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中国国有企業の株式制転換 現 状 と課 題

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中国国有企業の株式制転換

現 状 と課 題

川 井 伸 一・

中 国 は1979年 以 来 い ろ い ろ な 国有 企業 改 革 の 試 み を経 て き てい る。1979 年 か らの 企業 へ の 自主 権 賦 与 と利 益 の委 譲(「 放 権 譲 利 」)1),1983年 か ら の利 潤 上 納 制 か ら所 得 税 へ の転 換 に よ る利 潤 分 配 の 規 範 化(「 利 改税 」), 1987年 か らの 「 所 有 権 と経 営権 の分離 」論 に基 づ く経 営 請 負制2)と経 営 リー ス制,1989年 以 降 の 企 業 利潤 の 国家へ の配 分 に お け る所 得 税 と利 潤 上納 の 分 離(「 税 利 分 流 」)3),さ らに1992年 か らの 自主 経 営,損 益 自己 責任,自 己制 約 に 向 け ての 「経 営 メ カニ ズ ム転 換 」 の 試 み な どで あ る。 しか し,こ う した改 革 の試 み に もか かわ らず,国 有 企 業 改 革 は 大 き な成 果 をあ げ る に は至 って い な い。 多 くの赤 字 企業 の存 在,経 営 効 率 の一 貫 した 低 下,そ の 結 果 と して 国有 企 業 の 国 民経 済 に 占め る比 重 は 次 第 に低 下 して い る。 こ う した な かで1993年 末 以 降,い わ ゆ る株 式 制 企 業 を 中 心 内容 とす る 「現代 企 業 制 度」 確 立 の試 み が 開始 され,注 目を集 め て い る 。

本稿 で は中 国国 有 企業 の株 式 制転 換 にお け る 企業 再 編 の 現 状 と課題 にっ

いて 以下 の点 か ら検 討 しよ う とす るもの で あ る。 す なわ ち,第 一 に財 産 所

有 権 の再 編 の あ りか た,第 二 に経営 管 理 機 構 の再 編 の あ りか た で あ る。

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1株 式制改 革と 「 現代企業制度」構想

1)株 式 制 改 革 の沿 革

株 式制 企業 の 試 行 は1980年 代 か ら始 ま り,そ の発 展 は い くっ か の時 期 に 分 け られ る4}。 第 一 期(・ ・ 年)は 一 部 の都 市で 株 式 制 の試 行 が 開 始 され た時 期 で あ る 。 例 え ば1984年 に株 式 制 の第 一 号 と され る北京 天 橋 百 貨 株 式有 限公 司や 上 海 飛 楽 音 響株 式 有 限公 司が 設 立 され た 。 いず れ も社 会 に 公 開発 行 され た株 式 を含 ん で いた。 その 後,株 式 制 の試 行 は,藩 陽,重 慶, 武 漢 な どで展 開 さ れ て い った。 この期 間 に設 立 され た 株 式制 企業 は主 に集 団所 有 制 企業 お よ び 一 部 の 小型 国営 企業 で あ り,株 式 の 発 行 方式 は 内 部 の 非 公 開株 を 主 と し,一 部 を 公 開発 行す る も ので あ った 。株 式制 の運 用 も規 範化 され て い な か った(例 え ば株 引 き上 げ の 自 由,株 式 配 当 と元 本 利 息 の 保証,譲 渡 売 買 と担 保 の 禁 止,調 達 資金 の消 費 基 金 へ の 転用 な ど)。

第 二 期(1986年 後 半 一1989年 半 ば)に 株 式 の 店 頭 販 売 業 務が 開 始,株 式 の 流通 市場 が 形 成 され,株 式制 企 業 の試 行 数 も増 加 し1988年 には 約6000余 りに な った。 株 式 制 の 試 行 企業 も大 中型 の 国有 企 業 を 含み,業 種 も拡 大 し た。 株 式制 の規 範 化 は 第 一 期 よ りもか な り進 ん だ が,依 然 と して多 くの 問 題 が発 生 した(例 え ば,株 式 と債券 と の混 同,株 式 の退 出,国 有 資産 の過 小評 価,高 い 株 式 利 息 と配 当率 な ど)。 この 時 期 は理 論 界 で 株 式 制 の是 非 にっ き熱 心 な論 争 が 展 開 され,株 式 制 支 持 派 は 経 営 請 負制 や リー ス制 に代 わ る企 業 改 革 の根 本 策(財 産権 の 明確 化)と して株 式 制 の 意義 を主張 した 。

第 三 期(1989年 半 ば 一1991年)は,1988年 秋 以 降 の経 済 の調 整 ・引 き締

め,1989年 の天 安 門 事 件 以 降 の政 治的 引 き締 め の 影響 を う け て,株 式 制 改

革 も停 滞 した。 証 券 取 引所 が設 立 され た 上 海 と深f川で の株 式 制 の試 行 は継

続 され たが,そ の 他 の地 域 の株 式制 試 行 は 停 止 した。1990年 か ら1991年 に

か け て株 式 制 試 行 企 業 の 数 は減 少 した 。 この 間,理 論 界 で は株 式制 へ の批

判 的 論 評 が 多 く提 出 さ れ,株 式 制 支持 派 の 見 解 は ほ と ん ど公 表 され なか っ

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中国国有企業 の株 式制 転換

た。

第 四期(1991年 後 半 一)は,再 び株 式制 の試 行 企 業 が 増 加 に 転 じ,1992 年 初 の郡 小 平 の 「 南 巡 講 話 」 を 受 け て試 行 企業 は大 幅 に拡 大 した。 特 に93 年 以 降 は試 行 企業 が 急 増 して い る こ とが 注 目 され る。 株 式 制 企 業 の増 加 数 は92年 約400件,93年9440件,94年 で12800件 余 で あ った(表1)。 同 時 に 株 式 制 の 法 規範 化 が進 み,1992年5月 には 「株 式制 企業 試 点 弁 法 」 「 株 式 有 限公 司規 範 意 見 」 「 有 限 責 任 公 司規 範 意 見 」 が 公 布 され,こ れ を 改編 集 大 成 した も の と して1993年12月 に は 「公 司法 」(会 社 法)が 公 布 され た

(1994年7月1日 施 行)。

表1.中 国 の 株 式 制 企 業数

企業数 有限公司 株式公司 鷲 葦 法欝 公難 行(上 場 企業)

1988年 4750

1990年 3800十 3200十500十60十(20)

1991年 3220 275138089

1992年 3600十 (69)

1993年 13000十 98003210 (122)

新 規 分 9440 64722968

1994年 25800 1070015100 (290)

(出 典1988年:『 中 国 証 券 市 場(1991)』 中 国 金 融 出 版 社 、64頁.1991年:『 人 民 日 報 』1992年6月23日,劉 鴻 儒 論 文.1992年:『 中 国 通 信 』1993年2月24日.

1993年:『 経 済 参 考 報 』1994年2月28日.1994年:『 中 国 通 信 』1995年2月9日)

2)「 現 代企 業 制度」 の構想

1993年ll月 の中 国 共 産党 第14期3中 全 会 で 採 択 さ れ た 「 社 会 主 義 市場 経

済 体 制 を確 立 す る うえ で の若 干 の 問題 にっ い て の 決 定 」 に お い て国 有企 業

の経 営 メ カニ ズ ム転 換 の た め 「 現代 企 業 制 度 」 を確 立 す る課 題 が 初 め て公

式 に規 定 され た。 現 代 企業 制 度 とは要 す るに 資 本 主 義 世 界 に お け る会社 制

度 を中 心 とす る近 代 的 企業 制 度 の ことで あ り,そ の 主 な特 徴 は① 国 家 の国

有 資 産所 有 権 と 企業 の法 人財 産権 の 区別,② 企 業 の 有 限 責 任 制 と 自主経 営,

(4)

損益 自己負 担,③ 出 資 者 の所 有 者 権 益 と 有 限責 任,④ 企 業 の 市 場競 争 と優 勝 劣敗,政 府 の 企 業 生 産経 営 へ の不 介入,⑤ 科 学 的 な企 業 指 導 制度 と組 織 管理 制 度 の確 立,と さ れ て い る。 企業 形 態 の面 で いえ ば,国 有 企業 を基 本 的 に会 社(株 式 制 企業,具 体 的 には有 限 会 社 と株 式 会 社)に 転 換 す る こ と で あ り,そ の 他 補 助 的 に個 人 企 業,合 名 企 業,組 合 企 業,外 資 企業 な どへ の転 換(リ ー ス,経 営 請 負,改 組 売 却 な どに よ り)を 含 め て考 え られ て い る5)。

この 決 定 お よ び1993年12月 採 択 され た 公 司 法(会 社 法)に 基 づ き,同 年 末 以 来,国 務 院 は 「 一 部 国有 大 中型 企 業 を選 ん で 現 代 企業 制 度 テ ス トを行 う ことに 関す る方 案 」 を作成,国 家 経済 貿 易委 員会 お よ び 国家体 制 改革 委 員 会 が 分 担 して 「現 代 企 業 制 度 」 の具 体 的 計 画 を作 成 した。 現 在,国 務 院指 定 の100企 業,省 ・直轄 市 指 定 の1300余 企 業,地 区 ・市指 定 の 企業800余 社, 併 せ て 全 国 の2200余 企 業 が 現 代 企業 制 度 の実験 試 行 企 業 と され て い る6)。

改組 の方 針 は 以 下 の とお り。① 一 般 の 国有 大 中型 企 業 は 有 限会 社(大 多 数) か株 式 会 社 に転 換 す る。② 主 力産 業 や 基 幹 産業 にお け る中 堅 国有 企 業 は国 が 支 配 的 な 株 式 所 有 者 と な り,非 国有 資 本 の 参 入 を 認 め る。 ③ 特 殊 業 種 (国 防 ・航 空 ・先 端 技 術 ・金採 掘,造 幣,鉄 道,エ ネ ル ギ ー な ど)や 重 要 製 品 を生 産 す る 独 占 的 国 有 企 業 は 国家 単 独 資 本 の 有 限会 社 に 転 化 す る 。

④ ま た全 国範 囲 の 業 種 別r総 公 司」 は持 ち株 会 社 と し,当 該 業 種 の 企 業 グ ル ー プ形 成 の 中核 とす る。⑤ 一 般 の 小型 企 業 は,従 来 の リー ス制 ・経 営 請 負制 を継 続 す る か,「 株 式合 作 制 」 企業 や 有 限 会社 へ の改 組 個 人 ・集 団 企業 ・外 資 企 業 へ の 売却 を認 め る。 こ の よ うに,企 業 制 度 の改 造 方 法 は企 業 規 模 の ほか に業 種 別,製 品 別,市 場 競 争 度,企 業 効 率,さ らに は 産業 政 策 との 関 連 か ら判 断 され る こ とに な る7)。

この 改 革 構 想 は 企業 の法 人財 産権 の保 証,そ して法 人 財 産 権 に基 づ く企

業 の 自主 経 営 権 と 有 限責 任 制 を明 記 してお り,そ の点 で 所 有 権 と経 営 権 の

両 権 分 離 に関 す る 従来 の議 論 の あ い ま い さを 克服 して い る。 同時 に,そ れ

は西 側 世 界 にお け る資本 主 義 的 企業 編 成 を 踏襲 す る もの で あ る。

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中 国国有企業の株 式制転 換

2株 式 制 企 業 の 経 済 パ フ ォ ー マ ン ス

株 式 制 企 業 の経 済 効 率 パ フ ォー マ ンス は そ の他 の 企 業(国 有 企 業,集 団 所 有 制 企 業,外 資 系 企 業)と 比 較 す る と,比 較 的 良 好 で あ る 。 例 え ば, 1993年 にお け る単 位 当た り純 生 産 額,資 金利 潤 率,資 金 利 税 率,販 売 利 潤 率,付 加 価 値 労働 生 産 率 の いず れ にお い て も株 式 制 企 業 は 国 有 企 業 お よ び 集 団所 有 制 企 業 よ りも大 幅 に 上 まわ って い る(表2)。

表2.中 国 工 業企 業 の類 型 別経 済 効率(1993)

単位純生産額 資金利潤率 資金利税率 販売利潤率 労働生産率

万 元 元/人

国 有 903.5 3.2 9.7 11.6 16187

集 団 所 有 制 112.8 4.9 10.9 10.1 22645

株 式 制 1782.4 11.6 17.4 16.7 69438*

外 商 投 資 679.3 8.7 13.1 12.6 108103*

華 人 投 資 437.1 5.6 8.6 9.6 76965*

*付 き の労 働 生 産 率 は推 計 値(従 業 員 数 を それ ぞれ66万,53万,66万 と した場 合) (『 中 国統 計年 鑑1994』374,378‑381頁 よ り作成)

ま た1994年2月 時 点 で の 全 国株 式制 企 業 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 集 計 (回収 サ ンプル 数371社)に よれ ば,株 式制 企業 の 経 済 効 率 パ フ ォー マ ン ス は,株 式制 転 換 の前 後 にお い て大 き く伸 び て い る。 す なわ ち,サ ン プル 企業 全 体 の伸 び率(転 換 の 前 年 に対 す る転換 後1年 の伸 び 率)は,労 働 生 産 性 で57.3%,販 売 利 潤 率 で49.2%,資 金利 潤 率 で39.3%,一 人 当た り利 税 額 で85.2%で あ る。 国有 企 業 か ら株 式 制公 司に 改 組 され た 企 業 で の 伸 び 率 は,そ れ ぞれ61.8%,49.1%,42.7%,87.8%で あ り,全 体 平 均 よ り概 して高 い伸 び 率 を 示 して い る8)。 これ は 全体 の状 況 を示 す も の で は 必ず し も な いが,株 式制 転 換 後 の 企 業 のパ フ ォー マ ン スの 良 さ を示 してい る。

この 背 景 要 因 と して,一 っ には 一 般 に 国 有 企業 の 約3割 が 赤 字 企 業9), 約3割 が 潜 在 的赤 字 企 業 と いわれ る よ うに大 多 数 の 国有 企 業 の パ フ ォー マ

ンスが 悪 い 状 況 の なか で 株 式 制 企業 と して認 可 さ れ 成 立 した 企 業 が 元 来 経

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営 成 績 の 極 め て よ い 黒字 企 業 で あ った こ と,ま た株 式 制 転 換 に よ り経 営 自 主 権 の 拡 大 と一 定 の 経営 合 理 化 努 力が す す ん だ こと,な どが 考 え られ る。

3企 業財産権の再編問題

政 府 の財 産 権 主 体 の多 元化,分 散 化 の 方 針 は第 一 に出 資者 所 有権(株 式) と法 人 財 産 権(「 産 権 」)1°)と の 分離 第 二 に株 式 所 有 構 成 の多 元 化 ・分 散 化 の 内 容 が 含 まれ て い る。 他 方,政 府 は社 会 主 義 の 建 て 前 か ら公 有 制 の主 体 的 地 位 を 維 持 す る こと を原 則 と して い る。 公 有 制 の 主 体 的地 位 の具 体 的 内容 に っ い て は さ ま ざま な議 論 が あ るが,個 別 企 業 の 株 式所 有 にお け る公 有 株 の 支 配 的 地 位 で あ る と把 握 すれ ば,そ れ と前 述 の 株 式所 有構 成 の多 元 化 ・分 散 化 との 関 連 が 問題 に な る。 も し,公 有 株(中 国 で は 国家 株 と法 人 株 を 指 す)の 支 配 的 地位 を保 証 す る枠 内で 株 式 所 有 構 成 の 多 元化 ・分 散 化 を求 め るの で あ れ ば,所 有 構 成 の 多元 化 ・分 散 化 は 自ず か ら大 き な制 約 が あ る こ と に な る。 も し,株 式 所 有構 成 の多 元 化 ・分 散 化 を優 先 させ 徹 底 さ せ るの で あ れ ば,公 有株 の支 配 的地 位 の維 持 は困 難 に な る だ ろ う。 この 意 味 にお い て,両 者 は トレー ド ・オ フの関 係 に あ る とい え る。

実 際 の株 式 所 有 状 況 は如 何 な る状 況 に あ る のか 。1991年 の統 計 によれ ば, 株 式 制 企 業 の う ち非 公 開 の株 式 制(内 部 従 業 員 持 株 ・法 人持 株)企 業 が98

%を 占め,公 開 発 行 の 株式 制 企 業 はわ ず か2%に す ぎな い。 そ して 株 式所

有 構 成 比 で は 一 般 に国 家所 有 株 が70%以 上 の圧 倒 的 多 数 を 占め てい た 。公

開 発 行 の株 式 制 企 業 の株 式 構成 は,国 家株47%,法 人株29%,個 人 株14%,

外 資 株9%で あ った11)。ま た1994年 の ア ンケ ー ト調 査(371社)で は 国家

株34%,法 人 株45%,個 人 株19%,外 資株2%で あ るiz)。 国 家株 の所 有 比

率 は 多 少 の 変 化 が み られ る も の の,法 人 株 と 国家 株 を あわ せ た 公 有株 の比

率 で は いず れ の 場 合 も絶 対 多数 を 占め て い る。 この 実 際状 況か ら言 え ば,

政 府 の 公 有 制 の 主 体 的 地位 の確 保 方針 は現 実 の もの とな って い る。

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中国国有 企業の株式制転換

1)企 業 財 産の 所有 帰 属問 題

さて 既 存 の 国有 企業 が 株 式 制 企 業 に転 換 す る場 合 に,ま ず 最 初 の 課 題 は 企 業 財 産 の所 有主 体 お よび そ の 間 の権 利 関 係 を如 何 に確 定す るの か とい う 点 で あ る。 この点 の 明確 化 が 従 来 大 き な課 題 と され てお り,現 在 も事 情 は 基 本的 に 変 わ って な い。 現 在,こ の 点 に 関す る主 な論 争 的 な 問題 点 は 以 下

の とお りで あ る。

第 一 に,国 家 の 財産 所 有 権 を具 体 的 に どう よ うに 確 定 す る のか と い う問 題 で あ る。 既 存 の 国 有企 業 の 財 産 は 「全 人 民所 有 制 」の 名 の下 にす べ て国 家所 有 の もの で あ ると考 え られ て きた 。 この場 合,問 題 は 具体 的 に いか な る国家 機 関 が 国 有 資 産所 有 権 の 代 表 なの か と い う点 で あ る。実 は こ の点 こ そ 従 来十 分 検 討 され て こ なか った 問 題 で あ り,理 論 的 に も実践 的 に も不 明 確 なま まで あ った 。 現状 で は 多 くの 場 合 国有 財 産 権 の主 体 は 事実 上,業 種 別 行政 主 管 部 門 また は業 種 別 総 公 司で あ った13)。

どの機 関 が 国有 資 産 財産 権 の主 体(代 表 者)で あ るべ きか に 関 して は さ ま ざ まな 見解 が 出 され て い る。 例 え ば,1988年 に制 定 され た 「国有 資産 管 理 局 三 定方 案 」 で は 国 有 資産 管 理 局 が 代 表 者 と して 規定 され て い る。1990 年 の 「国 有 資産 管 理 活 動 の強 化 に関 す る国 務院 の通 知 」 で は 国有 資産 管 理 局 と と もに財 政 部 が 財 産権 代 表 と され た 。 そ の他 全 国人 民代 表大 会,従 来 の行 政 主管 部 門,財 政 部 門,国 有 資 産 経 営 投 資公 司,さ らに 企業 法 人 な ど さ ま ざな 見解 が 出 され て い る1%

株 式 制 企業 経 営 者 の あ い だ で も表3に み られ る よ う に,国 有 資産 の転 化 され た もの と して の国 家株 の所 有 主 体 に っ い て さ ま ざ ま な見 解 が あ る。

表3に よれ ば,国 家 株 の所 有 主体(代 表 者)と して 国有 資 産投 資 公 司,

国有 資産 管 理 局,企 業 自身 が 比較 的 多 く考 え られ て い る。後 述 す る よ う に,

政 府 レベ ル で は,従 来 の 行 政 主 管 部 門 で は な くて 専 門 の 国 有 資 産 管 理 局

(委 員会),さ らに は 国 有 資 産 経 営 機 構 を 国 有 資 産 の 所 有 権 代 表 とす べ き

だ と の考 え(「 政 資 分離 」)が 主 流 と な って い る。

(8)

表3.国 家株の所有主体に関す る株式制企業経営者の考 え (%)

国家株所有主体 全 体 状 況 上 場 公 司 非上場公司 新 設 公 司 改 組 公 司

国有資産管理 局 30.3 16.9 33.1 28.6 31.1

元の行政主管部門 7.2 8.8 7.1 10.2 6.2

国有資産投資公司 31.9 43.5 29.4 37.8 29.7

国家 財政部 門 3.3 2.1 3.7 5.1 2.9

企 業 自 身 27.3 28.7 26.7 18.3 30.1

有 効 サ ンプル数371企 業 (『管 理 世 界 』1994年4期,150頁)

第 二 に行政 レベ ル と の関 連 で は 国 有財 産 所 有 権 の 代 表 が 中央 政 府(国 務 院)な の か地 方 政 府(省 ・自治 区 ・市)な のか とい う 問題 が あ る。 これ に 関 して はい わ ゆ る 「国 有 資 産 の 分級 所 有 」 論が 一 部 で 提 起 され てい る正5)。

こ の主 張 は,地 方 政府 が そ の 管 轄下 に あ る 国有 企 業 の収 益 権 を事 実 上 も っ て い る,ま た地 方 政府 が 投 資 して 設 立 した企 業 財 産 の売 却 収 入 は 地 方 政府 に帰 属 して い る な どの現 実 を踏 まえ た も ので あ る。 しか し,こ れ に 対 して は 国有 財 産 の 「国 家 の統 一 所 有,政 府 に よ る級 別 監 督 ・管 理 」 の 考 え に 基 づ き,国 有 資産 は 国家 機 関 が 統 一 的 に所 有 す べ きで あ り,分 割 す べ きで は な く,国 有 資産 の 管理 ・監 督 に っ い て は各 級 政 府(国 有資 産 管理 当 局)が 委 託 一受 託 関係 を通 して 行 うべ き だ と の 主張 も多 い且6)。 この 「国家 の統 一 所 有,政 府 に よ る級別 監 督 ・管理 」 の方 針 は1993年11月 の党 中 央 委 員 会総 会(14期3中 全 会)で 規 定 され て い るが,そ の 具 体 化 をめ ぐって解 釈 が 分 か れ て い る状 況 だ とい え る。 市場 経 済 化 と地 方 分権 化 の進 展 の なか で ます ます 地 方 政府 が 自立 的 な経 済 利 益 主体 と して 自 らを形 成 させ て い る ことか らいえ ば,「 国 有 資産 の分 級 所 有 」論 は地 方 政 府 の利 益 を強 く反 映 して い る と考 え られ る 。 いず れ にせ よ,国 有 財 産 権 の 確定 は 国家 の 諸機 関 の あ い だ の財 産 所 有権 の 再 配 分 を意 味す る だ け に,当 該 関係 機 関 に と って は極 め て重 要 な問題 で あ ろ う。

第 三 に,既 存 の 国有 企業 に一 定 の財 産 所 有 権 をみ とめ るべ き だ と の 見解

が 提 出 され て い る。 この 見解 に よれ ば,国 有 企 業 は独 自の 所 有資 産 を も っ

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中国国有企業 の株 式制転換

てお り,従 って,そ れ は 当然 に 企業 法 人株 に 転 換 で き る とい う こ とにな る。

具 体 的 な論 点 は 以 下 の とお りで あ る。 す なわ ち,1983年 以 降 の 行 政 の資 金 給 付 制 か ら銀 行 の 貸 付 制 へ の転 換(「 機 改 貸 」)に お い て返 済 後 に形成 され た 資産,お よび1984年 の 第 二 歩 「 利 改 税 」(利 潤 上 納 制 か ら所 得 税制 へ の 転換)以 降 の留 保 利 潤 か ら形 成 され た 資 産 は い ずれ も 国家 所 有 資 産で は な くて 企業 所 有 の 資 産(「 企 業 株 」)と す べ きで あ る,と す る もの で あ る1η 。 また この延 長 線 上 に あ る論 点 と して,い わ ゆ る 「企 業 資 金」 の性 格 も議 論 の 対 象 に な って い る。 企 業 資 金 と は,1988年2月 の 国有 企業 請 負 経営 責 任 制 暫 定 条例 が,請 負 企業 の 経 営 リス ク を保 障 す る 「リス ク基 金 」 の源 泉 と して 規 定 した も の で あ る。 そ れ は具 体 的 に は,請 負 期 間 の 留保 利 潤,留 保 利 潤 を 投 入 して形 成 され た 固定 資産 及 び 補 充 した 流 動 資 金,請 負期 間 に銀 行 か らの 借 入 金 を 利用 して形 成 した 固定 資 産 で 留保 利 潤 か らす で に 借入 金 を返 済 した も の,な どか ら構 成 され る。 暫 定 条 例 で は 企 業基 金 は国 家所 有 に属 す る と規 定 して い る。 しか しなが ら,株 式 制 転 換 に あ た り,企 業経 営 者 の 側 か ら企 業 基 金 は 企業 所 有 に属 す べ き もの との 主 張 が提 出 され た。

以 上 の 主 張 に 対 して は,企 業 留保 利 潤 か ら形 成 さ れ た 資産 にせ よ,貸 付 返 済 後 に 形 成 され た 資産 にせ よ,企 業 自身 の 所 有 と す べ き で は な く国 有資 産 とす べ きで あ る と の強 い批 判 が あ る。 す な わ ち,留 保 利潤 は全 面 的 出資 者 で あ る国 家 の投 資 に対 す る成 果 で あ って 当 然 に も 国家 の所 有 に帰 すべ き で あ る とす る18)0ま た 銀 行 の 貸付 にっ いて は 形 式 的 に は 貸 借 関 係 で あ るが 実 質 的 には 政 府 の 企 業へ の直 接 投 資で あ る と し,従 って 国家 所 有 に 帰す べ きで あ る とす る見 解 と,銀 行 貸 付金 を銀 行 の 企 業 に 対 す る投 資 とみ な し, 従 って株 主 で あ る銀 行 に 帰 属 す べ き で あ る とす る 見 解 が あ る19)。 いず れ に せ よ,現 実 には,国 有企 業 に一 定 の財 産所 有 権 を 賦 与 し,そ れ を 「企業 株 」

に転 換 す る動 き が 多 くの 企業 で広 が って い ると いわ れ る。

2)資 産評 価 の 問題

所 有 権 主 体 の 確 定 問題 と と もに,重 要 な 課題 と な って い る のが 資 産評 価

(10)

問 題 で あ る。 国 有 資 産 の 評 価 は 評価 基 準 とな るべ き市 場 価 格 が 未 だ 十 分 に 形 成 され て い な い た め に,資 産 の過 大 過 小 評価 が 日常 的 で あ るが,一 般 的 には 資産 の過 小 評 価 の 問 題 が顕 著で あ る。 この基 本的 原 因 は 国有 資 産 市場 や 株式 市 場 が 未 整 備 で あ ると と も に,国 有 資産 市 場 で の取 引 が 圧 倒 的 な 買 い手市 場(売 り手 〉 買 い 手)に な って い るた め で あ る2°)。 ま た 国家 株 は株 式 市場 にお い て 流 通 が 禁 じられ て い る こと も,国 家 株 の適 正 な評 価 を妨 げ て い る要 因 に な って い る。

この過 小 評 価 の 問 題 は 国 有 企業 の 株 式制 転 換 に お い て 国有 資 産価 値 が 国 家 か ら企 業 団 体 や 個 人 に 移転(流 出)す る こ と を引 き起 こ して い る。 具 体 的 に以 下 の事 例 が 数 多 く報 告 され て い る'll)。 ① 資産 評 価 方法 が規 定 に よ ら ず安 価 に 評価 さ れ(例 え ば 時 価 に よ らず 簿 価 に よ る な ど),株 式 に換 算 さ れ る。 ② 国有 資 産 を 無 償 で 企業 株 と し,さ らに企 業 株 の なか か ら安 価 また は 無償 で 「内部 従 業 員 株 」 に転 換 す る。 ③ 非 経 営 性 資 産 や 無 形 資産 が 評 価 の対 象 外 と され 株 式 に 換 算 され な い。④ 配 当分 配 時 にお い て 国家 株 よ り も 社 会個 人株,社 会 個 人 株 よ りも 内部 従業 員 株 の 配 当率 を 高 め に設 定 してい る。 例 え ば,武 漢 に お け る株 式 企 業 の株 式 配 当 率(1988〜1992年 平 均)は 国家 株 が11.5〜13.7%,社 会個 人 株 が17.0〜17.5%,内 部 従業 員 個 人 株 が 20%で あ った 膨)。また 国 家 株 へ の 配 当 を いわ ゆ る株 式 配 当形 式 で 行 い 現 金 配 当 を実 施 して しな い 。⑤ 外 国資 本 と の合 弁,合 作 に お い て 中 国側 の 公 有 資産 を安 価 また は 無 償 で提 供 す る。1992年 には 全 国 で約5000余 企 業 が そ の 資産 を 評 価せ ず に 外 資 と合 弁 す るに至 った とい う鴉1。

国有 資 産 の 流 出 問題 は 国有 企 業 の株 式 制 転 換 に か ぎ った こ とで は な く,

国有 地 の 使 用 権 譲 渡,国 有企 業 や 資産 の売 却 や 出 資 な どさ ま ざ ま な形 で 出

現 して い る。 国 有 資 産 当 局 の評 価 に よれ ば,「 過 去13年 来,国 有 資 産 は少

な くと も5千 億 元,1日 あ た り約1億 元が さ ま ざま な経 路 を通 じて 流 出 し,

個人 と団体 の ポ ケ ッ トに 入 った 」 と い う鋤。 国家 国 有 資産 管 理 局 に よれ ば,

1993年 末 の 国 有 資 産総 額 は3兆4900億 元(う ち営 利 国有 資 産 は2兆6000億

元)と され て い る死 従 って,国 有 資 産 総 額 に 占 め る 流 出額 の比 率 は約14

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中 国 国 有 企 業 の 株 式 制 転 換

%(営 利 国 有 資 産 に 占 め る 流 出 額 比 率 は19%)と な る 。 あ る 中 国 の 経 済 学 者 は こ う し た 事 態 を 指 し てpoketizedeconomy(経 済 の 私 物 化)と 名 づ け て い る濁 。

4企 業 管 理 機 構 の 再 編 と 課 題

株 式 転換 に伴 う企 業 管理 機 構 の再 編 は 二 っ の レベ ルに 分 けて 考 え る こ と が で き る。す なわ ち,国 家 と 企 業 と の関 係 の 再編 お よび 企業 単 位 にお け る 管 理 機 構 の 再編 で あ る。

1)国 家 一企 業 関 係 の 再 編

株 式制 企 業 の 株 式構 成 にお い て 国 家株 が 支 配 的 な位 置 を 占め る こと は, 最 大株 主 と しての 国家 当局 の企 業 経営 に対す る統 制 介 入 を許 す こと に な る。

実 際 に,株 式 制 企 業 に対 す る国 家 当局 の統 制 はか な り強 い もの が あ る。

例 え ば,第 一 に株 式制 企 業 の 代 表(董 事 長 お よび 総経 理)選 出 に 対 す る 統 制 が あ る。

表4に 見 られ る よ うに,調 査 企 業(317社)の う ち董 事 会 が 規 定 どお り 董 事 長 を選 出 して い るの は60%で あ り,他 の40%の 企 業 は政 府 上 級 機 関 が 直接 任 命 して い る。 政 府 上級 機 関 の介 入 の 度 合 い は 国 有 企業 か ら改 組 され

表4.公 司董 事 長 と総経 理 の 任 命 状 況 (%〉

董 事 長 総 経 理

董 事 会 選 挙 上 級 の 任 命 董 事 会 選 挙 上 級 の 任 命 全 体 状 況

新 設 公 司 改 組 公 司 国有 改組公 司 非国有改組公司

60.539.5 62.637.4 59.640.5 5545 78.421.6

65.634.4 70.429.6 63.536.5 58.641.4 82.417.6

0

有 効 サ ンプル数371企 業 (『管 理 世 界 』1994年4期,144頁)

(12)

た 株 式 制 企 業 で の場 合 に 最 も 大 き い こ とが わ か る(45%)。 同様 に総 経 理 の 選 出で は34%の 企業 で 政 府 上 級 機 関 が 直接 任 命 して お り,と くに 国 有 企 業 か ら改組 した 株 式 制 企 業 の 場 合 は41%と 高 くな って い る。 この 場 合 の政 府 上 級 機関 が 具 体 的 に何 を指 して い る か は 明示 され て い な いが,呉 敬 漣 は

「公 司 は依 然 と して従 来 の 行 政 主管 機 関 の指 導 下 に あ り,彼 らが 直接 に経 理 を任 命 し管 理 して い る」 と述 べ て い る勿》 。 こ う して 「 公 司 の董 事 長 や 総 経 理 は 資産 所 有 者 で あ る政 府 に よ って委 託 派 遣 され てお り,大 多数 の株 式 会 社 は 監事 会 も 設 立 して い な い。 国家 株 が 絶 対支 配 株 を 占め て い る状 況 で は 政 府 は往hに して株 主 の 範 囲 を越 え て,そ の董 事 長 や 総 経理 を通 して公

表5.各 経 営 方 式 別 の 経 営 自主権 の保 有 状 況 (%)

1993年 1994年

株 式 制 請 負 制 リー ス制 資産請負制 株 式 制 非株式制 生 産 経 営 決 定 権 86.390.450.087.7 97.193.3

製 品 価 格 決 定 権 75.376.237.574.6 82.071.8

製 品 販 売 権 91.889.437.588.5 95.989.3

原 材 料 購 買 権 89.091.950.090.0 96.194.8

輸 出 入 権 37.012.125.028.5 41.822.0

投 資 決 定 権 54.039.012.536.2 74.658.3

留 保 利 潤 支 配 権 68.565.650.055.4 83.072.1

資 産 処 分 権 35.829.325.031.5 60.443.5

連 合 経 営 合 併 権 32.923.123.1 53.136.4

労 働 雇 用 権 61.642.450.060.0 77.657.3

人 事 管 理 権 58.954.850.054.6 81.071.7

賃 金 奨 励 金 分配 権 78.171.537.571.5 92.884.5

内 部 機 構 設 置 権 82.280.537.580.5 94.589.6

割 当 負 担 拒 否 権 8.26.137.513.8 14.39.4 備 考:1993年 は 回 収 サ ン プ ル 数2620社,う ち 株 式 制 企 業81社,国 有 企 業1965社,集

団 所 有 制 企 業443社 で あ っ た 。1994年 は 回 収 サ ン プ ル 数2756社,う ち 国 有 企 業2048社,集 団 所 有 制 企 業356社,外 資 系 企 業204社,そ の 他149社 で あ り, 株 式 制 企 業 の 数 は 不 明 で あ る 。

(1993年 は 『中 国 企 業 家 大 参 考 』 創 刊 号.1994年,10頁 。

1994年 は 『管 理 世 界 』1995年 第1期,159頁)

(13)

中国国有 企業 の株式制転換

司 の経 営 活 動 に直 接 関 与 して い る 」%)状況 が 生 じて い るの で あ る。 っ ま り, 株 式制 企 業 トップ の人 事 権 は 国 家 行政 に多 くの場 合 掌 握 され て い るので あ る 。他 方,規 定 どお り董 事 会 が 経営 者 を選 出 した場 合 で も,国 家 当 局 は そ の 株 主代 表 で あ る董 事 を通 して大 きな影 響 力 を も って い る。

第 二 に,株 式 制 企業 にお け る経 営 自主 権 の 実 施状 況 をみ る と一 部 で ま だ か な り制 約 が大 き い こ とが わ か る。1993年 と1994年 の 調 査 に よれ ば,株 式 制 企 業 の 経営 自主 権 の保 有 状 況 は表5の とお りで あ った 。

株 式 制 企 業 は そ の 他 の経 営 形 態 の 国有 企 業 に 比 べ て総 じて経 営 自主 権 を よ り多 く享 受 して お り,特 に 人事,雇 用,投 資 の 権 限 は そ の差 異が 目だつ 。 しか しなが ら,こ れ は 国家 が株 式 制 企業 の経 営 に 関 与 して い な い こ とで は な く,む しろ最 大 株 主 と して の政 府 は株 式 企 業 の 経 営 に か な り関 与 して い るので あ る。 前 述 した 企 業 経営 者 の人 事権 を除 いて,負 担 割 当拒 否 権,合 弁 合併 権,輸 出入 権 な どの 保 有 比率 は まだ極 め て 低 い。 ま た投 資決 定 権, 労働 者 雇 用 権 な どか な り不 十 分 で あ る。っ ま り,株 式 制 企業 と い え ども こ う した経 営 権 限 は 政 府 に よ って か な り制約 され てい るの で あ り,政 府 と企 業 の 分離 所 有 と経 営 の 分 離 の 改 革課 題 は株 式 制 企 業 に お い て も まだ未 解 決 で あ る と いえ よ う。

以 上 の よ う な現 状 分 析 を踏 まえ る と,国 家 行 政 の 企業 経営 支 配 に対 す る 制 約 メ カニ ズ ム を形 成 す る こ とが重 要 な課 題 と な る。 そ の制 約 の 方 法 と し て は第 一 に 国家 行 政 機 関 か ら資 産経 営 機能 を分 離 し,独 立 化 させ る こと, 第 二 に国 有 資産 経 営 機 構 と株 式 制 企業 との関 係 を多 元 化 させ,ま た株 式 構 成 の分 散 化 を 図 る こ とが 必 要 条 件 で あ ろ う。

まず 国 有 資産 機 能 の分 離 独 立 の具 体 的 方法 と して は,例 え ば 国 家所 有 権

管 理 の行 政 機 関 で あ る国 有 資 産管 理 局29)から委 任 さ れ た 国有 資産 経 営 公 司

(総公 司,集 団公 司 な ど)を 設 立 し,経 営公 司が 国 有 資 産 価 値 の 維 持増 大

の経 営 機 能(株 式 投 資,証 券 投 資 な ど)を はた す こ とが 一 般 に 考 え られ て

い る。 こ の場 合,経 営 公 司 は100%国 有 資 本 の 持 ち 株 会 社 で あ り,資 産 管

理 局 の監 督 指導 下 に あ るが,同 時 に いか に行 政 か ら 自立 した 経 営 組 織 とす

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るか が大 き な課 題 と なろ う。 かっ て 行政 と企業 経 営 との 分離 方 針 の も とで, 行 政 主 管 当局 が 自 らの行 政機 関 の一 部 を形 式的 に公 司 に改 編 す る ことが 実 施 され た が,実 態 は ほぼ 旧態 依 然 の ま ま で あ る と い う現 象(「 翻 牌 公 司」) が 数 多 く発 生 した3°}。 これ は既 存 の行 政 主 管 部 門 か ら 自立 した経 営 組 織 を つ く る こ とが極 め て困 難 で あ る こ とを 示 して い る。 国有 資 産 管理 局 は既 存 の行 政 主 管 部 門 か ら区 別 され た新 設 の部 門 で あ り,そ れ に よ り行 政 管 理 と 資 産 管 理 の 分 離(「 政 資分 離 」)が 図 られ た と して も,国 有 資 産管 理 局 自体 も一 っ の 行 政 機 関 で あ って,そ こで の 行政 機 能 と経 営 機 構 の 分離 が 困難 な らば,国 有 資 産 経 営 公 司が 「 翻 牌 公 司」 の 二 の舞 と な る恐 れ も考 え られ る。

実 際 に,「 改 造 後 の いわ ゆ る持 ち株 会社 は,一 人 の"姑"を 入れ 換 えた に す ぎず,以 前 の あ る専 業 管理 部 門 か らあ る 国有 資 産 管 理 機 構 ま た は 国家 持 ち株 会 社 に変 わ った にす ぎず,行 政 と 企業 経 営 の 分離[政 企 分 開]の 問 題 は 真 に 解 決 され て い ない 」 と い う31)。

次 に,国 有 資 産 経 営 機構 と株 式 制 企業 と の財 産 権 関 係 を 多 元化,分 散 化 す る こ と にっ い て。 財 産 権 関係 の多 元化 と は,広 義 には 国 有 資産 経 営 機 構 が さ ま ざ ま な経 路(株 式 所 有,貸 付,債 券 購 入 な ど)を 通 して さ ま ざ まな 株 式 制 企 業 との あ いだ に多様 な財 産権 関 係 を構 築 す る こ とで あ る。 この 場 合,国 有 資 産経 営 機 構 も経営 主 体 が 多様 化 され,経 営 公 司(総 公 司,企 業 集 団 の 親 会 社 と して の集 団公 司 な どを含 む)以 外 に,各 種 基 金 会,保 険 会 社,金 融 機 関 な どが 法 人 と して参 加す る。 株 式 関 係 の 多 元化 とい う レベ ル で み た 場 合,多 様 な 国有 資 産経 営 主体 お よ び企 業 法 人 が それ ぞ れ 他 の 企業 の株 式 所 有 を通 して,さ まざ ま な企業 の株 主 と な り,そ れ に対 応 して 個別 企 業 の 株 式構 成 も多 様 化 され る こと に な る。

この 株 式 関係 の 多元 化 構想 の一 方法 と して,多 数 の 資産 経 営 公 司 や 企業

法 人 が 他 企 業 の 株 式 所 有 を進 め,次 第 に法 人 相 互 に株式 の持 ち合 い 状 況 を

作 る こ とが 主 張 さ れ て い る32)。 多 くの法 人 に よ る株 式 の 相 互 持 ち合 い は,

そ の結 果 と して 株 主が 個 別 企業 の経 営 に介 入 す る こ とを抑 止 し,企 業経 営

者 が株 主 か ら相 対 的 に 自 由な経 営 が を行 う こ とが で き る(株 主 の 「架空 メ

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中国 国有企業 の株 式制 転換

カニ ズ ム」 の 形 成)と い う メ リ ッ トが 期 待 され て い る。 この主 張 は,主 と して 日本 の法 人 に よ る株 式 相 互 持 ち合 い 方 式 を参 考 に して い る。

また 従業 員 持 ち株 を 推進 す る こ と も株 式 の 分散 化 を図 る手 段 と して 考 え られ て い るが,従 業 員 の資 金 力不 足,株 式 比 率 の 法 的制 限 鋤,株 式 の 流 通 の制 約(一 時 的 な流 通 停 止 措 置 な ど),従 業 員 の投 資 行 動(配 当 目当 て よ

りも投 機 指 向 が強 い)な どの 面 で大 き な制 約 が あ る。

さ らに新 た に注 目され て い る動 向 は,外 資 に よ る株 式 参 入 を はか る こ と で あ る。 す なわ ち,国 有 企 業 の 株 式 資 産 の一 部 また は全 部 を 外 資企 業 が 買 収 し,合 弁 経 営 や 独 資経 営 を行 う もの で,「 接 ぎ木 方式 」 と も呼 ばれ て い る鋤。外 資 の株 式 参 入 も株 式 構成 の 多 元化 ・分散 化 を促 進す る効 果 を も っ で あ ろ う。

国家 株 主 の 企業 経 営 支配 を制 約 す る メ カニ ズ ム と して,上 記 の 点 以 外 に 例 えば 国 家株 を優 先 株 と し株 主 総 会 で の 議 決権 を条 件 付 き で放 棄 させ る こ とが 学 界 で 検 討 され て い る。優 先 株 方 式 は 国 家株 主 の 資 産価 値 増 加 関 心 に う った え る面 は あ る も のの,国 家 株 主 の経 営 参 加権 を基 本 的 に奪 う もの で あ るだ け に,政 府 行 政 側 か らの反 対 が強 い と いわ れ る35)。 また 株 主 総 会 に お け る議 決 権 に制 約 を加 え る方 法,例 えば,累 積 的 逓 減 方 式 ま た は累 積 投 票 方式 な ども提 起 され て い る36)。 た だ し,こ の方 式 は1株1票 とい う株 式 平 等 原則 に抵 触 す るの で,実 施 は 困 難 で あ ろ う。

2)企 業 の経 営 管理機 構 の 再編 と課題

国有 企 業 の株 式 制 転 換 に と も ない 株 式会 社 また は 有 限会 社 の 経営 管 理 機

構 が 設 立 され る。1992年5月 の有 限 責 任公 司 ・株 式 有 限公 司 規 範 意 見 お よ

び1993年12月 の公 司法(1994年7月 施 行)で は,会 社 の 「 権 力 機構 」 と し

て の株 主 総 会,経 営 機 関 と して の董 事 会(取 締 役 会),経 営 に対 す る 監 査

統 制 機 関 と して の監 事会(監 査 役 会),ま た董 事 会 か ら選 出 され る経 営 執

行 責任 者 と して の総 経 理(支 配 人,社 長)を それ ぞ れ 規定 してい る。 これ

らの機 構編 成 お よ び権 限 一義 務 関係 は西側 の 会社 法 と基 本的 に 同 じで あ る。

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これ らの 経営 管 理機 構 の現 状 に つ いて は不 明 の部 分が 多 いが,設 立 され た ほ とん ど大 部分 の株 式 公 司で は株 主総 会,董 事会 を設 立 して い る とい う371。

そ の 組織 化 にお け る問 題 点 は 主 に 二っ の面 に分 け られ る。 す なわ ち,第 一 に株 主総 会,董 事 会,監 事 会(以 上 の三 っ の 新 た な機 関 を 旧来 の機 関 との 対 比 か ら 「新 三 会 」 と い う)の 組 織 化 に おけ る 問 題 点 で あ る。 第 二 に,

「新三 会 」 と既 存 の管 理 機 関 と の関 係 調 整 に 関す る 問題 で あ る。

(1)「 新 三会 」 組織 に お け る問 題

「 新 三 会 」 の 最 も基 本 的 な機 関 で あ る株 主 総会 にっ いて は,株 主 総 会 が 規 定 どお り開 かれ ない,国 家 株 が す べ て また は ほ と ん どを 占め る場 合 に株 式 総会 は ど うで も よい と考 え る,授 業 員 株 主 の 間で 株 主 総 会 に参 加 す る も の が 少 な い,ま た 株 主 総 会が 形 式 的 な もの に な って い るな どの現 状 が 報 告 され て い る認)。例 え ば 「国 家 株 が 絶 対 支 配株 を 占 め て い る状 況 下 で は 政 府 は往 々 に して株 主 の職 権 範 囲 を超 越 して 董 事長 や 総 経理 を通 して公 司の 経 営 活 動 に関与 し,株 主総 会 は形 だ け の 実態 の な い もの に な り,多 くの 株 主

は董 事 会 に質 問 す る権 利 が ない 」 状 況が あ る とい う39)。

次 に董 事会 に っ い ては,あ る論 文 は,以 下 の 問題 点 を指 摘 して い るa°)。

す な わ ち,① 董 事 会 の設 立 と運 営 が 非 規 範 的 で大 き な恣 意 性 を もっ こ と (例え ば,董 事 会 と董 事 長 が 会 社 成 立大 会 以 前 に選 出 され る。 一部 の 企業 で は法 規定 に違 反 に して董 事 会 を 会社 の最 高 権 力機 関 と定 め て い る。 董 事 会 が 成 立 して い な い な ど)。② 董 事 会 の決 定 権 が 実 現 せ ず,形 骸 化 して い る こ と(例 え ば,董 事 会 が 推 薦 決 議 した 董 事 長や 招 聰 した 総 経理 につ い て 主 管 部 門 の人 事 処 と協 議 しそ の 承認 を得 なけ れ ば な らず,ま た公 司 の投 資 計 画 や具 体 的 経 営 目標 が 依 然 と して主 管 部 門 か ら指 示 され る場 合 も あ る)。

③ 董 事 会 の人 員 構 成 が 不 合 理 な こと(大 多 数 の株 式 企 業 の 董 事会 メ ンバ ー

は 本 業種 の,主 に 党 ・行 政 機 関幹 部 か,ま た は 当該 企 業 の 高級 管 理 職 で あ

り,董 事 会 メ ンバ ー と経 営 管理 者 は基 本 的 に 同一 で,株 主 代表 や 外 部 の非

株 主 人 士 は極 め て 少 な い)。 ④ 董 事 長 は 事 実 上委 任 制 で あ り弊 害 が 多 い こ

と(董 事 長 は 原 則 上 最 大 株 主 で あ る国 家株 主代 表 が 担 当 し,多 くは 国 家 国

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中 国国有 企業の株式制転 換

有 資産 管 理 機 構 ま た は企 業 主 管 部 門 か ら派 遣 され た 者 が兼 任 して い る。 董 事長 は 国有 資 産代 表 の身 分 で あ り,大 権 を掌 握 し,集 団 決定 を妨 げ る恐 れ が あ り,企 業 の利 益保 持 と は必 ず しも一 致 しな い)。

さ らに監 事 会 にっ い て は,大 多 数 の株 式 公 司 は監 事 会 制度 を設 立 して い な い こと41),監 事 会 の なか に普 通 従 業 員代 表 が い な い こ と,監 事 会 の運 営 が 非 規 範 的 で あ る こと⑳な どが 指 摘 され て お り,従 っ て,企 業 内 部 の 監督 統 制 メ カニ ズ ム は極 め て 弱 い。

以 上 み た よ う に,「 新 三 会 」 の機 構 は そ の 実質 的 な機 能 を 十 分 はた して い ない とい う問題 を抱 えて い る(い わ ゆ る 新 三 会 の 「 虚 設 問 題 」)。

(2)「 新 三 会」 ・ 「 老 三 会」 関 係 の 問題

次 に,「 新 三 会 」 と 旧来 の機構 との 関 係 に っ い て み てみ よ う。株 式 制 転 換 に伴 う企業 管理 機 構 の 再編 の特徴 は,旧 来 の 国 有 企 業 の機 構(党 委 員 会, 従業 員 代 表 大 会,労 働 組 合,こ の 三っ の 機 関 を 「老 三 会 」[旧 来 の 三つ の 会議 体 の意 味]と 呼 ぶ)を 維 持 した ま まで,上 述 の 「 新 三会 」 を 設 立 して い る こと に あ る。 従 って,「 新 三 会」 と 「老 三 会 」 と の あ いだ の 調 整,協 調 が 不可 欠 の課 題 と され て い る。 しか し,こ の 調 整 は極 め て困 難 な課題 で あ る と言わ な けれ ば な らな い。 なぜ な ら,旧 来 の 企 業 機 構(老 三 会)に お いて も三組 織 の間 で 統 一 的 な調 和 的 な関 係 が 必 ず しも確 立 して い なか った こ と に 加 え て,党 組 織 と 企 業 長 との 関 係 は 常 に 論 争 の 対 象 で あ った43)。

1989年6月 の 天 安 門 事 件 以 降 に は企 業 長 の 「中 心 」 機 能 と党 組 織 の政 治

「 核 心 」 機 能 と の関 係 を め ぐ って論争 が 展 開 され た 。 さ らに 「 新 三 会 」 も 前 述 の よ うな 「 虚 設 問 題 」 を抱 え てい る。 従 って,新 旧 合わ せ て6つ の機 関 の あい だ を調 整 す る こ とは 一層 複雑 に な らざ るを 得 ない か らで あ る。

「 新 三 会 」 と 「 老 三 会 」 との関 係 は実 際 極 め て複 雑 で 錯綜 してお り,明

確 な類 型 化 は 困難 で あ る。 あ る論 文 は 「 新 三 会 と老 三 会 の 関係 お よび それ

ぞれ の職 責 に 対 して 明確 な科学 的 な確 定 が 欠 け てい る。 また 旧来 の観 念 の

影響 も加 わ り,老 三 会 が 依 然 と して企業 で 決 定 と主 導 の 役割 を果 た して い

る。 新 三 会 は 有 名無 実 で あ る。 あ る企業 の新 三 会 と 老 三 会 は 同時 に存 在 し

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同 一 の役割 を果 た して い る。 また あ る企業 の新 三 会 は老 三 会 に 同化 され た 」 と し,「 老 三 会 」 の影 響 力 の大 き さ を述 べ て い る9A)。

も っと も,「 老 三 会」 の三 つ の 機関 の影 響 力 や 役割 はか な り異 な って い るよ うで あ る。 従 って,「 老 三 会 」 の党 委 員 会,従 業 員 代 表 大 会,労 働 組 合 の それ ぞ れ を 「 新 三 会」 との 関 連で 現 状 分 析す る必 要 が あ ろ う。

第一 に党 委 員 会 と 「 新 三 会」 との関 係 にっ い て。 株 式 制 企 業 に お け る党 組織 にっ いて 公 司法(第17条)は 単 に,党 規約 に基 づ いて 活 動 す る こ と を 規 定す るの み で,「 新 三 会」 との 関係 にっ いて何 も規 定 して い な い。1980 年 代 の企 業 改 革 の な か で 国有 企 業 に おけ る党 の位 置 は一 定 の 変 革 を経 て き た 。す なわ ち,1986年 に お け る旧来 の党 委 員 会 の指 導 制 か ら企 業長 責 任 制 へ の変 化 で あ る。r党 と行 政 の 分離 」 「党 と企業 と の分 離 」 の 改 革方 針 の も とに党 委 は 企 業 経 営 権(決 定 権)の 地 位 か ら後 退 した 。 党 委 は依 然 と し て政 治 指 導 を 担 う が そ の主 要 な内 容 は全 権 代表 の企 業 長 に 協 力 して 「 保 証 監 督 」 す る こ と と さ れ た 。 党 委 の地 位 の 相 対 的 な低 下 で あ る。 しか し, 1989年 の天 安 門 事 件 を契機 に して党 委 の地 位 を 回復 強化 す る動 きが 始 ま り, 企業 長 は経 営 の 「中心 」 で あ るが,党 委 は政 治 指 導 の 「 核 心 」 で あ る と位 置づ け られ た 菊)。 政 治 指 導 の 「 核 心 」 作 用 の具 体 的 内容 は 必 ず しも明確 で は な いが,人 事,組 織,思 想 面 の指 導 を 主 た る 内容 と して い た と考 え られ る。 そ の後,党 委 と 経 営 の 一 体化 が 提 唱 され(「 党政 一 体 化 」),党 書 記 と 工 場 長 との 兼 任 や 党 委 書 記 が 副 工場 長 に就 任 し,工 場 長 が党 委 副 書 記 に就 任 す る形 の 交 差 配 置が 図 られ て い る。

こ う した 展 開 を踏 ま え る と,党 委 と経営 機 関 と して の董 事 会 との 関係 が

重 要 に な る。 政 策 論 と して は党 の政 治的 核 心 作用 を十 分 発 揮 させ るた め に,

党 委 リー ダー が 株 式 総 会 で の 選 出 を通 して董 事 会 や 監 事会 に参 加 すべ き こ

とが 主 張 され て い る妬)。と ころで,前 述 の よ う に 「 老 三 会 」 の影 響 力が 強

い場 合 は,党 委 が 董 事 会 に代 わ って経営 事 項 を決 定 し,監 事 会 に 代わ って

監 督 を行 うよ う な事 態,ま た 董事 長 と総 経 理 の 選 出 に あた り企 業 党委 は政

府 行 政 当局 と と も に実 質 的 な人事 権 を 掌握 してい る事態 が あ った と推 定 さ

(19)

中 国国有企業 の株 式制 転換

れ る。恐 ら くこ う した 事態 を 背 景 に して で あ ろ う,あ る論 文 は 「党 委 は董 事 会 に 代わ り政 策 決 定 を 行 う ことが で きず,監 事 会 に代 わ って 監 督 を 行 う こ とが で き な い。 党 は 党 員 を 通 して その 役割 を発 揮 で き るだ け で あ る」 ま た 「董 事 長,総 経 理 の 人選 に っ い て党 委 と政 府 は推 薦 す る こ とが で き るだ けで,そ の受 け入 れ の 決 定 は 董 事 会 の権 限 に よ るべ き」 こ とを 強 調 して い るの で あ る47)。

さ て,董 事 会で 選 出 され た 総 経理(工 場 長)と 党 委 との 関 係 に っ いて は どの よ うな もの で あ ろ うか 。 これ にっ い て は興 味深 い調 査結 果 が 出 てい る。

表6は 最 近 の 企業 指 導 制 度 の 実 態 を示 した もの で あ る。

これ に よれ ば株 式制 企 業 の 場 合,工 場 長 責 任制 と 党委 の保 証 監 督 を結 び 付 け た 形 態 が 最 も 多 く(49%),次 に工 場 長 の 指 揮 「中心 」機 能 と 党 委 の 指 導 「核 心 」 作用 を 結 び 付 け た 形 態 が 多 い(23%)。 工 場 長 と党 委 書 記 が 兼 任 す る形 の 一 元 化 指 導 も 少 な くな い(18%)。 改 革 以前 の指 導 形 態 で あ

る党 委指 導 下 の 工 場 長責 任 制 は極 め て 少 な く な って い る(5%)。

いず れ にせ よ,こ の 実態 状 況 は,株 式制 企 業 に お い て も既 存 の 国有 企 業 の 指 導 制 度 が 多 くの 場 合適 用 され てい るこ と,ま た党 委 が経 営 に対 して依 然

と して 重要 な役 割 を果 た して い る こ とを示 して い る 。

第 二 に,従 業 員 代 表 大会 ・労 働 組 合 と 「 新 三 会」 との関 係 にっ い て。 従 業 員 代表 大 会 は元 来 社 会主 義 企業 に お け る 「民主管 理 」原 則 に 基づ く職 員 ・

表6.企 業指 導 制 度 状況 (%)

工場長指揮中心 党委指導核心

党 委 指 導 下 工場 長責任制

工場長責任制 党委保証監督

党 ・ 行 政

一 元 化 指 導 そ の 他

全 体 状 況 22.8 2.6 51.9 21.0 2.1

国 有 企 業 22.6 2.1 52.0 21.2 1.9

集団所 有企業 16.3 7.0 46.5 23.3 4.7

株 式 制 企 業 23.1 5.1 48.? 18.0 2.6

合 弁 企 業 37.5 4.2 33.3 25.0 o.o

そ の 他

II/

11.1 33.3 0.0 11.1

備考:サ ンプ ル数1055企 業 (『 管 理世 界 』1994年6期,145頁)

(20)

労 働 者 の 経 営管 理 参加 の組 織 で あ った(一 時 は企 業 にお け る最 高決 定 機 関 と して主 張 され た 時 もあ った)。 また 労 働 組 合 は 企業 従 業 員 の利 益 保 護 と 経 営 に た い す る監 督 の ため の 組織 で あ る。 旧来 の 国 有 企業 に お い ては,両 者 は 密 接 不 可分 の 関係 に あ る。す なわ ち,「 民 主 管 理 」原 則 に よ る従 業 員 の 経 営 管 理 参加 と い う性 格 にお い て共 通 して いた こ と,組 織 的 には 従 業 員 代 表 大 会 の 日常 的 活 動 を労 働 組 合委 員 会 が 担 当 して い た こ と,ど ち らも 党 委 の 指 導 下 に あ る 従業 員 の 大 衆 的組 織 で あ る こ とな どで あ る。 この既 存 の 従 業 員 組 織 は株 式 制 企業 にお い て如 何 な る位 置 を 占め る のか 。 公 司法 は 第 16条 で,「 国有 独 資 企 業 お よ び二 っ 以 上 の 国 有 企業 ま たは そ の 他 の二 つ 以 上 の 国 有 投 資主 体 が投 資 して設 立 した 有 限 責 任 公 司 は,従 業 員代 表 大 会 お よ び そ の他 の形 式 を通 じて 民主 的 管 理 を行 う」 と規 定 して い る。

従 業 員 代 表 の董 事 会,監 事 会へ の参 加 にっ いて 公 司 法 は次 の よ うに規 定 し て い る(表7)。

表7株 式制企業での従業 員の経 営参加についての規定

董 事 会 監 事 会

有 限 責 任 公 司 国 有 独 資 公 司 株 式 有 限 公 司

従業員代表参加*

同上 規定 な し

適正比率の代表参加 規定な し 適正比率の代表参加 備 考:董 事 会,監 事 会 に参 加す る 従業 員 代 表 は いず れ の場 合 も

公 司従業 員 か ら選 出 され る。

*は 二っ 以 上 の 国有 企 業 ま た は 国有 投資 主 体 の 投 資 で設 立 した有 限責 任公 司の場 合

以 上 の規 定 か ら分か るよ うに,従 業 員 代 表 の董 事 会 や 監事 会 へ の 参 加 を 通 して 従 業 員代 表 大 会 は 董 事会 お よ び 監 事 会 と直 接 関 連 して いた 。

しか し,そ の 実 態 は規 定 とは多 少 と も 異 な り,株 式 制 企業 にお け る 従 業 員代 表 大 会 の役 割 は実 際 に は形 式 的 な も の にす ぎ なか った と いわ れ る 。 例 え ば,あ る論 文 は次 の よ うに述 べ て い る。

「民 主管 理 と従 業 員 代 表 大会 は基 本 管理 制 度 と して わが 国で は まさ に 日

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中国国有企業 の株 式制転換

に 日に薄 くな る趨 勢 にあ る。 この趨 勢 の 始 ま りは,工 場 長 責 任 制 の 開始 に あ り,経 営 請 負 制 の 実 施 以 来 そ の傾 向 は い っそ う 甚 だ しくな った 。 株 式 制 の試 行 と現 代 的 企 業 制 度 の 実施 以 後,従 業 員代 表 大 会 の 基 本 的職 能 は す で に株 主 総 会 と監 事 会 に取 って代 わ られ,従 業 員 代 表 大 会 と民 主管 理 は 従 業 員 の参 加 制 度 と 同様 に,実 際上 は 有 名 無実 と な った 」娼〉 。

こ う した傾 向 は 全従 業 員 の 内部持 ち株 制 の 企 業 の 場 合 には 特 にみ られ, 全 従 業 員 が株 主で あ る ため に,従 業 員代 表 大 会 は株 主 会 と重 な り,結 果 と

して代 表 大 会 の機 能 が株 主 会 に合併 吸 収 され,例 え ば株 主 会 が 従 業 員代 表 大 会 の開 催 決 定 を 行 って い る とい う49)。また 一 部 の株 式 制 企 業 に お い て は 従業 員 代 表 大 会 の 権 限 が,事 実 上 株 主総 会,董 事 会,監 事 会 に 分割 され る 状 況 も生 じた とい う5°)。

以 上 の状 況 にみ られ る よ うに,従 業 員代 表 大 会 や 労 働 組 合 の役 割 は む し ろ 「 新 三 会 」 の 設 立 の な か で 相対 的 に 弱 ま った と い え よ う。

株 式制 へ の転 換 で 企 業 従 業 員 の経 営 参加(董 事 会 や 監 事 会へ の参 加)は 進 ん だ ので あ ろ うか 。 上 記 の よ う に制度 規 定 の うえ で は 従 業 員 の経 営 参 加 のルー トが 開か れ て い る。実 際 前述 のよ うに 企業 の経 営 お よび 党委 の リー ダー は 多 くの場 合 董 事 会 や 監 事 会 に参加 した。 しか し,リ ー ダー 以外 の 一 般 の従業 員 ・労 働 者 は どの 程 度経 営 参加 で きた の で あ ろ うか 。 い ろ い ろな 状 況 報 道 を総 合 す る と,否 定 的 に判 断せ ざる をえ な い 。

第 一 に,新 設 の株 式 制 企 業 の 董事 会 と総経 理 が 基 本 的 に株 主 利 益 お よび 法 人資 産 の価 値 増 大 に責 任 を追 い,従 って そ の方 面 に主 要 な関 心 を 向 けて い る こ とで あ るS1)

第二 に,そ の こと の結 果 と して 企業 従 業 員利 益 は 相 対 的 に軽 視 され る。

企 業従 業 員 の 関心 も株 主 利 益 と従業 員 利 益 の ギ ャ ッ プ に注 目す る こと に な

る 。例 え ば,① 株 主 大会 が 企 業 の最 高権 力機 構 と さ れ た こ とは 企 業 従業 員

の 「 主 人 公 地位 」 に 対す る挑 戦 と受 け とめ られ,一 部 の 従 業 員 に喪 失感 を

生 んで い る こ と,② 株 式 に応 じた 配 当 と労働 に応 じた 報 酬 の 二 っ の 分配 制

度 の な か で後 者 よ り も前 者 が 優 遇 され(高 配 当),労 働 成 果 が 資 本側 に 占

(22)

有 され ると い う搾 取 感 を生 ん で い る こと,③ 従 業 員代 表 大 会 ・労 働 組 合 の 形 式化 と機 能 弱 化 の なか で株 主 と従 業 員 と の相 互 結 合,協 同合 作 の機 構 が 欠 け,双 方 の関 係 が 疎遠 に な って い る こ と,が 報 告 され てい る52}。

第三 に,株 主 利 益 と従業 員利 益 を結 合す る こ と,っ ま り従 業 員持 ち株 制 を採 用 す る こ と に よ り前述 の ギ ャ ップ は解 消で き るか も しれ な い。 事 実, 政 策 論 と して従 業 員 と株 主 の物 質 的利 益 を 同一 化 す る メ カニ ズ ム を構 築 す る こ と,具 体 的 に は 企業 内部 従 業 員 の持 ち株 制 を実 施 改 善す る こ とが 多 く の論 者 に よ り提 唱 され て い る。 内 部持 ち株 制 が 従 業 員 の公 司 企業 へ の 一 体 感,凝 集 性 を強 め る うえで 役 立 っ こ と も主 張 され て い る。 しか し,従 業 員 の実 際 の 反 応 は か な り異 な って い る。 っ ま り,企 業 内 従業 員 の関 心 は 所 有 株 式 資 産 の 維 持 増 大 よ りも,株 式 の売 却 に よ る投 機 的利 益 の獲 得 に 向 け ら れ て い る。 例 え ば,あ る報 告 に よれ ば,内 部 持 ち株 従 業 員 の なか で 真 に 自 ら所 有 して い るの は1‑2割 にす ぎず,8‑9割 は外 部 社 会 に売 却 した と い う53)。 っ ま り,従 業 員株 主 は配 当を 期 待す る安 定 的株 主 と してで は な く て,値 上 が り益 を期 待 す る投機 的株 主 と して 出現 して い るの で あ る。 こ う した 点 か らみ れ ば,前 述 の よ う に従 業 員株 主が 株 主 総 会 にあ ま り関 心 を向 け ず,出 席 しな い のは 当 然 の成 りゆ きか も しれ な い。

3)展 望

以上 み た よ う に 株 式 制 転 換 に伴 う経 営 管 理 機 構 の 再 編 は 多 くの 問 題 を抱 え て い る。 これ か らの 株 式制 企 業 の機 構 再 編 の 方 向 と して第 一 に,株 主主 権 原 則 を踏 ま え て 「新 三 会」 の機 構 を まず 整 備,強 化,規 範 化 す る こ と,

そ う して法 人 財 産 価 値 の増 大 に利害 関 心 と責 任 を も っ経 営 者 層 を 育成 強 化

す る こ と,第 二 に,株 主 ・経 営 者 と従 業 員 の 共通 利 益基 盤 の形 成 と相 互の

チ ェ ック ・ア ン ド ・バ ラ ンスの メ カニ ズ ムを 整 備 規範 化 す る ことが 求 め ら

れ て い る。 従 業 員 持 ち株 制 は共 通利 益 基 盤 の 形成 に 一定 の意 味 を も ち,従

業 員 代 表 大 会 が 選 出 す る従 業 員 代表 が 董 事 会 や 監事 会 に参 加 す る こ と は一

定 の チ ェ ック機 能 を 発揮 す る うえで 有 効 な 方 法 で あ る と考 え られ る。

(23)

中 国国有企業 の株式制転換

また 企業 党 委 は 当面 は依 然 と して強 力 な指 導 的 役 割 を果 た してい る もの の,株 式制 機 構(「 新 三会 」)の 発展 につ れ て党 の 従 来 の存 在理 由は 希 薄 化 して い き長期 的 に は消 滅 して い くで あ ろ う。 企 業 党 の存 在 理 由 はそ も そ も 党=国 家 行政 の政 策 方針 の実 施 を指 導保 証 す る こ とで あ った ので あ り,従 っ て,企 業 が 国家 行 政 の枠 組 み か ら脱 して株 式 財 産 権 の枠 組 み の も と に再 編 され れ ば,企 業党 の役 割 は 大 き く転 換 せ ざ る をえ な い と考 え られ る。 そ の 場 合,企 業 党 は① 企業 利 潤 と法 人 財産 の増 大 関 心 に基 づ く専 門経 営 者協 力 者 と な る のか(経 営 者 との 一 体 化 。 この傾 向 は次 第 に 目だっ よ う に な って い る),そ れ と も② 企 業 従 業 員 ・労 働 者 の利 益保 護 の 代弁 者 の役 割 を は た す か(勤 労 者 階 級 の 政 党 と して の 再 確 立),ま た は ③ 国 家 の指 導 政 党 と し て国 家 株 主 の代 弁 者 の役 割 をは た す の か(株 主 政 党 へ の転 換,こ れ は 党 の 社 会 主 義政 党 の看 板 と抵 触 す る)。

いず れ の 可能 性 も否 定 で き な いが,経 済 非 効率 な 国 有 企業 か らの 経 済 効 率 的 な株 式制 企業 へ の 転換 が 党 の優 先 的 政 策課 題 で あ る とす れ ば,① の 方

向が 最 も可 能性 が 高 い よ うに思 わ れ る。

1)1980年 代 以 来 の 企 業 経 営 自主 権 の 拡 大 に っ い て は,拙 稿 「国 有 企 業 の 経 営 自主 権 拡 大 と 課 題 」 『愛 知 大 学 経 営 論 集 』 第129号(1993年) 31‑61頁 を 参 照 。

2)国 有 企 業 の 経 営 請 負 制 の 動 向 に っ い て は,拙 稿 「中 国 国 有 企 業 の 経 営 請 負 制 の 動 向 」 『愛 知 大 学 国 際 問 題 研 究 所 紀 要 』98号(1993年), 25‑54頁 を 参 照 。

3)国 有 企 業 の 「税 利 分 流 」 の 試 み に っ い て は,拙 稿 「中 国 国 有 企 業 の 利 潤 分 配 政 策 一 「税 利 分 流 」 の 試 行 一 」 『愛 知 経 営 論 集 』 第128号

(1993年)1‑33頁 を 参 照 。

4)以 下 の 時 期 区 分 は 曹 鳳 岐 『中 国 企 業 股 分 制 的 理 論 與 実 践 』 企 業 管 理

出版 社,1993年,20‑26頁 を 参 照 。1980年 代 以 降 の 株 式 制 改 革 の 展 開

に つ い て は,田 中 信 行 「中 国 に お け る株 式 制 度 の 実 験 課 程 」 『中 国 研

究 月 報 』1994年5月 号,1‑22頁 が 詳 しい 検 討 を 加 え て い る 。

(24)

5)「 社 会 主 義 市 場 経 済 体 制 を 確 立 す る う え で の 若 干 の 問 題 に つ い て の 中 国 共 産 党 中 央 委 員 会 の 決 定 」 『北 京 週 報 』 第31巻47号(1993年11月 23日)別 冊 付 録,4‑5頁 。 国 家 体 改 委 生 産 司 編 『如 何 制 定 現 代 企 業 制 度 試 点 方 案 』 改 革 出版 社,1995年,4‑7頁 。

6)「 近 代 的 企 業 制 度 試 行 作 業 ス ター ト」 『中 国 通 信 』1995年2月6日, 10‑11頁 。 前 掲 『如 何 制 定 現 代 企 業 制 度 試 点 方 案 』25,32頁 。 7)「 企 業 改 革 を 深 化 させ,近 代 的 企 業 制 度 作 り の 実 験 に 取 り組 も う 」

『中 国通 信 』1995年1月10日,8‑9頁 。 呉 家 駿 「論 企 業 制 度 的 改 革 」

『経 済 與 管 理 研 究 』1994年2期,2頁 。 楊 啓 先 「国 有 企 業 改 革 的 形 成 與 発 展 趨 勢 」 『中 国 工 業 企 業 研 究 』1994年 第12期,14‑15頁 。 8)中 国 企 業 家 調 査 系 統 企 業 間 巻 調 査 報 告 「対 中 国 股 分 制 企 業 発 展 的 調

査 與 分 析 」 『管 理 世 界 』1994年 第4期,142頁 。 9)工 業 部 門 に お け る 赤 字 国 有 企 業 動 向 は 下 表 の と お り。

(%,億 元)

,..

.;.

1990 1991 1992 1993

赤字企 業比率

赤 字 額

10.9 81.9

16.0 180.2

27.6 348.8

25.8 367.0

23.3 369.3

28.6 452.6 (『 中 国 企業 管 理 年鑑1994』 企業 管 理 出版 社,655,656頁)。

10)財 産権(「 産権 」)の 概 念は1987年 以 後提起 され てい るが,様 々な議 論 解釈 が あ り,依 然 と して明確 で は ない。株 式制 改 革は財 産権 を 明確 にす る こ とをね らい と して いるが,所 有 権 と経営 権 の分離 論か ら法 人 経 営権 の 確立 と して把 握す る立場,所 有 権 と経営 権の 分離 では な く法 人所有権 の確 立 と して把握 す る立場 とに分か れ る。前 者 は法人 財産権 と法人所 有権 とを区別 す る もので あ り,後 者 は法 人財 産権 と法 人所 有 権 を一 体 と してみ るも の(「 法 人財 産所 有権 」 の主 張)で あ る。 また 後 者の 見 解 も国家 株 の株式 資本 へ の転換 を通 じて会社 に法 人所 有権が 認 め られ るとい う見解 と終 局所 有権 が国家 に あ り同時 に会社 に も法 人 所有 権が 認め られ るとい う見解(二 重所有 権 論)と に 分かれ る(國 谷 知 史 「 国 有企 業 と株式 制度 」 『中 国研 究 月報』1994年5月 号,28頁 を参 照)。 他 方,財 産権 は 帰属 概 念で は な く関係 概 念(所 有 権主 体 の あ い だ の権利 ・責 任 ・利益 関係)で あ る故に財 産権 を帰 属概 念で あ る所有 権 と同 じもの と 見る こと に対 す る批判 も あ る(李 仕 明 「産権理 論 和国 有産権 制 度 改 革」 『 経 済研究 』1995年 第2期,41‑44頁)。

11)劉 鴻 儒 論文 『 人 民 日報』1992年6月23日 。

12)中 国企 業家 調査 系統 企業家 問巻 調査 報告 「 対 中国 股分制 企業 発展 的

(25)

中国 国有企業の株式制転換

調 査 與 分 析 」 『管 理 世 界 』1994年 第4期,143頁 。

13)高 尚 全 「深 化 国 有 産 権 制 度 改 革 要 解 決 的 三 個 現 実 問 題 」 『改 革 』 1995年 第1期,15頁 。

14)『 管 理 世 界 』1994年 第4期,150頁 。

15)「 建 立 現 代 企 業 制 度 研 討 会 紀 要 」 『中 国 工 業 企 業 研 究 』1994年 第8 期,10頁 。

16)幌 吉 祥 「論 当 前 国 有 資 産 管 理 的 十 大 関 係 」 『改 革 』1995年 第2期, 90頁 。 黄 速 建 「関 於 企 業 産 権 制 度 改 革 的 若 干 問 題 」 『中 国 工 業 経 済 』 1995年 第2期,18頁 。

17)陳 清 泰 「正 確 処 理 転 換 機 制 與 建 立 現 代 企 業 制 度 的 関 係 」 『中 国 工 業 経 済 研 究 』1994年 第1期,8頁 は,こ の 主 張 を 批 判 的 な 立 場 か ら紹 介

して い る。

18)陳 清 泰,前 掲 論 文,8頁 。 黄 速 建,前 掲 論 文,17‑18頁 。 同 「論 企 業 股 分 制 改 造 中 的 産 権 界 定 問 題 『改 革 』1993年 第2,69頁 。 櫨 中 原

「関 於 確 立 法 人 産 権 的 幾 個 問 題 」 『求 是 』1994年 第16期,29頁 。 前 掲

「建 立 現 代 企 業 制 度 研 討 会 紀 要 」 『中 国 工 業 企 業 研 究 』1994年 第8期, 10頁 。

19)高 寒 松 「建 立 現 代 企 業 制 度 的 再 探 索 」 『経 済 管 理 』1994年 第5期, 18頁 。

20)朱 志 剛 ・侃 吉 祥 「国 有 企 業 産 権 問 題 研 究 」 『経 済 研 究 』1994年 第10 期,45頁 。 呉 敬 連 「建 立 現 代 企 業 制 度 応 当 解 決 的 幾 個 問 題 」 『中 国 工 業 経 済 研 究 』1994年 第4期,7頁 。

21)王 保 喜 「国 有 資 産 是 急 様 流 失 的 」 『国 有 工 業 経 済 研 究 』1994年 第5 期,24頁 。 奨 海 山 「企 業 国 有 資 産 流 出 不 容 忽 視 」 『経 済 管 理 』1994年 第6期,26頁 。 「関 於 国 有 企 業 産 権 交 易 情 況 的 調 査 報 告 」 『改 革 』 1994年 第5期,62‑63頁 。 魏 海 田 「公 股 的 流 通 問 題 及 其 他 」 『改 革 』 1994年 第5期,73‑75頁 。 『中 国 通 信 』1995年2月14日,2頁 。 22)王 保 喜,前 掲 論 文,24頁 。

23)丁 蘭 ・劉 麗 平 「関 於 制 定 《国 有 企 業 財 産 監 督 管 理 条 例 》 的 幾 個 問 題 」

『中 国 工 業 経 済 研 究 』1994年 第3期,43頁 。

24)奨 海 山,前 掲 論 文 『経 済 管 理 』1994年 第6期,26頁 。 25)『 中 国 通 信 』1995年2月14日,1頁 。

26)中 国 社 会 科 学 院 経 済 研 究 所 の 朱 紹 文 教 授 か ら の ヒ ア リ ン グ(1993年 8月31日)。

27)呉 敬 漣 「1994年 改 革 実 績 評 価 與1995年 改 革 重 点 設 想 」 『改 革 』1994

年 第6期,7頁 。

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