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手がかり再生と自由再生におよぽすカテゴリー数の 効果
著者 藤田 正, 関口 純司
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 26
号 1
ページ 175‑183
発行年 1977‑11‑15
その他のタイトル The Effects of the Number of Categories on Recall under Cued versus Free Recall
URL http://hdl.handle.net/10105/2545
26,N。.1ノおt.&s。c.)深
手がかり再生と自由再生におよぽす カテゴ))‑数の効果
藤 田 正 関 口 純 司 (心理学教室) (専攻科)
(昭和52年4月30日受理)
幾つかのカテゴリー(例えば、動物、果物など)に属する事例から成るリストを用いた自由再 生の研究において、年齢の増加とともに再生量が増加することが兄い出され、これについて幾つ かの解釈がなされている(Hagen, Jongeward, Jr., & Kail, Jrリ1975),そのひとつに、年少児 の再生量が少ないのは、年長児に比べて事例を効率的に貯蔵できないからではなく、貯蔵した事 例を効率的に再生することができないことによるものであるという考え方がある(Eysenck &
Baron, 1974)。一般に貯蔵した事例を再生する際には、まずあるひとつのカテゴリー名を最初に 想起し、それを手がかりとしてカテゴリー内の事例を再生する。次に別のカテゴリー名を想起し て同様な再生を行う。その際、年少児は年長児と同程度に事例を貯蔵していたとしても、年長児 に比べてカテゴリー名が想起されにくく、それを手がかりとした再生が効率的に行えない。
多くの研究(Eysenck & Baron, 1974 ; Halperin, 1974 ; Kobashigawa, 1974 ; Scribner &
Cole, 1972)において、再生の手がかりとしてカテゴリー名を与えること(以下、手がかり再生 とする)が再生を促進したという結果が兄い出されており、これはカテゴリー名の呈示がカテゴ リー名の想起とカテゴリ内の事例の再生を促進するように機能すると考えられている。このよう な手がかり再生の促進効果は、カテゴリ一名が自発的に想起されにくい年少児はど大きいと考え られる。
ところで、手がかり再生の効果がカテゴリー数に依存していることを実証した幾つかの研究が ある。 Tulving and Pearlstone (1966)は高校生を被験者に、それぞれ24事例から成る6カテゴ I)一、 12カテゴ))一、 24カテゴリーのリストを与え、手がかり再生条件と自由再生条件の下で再 生させた。その結果、手がかり再生条件では、カテゴリー数が大きくなるにつれて再生量も増加 したが、自由再生条件では逆に減少した Earhard (1972)は大学生を被験者に用いて、リスト の長さを24項目で一定にし、カテゴリーの大きさを1、 2、 3、 4、 6、 8、 12、24カテゴリー と組織的に変化させ手がかり再生の効果を検討した。結果は3カテゴリー以下の条件では、手が かり再生条件よりも自由再生条件の再生量が多く、 4カテゴリー以上では逆に自由再生条件より も手がかり再生条件の再生量が多かった0 5歳児と8歳児を用いたEysenck and Baron (1974) は、それぞれ16事例から成る2、 4、 8カテゴリーのリストの2試行の自由再生の後で、 3試行 日に手がかり再生条件と自由再生条件を作った。結果はTulving and Pearlstone (1966)と同様 に、カテゴリー数が大きくなるにしたがって手がかり再生の効果が大きくなり、その効果は8歳 児より5歳児で大きかった。以上の結果から、手がかり再生の効果はカテゴリー数に依存してい
ることが明らかである。
本研究では、小学2年生と6年生を被験者とし、それぞれ24事例から成る4、 6、 8カテゴリ ー数のリストを用いて、再生時のカテゴリー名呈示が再生におよぼす効果を検討した。これまで
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の研究から、手がかり再生の効果はカテゴリー数が多くなるほど、また6年生よりも2年生で大 きいと予想された。
方 法
実験計画 実験計画は2×3×2の要因計画であった.第1の要因は再生条件で、手がかり再 生条件と自由再生条件であった。欝2の要因は))ストのカテゴリー数で4、 6、 8カテゴl)‑で あった。第3の要因は学年で、小学2年生と6年生であったO
被験者 被験者は小学2年生94名(男児48名、女児46名)、 6年生84名(男児47名、女児37 名)で、それぞれの平均年齢は2年生8.2歳(範囲7歳9か月から8歳8か月)、 6年生12.2歳
(範囲11歳9か月から12歳8か月)であった。表1は被験者の内訳けを示したものである。
表1 被験者の内訳け(人数)
2 年 6 年 密閉US! カテゴリ一致 カテゴリー数
6 8 4 6
手がかり再生 自 由 再生
4 4
1 1
8 6
1 1
6 6
1 1 T
T 1 1 EH 3K
l 1 4 5 1 1
材料 (1)'Jスト‑リストは24事例で構成されている。 4カテゴリー条件では、表2に示す ように"けもの、花、果物、文房具Hの各カテゴリーに属する事例を6個ずつ用いた0 6カテゴ I)‑条件では、表3に示すように"けもの、花、果物、文房具、楽器、乗物Pの各カテゴリーに 属す事例を4個ずつ用いた。 8カテゴリー条件では、表4に示すように"けもの、花、果物、文 房具、楽器、乗物、鳥、家具Mの各カテゴl)‑に属す事例を3個ずつ用いたo ここで用いたカテ ゴリーや事例は、北尾と菊野(1975)の規準表から選んだ比較的高頻度で、音節が2‑4のもの である.なお、規準表にない"家具H については、他のカテゴリーの条件に合うような事例を用 いた。それぞれの事例は、 49cmx27cmの白色の厚紙に黒のマジックペンでひらかなで書かれて いる。字と字の間隔は2文字、 3文字、 4文字の全てにおいて等間隔になるように工夫した。こ れらの事例の呈示順序は、同一のカテゴリーの事例が連続しないように考慮され、予めランダム に配列されていた。なお、これらの事例とは別に、練習課題用として8個の無関連語から成るリ ストが準備された。事例には「かお、はし、たい、とんぼ、ほん、くつ、たまご、なすび」が用 いられた。これらの事例も本課題と同じ条件で作製されている。練習および本課題用のリスト
表2 , 4カテゴリー条件の事例
カテゴリ一 事 例 ま
ら く ら ど んい か く と き ば り す
・J'i '蝣'; 〕
れん げ
ゆ り ぶ ど う な し
えんぴつ けしこむ
き り ん 3 」
ひまわりすみれ SM^Bi
か き さ し は さ み
表3 6カテゴ))‑条件の事例
カテゴリ一 事 例
蝣 o H 屈 し
‑ ば な 文房具 けしどむ 楽 器 す ず 乗 物 ひこうき
ぬ くかし の ね
い あ い き す さ び ふ
ん りご み こ す
り ん さ い
き ゆ りは た ば
表4 8カテゴリー条件の事例 カテゴリー 事 例
SEE 花 T:柄 文房具 楽 n'v
・i ォ
∴. ご し
ん
く ぼ り さ ふ
乗 物 ひこうき 烏 すずめ
きき な の たばは
り ん と ら
く すみれ し い ち ご り は さ み い こ す ず す でんしゃ
と つ ばめ 家 具 い す てれび たんす
はー実験のための教示といっしょに予め1事例につき3秒の割合で、呈示順にカセットテープに 録音されていた。
(2)回答用紙‑実験を集団で行うために、教示と回答欄を印刷した冊子を準備した。冊子の大 きさはB5版で、表紙、練習課題用の回答用紙、本課題用の回答用紙の3枚綴りになっている。
表紙には、学年、組、氏名、生年月日の記入欄が印刷されていた。練習課題用の回答用紙は、用
つぎの「なかま」には、どんなものがありましたか。
(のり もの)
(は な)
(か っ き)
(ぶんばうぐ)
(く だもの)
(け も の)
図1 手がかり再生条件の回答用紙の1例(6カテゴリー条件)
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紙の上部に、 "いま見たカードの中にどんなものがありましたか。おもいだしたじゅんばんにか いてください。"という教示が書かれ、その下に回答用の境線が引かれたものである0 本課題用 の回答用紙は、手がかり再生条件と自由再生条件とでは異なっている。図1は手がかり再生条件 のもので、上部に"つざの「なかま」にはどんなものがありましたか。"と書かれ、左端にカテ ゴリー数の条件に応じて、適当な間隔をあげてカテゴリー名が書かれている。カテゴリ一名の配 列の順序は4カテゴリー条件では、けもの、くだもの、はな、ぶんぽうぐ、 6カテゴリー条件で は、のりもの、はな、がっき、ぶんほうぐ、くだもの、けもの、 8カテゴリー条件では、はな、
とり、かぐ、のりもの、くだもの、がっき、けもの、ぶんほうぐの順であった。自由再生条件の 回答用紙は練習課題用のものと同じであった。
手続き 実験はすべて集団で実施した。各学年とも、カテゴリー条件ごとに1学級ずつ割り あてた。さらに、各々の学級のほぼ半数の者は手がかり再生条件に、残り半数の者は自由再生条 件に割りあて、それぞれの回答用冊子を配布した。
最初に学年、学級、氏名、生年月日などを記入させた後、予めテープに録音しておいた教示を 聞かせ、練習課題を行わせた。教示は次のとおりである。
はじめにやり方をいいます。今から、いろいろなものの名前を書いたカードを見せます。そ の名前をできるだけたくさんおぼえて下さい。紙に番いたりしないで頭の中でよくおぼえて下 さい「やめ」といったら、全部書けていなくても鉛筆をおいてやめて下さい。やり始めたら、
絶対にとなりの人のを見たり、話をしたりしてはいけません。
教示に続いて、録音テープに従って3秒に1枚の速さで事例を呈示していった。呈示後すぐに1 分間の自由再生を行わせた。
練習課題に続いて、次のような教示を与え本課題を行ったOも今度はちがうカードを見せます。
さっきと同じようにできるだけたくさん覚えて下さいo やり方はさきほどと同じです〝。教示に 続いて録音テープに従って3秒に1枚の速さで24枚の事例を呈示した。呈示の直後、 3分間(但
し、 2年生は4分間)再生を行わせた。
権 幕
表5は練習課題で正しく再生された事例数の平均値とSDを示したものである。平均値につい て学年ごとに2 (再生粂件)×3 (カテゴリー数)の分散分析を行ったところ、両学年ともいずれ の主効果、交互作用も有意でなかった。したがって、それぞれの学生における各群は等質である といえる。
表5 練習課題の再生数の平均値とSD
2 年 6 年 再生条件 カテゴリ‑数 カテゴリ‑数
4 6 8 4 6 8
手がか。再生 くま:志望)
自由再生 (呈書)
4. 89 4. 29 (1.05) (1,53)
4.31 3.86 (0.77) (1.46)
5.09 5.64 5.57 (1.03) (1.39) (0.91)
5. 67 5. 08 5. 07 (1.01) (1.21) (1.39)
( )内の数値はSD
本課題での再生行動の結果は、再生数の他に再生されたカテゴリー数とカテゴリー内の平均事 例再生数について分析した。
再生数 表6は正しく再生された事例数の平均値とSDを示したものである。 2 (再生条件)
×3 (カテゴT) ‑数) ×2 (学年)の分散分析を行った結果、再生条件(F‑ll,39, <2/‑l/166, iサ<.01)、カテゴ)) ‑数(F‑7.79, df‑2/166, P<.01)、および学年(F‑19.28, rf/‑l/166, P<01)の主効果がそれぞれ有意になった。しかしながら交互作用はいずれも有意でなかった。
なお、手がかり再生条件の(重みをかけない)平均は11.45、自由再生条件の平均は10.05であり、
2年生の平均は9.95、 6年生の平均は11.67であった。カテゴリー数について主効果の検定を行 ったところ、 6カテゴリ一兵件が4および8カテゴリー条件よりも(t‑7.01, df'‑166, P<
.001; *‑5.54, df‑166, P<.001)、また4カテゴリーは8カテゴ])‑条件よりも(*‑&11, df
‑166, P<.01)、それぞれ有意に再生量が大きかった.
以上の結果は、手がかり再生条件は自由再生条件よりも、 6カテゴリー条件は他のカテゴリー 条件よりも、 6年生は2年生よりも再生量が多いということを示すものである。
表6 再生数の平均値とSD
2 年 6 年 再生条件 カテゴリ一数 カテゴリー数
4 6 8 4 6 8
手がかり再生10.
(1.去塁)
自由再生(呈溜)
12.22 8.64 (3.26) (2.06) 10. 19 8. 57
(3.32) (2.66)
12.57 13.57 11.57 (2.64) (2.58) (2.82) ll.33 10.85 10.07
(3.49) (3.44) (3.10)
( )内の数値はSD
交互作用はいずれも有意にならなかったが、学年別にカテゴリー数ごとに、手がかり再生条件 と自由再生条件での再生数の平均の差について£検定を行った。その結果、 2年生と6年生の両 方で6カテゴT) ‑条件においてのみ再生条件間に有意差がみられた(*‑1.74, df‑30, .05<P
<.10: *‑2.25, df‑25, P<.05)。また、 2年生の手がかり再生条件では、 4カテゴリー条件 と6カテゴリー条件(f‑2.26, df‑22, P<.01)、 6カテゴリー条件と8カテゴl)‑条件(t‑
3.48, df‑30, P<.001)、および4カテゴリ一条件と8カテゴ7)‑条件間(t‑2.U, df‑28, P<01)にそれぞれ有意差がみられたが、自由再生条件ではそれぞれのカテゴリー条件間には有 意差はみられなかった。また、 6年生の手がかり再生条件では6カテゴリー条件と8カテゴリー 条件の間(i‑1.89, ^/‑26, .05<P<.10)にのみ有意差がみられたが、自由再生条件ではいず れの条件間にも有意差はみとめなれなかった。
カテゴリー再生数 カテゴリー再生数は少なくとも1項目以上再生されたカテゴリーについ て算出されたo表7は各条件のカテゴリー再生数の平均値とSDを示したものである。それぞれ のカテゴ1)‑条件ごとに再生条件間の平均値を比較したところ、 6年生では6カテゴ1)‑条件で 有意差が(t‑2.35, #‑25, P<.05)、また8カテゴリー条件では有意に近い傾向が認められた (*‑1.94, df‑26, .05<P<.10)。 2年生ではどのカテゴリー条件においても、 2っの再生条件 問に有意な差がみられなかったo この結果は、 6年生の6カテゴリー条件において手がかり再生 条件でより多くのカテゴリーが再生されたことを示している。
rcic 藤田 正・開口 純司
表7 カテゴ1)‑再生数
2 年 6 年 再>+.条件 カテゴリー数 カテゴリー数
4 6 8 4 6 8
手がかり再生3.94 (0.24)
自由再生(3霊)
5.67 6.07 (0.82) (1.10) 5.13 5.86 (0.99) (1.41)
3.93 5.86 6.86 (0.26) (0.35) (0.92)
3.80 5.39 6.00 (0.40) (0.63) (1.31)
( )内の数値はSD
カテゴリー内平均事例再生数 表8は各条件のカテゴリ‑内平均事例再生数.とSDを示した ものである。それぞれの条件ごとに再生条件間の平均値を比較したところ、 6年生の6カテゴリ ー条件で再生粂件間に有意に近い傾向(*‑1.81, df‑25, .05<P<.10)が認められた点を除い ては、どの再生条件間にも有意差はみられなかった。
表8 カテゴリー内平均事例再生数
2 i"E G 年 再生条件 カテゴリー数 カテゴリ一数
4 6 8 4 6 8
手がかり再生 (呂:霊) 自由再生 (呂:3g)
2. 14 1.44 (0.46) (0.29)
1.94 1.47 (0.35) (0.30)
3.18 2.33 1.68 (0.58) (0,46) (0.29) 2.95 1.93 1.68 (0.76) (0.49) (0.34)
( )内の数値はSD
m us
本研究の目的は、再生時の手がかりの効果をリストを構成するカテゴリー数との関係において 検討することであっ・た。再生数に関する結果は次のとおりであった(a)手がかり呈示は、 2年 生と6年生の再生を促進した。 (b) 6カテゴリー条件での再生が他のカテゴリー条件での再生よ りも大きかった(c)手がかりの効果は、 2年生と6年生の両方で6カテゴリー条件においてみ られた。この効果は2年生よりも6年生で顕著であった。
結果(C)が示すように、手がかり呈示の効果はリストを構成するカテゴリー数に依存すること は明らかであるが、 Tulving and Pearlstone (1966)やEysenck and Baron (1974)の研究から 導いた本研究の予想とは一致しなかった。本研究では、 4カテゴリー条件から6カテゴリー条件 へと手がかりの効果は増加するが、 8カテゴリ‑条件では、むしろ減少しているO この結果につ いては次のように説明できる0 4カテゴリー条件では、カテゴリー数が少ないので再生の際にカ テゴリー名の想起が比較的容易であり、したがってカテゴリ一名呈示の影響は少ない。 6カテゴ リー条件では、カテゴリー数が多いのでカテゴリー名を憩起することが困難であり、したがって 手がかりを与えることの効果がより大きくなるoこの解釈によれば、 8カテゴリー条件で手がか りの効果が最も大きくなるはずであるが、結果は逆に減少した。現在のところ適切な解釈はでき ないが、表7と表8に示されるように、この条件では再生されたカテゴリー数は増加しているが、
カテゴリー内項目再生が増加していないことによるのかもしれない。本研究の結果は、 Earhard
(1967)が指摘しているように、手がかり呈示の効果は、利用される手がかりの数(カテゴリ一 致)とそれぞれの手がかり(カテゴリー)内の事例数に依存していることを示している.
年少児は,カテゴリーに基づく貯蔵を行っていても、再生時にカテゴリーを手がかりとして利 用できないという再生欠陥(retrieval de丘ciency)の状態にあることが指摘されている(Eysenck
& Baron, 1974; Halperin, 1974),本研究においても、 6年よりも2年生において再生欠陥が大 きく、手がかりの効果がより大きいと予想したが、結果は逆であった。これは、 8歳児よりも5 歳児で再生手がかりの効果が見られたEysenck and Baron (1974)の結果とは一致しないもの であった。 Eysenck らは、自由再生を2試行行った後、手がかり再生を行っているo それ故、
手がかり再生試行の時点では、事例をある程度カテゴリーごとにまとめた貯蔵がなされ、そのた めに自発的にカテゴリー名を手がかりとして再生しやすかったと考えられる。 5歳児に比べて8 歳児では自発的に手がかりを使用して再生する能力が高いので、再生手がかりを与えられても5 歳児はど効果がなかったと考えられる。それに対して本研究の場合, 1試行目において手がかり 再生の効果をみているので、貯蔵の段階ですでに2年生と6年生で差があり、 6年生の方がむし
ろ再生手がかりを効率的に利用したのではないかと考えられる。
ところで、再生手がかりの呈示は、カテゴリーの想起を促進するのか、あるいはカテゴリー内 の事例の再生を促進するのかということが問題になる。この点について、カテゴリー再生数とカ テゴリー内事例再生数により分析を行ったOその結果、 6年生の6カテゴリー条件でのみカテゴ
リー再生数とカテゴリー内事例再生数の両方に促進効果がみられた0 2年生では全てのカテゴリ ー条件で違いはみられなかった。統計的には有意ではなかったが、標本値の上では6カテゴリー 条件での差が大きい。再生数に関してみられた6カテゴリー条件での手がかりの促進効果は、少
なくとも6年生では、カテゴリー再生とカテゴリー内事例再生の再方によるものといえよう。こ の結果は、 Eysenck and Baron (1974)の結果と一致した。しかし、高校生ではカテゴリー再生 数にのみ促進効果がみられた(Tulving & Pearlstone, 1966) ,
要 約
本研究の目的は、再生時の手がかりとしてカテゴリー名を与えることが再生におよぼす効果 を、リストを構成しているカテゴl)‑数との関連において検討することであった。
2×3×2の要因計画が用いられた。第1の要因は再生条件で、手がかり再生条件と自由再生条 件であった。第2の要因はリストのカテゴリー数で、 4、 6、 8カテゴリ‑であった。第3の要 因は学年で、小学2年生と小学6年生であった。被験者は、平均年齢8.2歳の小学2年生94名と 平均年齢12.2歳の小学6年生84名であった。各学年の被験者は、 3つのカテゴリー数の条件のう ちのひとつに割りあてられた.さらに、各々のカテゴリー条件の約半数は手がかり再生条件に、
残りの者は自由再生条件に割りあてられた。再生のための手かかりは、リストを構成する事例の カテゴリー名であった。リストは、表2、 3、 4に示されるように、それぞれ24事例から成る 4、 6、 8カテゴリー(けもの、花、果物、文房具、楽器、乗物、烏、家具)で構成されてい た。それぞれの事例は、白色の厚紙に黒のマジックペンで平仮名で音かれている。実験は学級単 位の集団で実施された。事例はランダムに豊示された。再生の際、再生手がかり条件の被験者は カテゴリー名を呈示されたo
結果は、表5、 6、 7に示されたように、 (a)手がかり再生は2年生と6年生の再生を促進し
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た(b)6カテゴリー条件での再生が他のカエゴリー条件での再生よりも大きかった(c)手がか り再生の効果は、 2年生と6年生の両方で6カテゴリー条件においてみられた。この効果は2年 生よりも6年生で顕著であった。
これらの結果は、以前の研究と関連させて議論された。本研究の結果から示唆されることは、
手がかり再生の効果はリストを構成するカテゴリー数に依存するということである。
引 用 文 献
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