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(システム)に対する理解を深めることが重要である。

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Academic year: 2021

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論 文 の 内 容 の 要 旨

非民主主義体制の軍事制度(軍制)は「不透明」である。非民主主義体制の新興国・

中華人民共和国(中国)の台頭と既存の国際秩序が対面している今日,その「不透明」

性から,年々増加を続ける国防費を主な理由として,中国の軍事的脅威が惹起されてい る。そのため,現代中国の政治・経済体制を支える軍事力を規定し,統制している制度

(システム)に対する理解を深めることが重要である。

研究の目的は,現代中国における軍制,とりわけ国防費・軍事費をめぐる党・政・軍 関係を明らかにすることにある。中国の軍事面に対する従来の関心は,軍制の中でも物 理的な武器や装備といったハード面に重点が置かれてきた。他方で,軍制の根幹をなす 軍の統制(党・政・軍関係)および軍を組織,管理,維持,発展させるために不可欠な 軍の経費(国防費・軍事費)については,情報が限定されてきた。

本研究の特色は,資料,対象,手法における新奇性にある。具体的には,内部資料を 含む一次資料による「ブラックボックス」の解明を試みた。また,軍事制度,軍事財務・

軍事審計に焦点を当て,制度の変遷および改訂・変更個所を分析した。また,資料的制 約や制度分析では明らかにすることが困難である決定要因や経済効果などについて,財 政・財務分析,計量分析など,学際的アプローチによる接近を試みた。

本研究は,以下の

3

部で構成している。第

1

部では,現代中国の党・政・軍関係を,

軍制学の分類に基づき

3

つの分析視角から再整理した。第

1

章では,政軍関係理論によ る共産主義体制下の党・政・軍関係を再考した上で,統帥権に関する規定と現実の変遷 を整理した。第

2

章では,軍令面の統制について,軍隊委員会と司令部に関する規定と その変遷を考察した。第

3

章では,軍政面の統制について,政治と財務の視点から分析 を行った。

分析の結果,現代中国の党・政・軍関係は,政治工作による主体的文民統制のみでは なく,専門職業化と国家の枠組みを用いた統治へと変化していることを確認した。具体 的には,統帥権は,「党の軍に対する絶対領導」は不変だが,国家による権威を用いた 統治へと変化しており,軍令面でも党の領導(政治工作)が貫徹されていることを確認 した。他方,軍政面では軍の経費を国家の枠組みを用いて統制しようとしていることを 示した。

2

部では,武装力体制,軍隊の組織体制の基礎となる国防費・軍事費について,定 義と範囲を明らかにした。具体的には,第

4

章で,軍事費の推計差異理由,国防費・軍 事費の定義と範囲を明らかにした上で,第

5

章で,中国の軍事費を構成する軍事予算経 費,および第

6

章で,軍事予算外経費に関する規定とその変遷を明らかにした。また,

7

章では,未知のパラメータである軍事費のトレンド推計を行った。

分析の結果,中国の国防費・軍事費は国際社会の計上と定義や範囲が異なり,軍内に

(2)

は,「公表国防費」よりも広い「軍事経費」の概念が存在することを明らかにした。そ の上で,軍事経費内の軍事予算経費は公表国防費以外からも支出されていることを示し た。他方,建国以来,公表国防費に含まれない軍が独自に管理する軍事予算外経費が存 在し,国防費を補ってきたことを示した。また,1980 年代も軍事費は増加傾向にある ことが示された。

3

部では,国防費・軍事費をめぐる党・政・軍関係に関して制度的アプローチを試 みた。第

8

章では,国防費・軍事費の予算編成・決算サイクルに関する制度規定を考察 した。また,第

9

章では,軍事会計・審計制度を分析し,国防費・軍事費の会計監査(審 計)に関する制度と過程を明らかにした。さらに,第

10

章では,成長を続ける中国の 公表国防支出と支出の主たる決定要因とされている経済成長との関係を計量分析した。

国防費・軍事費をめぐる党・政・軍関係は,建国以降,党=国家の軍隊建設の総方針・

総任務を実現し,財政管理を強化することを目的として制度規定されてきた。本研究で は,建国以降の,軍内の一元的な財務管理と党および国家の予算編成・承認過程の一端 を示した。また,中国の軍事経費の会計検査は人民解放軍の自律性が存在することがわ かった。他方,中国の公表国防支出は,経済成長と双方向の因果性があることが示され た。

以上の分析を通じて,現代中国では,建国以来,党は軍に対して,制度やイデオロギー

による主体的文民統制を確立していること,また,制度上,党は国家の枠組みを用いて

財政面から軍を統制しようとしていることがわかった。他方で,総後勤部が領導する軍

隊財務・軍事審計や,予算外経費収入の内部留保規定など,軍の自律性が一定程度存在

している。これに対する監査・監督機能は国家(政府)には無く,党が中央軍事委員会

をはじめとする軍中党組織・人員を用いて「直接領導」を試みているという関係が明ら

かとなった。

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