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A Study on the Field Survey and Countermeasures of Combined Degradation of Concrete Structures Exposed to Various

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Academic year: 2021

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各種環境条件に曝されたコンクリート構造物の複合 劣化の実態調査とその対策に関する研究

著者 麻田 正弘

著者別表示 Asada Masahiro

雑誌名 博士論文要旨Abstract

学位授与番号 13301甲第4328号

学位名 博士(工学)

学位授与年月日 2015‑09‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/43801

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

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学 位 論 文 要 旨

各種環境条件に曝されたコンクリート構造物の 複合劣化の実態調査とその対策に関する研究

A Study on the Field Survey and Countermeasures of Combined Degradation of Concrete Structures Exposed to Various

Environmental Conditions

金沢大学大学院自然科学研究科 環境科学専攻 環境創成講座

学 籍 番 号

1223142014

氏 名 麻 田 正 弘 主任指導教員名 鳥 居 和 之

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Abstract

This study is a field survey on actual situation of the composite deterioration of concrete structures in the Hokuriku district. In this district, the concrete structures are exposed to environmental conditions such as the alkali-silica reaction (ASR) by reactive aggregate, the chloride induced deterioration due to airborne salt of winter, and the frost damage in the mountainous. This study was carried out to test by concrete core taken from actual structures, the long-term monitoring, and to evaluate the measures.

The road tunnels, to survey the actual situation of deterioration by ASR, showed that the composite deterioration have occurred the frost damage in the mountainous.

The concrete bridges, as measures of the chloride induced deterioration, revealed cathodic protection method of corrosion protection state, and its challenges. Moreover, the application of cathodic protection method is verified with the actual bridge for prestressed concrete bridges composite deterioration caused by ASR, to confirm effectiveness.

The water conservancy constructions, showed the characteristics of the deterioration due to moisture environment and ASR. In actual concrete structure, from the test results by the concrete core taken from a drying part, an underwater part and a dry-wet part, it is shown a basic diagnosis of ASR due to differences in moisture environments.

Based on these research results, in concrete structures exposed to various environmental conditions, it showed the maintenance method of the composite deterioration problems with ASR and chloride induced deterioration and frost damage.

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1.研究の背景と目的

北陸地方におけるコンクリート構造物は,各種の使用・環境条件に曝されており,反応 性骨材を使用したことによるASRの問題,冬期の季節風による飛来塩分や凍結防止剤散布 による塩害の問題,そして,山間部における凍害の問題などにより,複数の劣化現象が組 み合わさった複合劣化を生じている場合がある。コンクリート標準示方書・維持管理編で は,単独劣化に対する調査,診断,対策などが示されているが,複合劣化を生じている場 合,単独劣化で検討し,診断,対策を行うのみでは不十分であり,かえって劣化を促進さ せることもある。このように,北陸地方におけるコンクリート構造物は,各種の使用・環 境条件に曝された結果,複数の劣化現象が組み合わさった複合劣化を生じ,単独劣化に較 べ構造物が早期に劣化する場合があり,これがこの地域の大きな課題となっている。

本研究は北陸地方において,各種環境条件に曝された既設コンクリート構造物のうち,

道路トンネル,コンクリート橋,水利構造物を対象とし,ASR や塩害および凍害など,複 数の劣化機構に着目した実態調査を実施し,そのうえで実構造物からコンクリートコアを 採取し,各種試験を行うことで,コンクリート構造物の早期劣化機構の検証とその対策に 関する評価を行うことを主たる研究目的とした。

2ASRと凍害環境下における道路トンネルの実態調査とその評価

道路トンネルにおいてASRによる劣化に着目した外観目視調査を実施し,覆工コンクリ ートや坑門のASRによる劣化の特徴,対策などの実態を明らかにした。また,ASRと凍害 の複合劣化が生じた覆工コンクリートのはく落現象のメカニズムを推察するとともに,北 陸地方での覆工コンクリートの高品質化と高耐久化を目指したフライアッシュを用いた中 流動覆工コンクリートの試験練りを実施した。

ASRが発生したトンネルの実態を把握するために実施した,石川県内の道路トンネル120 箇所おける外観目視調査では,ASRの発生割合は約 3割であった。発生位置は石川県の代 表的な反応性骨材である安山岩の岩体とほぼ重なり合うように分布していた。トンネルの 建設年とASRの発生状況では,1970年~1979年の10年間,および1980年~1989年の10 年間に建設されたトンネルで,ASRが発生していた割合は61%および75%であり,その他 の建設年代に比べて大きな割合であった。一方,1990年を境にしてASRが発生したトンネ ルの割合は減少していた。これは,1989年に制定されたJIS A 5308ASR抑制対策が効果 を上げていたこと,および1989年に道路トンネル技術基準が改訂され,NATMが標準工法 になり,覆工コンクリート背面への防水シートの設置が規格化されたことなどが要因であ った。

在来工法でASRが発生したトンネルの劣化の特徴として,覆工コンクリート表面に見ら れた顕著な亀甲状のひび割れは,坑口から限定された範囲に留まっている場合が多かった。

これは,覆工コンクリートにおける環境条件と発生断面力の 2 つの要因が関係していると 推察された。環境条件に関して,坑口付近は降雨や日射の影響を直接受けるが,トンネル

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坑奥部は相対湿度が低く,温度変化も小さいため,ASR が抑制される環境にあった。発生 断面力に関して,アーチ状の覆工コンクリートには主に圧縮力が作用し,ASR による表面 ひび割れは発生しにくいと考えられたが,坑口付近では土被りが小さいため圧縮力が小さ くなり,表面ひび割れが発生できる状況であったと推察された。一方,坑奥部でASRが進 行した場合,土被りが大きく圧縮力が卓越するため,ひび割れは表面に現れにくく,内部 で方向性のあるひび割れが進展することが推察された。坑門のASRによる劣化は亀甲状の ひび割れが特徴的であった。

在来工法で使用された骨材と同じ産地の骨材について,アルカリシリカ反応性を調べた 結果,化学法の判定結果より能登産の安山岩砕石はすべて潜在的有害(ASTM C 289)の領域 にプロットされ,ペシマム混合率を有することが確認された。また,手取川産の川砂利は 化学法の判定ライン付近に位置していたが,モルタルバー法では無害でないと判定された。

在来工法における覆工コンクリート中のアルカリ量は約 2.2kg/m3程度と推定され,現行の

JIS A 5308ASR抑制対策のアルカリ総量規制値3kg/m3を下回っていたが,能登産の安山

岩砕石のように,化学法による Sc 値が大きい値(ASTM C 289 による潜在的有害の範囲

Sc>100mmol/lが目安)を示す反応性の高い鉱物を含有しているものは,実構造物でASR

発生していた。

能登産の安山岩砕石を使用したNATMの一部の覆工コンクリートでASRによる劣化が確 認された。これは能登産の安山岩砕石からは多量のアルカリがコンクリート中に溶出する ことやペシマム混合率の問題があることなど,現行のASR抑制対策に限界があることを示 唆していた。また,NATM の吹付けコンクリートで化学法により無害と判定された骨材に おいて,急結剤による高濃度のアルカリ環境により,珪質頁岩よる遅延膨張性のASRが生 じた事例があった。

ASRにより劣化した覆工コンクリートの対策では,コンクリートの巻厚不足やASRによ る劣化でコンクリート強度が低下し,覆工コンクリートが不安定化する恐れがある場合,

プレキャストコンクリートライニング版による内巻き補強が有利となる場合があった。こ の工法では,道路面から側壁コンクリートを立ち上げ,アーチ状のプレキャストコンクリ ートライニング版の下端を直接支持させることにより,あと施工アンカーが不要となるも のである。一方,鋼板接着工は,鋼板内部に水分が溜まりASRを促進させる場合があるこ と,ASR で劣化したコンクリートへのあと施工アンカーに長期的な引抜き耐力が得られる かどうか,また,鋼板を接着したコンクリート表面の経過観察ができないこと,などの問 題点があり,適用する場合には十分に留意する必要があった。ASR により劣化した坑門の 対策として,水の供給を絶つために実施した表面被覆工や防水工は再劣化する場合が多く,

その後の経過観察も困難になることから実施すべきでなかった。コンクリートのASRによ る劣化が著しい場合には,打換え工の選択が有利となる場合があった。ASR が発生したト ンネルの対策では,対策によりASRを促進させないこと,コンクリートの膨張が継続する か適切に判断すること,などの留意が必要であった。

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山間部に位置する道路トンネルで,ASR と凍害による複合劣化が原因で,覆工コンクリ ートからコンクリート片がはく落した。このトンネルではASRの劣化は覆工表面には現れ ず内部で進行していた。この現象は覆工コンクリート内の湿度分布が影響しており,覆工 背面側では地山からの湧水の影響を受け湿度が高く,覆工表面側はトンネル内の交通風の 影響でしばしば乾燥状態になり,湿度は背面側から表面側に向けて低くなっていたと考え られた。はく落メカニズムは,ASR により生じていた覆工コンクリート内部の膨張力など が作用していた状態で,冬期,微細なひび割れ内の浸透水の凍結による膨張力が加わり,

ASR による微細なひび割れをはく離面として,はく落が生じた可能性が大きかった。道路 トンネルを維持管理していくうえで,覆工コンクリートの材料劣化に着目し,コンクリー トの耐久性の観点からも,トンネルの耐用年数を検討していく必要があった。

覆工コンクリートの施工性の改善や品質の向上を目的として,スランプフローが 35~

50cm程度の中流動覆工コンクリートを適用する事例が増えており,北陸電力七尾大田火力 発電所で生産された分級フライアッシュを用いて,中流動覆工コンクリートの試験練りを 実施した。コンクリートの撹拌状況やスランプフロー状況を観察したところ,材料分離抵 抗性や適度な流動性が確保され,北陸地方におけるフライアッシュを用いた中流動覆工コ ンクリートの実用化は可能であり,覆工コンクリートの高品質化と高耐久化の実現につな がるものと考えられた。

3.塩害環境下におけるASRで劣化したコンクリート橋への電気防食工法の適用と検証 北陸地方において塩害により劣化したコンクリート橋へ電気防食工法を適用した橋梁の 防食状態と課題を示すとともに,塩害とASRにより複合劣化したPC橋に対して,通電後,

直流電流がASRの劣化に影響を与えたかについて実橋レベルで明らかにした。さらに,合 理的な電気防食工法の取り組みを実橋への適用事例で検証した。

北陸地方で電気防食工法を適用したコンクリート橋は,2015年時点で供用年数が40年程 のものが多く,試験的に適用された橋梁を除き,電気防食工法は10年程度未満の実績であ った。初回の塩害補修が再劣化し,鉄筋の断面欠損やPC鋼材の破断が生じている場合など,

加速期後期に相当する状態での適用が多かった。電気防食方式の選定には,北陸地方特有 の冬期の波浪や飛砂の影響など,架橋地点での環境条件に配慮が必要であった。防食電流 密度は,施工から1~15年で0.07~7.6mA/m2の比較的小さな値を示していた。これは対象 PC橋で,鋼材量が比較的少ないためであった。

良好な防食状態を示す100mV以上の復極量は概ね得られていたが,一部の橋梁で得られ ていなかった。その原因は,仕上げ被覆材など陽極の副材の経年劣化や照合電極の不具合 によるものであった。陽極の副材の劣化として,チタンメッシュ方式では被覆モルタルの ひび割れや浮き,チタングリッド方式では充填モルタルの浮き,亜鉛シート方式では保護 板の間詰め樹脂のはく離などが生じていた。面状陽極のチタン溶射方式では,海風による 砂の巻き上げによりチタン溶射皮膜に劣化が生じていた。

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塩害で劣化し,耐荷力が低下したコンクリート橋に対して,どの程度まで耐荷力を回復 させるか,あるいは耐荷力を回復させる必要があるのかについて,実橋の耐荷性能を適切 に判断する必要があった。

初回の補修が再劣化し,電気防食工法が適用されるまでの期間は,せいぜい10年程度で あったことから,電気防食工法の適用は,再劣化による過度な補修や補強を伴わない段階 で実施するのが適切であった。

石川県能登半島において,塩害と ASRによる複合劣化を受けたPC 橋に電気防食工法を 適用した 4 橋では,遠隔監視システムを用いたモニタリングを実施しており,電源電圧,

防食電流量,鋼材のインスタントオフ電位,さらに防食効果を確認するための復極量を自 動計測しており,適切な維持管理がなされていた。この4橋でASRが原因で発生したひび 割れを対象に,通電後のモニタリングを行った。モニタリング方法はコンタクトゲージま たは亀裂変位計を用い,ひび割れ幅の経時変化の測定を行った。コンタクトゲージによる 測定期間が7.6年となり,4橋のうち最も長い期間の測定結果では,ASRによるひび割れ幅 に大きな変化や増加傾向は認められず,通電によるASRの促進は確認されなかった。一方,

非電気防食範囲にある測定点では7.6年間でひび割れ幅が拡大傾向を示しており,鋼材腐食 による影響が考えられた。これより,ASR の促進よりも塩害による鋼材腐食を抑制するこ との方が,構造物の維持管理の観点から優先度が高いと考えられた。このPC橋では,コン タクトゲージよる測定開始から3.9年後に,亀裂変位計を用いた測定を併用しており,測定 期間は3.7年であった。非電気防食範囲では,コンタクトゲージによる測定と同様に,鋼材 腐食による影響と考えられるひび割れ幅の拡大傾向が認められた。一方で,電気防食範囲 のひび割れ幅も拡大傾向が認められ,ASR による膨張の影響が考えられた。しかし,ASR による膨張の要因として,通電によりASRを促進させたのか,あるいは潜在的にあったASR の膨張によるものであったかの判断は,現状では認識できず,測定の継続が必要であると 考えられた。

コンタクトゲージによる測定期間が4.4年となり測定期間が2番目に長かったPC橋では,

3つの測定点のうち2つの測定点で,一時的にひび割れ幅の増加がみられたが,いずれも短 期間に比較的大きな0.2mm以上のひび割れ幅の拡大が生じていた。それ以外の測定期間で は,ひび割れ幅はほぼ一定であり,通電によるASRの促進は認められなかった。測定値の 一時的な増加は,電気防食工法の施工の前処理となる断面修復工が影響を及ぼしていた可 能性が考えられた。はつり作業による有効プレストレスの減少や断面剛性の低下による主 桁のたわみ易さが測定値の一時的なひび割れ幅の増加に影響を及ぼしたものと推察された。

亀裂変位計による測定期間が2.4年であったPC橋では,測定開始から 1.0年間でひび割 れ幅が収縮側および拡大側ともに,測定値の増加傾向が見られた。しかし,その後の1.4 間ではひび割れ幅の変動はわずか 0.01mm であり,収縮や拡大は見られず通電による ASR の促進は認められなかった。測定開始から 1 年間程度のひび割れ幅の変動要因として,や はり,電気防食工法施工前の断面修復工による影響が考えられた。断面修復工で剛性の変

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化した主桁が,その変位や変形が収束する期間として 1 年程度以上が必要であると推察さ れた。

電気防食工法によるASRの助長の可能性に関して,供試体を用いた室内試験からコンク リートのASRが促進されたことが報告されているが,実構造物での施工条件・環境条件と は異なるものが多かった。実橋レベルの測定結果では,測定期間が長期になるに従い,ひ び割れ幅の増加傾向は認められず,通電によるASRの促進は確認されなかった。塩害とASR の複合劣化が生じているコンクリート構造物に電気防食工法を適用する揚合,低い防食電 流密度で電気防食を作動させ,ASR による膨張をモニタリングするなどの工夫が有効であ った。

電気防食工法の採用にあたっての課題は,他の塩害対策工法である表面被覆工法や断面 修復工法と比較して,初期コストが高いことにあった。そこで,チタン系の線状陽極を用 いた電気防食工法のコスト縮減を目的として,実橋において陽極の配置方法,溝 1 本あた りに設置する陽極枚数および陽極幅を変更することで,防食効果を確保しつつ電気防食工 法の全体施工費として約15%のコスト縮減を可能にすることができた。

4.各種水分環境下における水利構造物のASRによる劣化の特徴と診断の基本事項 北陸地方におけるASRで劣化した水利構造物の特徴を把握するための事例調査を実施し,

各種水分環境とASRによる劣化との関係に着目した維持管理の資料を得た。そのうえで,

コア採取による詳細調査を実施し,水分環境の違いによるASRの劣化の特徴を詳細に把握 し,水利構造物の調査診断の基本事項を明らかにした。さらに,けい酸ナトリウム系補修 材料によるASRの促進に関するメカニズムの解明を行った。

コンクリートダムの湖面付近では,水中部のコンクリートではASRによる劣化が軽微な のに対して,乾湿繰り返し部は顕著であった。また,水量調節を目的にしたダムなどでは,

ゲートの開閉機能を維持することが重要であり,門柱の傾きなど部材の変形に着目した監 視を継続的に実施していくことが必要であった。

山間部の渓流にある砂防堰堤でASRと凍害による複合劣化を生じているものがあった。

劣化部位は水通し袖部に限定されており,補修を考える場合,劣化部分を打換える方法が 施工性も良く,長期的な確実性も高いと判断された。ASR と凍害の劣化現象はともに,水 の供給や日射条件など劣化を促進させる環境条件がほぼ同じであることから,北陸地方の 山間部では両者による複合劣化が生じやすいとの認識が必要であった。

水力発電所のサージタンクに軽微なASRによる劣化が発生していた。内水による浸透圧 が作用する水利構造物では,一旦,ASR が発生した場合に収束は期待できなかった。水利 構造物を水密性の高いコンクリートとする場合,北陸地方で施工実績を延ばしているフラ イアッシュコンクリートによる対策が有効であると考えられた。

ASR により劣化した水利構造物を補修する場合,表面被覆工の材料がコンクリート内部 の水分のみで膨張する場合や未補修部からの水分補給によって劣化することが指摘されて

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おり,構造物の耐久性の維持のためには,内部の鉄筋の腐食防止を目的としたひび割れ補 修のみを実施し,その後,経過観察を行っていくことが適切であると考えられた。

海中において橋台を支持する無筋の基礎コンクリートでASRによる劣化が生じていたた め,鋼板で覆いアンカーボルトで定着させていた。対策後,橋台に傾斜計を設置し,定期 的に監視を続けていた。ASR で劣化したコンクリート構造物を鋼板で保護し,アンカーボ ルトで定着させた事例として評価できると考えられた。

農業用水のため池にある洪水吐きの重力式擁壁でASRによる幅10mmの水平ひび割れが 発生していた。洪水越流時の水平抵抗力を補うため,天端から鉛直方向に鉄筋を挿入し補 強が実施されていた。比較的簡易な施工で,ASR による劣化が生じた無筋コンクリート構 造物に対する変位抑制対策として,有効な方法であった。

水分環境の相違による水利構造物のASRによる劣化の特徴を把握することを目的として,

水中部,乾湿繰り返し部,および乾燥部の 3 つの条件に着目し,実構造物からコンクリー トコアを採取し各種試験を実施した。この際に,北陸地方のコンクリート構造物において,

コンクリート表面の水分環境条件を乾燥部材と評価する場合,表面水分率が3%程度以下で あることが目安として考えられた。

水中部におけるASRによる劣化の特徴として,ASRによる劣化が生じるのに十分な反応 性骨材を有し,また3kg/m3を超えるアルカリ量が確認された場合でも,コンクリート表面 ではアルカリが滲出してその濃度が低下することで,外観上ASRによる劣化が現れにくく なっていた。一方,内部では静弾性係数が低下しておりASRによる微細なひび割れが生じ ていたと考えられた。水中部から採取したコアで残存膨張性ありと評価された場合でも,

水分環境が大きく変化しないかぎり,新たに劣化が顕在化する可能性は小さいと考えられ た。薄片の偏光顕微鏡観察で,非常に水分の多い環境では,ひび割れ内にアルカリシリカ ゲルは確認できず,ASR により生成された物質は膨張力を発揮しないアルカリシリカゾル であったと考えられた。水中部のコンクリートでは,反応性骨材およびアルカリ量がとも に多く,潜在膨張性が非常に高い場合であっても,常に湿潤状態が継続している限り ASR による異常膨張は発生しないと考えられた。

乾湿繰り返し部のコンクリート表面ではアルカリの濃縮が生じることで,コンクリート 内部でアルカリ量が少なくても,ASR による劣化が生じるのに十分な反応性骨材を有して いる場合,コンクリート表面ではASRが局部的に促進される場合があった。無筋コンクリ ート構造物では,乾湿繰り返しを受ける部材で,表面から 40mm 程度の深さから粗骨材の 周囲に沿ったひび割れが多く見られた。このひび割れは,コンクリート表層部と深部にお けるASRによる膨張量の差によって生じた表面ひび割れとは異なるものであったが,ひび 割れの発生原因は特定できなかった。

乾燥部では薄片観察の結果から骨材の周囲に反応リムが形成される過程までであった。

静弾性係数の低下も認められず,コンクリート内部において微細なひび割れは生じていな いと考えられた。

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同一構造物で水分環境条件が異なり,ASR による劣化部と健全な部分がある場合,それ ぞれの箇所で促進養生試験を実施し,膨張率を測定することで,ASR による劣化部の建設 後からの膨張率の消費量を把握することができる。これより,劣化部の今後の残存膨張性 をある程度定量的に推定できる可能性があった。

けい酸ナトリウム溶液に浸漬した反応性骨材を用いたモルタルバーの膨張挙動は ASTM

C 1260による判定で有害な膨張率を示した。これより,けい酸ナトリウム系補修材料はASR

に対して促進作用があり,実構造物におけるASRの劣化事例を検証するものとなった。

6.結論

本研究では,反応性骨材を使用したことによるASRの問題,冬期の飛来塩分による塩害 の問題,そして山間部における凍害の問題など,各種の使用・環境条件に曝された北陸地 方におけるコンクリート構造物の劣化現象に関する実態調査を行い,そのうえで実構造物 から採取したコンクリートコアによる試験や長期モニタリングを実施することで,早期劣 化機構の検証と,その対策に関する評価を行った。対象としたコンクリート構造物および その劣化機構は次のとおりであった。道路トンネルでは,ASR による劣化状況の実態を調 査し,山間部では凍害が加わった複合劣化が生じていたことを示した。コンクリート橋で は,塩害による補修対策として電気防食工法を適用した場合の防食状態,および課題を明 らかにするとともに,ASRにより複合劣化が生じたPC橋への電気防食工法の適用性を実橋 レベルで検証し,その有効性を確認した。水利構造物では,水分環境とASRによる劣化の 特徴を把握したうえで,実構造物から採取した水中部,乾湿繰り返し部,および乾燥部の それぞれのコンクリートコアで各種試験を実施し,水分環境の相違によるASRの劣化要因 の分析を行い,調査診断の基本事項を把握した。

以上の結果を踏まえ,北陸地方におけるコンクリート構造物のASRや塩害,凍害などの 早期劣化機構の検証と対策の評価に関する結論を得た。

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