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八戸港湾における陸上と洋上の風況の同時観測

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Academic year: 2021

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(1)

八戸港湾における陸上と洋上の風況の同時観測

著者 松坂 知行

著者別名 MATSUZAKA Tomoyuki

雑誌名 八戸工業大学異分野融合科学研究所紀要

巻 4

ページ 83‑87

発行年 2006‑02‑28

URL http://id.nii.ac.jp/1078/00002385/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

(2)

松 坂 知 行

Si mul t aneous  Wi nd  Condi t i on  Obs er vat i ons  at  On‑Shor e  and Of f ‑Shor e  i n  Hachi nohe    Gul f

Tomoyuki  M

ATSUZAKA

 

Abs t r act  

This paper presents wind speed and direction observations for wind turbine generation at Hachinohe Gulf in Aomori Prefecture. The author observed wind speeds and  directions using anemometers at on‑shore and off‑shore sites in Hachinohe Gulf from  2004 Feb.to 2004 Oct.. Thi s paper reports the possibility of wind turbine generation at Hachinohe Gulf area based on the observations.  

Key  words:wind resource estimation,wind turbine generation  

1.ま え が き

八戸市は国の環境エネルギー特区に指定されている。

この構想の下に,2003年 8月八戸地域洋上風力研究会が 設置され,八戸地域の風力エネルギーの賦存量を調査す るため,陸上と洋上に観測塔を建設し,風況の同時観測 を行ってきた。これまで陸上においては,NEDOを中心 とした全国的な風況観測によりデータの集積が進んでい るが,洋上においては観測塔の建設が困難なため観測 データが少ない。一方,風況の解析ソフトの開発が進み,

GPVから得たデータや人工衛星からの観測データをも とにして,風力発電に必要なエネルギー賦存量を推定す る研究も進んでいる。しかしながら,洋上の実観測デー タが少ないため,解析ソフトによる推定結果と実観測値 との比較検討は不十分である。

本観測データは,陸上で 2003年 11月〜2004年 10月,

洋上で 2004年 2月〜10月間の観測で得られたものであ る。また,同時期間の観測データが含まれているので,オ ンショアとオフショアの風況比較,また,すでに NEDO から公表されている当該地区の洋上風況の推定値と比較 する上で貴重なデータになると考え報告する。

2.風況観測塔の設置場所

図 1に風況観測塔の設置位置を示す。風況観測塔 Aは 陸上の埋立地に設置した風況観測塔である。観測塔の高 さは 40  m であり,地上高 20  m,40  m に風向・風速計,30 m に風速計を設置している。一方,風況観測塔 Bは洋上   の防波堤に設置された観測搭である。

観測塔の高さは 24  m であり,地上高 24  m と 15  m に 風向・風速計を設置している。また,表 1は観測機器の 設置位置である。観測機器はいずれも NRG製の風向風 速計である。図 2は洋上に近接した陸上(埋立地)に設 置された風況観測塔,図 3は洋上の堤防に設置された風 況観測塔の写真である。

3.風況の観測結果

3.1 陸上の観測データ

すでに述べたように陸上における観測期間は 2003年 11月から 2004年 10月までに 1年間,洋上においては 2004年 2月から 2004年 10月の 9ケ月である。洋上の観 測データが 1年に満たないのは台風により観測塔が倒れ たためである。

図 4は地上高 20  m,30  m,40  m における月別平均風速 である。年間を通じて 2月が最も平均風速が大きく,7月 が最も小さい。表 2は各地上高における平均風速である。

図 5は風速の高度方向のベキ乗則を表す

n

値を求めた ものである。地上高 20  m と 30  m の月別平均風速から求 めた

n

値と 30  m と 40  m の月別平均風速より求めた

n

値の平均をとり,全体の月別

n

値とした。n 値の平均値 は 3. 74である。また,図 6は地上高 40  m における風速出 現率,図 7は風向の分布を示す。図 7から判断すると主 風向はほぼ南西である。さらに図 8は乱れ強度と平均風 速を示したものである。乱れ強度の平均値は 0. 32であ り,この値はかなり高い値である。

3.2 洋上の観測データ

図 9は地上高 15  m,24  m における月別平均風速であ る。観測期間 9ケ月で見ると 2月が最も平均風速が大き く,7月が最も小さい。表 3は各地上高における平均風速

平成 18年 1月 6日受理

システム情報工学科・教授

(3)

図 1 風況観測塔の設置場所

図 2 陸上の風況観測搭

図 3 洋上の風況観測搭

表 1 観測機器の設置位置

場所 設置位置

風況観測搭 A 北緯 40度 32分 16秒 東経 141度 31分 50秒 風況観測搭 B 北緯 40度 33分 00秒 東経 141度 32分 34秒

図 4 陸上の月別平均風速

図 5 陸上の月別n値

図 6 風速出現率(地上高 40 m)

表 2 各地上高における平均風速 各地上高における風速

地上高 20 m   30 m   40 m 年間平均風速(m/s) 4.4   4.9   5.3

(4)

である。また,図 10は月別平均風速より求めた

n

値であ る。

n

値の平均値は 15. 1となり,かなり大きくなってい る。このことは,高度が高くなっても洋上では風速の増 分が少ないことを意味している。逆に考えれば,ハブ高 の小さい風車でも出力を大きくできることを意味し,エ ネルギーの取得効率が高くなることが期待される。図 10 から求めた

n

値を用いて同一高度に換算して,陸上と洋 上の風速を比較すると,八戸港湾の洋上の風速はおよそ 1. 15倍程度になることが分った。

また,図 11は地上高 24  m における風速出現率,図 12 は風向の分布を示す。図 12では明確な主風向は現れてい ないように見える。この原因は,観測塔を設置した防波 堤の幅が 12  m であるため,観測塔の高さが 24  m に制限 され,海上の波浪の影響を受けて風向に大きな乱れが生 じたためである。正確な風向を計測するためには,観測 塔の高さをもっと上げる必要があると思われる。した がって風向については正確なものではなく,参考データ である。また,乱れ強度の平均値は 0. 30であり,陸上よ り若干小さな値となった。

図 7 風向の分布

図 8 乱れ強度と平均風速

図 9 洋上の月別平均風速

図 10 洋上の月別n値

表 3 各地上高における平均風速 各地上高における風速 地上高 15 m   24 m 平均風速(m/s) 5.7   5.9

図 11 風速出現率(地上高 24 m)

図 12 風向の分布

(5)

 

4.出力および発電量の比較

以上の風況観測データから陸上,洋上の平均風速,風 力エネルギー密度,年間取得エネルギー,風車稼働率,

設備利用率を算出し比較を行った。想定した風車の出力 曲線は図 13の通りである。

表 4は陸上と洋上の年間平均風速,風力エネルギー密 度,取得エネルギー,稼働率,設備利用率の比較を示す。

この表から平均風速を比較すると,地上高 39  m では,洋 上の年間平均風速は陸上の 1. 17倍,60  m では 1. 13倍で ある。風力エネルギーに換算すると,それぞれ 1. 61倍,

1. 42倍になり,洋上風力発電が有利であることを示して いる。また,風力エネルギー密度と取得エネルギーは,ほ ぼこの換算比率で差が現れている。つぎに,風車稼働率 は,陸上と洋上の各風車とも NEDOの風況精査マニュ アルの基準 45(%)以上を満足している。しかし,風車設 備利用率に関しては風車の出力曲線によって異なる。こ のため,陸上と洋上の風況を考慮してハブの高さを変え て算出した。たとえば 2, 000  kW の風車に関しては,ハブ の 高 さ は 陸 上 で 80  m,洋 上 で 70  m と し た。n 値 は NEDOの風況精査マニュアルにしたがい陸上では

n=5

とした。その結果,陸上でも洋上でも風況精査マニュア ルの基準 17(%)以上を満たしている。一方,洋上の風車 はいずれもこの基準を十分満たしている。なお,風車設

備利用率と風車取得エネルギーは,個々の風車の出力曲 線によって変わり,この数値は算出の一例である。

5.ま と め

以上の風況観測と解析結果から以下のような結論が得 られる。

(1) 陸上の観測地点 Aにおいては,風速,風力エネル ギー密度の点では NEDOの風況精査マニュア ルの基準を満足できないが,ハブの高さを上げる ことで対応可能である。

(2) 洋上においては,すべての項目について NEDO の風況精査マニュアルの基準を満足する。なお,

洋上の風速は 2004年 2月〜2004年 10月までの 平均であり,11月〜1月は風速が高くなる時期で あることを考慮すると,年間平均風速は表 3より も更に高くなるはずである。したがって,観測地 点の近辺では,風況の点からだけ考えれば,風力 発電の実現は十分可能性があろう。しかし,洋上 風力発電では経済性,漁業権,環境問題などをク リアしなければばらないので,周辺条件は陸上よ りも厳しいと考えられる。一方,陸上は,現在,

さらに沖合いに向けて埋め立て工事を進めてお り,この工事が完了すれば,今回の観測地点 Aよ りもさらに良い風況が得られる可能性がある。今 回の観測結果を生かし,今後風況評価ソフトなど を用いて未観測点の風況を精査する必要があろ う。

(3) 風向については,NEDOの風況精査マニュアル の基準と比較した場合,陸上と洋上のいずれにお いても不安定である。とくに,洋上においては,

今回風況観測搭の高さを 24  m に限定せざるを 得なかったため,波浪の影響を受けてかなり不安 定であった。

参 考 文 献

1) 八戸港ポートアイランドおよび中央防波堤における風況 表 4 陸上と洋上風車の比較

陸 上 洋 上

500 kW (39 m)

750 kW (60 m)

1,000 kW (70 m)

2,000 kW (80 m)

500 kW (39 m)

750 kW (50 m)

1,000 kW (60 m)

2,000 kW (70 m) 平均風速 (m/s) 5.2   5.7   5.9   6.1   6.1   6.2   6.3   6.4 風力エネルギー密度(W/m ) 206.4   267.3   293.2   317.7   346.2   363.8   377.3   399.7 風車取得エネルギー (MWh/年) 804.6   1,183.7   1,535.8   3,622.0   1,148.8   1,475.6   1,850.2   4,146.6 風車稼働率(%) 60.0   78.5   79.6   67.8   65.6   77.7   78.2   67.4 風車設備利用率(%) 18.3   18.0   17.5   20.6   26.3   22.5   21.2   23.7

図 13 想定した風車の出力曲線

(6)

精査報告書,平成 17年 3月,八戸地域洋上風力発電研究 会

2) 松坂,星 :青森県・八戸港湾における風力エネルギーの賦

存量の推定に関する研究,八戸工業大学異分野融合科学 研究所紀要,第 3巻,pp.41‑48,2005.3

図 1 風況観測塔の設置場所 図 2 陸上の風況観測搭 図 3 洋上の風況観測搭 表 1 観測機器の設置位置場所 設置位置風況観測搭 A北緯 40度 32分 16秒東経 141度 31分 50秒風況観測搭 B北緯40度 33分 00秒東経 141度 32分 34秒図 4 陸上の月別平均風速図 5 陸上の月別n値 図 6 風速出現率(地上高 40  m)表 2 各地上高における平均風速各地上高における風速地上高20 m   30  m   40  m年間平均風速(m/s)4.4  4.9  5.3

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