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木造住宅の壁量に関する研究 第2報

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Academic year: 2021

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(1)

– 73 – 緒言

 「木造住宅の壁量に関する研究」1)において,建築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定 によって設計した木造住宅においては,木造住宅としては考えられないような大きい減衰性能 を持たないと耐震安全性が得られない可能性を指摘した.

 本稿においては,一般的に木造住宅として考えられる減衰性能に限定した場合,耐震安全性 を確保するには,現行の壁量の規定に対して,どの程度割り増す必要があるかを検証する.尚,

地震時のみを対象にし,台風時は考慮していない.

研究方法

 図1から図4に表される矩形平面と切妻屋根を持つ整形な2階建て木造住宅を対象とする.

建設地は積雪荷重を長期荷重として考慮しなくてもよい一般地域とする.

木造住宅の壁量に関する研究 第2報

山本 享明

A Study on the Quantity of the Wall of a Wooden House Takaaki YAMAMOTO

1,000 3,000 8,000

2,000 2,000 3,0007,000 2,0002,000660

360

浴室 洗面室

台所 玄関

居間 食事室

8,000

2,000 2,000 4,000

3,0007,000 1,0001,0002,000

洋室 洋室

クローゼット クローゼット

洋室 押入

1,000 3,000 8,000

2,000 2,000 3,0007,000 2,0002,000660

360

浴室 洗面室

台所 玄関

居間 食事室

8,000

2,000 2,000 4,000

3,0007,000 1,0001,0002,000

洋室 洋室

クローゼット クローゼット

洋室 押入

図1 1階平面図 図2 2階平面図

(2)

 本モデルは,建築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定によると,軽い屋根の場合で,地 震により必要な壁倍率は1階で16,2階で9となる.これらの壁倍率に見合う壁量を設定し,

2質点モデルにモデル化し地震応答解析により壁倍率の必要な性能を調べる.図5に示すよう に基礎固定とし,2階及び屋根に質点を設け,水平バネとダッシュポットにより接合されてい ると考える.各階の荷重変形曲線は図6のように完全弾塑性型のバイリニアモデルとし,復元 力特性は初期剛性を用いる.

 質点の質量M1,M2,バネ定数K1,K2,降伏荷重Py,降伏変形Δyは表1による.建築基 準法施行令第46条第3項の壁量の規定による必要壁量程度(Case1),その2倍の壁量(Case2),

その3倍の壁量(Case3),その4倍の壁量(Case4),その5倍の壁量(Case5)のそれぞれに ついて,弾塑性応答解析を行った.初期剛性は,降伏変形角を1/150とし,減衰定数C1,C2は 3%で初期剛性比例型とした.

図3 南立面図 図4 西立面図

図5 2質点モデル図 図6 各階の荷重変形関係

10 4

1,6002,8002,800600

6,200

8,000 7,000

2,8002,800

M2

M1 K2 C2

K1 C1

kN Py

Δu mm Δy

(3)

 応答解析に用いる加速度波形はEl Centro NS(1940), El Centro EW(1940), Hachinohe NS(1968), Hachinohe EW(1968), Taft NS(1952), Taft EW(1952), Tohoku Univ NS

(1978), Tohoku Univ EW(1978)の8波とし,それぞれ最大速度を20kine, 25kine, 50kine, 75kineとして時刻歴応答解析を行った.解析に用いた地震波の諸元は表2に示す.

結果と考察 1.解析結果

 1階の応答結果を図7に,2階の応答結果を図8に示す.それぞれの図の中で,Case1から 表1 解析モデルの諸元

表2 入力地震波の最大加速度[単位:gal]

記号 層重量 層質量

M1 131.7 kN 13.43 t

M2 111.7 kN 11.39 t

壁量 K1,K2 Py Δy

Case1 2 0.945 kN/mm 17.64 kN 18.67 mm 1 1.680 kN/mm 31.36 kN 18.67 mm Case2 2 1.890 kN/mm 35.28 kN 18.67 mm 1 3.360 kN/mm 62.72 kN 18.67 mm Case3 2 2.834 kN/mm 52.92 kN 18.67 mm 1 5.040 kN/mm 94.08 kN 18.67 mm Case4 2 3.780 kN/mm 70.56 kN 18.67 mm 1 6.720 kN/mm 125.44 kN 18.67 mm Case5 2 4.725 kN/mm 88.20 kN 18.67 mm 1 8.400 kN/mm 150.68 kN 18.67 mm

地震名 原波 20kine 25kine 50kine 75kine

El Centro NS 341.70 204.34 255.25 510.84 766.09 El Centro EW 210.14 113.87 142.24 284.48 426.71 Hachinohe NS 229.65 133.43 166.73 333.45 500.18 Hachinohe EW 180.23 95.34 119.31 238.44 357.76 Taft NS 152.69 194.23 242.95 485.74 728.68 Taft EW 175.95 198.59 248.19 496.57 744.76 Tohoku Univ NS 258.23 142.73 178.35 356.69 535.30 Tohoku Univ EW 202.57 147.67 184.48 368.97 553.45

(4)

 1階の応答では,最大速度が20kineレベルにおいて塑性率がCase1で,1.5〜2.0,Case2で0.8

〜1.6,Case3で0.7〜1.5,Case4で0.6〜1.0,Case5で0.5〜1.1の範囲にある.25kineレベルでは,

Case1で,1.4〜3.3,Case2で1.0〜3.2,Case3で0.7〜1.8,Case4で0.7〜1.2,Case5で0.4〜1.1の範 囲にある.50kineレベルでは,Case1で2.5〜12.2,Case2で1.5〜5.8,Case3で1.4〜3.8,Case4で1.1

〜2.6,Case5で0.8〜2.8の範囲にある.75kineレベルでは,Case1で5.4〜18.1,Case2で2.2〜9.6,

Case3で2.2〜6.0,Case4で1.3〜5.6,Case5で1.4〜3.7の範囲にある.

 2階の応答では,最大速度が20kineレベルにおいて塑性率がCase1で,1.2〜4.7,Case2で1.0

〜2.2,Case3で0.6〜1.5,Case4で0.6〜1.4,Case5で0.4〜1.2の範囲にある.25kineレベルでは,

Case1で,1.7〜7.7,Case2で1.1〜3.2,Case3で0.7〜1.6,Case4で0.8〜2.1,Case5で0.4〜1.4の範 囲にある.50kineレベルでは,Case1で5.2〜11.3,Case2で2.8〜5.8,Case3で2.0〜5.2,Case4で1.4

〜4.0,Case5で0.9〜2.9の範囲にある.75kineレベルでは,Case1で7.2〜15.9,Case2で4.3〜9.0,

Case3で3.2〜8.4,Case4で2.0〜6.6,Case5で2.0〜6.4の範囲にある.

図7 1階層せん断力と層間変形角・塑性率の関係図

図8 2階層せん断力と層間変形角・塑性率の関係図

20kine応答 25kine応答 50kine応答 75kine応答

層間変形角 塑性率 15 16 17

Case1 125.44

94.08

62.72

31.36

1/150 1/15

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9 11 12 13 14

Case2 Case3 150.68

kN 層せん断力(1階)

Case4 Case5

kN 88.20 70.56 52.92 35.28 17.64

20kine応答 25kine応答 50kine応答 75kine応答 層せん断力(2階)

1/150 1/15 層間変形角

塑性率

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17

Case1 Case2

Case3 Case4 Case5

(5)

2.まとめ

 25kineレベルの入力地震動に対し,応答が弾性範囲内に留まるようにするためには,1階で は,Case3以上の壁量が望ましい.2階では,Case5以上の壁量が望ましい.

 50kineレベルの入力地震動に対し,塑性率を2以下に抑えるのはかなり困難である.塑性率 を3以下に抑えようとすると,1階でCase4以上,2階でCase5以上の壁量が望ましい.

 75kineレベルの入力地震動に対し,塑性率を6以下に抑えるには,1階でCase3以上,2階 でCase5以上の壁量が望ましい.

要約

 多雪区域以外に建設される,整形な平面と立面をもつ小規模な木造住宅をモデルとして,建 築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定を元に,壁倍率には地震時にどのような性能が必要 かを調べた.その結果,以下の各点がわかった.

 ・ 建築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定による壁量では,応答が大きくなり過ぎて安 全性に問題があると考えられる.

 ・ 耐震安全性を確保するには,建築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定による壁量の3 倍程度以上の壁量が望ましい.

 ・ 1階に対する2階の壁量の比は,建築基準法施行令第46条第3項の壁量の規定より大きく する方が望ましい.

文献

1) 山本 享明:木造住宅の壁量に関する研究,『名古屋女子大学紀要』第59号家政・自然編 人文・社会編,

P21-P27(平成25年)

(6)

参照

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