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学位名 博士(創薬科学)

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Academic year: 2021

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小腸有機アニオン輸送体OATP2B1に及ぼす食品作用 の多様性

著者 藤田 大地

著者別表示 Fujita Daichi

雑誌名 博士論文要旨Abstractおよび要約Outline 学位授与番号 13301甲第4990号

学位名 博士(創薬科学)

学位授与年月日 2019‑09‑26

URL http://hdl.handle.net/2297/00059287

doi: https://doi.org/10.1021/acs.molpharmaceut.8b00921

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

学 位 論 文 概 要 学位論文題名

小腸有機アニオン輸送体 OATP2Bl に及ぼす食品作用の多様性

専攻:創薬科学専攻 研究室:薬物動態学研究室 氏名:藤田 大地

主任指導教員氏名:玉井 郁巳 学位論文概要

消化管は食事成分に高濃度に暴露されるため、 栄養物や薬物の吸収に関与する小腸輸送体活 性は食品の影響を受けることが知られている。したがって、小腸輸送体に対する食品作用の理解 は、食品を利用した健康増進や医薬品の適正使用の観点から有益な知見となる。本研究では、既 に食品の影響を受けることが報告されており、薬物等の吸収に寄与する小腸有機アニオン輸送体

OATP2Bl を対象として、 食品作用の多様性に関する研究を行った。

これまで、 OATP2Bl に及ぼす食品作用は、 主に薬物吸収に対する食品の影響評価の点から検 討されてきたが、いずれも食品中のフラボノイドなど低分子成分による競合的活性阻害が主なも のであった。 しかし、 OATP2Bl 活性に対する阻害作用は、 用いられた基質間で必ずしも

致せ ず、 複数の基質結合部位 (Multiple Binding Site; MBS) の存在が示唆されていた。また、食品中に は高分子成分も含まれているが、 消化管内 pH や消化酵素による分解や高分子量故に低膜透過性 であるため、高分子自身の直接的な作用は考慮されてこなかった。しかし、 最近になって核酸や タンパク質等の高分子物質を内包するベシクル様のナノ粒子 (nanoparticle; NP) が食品中に存在 することから、含有高分子の直接的作用の可能性が示され始めた。以上より本研究では、 OATP2Bl における MBS の存在の裏付け、 および NP を介した食品高分子成分の直接的作用の可能性に着 目し、 小腸輸送体に及ぼす食品作用の多様性について検討した。

まず、 食品作用の発現に関与する OATP2Bl の輸送特性の解明を目的として、 OATP2Bl 上に おける MBS の実証を行った。複数の活性部位に対応する特異的アミノ酸残基が存在すると考え、

アミノ酸残基を置換した OATP2Bl 変異体を作製して、 複数の基質化合物の輸送活性変動および 阻害薬感受性を評価した。 その結果、置換したアミノ酸残基によって基質輸送や阻害薬感受性が 異なる結果が得られ MBS の存在が裏付けられた。 食品成分の阻害作用も変異体間で異なること から、 MBS が食品作用の多様性に関わる因子であることを見出すことができた。

次に、 食品由来高分子を含む NP が小腸輸送体の機能調節に関与するかについて検討を行っ た。 りんごから回収した NP (apple derived NP: APNP)画分を Caco-2 細胞に作用させたところ、

OATP2Bl の発現抑制及び輸送活性の低下が観測された。また、APNP 画分には低分子含有量は極

めて少なく、 NP を破壊した条件下では作用が消失したことから、 APNP を介した高分子成分の 作用であることが示唆された。さらに、高分子成分としてマイクロ RNA(miRNA) を想定したとこ ろ、 APNP 中にはりんご由来 miRNA が存在し、 作用発現に OATP2Bl 遺伝子の 3' 非翻訳領域 (untranslated region; UTR)の存在が必要であったこと、 特定の miRNA が作用する可能性も示唆さ れ、 NP を介した食品由来 miRNA がヒト遺伝子発現制御に関与する可能性を見出した。

本研究は、小腸輸送体 OATP2Bl を対象とした食品作用の多様性要因として、輸送体上の基質 認識部位の多様性と輸送体発現を低下させる NP を介した miRNA の関与を新たに見出し、 食品 作用の多様性が生じる新たなメカニズムを提唱することができた。消化管組織は多様な細胞種で 構成されて機能を維持している。 そのため、 小腸機能全体に対する食品作用の理解のためには、

本研究で着目した小腸上皮細胞に限らず、杯細胞や内分泌細胞、幹細胞等の消化管を構成する各 細胞の働きに対する食品作用の解析が必要となる。 また、 APNP に含まれる miRNA の作用は、

ヒト遺伝子と植物 miRNA 間の異種間相互作用の可能性を支持する知見である。今後、NP や他の

高分子成分の作用の評価によって、さらなる食品作用の理解によって、作用機序に基づいた食品

の健康増進あるいは疾患治療への応用が期待される。

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