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MENA~商機と課題~
今月の特集14
第56回 WAZA~世界に誇るニッポン企業~「未病」対策で健康寿命の延伸に貢献
株式会社キリン堂ホールディングス 代表取締役会長 寺西 忠幸氏 みずほフィナンシャルグループからのお知らせロスアンゼルス支店
サンフランシスコ出張所開設について
GMのグローバルEYE
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国際人事労務リポート新興国の生活環境評価と
ハードシップ手当
タワーズワトソン株式会社 データ・サーベイ・人事テクノロジー部門 マネジャー 須藤 宏美氏 中国商務指南~中国ビジネス最新ガイド~広東自由貿易試験区の概要
みずほ銀行 香港営業第一部 中国アセアン・リサーチ アドバイザリー課 課長 坂内 和隆20
グローバル インサイトクロスボーダーM&Aにおける
DDの重要性
SCS Global Financial Advisory Pte. Ltd. (シンガポール) ディレクター 南里 健太郎氏
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<みずほ>のサービスインドネシア金融規制とその対応
みずほ銀行 外為営業部 調査役 新里 一祥NOV
&
DEC
ー vol.82 ー
堅調な成長を続け、ポストBRICsとして、世界各国から注目が 高まりつつあるMENA。MENAとは中東と北アフリカを合わせた (Middle EastとNorth Africaの頭文字から名付けられた名称)地 域を指す。本特集はMENAの現状を紹介したうえで、注目される理 由や今後の日系企業における商機、課題に関して考察していく。
はじめに
現在、MENA地域は政治・経済の 両面で厳しい現実に直面している。 政治面での最大の課題は、イスラム国 (ISIL)やアルカイダ系組織などイス ラム過激勢力により拡大するテロに いかに対処するかである。また経済面 での今後の課題は、高油価時代の終 焉による歳入の伸び悩みにどのよう に対応するかである。 だが逆風と思えるこうした動きもビジネスの観点から見れば、新た な機会を提供している。なぜならば、たとえばテロ拡大という治安リス クの増大は監視カメラや防御壁などのセキュリティ・ビジネスの好機 であるし、油価低下という歳入減少の懸念は歳出の合理化につな がる省エネ・ビジネスの出番でもあるからだ。しかも2015年秋以降 のMENA地域では、核合意の成立によるイラン・ビジネスの登場と いう新たなチャンスも生まれているし、イスラム・ビジネスの拡大という アジア、アフリカ等のイスラム諸国を包含する動きも出てきている。 加えてMENA地域がビジネス面から魅力的であるのは、第1に、 国内総生産(GDP)が約4.3兆米ドルと我が国経済界になじみの 深いASEANの2.5兆米ドルの約1.7倍の規模に達しており、人口 も5.4億人とASEANの6.2億人に引けを取らない点である(表)。 第2に、世界の原油埋蔵量の約4割、天然ガス埋蔵量の約3割 が賦ふ そ ん存している点である。これは廉価なエネルギー資源を使った石 油化学やアルミといった産業に比較優位性があることを示すもので ある。 第3に、MENA地域にはASEANにも匹敵する富裕層が存在して いる点である。たとえば、人口が930万超に過ぎないアラブ首長国 連邦(以下:UAE)の富裕層は約90万世帯と人口が約3,000万の マレーシアよりも多いし、人口が約3,100万のサウジアラビアの富 裕世帯数も約80万と人口約2.5億のインドネシアを上回っている。 第4に、MENA地域の人口の4分の1強の約1.5億人が消費意 欲の旺盛な24歳以下の若年層が占めている点である。こうした若 者は新たな消費財などに目がないし、またアニメなどを通して総じて 日本好きであるのも大きな特徴だ。 第5に、MENAにはUAEやサウジアラビアなど70兆円を超えるオ イルマネーを運用する政府系ファンド(SWF)がいくつか存在してい る点である。有望視されるビジネス分野
(1)開発計画で打ち出される大規模投資事業 アラビア半島の有力産油国は新国家ビジョンを掲げエネルギー や電力、水利、通信など大規模投資事業を計画している。たとえば カタールは国家ビジョン2030のもと総額1,850億米ドルの事業を、 またクウェートは国家ビジョン2035のもと総額1,000億米ドルの投 資を計画している。さらにアフリカ北部のエジプトは石油・天然ガス の生産拡大や精製能力の強化、高効率発電所へのアップグレード などに1,035億米ドルの投資を予定している。 (2)短期間で伸びそうなセキュリティ・ビジネス 2014年秋口以降、湾岸や北アフリカではISIL・同関連組織やア ルカイダ系組織などによるテロ事件が増加している。それ自体は治 安の悪化、リスクの増加であるのでビジネスにはマイナス要因であ る。だがテロ事件の発生を当該国の観点からとらえれば、いかにセ キュリティを確保し安全・治安を確かなものとし、リスクを軽減するか の問題であるので、セキュリティ関連設備や機器・ノウハウなどの導 入が重要な課題として浮上してくる。 実際、テロ事件の発生を受け湾岸産油国(サウジアラビア、ク ウェート、UAEなど)やアフリカ北部(エジプト)、北アフリカ(チュニジMENA~商機と課題~
MENA地域総論
一般財団法人 国際開発センター
エネルギー・環境室 研究顧問 畑中 美樹氏
中東(A) ASEAN(B) (A)/(B)
国内総生産(GDP) 約4.3兆米ドル 約2.5兆米ドル 1.72 人口 5.4億人 6.2億人 0.87
畑中研究顧問
(出所)IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK, APRIL 2015および
ア、アルジェリアなど)の諸国では、改めてセキュリティの確保に向け 海外主要国政府や海外有力メーカーと対応策を検討する動きが顕 著となっている。 特にセキュリティ関連ビジネスでは、空港の入出国、港湾・石油施 設等の重要施設の監視、官庁等の公共施設や人の集まるモール やホテル等の監視、イスラム教の信徒の集まるモスクの監視等の 強化に資する設備・機械等や過激思想者のデータ整備、全データ の一元管理等が有望であろう。 (3)我が国企業のチャンスに省エネ・ビジネス ここに来てGCC諸国はグリーンビルディングとの概念を用いエネ ルギー効率に優れ環境に優しいビルの建設を目指している。最も野 心的な計画を立てているのがUAEのドバイ首長国である。すでにド バイ・エネルギー最高評議会は、同国の13万棟のビルの23%に相 当する3万棟のビルについて、2030年までに総額8億2,000万米 ドル(約980億円)を投下しエネルギー利用の効率的なビルとする 方針を打ち出している。 またドバイ電力水道庁(DEWA)と首長国グリーンビルディング委 員会(エミレーツGBC)は5月中旬、環境に優しい経済(グリーン経 済)および同国の持続可能な発展の支援策を協議している。今後 ドバイを始めとするGCC諸国はグリーンビル化に向けた動きを一層 強めると思われるので、省エネなどの技術に優れる我が国企業には 新たなビジネス・チャンスとなりそうだ。 (4)ますます拡大しそうなイスラム・ビジネス イスラム人口が約17億と世界総人口のすでに4分の1を占め、 今後さらに比率を高めると見られることからビジネスとしてのイスラ ムに注目が集まっている。イスラム・ビジネスでは特に飲食・製薬・ 化粧の各分野が有望だ。たとえば2013年には1兆2,920億米ドル (155兆400億円)であった世界のイスラム教徒の飲食支出額が 2019年には2兆5,370億米ドル(304兆4,400億円)に増加する と予測されているほか、製薬品・化粧品支出額も2013年のそれぞ れ720億米ドル(8兆6,400億円)、460億米ドル(5兆5,200億円) が2019年には1,030億米ドル(12兆3,600億円)、730億米ドル (8兆7,600億円)に拡大すると見られている。 これまで中東諸国の国民は、イスラム国家であるので流通する 商品・製品は当然イスラムで認められたハラルのものと受け止めて いた。そのためハラル認証制度が強く意識されることはなかった。し かし5年ほど前から3つの要因で気にするようになっている。第1は、 化粧品を含め一部の商品がハラルでないことが明らかになったこと である。第2は、長く見ればイラン革命後の30年強で、短く見てもイ スラム原理主義勢力の台頭してきた過去10年弱の間にイスラムを 見直す機運が高まったことである。第3は、東南アジアにおけるハラ ル認証制度の設立の動きが強まったことである。 すでにイスラム教徒の意識の向上に気づいたドバイがイスラム 経済のハブ化を目指し動き出しており、今後イスラム・ビジネスはます ます拡大すると予想される。 (5)見直されるジャパン・フード 中東では国民の間で健康への関心が急速に高まっている。それ とともに栄養バランスに優れ健康的と受け取られている日本食への 関心も増している。特に健康志向の高まりにより注目されているの が、総じて「小ぶり」で「甘さ控えめ」な日本のお菓子(スイーツ類)で ある。 すでに日本でも有名なクッキー類のメーカーがドバイに進出し現 地の贈答文化をうまく取り入れ大人気を博しているほか、首長家 の一員がスポンサーとなり独自に始めたパン屋が、お総菜パンやコ ロッケパン、焼きそばパンなどを導入し現地人の評判となっている。 また最近では我が国の有名チョコレートメーカーも進出している。
欧米が先行するイラン・ビジネス
イラン核最終合意を受け2016年初頭の制裁解除は動かぬと見 た独仏伊などの欧州企業が、ビジネスの獲得に向け積極的に動い ている。イランのビジネス面での魅力は、第1に、石油埋蔵量が世界 第4位、天然ガス埋蔵量が世界第1位と豊富なことである。第2に、 人口がトルコ、エジプトとほぼ同じ8,000万弱と多く消費市場として 有望なことである。第3に、イラン革命後の混乱、イラン・イラク戦争、 国連・米国・欧州連合(EU)による経済制裁で疲弊した経済の立て 直しへ外国企業の進出を歓迎していることである。 イラン側がまず力を注ぐのは外貨獲得の大黒柱である石油・ガス 産業だ。特に①産油量の引き上げ、②油田の探査・開発の促進、 ③液化天然ガス(LNG)事業の促進、の3点を重視している。このほ か石油化学、自動車、航空機、医療、鉄鋼といった産業も振興しよう としている。早くも独仏伊の3ヵ国は8月上旬までに各国有力大臣と ともに経済代表団を送りこみ、制裁解除を前提とした各種商談を進 めている。 我が国も山際副経済産業相を団長とする経済代表団が2015 年8月8、9日の日程でイランを訪問した。イラン政府が欧州への過 度の依存を避けようとしていることもあるので我が国企業にも大い にチャンスがありそうだ。 【畑中 美樹氏 プロフィール】 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経 済研究所 カイロ事務所長などを経て現職。著書に『石油地政学』』(中 公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『今こそチャンスの中 東湾岸ビジネス-到来した日本企業の出番-』(同友館)、『中東のクー ル・ジャパニーズ-日本と中東をつなぐ人たち-』(同友館)、『「イスラムマ ネー」がわかると経済の動きが読めてくる!』(すばる舎)など多数中東営業部は、旧ドバイ出張所を 組織替えする形で、2015年6月1日に 設置されました。当部のカバー国は、中 東、北アフリカ、中央アジア(アゼルバ イジャン、トルクメニスタン)の約20ヵ国 にわたり、当該地域を、日本人派遣行 員7名、現地スタッフ17名の総勢24名 (2016年3月見込み)にて担当してお ります。中東地域における〈みずほ〉の 拠点は、イスタンブール駐在員事務所、バハレーン駐在員事務所、テ ヘラン駐在員事務所、みずほサウジアラビア、マシュレックバンク・みず ほデスク、Gulf Japan Food Fund、中東営業部の5ヵ国、7拠点とな
ります。中東営業部設立を機に、これまで以上に地域・拠点間の連携 を深めながら、日系企業・マルチナショナル企業・地場企業の皆さまの ご要望に幅広く対応させていただきます。
各国概要
中東、北アフリカ、中央アジアというと紛争やテロ事件の多い地域 というイメージが強いと思いますが、GCC6ヵ国、アゼルバイジャン、トル クメニスタン、モロッコ、イランなどは比較的政情が安定し、また、インフ ラ需要が旺盛で、若年層が多く人口も増加中であるなど、今後のます ますの経済成長が期待される国が多い状況です。 この地域の主要国の概要は以下のようなものです。 サウジ:中東最大の経済規模を誇る世界最大の産油国。日本の原 油輸入の約30%を依存。人口は約3,000万人でGCC最大。消費 財、インフラ関係プロジェクト、石油および石油化学関連分野でのさら なる成長の可能性大。 UAE:日本にとってサウジアラビアに次いで2位の原油輸入国。アブダ ビは、インフラ関係プロジェクト、石油および石油化学関連分野でのさ らなる成長の可能性大。ドバイは、中東における金融・物流のハブと なっておりゲートウエー的位置付け。中東地域の地域統括拠点をドバ イに置くマルチナショナル企業も多数存在。中東諸国で日系企業が 最も集積しており、約300社が進出済み。 トルコ:2015年6月の総選挙にてエルドアン大統領の出身政党であ るイスラム系与党・公正発展党(AKP)が過半数割れ。政治的には先 が見通しにくい状況ではあるが、政情は相対的に安定。人口規模が 大きく、消費市場としての魅力大。トルコの地場製造業者や建設業者 は地域内でのプレゼンスも高く、トルコ企業との連携による周辺諸国 ビジネス獲得の動きあり。 イラン:欧米による経済制裁が緩和されたことにより、中東におけるフ ロンティアとして位置付けられている。欧米諸国との核協議および経 済制裁の解除の進展次第ではあるものの、人口規模、天然資源埋 蔵量、製造業の基盤、教育水準、食糧自給率、治安、インフラ・生産 設備の維持更新需要といった総合的な切り口から見ても、中東で最 もポテンシャルの高い国の1つ。 エジプト:2014年6月のシシ大統領就任以降政情が安定化。2015 年3月に開かれたエジプト経済開発会議以降は多くのマルチナショナ ル企業がインフラプロジェクトへの参画を発表。人口規模が大きく(約 8,600万人)、消費市場としての魅力大。 トルクメニスタン:豊富な天然ガス埋蔵量を誇り、日系企業による大型 プラント受注が続く国。石油化学関連分野での可能性大。中東・北アフリカ・中央アジア市場の魅力
個々の国が直面する環境が異なりますので、一括りに総括できませ んが、日系企業の進出意欲の高いASEAN地域と中東、北アフリカ、 中央アジア(MENA+CA)地域を比べてみると、MENA+CA地域の ほうが、GDP合計および1人あたりGDPが高く、平均年齢も24.4歳と 若い地域となっています。 油価下落の影響により、産油国の国家収入が減少したことで、一 部インフラ投資に陰りも見られますが、各国政府によるガソリン代の 補助金削減、水・電気代の値上げなどによる財政収支改善策の実 施や、過去に積み上がった潤沢なSWF資産や外貨準備高を駆使す るなど、優先順位の高いプロジェクトについては投資を継続。引き続き インフラ関連プロジェクト、石油および石油化学関連分野を中心に日 系企業にとって魅力のあるマーケットです。終わりに
〈みずほ〉は1970年代に中東の石油開発資金の提供を始めて以 来、中東と関わってまいりました。欧州拠点からのクロスボーダーでの 金融サービスやマシュレックバンクとの提携によるUAEでのオンショア 金融サービス等を通じ、日系企業の事業展開を支援するとともに、政 府系企業等との親密な関係を背景に、資源・発電・石化プロジェクト への資金供給等を通じ中東経済発展に寄与してきております。 中東、北アフリカ、中央アジアへの進出および事業拡大のお問い 合わせがございましたら、ぜひ〈みずほ〉までお気軽にご相談ください。 地域拠点間で共同してサポートさせていただきます。みずほ銀行 中東営業部について
中東営業部 部長 竹内 英史
竹内部長表. GDP、人口、年齢比較表
MENA + CA ASEAN 名目GDP(2013年 単位: 兆米ドル) 3.3 2.3 人口(2013年 単位:100万) 333 430 1人あたりGDP(2013年 単位:米ドル) 9,956 3,745 平均年齢(2010年) 24.4 28.0 (出所)IMF2015年7月14日に、最終合意に 達したイランとEU3+3*によるイラン 核協議。これにより、国連安全保障 理事会や米国、欧州等がイランに科 した経済制裁は段階的に解除され る見通しで、イラン産原油の輸出拡 大・企業進出など日本経済にも影響 を及ぼす可能性がある。 同協議が合意に向け大詰めに 入った2015年6月、みずほ銀行直投支援部は、テヘラン駐在員事 務所の所長であるMohammad Hossein Fatemieh(以下:ファタミ エ)にイラン市場の現状と進出にあたっての留意事項について、話 を聞いた。ファタミエは、テヘラン駐在員事務所長として銀行員の 視点から20年近くにわたりイラン市場を見てきた専門家である。 Q.イランの現状を教えてください 首都テヘラン市内で、車が路肩に駐車してボンネットを開けて いる光景をよく目にします。あれは走っている途中で故障し、路肩 で修理中の車です。首都であっても乗用車は古いものが多く、消 耗品のパーツ等も十分に入手できないのです。乗用車を例に挙 げましたが、二輪車、各種精製プラント、工作機械、インフラなど、 幅広い分野で老朽化の進展や、更新不足などが発生しています。 このような状況下、核協議が決着し、EU制裁・米国の二次制裁 が解除されることになれば、あらゆる分野における新規・更新需要 は活発化するはずで、巨大なビジネスチャンスが訪れるでしょう。 イランは、約8,000万人の人口を有し、1人あたりのGDPがまだ 5,000米ドル台と消費市場として大きなポテンシャルがあります。 それに加え、王制時代に行われた産業投資基盤もまだ健在で、も の作りや天然資源の採掘・精製における基礎的な技術は失われ ていない点も強みだと考えます。 イラン市場の特徴として、私がよく例に挙げているのが、乗用車 市場です。イラン国産車の生産技術は最新ではなく、海外の投資 家が製造事業を開始するには、初期投資費用が必要になります。 しかしポイントはむしろ、165万km²というイランの広大な国土(日 本の約4.4倍)において、すでに販売ネットワークが確立されている という点にあると思うのです。日本の自動車メーカーがイランで製 品販売が行えるようになれば、このネットワークはすぐに使える大き な資産になるでしょう。 また、メガストアに陳列されている多種多様な商品は、経済制裁 で海外からの輸入が制限されているため、ほぼ全ての商品がイラ ン国産品なのです。それぞれの商品は制裁強化前に導入された 製造ライセンスに基づき生産しており、工業力や生産技術といっ た基盤はすでに確立されているわけです。 Q.日系企業にとってイランへの直接投資は「新たに取り組むべ き」課題という位置づけになると思いますが、イラン投資へのポイ ントがあればお聞かせください イラン市場の強みはすでに申し上げた製造拠点・消費市場とし ての強みのほか、周辺国と比べて国家基盤が安定しているところ にあります。国民は苦しい制裁期間を耐え忍んだという一体感を 持って生活をしているのです。 直接投資という観点からは、投資誘致省があり投資ライセンス や外国人労働許可の取得におけるワンストップサービス提供に 努めているほか、投資内容次第では、各種税務上の優遇措置が 与えられる制度設計となっています。 また、製造基地として、現在国内に7つのフリーゾーン、14を超 える特別経済区(図1、2参照)が整備されていているのも特徴と いえます。その中でも直接投資が求められている分野は、石油・天
イラン概況
みずほ銀行 テヘラン駐在員事務所
所長 Mohammad Hossein Fatemieh
Fatemieh所長
テヘラン市内の路肩で修理中の乗用車
然ガス・鉱物資源関連分野だと思います。 Q.イランで事業運営をするにあたり難しい点はどこにあると考え ますか。たとえば、労働問題といったものはありますか あくまで私見ですが、イラン人にとって日系に代表される外資系 企業の人気は高いと思います。1つには給与を含めた待遇が良い という点がありますが、それ以上にイラン人にとって進んだ知識・ノ ウハウなどは諸外国から来るものという既成概念があり、イラン人 は知識・ノウハウの習得にとても前向きなのです。これはポジティ ブな面といえるでしょう。一方、イランでは労働者保護が手厚く、給 与面では政府の定める毎年の最低賃金基準に従いベースアップ が求められる制度になっています。これはインフレ環境のもと、労 働者保護が重要な政策目標になっているための政策ですが、経 営上では大きな負担となります。あわせて、新興国ならではの問題 で、行政の判断において各種規制の適用が安定しない傾向があ ります。 たとえば担当者次第で判断にばらつきが発生するという話もあ り、経営における不確定要素になりかねないと考えます。 Q.潜在力のある市場ながらも新興国特有の投資や経営上の難 しさがあるということですね その通りです。しかしながら、歴史的にイランと日本は、石油・天 然ガスといったエネルギービジネスを通じ、極めて親密な間柄の国 でした。日系企業の皆さまには今後見込まれる経済制裁解除を 機会と捉え、イランビジネスの可能性を検討していただければと思 います。 * EU3ヵ国(英、仏、独)および米、中、露の3ヵ国を指す (取材・作成)みずほ銀行 直投支援部 調査役 井上 陽介 ※本インタビューは核協議が最終合意に達する前の2015年6月に行われたもので、掲載 情報は2015年6月時点のものとなります。何卒ご了承ください。
図1. イランにおけるフリーゾーン
図2. イランにおける特別経済区
Aras Free Zone
敷地面積は約1,670㎢。アゼルバイジャン、アルメ ニア、トルコに隣接し、国際的な輸送通路を有す る。農業分野が発達。
Makou Free Zone
トルコ国境から約22㎞に位置。約5,000㎢の敷地 面積を有するイラン最大規模のFZ。
Arvand Free Zone
アバダン空港、エマーム・ホメイニー港に隣接する 敷地面積約173㎢のFZ。東はイラク、南はクウェー トと国境を接する。
Anzali Free Zone
カスピ海に面した主要港の一つであるバンダル・ア ンザリ港に隣接した約3,200㎢のFZ。製造業、石油 化学産業、運送業、農業等多様な産業が発達。
Kish Free Zone
イランから19㎞離れた約90㎢の島内にあるFZ。製 造業を中心に100社以上の企業が進出(2002年 末時点)。
Qeshm Free Zone
ペルシャ湾最大の島内にある約140㎢のFZ。 Chabahar Free Zone
敷地面積約140㎢。パキスタン国境から70㎞に位 置。シャバハール港、オマーン海に隣接するFZ。 〈Aras Free Zone図〉
トルクメニスタン アフガニスタン パキスタン オマーン アラブ首長国連邦 カタール バハレーン サウジアラビア クウェート クウェート イラク アルメニア アゼルバイジャン Tabriz ウズベキスタン Rasht Now Shahr Bandar-e Torkaman Bandar-e Torkaman Mashhad Birjand Yazd Kerman Bandar Abbas Kerman Bandar Abbas Zahedan Bandar-e Asaluyeh Shiraz Bandar-e Bushehr Charbahar TEHRAN TEHRAN Qom Kermanshah Dezful Ahvaz Abadan Esfahan カスピ海 イラン サラフチェガン特別経済区 敷地面積:2,000ha 石油化学特別経済区 敷地面積:1,770ha バンダル・ブシェール特別経済区 敷地面積:41ha ブシェール特別経済区 面積:2,034ha サンゲ・ロレスタン特別経済区 シーラーズ電気・電子特別経済区 パルス特別経済エネルギー区 バンダル・アミラバド・ベフシャール特別経済区 敷地面積:60ha 金属鉱山特別経済区 面積:1,200ha サラクス特別経済区 面積:5,200ha アルゲ・ジャデイド特別経済区 面積:5,000ha 車両製造業の集積地 シャルジャン特別経済区 面積:1,700ha バンダル・シャヒド・ラジャイ特別経済区 敷地面積:2,000ha ヤズド繊維工業特別経済区 トルクメニスタン アフガニスタン パキスタン オマーン アラブ首長国連邦 カタール バハレーン サウジアラビア クウェート クウェート イラク アルメニア アルメニア アゼルバイジャン Tabriz ウズベキスタン Rasht Now Shahr Bandar-e Torkaman Bandar-e Torkaman Mashhad Birjand Yazd Kerman Bandar Abbas Zahedan Bandar-e Asaluyeh Shiraz Bandar-e Bushehr Charbahar TEHRAN TEHRAN Qom Kermanshah Kermanshah Dezful Ahvaz Abadan Abadan Esfahan カスピ海 イラン
日系企業の海外進出は、従来の製造業中心からサービス・消費財 販売中心にシフトしている。この背景には、製造業の海外進出が先 行、一巡していること、日本市場の人口減・高齢化、官民が推進する日 本ブランド輸出や「クールジャパン」といった施策が挙げられる。本稿で は、アジア市場に続くフロンティアであるMENA地域、なかでも日系消 費財ブランド参入が活性化しているアラブ首長国連邦(以下:UAE) 市場における参入戦略について考察したい。
UAEの消費性向
UAEは世帯可処分所得が高く(表1)、過去5年間でも20%超える 高い成長率を示している。日本の可処分所得上位10%は、UAEの上 位30%台の水準にすぎず、UAE最上位の可処分所得は、400,000米 ドルと、「裕福」であることがわかる。なお、「ビッグマック指数」が示す物価 は、日本の100に対しUAEは130.8であることから、UAEの高所得は物 価要因ではない。UAE市場の特徴は、高い購買力+ハイエンドは高級 品が販売できることであると考えられる。所得予想によれば、2030年に 向けさらにこの傾向が強まることが示されている(表2)。 UAEおよび比較用に日本と新興国代表としてインドネシアの消費 性向を表3に表示する。 表3は各国について示唆に富む内容であるが、UAEの消費性向と して、最高の所得水準であるにもかかわらず衣食住が占める割合が 高い(中間層のDecile5で7割)のが特徴。これは低所得故に衣食 住の占める割合が高いはずのインドネシアを超える水準である。他国 比、明らかにレジャー・医療・耐久消費財などの占める割合が少ないこ とから、「衣食住以外に金を使わない」消費性向だと想像されるのだ。 Decile10になってやっと、宿泊・外食費、教養娯楽費などレジャーの割 合が伸びてくるが、それでも教養娯楽費は全体の3%にとどまり、日本 同階層の9%、インドネシアの6%と比べいまだに低い割合にとどまるこ とが見て取れる。 上記の通りUAE市場は日本よりも高付加価値・高価格帯の商品 投入が検討できる環境であり、消費性向は、生活嗜し こ う ひ ん好品、趣味の耐 久財、レジャー関連サービスに大きな成長の余地があることを示唆して いる。参入戦略
高級品・嗜好品の市場参入戦略を日用品との比較から考えてみた い。日用品とは食品や日用雑貨など、商材ごとの市場規模が一定な 市場と言える。一方、生活嗜好品といったものは、たとえば、「化粧品を やめてエステに行こう」というような、「楽しみ」を一定の予算と時間で 充足するあらゆるものが代替手段となりうる市場である。 ここにおいて重要なことは価格競争力や利便性より「価値の創造」 であり、消費者は「楽しみ」の保証としての「ブランド」に注目し購買活 動を行う(図1)。 チョコレートメーカーの“GODIVA”や紅茶メーカーの“TWG”など、す でに現地で成功している非日系ブランドは、もともと富裕層に欧米留 学経験者が多く、欧米の高級品はブランド認知がされやすい事情から 早くに市場に定着した。店舗は高級モールにあるショールーム型で、商 品を見て買い物をすることそのものが娯楽になるモデルである。値段は 日本での販売価格より平均3割以上高いが、受け入れられている。 日系企業の進出成功事例である老舗洋菓子メーカーのヨックモッ クは、進出当初ブランド認知度は十分ではなかったが、アラブの贈答 文化を背景に、ショールーム型店舗において九谷焼・漆塗りといった *Decile分析とは、全人口を所得別に10分割する分析手法中東における消費財市場への参入戦略
みずほ銀行 直投支援部 調査役 井上 陽介
表1. 中東諸国の可処分所得増加率(2009~2014年)
表2. Decile
(デシル)分析で見る3ヵ国の所得水準比較
(2014~2030年)表3. 各国消費性向比較
(%) (米ドル) 200 180 160 140 エジプト インドネシア 日本 ヨルダン サウジアラビア バハレーン カタール UAE クウェート 日本 120 100 80 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 60 トルコ トルコ トルコ 100 その他消費支出 酒類・タバコ 宿泊・外食費 教育 教養娯楽 通信 交通 保険医療 家具・家事用品 住居 食料および酒類を除く飲料 被服および履物 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%) インドネシア 日本 UAEDecile 1 Decile 5 Decile 10 Decile 1 Decile 5 Decile 10 Decile 1 Decile 5 Decile 10
(米ドル) 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 インドネシア(2014年)
Decile 1 Decile 2 Decile 3 Decile 4 Decile 5 Decile 6 Decile 7 Decile 8 Decile 9 Decile 10 インドネシア(2030年) 日本(2014年) 日本(2030年) UAE(2014年) UAE(2030年) (出所)Euromonitor Internationalよりみずほ銀行直投支援部作成 (出所)Euromonitor Internationalよりみずほ銀行直投支援部作成 (出所)Euromonitor Internationalよりみずほ銀行直投支援部作成
高級包装材と商品を組み合わせた贈答品パッケージを開発するなどし て、好評を得ている。「商品を選ぶ探検」といった娯楽を提供すること で、その面白さが評価されているといえる。 どちらにしても、いかに富裕層に自社商材の価値や購入することの 楽しさを伝えるかというプレゼンテーションこそが嗜好品市場参入戦略 のポイントなので、品質の良さだけでは市場への浸透は困難と考える。 言いかえれば、上記の市場参入戦略に向かない商材は、一般のマ ス流通チャネルで勝負をすることになるが、その場合は中国勢・韓国勢 の低価格商品と競合し、勝ち残る必要がある。このチャネルで生き残 るためには、他国の同業他社より優れた効率化・競争力の実現が必 須となる。
まとめ
UAE市場では、“Made in Japan”=高品 質だと認知されているが、一方日本製品が 「ブランド」と認知されているかと言えば、ま だ努力の余地が多くある。 UAE嗜好品市場への参入戦略につき、 4Pマーケティング(図2)ミックス分析を適用すると4PのうちPromotion (プレゼンテーション)、Place(販売環境)の重要性が高いのだ。そう いう意味では、日系企業は、すでにPrice(価格要因)要素のウェイトが 高い華僑系富裕層向けの高級 嗜好品販売を経験してきたが、 この成功事例をそのままUAE富 裕層に適用することはできない。 UAE市場での成功には、現地事 情に合わせた最適なマーケティン グ手法の選択を行うことこそがカ ギと言える。 サウジアラビア王国(以下: サウジ)は中東最大の経済規 模を有し、魅力的な投資機会 を将来にわたり提供すること が期待されている国です。人 口3,100万人の消費市場や 中東、アフリカ、アジアへのゲートウエーという戦略的立地、政 府の産業多角化への積極的取り組み等、中東他国にはない 優位性や魅力があります。 日本はいち早く投資メリットを理解し、サウジへの最大の直接 投資国となった特別な関係を有する国として、高く評価されてい ます。我々も日本企業を引き続き支援していくつもりですし、今 後もサウジへの投資が簡便で収益性の高い案件となるように 注力していきます。 サウジは、基本、外資規制はなく、公的資金の支援体制もあ り、資本・利益・配当の本国送金等への制約もなく、税務メリット (個人課税、売上税、VATなし、競争力のある法人税率)等の 優位性があります。サウジアラビア総合投資院(以下:SAGIA) の投資支援は、こうした優位性をさらに強化するもので、日本企 業を始めとする外資企業の進出・事業立ち上げがスムーズに 進むよう支援しています。また、投資支援強化のために、以下の 制度を導入しました。
■One Stop Shop:投資許可や外国人労働者への労働許可
等に関して、SAGIAが所轄省庁との調整を一括支援。 ■Fast Track:特定条件を満たす企業に対し投資許可を5日 以内に発行。 現在、SAGIAでは投資促進策として統合投資計画(以下: UIP)を推進しています。UIPとは、戦略的分野への政府支出コ ミット等により、サウジアラビア国内での魅力的な投資機会を 創出し、産業育成に繋げていくものです。現時点で、今後10年 間で、公共交通分野に1,400億米ドル相当、ヘルスケア分野 に1,800億米ドル相当の、100を超える事業がUIPとして指定 されています。 SAGIAでは情報提供を目的として、既存HP(www.sagia. gov.sa)での照会機能に加え、アップル、アンドロイド携帯端 末対応アプリ“Invest Saudi”を新設しました。具体的な相談は [email protected]に、メールをいただければ投資ア ドバイザーが対応いたします。ぜひご利用ください。
サウジアラビア投資促進機関紹介
HE Abdullatif AL. Al Othman
サウジアラビア総合投資院(SAGIA)
Governor and Chairman of the Board of Directors SAGIA HE Abdullatif AL. Al Othman
図1. 商材別の市場参入戦略モデル
図2. マーケティングの4P
Promotion (プレゼンテーション) Products (製品価値) Place (販売環境) Price (価格要因) 該当する材 競合他社 参入戦略 流通チャネル 商品開発 嗜好品・レジャー 関連サービス 価値創造型商材 異業種との競合 価値のプレゼンブランドの確立 ショールーム型店舗 既存商材の高級化・高付加値化 日用商品・消耗品 競争力型商材 同業との競合 シェア確保のための販促・価格競争力 現地流通業者 (メガマート ・伝統的商店) 市場によっては 廉価版・機能性 低下を受入 (出所)Euromonitor Internationalよりみずほ銀行直投支援部作成100円ショップ「ザ・ダイソー」の運営を行う株式会社大創産業(本 社:広島県東広島市)。全都道府県に業界最多となる2,900店舗を 展開し、100円ショップの国内シェアは65%を占めている。 スケールメリットを生かした低コスト生産により、他社には真似できな いバラエティに富んだ高品質な商品を、低価格で販売できる強みを持 つ。取り扱い商品は、生活雑貨を始め、食品や化粧品、文具、工具な ど幅広く、商品総数は7万アイテムにも及ぶ。 また、機能性・デザイン性に優れた商品開発にも定評があり、自社 開発商品は全体の99%を占めている。「お客さまがお店を訪れるたび に新商品が陳列され、楽しんでいただける売り場」を実現すべく、毎月 500アイテムを超える新商品を協力会社とともに開発し、店頭に送り 出している。 海外事業は2000年の台湾進出を端緒に、2015年9月現在、アジ アを中心に26の国と地域に約1,400の店舗を出店している。中東地 域(以下:中東)は2004年のドバイへの第1号店開店を皮切りに、店 舗数を拡大中である。2006年には中東8ヵ国において最も優れた流 通企業に贈られる「Retail ME賞*」を受賞した。今回、同社の中東にお ける事業展開について常務取締役である大原貴光氏に話を聞いた。 Q.中東事業の沿革についてご教示ください UAEでスーパーマーケットなどを展開するインド系企業のLals Group (ラルズ・グループ)より商品供給の依頼があり、パートナー契約を締 結したことが中東事業開始のきっかけです。2004年3月にはドバイに 「DAISO JAPAN」第1号店を出店し、その後周辺国への出店を進め ていきました。2013年には世界最大のショッピングモール「ドバイ・モー ル」への出店を果たしています。2015年9月現在、中東にはUAEに24 店舗、サウジアラビアに6店舗、バハレーンに2店舗、オマーンに2店舗、カ タールに3店舗、クウェートに5店舗と、合計42の店舗を展開しています。 中東には拠点は設けず、出張ベースで現地の運営指導を行っています。 Q.中東における事業展開や人気商品について教えてください 中東に限らずどの海外諸国においても、日本のお客さまに安心して 購入いただいている商品を展開し、ジャパンブランドを打ち出すことをコ ンセプトにしているため、日本で 取り扱いのある商品のみを海外 で販売しています。 商品は大阪港を中心に出荷 しているため、中東における商 品の大半の販売価格は7ディル ハム(約230円)と、日本と比較すると割高です。 宗教上の理由で食品および豚関連の商品の販売ができないの で、生活雑貨を中心に取り扱っていますが、その中で「マジックペン」、 「LEDキャンドルライト」、小鼻の角質を除去する「小鼻すっきり炭パッ ク」、子ども用玩具の「こむぎねんど型セット」などが人気です。 Q.中東市場の魅力はどのようなものでしょうか オイルマネーの恩恵を受けた高所得者層が多い点と、人口に対し 小売店の店舗数が少ないため、今後小売業の成長が期待できるとい う2点です。また、政情が不安定な国もありますが、政情が安定すれば 大きなポテンシャルを秘めた有望市場へと変化を遂げる可能性があり ます。このような理由から中東には開拓の余地が十分にあり、出店可 能なエリアが多く残されていると考えています。 Q.今後の事業展望をご教示ください 国内外問わず、私たちが常に心がけていることは「お客さまにお買 い物を楽しんでいただく」ことと「お客さまに新商品を提案する『提案 型の売り場』を作る」ことです。 たとえば、シンガポールで当時は全く知られていなかった洗濯ネット を販売したところ、最初は日本人駐在員の方々にしか売れなかったの ですが、徐々に地元の方にも売れ始め、洗濯時に洗濯ネットを使用す るという習慣が現地で根付いたことがあります。習慣を作るという言い 方は大変おこがましいのですが、中東においても現地で定着していな い商品を提案し、浸透させていければと考えています。中東は娯楽が 比較的少なく、買い物そのものを娯楽ととらえる方も多いため、まだ馴 染みのないクリスマス商材などをシーズン時に陳列し、来店されるお客 さまに知っていただくなどの工夫をこらしています。 2016年にはLals Groupと協同し、UAEに5店舗を新規出店する 予定です。ただ、店舗数や売り上げなどの数字は重視せず、お客さま に楽しんでいただける売り場をご提供することを最優先事項に、引き 続き取り組んでいきたいと思います。
中東でお客さまに楽しんでいただく
「DAISO JAPAN」を展開
株式会社大創産業
常務取締役 大原 貴光氏
* 中東8ヵ国間(UAE、バハレーン、カタール、クウェート、オマーン、レバノン、イエメン、サ ウジアラビア)で国際的に展開している企業に贈られるもので、マネジメント・レイアウ ト・サービス・清潔さなど総合的に優れている流通企業に与えられる賞 (取材・作成)みずほ銀行 直投支援部 金久 実央 ドバイ・モール店舗の様子 中東における人気商品8ヵ所、総従業員数約 1,500名、国籍30ヵ国 強の体制にて、中東・ア フリカ地域をカバーして います。 Q.貴社の強みおよび中東・アフリカ事業における実績について お教えください 石油・天然ガスの井戸元・開発等のアップストリームプロジェクトや、 その下流側の石油精製・石油化学などのダウンストリームプロジェクト、 パイプライン等のミッドストリームプロジェクト向けに、統合生産制御シ ステム「CENTUM® VP」や安全計装システム「ProSafe®-RS」、流 量計、差圧・圧力伝送器や分析計などをご提供し、お客さまの生産効 率の向上や安定操業に貢献してまいりました。お客さまに密着した販 売体制、現地の人材を活用した卓越したエンジニアリング力やプロジェ クト遂行能力、現地でのきめ細かなサービス、そして顧客第一をモットー にした迅速な事業判断と実行力に対し、お客さまから高い評価をいた だき、信頼関係を築いています。 統合生産制御システムや安全計装システムの納入実績は、中近 東に630システム、アフリカ諸国に180システムに及び、中東を中心に 高い市場シェアを獲得しています。 YOKOGAWAグループは企業理念で「YOKOGAWAは計測と制 御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する。 YOKOGAWA人は良き市民であり勇気をもった開拓者であれ」と掲げ ています。当社ではこの企業理念に鑑み、各国の新卒者や学生を対 象とした、計測・制御・情報分野のエンジニアリング教育や短期のイン ターンシッププログラムを設け、その国の国策に沿った職業教育、就労 促進や産業振興に貢献をしています。 Q.今後の成長戦略をお聞かせください YOKOGAWAは、さらなる成長に向けて、2015年度を開始年度と する新中期経営計画Transformation(トランスフォーメーション)2017 (TF2017)を策定しました。制御市場に引き続き注力し、市場、競合そ してお客さまが求める価値の変化に対応するため、「お客さまフォーカ ス」、「新しい価値の創造」、「グローバル最適による徹底的な効率化」 の3点に重点的に取り組み、事業構造の変革を進めていきます。 当社は、TF2017のもとに3つの変革重点目標に取り組み、オート メーション機器サプライヤー・システムインテグレーターから、統合オート メーション・ソリューション・パートナーへの変革に注力してまいります。お 客さまが当社に寄せてくださる期待と信頼は、私たちにとって大切で重 要な財産です。これからもお客さまとの関係をさらに強固なものとし、真 の統合オートメーション・ソリューション・パートナーとして、中東・アフリカ 地域社会のさらなる発展に貢献し、地域社会、お客さま、人々とともに 歩んでまいります。 1915年に創業し、制御・計測・航機 等の幅広い分野において事業を展開 する横河電機株式会社(本社:東京都 武蔵野市)(以下:YOKOGAWA)。主 軸事業となる制御分野では、各種プラ ントの生産設備の制御・運転監視を行 う制御システムや工業計器の開発、 製造、販売、エンジニアリング、サービス を手がけており、創立100周年を迎え た現在、88社の子会社と約2万人の従業員を擁し、56ヵ国に拠点を 展開している。
中東・アフリカ地域には、現地法人「Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)」を、バハレーンに有し、事業展開中である。同地域 の事業に関し、President & CEOの松林秀樹氏に話を聞いた。
Q.貴社の中東・アフリカ事業概要および沿革をご教示ください
私どもYokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)は、 YOKOGAWAの現地法人で、中東・アフリカ66ヵ国(中東12ヵ国、ア フリカ54ヵ国)をビジネステリトリーとする地域統括本社です。北米、欧 州、東南アジア、中国とならび5つの地域統括会社の1つとして位置づ けられています。 今年で25周年を迎える当社は、1990年、バハレーンに「Yokogawa Middle East」として設立されました。以後、順調に事業を拡大し、 2005年にバハレーン、2006年にはアラブ首長国連邦ドバイにエン ジニアリング子会社を設立しました。サウジアラビアでは、2006年に 販売・エンジニアリング・R&Dを担う子会社と、2007年にはサービス・ 計装工事を担う子会社を設立。2010年にはアラブ首長国連邦アブ ダビにエンジニアリングセンターを開設し、中東での販売、エンジニアリ ング、サービス力を強化してきました。2013年にはアフリカ地域をテリト リーに加え、社名も「Yokogawa Middle East & Africa」となり、現 在に至っています。南アフリカやナイジェリアを含め、中東・アフリカにお ける強固な事業体制の構築を進めており、2015年4月現在、傘下に 子会社6社、販売/サービス事務所22ヵ所、エンジニアリングセンター 松林President & CEO
プラント制御システムで、
中東・アフリカの地域社会発展に貢献
Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)
MENA地域〈みずほ〉拠点のご案内
みずほサウジアラビアカンパニー President & CEO 藤井竜平
みずほサウジアラビアカンパニー(以下、みずほサウジアラビア)は、サウジアラビア地場企業とのM&A・戦略的パー トナーシップ候補先発掘およびアドバイス、サウジアラビアでの資金調達や進出アドバイス、サウジ市場でのIPO支 援業務等、さまざまな投資に関するアドバイザリーサービスを提供している投資銀行で、邦銀唯一のサウジアラビア現 地法人です。 サウジアラビアは、世界最大級の石油・ガス輸出および石化事業に支えられ、堅調な経済成長を続けています。一 方、昨今の石油安の影響もあり、従来以上に産業多角化を指向しており、ヘルスケアセクターを始めとした各非石油 セクターの産業推進のほか、G20加盟国では最も高い人口増加率を支える社会インフラ整備、再生可能エネルギー 導入等を重要経済政策として挙げており、現在では石油産業のみならず、各産業にビジネスチャンスが広がっており、新規参入検討の観 点から、巨大な可能性を秘めた市場となっています。 みずほサウジアラビアでは、当社およびみずほグループが構築してきた現地ネットワーク・知見を活用し、サウジアラビアへの新規事業投 資・既存事業の拡大を展望する日系企業のお客さまやサウジアラビア企業からの投資受け入れに関心のあるお客さま、あるいは当地の非 日系企業のお客さま向けに、さまざまなアドバイス・サポートをしております。ご相談がございましたら、お気軽にみずほサウジアラビアにご照会 ください。 当コーナーではMENA地域に拠点を構える〈みずほ〉各拠点よりご挨拶をさせていただきます。
みずほ銀行 イスタンブール駐在員事務所 所長 小嶺 広展
トルコは中東・アジア・ヨーロッパの結節点に位置し、名目GDPは約8,000億米ドル(2014年)、人口は約7,700万 人(2014年)と、いずれも中東で最大規模を誇っています。平均年齢が約30歳と若く、高い労働生産性を有するこ と、親日的であることなどを背景に、すでに約150社の日系企業が進出済みです。欧州向けの輸出拠点として、トルコ の内需拡大を見据えての販売拠点として、また中東や北アフリカ、中央アジア等の周辺地域へのハブ拠点として、ト ルコ進出のメリットは多く、現在も多くの日系企業が進出を検討しています。 みずほ銀行イスタンブール駐在員事務所は、トルコにおけるお客さまへの情報提供活動、調査業務等を行うべく、 2012年2月に開設しました。 〈みずほ〉は、クロスボーダーの金融サービスを通じ、お客さまの事業展開を支援するとともに、地場金融機関や企業等との親密な関係を もとにトルコ経済の発展に寄与してまいりました。また、トルコ共和国首相府投資促進機関(ISPAT)や現地大手銀行AK BANKとの業務 協力協定締結を通じ、お客さまのトルコ進出時の支援体制を強化しております。 トルコでこれまで培ってきた〈みずほ〉のノウハウをフルに活用し、お客さまのトルコ進出および事業拡大を全力でサポートさせていただきます。 小嶺所長みずほ銀行 テヘラン駐在員事務所 所長 Mohammad Hossein Fatemieh
みずほ銀行テヘラン駐在員事務所は、イランにおける日系企業の石油ビジネス支援を目指し、1975年に開設され ました。以後、イランにおける日系企業と、主要な地場銀行・中央銀行等とを連携する機能を果たしてきました。 1979年のイラン革命、イラン・イラク戦争、核開発協議などの国際問題により、イランの経済発展は大きな困難に 直面してきましたが、そういった環境下においても、〈みずほ〉は事務所の運営を維持してきました。 一般的な商業銀行サービスに加え、国際協力銀行と協調するなどして、中央銀行や主要な地場銀行に対しLCリ ファイナンスや輸出金融を提供、主に日系商社やエンジニアリング会社のイランビジネスを支援してきたのです。 2006年に始まった経済制裁は、日系ビジネスに多くの制約をもたらしましたが、この経済制裁も2013年11月に一 部緩和。これに合わせ、〈みずほ〉は人道的支援物資輸出に関する決済スキーム提供を開始。このスキームは、数多くの地場企業から評価 を得ております。 イランにはエネルギー・その他鉱物資源が豊富で、さらに人口約8,000万人の大きな消費をもあわせ持つ市場であり、日系企業を始め諸 外国企業から注目されている市場です。経済制裁の包括解除がされれば、イラン市場はすぐにも再発展をすると思います。引き続き、みず ほ銀行テヘラン駐在員事務所は、提供可能なサービスの拡充を図るなど、真摯に活動をしていきたいと思います。 Fatemieh所長 藤井President & CEO
Mizuho Gulf Capital Partners Ltd(2015年秋頃設立予定)
日本では、政府の「日本再興戦略」において2020年まで の食品・農林水産物の輸出倍増目標が掲げられるなか、食 関連産業の輸出拡大に向けた具体的な仕組み作りが求め られています。他方、中東各国では食糧安全保障の向上が 大きな政策課題となっており、安全で高品質な食品に対する 需要、あるいは域内における食品生産・加工の高効率化・高 付加価値化に向けた技術支援需要が大きく存在します。 みずほ銀行では、中東各国のこうしたニーズに対応すると ともに、日本から中東地域に向けた食品・農林水産物ならび に関連する生産・操業技術等の輸出拡大を金融面から支 援するため、2015年秋頃をめどに、プライベート・エクイティ・ ファンド「Gulf Japan Food Fund」を組成すべく、ドバイに当該ファンド運営会社「Mizuho Gulf Capital Partners Ltd」 を設立予定です。
本ファンドの組成は、2013年8月にみずほ銀行とGCC*6ヵ国政府共同出資の投資会社であるGulf Investment Corporation(所在:ク
ウェート、以下「GIC」)との間で締結された業務協力覚書に基づく取り組みです。みずほ銀行とGICは、両社の広範なネットワーク等を相互 に活用し、本ファンドを通じた資金的支援に加え、日本と中東それぞれにおける事業パートナーの発掘や本ファンドの投資先企業への各種 サポート等を実施していきます。
みずほ銀行 バハレーン駐在員事務所 所長 皆木 良夫
みずほ銀行バハレーン駐在員事務所は、中東・北アフリカ諸国におけるお客さまへの情報提供活動、調査業務等 を行うべく、1980年に開設し、今年で35周年を迎えます。 バハレーンはアラビア湾に浮かぶ島国で、東京23区程度の面積に、130万人が暮らしています。うちバハレーン人 と外国人の比率は半々です。隣国サウジアラビアとは約25kmのコーズウェイで結ばれており、金曜、土曜の週末に は周辺国からの観光客で賑わっています。1980年代以降、地域のオフショア金融センターとして機能し、現在も約 400の金融機関が事業活動を行っています。金融のみならず、製造業、サービス業など多種多様な職種にバハレーン 人も従事し、英語でアラブ人との接点を多く持つことができる点で、ビジネスを通じて広範なアラブ世界を理解するに は格好の場所です。近年は周辺国対比の賃料・人件費などコスト面での魅力も大きくなってきています。 〈みずほ〉は、バハレーンから長年、中東・北アフリカ地域の情報収集を行っております。特にアラブ各国における現地金融機関を介した 銀行取引・取引慣習など、豊富な情報を持ち合わせておりますので、お気軽にお問い合わせください。 皆木所長マシュレックバンク みずほデスク Head of Japan Desk 菱谷 直史
“Mashreq”とはアラビア語で「東」、「日が昇る地」を意味します。偶然ですが、日本を連想するような言葉を名に 持つ銀行とみずほ銀行は2003年に業務提携を開始し、UAEのドバイ首長国にジャパンデスクを開設しました。 みずほ派遣行員2名が窓口として、日系企業のご相談に日々対応しておりますが、その特徴は地場銀行ならでは の中東各国現地通貨建て預金対応です。ボンドや中東アフリカ新興国銀行リスクに対応したトレードファイナンス にも強みがあります。支店網はUAE、クウェート、カタール、バハレーン、エジプトをカバーしています。 ドバイは、中東、アフリカ、南アジアといった人口が増加傾向にある地域のほぼ中心に位置し、MENA域内貿 易ハブの地位を獲得しています。ドバイから中東ほか、その周辺国80ヵ国へ販売中といった企業もあるなど、UAE 全体で400社超の日系企業が事務所を構え、活発な貿易活動を行っています。世界最大のショッピングモールであるドバイ・モールの 2014年の年間来場者数は延べ8,000万人を超え、富裕層やドバイ来訪者をビジネス機会と捉える動きも、より活発化しています。 MENAビジネスに関心がおありでしたら、日本人窓口担当者が在籍するマシュレックバンクへお気軽にご相談ください。
菱谷 Head of Japan Desk
*Gulf Cooperation Council (湾岸協力会議):サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーン、クウェート、カタール、バハレーン
Gulf Japan Food Fund 投資対象分野~「食」をキーワードとした幅広い分野が投資対象
食のバリューチェーン全体 食のバリューチェーンを支えるインフラ ○青果物加工: 冷凍野菜、果実缶詰、加工品、ジュース・・・ ○穀物加工: 製粉、配合飼料、搾油、パン生地、焼き菓子・・・ ○食肉加工: 食肉処理、冷凍、加工肉、ハム・・・ ○水産加工: 冷凍、加工魚肉、缶詰、魚肉ソーセージ・・・ ○乳加工品: 加工乳、チーズ、バター、ヨーグルト、粉ミルク・・・ ○冷凍食品 ○乳幼児向け食品 ○健康食品、サプリメント 等々 栽培・耕作 漁業・養殖 畜産・酪農 食品輸出入 食品卸小売 飲食店 海水淡水化 植物工場 陸上養殖設備 穀物備蓄 ハラル認証・ハラル対応設備 冷蔵倉庫冷蔵物流