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ワイヤ放電加工機を利用した細穴加工

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Academic year: 2021

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ワイヤ放電加工機を利用した細穴加工

磯谷 章 (静岡大学 工学部 装置開発系技術室)

1.はじめに

 摩擦試験用工具に用いる熱処理済みのベアリング 用鋼球(SUJ.2)に、熱伝対を埋め込む直径1mmの 底付穴を開けたいという研究室からの要望に応える ため、ワイヤ放電加工機に取り付け、ワイヤの走行 運動をパイフ魔極の回転運動に変換する簡単なアタ ッチメントを製作し、細穴加工を試みたので報告す る(図1)。

 このような細穴加工は、専用機を用いる方法、形 彫り放電加工機を用いパイプ電極を回転させながら 加工する方法などが一般的である。前者は、専用電 源と専用加工液を使用し高速な加工が可能であるが 価格が高く、当センターでは保有していない。後者 は、当センターの形彫り放電加工機には電極を回転 機構がなく、回転機構にはモー・一一一ターなど動力源が必 要となり、アタッチメントが構造的にやや複雑にな

る等の理由により、今回は現有設備であるワイヤ放 電加工機を用い、比i絞的構造が簡単でより安価な方 法で高速な加工を試みた。

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図1 加工の仕組み

2.ワイヤ放電力ロ工機

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 ワイヤ放電加コニ機は、細いワイヤに張力を加えた 状態でワイヤを走行させながら、ワークと電極であ るワイヤ問に数万Hzの高電圧パルスの放電を聞欠 的に発生させ、この放電による熱エネルギーによリ

ワークを溶融除去加工するものである。ワークと電 極であるワイヤに相対運動を与えることにより、あ たかも糸鋸でワークを切断するかのごとく、2次元

的輪郭加工をするものである、また、上下ワイヤ支 持ダイスをそれぞれ単独に制御することにより、垂 直なワイヤを傾け、テーパ加工、上下異形状加工を することができる(図2)。

 放電により溶融した金属は、同時に気化した加工 液の体積膨張により1次き飛ばされるとともに、上下 ワイヤ支持ダイス周りからの加工液の噴流により除 去される.ここで使用される加工液は、水道水を脱 イオン化したもので、比抵抗が104〜106Ω・・clll程度 のもので放電間隙の絶縁回復を促進し、併せて冷却 効果もある。加工には、ワーク全体を液中に浸して 加工する浸漬式を用いた。

図2 ワイヤ放電加工機 3.アタッチメント

 図3に示すように、ワイヤ放電加工機の上部ワイ ヤ支持ダイスの下側に加工液取り出し部分を取り付 け、この下部に今回製作したアタッチメントを取り 付けた。ワイヤを上部ワイヤ支持ダイスからアタッ チメントのプーリーに1巻きさせた後、下部支持ダ イスを通し通常の巻取りを行う。ワイヤの走行運動 がプーリーつまり電極の回転となる。ワイヤ走行速 度を変化させることにより、パイプ電極の回転数を 変えることができる。同時にワイヤからの電力の供 給も行う。

 また、プーリーに外部のモーターより動力を供給 することにより、このアタッチメントは形彫り放電 加工機でも使用加工な構造となっている。

3.1 回転機楢部

図4のように回転軸両側にベアリング配し、これ

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を側仮に取り伺ける.その川にワイヤの走行を軸回 転に変換するためのプーリーを配し、軸端面にパイ プ竃極を電極ホルター一に取り付 けるr」電極先端部の 振れが、加工の安定性、加工速度に大きく影響する ため、電極仁t、先端i部で振れが生じないように両端 の電極ホルグー、電極振れ川:めで支持する,電極ホ ルダー・一と電極辰れ止めが直線上にあれば2点支持で 充分あるが、実際にti J:、この1凋整はなかなか1勾難で あり、中央に電極先端(ノ)振れを調1整するための電極 振れ調整ガイド追加した。電極の振れ目、拡大鏡で 観察すると同時に、中央の電極振れ調整ガイドで調 整した。

図3 細穴加工用アタッチメント装着時

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図4 アタッチメント 3.2 噴流機構部

 細穴加工では、穴内部の溶融チップの排除が加工 の安定に大きく影響するため、加工液を穴内部に供 給する必要がある。回転軸に貫通穴を開け、電極ホ ルダーの反対側の軸端近くに2個のOリングを配 し、そのOリング間の軸円周上の4個の通し孔から 加工液を供給する。加工液は軸内部を通り、パイプ 電極内部を通り、細穴内部に到達することとなる。

加工液は、ワイヤ放電加工機の通常の上部ワイヤ支 持部周りから供給される加工液の一部を使った,

4.加工実験および結果

 加工にはソディソク製NC電源Mark20を使川し、

ワイヤ放電加工機の加工条件を使川した。この時、

パイプ電極の断而積とワイヤ電極の放電面積がほぼ 等しくなる条件を基本とし、加工の安定に寄与する いくつかのパラメークを変化させた。ワークである 鋼蜘ま、数に限りがあるため、テスト加工には、あ

らかじめ鋼球と加工速度、電極消耗などほぼ同じで ある代替試験材料(S55C厚さ10mm)を使用した。

電極として銅及び黄銅のコアレスパイプ電極を用い て加工を行った。送りは、ワイヤ放電加工機のサー ボ制御を用い、それぞれの冠極で安定する加工条件 を見いだした。加工深さについては、マイクロメー一 ク付き光学顕微鏡にて測定した。

4.1 送り呈と加工時間

 黄銅、銅電極を用い送り速度を4mnVmin,電極の回 転数を60rpmとし、加工液の有無についても変化さ せ、安定する加工条件を探し出した。電極送り量を 2mmから20inm支で2ininピッチで加工時間を測定

し、その際NC電源部の電圧計、電流計の振れ、加 工の安定度をみるインジケーターを観察した。図5 からわかるように、送り量の増加に伴い加工時間は ほぼ一定の割合で増加していることがわかる。また、

加工液の有無により加工の安定は大きく変化してい ることがわかった。加工液無しでは、送り量6m111 においても加工が不安定のため、これ以上の送り量 については、加工を中止した。

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図5 送り量と加工時間 42 送り量と加工深さ及び電極消耗

 黄銅、銅電極を用い電極の消耗量、及び加工深さ を求めた。このとき、加工機の加工状態を表示する インジケーター、電圧計を注視し安定した加工状態 を求めた。図6より、黄銅電極の方がわずかである が電極消耗量が小さく、加工深さはその分だけ大き

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(3)

いことがわかる。また送り量と加工深さ、電極消耗 にはほぼ比{列撰∬系があることがわかった。この結果 から、黄銅電極では165111m、銅電極では1811mに 送り量を設定することにより、鋼球の穴深さを 7.5mmにすることができることがわかった,図7は 各送り量の穴断面を示す。

・4.3  1 亘恒i回・転数と力IIコニli寺問

 さらに高速な加工を目指し、送り速度をさらに速 くし、加工状態が比較的不安定な状態を作り出す、

ここで、ワイヤの走行速度っまり電極の回転数を変 え、回転数と加工時間の関係を調べ、加工の安定状 態をチェックした。図8からわかるように、送り速 度10mm/mim,15mm/nibiの双方とも、回転数の増加

とともに加工時間が短縮されるのがわかる,また、

これと同時に加工状態も安定する傾向が観察され た。240rPmにてほぼ定常状態となっている。この時、

電極消耗、加工深さは大きな変化はなく、より高速 な加工条件が見いだせた。

5.鋼球穴開け

 加工実験より求めた加工条件で、実際の鋼球に穴 あけ加工を行った。

図9に加工穴断面を示す。これから底付き穴が形状 の他の2つの加工方法に比べ穴底部分の形状が整っ ていることがわかる。この時、電極消耗は約130%

前後であり、消耗量が大きいことにより、電極をド レッシングしているのと同じ効果が得られ、形状の 整った底付き穴が加工できているものと思われる。

他の2つの加工方法は、底穴中央に大小の違いはあ るが芯が残っているのが観察された。この芯の倒れ 込みにより加工時間は大幅に増加した。

6.まとめ

・現有のワイヤ放電加工機を使用し、より高速な加 工条件を見っける事ができた。必要な加工深さに対 する電極の設定送り量が予測できた。

・送り量に対して加工時聞、電極消耗、加工深さは ほぼリニアに増加している。

・電極消耗は、黄銅電極で約125°/o、銅電極で1 40%であった。しかし、この大きな消耗により、

電極先端をドレッシングするのと同じ効果が得ら れ、形状の整った底付穴が加工できた。数度の加工 を行ったが再現性も非常に高く、最終的には約90 秒での加工が可能となった。

・電極回転数を上げることにより加工が安定し・加

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図6 送り量と加工深さ・電極消耗

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図8 電極回転数と加工時間

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図9 鋼球断面形

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工時間も短縮できた.これはコアレスパイフ電極の 回転により、力1に1二液の対流が良くなり、溶融チップ の排除が良好となったためであると思われる。

・アタッチメントをワークテーブルに取り付 け、外部動力によりワークを回転させながら 輸郭加工をすることにより、小物部品の旋削 加工と同様の加工が出来た(図LO)、加工 サンフ ルを図11に示す。この加コニによる製 品は既に研究室で活用されている。

・追加治具を取り付けることにより、アタッチメン トを形彫り放電加工機にJljleり付けられる構造となっ た(図12)。今後、形彫り放電加工も試みたい。

図10 ワイヤ放電加工を利用した旋削加工 参考文献

1)向山芳世:形彫・ワイヤ放電加工マニュアル

(1989)

2)斉藤長男:放電加工のしくみと100%活用法

図U 旋削加工サンプル

図12 形彫用アタッチメント

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参照

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