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一キ ャリア教育 の在 り方 について 一

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ヽ /1SI(D  NO。 39   73‑93. 2009 73

進路指導 Ⅱ

一キ ャリア教育 の在 り方 について 一

は じめ に

「キ ャ リア教 育」 とい う文 言が、 文部科学行政 関連 の審議会報 告等 で初 めて 登場 したのは、 中 央 教 育審 議 会 答 申 「初等 中等教 育 と高等 教育 との接 続 の改 善 につ い て」 1999(平 成 H年 12月 )で

あ る。 この答 申は 、学校 種 間 にお け る接 続 だ けで は な く、「学校 教 育 と職 業 生 活 との接続 」の改 善 も視 野 に入れ た t)の で あ り、 具体 的 に は 「小学 校 段 階 か ら発 達段 階 に応 じて キ ャ リア教 育 を実施 す る Z、 要 が あ る」 と提 言 され た。

そ の後 、初 等 中等 教 育 にお け るキ ャ リア教 育 の在 り方 につ い て は 、学識 経 験者 や 経 済 団体 関係 者 、学校 教 員 等 で構 成 され る協 力者 会議 を設 け 、 2004(平 成 16年 1月 )に 「キ ャ リア教 育 の推進 に 関す る総 合 的調 査研 究協 力者 会議 報 告書」 を公 表 した。 この 中で 、 キ ャ リア教 育 は 「児童 生徒 一 人一 人 の キ ャ リア発達 を支援 し、それ ぞれ にふ さわ しい キ ャ リア を形 成 して い くた め に必要 な 意欲 0態 度 を育 て る教 育」 と定義 され 、「初 等 中等 教 育 にお け るキ ャ リア教 育 の推 進 」が提 言 され た。

また 、 2003(平 成 15年 6月 )、 文部 科学 大 臣、厚 生 労働 大 臣、経 済 産 業 大 臣及 び経 済財 政 政 策 担 当大 臣か らな る 「若 者 自立 0挑 戦 戦 略 会 議 」 にお い て 「若 者 自立・挑 戦 プ ラ ン」 が取 りま とめ ら れ 、そ の 重 要 な柱 と して キ ャ リア教 育 の推進 が位 置 付 け られ た。 そ の後 、 内閣官房 長官 、農 林 水 産 大 臣、少 子化 ・ 男 女 共同参 画担 当大 臣 も加 え、「若 者 の 自立・ 挑 戦 の た めの ア クシ ョンプ ラ ン」

2004(平 成 16年 12月 )が 策 定 され 、 キ ャ リア教 育 の 充 実 を図 る こ と と され た。 さ らに、 2008年 1

月 には 、「若 者 の 自立・挑 戦 の た めの ア クシ ョンプ ラ ン」の改訂版 が 、取 りま とめ られ そ の強 化 が 図 られ て い る。

この よ うな 中、 文部 科学 省で は 、 2004(平 成 16年 )度 に は小学校 ・ 中学校 ・ 高等 学校 を通 じ組 織 的・ 系統 的 な キ ャ リア教 育 を行 うた めの指 導 方法 ・指 導 内容 の 開発等 を行 う 「キ ャ リア教 育推 進 地域 指 定事 業 」や 、 2007(平 成 17年 )度 には産 学 官 の連 携 に よ る職 場 体験 0イ ン ター ン シ ップ の推進 の た めの システ ムづ く りな ど地域 の教 育 力 を最 大 限 に活 用 し、 キ ャ リア教 育 の 更な る推 進 を図 るた め の調査研 究 を行 う 「キ ャ リア教 育 実践 プ ロジ ェ ク ト」 な ど、様 々な施 策 を実施 して き た。 しか し、各 学校 の現状 を見 る と、 キ ャ リア教 育 の∠、 要性 は理 解 され な が ら も、そ の 意 味や 受 け止 め方 が 多様 で 、教 育 課程 の見 直 し、体験 活 動 等 の取 り組 み が十 分 とは 言 えない。 そ の よ うな 状 況 に鑑 み 、 この たび 、先 の 「キ ャ リア教 育 の推 進 に 関す る総 合 的調 査研 究 協 力者 会議 報告 書 」 の 内容 を、 よ りわか りやす くす る観 点 か ら、「キ ャ リア教 育推進 の 手引」 が 作成れ た。

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『 毎 日新 聞 の』 2009年 2月 3日 付 けの 「キ ャ リア教 育   学校 任 せ で は実 を結 ば ない」は 、「文部 科 学相 の諮 問 で 、中央 教 育審 議 会 が『 キ ャ リア教 育・職 業 教 育 の あ り方』につ いて審議 を始 めた」

崎 勝 也

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74 鋤 峙 勝 也

「キャ リア教育 とは何か。 中教審は99年 、中学・高校 と大学の教育のつなげ方について答 申 した 際 、 この言葉 を用い『 望 ま しい職 業観 ・勤労観お よび職業 に関す る知識や技能 を身 につ け させ 、 自己の個性 を理解 し、主体的 に進路 を選択す る能 力・態度 を育て る教育』 と定義 した」 と言 う。

「新学習指導要領では、例 えば小学校では国語や道徳、総合的な学習の時間などにこうした理念 をち りばめ、 中学では職場訪 問な ど体験活動の充実を うた う。高校で Fキ ャ リア教育』 の文言が 登場 し、 推進 のため産業現場 で長期 間の実習 な どをす るよ う求 めてい る」「こ うした中で今回の諮 問のポイ ン トは F体 系化』 だ。将来社会 に出て職 に就 くために学校 の各段階で求め られ る『 基礎 的で何 にで も有用な能 力』 を明 らかにす る。それ を確 実に育成 で きるよ うな体系的なキャ リア教 育の充実策 を考 えてほ しい とい うのだ。 具体的な例示 はないが、 コ ミュニケー シ ョン能 力か ら責 任感 、協調性 とチー ム ワー クな どに至 るまで 目標 はい くつ も想定できる」「そ して諮問は、専門的 知識 0技 能 を育成す る従来の高校 、大学の職業教育のあ り方 も見直 し、社会の多様 なニーズに柔 軟 に応 えるもの を、 と求 めてい る」 としてい る。

そ もそ も近年学校 にキャ リア教育の必要性 が指摘 され たのは、産業構造や就業形態の変化 とと もに就職 に対す る意識 も変 わ った ことに よる。諮 問理 由による と、新卒者が就業後 3年 以 内に離 職す る害 J合 は中学卒約 7害

1、

高校 卒約 5害

1、

大学卒約 4害 Jと い う。 ただ、キャ リア教育が事態改 善 に有用 で も、学校教育の範 囲に とどめていたのでは十分な効果 は望 めない。地域社会や雇用者 倶 1に 常 に新 しい人材 を受 け入れ 、責任 を もつて育て伸 ばす姿勢がなけれ ば、在学中のイ ンター ン シ ップの よ うな実習体験教育 さえ形骸化 しかねない。 また視点 を変 えれ ば、キャ リア教育が 目指 す ものは教育改革の基本理念 である『 生 きる力』 と重 なる。 この よ うな課題 について、熊本県専 門高校 に長 く身 を置 いた経験 を基 に、専門高校 のキャ リア教育 を通 して検討 0提 案 してみたい。

進路指導

職 業指 導 (Vocational Guidance)は 、ア メ リカ のパ ー ソンズ (Parsons.F)が 1908年 にボ ス ト ン に 職 業 局 を 設 立 して か ら約 100年 を 経 過 し、 入 澤 宗 寿 が 1915年 に ア メ リカ の VOcatiOnal Guidanceを 職 業指 導 と訳 して 、わ が 国 に紹 介 して か ら 94年 の歴 史 にな る。歴 史的 には 、「職 業指 導 か ら進 路 指 導 へ 」、さ らに「進 路指 導 か らキ ャ リア教 育へ」と変遷・推移 してい る。キ ャ リア には、

職 業 生活 段 階 と して の ワー ク・ キ ャ リア (Work CareOr)を 指 す 場 合 と、一 生涯 に互 る生 活 と して の ライ フ 0キ ャ リア (Life Career)の 捉 え方 が あ る。 学校 の キ ャ リア教 育 で は ライ フ・ キ ャ リア の立場 に 立 って い る。 ただ しキ ャ リア教育 の 中心 は、 あ くまで もキ ャ リア発達 、社会的発達 で あ る こ とは認 識 してお く必ヽ 要 が あ る。 2004(平 成 16年 )は 「キ ャ リア教育元年 」といわれ るよ うに、

わ が 国 の学校 教 育 は 、今 まで の職 業 教 育・進 路指 導 を中核 に据 えて、小学校段 階か らキ ャ リア教 育 を推 進 して い る。

2

1.進 路 指 導 の現 状 と課 題

進 路指 導 とは、卒 業 時 に行 う単な る就職 斡旋 や 成績 に基づ く受験 対策 的 な進 学指 導 で はない。

それ は個 人 が か けが えの な い 自分 の人 生 を ど う生 き るの か とい った生 き方の指 導 で あ り、 キ ャ リ ア発 達 を図 る指 導 で あ る。人 間 の一 生 は キ ャ リアの変遷 を意 味 してい る。キャ リア とい う言葉 は、

経歴 、職 業 、進 路 な ど と訳 され て い るが 、進 路 指 導 上 は、人 が一 生 を どの よ うに送 るか とい った

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進 路指導 Ⅱ 75

事柄 に 関 して使 用 され る。 これ か らの進 路指 導 は 、個 人 の キ ャ リア発達 に視 点 を置 いた活動 が特 に要求 され る。

学校 教 育 は 、教 育 基本 法 第 1条 に 「教 育 は 、人格 の完成 を 目指 し、平和 的 で民主 的 な国家及 び 社 会 の形 成 者 と して 、必要 な資 質 を備 えた心身 と t)に 健 康 な国民 の育成 を期 して行 わ な けれ ば な らない と」定 め られ て い る よ うに、子どもた ちの 人格 の完 成 を 日指 して行 われ るべ き もので あ る。

ところが 、今 日の学 校 教育 は 、受 験 教 育 といわれ る よ うに、い い学校 、い い大学 を 目ざ した学 力 形 成 に偏 った教 育 に終 始 して い る と批 判 され て 欠 しい。 文部科 学 省 もこの事 実 を認 め、各種 の委 員 会 を通 して学校 教 育 の改 善 を行 って きた

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2.改 善 の 方 向

イ 固性 よ りも成 績 の順位 が優 先 され る偏 差値 信仰 に偏 ってい る等 、本 来 の在 り方 を見失 ってい る 学校 の進 路 指 導 を抜 本 的 に 見直 し、指 導 の転換 を図 る こ とが必、 要 で あ る。 次 に、改 善 の基 本 的視 点 を述 べ る。

(1)中 学校 選 択 の指 導 か ら生 き方 の指 導 へ の転換

生徒 が往 来 の生 き方 につ い て 多様 な選 択 が可能 で あ る こ とを理解 し、 自己の進 路 を探 索す る こ とを指 導 し援 助 す る こ と。

(2)進 学 可能 な学校 の選 択 か ら進 学 した い学 校 の選 択 へ の指 導 の転 換

生徒 が 、 自己の将 来 の生 き方 に照 ら して、 上級 学校 で学 ぶ意義 を理解 し、 目的 を持 って 、進 学 したい学校 を選 択 す る よ う指 導 0援 助 す る こ と。

(3)100%の 合 格 可能性 に基 づ く指 導 か ら生徒 の意欲 や 努 力 を重視 す る指 導 へ の転換

生徒 が 具体 的 な進 学 志 望 を選 択 す るに 当た って は 、 日頃 の学習成績 に基づ いて助 言 し志 望 の実 現 に向 けて努 力す る過 程 を指 導 ・援 助 す る こ と。

(4)教 師 の選 択 決 定 か ら生 徒 の選 択 決 定へ の指 導 の転 換

生徒 が進 学 志 望校 の選 択 を含 め、将 来 の生 き方 を 自分 の意 志 で選 択 し、 自分 自身 で責任 を負 う こ とが で き る よ うに指 導・援 助 す る こ と。

こ うした指 導 の転換 は、各 学校 が 、そ の進 路指 導 の 計 画、それ に基づ く指 導 の展 開及 び指導 体 制 な ど、 これ まで の進 路指 導 の在 り方 を見直 し、そ の 基本 に立 ち返 る こ とに他 な らず 、それ 以外 に方 法 は な い と指 摘 され て い る。 そ の た めに Z、 要 な こ とは 、各学校 が指 導 体 制 を確 立 し、教 師 の 研 修 を図 り、進 路 指 導 がす べ て の教 師 に とって 、重 要 な学校 教育活 動 の一環 で あ る こ とを認識 さ せ る こ とが 大 切 で あ る。

進 路指 導 を生 き方 の指 導 と して 、学校 教 育 にお い て進 めて い くた めには、教 師や 父母 の意識 に 強 く残存 して い る偏 差値 信 仰 を克服 す る こ とが何 よ りも大切 で あ る。 個性 よ りも成績 の I贋 位 が優 先 され る と、教 育 が 手段 化 され 、 自己概 念 の無気 力化 か生 じる。 そ の結果 、生徒指 導 は、生徒 の 補 導や 矯 正 が 主体 とな り、生 徒 指 導 の本 質 的機 能 で あ る、 よ りよき人格 の発達 を図 る とい う側 面 が 見失 われ る こ とに な る。 つ ま り、教 師 は、教 育 の原 点 に立 ちか え り、子 ど も一人 ひ と りの人格 を尊 重す る姿 勢 を育 て 、教 育 実践 を正 しい軌 道 に乗せ る こ とが大切 で あ る。

教 育課 程 審議 会 1987(昭 和 62年 12月 24口 )は 、「教 育課 程 の基 準 の改 善 につ いて」 答 申 を行 い 、

そ の一番 目に 、「豊 か な心 を もち、た くま しく生 き る人 間 の育成 を図 る こ と」を挙 げてい る。そ の

た め には 、真理 を求 め る心や 自然 を愛 し美 しい ものや 崇 高 な もの に感 動す る心 を育 て る こ と、生

命 を尊 重 す る心や他 人 を思 いや る心 を育 て る こ と、感謝 のフ とヽ や公 共 の た め に尽 くす 心 を育 て る こ

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76 鋤 峙 勝 也

と、す こや か な精 神 と身 体 を育 て る こ と、基本 的 な生活 習 1貫 を身 につ け 自 らの意 思 で社 会 規 範 を 守 る態 度 を育 て る こ と、 自律 ・ 自制 の心や 強靭 な意 志 と実践 力 を育 て る こ と、 自 ら生 き る 目標 を 求 めそ の 実現 に努 め る態度 を育 て る こ と、 な どに配 慮 す る必要 が あ る と指 摘 してい る。 この こ と は裏返せ ば 、現 代 の子 どもが ノ と` の豊 か さをな く し、た くま しさに欠 け、生 き る力 を減退 させ て い る こ とに ほか な らな い。 こ こに は人 間 と して の在 り方 生 き方が示 され てい るが 、特 に今 日、進 路 指 導 にお い て も この こ とが強調 され て い る。

3.進 路 指 導 の 定 義 と性 格

(1)進 路 指 導 の定義

進 路 指 導 とい う言 葉 は、 1961(昭 和 36)年 の 文部 省 「中学校 ・ 高等 学校進 路指 導 の 手 引 「中学 校 学級 担 任 編 」 の なか で使 用 され る まで は、職 業指 導 とい う用語 が使 用 され て いた。 そ こで 、 わ が 国 にお け る定義 の変遷 を仙埼 3(1991)を

参 考 に しな が ら検討 してお きた い。

(ア )文 部 省 「職 業指 導学 習 指 導 要 領 」昭和 22(1947)年 「職 業指導 とは、個 人が職 業 を選択 し、

そ の準備 を し、就 職 し、進 歩 す るの を援 助 す る過 程 で あ る」。 この定義 は、ア メ リカの全 国職 業指 導 協会 の 1937年 の 定義 「職 業指 導 とは 、 1つ の職 業 を選 び 、それ に向か う準備 を し、そ の生活 に 入 り、 かつ そ の生活 にお い て進 歩す る よ うに個 人 を援 助 す る過 程 で あ る。 それ は主 と して将 来 の 計画 を 立て キ ャ リア を形成 す るた め の決 定や 選 択 満 足 の い く職 業適応 を もた らす の に必 要 な決 定 と選 択 "を 援 助 す るの に 関 わ つて い る」 の定義 を参 考 に され て い る こ とが わ か る。 この よ うに わ が 国 の職 業 指 導 の歴 史や 指 導 の動 きは 、ア メ リカ の影響 を強 く受 け展 開 して きた。

(イ )文 部 省 「中学校 ・ 高 等 学校 職 業指 導 の手 引」 昭 和 24(1949)年 「職 業指 導 とは、個 人が生 計 費 を得 て 、自己お よび社 会 の た め に最 も有 益 な生活 をす る よ う、個 人 に職 業 訓練 を与 えた 上 に、

そ の天賦 の 才能 を発 見 し、活 用す る こ とを援 助 す る過 程 で あ る」。この定義 もア メ リカ合衆 国教 育 局 の定義 を ほ ぼ踏 襲 して い る。

(ウ )文 部 省 「学校 の行 う就職 指 導 」昭和 26(1951)年 「職 業指 導 とは、生 徒 の個 人 資料 、進 学・

就 職 情 報 、啓 発 的経 験 、相 談 、斡 旋 、追指 導 な どの機 能 を通 して 、生徒 が 自 ら将 来 の進 路 を計 画 し、進 学 ・ 就職 して 、 更にそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る よ うに、教師 が教 育 の 一環 と して援 助 す る過 程 で あ る」

(工 )文 部 省 「中学校 ・高等 学校 職 業指 導 の手 引 ―管理 0運 営編 」 昭和 30(1955)年 「職 業指 導 とは、個 人 資料 、職 業 ・学校 情 報 、啓 発的経 験 お よび相 談 を通 じて 、生徒 みず か ら将来 の進 路 を 選 択 ・ 計 画 し、就職 また は進 学 して さ らにそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る能 力 を伸 長 す る よ うに、教 師 が教 育 の 一環 と して組 織 的・継 続 的 に援 助 す る過 程 で あ る」。

(オ )文 部 省 「中学校 ・高 等 学校 進 路 指 導 の手 引 「中学 校 学級 担任 編 」 昭和 36(1961)年 「進 路 指 導 とは 、生 徒 の個 人 資料 、進 路 情 報 、啓 発 的経 験 お よび相 談 を通 して 、生徒 みず か ら、将 来 の 進 路 の選 択 ・ 計 画 を し、就職 また は進 学 して 、 さ らにそ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩す る 能 力 を伸 長 す る よ うに、教 師 が組 織 的・継 続 的 に指 導・援 助 す る過 程 で あ る」。 この定義 で は 、職 業 指 導 とい う用語 に変 わ って 、進 路 指 導 (career guidance)と い う用語 が使 われ てい る。そ して 、 この定義 は① 生徒 の 自主的 な将 来 の進 路 の選 択 と計 画 に必、 要 な能 力 と、② そ の後 の生活 に よ りよ く適応 し、進 歩 す るの に Z、 要 な能 力 の伸 長 を、③ 教 師 が組 織 的 、継 続 的 に指 導 ・援 助 す る過 程 で あ る と生徒 の 自主性 や 主体性 が重 視 され た もの とな って い る。

そ して 、昭和 58(1983)年 の 「中学校 0高 等 学校 進 路 指 導 の手 引 「高等 学校 ホー ムル ー ム担 任

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進 路指導 Π 77

編 ―」で は 、「進 路指 導 は 、生徒 の一 人 ひ と りが 、自分 の将 来 の 生 き方 へ の 関心 を深 め、自分 の能 力・適 性 等 の発 見 と開発 に努 め、進 路 の世 界へ の知 見 を広 くかつ深 い もの と し、や が て 自分 の将 来 の展 望 を持 ち、進 路 の選 択 に計 画 を し、卒業 後 の生 活 に よ りよ く適応 し、社会 的・職 業 的 自己 実現 を達成 して い くこ とに必、 要 な、 生徒 の 自己指 導 力 の伸 長 を 目指 す 、教 師 の計 画 的 、組 織 的 、 継 続 的 な指 導 ・援 助 の過 程 と言 い換 え る こ ともで き る」 と記 載 され てい る。

そ の後 文部省 は 、進 路指 導 の 定義 を改 正 しな い ま ま今 日に至 って い る。 そ こで 日本進 路指 導 学 会 は、 昭和 62(1987)年 10月 、進 路 指 導 定義 委 員 会 の 下 に、総合 的 定義 と学 校 教 育 にお け る定義

を行 って い る (日 本 進 路指 導 学 会『 進 路 指 導 年 報 』 1988)。

総 合 的 定義   「進 路指導 は、個 人が、生涯 にわた る職 業 生活 の各段 階・各場 面 にお いて、 自己 と職 業 の世 界 へ の知 見 を広 め、進 路 に関す る発達課 題 を主体 的 に達成す る能 力、態 度 を養 い 、そ れ に よって 、個 人 ・ 社 会 の双 方 に とって最 も望 ま しい キ ャ リアの形 成 と職 業 的 自己実現 を図 る こ とがで き る よ う、教 育 的 0社 会 的機 関 な らび に産 業 にお け る専 門的 立場 の援 助 者 が 、体 系 的 、継 続 的 に指 導援 助 す る過 程 で あ る」。この定義 は、個 人 の生涯 にお け るキ ャ リア形 成 に視 点 を置 い た

もので あ る。

学校 教 育 にお け る定義   「学校 にお け る進 路指導 は、学校 教育 の各段 階 にお ける 自己 と進 路 に 関す る探 索 的・体験 的諸活 動 を通 して 、在 学 青 少 年 み ず か ら、自己 と職 業 の世 界 へ の知 見 を広 め、

進 路 に 関す る発達課 題 を主 体 的 に達 成 す る能 力 、態度 を養 い 、それ に よって 、 自己の人生設 計 の も とに、進 路 を選 択 ・ 実現 し、 さ らに卒 業 後 の生活 にお い て職 業 的 自己実現 を図 る こ とが で き る よ う、教 師 が学校 の教 育活 動 全 体 を通 じて 、総 合 的 、体 系 的 、継続 的 に指 導援 助 す る過 程 で あ る」。

これ は総 合 的 定義 の 一環 と して の学校 教 育 を対象 に した 定義 で あ る。

(2)進 路 指 導 の基本 的性 格

学校 教 育 活 動 にお け る進 路 指 導 は 、次 の よ うな基本 的性 格 を もつて い る (中 学校 ・ 高等 学校 進 路 指 導 の手 引 ― 中学校 学級 担 任 編 ― (改 訂版 )、 昭 和 58(1983)年

)。

(ア )進 路 指 導 は 、生徒 自 らの 生 き方 につ い て の指 導 ・援 助 で あ る。

(イ )進 路 指 導 は 、個 々 の生徒 の職 業 的 発達 を促 進 す る教 育活 動 で あ る。

(ウ )進 路 指 導 は 、一 人 ひ と りの生徒 を大切 に し、そ の 可能性 を伸長 す る教 育活 動 で あ る。

(工 )進 路 指 導 は 、生徒 の入学 当初 か ら毎 学 年 、計 画 的 、組 織 的 、系統 的 に行 われ る教 育活 動 で あ る。

(オ )進 路 指 導 は 、家 庭 ・地域 社 会 0関 係 諸機 関等 との連 携 、協 力が特 に必 要 と され る教 育活 動 で あ る。

学校 教 育活 動 には 、教科 指 導 をは じめ多様 な教 育 活 動 が行 われ て い るが 、進 路指 導 は、生徒 の 将 来 の生 き方 に 関す る指 導 で あ り、そ の 生 き方 とは キ ャ リア の変遷 を意 味す る もの で あ るか ら、

特 に キ ャ リア発 達 を促 す指 導 が求 め られ る。 進 路 指 導 は 、生徒 一人ひ と りが将 来 の職 業 的 自己実

現 を 目指 す た め に、 各 生徒 の皆既 を尊 重 し、それ を開 発 、育成す る指 導 で な けれ ば な らない。 進

路 指 導 は、卒 業 年 度 に行 う一 時 的 な受 験 指 導 や 就職 斡 旋 で は ない。 キ ャ リア 発達 を図 る こ とが進

路 指 導 の 中核 的活 動 で あ る こ とを 考えれ ば、 入学 当初 か ら計 画 的 、継 続 的 に行 うこ とは 当然 な こ

とで あ る。 進 路指 導 の効果 を上 げ よ うとすれ ば 、直接 進 路指 導 に関わ る 一部 の教 師 に任 せ るの で

は な く、全 教 員 の一 致 した協 力体制 の も とに進 め る こ とが重 要 で あ る。 さ らに、父母 や 上級 学校

等 との連 携 ・ 協 力の も とに進 め られ る とき進 路 指 導 の成 果 は達成 され るの で あ る。 進 路指 導 の効

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78 鋤 峙 勝 也

果 を高 め るた め に は 、この よ うな進 路 指 導 の基本 的 な性 格 をお さえなが ら進 め られ る必 要 が あ る。

Ⅲ .キ ヤ リ ア 発 達 の 意 義 と 教 育

人 が生 きて い く とい うこ とは 、何 らか の職 業 に就 い て生計 の維 持 を図 る と同時 に、 また社 会 的 役 害 Jを 果 た し、社 会 的・職 業 的 自己実現 を発 揮 す る とい うこ とで もあ る。 そ のた め には人 生 の重 要 な発 達過 程 に あ る青少年 期 にお い て キ ャ リア発 達 を図 り、生涯 にわ た って キ ャ リア開発 に向か って意欲 的 に取 り組 む 姿勢 を養 うこ とが教 師 に望 まれ る。

1.キ ヤ リア発 達 の概 念 4

最 近 、職 業 (vocation)と い う言葉 にかわ って 、 キ ャ リア (career)と い う言葉 が頻 繁 に使 用 され る よ うにな って きて い るの キ ヤ リア とい う言葉 は 、 日本語 で は、経歴 、生涯 、職 業 、仕 事 な ど と訳 され て使 われ て い る。 進 路指 導 の領域 で は、進 路 とい う言葉 が あて られ てい る。 ク ロール

(Kroll,A.Mo et al,1970)に よれ ば 、「個 人 の労働 に関す る行 動 の生涯 にわ た る系列 や パ ター ン を示 し、正 式 に職 業 につ く前 後 の 労働 に関連 した経 験 や 活動 のす べ て を含 んで い る」 (武 衛

5,

1991)と され 、 キ ャ リア発 達 は、職 業 的 発達 よ りも拡 大 され た概 念 で あ り、生涯 にお け る社会 的 諸 活 動 や 社 会 的役割 を含 ん だ もの とな って い る。

また 、 スー パ ー (super,Do E。 )が 国際応 用 心理 学 会 にお け る講 演 の 中で 、 キ ャ リア の意 味 に つ いて次 の よ うに述 べ てい る (中 西 6,1995)。

「キ ャ リア とは、人 々が生涯 にお いて追求 し、 占めてい る地位 、職 務 、業務 の系列 で あ る」 と し、狭義 の仕 事 とか職 業以外 の社会 的役害 Jも 総 合 的 に と らえ られ て い る。 つ ま り、 キ ャ リア とか キ ャ リア発 達 とい う言 葉 は、職 業 生活 に限定 した もの で はな く、人間の生涯 を視 点 にお いた生 き 方や 社会 的役 害 Jと の 関連 で と らえ られ て い る こ とが わ か る。職 業以外 に も人生 の 中で果 たす役害 J

は多 くあ る。 学 生や 主 婦 、 引退 後 の ボ ランテ ィア活 動 に よって社 会 的貢献 に人生 を託 し、人 生 に 意 味 を見 い だ そ うとす る人 々 は確 か に存在 して い る。 この よ うに人 生 の 中で果 たす役害 Jを 強調 し た概念 と して使 われ て い る。

職 業 以 外 にお い て果 たす 役 害 Jと して 、スー パ ー は 、子 ども、学 生 (勉 強 )、 余 暇 人 (趣 味や レジ ャー活 動 )、 市民 (社 会奉仕 活 動 等 )、 労働 者 (労 働 )、 家 庭 人 (家 事 や 養 育等 )、 退 職 者 、そ の他 の役害 Jを あ げ てお り、 これ らの役 割 を生涯 の各 時期 で い か に果 た して い くか とい うプ ロセ ス全 体 が キ ャ リア発 達 と して と らえ られ て い るの で あ る。 そ して、人 が どの時期 に どの役 割 を どれ だ け 重 要視 す るか が 、そ の人 の生 き方 を示 して い る こ とにな る。

発達 段 階 にお い て果 たす 役 割 の重 要性 は異 な る訳 で あ るが 、 この役害 Jの 重 要性 は 3つ の次 元 に

よつて決 定 され る とい う。そ の 1つ は 、あ る役 害 Jの 態 度 的・情意 的側 面 と して の 「関与 」で あ る。

これ は、それ ぞれ の役害 1に どの程 度 心理 的 に関 わ つた か とい うこ とで あ る。  2つ 日は 、行 動 的側

面 と して の 「参加 」 で あ る。 これ は 、 あ る役害 1に 対 して どの程 度 の時 間や エ ネ ル ギー を投 入 した

か とい う次 元 で あ る。  3つ 目は 、認 知 的倶 1面 と して の 「知識 」 で あ る。 これ は、そ の役害 1に つ い

て の正確 な情 報 を どの程度 もつて い るか とい うこ とで あ る。 これ らの 3要 素 に よって あ る役 害 1の

重 要性 が決 定 され 、相 互 作 用 しな が ら個 人 の生 き方 が決 定 され るの で あ る c近 年 、学校 にお け る

進 路指 導 も、 生涯進 路 発 達 を視 点 に置 い た、人 間 と して の在 り方 生 き方 の指 導 が強調 され てい る

(7)

進路指導 Ⅱ        79

が 、今 後 の進 路指 導 にお い て は、 この よ うな キ ャ リア発 達 とい う観 点 か ら進 め る こ とが求 め られ る よ うに な って きて い る。 人 の生涯 は、労働 に 中心 を置 きなが ら、社 会 的役 割 の分担 の変遷 に ほ か な らな い の で あ る。

2.キ ャ リア成 熟 の特 徴

7

学校 教 育 にお い て 、進 路 指 導 を実践 し、そ の効 果 をあげ よ うとす る とき、個 々の生徒 の キ ャ リ ア発達 状 態 を把握 す る こ とが大切 で あ る。 そ の キ ャ リア発達 の過 程 、程度 、水 準 を表す 用語 と し て キ ャ リア成 熟 とい う言葉 が使 われ て い る。 武衛 5(1991)は

、「進 路 指 導 とい う個 人 が い つそ う 価 値 の あ る社 会 人 、職 業人 に 向か つて成 長 して い くの を援 助 す る活 動 の理 論 的根拠 と して は、 こ の『 キ ャ リア成 熟』 は よ り適 切 な概 念 で あ る」 と述 べ て い る。 そ して この キ ャ リア成 熟 の状態 を 測 定 し評価 す るた めの基 準 づ く りとそ の尺度 が考 案 され て きた。わ が国 で は、中西 6(1976)に

って進 路 発 達検 査 が作成 され 、そ の 中の キ ャ リア成 熟 尺度 には、① 自発性 〜 日常生活 にお け る興 味や 関心 が どの程 度 主体 的 に進 路 と関係 づ け られ て い るか。 ②独 立性 〜進 路決 定や それ まで の過 程 が どの程 度 他 人 に依 存 的 で な く、 自分 の意 志 と責任 にお いて な され てい るか。③ 計 画性 〜進 路 に対 して どの程 度 具 体 的 で有効 な手段 を見つ け、 かつ 永 い時 間的展 望 を もつて い るか。 これ らの

3つ の次 元 か ら と らえ られ て い る。

生徒 が将 来 の進 路 へ の 関心 を強 め、仕 事 に何 を求 め るのか を明確 化 し、 自分 の進 路 は主体 的 に 自分 で選 択 決 定 し、進 路選 択 過 程 にお け る正 しい判 断 が で き るよ うな能 力や 態度 を育 て る こ とが 、 キ ャ リア 発達 を図 る こ とで あ り、進 路指 導 の大切 な活 動 で もあ る。また 、文部 省発行 の 「中学校 ・ 高等 学校 進 路 指 導 の手 引 一高等 学校 ホー ムル ー ム担 任 編 ― (改 訂 版 )1978」 に は 、職 業 的発 達 (キ

ャ リア発 達 )の 評価 の観 点 と して 、次 の 7つ の項 目が示 され て い る。

(1)自 己の能 力・適 性 等 、 自己の総 合 的理解 を、現 実 的 な条件 に基づ いて吟 昧 し、修 正 してい るか。

(2)将 来 の生 き方 に 自分 で責任 を もつ こ とが わ か り、最 も望 ま しい生 き方 を十分 に検討 して い るか。

(3)暫 定 的 な進 路 計画 に検 討 を加 え、 よ りよい計画 を立案 して い るか。

(4)従 来 の啓 発 的経 験や 探 索 的活 動 の成 果 を受 けて 、仕 事 の世 界 へ の知識 ・理解 が十 分 に あ る

か 。

(5)教 育 訓練 や 産 業 ・職 業 につ い て の情 報 資 料 につ い て の知識 ・ 理解 が十 分 にあ るか。

(6)自 己の客観 化 が で き、意 志 決 定 の過 程 が 、 明確 に理解 で きてい るか。

(7)自 立 の精神 が身 につ き、進 路 計 画 の実現 に努 め る意欲 や態 度 が確 立 してい るか。

具体 的 に生徒 の キ ャ リア 発達 状 態 を見 るた めの 尺度 の 開発 も行 われ て い る。 (財 )日 本 進 路 指 導 協 会 は 、 中学 生 と高校 生 の た めの進 路 成 熟 尺 度 を作成 して い る。 この尺度 は、「自己実現 態度 」、

「進 路計画 」、「進 路決 定」 の 3つ の 因子 に基 づ い て構 成 され てい る。 質 問項 目は全 部 で30の 事柄 で構 成 され て い る。

学 校 教 育 にお い て進 路指 導 を進 めて い く 上で重 要 な こ とは 、個 々の生徒 の キ ャ リア成 熟 の実態 を把 握 しなが ら、 よ リキ ャ リア発 達 を 目ざ して展 開 しな けれ ばな らない。 この よ うな こ とか ら、

教 師 は、 キ ャ リア成 熟 の基 準 や 内容 を十 分 に理 解 してお くこ とが大切 で あ る。

(8)

80 鋤 峙 勝 也

3.キ ャ リア発 達 の理 論 8

個 人 の職 業選 択 行 動 は 、 多 くの要 因 に よって影響 を受 け るが 、発 達 心理 学 的観 点 か らもそ の検 討 が行 われ て きた。 進 路 の選 択 は、 あ る特 定 の時期 だ けに行 われ る もので は な く、生涯 を とお し て行 われ る とい う考 え方 が提 唱 され 、 キ ャ リア発達 の促 進 と援助 のた めの理論 と方法 が求 め られ る よ うにな って きた。

(1)ギ ン ズバ ー グの キ ャ リア発 達理 論

ギ ンズバ ー グ (Ginzberg,E。 )は 、職 業選 択 行 動 は 、  1つ の発 達過 程 と して と らえ られ る と し て 、 この発 達過 程 を、空想 的選 択 期 (H歳 未 満 )、 試 行 (暫 定 )的 選 択 期 (H〜 17歳 ごろ )、 現 実 的選択 期 (18〜 22・ 23歳 )の 3つ に分 けて い る。 宮 内 9(1992)の

文献 を参 考 に しな が ら、簡 単 に 説 明す る。

空想 的選 択 期 の時期 で は 、子 どもは 、職 業 的発 達 が未 熟 なた め、衝動や欲 求 を直接満 足 させ る よ うな職 業 にお きか えて職 業 を と らえ よ うとす る。試 行 的選択 の時期 は、青年期 に相 当 し、 あ る 程 度 の能 力や職 業認 識 も進 む。 この時期 は、興 味 、能 力 、価 値 、移 行 の 4つ の段 階 か らな る。 最 初 の (興 味 )の 段 階 で は 、職 業選 択 が 主 と して職 業 に対す る好 き嫌 い 、興 味 に よって行 われ る。

(能 力 )の 段 階 は、 自分 の能 力 を客観 的 に考 え始 め、職 務 との 関連性 を考 え職 業 を選択 す る よ う に な る。 (価 値 )の 段 階 は 、自分 自身 の人 生 日標 や価 値 観 に照 ら しなが ら総合 的 に職 業選択 を考 え る よ うに な る。 (移 行 〉の段 階 にお い て は 、わ が 国 で は高校 3年 の時期 に相 当 し、就 職 をす るのか 進 学す るの か決 定 しな けれ ば な らな い。つ ま り、試行 期 を終結 させ る時期 で あ る。主観 的 な能 力 、 価 値観 な どよ りも、家 庭 的状 況 な どを強 く考慮 しなが ら進 路決 定 を行 う段偕 で あ る。

現 実 的選 択 の時期 は 、就職 の機 会 や 条件 あ るい は限界 な どの現 実 的 な要 因 を考 え、職 業選択 が 妥 協 の必要 な こ と もわ か り始 め る。この時期 は、さ らに 3つ の段 階 が 区別 され る。探 索 、結 品化 、 特殊 化 で あ る。青年 期 の後 半 にな る と、将 来 の進 路 の選 択 を探 索 し始 め る (探 索 )。 い くつ か の可 能性 の なか か ら選 び 出そ うとす る段 階 で あ る。 そ して 、総合 的 に職 業選択 の要 因 を検討 し、い く つ か の職 業 を絞 り込 む (結 品化 )。 さ らに、選 択 した職 業 分 野 の なか か ら具 体 的 な職 業 を特 定化 し 決 定す る (特 殊 化 )と い う過 程 をた どるので あ る。

(2)ス ー パ ー の キ ャ リア発 達理 論

スー パ ー (Super,Do E。 )は 、 それ まで の心理 学 的研 究 、社 会 学 的研 究 を総合 的 に検 討 して職 業 的 発達理 論 を提 唱 した。 彼 は、 1950年 代 に キ ャ リア発 達 理 論 を提 唱 し、 1957年 に職 業 的発 達 に関 す る 12命 題 を発表 、そ の実 証 の た め に20年 間継 続 の長 年 にわた る進 路経歴 の類 型 的研 究 (Career Pat tern Study)を 行 い 、 1957年 に 「職 業 生活 の心理 学 」 (The PsyChology Of Ca一 reers)を 著 し

て い る。 また 、 1983年 以 来 、Work lmportancc Studyと い う国際調 査 プ ロジ ェ ク トを組織 し主宰 し た。 1995年 に調 査報 告 書 「人 生役害

J、

価 値 とキ ャ リア」 を刊 行 す るな ど、数 多 くの研 究成 果 を発 表 して い る。 スー パ ー が職 業指 導 とは何 か とい うこ とを考 え提 唱 した新 しい概 念 は、①職 業 的適 応 (Vocational Adjustment)、 ② 自己概 念 (Sel卜 Conccpt)、 ③ 人格 相 談 (Personal counseling)、

④ 職 業 経 歴 類 型 (Career Pattern)、 ⑤ 職 業 的 発 達 (VocationalDevelopment)、 ⑥ 職 業 的 成 熟 (Vocational Matulヽ ity)が あ げ られ る。 これ らを ま とめ る と、主要概 念 は、適応 と発達 の 2つ で あ る。 彼 は この 2つ を職 業指 導概 念 の支柱 に して い た とい って よい。

そ の発 達理 論 の背 景 には 、「職 業指 導 とは 、個 人が 自分 自身 と働 く世 界 にお け る 自分 の役害 Jに つ

い て、統 合 され かつ 妥 当な 自己の映像 を発 展 させ また は受容 す る こ と、 この概念 を現 実 に照 ら し

(9)

進路指 導 Ⅱ

て吟 味す る こ と、お よび 自分 自身 に とって も満 足 で あ り、社会 に とって も有 益 で あ る よ うに、 自 己概 念 を現 実 に転 ず る こ とを援 助 す る過 程 で あ る」 (1957)と い う立場 に立 ってい る。

スー パ ー は 、 ビュー ラー (Buhlelヽ ,C。 )や 、 ミラー とフ ォー ム (Miller D,C&Form,W.H。 )の 先 駆 的研 究 を参考 に しなが ら職 業 的発 達段 階 を提 唱 した。

(3)宮 内博 の キ ャ リア発達 論

宮 内 (1992)は 、 ギ ン ズバ ー グに して もスー パ ー の理 論 にお い て も、そ の理 論 は 1950年 代 と 60 年 代 に提 唱 され た もの で あ り、 また 、 ア メ リカ と異 な った社 会・ 経 済 の構 造 と文化 の特 質 を もつ 日本 にお い て 、 キ ャ リア 発達 の プ ロセ スは ど うな って い るの か実証 的 な解 明 が極 めて 重要 だ と指 摘 し、 青年 期 か ら成 人初期 へ の キ ャ リア意識 の 発達 プ ロセ スを解 明 しよ うと して約 10〜 15年 間 に わ た る貴 重な調 査研 究 を行 い 、 キ ャ リア 発達 プ ロセ ス論 を展 開 して い る。

①   空想 的選 択 期 (〜 11歳 )こ の段 階 の特質 につ いて の スーパ ー 等 の諸説 は、現在 のわが 国で もほぼ :支 持 され る

c

②   暫 定 的選 択 期 (12〜 17歳

)

(ア )興 0価 値 段 階 (12〜 14歳 )わ が 国 で は 中学 校 期 にあた るが 、 この段 階 で各 生徒 の キ ャ リア ロ標 の選 択 基準 と して登 場 す るの は 「興 味 要 因」 と 「価 値 的要 因」 で あ る。 価 値 的 要 因 の登場 は 、 スー パ ー らの説 (15〜 16歳 )よ りも、 わ が 国 の 子 どもがや や 早 く検 出 され て い る。

(イ )暫 定期 (15〜 17歳 )高 等 学校 期 に あた る この段 階 で キ ャ リア ロ標 の選 択 基 準 と して 「能 力要 因」 が本 格 的 に登 場 し、 作用 し始 め る。 こ こで宮 内の重 要 な発 見 は、 スー パ ー らの興 味→ 能 力→ 価 値 観 の順 で は な く、興 味・価 値観 → 能 力 とい う点 で あ る。 つ ま り能 力要 因 は スー パ ー らの説 よ りも遅 れ 、高校 段 階 にはい ってか らで あ る。 興 味 、価値観 、能 力 の個 人 的 要 因 と就職 機 会 な どの外 部 要 因 との 関連 が 、 キ ャ リアの暫 定的設 定 に登場 す るの は高校

2〜 3年 の時期 で あ る。

③   現 実 的選 択 ・ 適 応 期

(ア )現 実吟 味期 (18〜 21歳 )希 望す る レベ ル ・ 分 野 の大 学 に入 った場 合 は 、理 系 の学部 で あ れ ば 2年 の後 半 か ら 3年 にか けて 、 よ り現 実 的 な キ ャ リア ロ標 に向か つて分 野 を しば って い くの が普 通 で あ る。 希 望 す る レベ ル の大学 に 入れ なか った場 合 は、入学後 暫 く挫 析感 の も とに あ って も、 キ ャ リア ロ標 、分 野 の設 定 が適 切 で あれ ばや が て 立 ち直 り、現 実 的 な キ ャ リア ロ標 に 向か つて進 ん で い く。 これ に反 して キ ャ リア ロ標 の設 定 が妥 当で なか った場 合 、入学 後 学 習 意欲 が わ かず に キ ャ リア軌 道 が修 正 され るケー スが 見 られ る。

文 系 の学 部 へ 入 つた場 合 、現 実 的 な キ ャ リア ロ標 の選択 は理 系 の場 合 よ りやや 遅れ 、 3 年 の終 わ り頃 か ら 4年 始 め に な る ケー スが 多 い。

高校 卒 業後 す ぐに就職 した場 合 は まず職 場 へ の適 応 の努 力が な され るが 、 キ ャ リア ロ標 の現 実 的決 定 が いつ な され た か は 、容 易 に判 断 で きな い。 専 門学校 に進 ん だ場 合 、そ の進 学 直前 また は 在 学 中に キ ャ リア ロ標 の現 実 的決 定 が な され る こ とが 多 い。 高卒就職 者 の場 合 早期 に転職 を重 ね るケー スが 見 られ る。

(4)広 井 甫 Юの キャ リア発達論

広 井 (1974)は 、 わ が国 にお け る進 路 実態 調 査 等 を基 に して 、独 自の職 業 的発達 段 階論 を展 開

(10)

82 鋤 崎 勝 也

して い る。 彼 は まず 前職 業 期 (13歳 )と 職 業 的 発 達 期 (14〜 25歳 )と に大別 し、前者 を社 会 的 啓 発 期 、 自己開発期 、後者 を探 索期 、試 行 期 、 定着 期 に分 け、 それ に基 づ くキ ャ リア発 達課 題 を設 定 してい る。 この理 論 の特 徴 につ い て 、菊 池 H(1981)は 、「この説 は従 来 の 人 生段 階説 と家 族 周 期 論 を結 合 した もの と考 え る こ と もで き るが 、近 年 よ く問題 とな って い る生涯 発 達 心理 学 と共 通 し、 しか もそれ に先行 す る とい う独 自性 を もつ もの で あ る」 と評 価 し、 しか も 「職 業 的発 達 に と どま らず 生 涯 にわ た る発達 とか 生 き方 が今 後 重 要 な指 導 内容 にな って い くこ とを考 えれ ば 、そ の 際 の仮 説 的枠組 と して今 後検 討 され て よい理 論 と して 注 目され る」 と述 べ て い る。

4.キ ャ リア教 育 の 定 義

(1)ア メ リカの キ ャ リア教 育 の定義

12

1970年 の初 め、 当時 ア メ リカの ニ ク ソン大統 領 の政 権 下、教 育長 官 で あ った シ ドニー 、 P.マ

ー ラ ン ド (Marland,S.p.Jr。 )の も とで教 育 改革 の重 点施 策 の 1つ と して 実施 され た もの で あ る。

キ ャ リア教 育 につ い て は さ ま ざ まな定義 が あ る。

① 「キ ャ リア・ エ デ ュケー シ ョンは 、初 等 、 中等 、 高等 、成 人教 育 の各段 階 で各 々の発 達 段 階 に応 じ、 キ ャ リア を選 択 しそ の後 の生活 の 中で進 歩 す る よ うに準備 す る組 織 的 、総 合 的教 育 で あ る」 (教 育 局長 官 、マ ー ラ ン ド

)

② 「キ ャ リア とは、ある人間が生涯 を通 して従事す る仕事 の全体 である。 したが つてキャ リア 教育 とは、人間 として生 き方の一部 として fll事 につ いて学び、準備す ることに よって得 られ る経験 の全体である。」 (連 邦教育局 キャ リア教育担 当次官補 、ホイ ト (Hoyt,K.B。 1973))

③ 「キャ リア教育 とは、ア、教師 、両親 、企業、労働組合 、政府等 によつて、キャ リア発達 を 組織 的 に推進す る。イ、知的、職 業的、基礎 的技能 の創造的・体験的学習 によって、意思決 定能 力 を伸長す る。 ウ、カ リュキュラム、 カ ウンセ リング、地域社会活動 を通 じ、各人生段 階で直面す る進 路発達課題 を解決す る。 これ らのた めの個人 を中心 とす る発達的・意図的総 合的努 力で あ る」 (第 1回 全 国キャ リア協議 会、 1973)

④ 「キャ リア とは、個人 が人間の生 き方の 一部 と して、職 業や進路 につ いて学び、人生 ̲卜 の役 害 Jも その選択 と職業的価値観 とを関達づ けることがで きるよ うに計画 され た経験 の全体であ る」 (キ ャ リア教 育奨 励 法 、 1977)ア メ リカで は 、 1977年 に キ ャ リア教 育奨励 法 (Career Education lncentiveAct)が 成立 (1978年 か ら1982年 までの時限立法 )し て全 国的 に実施 さ れ た。 そ して、その後 は州 の レベルや民間の レベルで継続 して行 われ て きてい る。

(2)わ が国のキャ リア教育の定義

わが国のキャ リア教育の定義 は、次 に示す よ うに中央教育審議会 とキャ リア教育推進 会議報告 書 に見 る ことがで きる。

① 「学校 と社会お よび高等教 育 との 円滑な接続 を図 るためのキャ リア教育 (望 ま しい職 業観 、 勤労観 お よび職 業 に関す る知識や技能 を身 につ ける とともに、 自己の個性 を理解 し主体的 に 進路 を選択す る能 力、態度 を育て る教育 )を 小学校段 階か ら発達段 階 に応 じて実施す る必、 要 が あ る (中 央教育審議 会答 申 「初等 中等教育 と高等教育 との接続 につ いて」、 1999(平 11

12月

)

② 「キャ リア教育 とは、児童生徒 一人 ^人 のキャ リア発達 を支援 し、それぞれ にふ さわ しい キ

ャ リア を形成 してい くた めに必、 要 な意欲 ・態度や能 力 を育て る教育」、端的 には、「児童生徒

(11)

進 路指 導 Ⅱ

一 人一人 の勤労観 、職業観 を育て る教育」 (キ ャ リア教育の推進 に関す る総合的調査研 究協力 者会議報告書 、 2004(平 16年 1月 ))

前述 の キャ リア教育推進会議報告書 は、あ くまで もキャ リア教育の理念 と方法 を示 した もので 具体的 なプ ログラムを提示 してはいない。 また、キャ リア教育の基本方向 としては、以下の もの をあげてい る。

①   一人一人のキャ リア発達への支援

②   「働 くこと」への関心・意欲 の高揚 と学習意欲の向上

③   職 業 人 と しての資質 0能 力を高 める指導の充実

④   自立意識 の涵養 と豊かな人間性 の育成

さらにキャ リア教育推進 のための方策 では、以 下の t)の をあげてい る。

① 「能 力・態度」 の育成 を軸 とした学習プ ログラムの開発

②   教育課程への位 置づ け とその工夫

③   体験活動等 の活用

④   社会や経 済の仕組み についての現実的理解 の促進

⑤   多様で幅広い他者 との人間関係の構築

Ⅳ .熊 本 県 に お け る キ ャ リ ア 教 育 (専 門 高 校 )

1.高 校 教 育 の現 状 13 (1)高 校 生 の進 路 状 況 等

高等 学校 卒 業者 の進 学 率 は 、全 国及 び熊 本 県 ともに 、 1999(平 成 11)年 3月 まで L昇 し、そ の 後 は わず か な幅 の変動 で推 移 して い る。 就職 率 (卒 業 者 に 占め る就 職 者 の害 1合 )は 減 少傾 向 に あ る。 この よ うな 中、近 年 、高等学校 卒 業者 の就職 決 定率 (就 職 を希 望 す る者 の 中で就職 が決 定 し た者 の害 J合 )は 、全 国及 び熊 本 県 ともに厳 しい状 況 に あ る。 また 、新規 高 等学校 卒 業 者 の就職 後

3年 以 内 の離職 率 11は 、全 国及 び熊 本 県 と もに 5害 1程 度 で推 移 して い る。

(2)高 校 教 育 を取 り巻 く環 境 の 変 化

全 国的 に少 子化 が進 む 中で 、熊 本 県 の 中学校 卒業 者 数 は、 2004(平 成 16)年 3月 の約 21,360人 か ら、10年 後 の 2014(平 成 26)年 3月 には約 4,140人 減 少 し、約 17,220人 にな る と予 測 され る。 ま た 、産 業構 造 や 就 業構 造 の 変化 、国際 化 、情 報化 、高齢 化 、科学 技術 の進 展 等 の社会や経 済 の急 速 な変 化 と ともに、生 徒 の職 業 に対す る意識 や 高 等学校 に期待 され る役害 Jも 変化 して い る。

2.熊 本 県専 門高校 の現 状 と課 題 15

(1)専 門高校 の設 置 状 況

2008(平 成 20年 )5月 1日 現 在 、熊 本 県 の 高 等学 校 は分 校 も含 め て 85校 あ る。 そ の 内 、農 業 ・

工業・ 商業・ 水 産 0家 庭 ・看護 ・ 福 祉 の職 業 教 育 を 主 とす る学科 が設 置 され て い る専 門高校 は 、

公 立高校 34校 、私 立高校 14校 の計 48校 で あ る。

(12)

84 鋤 崎 勝 也

(2)専 門高校 が果 た して きた役 害 J等

職 業 教 育 を主 とす る専 門高校 は、 これ まで産 業 に従 事 す る上 で必要 とされ る知識 、技 能 、態度 の基礎 0基 本 を習 得 させ 、我 が 国 の産 業経 済 の発 展 を担 う多 くの人材 を育成 す る と ともに、実験 ・ 実 習や ものづ く り等 の体 験 的 ・ 実践 的 な学習 を通 して 、豊 か な人 間性 や社 会性 をは ぐくむ総 合 的 な人 間教 育 の場 と して も大 きな役 害 Jを 果 た して きた ところで あ る。

(3)専 門高校 を取 り巻 く環 境 の変 化

専 門高校 の生 徒 は卒業 後 、約 半数 が就職 し、約 半数 が 大学 等へ の進 学 して い る。 産 業構 造や就 業構 造 の変 化 等 の高 等 学校 を取 り巻 く環境 の変化 は、卒 業後 の進 路 ・社 会 と深 くつ なが ってい る 専 門高校 の生徒 の職 業 生活 へ の移 行 に様 々な課 題 を投 げか けて い る。 県 内す べ ての高等 学校 が受 理 す る県 内求 人 数 にお い て 、 2004(平 成 16年 )3月 は 1990(平 成 2年 )〜 2000(平 成 10年 )(各 年 3月 )平 均 値 の 3分 の 1程 度 に減 少 し、新 規 高校 卒 業者 の就職 環境 は非 常 に厳 しい状 況 に あ る。

また 、高校 卒 業 後 、進 学 も就職 も しない生 徒 の存在 や 、就職 して も 3年 以 内 に離職 す る者 が 5割

り程度 存 在 す る状 況 が続 い て い る。

(4)専 門教 科 ・ 科 目の取組

①   現 状

職 業 人 と して求 め られ る専 門分 野 の基礎 的 ・基本 的 な知識 、技術 及 び技能 を習得 させ 、将 来 の スペ シ ャ リス トと して地域や 産業界 のニー ズに応 え る こ とので き る人材 育成 に努 めて来てい る。

また、各 学 科 の特 色 を生 か した資格 取得 や 競技 会 、 コンテ ス ト等 にお いて も全 国的 に優 秀 な成績 を残 して い る。

②   課題

専門高校進 学時の ミスマ ッチを防 ぎ、適切 な進路選択 の観点か ら、地域や 中学校 に対 して、専 門高校 の教育活動等 についての理解 を得 ることが大切 である。そのために、ホームペー ジや広報 紙 の配布等 に よ り情報 を発信 した り、生徒間の交流活動 を行 う等、 さらに相互の連携 を密 にす る こ とが重要 となってい る。 又、急速 に変化 してい る社会 に対応す るために、教員の資質や専門性 を高めることが必ヽ 要 である。 また、専門高校 を支 えて きた団塊 の世代の教員が退職 してい く中、

ものづ く りの技術等 、 若手教職 員への技術 の継承 に課題 が生 じ、教育力の低 下が危惧 されてい る。

(5)キ ャ リア教育

①   現状

各高校 では、教科 0科 目や総合的な学習の時間、特別活動等、 日常の全ての教育活働 をキャ リ ア教育の視点で整理 した学習プ ログラム等 を作成 して、 コ ミュニケー シ ョン能 力や職業理解能力 等 の職 業的発達 に係 る諸能 力の育成等 、生徒一人一人の勤労観・職業観 をは ぐくむキャ リア教育 を推進 してい る。

②   課題

各学校 が作成 してい るキャ リア教育 を推進す る学習 プ ログラムについて、学校 の教育 目標や生

徒 の実態 、社会 の変化 を踏 まえた工夫・改善 を図 ることが課題 である。

(13)

進 路指導 Ⅱ

(6)体 験 的 な活 動

①   イ ン ター ン シ ップ ア   現 状

イ ン ター ンシ ップ は 、特別 活 動 、総合 的 な学 習 の時 間及 び専 門科 目等 に位 置付 け られ て実施 さ れ 、自 らの将 来 につ い て考 え るき っか け とな って い る。 2007(平 成 19)年 度 は 、県立 高校 61校 (分 校 を含 む )中 56校 でイ ン ター ンシ ップ が行 われ 、延 べ 2,800社 ほ どの事 業 所 等 の協 力 を得 て約 7,500 人 の生徒 が体 験 した。 2008(平 成 20年 )度 は、全 て の県 立 高校 で実施 され た。

イ   課 題

生徒 にイ ン ター ンシ ップ の意義や ね らい を十 分 に理解 させ るた めに も、事前及 び事後指 導 を充 実 させ 、 一過 性 の行 事 にな らな い よ うにす る こ とが課題 で あ る。 なお 、イ ンター ンシ ップで は、

働 く うえで のル ール や マナ ー 、社 会 人 と して の身 だ しなみや 言 葉遣 い等 を身 につ け る こ との重 要 性 も実感 させ る こ とが求 め られ る。

一方 、イ ンター ンシ ップや 中学校 で実施 して い る職 場 体験等 の体験 学習 は、生徒 の各発達段 階 に応 じて実施 され て い るが 、 中学校 と高校 のね らい等 の違 い を明確 に した指 導や企 業等 へ の依頼 が十 分 とは言 えない。

更 に 、イ ンター ンシ ップ の実施 場 所 につ い て は、可能 な限 り生 徒 の興 味・ 関心や進 路希 望等 に 沿 つた受 入 先 を確 保 す る こ とが望 ま しく、受 入 可能 な事 業所 の情 報収集 が課題 であ る。また、年 々 実施校 が増 え、実施 期 日の調 整 が必 要 に な る場 合 もあ る こ とか ら、学校 間 の連携 を密 にす る こ と が求 め られ る。

②   デ ュアル システ ム ア   現状

学校 で の講 義 と企 業 等 で の実 習 を組 み 合 わせ た 人材 育成 システ ムで あ るデ ュアル システ ム 16は 、 専 門科 目に位 置 付 けて実施 して い る。 企 業等 で の実習 を短期集 中型 で行 った り、毎週 1回 数 か 月 にわた り長 期 間実施 す るな ど、学校 や 受 入先 の事 情 を考慮 して取 り組 んでい る。熊本 県 で は、 2005

(平 成 17)年 度 に文部 科 学 省 の指 定 17を 受 け、デ ュアル システ ム の研 究 を始 めた。また 、 2006(平

成 18)年 度 か らは 、熊 本 県独 自に 「実践 的産 業 人 育成推 進 事 業」 18を 4校 で 立 ち上 げ 、 2007、 2008

(平 成 19、 20)年 度 は 6校 でデ ュアル システ ム に取 り組 ん で い る。 また、デ ュアル システ ム を更 に発 展 させ た 国指 定事 業 「地域 産 業 の担 い手育成 プ ロジ ェ ク ト」 を 2007(平 成 19)年 度 か ら工業

系 3校 が 、 2008(平 成 20)年 度 か ら農 業 系 3校 が指 定 を受 け、研 究 が進 め られ てい る。

イ   課題

デ ュアル シ ステ ム にお い て は 、専 門分野 の基礎 的・ 基本 的 な知識 、技術 及 び技能 の習得 に関 し て の評 価 の在 り方 が課題 で あ る。 また 、事 業所 等 との緊密 な連携 を図 り実習 内容 の充実 を図 つて い くこ とが求 め られ る。 又、デ ュアル システ ムは 、イ ンター ンシ ップ に比べ 実習期 間が長 く、実 習課 題 の準備 や 安全 面 で の配 慮 も必 要 で あ る こ とか ら、受 入 事業所 等 に負 担 をか けて い る。 相 互 に就 業 体験 の 意義 を理解 し、協 力体制 を整 えて 、学校 と事業所双方 の メ リッ トを確 認 し合 う過 程 で十 分 な共 通 理解 を図 る こ とが求 め られ る。

更 に、デ ュアル システ ム は 、長期 間 の企業 実習 に よ り、生 徒 が地域 の産業 を理解 し、地域 に貢

献 す る人材 育成 とい う視 点 で有効 な取組 で あ る こ とか ら、指 定終 了後 t)学 校 独 自のデ ュアル シ ス

テ ムの取組 が継 続 で き るよ う、受 入事 業所及 び地域 との連携 の在 り方 を模 索す るこ とが必 要 で あ

る。研 究 の成 果 や課 題 を取 りま とめ るな どの検 証 も実施 しな けれ ば な らな い。

(14)

86

③   ボ ランテ ィア活動 ア   現状

鋤 崎 勝 也

専 門高校 にお い て は、専 門教 科 ・科 日で学 ん だ こ とを生 か して 、地域 で の 園芸活 動や 環境 保 全 活 動 、電 化 製 品・車 いす 等 の修 理 、保 育所 や 学 童 保 育 の協 力 、高齢 者 福祉 施 設 での介護 な ど、様 々 な ボ ラ ンテ ィア活 動 を実践 して い る。

イ   課 題

社 会奉仕 体験 活 動 、 自然 体 験 活 動 等 の体験 の積 み 重 ね を通 して 、他 人 を思 いや る心 な ど豊 か な 人 間性 を涵 養 す る こ とが求 め られ る。

④   職 業 人 と して の 自覚 と誇 りにつ な げ る取組 ア   現 状

耐震 強度 偽 装 事件 や 食 品偽 装 事 件 等 、職 業 に対す る使 命感 や 倫 理観 、規 範 意識 が 問 われ る事件 が頻繁 に起 こって い る。 これ らの 問題 に関 して は 、体 系 的 な指 導 とい うよ りも、学級 担 任 や 教科 担 任 が社 会 の現 状 、生 徒 の 実態 等 を踏 まえ、 ホー ムル ー ムや授 業 等 で取 り上 げ、意識 付 け を図 っ て い る。 なお 、 2008(平 成 20)年 1月 17日 の 中央 教 育審議 会 の答 申で は、専 門教 育 に関す る改 善 の基本 方針 と して 、社 会 に生 き、社 会 的 責任 を担 う職 業 人 と して の規範 意識 や 倫理感 等 を醸成 し、

豊 か な人 間性 の涵養 等 に も配 慮 した教 育 を行 うこ とが重 要 で あ る と述 べ られ て い る。

イ   課題

規範 意識 や 倫 理 観 の 問題 につ い て 、教 科横 断 的 に取 り組 む こ とや 職 業教 育 の 中身 と して捉 えた 指 導 が十 分 とは言 えな い し、働 く意義 や 勤 労 の尊 さ、生 活 と職 業 の 関わ り等 の指 導 に際 して 、特

に企 業 等 で の就 業 の経 験 が な い教 員 に とつて は 、有 効 で具体 的 な実践 モデル が少 ない。

又 、卒 業 後 の進 路 と して 、 専 門高校 で学 ん だ 矢日識 や 技 術 を生 かせ る就職 先 が十分 で は な い。

3.熊 本 県専 門高校 に お け るキ ャ リヤ教 育 の推 進 方 策 19

(1)学 ぶ意 欲 を高 め る学 習 内容 の検 討

①   教 員研 修 及 び授 業研 究 等 の 充 実

熊 本 県教 育 改革 大綱 (2000(平 成 12)年 9月 )に お い て は、学校 が時代 の変 化や 様 々な教 育 に 関す る課 題 に的確 に対応 して 、児 童 生徒 へ愛 情 を注 ぎ、教 育 に情 熱 を持 ち続 け、 自 ら研 究 と修養 に努 め る教職 員 を育 て る こ とが期 待 され て い る。 また 、 2005(平 17)年 4月 、熊 本 県教 育委 員 会 は、望 ま しい教職 員 の在 り方 を 「くま もとの教職 員像 」 20と して策 定 した。教 員 に は 、「『 認 め、

ほ め、励 ま し、伸 ばす 』 くま も との教職 員」 を行 動指 標 と して 、教 員 と して の基本 的 資質及 び 専 門性 を高 め る こ とが求 め られ て い る。

生徒 の学 ぶ 意欲 を高 め るた め に 、研 究授 業 に積 極 的 に取 り組 み 、そ の後 の評価 会 (合 評 会 )を

充 実 させ 、生 徒 の実態 に合 った授 業 づ く りに努 め る こ とが望 まれ る。 また 、特 に産 業教 育 を担 当 す る教 員 には 、専 門分 野 の基礎 的・ 基 本 的 な知識 、技 術 及 び校 長 の指 導 力 を磨 く と ともに、企 業 等 の 関係 者 と円滑 な 関係 を築 く こ とや 、 生徒 に対 して の ガイ ダ ン ス能 力 を身 につ け るな ど、 自 ら の資質 向 11に 努 めて欲 しい。教 員 が 生 徒 一 人 一人 と向 き合 う時 間 を拡 充 し、進 路 指 導 等 にお いて 、 きめ細 か な 対応 が で き る環 境 を整 え る とい う観 点 か らの 工夫・ 改 善 も重要 で あ る。

又、将 来 、生 徒 が転職 等 、 再 チ ャ レン ジをす る こ と も視 野 に入 れ 、 さま ざ まな職 業 ・職 種 の基

礎 とな る学 力 (読 み ・ 書 き・ 計算 ・ コ ミュニ ケー シ ョン能 力 )を 身 につ け る こ とに も意 を払 わ な

けれ ば な らな い。

(15)

進 路指 導 Ⅱ 87

②   プ ロジ ェ ク ト発表 、 コ ンテ ス ト及 び競 技 会 等 の取組 の推 進

プ ロジ ェ ク ト発 表 にお け る研 究活 動 や 、 コンテ ス ト、競技会 等 へ の挑 戦 は 、 目標 を掲 げて意欲 的 に取 り組 み 、達成 す る喜 びや 充実感 等 が得 られ る活 動 で あ る。 また 、 プ レゼ ンテ ー シ ョン能 力 を高 め る と ともに、学習 に対す る意欲 の 向上 に もつ な げ る こ とも期 待 で き る。 そ の た め に、 コ ン テ ス ト等 に取 り組 む気運 を高 め るな ど環 境 づ く りが重 要 で あ る。

学校 は、 県 内 で顕 著 な実績 を 上げ て い る学校 との情 報 交換 を行 い 、相 互 に切 磋 琢 磨 し、熊 本 県 全 体 の レベ ル ア ップ を図 つて欲 しい。 また 、教 育 委 員 会 は先進 的 な取組 等 に よ り成 果 を上 げて い

る他 県 の実 践 例 を随 時学校 に提 供 し、熊 本 県全 体 の取組 の底 上 げ を図 る こ とが望 まれ る。

③   資格 ・ 検 定取 得 の 充 実

生徒 が 日ごろの学 習活 動 で身 につ けた 専 門分 野 の 基礎 的 ・ 基本 的 な知識 、技術 及 び技 能 を生 か し、将 来 の職 業 生活 にか か わ りの あ る資格 や 検 定 の取 得 を 目指 す こ とは 、学 習意欲 を高 め る うえ で も効 果 が あ る。 資格 等 の取 得 が 、教科 指 導 の 日標 そ の もの に な らな い よ うに留 意 し、生徒 の学 習 到 達度 を十 分踏 ま えな が ら、連 切 な資格 の取 得 に計 画 的 に取 り組 ませ る こ とが重 要 で あ る。

学校 は 、 よ り高度 な資格 取 得 に も挑 戦 す る気 運 も高 めて欲 しい。 そ の指 導 に 当た つて は 、外 部 機 関、上級 学校 との連携 の 充 実 を図 つて欲 しい。

④   生 徒論 文等 の表 彰 制 度 の検 討

中央 教 育審 議 会 の答 申で は 、思 考 力 、判 断 力、表 現 力等 をは ぐ くむ た め、教 科 の指 導 にお い て 、 基礎 的 0基 本 的 な知識・技 能 の習 得 と ともに、観 察・実験 や レポー トの作成 、論 述 とい った知識 ・ 技 能 を活 用す る学 習 活動 の推 進 が述 べ られ て い る。 専 門分 野 の基礎 的・ 基 本 的 な知識 、技 術 及 び 技 能 を習 得 す る学 習 活動 の 中で 、生徒 一 人 一 人 の思 考 力や 表 現 力等 をは ぐ くむ た め に も、例 えば、

「課題研 究」 にお け る取組 を充実す る必要 が あ る。

専 門高校 にお け る実験 0実 習や レポー トで の分 析 、 記録 、説 明 、要約 な どは、生徒 の言語 能 力 を高 め る場 と して も有効 で あ る。 この観 点 か らも、生 徒 の興 味や 関心 に応 じた専 門分 野 に関す る 科 学 的 な研 究 の取組 を奨 励 し、優 秀 な論 文 につ い て は教 育委 員会 と して表 彰 す る制 度 の在 り方 を 検 討 して欲 しい。

⑤   施 設 ・ 設備 の 充実及 び 活 用

実験 ・ 実習 等 に必 要 な施設 ・設 備 につ い て は 、施設 の 改修 や 設 備 の更 新 が行 われ て い るが 、技 術 革 新 の進 歩 が著 しい 中、社 会 の変化 に対応 した技 術 や 技 能 の習 得 に懸 念 が あ る。 時代 の要請 に 応 え る施 設 ・設備 等 の環 境 整備 が望 まれ る。

(2)就 業や ボ ラ ンテ ィア活 動 にか か わ る体 験 的 な学 習 の推 進

①   体 験 活 動 の 充実・推 進 ア   イ ン ター ン シ ップ

イ ン ター ン シ ップ の 目的 は 、勤 労観 ・職 業観 の育成 や 将 来 の進 路 等 を主体 的 に考 え させ る こ と で あ るが 、 そ の 目的 が達 成 で き る よ うに、事 前 及 び事 後指 導 を充 実 させ る こ とが必 要 で あ る。 な お 、イ ン ター ン シ ップの効 果 を高 め るた め に は 、感 謝 の気持 ち を持 つ こ とや 、積 極 的 、意 欲 的 に 参加 す る こ との指 導 も重 要 で あ る。

事 後 指 導 と して 、将 来職 業 人 と して社 会 的 責任 を担 うとい う意識 を高 め させ る こ とが必 要 で あ

る こ とか ら、体 験 中の こ とを振 り返 り、成 果や 課 題 を明 らか に して 、報 告 書 の作成 や 意 見発 表 会

につ な げ る工夫 をす る こ とも Z、 要 で あ る。

参照

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