関係 した ものの ようですが、 こうした調査 によ り岡山平野の縄文文化が い っそ う明 ら
か になるこ とが期待 される ところです。
鹿 田地区の総合教育研究棟建設地では、弥生時代以降の多 くの文化層 を調査 しましたが、 とり わけ弥生時代 末期 か ら古墳 時代初頭 に属す る土器 を多量 に廃棄 した「土器溜 ま り」の調査 は、
食生活 ばか りで な く当時の祭祀や生業 にかかわる内容 も判明 し、重要な意義があ りま した。
充実 した調査がつづ いた反面、調査成果の整理や報告書作成の作業 にはどうして も影響がで ざ るをえないのですが、 さいわい本年度 は、現場 の繁忙 にかかわ らず 2冊 の調査 報告書 を刊行 す る ことがで きま した。 また「キ ャンパ ス発掘成果展」で は、見学者が土器 の接合 をお こな った り模造石器で さまざまな作業 を体験 で きるように工夫 し、 と くに小 。中学生 や親子連 れの参加 者か ら好評 を得 ま した。
発掘調査 の多 さや報告書 の刊行 で多忙 な年度で はあ りま したが、事務局お よび関係 部 局 か ら は常 にご理解 とご支援 をいただ くことがで きま した。 また本紀要 には、小西猛朗・元 九州大学 教授 か ら鹿 田遺跡 出土 の炭化穀粒 に関 して ご寄稿 をいただ きま した。関係各位 にあ らためて厚
く御礼 もう しあげる次第です。
岡山大学埋蔵文化財調査研究 セ ン
稲 田 孝
ター長
司
岡山大学埋蔵文化財調査研究 セ ンター紀要2002
第 1章 津 島 岡大遺跡 の調査研 究
第1節
発掘調査の概要 ………・
1.津
島岡大遺跡第27次調査 (創立五十周年記念館)・……… (高田浩司)2.津
島岡大遺跡第28次調査 (自然科学系総合研究棟)。……… (忽那敬三)3.津
島岡大遺跡第29次調査 (農学部共同溝)・……… (光本順)
第
2節
試掘・確認調査のtrt要 ………・事務局旧本部棟移転に伴 う試掘 ,確 認調査 ………。 (光本) 第
3節
立会調査の概要 ………・事務局本部棟 ・創立五十周年記念館新営 に伴 う立会調査 ………。 (忽那)
第 2章 鹿田遺跡の調査研究
第1節
発掘調査 の概要 ………Ⅲ26 鹿 田遺跡 第13次調査 (総合教育研 究棟)。……… (光本
)26
第2節
立 会調査 の概 要 ………。29 エ ネルギーセ ンター棟周辺外構工事 に伴 う立会調査 ………。 (野崎貴博
)29
第
3節
鹿 田遺跡 の研究 ………・ 321.鹿
田遺跡の弥生時代終末か ら古墳 時代初頭 の集落 について ・……… (光本)32 2.鹿
田遺跡第5次調査土壊15か ら出土 した炭化穀粒 について ,……… (元九州大学教授小 西猛朗
)35 第 3章 調査 資料 の整理 ・研 究 と展示 。公 開
第1節
調査資料 の整理 。研究 ………・
1.調
査資料 の整理 ・分析 ………・(1)出
土遣物 の レン トゲ ン撮影 について 。……… (岩崎志保)(2)今
年度 の調査資料 の整理 ………・ (岩崎)2.出
土資料 の保存処理 ………・(1)岡
山大学 における保存処理後遺物 の現状 と課題………。
(m元
興寺文化財研 究所藤 田浩 明 ・伊藤健 司)
(2)今
年度 の保存処理A.保
存処理後遺物 の管理状況 の改善 について ・……… (忽那)B。 今年度 の保存処理作業 ………・ (忽那)
第2節
調査 成果 の展示・公 開
………
(岩
崎)第
3節 2002年
度調査研 究員 の個別研究活動 ………・1.科
学研 究費採択状況2.論
文 ・資料報告 3。 研 究発表等4.資
料収集 。実態調査 …………。第 4章 2002年 度における調査・研究活動のまとめ ………。
(光本 )58 付 編
日本測地系か ら世界測地系への移行 に伴 う構 内座標 の変更 について ・……… (光本)
岡山大学構 内埋蔵文化財保護対策要項 ………・
1.岡
山大学埋蔵文化財調査研究セ ンターの内部規程 ………・2.2002年
度埋 蔵文化財調査研究セ ンター組織………
3.2002年
度審議 ・決定事項 ………・4.岡
山大学構 内遺跡 の発掘調査 にかかわる安全管理事項 ………・付 表 … ………
次 目
1 1 4 7 H H l3
︲8
ワイ ウイ ワr ︹υ ︵︶ ︵︶ 刀■ 医υ 氏υ 71 74 4 4 4 5 5 5 5 5 5 5 ︵υ ︵︶ ︵︶ つな つ0 つ0
挿
図
1
第27次 調査 地点位置 図 …… … …… …… … … ……図
2
第27次 調査 土層 断面 図 … …… …… … … …… … … 図3
第27次 調査 遺構全体 図 …… … …… … … …… ……図
4
第28次 調査 地点位置 図 …… …… …… …… …… ……図
5
第28次 調査 土層 断面 図 …… …… …… …… …… … … 図6
第28次 調査 遺構全体 図 …… … … … 図7
第29次 調査 地点位置 図 …… …… …… … … …… … 図8
第29次 調査南壁土層 断面 図 …… … … … 図9
第29次 調査検 出遺構全体 図 …… … … … 図10溝
1〜 3、 ピッ ト1…
… … … … …… … … …・図
11溝
1〜3…
…… … …… … …… …… …… … …… … 図12溝
2…… … … … 図13
ピ ッ ト1‑・ … … … …… … …・… … … … 図14
包含層 出土遺物 …… … … … 図15
試掘 ・確認調査 地点位置 図 …… … … … 図16
試掘 ・確認調査東壁土層 断面 図 … … …… … … 図17
津 島地 区全体 図 …… … … …… … …… … … … 図18
今年度 の調査地点(1)津島地区 …… … … … 図19
今年度 の調査地点(2)鹿田地区 …… … …… … … 図20
事務局本部棟 ・創立五十周年記念館新営 に伴 う立会調査地点 …… … … … 図
21
土層柱状 図 … …… …… …… … …… …… … … …… … 図22‑1
土層柱状 図位置 及 び検 出遺構平面 図‑2
第1地点 出土遺構平面 図 ……… … … … ……
3
溝 2〜 5遺構 断面 図 … … … … …… …… ……図
23
第3地点 出土遺物(1)く土器 〉 …… …… … … … 図24
第3地点 出土遺物(2)〈土器 〉 …… …… … … …写
写真
1 6層
出土瑶璃製勾 玉 … … …… …… … … … ……写真
2
溝1・ 2プラ ン …… … … … 写真3
溝2セクシ ョン …… … … … 写真4
溝3セクシ ョン …… … … … 写真5
石鏃 …… … … …・写真
6
溝5底面検 出状況 … … …… … … ……写真7 2002年度事務局 ・創立五十周年記念館周 辺立会調査 出土遺物 … … … …… … … … 写真
8
鹿田遣跡第 5次調査土媛15で出上 した炭化物 ・…写真
9
鹿 田遺跡 第5次調査土媛15で出上 した炭 化穀粒 … …… … … …… … … ……写真
10
棒 火矢 の現状 …… … … … 写真11
棒 火矢 の レン トゲ ン写真 (正面)…
… … …図
1
2 2 4 5 6 7 9 10 10 10 10 10 11 12 12 13 15 17
18 19 20 20 20 21 22
宣
6 9 10 10 11
20
23 35
45 47 47
図30 図31 図32 図33 図34 図35
図39 図40 図41 図42 図43 図44 図45 図46 図47 図48
目 次 目
図
25
第3地点 出土遺物(3)〈石器 〉 ……… … … 22図
26
第13次調査 地点位置 図 …… … … …… … … …… …26図
27
第13次調査土層 断面 図 … … … … …… … …… … 27図
28
第13次調査遺構全体 図 …… … … …27図
29
第12次調査 地点で検 出 した中世 の遺構 との 位置 関係 … …… … … …… … … …… 3044ライ ン以西 の遺構詳細 図 …… … … 31
Pl平
・断面図 … … … …… … …… … … 31P2平
・断面図 … … … …… … … … …… … … … 31基本土層・
P3断
面 図 … …… ……… … … … …… 31井戸平・断面 図 …… … … …31
鹿 田遺跡 の弥生時代終末か ら古墳 時代 初頭 の遺構全体 図 …… … … … 図
36
試料別 に示 した米 の粒長 の変異 … …… … ……… 図37
試料別 に示 した米 の粒形指数 の変異 …… … … 図38
奈 良時代 〜江戸 時代 の炭化米 の粒長 と粒 幅 の関係 … … … …… …… … … … …… … … …… 39試料別 に示 した大麦 の粒 長の変異 … … …… … 39
試料別 に示 した大麦 の粒 幅 の変異 … … …… … 41
弥生前期〜中世の炭化大麦の粒長 と粒幅の関係 ・
‑42
2002年 7月 の湿度変化 … … … … …… … … …… 54展 示会 のポス ター …… … … …56
日別入場者 数 …… …… … … ……… …… … … … …・56
入場者 の男女別割合 … … … …56
2001年 度 までの調査 地点
(1)津
島地 区 ………75
2001年 度 までの調査 地点(2)鹿田地 区 …………77
1998年 度 までの調査 地点
三朝地区 …… … …'78
次
写真12
棒 火矢 の レン トゲ ン写真 (側面)…
… … … 47写真
13
銅片 の現状 …… … … 48写真
14
銅片 の レン トゲ ン写真 …… … … 48写真
15
鉄 製摘鎌 の現状 …… … … …48写真
16
鉄 製摘鎌 の レン トゲ ン写真 ……… … … 48写真
17
収蔵状 況 … …… …… … ……… … … …… 50写真
18
復元部 の 白色粉体 … … …… …… … … …… ……51写真
19
斎 串収蔵状況 …… … … …51写真
20
収蔵室 … … …… … … …… … … …… … …51写真
21
小展示室 … … … …… …… … … …… … … …… …51写真
22
展 示状況 …… … … 52写真
23
ア ンペ ラ展示状況 … … … …52写真
24
処置後 の状況 …… … … …54表
表1 2002年度調査一覧 …… … … … 表
2
鹿 田遺跡 の弥生 時代 終末 か ら古墳 時代 初頭の遺構一覧 … …… … … …… … … … 表
3
炭化穀粒 と爽雑物 との割合 …… … … … 表4
出土 した炭化米お よび玄米 の粒長 の比較 … … 表5
出土 した炭化米お よび玄米 の粒 幅 の比較 ……表
6
出土 した炭化米お よび玄米 の粒形指 数 の比 較 …… … … … 表7
出上 した炭化大麦粒 の皮麦 と裸麦 の割合 ………表
8
出土 した炭化大麦 お よび玄麦 の粒長 の比較 ¨。表
9
出土 した炭化大麦お よび玄麦 の粒 幅の比較 ¨。表
10
出土 した炭化大麦お よび玄麦 の粒 形指数 の 比較 …… … … …次
表
11
図41に 示 した炭化大麦 出土遺跡一覧 …… … … 42 表12 2002年度室 内作業一覧 … …… …… …… …… … ……49 表13
第5・ 6期木器保存処理工程 …… … …… … … 55 表14 2001年度以前 の木器保存処理工程 … … … …… 55 表15
新 旧構 内座標 の対 照 … … … … …… … … … ……59 付表1 1982年度以前の構内主要調査 (1980〜1982年度)………・…… …… ……… ……… ……… 65 付表2 2001年度以前の構内主要調査 (1983〜2001年度)
……… ………・・ 中"……… …… 65 付表
3
埋蔵文化財調査研 究 セ ンター収蔵遺物概 要……… 71 付表
4
埋蔵文化財調査室刊 行物 …… … … 73 付表5
埋蔵文化財調査研 究 セ ンター刊行物 …………73目
3 3 4 4
41
伊」 口
1
本紀要は、岡山大学坦蔵文化財調査研究セ ンターが岡山大学構内において2002年4月1日か ら2003年 3月 31日ま でに実施 した埋蔵文化財の調査研究成果、及びセンターの活動についてまとめたものである。2
紀要の作成に際 して、炭化穀泣 に関 して小西猛朗氏 (元九州大学教授)、 出土資料の保存処理に関 して藤田浩明 氏伊藤健司氏 (財団法人元興寺文化財研究所)から玉稿をいただいた。
3
本文は岩崎志保忽那敬三・高田浩司・野崎貴博・光本順が分担執筆 し、執筆者名を末尾に記 した。
4
編集は、稲田孝司センター長 と山本悦世調査研究室長の指導の もとに、光本順が担当 した。凡 例
1
大学構内の埋蔵文化財の調査に関 しては、平成14年 (2002年)4月 1日より施行 された「測量法及び水路業務法 の一部 を改正する法律」に基づ き、世界測地系 を採用 し、新たに構内座標 を次のように定めている。なお、従来の 日本測地系に基づ く構内座標 と新規の構内座標 との関係 については、付編 (59頁)において述べている。1)津島地区では、国土座標第V座標系 (X=‑144,1564617m、 Y=‑37,246馳96m)を起点 と し、真北 を 基軸 とした構内座標 を設定 した。一辺50mの方形区画である。 また同地区では調査の使宜上、大 きく津島北 地区 と同南地区に三分する (図17)。
2)鹿田地区では、国土座標第V座標系 (X=‑149,4563718m、 Y=‑37,6467700m)を起点 と し、座標軸 をN‑15° 一Eに振 ったものを基軸 とした構内座標 を設定 した。地区割は一辺5mの方形 を基準 としている。
3)本文中で用いる方位は、津島地区
鹿田地区は国土座標系の座標北 を、他は磁北 を用いている。
2
岡山大学構内の遺跡の名称は、周知の遺跡の場合はそのまま踏襲する。三朝地区の発掘調査地点は小宇名をとり「福呂遺跡」 と呼称する。他地区は任意の名称で仮称する。
3
調査名称は、「発掘調査」に分類 したものについては、各遺跡毎に調査順に従つて次数番号で呼称 し、「試掘確 認調査」「立会調査」 に分類 した ものについては、任意の名称 を用いる。発掘調査の うち、小規模で、確認調査か
ら連続 して調査 したものは、「試掘
確認調査」 に分類する。
4
「発掘調査Jに ついての記述は、「第1章第 1節3
津島岡大追跡第29次調査」を除 き、現段階における概要であ り、詳細は正式報告によっていただきたい。「津島岡大遺跡第29次調査」 については、本紀要での記述 を正式報告 にかえる。5
表に記載 した所属部は、原貝1と して各学部の頭文字を略号 として用いている。6
付表2に掲載する調査一覧については、中世層 まで掘削 したものを対象 とし、その他については除外 した。未掲 載のデータについては、当セ ンターにおいて管理 している。7
本文目次
挿図・写真などで使用の調査番号は表 と一致する。
8
本紀要に掲載の地形図 (図17)は、岡山市域図を複写 したものである。lV