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進路指導 Ⅱ
一キ ャリア教育 の在 り方 について 一
は じめ に
「キ ャ リア教 育」 とい う文 言が、 文部科学行政 関連 の審議会報 告等 で初 めて 登場 したのは、 中 央 教 育審 議 会 答 申 「初等 中等教 育 と高等 教育 との接 続 の改 善 につ い て」 1999(平 成 H年 12月 )で
あ る。 この答 申は 、学校 種 間 にお け る接 続 だ けで は な く、「学校 教 育 と職 業 生 活 との接続 」の改 善 も視 野 に入れ た t)の で あ り、 具体 的 に は 「小学 校 段 階 か ら発 達段 階 に応 じて キ ャ リア教 育 を実施 す る Z、 要 が あ る」 と提 言 され た。
そ の後 、初 等 中等 教 育 にお け るキ ャ リア教 育 の在 り方 につ い て は 、学識 経 験者 や 経 済 団体 関係 者 、学校 教 員 等 で構 成 され る協 力者 会議 を設 け 、 2004(平 成 16年 1月 )に 「キ ャ リア教 育 の推進 に 関す る総 合 的調 査研 究協 力者 会議 報 告書」 を公 表 した。 この 中で 、 キ ャ リア教 育 は 「児童 生徒 一 人一 人 の キ ャ リア発達 を支援 し、それ ぞれ にふ さわ しい キ ャ リア を形 成 して い くた め に必要 な 意欲 0態 度 を育 て る教 育」 と定義 され 、「初 等 中等 教 育 にお け るキ ャ リア教 育 の推 進 」が提 言 され た。
また 、 2003(平 成 15年 6月 )、 文部 科学 大 臣、厚 生 労働 大 臣、経 済 産 業 大 臣及 び経 済財 政 政 策 担 当大 臣か らな る 「若 者 自立 0挑 戦 戦 略 会 議 」 にお い て 「若 者 自立・挑 戦 プ ラ ン」 が取 りま とめ ら れ 、そ の 重 要 な柱 と して キ ャ リア教 育 の推進 が位 置 付 け られ た。 そ の後 、 内閣官房 長官 、農 林 水 産 大 臣、少 子化 ・ 男 女 共同参 画担 当大 臣 も加 え、「若 者 の 自立・ 挑 戦 の た めの ア クシ ョンプ ラ ン」
2004(平 成 16年 12月 )が 策 定 され 、 キ ャ リア教 育 の 充 実 を図 る こ と と され た。 さ らに、 2008年 1
月 には 、「若 者 の 自立・挑 戦 の た めの ア クシ ョンプ ラ ン」の改訂版 が 、取 りま とめ られ そ の強 化 が 図 られ て い る。
この よ うな 中、 文部 科学 省で は 、 2004(平 成 16年 )度 に は小学校 ・ 中学校 ・ 高等 学校 を通 じ組 織 的・ 系統 的 な キ ャ リア教 育 を行 うた めの指 導 方法 ・指 導 内容 の 開発等 を行 う 「キ ャ リア教 育推 進 地域 指 定事 業 」や 、 2007(平 成 17年 )度 には産 学 官 の連 携 に よ る職 場 体験 0イ ン ター ン シ ップ の推進 の た めの システ ムづ く りな ど地域 の教 育 力 を最 大 限 に活 用 し、 キ ャ リア教 育 の 更な る推 進 を図 るた め の調査研 究 を行 う 「キ ャ リア教 育 実践 プ ロジ ェ ク ト」 な ど、様 々な施 策 を実施 して き た。 しか し、各 学校 の現状 を見 る と、 キ ャ リア教 育 の∠、 要性 は理 解 され な が ら も、そ の 意 味や 受 け止 め方 が 多様 で 、教 育 課程 の見 直 し、体験 活 動 等 の取 り組 み が十 分 とは 言 えない。 そ の よ うな 状 況 に鑑 み 、 この たび 、先 の 「キ ャ リア教 育 の推 進 に 関す る総 合 的調 査研 究 協 力者 会議 報告 書 」 の 内容 を、 よ りわか りやす くす る観 点 か ら、「キ ャ リア教 育推進 の 手引」 が 作成れ た。
l『 毎 日新 聞 の』 2009年 2月 3日 付 けの 「キ ャ リア教 育 学校 任 せ で は実 を結 ば ない」は 、「文部 科 学相 の諮 問 で 、中央 教 育審 議 会 が『 キ ャ リア教 育・職 業 教 育 の あ り方』につ いて審議 を始 めた」
崎 勝 也
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「キャ リア教育 とは何か。 中教審は99年 、中学・高校 と大学の教育のつなげ方について答 申 した 際 、 この言葉 を用い『 望 ま しい職 業観 ・勤労観お よび職業 に関す る知識や技能 を身 につ け させ 、 自己の個性 を理解 し、主体的 に進路 を選択す る能 力・態度 を育て る教育』 と定義 した」 と言 う。
「新学習指導要領では、例 えば小学校では国語や道徳、総合的な学習の時間などにこうした理念 をち りばめ、 中学では職場訪 問な ど体験活動の充実を うた う。高校で Fキ ャ リア教育』 の文言が 登場 し、 推進 のため産業現場 で長期 間の実習 な どをす るよ う求 めてい る」「こ うした中で今回の諮 問のポイ ン トは F体 系化』 だ。将来社会 に出て職 に就 くために学校 の各段階で求め られ る『 基礎 的で何 にで も有用な能 力』 を明 らかにす る。それ を確 実に育成 で きるよ うな体系的なキャ リア教 育の充実策 を考 えてほ しい とい うのだ。 具体的な例示 はないが、 コ ミュニケー シ ョン能 力か ら責 任感 、協調性 とチー ム ワー クな どに至 るまで 目標 はい くつ も想定できる」「そ して諮問は、専門的 知識 0技 能 を育成す る従来の高校 、大学の職業教育のあ り方 も見直 し、社会の多様 なニーズに柔 軟 に応 えるもの を、 と求 めてい る」 としてい る。
そ もそ も近年学校 にキャ リア教育の必要性 が指摘 され たのは、産業構造や就業形態の変化 とと もに就職 に対す る意識 も変 わ った ことに よる。諮 問理 由による と、新卒者が就業後 3年 以 内に離 職す る害 J合 は中学卒約 7害
1、高校 卒約 5害
1、大学卒約 4害 Jと い う。 ただ、キャ リア教育が事態改 善 に有用 で も、学校教育の範 囲に とどめていたのでは十分な効果 は望 めない。地域社会や雇用者 倶 1に 常 に新 しい人材 を受 け入れ 、責任 を もつて育て伸 ばす姿勢がなけれ ば、在学中のイ ンター ン シ ップの よ うな実習体験教育 さえ形骸化 しかねない。 また視点 を変 えれ ば、キャ リア教育が 目指 す ものは教育改革の基本理念 である『 生 きる力』 と重 なる。 この よ うな課題 について、熊本県専 門高校 に長 く身 を置 いた経験 を基 に、専門高校 のキャ リア教育 を通 して検討 0提 案 してみたい。
進路指導
職 業指 導 (Vocational Guidance)は 、ア メ リカ のパ ー ソンズ (Parsons.F)が 1908年 にボ ス ト ン に 職 業 局 を 設 立 して か ら約 100年 を 経 過 し、 入 澤 宗 寿 が 1915年 に ア メ リカ の VOcatiOnal Guidanceを 職 業指 導 と訳 して 、わ が 国 に紹 介 して か ら 94年 の歴 史 にな る。歴 史的 には 、「職 業指 導 か ら進 路 指 導 へ 」、さ らに「進 路指 導 か らキ ャ リア教 育へ」と変遷・推移 してい る。キ ャ リア には、
職 業 生活 段 階 と して の ワー ク・ キ ャ リア (Work CareOr)を 指 す 場 合 と、一 生涯 に互 る生 活 と して の ライ フ 0キ ャ リア (Life Career)の 捉 え方 が あ る。 学校 の キ ャ リア教 育 で は ライ フ・ キ ャ リア の立場 に 立 って い る。 ただ しキ ャ リア教育 の 中心 は、 あ くまで もキ ャ リア発達 、社会的発達 で あ る こ とは認 識 してお く必ヽ 要 が あ る。 2004(平 成 16年 )は 「キ ャ リア教育元年 」といわれ るよ うに、
わ が 国 の学校 教 育 は 、今 まで の職 業 教 育・進 路指 導 を中核 に据 えて、小学校段 階か らキ ャ リア教 育 を推 進 して い る。
21.進 路 指 導 の現 状 と課 題
進 路指 導 とは、卒 業 時 に行 う単な る就職 斡旋 や 成績 に基づ く受験 対策 的 な進 学指 導 で はない。
それ は個 人 が か けが えの な い 自分 の人 生 を ど う生 き るの か とい った生 き方の指 導 で あ り、 キ ャ リ ア発 達 を図 る指 導 で あ る。人 間 の一 生 は キ ャ リアの変遷 を意 味 してい る。キャ リア とい う言葉 は、
経歴 、職 業 、進 路 な ど と訳 され て い るが 、進 路 指 導 上 は、人 が一 生 を どの よ うに送 るか とい った
進 路指導 Ⅱ 75
事柄 に 関 して使 用 され る。 これ か らの進 路指 導 は 、個 人 の キ ャ リア発達 に視 点 を置 いた活動 が特 に要求 され る。
学校 教 育 は 、教 育 基本 法 第 1条 に 「教 育 は 、人格 の完成 を 目指 し、平和 的 で民主 的 な国家及 び 社 会 の形 成 者 と して 、必要 な資 質 を備 えた心身 と t)に 健 康 な国民 の育成 を期 して行 わ な けれ ば な らない と」定 め られ て い る よ うに、子どもた ちの 人格 の完 成 を 日指 して行 われ るべ き もので あ る。
ところが 、今 日の学 校 教育 は 、受 験 教 育 といわれ る よ うに、い い学校 、い い大学 を 目ざ した学 力 形 成 に偏 った教 育 に終 始 して い る と批 判 され て 欠 しい。 文部科 学 省 もこの事 実 を認 め、各種 の委 員 会 を通 して学校 教 育 の改 善 を行 って きた
̲2.改 善 の 方 向
イ 固性 よ りも成 績 の順位 が優 先 され る偏 差値 信仰 に偏 ってい る等 、本 来 の在 り方 を見失 ってい る 学校 の進 路 指 導 を抜 本 的 に 見直 し、指 導 の転換 を図 る こ とが必、 要 で あ る。 次 に、改 善 の基 本 的視 点 を述 べ る。
(1)中 学校 選 択 の指 導 か ら生 き方 の指 導 へ の転換
生徒 が往 来 の生 き方 につ い て 多様 な選 択 が可能 で あ る こ とを理解 し、 自己の進 路 を探 索す る こ とを指 導 し援 助 す る こ と。
(2)進 学 可能 な学校 の選 択 か ら進 学 した い学 校 の選 択 へ の指 導 の転 換
生徒 が 、 自己の将 来 の生 き方 に照 ら して、 上級 学校 で学 ぶ意義 を理解 し、 目的 を持 って 、進 学 したい学校 を選 択 す る よ う指 導 0援 助 す る こ と。
(3)100%の 合 格 可能性 に基 づ く指 導 か ら生徒 の意欲 や 努 力 を重視 す る指 導 へ の転換
生徒 が 具体 的 な進 学 志 望 を選 択 す るに 当た って は 、 日頃 の学習成績 に基づ いて助 言 し志 望 の実 現 に向 けて努 力す る過 程 を指 導 ・援 助 す る こ と。
(4)教 師 の選 択 決 定 か ら生 徒 の選 択 決 定へ の指 導 の転 換
生徒 が進 学 志 望校 の選 択 を含 め、将 来 の生 き方 を 自分 の意 志 で選 択 し、 自分 自身 で責任 を負 う こ とが で き る よ うに指 導・援 助 す る こ と。
こ うした指 導 の転換 は、各 学校 が 、そ の進 路指 導 の 計 画、それ に基づ く指 導 の展 開及 び指導 体 制 な ど、 これ まで の進 路指 導 の在 り方 を見直 し、そ の 基本 に立 ち返 る こ とに他 な らず 、それ 以外 に方 法 は な い と指 摘 され て い る。 そ の た めに Z、 要 な こ とは 、各学校 が指 導 体 制 を確 立 し、教 師 の 研 修 を図 り、進 路 指 導 がす べ て の教 師 に とって 、重 要 な学校 教育活 動 の一環 で あ る こ とを認識 さ せ る こ とが 大 切 で あ る。
進 路指 導 を生 き方 の指 導 と して 、学校 教 育 にお い て進 めて い くた めには、教 師や 父母 の意識 に 強 く残存 して い る偏 差値 信 仰 を克服 す る こ とが何 よ りも大切 で あ る。 個性 よ りも成績 の I贋 位 が優 先 され る と、教 育 が 手段 化 され 、 自己概 念 の無気 力化 か生 じる。 そ の結果 、生徒指 導 は、生徒 の 補 導や 矯 正 が 主体 とな り、生 徒 指 導 の本 質 的機 能 で あ る、 よ りよき人格 の発達 を図 る とい う側 面 が 見失 われ る こ とに な る。 つ ま り、教 師 は、教 育 の原 点 に立 ちか え り、子 ど も一人 ひ と りの人格 を尊 重す る姿 勢 を育 て 、教 育 実践 を正 しい軌 道 に乗せ る こ とが大切 で あ る。
教 育課 程 審議 会 1987(昭 和 62年 12月 24口 )は 、「教 育課 程 の基 準 の改 善 につ いて」 答 申 を行 い 、
そ の一番 目に 、「豊 か な心 を もち、た くま しく生 き る人 間 の育成 を図 る こ と」を挙 げてい る。そ の
た め には 、真理 を求 め る心や 自然 を愛 し美 しい ものや 崇 高 な もの に感 動す る心 を育 て る こ と、生
命 を尊 重 す る心や他 人 を思 いや る心 を育 て る こ と、感謝 のフ とヽ や公 共 の た め に尽 くす 心 を育 て る こ
76 鋤 峙 勝 也
と、す こや か な精 神 と身 体 を育 て る こ と、基本 的 な生活 習 1貫 を身 につ け 自 らの意 思 で社 会 規 範 を 守 る態 度 を育 て る こ と、 自律 ・ 自制 の心や 強靭 な意 志 と実践 力 を育 て る こ と、 自 ら生 き る 目標 を 求 めそ の 実現 に努 め る態度 を育 て る こ と、 な どに配 慮 す る必要 が あ る と指 摘 してい る。 この こ と は裏返せ ば 、現 代 の子 どもが ノ と` の豊 か さをな く し、た くま しさに欠 け、生 き る力 を減退 させ て い る こ とに ほか な らな い。 こ こに は人 間 と して の在 り方 生 き方が示 され てい るが 、特 に今 日、進 路 指 導 にお い て も この こ とが強調 され て い る。
3.進 路 指 導 の 定 義 と性 格
(1)進 路 指 導 の定義
進 路 指 導 とい う言 葉 は、 1961(昭 和 36)年 の 文部 省 「中学校 ・ 高等 学校進 路指 導 の 手 引 「中学 校 学級 担 任 編 」 の なか で使 用 され る まで は、職 業指 導 とい う用語 が使 用 され て いた。 そ こで 、 わ が 国 にお け る定義 の変遷 を仙埼 3(1991)を
参 考 に しな が ら検討 してお きた い。
(ア )文 部 省 「職 業指 導学 習 指 導 要 領 」昭和 22(1947)年 「職 業指導 とは、個 人が職 業 を選択 し、
そ の準備 を し、就 職 し、進 歩 す るの を援 助 す る過 程 で あ る」。 この定義 は、ア メ リカの全 国職 業指 導 協会 の 1937年 の 定義 「職 業指 導 とは 、 1つ の職 業 を選 び 、それ に向か う準備 を し、そ の生活 に 入 り、 かつ そ の生活 にお い て進 歩す る よ うに個 人 を援 助 す る過 程 で あ る。 それ は主 と して将 来 の 計画 を 立て キ ャ リア を形成 す るた め の決 定や 選 択 満 足 の い く職 業適応 を もた らす の に必 要 な決 定 と選 択 "を 援 助 す るの に 関 わ つて い る」 の定義 を参 考 に され て い る こ とが わ か る。 この よ うに わ が 国 の職 業 指 導 の歴 史や 指 導 の動 きは 、ア メ リカ の影響 を強 く受 け展 開 して きた。
(イ )文 部 省 「中学校 ・ 高 等 学校 職 業指 導 の手 引」 昭 和 24(1949)年 「職 業指 導 とは、個 人が生 計 費 を得 て 、自己お よび社 会 の た め に最 も有 益 な生活 をす る よ う、個 人 に職 業 訓練 を与 えた 上 に、
そ の天賦 の 才能 を発 見 し、活 用す る こ とを援 助 す る過 程 で あ る」。この定義 もア メ リカ合衆 国教 育 局 の定義 を ほ ぼ踏 襲 して い る。
(ウ )文 部 省 「学校 の行 う就職 指 導 」昭和 26(1951)年 「職 業指 導 とは、生 徒 の個 人 資料 、進 学・
就 職 情 報 、啓 発 的経 験 、相 談 、斡 旋 、追指 導 な どの機 能 を通 して 、生徒 が 自 ら将 来 の進 路 を計 画 し、進 学 ・ 就職 して 、 更にそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る よ うに、教師 が教 育 の 一環 と して援 助 す る過 程 で あ る」
(工 )文 部 省 「中学校 ・高等 学校 職 業指 導 の手 引 ―管理 0運 営編 」 昭和 30(1955)年 「職 業指 導 とは、個 人 資料 、職 業 ・学校 情 報 、啓 発的経 験 お よび相 談 を通 じて 、生徒 みず か ら将来 の進 路 を 選 択 ・ 計 画 し、就職 また は進 学 して さ らにそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る能 力 を伸 長 す る よ うに、教 師 が教 育 の 一環 と して組 織 的・継 続 的 に援 助 す る過 程 で あ る」。
(オ )文 部 省 「中学校 ・高 等 学校 進 路 指 導 の手 引 「中学 校 学級 担任 編 」 昭和 36(1961)年 「進 路 指 導 とは 、生 徒 の個 人 資料 、進 路 情 報 、啓 発 的経 験 お よび相 談 を通 して 、生徒 みず か ら、将 来 の 進 路 の選 択 ・ 計 画 を し、就職 また は進 学 して 、 さ らにそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る 能 力 を伸 長 す る よ うに、教 師 が組 織 的・継 続 的 に指 導・援 助 す る過 程 で あ る」。 この定義 で は 、職 業 指 導 とい う用語 に変 わ って 、進 路 指 導 (career guidance)と い う用語 が使 われ てい る。そ して 、 この定義 は① 生徒 の 自主的 な将 来 の進 路 の選 択 と計 画 に必、 要 な能 力 と、② そ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩 す るの に Z、 要 な能 力 の伸 長 を、③ 教 師 が組 織 的 、継 続 的 に指 導 ・援 助 す る過 程 で あ る と生徒 の 自主性 や 主体性 が重 視 され た もの とな って い る。
そ して 、昭和 58(1983)年 の 「中学校 0高 等 学校 進 路 指 導 の手 引 「高等 学校 ホー ムル ー ム担 任
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編 ―」で は 、「進 路指 導 は 、生徒 の一 人 ひ と りが 、自分 の将 来 の 生 き方 へ の 関心 を深 め、自分 の能 力・適 性 等 の発 見 と開発 に努 め、進 路 の世 界へ の知 見 を広 くかつ深 い もの と し、や が て 自分 の将 来 の展 望 を持 ち、進 路 の選 択 に計 画 を し、卒業 後 の生 活 に よ りよ く適応 し、社会 的・職 業 的 自己 実現 を達成 して い くこ とに必、 要 な、 生徒 の 自己指 導 力 の伸 長 を 目指 す 、教 師 の計 画 的 、組 織 的 、 継 続 的 な指 導 ・援 助 の過 程 と言 い換 え る こ ともで き る」 と記 載 され てい る。
そ の後 文部省 は 、進 路指 導 の 定義 を改 正 しな い ま ま今 日に至 って い る。 そ こで 日本進 路指 導 学 会 は、 昭和 62(1987)年 10月 、進 路 指 導 定義 委 員 会 の 下 に、総合 的 定義 と学 校 教 育 にお け る定義
を行 って い る (日 本 進 路指 導 学 会『 進 路 指 導 年 報 』 1988)。
総 合 的 定義 「進 路指導 は、個 人が、生涯 にわた る職 業 生活 の各段 階・各場 面 にお いて、 自己 と職 業 の世 界 へ の知 見 を広 め、進 路 に関す る発達課 題 を主体 的 に達成す る能 力、態 度 を養 い 、そ れ に よって 、個 人 ・ 社 会 の双 方 に とって最 も望 ま しい キ ャ リアの形 成 と職 業 的 自己実現 を図 る こ とがで き る よ う、教 育 的 0社 会 的機 関 な らび に産 業 にお け る専 門的 立場 の援 助 者 が 、体 系 的 、継 続 的 に指 導援 助 す る過 程 で あ る」。この定義 は、個 人 の生涯 にお け るキ ャ リア形 成 に視 点 を置 い た
もので あ る。
学校 教 育 にお け る定義 「学校 にお け る進 路指導 は、学校 教育 の各段 階 にお ける 自己 と進 路 に 関す る探 索 的・体験 的諸活 動 を通 して 、在 学 青 少 年 み ず か ら、自己 と職 業 の世 界 へ の知 見 を広 め、
進 路 に 関す る発達課 題 を主 体 的 に達 成 す る能 力 、態度 を養 い 、それ に よって 、 自己の人生設 計 の も とに、進 路 を選 択 ・ 実現 し、 さ らに卒 業 後 の生活 にお い て職 業 的 自己実現 を図 る こ とが で き る よ う、教 師 が学校 の教 育活 動 全 体 を通 じて 、総 合 的 、体 系 的 、継続 的 に指 導援 助 す る過 程 で あ る」。
これ は総 合 的 定義 の 一環 と して の学校 教 育 を対象 に した 定義 で あ る。
(2)進 路 指 導 の基本 的性 格
学校 教 育 活 動 にお け る進 路 指 導 は 、次 の よ うな基本 的性 格 を もつて い る (中 学校 ・ 高等 学校 進 路 指 導 の手 引 ― 中学校 学級 担 任 編 ― (改 訂版 )、 昭 和 58(1983)年
)。(ア )進 路 指 導 は 、生徒 自 らの 生 き方 につ い て の指 導 ・援 助 で あ る。
(イ )進 路 指 導 は 、個 々 の生徒 の職 業 的 発達 を促 進 す る教 育活 動 で あ る。
(ウ )進 路 指 導 は 、一 人 ひ と りの生徒 を大切 に し、そ の 可能性 を伸長 す る教 育活 動 で あ る。
(工 )進 路 指 導 は 、生徒 の入学 当初 か ら毎 学 年 、計 画 的 、組 織 的 、系統 的 に行 われ る教 育活 動 で あ る。
(オ )進 路 指 導 は 、家 庭 ・地域 社 会 0関 係 諸機 関等 との連 携 、協 力が特 に必 要 と され る教 育活 動 で あ る。
学校 教 育活 動 には 、教科 指 導 をは じめ多様 な教 育 活 動 が行 われ て い るが 、進 路指 導 は、生徒 の 将 来 の生 き方 に 関す る指 導 で あ り、そ の 生 き方 とは キ ャ リア の変遷 を意 味す る もの で あ るか ら、
特 に キ ャ リア発 達 を促 す指 導 が求 め られ る。 進 路 指 導 は 、生徒 一人ひ と りが将 来 の職 業 的 自己実
現 を 目指 す た め に、 各 生徒 の皆既 を尊 重 し、それ を開 発 、育成す る指 導 で な けれ ば な らない。 進
路 指 導 は、卒 業 年 度 に行 う一 時 的 な受 験 指 導 や 就職 斡 旋 で は ない。 キ ャ リア 発達 を図 る こ とが進
路 指 導 の 中核 的活 動 で あ る こ とを 考えれ ば、 入学 当初 か ら計 画 的 、継 続 的 に行 うこ とは 当然 な こ
とで あ る。 進 路指 導 の効果 を上 げ よ うとすれ ば 、直接 進 路指 導 に関わ る 一部 の教 師 に任 せ るの で
は な く、全 教 員 の一 致 した協 力体制 の も とに進 め る こ とが重 要 で あ る。 さ らに、父母 や 上級 学校
等 との連 携 ・ 協 力の も とに進 め られ る とき進 路 指 導 の成 果 は達成 され るの で あ る。 進 路指 導 の効
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果 を高 め るた め に は 、この よ うな進 路 指 導 の基本 的 な性 格 をお さえなが ら進 め られ る必 要 が あ る。
Ⅲ .キ ヤ リ ア 発 達 の 意 義 と 教 育
人 が生 きて い く とい うこ とは 、何 らか の職 業 に就 い て生計 の維 持 を図 る と同時 に、 また社 会 的 役 害 Jを 果 た し、社 会 的・職 業 的 自己実現 を発 揮 す る とい うこ とで もあ る。 そ のた め には人 生 の重 要 な発 達過 程 に あ る青少年 期 にお い て キ ャ リア発 達 を図 り、生涯 にわ た って キ ャ リア開発 に向か って意欲 的 に取 り組 む 姿勢 を養 うこ とが教 師 に望 まれ る。
1.キ ヤ リア発 達 の概 念 4
最 近 、職 業 (vocation)と い う言葉 にかわ って 、 キ ャ リア (career)と い う言葉 が頻 繁 に使 用 され る よ うにな って きて い るの キ ヤ リア とい う言葉 は 、 日本語 で は、経歴 、生涯 、職 業 、仕 事 な ど と訳 され て使 われ て い る。 進 路指 導 の領域 で は、進 路 とい う言葉 が あて られ てい る。 ク ロール
(Kroll,A.Mo et al,1970)に よれ ば 、「個 人 の労働 に関す る行 動 の生涯 にわ た る系列 や パ ター ン を示 し、正 式 に職 業 につ く前 後 の 労働 に関連 した経 験 や 活動 のす べ て を含 んで い る」 (武 衛
5,1991)と され 、 キ ャ リア発 達 は、職 業 的 発達 よ りも拡 大 され た概 念 で あ り、生涯 にお け る社会 的 諸 活 動 や 社 会 的役割 を含 ん だ もの とな って い る。
また 、 スー パ ー (super,Do E。 )が 国際応 用 心理 学 会 にお け る講 演 の 中で 、 キ ャ リア の意 味 に つ いて次 の よ うに述 べ てい る (中 西 6,1995)。
「キ ャ リア とは、人 々が生涯 にお いて追求 し、 占めてい る地位 、職 務 、業務 の系列 で あ る」 と し、狭義 の仕 事 とか職 業以外 の社会 的役害 Jも 総 合 的 に と らえ られ て い る。 つ ま り、 キ ャ リア とか キ ャ リア発 達 とい う言 葉 は、職 業 生活 に限定 した もの で はな く、人間の生涯 を視 点 にお いた生 き 方や 社会 的役 害 Jと の 関連 で と らえ られ て い る こ とが わ か る。職 業以外 に も人生 の 中で果 たす役害 J
は多 くあ る。 学 生や 主 婦 、 引退 後 の ボ ランテ ィア活 動 に よって社 会 的貢献 に人生 を託 し、人 生 に 意 味 を見 い だ そ うとす る人 々 は確 か に存在 して い る。 この よ うに人 生 の 中で果 たす役害 Jを 強調 し た概念 と して使 われ て い る。
職 業 以 外 にお い て果 たす 役 害 Jと して 、スー パ ー は 、子 ども、学 生 (勉 強 )、 余 暇 人 (趣 味や レジ ャー活 動 )、 市民 (社 会奉仕 活 動 等 )、 労働 者 (労 働 )、 家 庭 人 (家 事 や 養 育等 )、 退 職 者 、そ の他 の役害 Jを あ げ てお り、 これ らの役 割 を生涯 の各 時期 で い か に果 た して い くか とい うプ ロセ ス全 体 が キ ャ リア発 達 と して と らえ られ て い るの で あ る。 そ して、人 が どの時期 に どの役 割 を どれ だ け 重 要視 す るか が 、そ の人 の生 き方 を示 して い る こ とにな る。
発達 段 階 にお い て果 たす 役 割 の重 要性 は異 な る訳 で あ るが 、 この役害 Jの 重 要性 は 3つ の次 元 に
よつて決 定 され る とい う。そ の 1つ は 、あ る役 害 Jの 態 度 的・情意 的側 面 と して の 「関与 」で あ る。
これ は、それ ぞれ の役害 1に どの程 度 心理 的 に関 わ つた か とい うこ とで あ る。 2つ 日は 、行 動 的側
面 と して の 「参加 」 で あ る。 これ は 、 あ る役害 1に 対 して どの程 度 の時 間や エ ネ ル ギー を投 入 した
か とい う次 元 で あ る。 3つ 目は 、認 知 的倶 1面 と して の 「知識 」 で あ る。 これ は、そ の役害 1に つ い
て の正確 な情 報 を どの程度 もつて い るか とい うこ とで あ る。 これ らの 3要 素 に よって あ る役 害 1の
重 要性 が決 定 され 、相 互 作 用 しな が ら個 人 の生 き方 が決 定 され るの で あ る c近 年 、学校 にお け る
進 路指 導 も、 生涯進 路 発 達 を視 点 に置 い た、人 間 と して の在 り方 生 き方 の指 導 が強調 され てい る
進路指導 Ⅱ 79
が 、今 後 の進 路指 導 にお い て は、 この よ うな キ ャ リア発 達 とい う観 点 か ら進 め る こ とが求 め られ る よ うに な って きて い る。 人 の生涯 は、労働 に 中心 を置 きなが ら、社 会 的役 割 の分担 の変遷 に ほ か な らな い の で あ る。
2.キ ャ リア成 熟 の特 徴7
学校 教 育 にお い て 、進 路 指 導 を実践 し、そ の効 果 をあげ よ うとす る とき、個 々の生徒 の キ ャ リ ア発達 状 態 を把握 す る こ とが大切 で あ る。 そ の キ ャ リア発達 の過 程 、程度 、水 準 を表す 用語 と し て キ ャ リア成 熟 とい う言葉 が使 われ て い る。 武衛 5(1991)は
、「進 路 指 導 とい う個 人 が い つそ う 価 値 の あ る社 会 人 、職 業人 に 向か つて成 長 して い くの を援 助 す る活 動 の理 論 的根拠 と して は、 こ の『 キ ャ リア成 熟』 は よ り適 切 な概 念 で あ る」 と述 べ て い る。 そ して この キ ャ リア成 熟 の状態 を 測 定 し評価 す るた めの基 準 づ く りとそ の尺度 が考 案 され て きた。わ が国 で は、中西 6(1976)に よ
って進 路 発 達検 査 が作成 され 、そ の 中の キ ャ リア成 熟 尺度 には、① 自発性 〜 日常生活 にお け る興 味や 関心 が どの程 度 主体 的 に進 路 と関係 づ け られ て い るか。 ②独 立性 〜進 路決 定や それ まで の過 程 が どの程 度 他 人 に依 存 的 で な く、 自分 の意 志 と責任 にお いて な され てい るか。③ 計 画性 〜進 路 に対 して どの程 度 具 体 的 で有効 な手段 を見つ け、 かつ 永 い時 間的展 望 を もつて い るか。 これ らの
3つ の次 元 か ら と らえ られ て い る。
生徒 が将 来 の進 路 へ の 関心 を強 め、仕 事 に何 を求 め るのか を明確 化 し、 自分 の進 路 は主体 的 に 自分 で選 択 決 定 し、進 路選 択 過 程 にお け る正 しい判 断 が で き るよ うな能 力や 態度 を育 て る こ とが 、 キ ャ リア 発達 を図 る こ とで あ り、進 路指 導 の大切 な活 動 で もあ る。また 、文部 省発行 の 「中学校 ・ 高等 学校 進 路 指 導 の手 引 一高等 学校 ホー ムル ー ム担 任 編 ― (改 訂 版 )1978」 に は 、職 業 的発 達 (キ
ャ リア発 達 )の 評価 の観 点 と して 、次 の 7つ の項 目が示 され て い る。
(1)自 己の能 力・適 性 等 、 自己の総 合 的理解 を、現 実 的 な条件 に基づ いて吟 昧 し、修 正 してい るか。
(2)将 来 の生 き方 に 自分 で責任 を もつ こ とが わ か り、最 も望 ま しい生 き方 を十分 に検討 して い るか。
(3)暫 定 的 な進 路 計画 に検 討 を加 え、 よ りよい計画 を立案 して い るか。
(4)従 来 の啓 発 的経 験や 探 索 的活 動 の成 果 を受 けて 、仕 事 の世 界 へ の知識 ・理解 が十 分 に あ る
か 。