• 検索結果がありません。

ダンピング受注による建設労働者問題 高知工科大学

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ダンピング受注による建設労働者問題 高知工科大学"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ダンピング受注による建設労働者問題

高知工科大学 システム工学群 1140039 小笠洋太

現在,建設産業において,建設投資額の大幅な減少に伴う受注競争が激化してダンピング受 注が行われ,そのしわ寄せが技能労働者の賃金低下をもたらし,他産業よりも低くなってい る。その結果,建設業への入職者が大きく減少し,労働者の高齢化が進んでいる。このまま では熟練工から若手への技能承継がなされずに将来の建設産業のさらなる衰退が危惧され る。建設労働者の低賃金を改善する対策のひとつとして,労働組合の形態を企業別から職種 別に変えて労働組合の影響力を強めることが考えられる。

Key word ダンピング受注,労働者賃金,労働者の高齢化,労働組合

1. 序論

ここ四半世紀の建設投資額の推移 1)を図-1 示す。この図から,近年建設投資額が減少傾向に あり,1992年の半分程度となっていることがわか る。これに伴う過当競争によって,建設会社が予 定価格よりもずっと低い価格で仕事を受注するい わゆるダンピング受注が増加しているといわれて いる。

図-1 建設投資額の推移1)

2. 研究の目的と方法

本研究の目的は,ダンピング受注による問題点 を明らかにし,それを改善する方法を検討し,提 案することである。

研究の方法は,日本の建設業界の現状について 情報の収集・分析を行い,さらに海外建設業界と 比較する。

3. 問題点の検討 3.1 労働者賃金の低下

建設技能労働者の労務単価(賃金の実態)の推 2)を図-2に示す。背景で述べたとおり,現在,

低い価格での公共工事の落札が増加している。し かし,建設会社がダンピング受注をしながら会社 の利益(間接経費)を確保していくと,結果とし て図に見られるように,ダンピング受注によるし わよせが,末端の労働者たちの賃金の低下を招い ていることが分かる。

図-2 設計労務単価の推移2)

3.2 労働者の高齢化

建設業における就業者数の年齢別推移 3)を図-

3 に示す。建設労働者の人口が減少しているが,

人口の減少だけでなく若年層の入職率も著しく低 下していることが分かる。

0 20 40 60 80 100

1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

兆円

・・・

13,047

16,678

10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 22,000

1997 1998 1999 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

・・・

・・・

(2)

就職支援サイトでは,学生に対するアンケート 調査結果で建設業に対するイメージとして「収入 が低い」という意見が断トツで多かったことが挙 げられている 4)。これらのことから,3.1 で述べ た賃金の低下と労働者の高齢化は深く関係してい ると考えられ,ダンピング受注による問題のひと つが労働者問題となっていることが分かる。

図-3 建設業就業者数の年齢別推移3)

4.検討および考察

労働者問題に関して,日本と海外の建設業を比 較した結果,違いのひとつとして労働組合の形態 が挙げられる。アメリカや欧州諸国をはじめとし た先進国では殆どが職種別の労働組合を形成して いるのに対して,日本の建設業は企業別の労働組 合を基本としている。日本にも職種別の建設労働 組合は存在するが,所属しているのは一人親方や 中小企業が多く,大きな企業は自社で企業別の労 働組合を形成している。

労働組合とは,労働者の連帯組織であり,その 一般的な目的は「組合員の雇用を維持し改善する こと」である。しかし,現在の日本の労働組合で は組合員の雇用環境を改善することが難しいと思 われる。理由として,企業別労働組合に属するの は同じ企業の職員のみであるため会社に対して意 見をしにくいこと,職業別労働組合の場合は労働 組合の影響力が大きくないことなどが考えられる。

一例として,アメリカの産業別の労働者賃金の 推移 5)を図-4 に示す。アメリカの建設業は他産 業と比べて高い水準にある。その原因として,強 い影響力を持つ職業別労働組合であるユニオンの

存在が考えられる。職業別労働組合が強い場合に は,工事費用の積算時に末端の労働者まで把握し,

その労働者の賃金を正確に確保することが必要に なる。これにより,労働者の休日および深夜の労 働についての割増賃金や,通常の作業条件または 作業内容を超えた労働に対する手当などが支払わ れずに賃金が不当に低くなる事態を防ぐこともで きると思われる。

5.結論

本研究から以下の結論を得た。

(1) 建設業の技能労働者の賃金は,大きく減少し ており,他産業よりも低いのが現状である。

(2) この低賃金が若年層の建設業への入職率を下 げ,労働者の高齢化に至っていると思われる。

(3) 建設労働者の低賃金を改善する対策のひとつ として,労働組合の形態を企業別から職種別に変 えて労働組合の影響力を強めることが考えられる。

参考文献

1) 平 成 27 年度建設投資見通し: 国土交通省,

http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000561.ht ml

2) 公 共 工 事 設 計 労 務 単 価 : 国 土 交 通 省 , http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_0 00486.html

3) 労 働 力 調 査 : 総 務 省 ,http://www.stat.go.jp/data/

roudou/

4)大 学 生 業 界 イ メ ー ジ 調 査 : マ イ ナ ビ , http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/gyoukai/

5) 海外労働情勢:厚生労働省,http:// www.mhlw.go.jp/

685 万人

65 歳以上 505 万人

55~64 歳 45~54 歳 35~44 歳

1997 年

15~24 歳 2014 年

25~34 歳

図-4 アメリカの産業別の労働者時給の推移5)

参照

関連したドキュメント

外国人受入れに係る行動規範 〇

の上昇にあたる) ,他産業への転職確率が 12.9%上 昇する

11.4 労働力配分係数 ①指標の解説

法令 遵守 労基法違 反 全業者 H30.4.1~R2.3.31 の期間内に、労働

ゴJL煮階級の欲tと労働力の価値  (松井)

労働者を登録しておき、労働者派遣をするに際し、当該登録されている者

   主要労働統計表 主な統計資料等

に属するものに,高級陶磁器産業がある。週労働時間は38.6時間であるが,賃金は相対的に低 く,週 785 マルク,月