幼児の食事指導について(第3報)
―入園時の給食指導の観察と食事調査から―
伊藤 フミ・玉木 民子
On Proper Guidance in Daily Meals of Infants(1978)
by
Fumi Ito, Tamiko Tamaki
1 は じ め に
本学小児栄養研究室では,幼児期の食生活の重要性から考えて,問題点とその解決策を見い出 1)、2)
したいと1973年以来継続的に調査と研究を進めて来た。その間に訪問した新潟市立万代保育園の 徹底した給食指導に感銘を受けたので,①入園から3か月の基礎指導の過程を見学したいとかね てから願っていたところ,この度観察の機会が得られたので,その結果を報告したい。②更に① の対象児と同年令の市内5園の幼稚園児の「食事調査」を実施したので,その一部を取りあげて 対象児と比較して考察したい。③徹底した食事指導を受けた園児が小学校では,どのように成長
して行くであろうかとかねて追跡調査を希望していたところ,園と小学校の厚意によって実施す ることができたのでその一端をも報告したい。
II調 査 方 法
1 入園時から3か月の給食指導の観察について
1977年4月,万代保育園に入園した3歳児25名について,筆者らの都合で,4月15日から6月 24日まで毎週金曜日週1回園に出向いて11時45分〜12時30分くらいの闇,給食と喫食の状況を観 察した。あらかじめ,学級担任から名簿と座席表をもらって,できるだけ園児が自然の状態で喫 食できるように努めた。
なお給食の献立は,新潟市の福祉課から1か月分の標準献立が配布され,毎月1回の誕生会以 外はこの献立によって給食が行なわれている。1日ごとに献立,食品,1人分の分量及び栄養価 も算出されていて,各園の給食事務の省力化がはかられている。各園ではこの分量をもとに材料 を発注して,園で調理が行なわれている。3歳児であるから主食は家庭から御飯,お握り,パン 等を持参している。
2 観察対象児及び同年令の新潟市内の幼稚園児の食事調査について
1.の給食指導の観察と並行して,この園児の背後にある家庭状況及び園児の食事歴の調査を
1),2)
前回と同じ方法で計画していたところ,県立新潟女子短期大学岡田玲子助教授の提案により,新 潟市の福祉課,保健給食係長笠原里子氏の同意を得て,筆者らを含む三者で,新潟市内の公私立 新潟青陵女子短期大学 研究報告 第9号 (1979)
幼稚園及び保育園児 約3,000名を対象に食事調査を行ない,幼児の食生活の実態をはあくし,そ の中にある問題を見い出して,改善の方向を求めようということになった。この中に観察対象児 を含めて調査を行なった。1977年7月中旬に行なった食事調査の中から,対象児及び同年令に当 たる市内5園の幼稚園児の調査結果と比較して,対象児の食事環境や食事歴その他の食生活の実 1),2),3),4),5)
態を明らかにしようと試みたのでその一部を記載したい。なお食事調査表は紙面の都合で割愛
する。
3 万代保育園の卒園者が進学している新潟市立万代小学校児童の追跡調査について 現在在学中の児童各学年1学級ずつ6学年計216名について後述のような方法で行なった。そ の結果について報告したい。
皿 結果及び考察
1 入園時から3か月の給食指導の観察について
3か月10回の給食指導の観察の結果を表1にまとめて,考察を加えたい。
表1入園時から3か月の喫食状況(週1回金曜日)
回 1 睡生斗
馴4月・5日i4月22日
献
立
熱量
(Cal)
たんぱ く質
(の
・ハンハ ーグ ケチヤッ プ煮
・レタス サラダ
343
8.3
(1j)睾きき
○
) 2男
(
◎
) 3男
(
○
) 4男
(
○
) 5男
(
○
) 6男
(
5月6日
子ま一ナ煮塩ズナ 親ごチバ
1(42・)
(13.2)
O
○
◎
◎
◎
◎
213
12.6 4
5月13日
・肉じる
・こんぶ 豆
・ごま塩
204
5誕生斗 7
5月20日5月27日6月3日
・蒸ごは ん
・鶏肉空 揚げ
レタス
・かきた まじる
・フルー ツ盛合せ
・えびフ ライ
・野菜塩 もみ
・みそし
る
・いちご
・かきた まうどん じる
・ぶどう 豆
・ごま塩 8
6月10日
・鶏肉カ ヅレツ
・塩もみ 野菜
・トマト
・みそし
る
9
n
誕生会 6月17日・豚肉カ ツレツ
・塩もみ 野菜
・かきた まじる
・ごま塩
6月24日
◎○
) 7男
(
) 8男
(
・食パン
・卵スープ
・一鴻Jツ
レツ 生野菜
・フルーツ サラタ
(369)1・9・123・12・4i 3・81(5・・)
・副(・3・6)
○
大た き直 きつ
○左分
○ チーズに 困る
◎
◎
○ チーズに 困る
/ /
/
/ /
/
◎
○
・…r 堰E4・4 ◎
◎ ごはんお かわり
△ 鶏肉に苦 心
◎
◎
12.8
◎
ぼ△ ぼ こ く ぼ△よす こ
△よす く
◎
◎
○
◎ ○ ごはんお かわり
○
ごはんこ す
・・d(・4・6)
△ 先生 の手伝い をうけた
◎ ◎ / /
/ / /
/ / /
/
○
○
○
◎
○
備
考
○口 をベ イ食
[ラく お◎フよる んり
はわ
◎こか こいはま じ
多豆て
△ん大め
/ ◎
/
/
/
/
/
/
/
/
◎
○
◎「一10 ◎L◎ ◎
○
○ 豆に苦心
/ /
/
◎ ◎ ◎
/ /
/
◎ ム
フライに 苦心
歯レ心 カに残虫ツ苦り 手も △でツ居 にてた 生つつ
△先伝ら ム カツ
レツに苦 心 握りばし
・左ききが大 方直った
・抵抗ある食 品多い 虫歯がない 平均してよい 虫歯がない
◎
/ /
/
◎
ン に 食レパ ツ
△の力苦 端ツ心
・月市炎セこカNカ、
ったあと欠席 多い
・虫歯がない 平均してよい 抵抗ある食品 が多い
○
) 9男
( ○
O
そ力れいがる
○がみお努ら
10
j
(
◎ ◎
)
11j
(
○
一らい
ネき泣 ムマズつた ヨをて 12女 (
◎
◎◎
)
13
(
○
)
14
(
○
)
15
(
○
◎
○
)
16
(
○
○
D
母手も おにてた
んつつ
△さ伝ら◎
17
(
)
18
(
○
)
19
(
○
)
20
(
0
)
21
(
)
22
(
)
23
(
○ 左きき
◎
◎
○
○
○
◎
○
ン食そバベう バグく
○一に
24
(
D D
△ おそい 居残り
○
△ 下痢
ム チーズに 困る
◎
○
/ /
/
○
◎
/ /
/ / /
/ / /
/
◎
○
お努いそ力る
○いし がて
◎
○ 安定感み られる
◎
○
◎
△ 居残り
◎
◎
△ 居残り
△ 鶏肉に苦 心
○
○
ム フライに 苦心
◎
○
○
○
△ おそくて 居残り
○
△ うず ら豆とマ ヨネーズ に困る 居残り
◎ ◎
み 定れ 感る
/ ◎安ら /
/
/ /
/
ツ ツ苦 レAL
○カに
元いレ心気 ツ なツ苦
◎ △がカに
/◎
/
/
/
◎ ◎ ◎
○
○
△ 元気がない
/ /
/
◎ ごはん おかわり
◎
◎
/ /
/
/ / /
/
◎
○
ラ心 フ苦り
に残 ムイ居
D
◎
○
◎
◎
◎
/ /
/
○
○
て そ残 くり
△お居
◎
◎
◎
◎
◎
/◎ /
/
○ ○
◎
◎
○
◎
小食で 塾迄い 抵抗のある食 品が多い
抵抗ある 食品が多い
△ 途中小用 にたつ
◎
◎
/
/
◎
り /◎
はかんわ
○こお◎
平均してよい 虫歯がない 虫歯がない
)
25
(
概
況
・初めて で落ち着 かない
◎
○
左分 ばき直 し 大 り
◎きる握
/ //
○
/ /
/
○
・余程慣 れてきた
◎ ◎
・連休の 後で調子 が悪い
・チーズ に困る
・避難訓 練の後少 し疲れて いる
・大豆に 困る
◎
◎
○ カツレツ
◎
に苦心
◎
◎
△ ○ 鶏肉に苦 心 握りばし
◎
○ ごはん おかわり
◎
△ 元気 がない不 安定
食欲がない
○
○
・蒸しご・どんよ はんおかりと曇り 肌寒い日 わり 元気がな
・鶏の空い 揚げに苦 フライ に苦心 心 ・生野菜 も苦手
○
し苦 り豆 ばに
△握大心
◎
て し 定た
○安き
◎
◎
・生活に 慣れて安 定してき た
・大豆も はしでは さめる
/
/
/○
ラで をベフ手た 一ムイ食
○
◎
△ 元気がな い
・カツレ ツがかみ 切れない でおそく なる
◎
/ /
/
○
・前日の 遠足の疲 れで欠席 多い
○
平均してよい
@ ・安よ 定い し て い一て
◎
◎
◎
/ /
/ / /
/
ツれ 天ツ程 レ慣 雨力余
の力゜だゆ をるたまをい 難えいし心な 困越つかだせ
左ききが大方 直った
Ne.25と双生児
Ne.24と双生児
」
◎よく食べた ○おそいが全部食べた △目立った行動があった /欠席
第1回 4月15日(金)
本日の献立はハンバーグステーキ(冷凍食品を加熱して)と野菜サラダ(トマト・きゅうり・
レタス・たまねぎ・にんじん・とおもろこし・マヨネーズソース)であった。入園して5回目の 食事ということで,分量を少なく配分し,食器に盛られたものは全部食べるように指導されてい た。表1の◎印のついている6名は20分以内に食べ終えた。ほかの者はゆっくりである。特に野 菜サラダに抵抗が大きいようである。それでも30分でほとんどの者は食べ終えることができた。
この園では特別の場合以外は園に用意してある「はし」で食べるようにしている。ゴップやおし ぼり・スプーン・はしは不潔になりやすいので家庭から持参させないことにしている。「はし」
は入園前から父兄に方針を徹底させてあるので,No. 1(男)No. 22(女)は左ききで「右手」に 持つことに苦心しているが,ほかの者はなかなか上手に「はし」を使うことができる。みんな食 事に真剣に取り組んでいる。
今日の食事で特に目立った出来事は,No. 12の女児が,サラダにマヨネーズが入っているので 食べられないと泣きだし,先生がなだめる程大声をだすので職員室で園長先生の御指導により漸 く少しだけ食べて明るい様子を取りもどしたことである。この線を譲れば食事指導の基礎がくつ がえると園長先生は大汗である。筆者らもどうなることかと手に汗する思いであった。体格がよ く利発に見えるが自分の思い通りにしないと我慢ができない強情ぶりは,長年園の教育に携って こられた園長先生にも初めてのケースと伺った。筆者には翌日の登園が心配されたが,園には楽 しいことがいっぱいあるから大丈夫と自信をお持ちの園長先生のおっしゃるとおり,彼女は回を 重ねる度に態度も明るく食事を積極的に楽しむ様子が見えてきた。
第2回 4月22日(金) 誕生会
今日は誕生会のため,園独自の献立で調理され,食事が進められた。その内容はロールパン1 個にウインナーソティ,ポテトサラダ(じゃがいも・きゅうり・キャベヅ・マヨネーズ)卵スー プ(卵・なるとまき・ほうれんそう・でんぷん)いちご2個である。先回と違って主食はP一ル パンで全員が同じ,野菜サラダにも大分慣れて困難を示す者がいない。またポテトサラダの方が 前回の野菜サラダより子供には受け入れやすいようである。卵スープも子供の好みに合って食べ やすく,速い者は15分,遅い者でも30分で全員が食べ終えることができた。
第3回 5月6日(金)
本日の献立は親子煮(鶏肉・卵・じゃがいも・なるとまき・たけのこ・にんじん・たまねぎ・
こんにゃく・青菜)チーズ1個,ごま塩,バナナ」/2本である。今日はチーズに抵抗が強くチーズ をもてあましている者が目立った。No.・2・No. 5・No.・9の男児及び第1回に目立つ行動のあった No. 12の女児が特に困難を示していた。今日は5月連休の後で全体に体の調子が崩れている様子 で元気がない。欠席者が6名もおり,No.・11の男児は下痢ぎみで食欲がなくNo.・9の男児は居残っ て食べた。No.・1の男児とNe.・22の女児の左ききが約1か月で大分直ってきたことに気付いた。こ の学級は25名の園児に2名の保母さんがつき,それに園長先生も初めの基礎指導が大切と,応援 をしてくださって一人一人に目を配り,その子供の様子に応じた世話をしてくださる。この情景 を家族にお見せしたいと思った。
連休あとの体調の変化は大人にもあるが,幼児の反応の敏感さは喫食状況にはっきり現れて
いる。
第4回 5月13日(金)
本日の献立は肉じる(豚肉・豆腐・じゃがいも・にんじん・長ねぎ・たけのこ・こんにゃく・
みそ),こんぶ豆(大豆・こんぶ),ごま塩である。10時30分ころヨーグルトを飲んで,避難訓 練のため外の運動場で遊んで日にあたったためか,少し疲れた様子である。肉じるは抵抗なく食
べたが大豆は「はし」ではさむのが一苦労。食事時間は10分くらいは長くかかっている。No・・5の 男児は小さいお握り5個では多いので先生に2個取ってもらった。また大豆は初めてらしくなめ てばかりいたが園長先生の御指導で全部食べてしまった。No. 16の女児はなかなか食事が進まず 居残りをして食べ終えた。No. 19の女児もはかどらず途中おしっこに立ってそれから食べ終えた。
ちょっとした生活の変化に敏感に反応し,大豆のような新しい食品に慣れるまで時間を要するよ
うである。
第5回 5月20日(金) 誕生会
この日は園独自の献立で,うずら豆の入った蒸し御飯に鶏肉の空揚げ・レタス・マヨネーズ添 え・かき卵じる(卵・青菜)フルーツ盛合せ(いちご・みかんかん詰め・りんご・パインかん詰 め)となかなかのごちそうである。蒸し御飯は初めてであるが子供の好みに合うらしくお代りを
した者が多い。鶏肉の空揚げは初めてである。かみ切れないので苦心している者が多い。先生は 小さなまないたと包丁を用意して食べることに苦労をしている者を助けて,新しい食品に慣れる ように手を貸して忙しい。No.・9の男児が居残って食べ, Ne. 12の女児はうずら豆とマヨネーズに 苦心をして居残りをした。3歳児はまだまだ食事経験の範囲が狭く一歩一歩広めて行くには大人 の根気強い協力が必要である。食事時間は約40分を要した。
第6回 5月27日(金)
今日はえびフライに野菜の塩もみ(きゅうり・キャベヅ),みそしる(じゃがいも・油揚げ・
青菜)いちご2個。今までの訪問はお天気に恵まれたが今日はどんよりと曇り膚寒い日であっ た。このような天候にも子供は敏感で何となく落ち着きがない。特にえびフライが初めてなので
これに抵抗を示す者が多い。フライの材料は冷凍の既製のものを揚げたもので味が薄い。このこ とに気付いてしょうゆをかけてあげたら急に食べっぷりがよくなった。付け合せのきゅうりとキ ャベヅも子供には食べにくい調理の一つである。全体が食べ終るのに40分を要した。中にはフラ イを好み喜んで食べている者も数名おり,このことは家庭の食事内容との関連が大きいと考えら れる。今日の給食で特に目立つ行動のあった者はNo.・2の男児で御飯をよくこぼすことである。
No. 14の女児はフライに抵抗を示して居残った。 No.・23の女児は入園以来食事態度もよく問題がな かったが,今日は急に元気がなく食事がのどに通らない様子である。その原因は今週から母親が 働きに出て5時までの居残り組に入ったので情緒不安定に陥っているとのことである。本人にと
ってこのように強い衝撃的な出来事もその時期を無事に過せばその生活に慣れて,次の週からは これまでと同様元気で良く食べるようになった。
第7回 6月3日(金)
今日の献立はかきたまうどんじる(乾めん・卵・鶏ひき肉・かまぼこ・にんじん・長ねぎ)ぶど う豆(大豆)ごま塩である。大分園の生活に慣れて安定した様子で欠席者がいない。かきたまう どんは子供の好物でにんじん,長ねぎなども細かく切って入れると抵抗なく食べられる。ぶどう 豆は2回目で大分慣れて器用に「はし」で食べられる者が多い。早い者は15分で食べ終り,大部 分の者は30分には終っている。今日の食事で目立った者はNo.・2の男児で先回も御飯をよくこぼし たが今日もこぼして先生に手伝ってもらった。No. 8の男児も先生の手伝いをうけた。何か先生に 手伝ってもらいたい精神的な不安定さがあるようである。Ne. 22の女児の左ききは直ったが「握
りばし」で豆を食べるのに苦心をしていた。
第8回 6月10日(金)
今日の献立は鶏のささみのカッレッと塩もみ野菜(キャベッ・かぶ・きゅうり)みそしる(わ かめ・じゃがいも)トマトである。揚げものは鶏の空揚げ・えびフライに続いて3回目,大分慣 れてはきたがまだ抵抗を持つ者が多い。塩もみ野菜にも抵抗がある。Ne.・8の男児は虫歯があって
時間がかかるので居残り。No. 4の男児は先生の手伝いを受け, No. 10の男児とNo. 14の女児も遅く なって居残り,No.・25の女児も体の調子が悪いのか元気がない。大人にとってはささいなことで も子供にとっては大きく響くものである。
全体に安定してようやく一つの山を越えた感じを受けるが3歳児は天候とか生活の変化や献立 の変化に敏感で少しも気持がゆるせない大変な時期だと思った。
第9回 6月17日(金)
本日の献立はかきたまじる(卵・にんじん・たまねぎ)豚肉のカツレツに野菜の塩もみ(キャ ベッ・きゅうり・みかんかん詰め)ごま塩である。今年に入って一番蒸し暑い日でみんな元気が ない。特に昨日は公園に出かけて日にあたり,風に吹かれて目を痛めた者もいて欠席者が多い。
小さく切ったカツレツもなかなかかみ切れず,更に先生から切ってもらった者が4人もいた。残 さないで食べさせようとすると先生方の努力は大変なものである。No.・8の男児は元気がない。虫 歯で食べにくいので「握りばし」になり居残りをした。No.・11の男児も元気がない。その他の者 は大分カツレツに慣れて約30分で食べ終えた。
第10回 6月24日(金) 誕生会
今日は10回の観察予定の最終回である。誕i生会の園独自の献立は食パンー切れにバター,卵ス ープ(卵・にんじん・たまねぎ・パセリ)一ロカツレッ(豚肉)に生野菜(レタス・トマト・マ ヨネーズ)である。なお10時30分のおやつの時聞にフルーツサラダ(バナナ・みかんかん詰め,
りんご・桃・さくらんぼ・メロン)を食べたあとである。今日は雨でうつとうしい日であった。
それでも入園して3か月がたち大分慣れて安定し,多少抵抗のあるものでもともかく取り組んで 食べる。 トマトに苦心をしている者が3名。カツレッには相当慣れて前回より格段の進歩であ る。No.・8の男児は歯が悪いため食パンの端とカッレッがなかなかかみ切れない。
(考察1)以上10回の給食指導の観察を終えて気付いた点は
①園長以下全職員が給食指導に真剣に取り組んでおり,特に入園3か月の基礎指導に力を入れ ているということである。
②入園当初の園児は個人差が大きく,食事経験もまちまちであるので,抵抗を示す食品や調理 の多い園児に重点をおいて,その子供の状態に応じた世話がなされている。
③盛られたものは必ず食べる。右手で箸を使って食べる。良い姿勢で静かに食べる等指導に明 確な目標を持ち,子供の甘えに負けないで徹底した指導が効果を納めてゆく過程を直かに見るこ
とができた。
④初めてのものにはほとんどの者が抵抗を示すが次第に慣れて自信が出来てくる。このことが 偏食を少なくしてバランスのとれた食事能力を身につけさせる重要な点である。
⑤徹底した指導の陰には一人一人への注意が行き届き,家庭との連絡を大切にして家庭事情が よく把握されている。
⑥3歳児の指導に重点がおかれて,25人に2人の保母の配当は,指導に効果を納めていると思
われた。
⑦食卓には食器以外のものは置かないで注意散慢にならないように配慮されている。
⑧3歳児はその日の天候や園の行事・家庭事情に敏感に反応して喫食状況に変化を示すので,
生活全体が安定したリズムで営まれる配慮が大切である。
⑨虫歯は喫食状況を悪化させ,喫食状況が虫歯の発生の原因となることを考えて,虫歯の予防 については更に別の機会に検討したい。このクラスで虫歯を持つ者は80%いる。
⑩訪問日が金曜日であったので,類似の献立が多く誕生会の回数も多かった。抵抗を示す者の
多い食品及び調理は,生野菜・煮豆・マヨネーズソース・チーズ・フライ・カツレツ等で,抵抗 の少ない調理はハンバーグ・かきたまじる・ポテトサラダ・親子煮・肉じる・蒸しごはん・卵ス ープ等である。嫌いなにんじん,長ねぎも小さく刻んで好きなものに混ぜると抵抗がなく,好き な肉類でもカツレツのように,かみ切りにくいものには抵抗を示す時期である。生野菜も塩もみ には抵抗が大きいがサラダの方はやや少なくなる。このことは3歳児の献立計画の一つの手がか
りとなる。
⑪園の食事指導は子供の食事態度や能力を高める大切な機会である。 「左ききも良いではない か」「子供は適当なバランスをとって食べている」等と偏食や甘えに対して寛容・放任の風潮に 流されないで,国際化して行く社会の中で正しい食事態度や能力を身につけさせるため,園では
この機会を大切にして,具体的な指導目標を明確に立てて取り組んでゆくことの必要を再認識
した。
(考察2)ユ0回の喫食状況の観察で目立った者について (1)喫食状況の良い者
No. 3(男)No. 7(男)No. 13(女)No. 17(女)No. 20(女)はいつも喫食成績がよい。園の生活 と「食事調査」から見て共通の点は,①身長と体重のバランスがとれていて健康そうである。
②表情や態度が安定していて園の生活に適応している。③母親の生活が主婦専業や全日勤務にか かわらず塚庭や保育園から帰っての生活が安定している。④乳児期,特に離乳期の食事が順調 に進められている。⑤調査日の食事のバランスは良いと思われる家庭は少なかった。
(2)喫食状況の劣る者
NQ. 2(男)Ne.・8(男)No.・9(男)No. 10(男)No. 12(女)は抵抗のある食晶が多く小食で遅い。
共通な点は,①体格が劣っていて弱々しい。②神経質で天候その他,環境の変化に敏感である。
③喫食の経験が少なく抵抗を示す食品が多い。④虫歯が喫食状況を悪化させている.⑤母親の生 活が主婦専業や全日勤務にかかわらず家庭や保育園から婦っての生活が不安定で食事時刻がまち まちである。⑥離乳期の食事が順調に進められなかった。⑦調査日の食事のバランスは良いと思 われる家庭は少なかった。
(3)虫歯のない者
No. 2(男)No.・3(男)No.・6(男)No. 13(女)No. 14(女)の5名は虫歯がない。共通な原因を見 い出したいと考えたが手元の資料では,それを決定付けることは困難であった。また虫歯がない からといって必ずしも良い喫食成績ではなかったが,虫歯のひどい者は,パンの端やカッレッ等 のかたいものに抵抗を示していた。
(4)双生児について
No. 24(女)とNo, 25(女)は双生児である。一見,見分けられない程よく似ている。小柄であ るが喫食成績は良い方である。父は公務員,母は夜勤のある看護婦である。離乳も順調に進めら れ,調査日の食事のバランスも良い。困難な育児条件を母の専門性を生かした成功例と云えるよ
うである。
(5)左ききについて
No.・1(男)No. 22(女)は,はじめ左ききであった。入園前から園の方針に添って家庭におい ても指導がされていたとのことであるが,初めの頃は気になる持ち方で,左・右交互に使ってい たが,1か月を過ぎる頃から右手だけでもよくなり,3か月ではほとんど気にならなくなった。
以上それぞれ違った素質や環境の中で問題を持ちながら一歩一歩,先生方のたゆまない指導に よって成長して行く園児の姿を見て,園の先生方の努力に感動した。
またその背後で,この給食が効果的に進められるように計画を立てて指導をしておられる新潟 市福祉課の保健給食係の努力も見逃すことが出来ない。
あわせて訪問日の給食に含まれている栄養量について触れておくと,それは表2の通りで熱量 とたんぱく質は市が示したものである。その他及び誕i生会の献立は,筆者らの計算による。誕生 会は主食を含めた完全給食である。
表2 訪問日の給食に含まれている栄養一覧表(熱量,たんぱく質以外は筆者らが算出)
回
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 月日
4/15
4/22
5/6
5/13
5/20
5/27
6/3
6/10
6/17
6/24
平 均
献 立
・ハンバーグ ケチヤヅプ煮
・レタスサラダ
・かきたまスープ
・ロールパン (誕生会)
・ウインナソテイ
・いちご ・ポテトサラダ
・親子煮 ・ごま塩
・チーズ ・バナナ
・肉じる ・ごま塩
・こんぶ豆
・蒸しごはん
・かきたまじる (誕生会)
・鶏肉空揚げ
・レタス ・フルーッ盛合せ
・えびフライ ・みそしる
・塩もみ野菜 ・いちご
・かきたまうどんじる
・ぶどう豆 ・ごま塩
・鶏肉カツレツ
・塩もみ野菜 ・みそしる
・トマト
・豚肉カツレツ・塩もみ野菜
・かきたまじる・ごま塩
・食パン
・一鴻Jツレツ (誕生会)
・卵スープ ・生野菜
・フルーツサラタ
平 日
延 生 会
熱 量
(CaQ)
343
421
213
204
369
190
230
204
318
510
243 433
たんぱ く質 (9)
8.3
13.2
12.6
11.4
13.6
10.1
14.4
13.4
11.0
14.6
脂 質 (9)
22.9
21.6
8.7
8.6
15.7
7.4
6.8
7.1
18.8
27.7
…61・1・5
…sl…7
糖 質 (9)
13.3
41.7
26.5
22.4
44.1
19.7
27.9
23.7
18.1
41.3
21.7 42.4
シの カウルム@
26
63
130
104
76
126
75
73
58
44
85 61
鉄 分 @9)
1.7
2.8
2.1
2.6
2.5
2.8
2.4
1.6
2.3
2.6
2.2
2.6
ビタミ
ンA(1.u.)
55
694
583
10
609
470
161
40
207
233
218 512
ビタミ ンB1吻)
0.28
0.20
0.18
0.19
0.10
0.14
0.20
0.14
0.32
0.37
0.21 0.22
ビタミ ンB2 (吻
0.06
0.19
0.29
0.09
0.18
0.14
0.18
0.14
0.14
0.17
0.15 ビタミ
ソC(mg)
9
63
25
10
48
71
3
30
20
8
24
10・18140 なお上記の献立について食事調査に用いた評価基準によれば「大変よい」 (6点)
です」 (5.5〜5点)に属するものである。
「もう一層、
2 対象児及び同年令の新潟市内5園の幼稚園児の「食事調査」について
さきに述べた事情で1977年7月に対象児が在籍する園を含めて新潟市内約3,000名の公私立保育 園及び幼稚園児の「食事調査」を実施したので,対象児と同年令の市内5園の幼稚園児の「食事 調査」の一部を取り上げて当園児の食事環境を考察したい。各園の「食事調査」回答数は万代保 育園24名,A園(新潟中央幼稚園)53名, B圏(あおい幼稚園)18名, C園(新潟青陵幼稚園)
24名,D園(あさひ幼稚園)20名, E園(県立新潟女子短大付属幼稚園)16名計155名である。
当 園
A 園
62.5 葱4.2
33.3 62 5
・離灘 1
22.2
C 園 37.5 29.2 8. 3
D 園
%
口じょうぶである 團おなかをこわしやすい 囲かぜをひきやすい 匡≡ヨ病気にかかったことがある
■なんとなく体が弱い 圏 現在病気にかかっている
当ABCDE平
4,29。
3.8
56 667 222 1、6
150 650 200
18.8 688 125
194 61.9
3.9
148臣
E 園 31.3
12.5
平均_30.3
図1 園児の健康状態
7・
團 大変うまくいった [コまあまあうまくいった
囲 なかなかうまくいった [互] 大変手間がかかった
図3 離乳はうまくいったが
当園[::==:sc5 ====Eg ig 9°
A園[:=:==Sif=xgziE}3s
B園[:=:=:一昌5.6
C園 75,0 167・8.3
・園[===亙〔==盧麹
E園[==:62 [X#esll :5ewfil
平均[===:並、,
当園範 417 54.2
A園蜘a.91 24.5 56.6 B園魏6.7濠 16.7 66.7
D園 E園
t3 平均;12.9 36.1 49.7
國母乳栄養 [コ混合栄養圃人工栄養囮その他
図2乳児期の栄養
口毎日食べる 囲1週にi〜2回食べない日あり
國樋に3−4回食べない日あ 冒まとんど食べない
図4 朝食にっいて
・4.2%
当園 333 50. 0 8,3 1:4.2 A園 60.4 18. 15,1、 5.7
B園 389 16、7 278 16Z…i C園 66.7 167 8.38、3
、園[=亙〔=購璽盤藍愚。
E園 31.3 31 3 12.5 250 平均 510 265 12.990−0.6
口 毎日飲む 圏 週に3〜4回くらい飲む
謝ξ1、譜圏蹴・ 囲無答
図5 牛乳の飲用について
7 朝 8.3. 25.0 20.8 25.0 :12.5:8.3
当園 昼 14.3 14.3 38.1 :+:+:+:28.6}:+:+: 十 壷 争 ▼
▼ ウ 十 十
夕 ,2 29.2 3 _20.8 4:2 3
朝3≡8 20.8 33.9 0.2 11.3
A園 昼 22.410 28.0 18.0 ・1・:・:28.α・:・:・1
[簸.18;9i 1 30.2 24.5 22.6 a
@ 44.4
朝 33,3 5, ←:16.7}
B園 昼 16.7 11.1 50.0 +:+:22.2:+:+
夕 ・一]22,21 な 22.2 22.2 22.2 :11.1:
朝 ・司6.7歪 12.5 33.3 25.0 コ2.5・
C園 昼 12.5 25.0 50.0 112.5:
夕4.凌 45.8 33.3 8.3 8.3
朝 .Q0: 30.0 10.0≡20.0 10.010.0
D園 昼6.て)」 41.0 29.0 ≡18.0 6.0
夕 』35. 0蒙「 35.0 10.0 10。0 10.0
朝 31.3 43.7 12.5 ・!2.5・
E園 昼 25.0 6.3.6,3
タ
62.5 P,・, 25.0噺 据 25.0 31.3
18:7 朝 7.7、、 23.9 31.0 22,6 :12.3
平均 昼 1 23.9 23.9 0 +:+:20 3:+: 雫oや 7 十 22
タ 1Z∫4・藤 31.6 25.8 ≡≡18.1 4.あ
当園
A園 B園 C園
團
大変よい (6点)
目器1輩鮒たい[]困る
図6 1日の食事のバランス評価
口総驕す職贈要
囲鰭
(2点以下)
2
生
9
5.6
D園 5,0
・園[===亟〔=:墾語、
320ア 58
123 161 1・9
%
2.6
2,6
平均 600
撫
園刮警憶
事 、γ 猫艦の 縦 生
銑卿 國國母
酵
各項目について回答者数に対する百分比で 示すことにした。
図1によれば他園に比較して病気にかか ったことのある者の率が高い。
図2によれば他園に比べて母乳栄養の率
が低い。
図3によれば離乳がうまくいつた率がや
や低い。
図4によれば朝食を食べてくる者の率が
高い。
図5によれば牛乳を毎日飲む者の率が低
い。
図6の食事のバランスの評価については,
6つの基礎食品(①穀類・いも類 ②油脂 類 ③魚・肉・卵・豆類 ④乳・小魚・海 草類 ⑤緑黄色野菜 ⑥その他の野菜・果 実類)に各1点を配し6点満点として,次 の5段階にわけて評価した。 ・大変よい
(6点)・もう一息です(5.5〜5点)・少 し工夫が必要(4.5〜4点) ・早くなんと かしたい(3.5〜2.5点) ・困る (2.0〜
0.5点) 3食のうち昼の食事(日曜日)が 最も悪く困る率が高い,他園も又同じ傾向 である。次は朝食で夕食が1日の中で比較 的良い。他園についても同様である。以上 の結果から食事環境は良いとは言えずむし ろ多くの問題があるように考えられる。
次に母親の生活状態について,図7によ れば,保育所設置の主旨から当然と考えら れるが,主婦専業が20.8%,平均60.3%,
主婦の全日勤務が50.O%,平均17%であ る。主婦専業と全日勤務が即育児条件を左 右する,とは言えないが乳幼児期特に満3歳迄に精神的にも身体的にも生涯の基礎が築かれる大 切な時期に母親の細かい配慮の行き届いた食事環境及び育児環境作りと母親の生活状態は深い関 係があると考えられる。
以上の観点からみた調査の結果から,当園児の育児環境及び食事環境には問題が多いと考察さ れる。その中で納めている当園の給食指導の成果に着目すべきであると考えた。
3 当保育園の卒園者が進学している小学校の児童の追跡調査について
万代保育園の給食指導を見学して,先生方の献身的な努力による指導が他の領域にも生きて,
生き生きとした園の教育が展開されていることに深い感銘を受けた筆者らは,この成果が小学校 の生活ではどのように伸ばされて行くだろうかと期待して,当園の卒園者が進学している小学校
児童の調査をお願いした。
結果は教育の働きは一層複雑なものである と言えるようである。園の教育が生きている と考えられる数項目を記し,その他について は更に検討を続けたい。本調査の対象になっ た児童は各学年で1学級を無作為で選んでい ただいて,各調査項目に学級担任から記入を 願った。調査対象になった児童の数は,1年 30名,2年39名,3年32名,4年40名,5年 34名,6年41名計216名である。項目ごと に調査対象者数に対する百分比を求めた。
(1)小学校1〜6年生の入学前の経歴 図8によれば,学年によって違いはあるが,
1年生
2年生 刀p333 590
あぶ
匪胴肝
3年生、、・250 625 125
4年生125 700 175
・年生El921!IEIill ==謝、
6年生 244 585 9873
平 均 250 634 93 23
國当保育園卒口幼稚園卒翻他の保育園卒團その他 図8 小学校1〜6年生の入学前の経歴
平均して万代保育園の卒園者は25.0%,幼稚園卒園者63.4%,他の保育園9.3%,その他2.3%で 児童の98%は就学前の教育を受けている。
(2) 1年生の出席状況
当園卒の出席率の良い者が27%,普通の者が73%に対してその他で出席率の良い者が5.6%で 普通が94.4%で当園卒者の成績が大変良い。
(3) 1年生の健康状態
当園卒で健康状態の良い者18.2%,普通が81.8%,病気がちはO%,その他については健康状 態の良い者11.1%,普通Pt− 72. 2%,病気がちが16.7%で当園率者の健康状態は良いと言える。
(4) 1年生の喫食状況
当園卒で喫食状況の良い者54.5%,普通が45.5%,その他について,喫食状況の良い者38.9
%,普通27.8%,よく残す者33.3%で,当園卒の児童の成績が大変良い。
以上は保育園の教育の成果が明確に見られる内容である。その他の項目については必ずしも期 待に一致しない。その原因については今後の研究課題としたい。
(5) 1年生の母親の生活状態
当園卒園者については主婦専業9.1%,家業に従事54.5%,全日勤務18.2%,パートタイム18.2
%に対して,その他については主婦専業38.9%,家業に従事33.3%,全日勤務5.5%,パートタ イム16.7%,内職が5.5%となっている。
(6> 1〜6年生の母親の生活状態
図9によれば1年生とほぼ同じ傾向という 当園卒93隷 r352・・ .− 278 1 9。222 乱7
幼稚園卒
他の保育園卒
6.6
平 均 308 ・ R031
5,0 52
199 ≡128111iil O,g
[]主婦専業 圏家業に従事 囲全日勤務 目パートタイム囮内職 ■母不在 図9 1〜6年生までの母の生活状態
ことが出来る。
教育の働きは家庭と園と学校及び社会の総 合的な働きによって行われ,特に幼い時期の 家庭における基礎作りの重要さを肝に命じて 考えさせられた。主婦専業であれ,職場を持 つ母親であれ,子供の教育の観点から家庭や 母親のあり方を真剣に考える必要のあること を痛切に感じさせられた。
IV ま と め
かねて希望していた万代保育園の入園3か月の給食指導の実際を見学する機会に恵まれて,一 貫した方針に貫かれた給食指導によって,園児が摂食の範囲を広げ,正しい食事態度を身につけ てゆく過程を直かに学ぶことができた。集団給食は幼児の偏食や小食を直すのに,効果を上げる
ことができる大切な機会である。どの園でもこの機会を大切にして,具体的な目標を明確に立て て真剣に取り組んで,どこに出しても恥しくない食事態度と食事能力を身につけることが望まれ る。甘やかしや誤った自由によって,子供の好みに迎合し過ぎて,偏った栄養のバランスによる 虚弱な体質にならないように努めたいものである。
食事指導に力を入れて展開される活気にあふれた園教育に深い感銘を受けて,卒園して小学校 に進学した者の実態調査を願い実施することが出来た。その結果, 1年生の出席状況,健康状 態,喫食状況に園の教育の成果が認められた。更に各領域に観点を広げて見ると必ずしも期待し た結果ばかりではなかった。このことについて考察してみると,園や学校教育の重要なことは言
うまでもないが,そればかりに過大な期待をかけることは誤りである。教育の根源は家庭にある。
しかし家庭の努力だけでもどうにもならない面が多い。家庭が中心になって園や学校更に社会の 総合的な働きによって「子供がよりよく生きる力を培い育て行かなければならない」ことを再認 識させられる結果になった。
4)
母親の職場進出の必要とその志向の高い現在,家庭における教育について一貫した方針をたて て家族の協力体制を確立することが大切であり,更に家庭と園,園と学校,更に社会との連携に よって教育の大事業を全うして行かなくてはならないことを痛切に考えさせられた。
園や学校がこれまでに果して来た給食指導の功績はまことに大きいが,急激に変化している食 糧事情の中でもう一度給食内容及び給食指導のあり方を検討してみる必要があると考えられる。
図10にまとめた「子供の食事に関する知識の修得」の内容を更に分析して私どもの実践活動の道
50 100 150
小学校 i,@ 5.6 5.6 ,2 5.0
中学校 .711.壽...㌧≡16.3
学校教育
高 校 冒2.5++㌔24.5ト+++[舞1⑤:7臨 16.7 ≡15.0=1 6,3 短大・大学 8. + .25.7
6,7 +++++++++++++65.0卜+++++++++++++讃龍7:8華三
母から 無3、
家庭教育
1 撃撃撃奄撃撃撃戟f U.°II lll l l
祖母から 7.5到1.1・ 5.05.0
その他 隔W.3イ1蔭 イ(3.8)ロ(5.6) 2.5
保健所の指導 12.5 13.2 嚢16.7葺ξ薄8.3∈∋ll ll31.3}lll
幼稚園の指導 9.2 ++18.9++勲11 1i lll25.Olllイ(4.2)ロ(5.0
婦人会・公民館等の濁 ・口110.0 イq.9)ロ(5.6)イ ロ
ラジオ・テレビ番組 23.3 ++{+ {+{+̀+54.7+++++++++++塞茎,,.ひ亭亮38.9…葦!:㍉顕講 45.
25.O llI I li ll62.511111!1!1Ill8ll
62・5 ++++++++++++56」6+++++++++++鳶蒙霧i袋50.O護華『 ψ
新聞・雑誌 ・ゴニ蜜ミ警1§書3 62.5 60.0 81 l lll llll l62.5 1 1i l ll l
その他の書物
書6.7 」+÷+→28.3++++f藁暴芝71:81手i三瑳li封 45.8 50.0
一一@ 1}131.311ill そ の他 II15. 1.潔:1U.7『・…碁12.石・=112.5
4.2 5.0
囲当園 圏A園 國B園 ge C園 ∈ヨD園 画E園 図10子供の食事に関する知識の修得
を求めて行きたいと考えている。
終りに大変お忙しい中を快く御協力いただいた万代保育園の船田園長先生及び学級担任の先生 方,万代小学校の綱島校長先生及び諸先生方,協同調査を推進してくださった県立新潟女子短大 の岡田助教授,新潟市福祉課の笠原係長さん,調査に御協力いただいた各園の園長先生,先生 方,御父兄の方々,調査の集計に御協力いただいた中谷先生,乙川先生に深く感謝申し上げ
ます。
参 考 文 献
1)熊谷与志子「給食を中心とした4才児の食事調査」新潟青陵女子短期大学研究報告 第4号 1974.3 2) 伊藤フミ・藤本与志子・玉木民子「幼児の食事指導について一園児の給食調査からみた」 新潟青陵女子 短期大学研究報告第7号1977.3
3)全国家庭科教育協会「小・中・高校児童・生徒の食生活実態調査一小・中・高校別,地域別による考察」
(昭和49年度)
4) 全国家庭科教育協会「小・中・高校児童の食生活実態調査一家庭の職業,主婦の就労状態,家族構成別に よる考察」(昭和50年度)
5) 新潟県栄養士会「朝食喫食実態調査成績」 (昭和52年4月)