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土壌の力学的性質に関する研究

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

土壌の力学的性質に関する研究

著者 太田 頼敏

雑誌名 奈良学芸大学紀要

5

2

ページ 99‑105

発行年 1955‑12‑25

その他のタイトル Studies on the Mechanical Properties of Soil.

URL http://hdl.handle.net/10105/4991

(2)

(99)

土壌の ̄力学的性質に関する研究

太  田  頼  敏 (農業工学教室)

(昭和30年10月1El受理)

Yoritoshi.OTA

Studies on the Mechanieal Properties of Soil.

ト緒 論。

,臣実験材料及び方法。

甘.実験成渾及び考察。

(1)組成。比重。

佗)突固め密度。

(3)圧縮応力。

匝)粘 着 力。

(5)ビステレシス係数。

Ⅳ・結 論。

I.緒    論

土質力学は,従来実用的方面より多くの解析や応力変化による計算法等が研究されて来たが,

近時土壌そのものの性質を把握するための理学的研究を行うことにより本質的な材料学的検討を 行う傾向が盛んになって来た。著者は先に土壌の含水量,鴇き固め等に依る電気的特性の変化及

び含水量と貰入,努断,圧縮等の各外力に対する抵抗力の変化に関して発表した。

土壌の物理工学的性質はその含水量に依り著しく影響されるが,山田氏は更に土壌の種類及び 状態別による内部摩擦角,粘性の変化等につき発表され,又最上氏は含水量と金属板の粘着力に

ついて発表されている。

近年農作業が合理化されつつある時,耕転機匿対する土壌の抵抗は極めて重要である。その能 率の高低,成否は一つは機械それ自体にあるとしても,それの対照たる土壌の性質に支配される ことも亦大である。かかる観点から田村,浅井,阿部,石橋の諸氏は,土壌の硬度に関する実験 研究を行った。尚土堰堤の安定のための条件として締め固め密度の大なることは重要事というこ

とは従来常識化されて来たが,これを更につき進めて和田氏は土の組成と勢断応力,乾土重量と の関連性を実験し発表されている。

従来土壌の圧縮性に関しては自然の堆積状態のものについて行った例が大部分であるが,この 場合同一の組成及び含水量でもその値に大きな範囲があり,その実験の成果の利用の点になると 疑問の点が多かった。この点特に著者は和田氏の例に倣い一定の外力を与へ突固めた試料を用い その圧縮試験を行いその結果圧縮強度,亜弾性係数,粘着力,鴇固め密度等の含水量による影響 及びそれらの相互の関連性に於て興味ある事実を知り得たのでここに発表することにした。

本研究に於て実験器具其他に多大の御援助を賜った本学平田,服部両先生に厚く感謝する。

I.実験材料及び方法

実験材料には粘質土を使用し,これを風乾状態にした後指先で細かく砕き,後4mm目の師を

(3)

(100)      太  田  頼  敏

通過させたものを実験に供した。含水量は炉乾法により求めこれを含水比で算出した。突固め密 度の測定及び圧縮試験は円井製作所製の試験器を使用した。尚圧縮試験用円柱形試料の製作には 著者考案の成形器具を用いた。これは内径5cm,長さ10cmの鉄製レリンダーに同径のレリンダ ーを継ぎ合せる様にし,これに径2.5〇mのランマーを手で作用させて試料は三層に分け各層25回 の突固めを行い,ソリンダーに充てんし,後ジャッキで抽出し両端を平らに仕上げた。試料の径 5C加,長さ10cmである。尚試料の高さが直径の1.5倍以下の供試体では試料両端の器具と土の 附着力によって圧縮強度が大に出すぎるので著者は特にこの点安全を期し比率を2倍にしたので ある。尚長さ10cmの場合は圧縮歪度の計算が簡易化される利点もある。含水ほ上記各試料を大 型バットにうすく置き,之に撒水し万遍なく混合させた後,束に之を4Tn.m.目の節を通し土壌

の団粒化を防いだ。

圧縮試験機は手動のブルービング・リング・ループ荷重計を主要部に持つ単純圧縮型式で最大 荷重は30kgでダイアル・グーデの最小読みは10Jlである。本試験磯は構造簡単能率的であり比較 的短時間に結果を見出しうる特長がある。

写  真   工

単純圧縮試験機    突固め試験器     試料成形状況      試料成形装置

Ⅱ.実験成績及び考察

(1)組成。比重。

T.1:豊井ダム何土 牛Z二 同上刃金土 Fig−1位度曲線     S.Kヱ倉橋ダム用土

0

0

9

0

8

0

7

0

6

0

5

0

4

0

3

0

2

0

I

l グ

l 7

I S . K .

l T

】 T 、 l

I 1 一 / 「

】 I l l

0 1            0 . 01 _ 」 具 → 粒 径 ( 叩 . 1 1 . 0

︵ま應痛感  − 0.020301両噸咽潤㌦9010︒

サイフォン・シリンダーにより組成 を観察したが,その結果を粒径加積曲 線図にして示せばFig.1の如くであ

る。

又いずれの試料も花崗岩の風化土で あり,真比重は次の如くである。

T.1=2.64,T.2=2.62

S.K.=2.66

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土壌の力学的性質に関する研究

(2)突固め密度。

5      10

20

−   ニ含水比(%j

25     30     35

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一定の荷重を以て土を 締め固める場合に,その 含水量と単位乾土重量と の間に土によって夫々 一定の関係があることは Proctol・氏によって示さ れている所である。而し てその最大乾土重量及び 最高含水比は土の機械的 並びに化学的組成によっ て相異するといわれる。

これ等の内特に前者の 関係を検討するためにJis.A.1210の突固め試験器により標準締固めによって各試料の最大乾土 重量及び最適含水比を求めた。実験成績はFig.2の如くであった。この関係より見ても最大乾土 重量は粒子の配分によって影響される所甚大であり,Fig.1の結果と対照して見ると特に粗粒分 の多いもの程最適含水比は小となっている。これは同一系統の試料では微粒子の含量の少ない程 間隙率が少なくなる結果,乾土重量が増加し,又一面微粒子が少ない為,粒子の表面積が小で,

その結果最適含水比が小となったと考へられる。

次に後述の圧縮試験用試料成形器(著者考案)による成形試料の突固め密度試験の結果を図示 すればFig.3の如くである。

この結果より考察するに各試料共に最大乾土重量は標準試験の場合より値が小さいが,これは 結局締固めエネルギーが少ない為である。傾向としては同様であると考へてよい。

侍)圧縮応力。

従来単純圧縮試験は自然状態の軟かい粘性土を円筒形に成形して上下両端を圧縮して破壊強度 を計る方法が採用されていた。

この場合三軸圧縮試験の横圧を0として行ふ試験と同じである。著者は上記の成形器によって 特に突固めた試料による圧縮試験を行ったのであるが,これはコンクリートの圧縮試験と同類の ものであり,その方法は円柱形(径5cm,長さ10cm)の供試体に周囲より制限を加えることな

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太  田  頼  敏

く垂直方向の単なる圧縮荷重を徐々に増して加へ,供試体が破壊される迄の垂直荷重と垂直方向 の「ひずみ」度を直接測定する試験である。

ll桓 単純圧縮試験用ル→プ荷重計の荷重一読線図

0

− 0 0 を 一 三

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十了 ヾ l

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5  10  】5 r hdlや㌘120 25 30      35

破壊時の単位面積の最 大垂直応力はその土の単 純圧縮強度(守のである。

使用した試験機は前述 の如くブルービング・リ ング・ループ荷重計(最 大30kg)を取付けた新型 式のものであるが,参考 迄に荷重計の外力に対す る歪の関係をFig.4に.示 す。

次に圧縮試験の結果を示せばFig.5の如くである。この結果より考察するに粗粒分に富む試料 T.1ほ他のものに比較し著しく強度が低く表われており,この点試料中の微細粒子の影響の大な ることが分る。

特筆すべきことは,含水量の影響である。夫々の試料の最大圧縮強度の含水比は突固め試験結 果(Fig.2)の最適含水比よりいずれも小なる点にあることが共通の現象として注目に値する。

試料の破壊時の状況を写真に示す。(写真Ⅱ参照)

T.2,S.K.の如く粘質土の場合は圧縮強度最大の含水比附近の試験の際,所要強度に達すると 急に破壊を起し,音響を発して粉砕される。

全体を通じ破壊直前には勢断による滑り面が形成され応力は急激に減少し歪のみが進行する。

含水比が極端に大になればこの様相より変り中央部が膨脹し遂に破壊される。

含水比が極端に小なる場合には成形不能になり試験に供し得なくなる。

写貢の下に附記した数値は含水比を示す。

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土壌の力学的性質に関する研究

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絶)津占着力。

粘土及び粘性土の場合,この単純圧縮試験によってその粘着力を理論計算より求め得られるこ とは従来諸学者の説により明らかである。

粘土の場合,圧縮試験の結果形成される勢断面に対する垂直圧力は総て粘土の間隙水圧によっ て文へられ土粒子に摩擦抵抗を生じない故,クーロソの公式に於て内部摩擦角≠ここ0 と考へられ 勢断抵抗力ぷ=C(粘着力)で表はされる。

従って粘土の勢断強度は粘着力を知れば充分である。

モールの応力円を応用し図示すれば(A)図の如くなり,単純 圧縮試験によって測定した単純圧縮強度を伽とすれば,図によ って明らかな様に≠=0であるから,伽=2Cで表はされる。

即ち卯の桟は粘着力となる。

次に一般の粘性土では,同試験の結果形成される滑り面の傾 斜角を測れば,(B)図により声が求まる,又その時のモールの 応力円により

卯=2C 加的

(45・+昔)

又C毒物(450−雲、)となる0

実験によれば供試土のα=イ∫0十号は次の表の如くなりその 結果,少,及びCの値が概略算出されるがその結果を綜合して表 示することにする。(衷−1)

表−1

S a In p le T .1 T .2  l S .K .

7 7 。 7 5 0  6 6 °

6 4 ° I

6 0 。 4 2 0

。.1 3 4 触 i 。.2 2 3 触 1

C

0 .1 1 5 ワ〟

Fig.5の結果より各試料の最大の紬を見出し,これに応ずるCの値を算出し,それを表示すれば 表−2の如くである。又Cの曲線を画けばFig.6の如くである。

表−2

巨≠姜∈≠∃

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太  田  頼  敏

供試土が砂質の場合,特に砂の場合はH錘の値は0に近づく故当然Cの値も0に近づき,この場 合は実際問題として単純圧縮試験は不可能となる。

侍)ヒステレジス係数。

上記成形供試体を圧縮機のピストンの間に挟み一定速度で載荷し,予想破壊強度の20〜30%に なったら同様の速度で荷重を取除き,荷重0になれば更に荷重を加へる。

これを繰り返し,破壊又は元の高さの25%位の変形になる迄試験を行ふ。

この応力ー変形曲線を各試料について,各含水比について試験して見たが,その結果いずれも この応力ー変形曲線は土が粘弾性体と仮定出来る から弾性体のもののように直線部分が存在しない。

従って弾性係数は単一の係数で表わし得ない。

従来このためにヒステレ1/ス曲線の2交点を結ん でヒステレ1/ス係数(従来亜弾性係数と呼んだ)を 求めるが,著者は本実験を圧縮強度試験と併行して 行い,各含水比に応ずる試験をなした。

特に最大強度附近の含水比に於けるヒステレシ㌧ス 曲線を図示せばFig.7の如くである。

次に各試料の各含水比に応ずるヒステレ1/ス係数 を求めた結果を図示すればFig.8の如くである。

図中第一次及び第二次係数とあるのほFig.7の各 曲線中第1回,第2回のヒステレ1/ス曲線について 係数値を求めたものである。

普通圧縮が進むにつれて次第に供試体中の水分が 僅か乍らも梼出されて間隙も減少し,硬化してその 結果第二次係数の方が大になったものと考へらる。

各試料の中S.K.ほその差が僅小である。これは 粒径範囲も狭く細粒子に富む為と考へられる。

いずれにしても各試料の最大圧縮強度附近では第 一次,第二次係数の差が最大となり,それを境とし

て差が漸減している。

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土壌の力学的性質に関する研究

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この実験で最も注目 すべきことはFig.8の 曲線の形がPig.5の圧 縮強度曲線とはゞ同形 である点と,いずれも 最大点の含水比が相

互に一致することであ る。

Ⅳ.結    論

(1)締め固め効果については粘土以下の含有量の高い土は最大乾土重が低く,最適含水比が高 く衷はれる。之は粘土含量が大なるときほ其の比表面が大となって,その結果水分吸着が増すた めであると考へられる。

佗)土の水分量の増加と締め固め重量及び圧締応力の関係を本実験から考察すると,一定の水 分量に達すると圧縮応力は急激に減少し,同時に締固め重量に於てほ急激に増大する。

(3)含水比の増加と乾土重量及び圧縮応力の2つの曲線を比較すると,一定の限界では圧縮応 力は急激に減少し,同時に乾土重量は増大することを考へると圧縮応力の最大を示す点の含水比 は常に最適含水比よりも小である。

極)圧縮応力とヒステレシ㌧ス係数の両曲線ほほゞ同様の傾向をたどり共に最高点の含水比は一 致する。ヒステレ1/ス曲線中には直線部は殆んど存在しなく,尚圧縮の進行と共に係数値は漸増 する。

侍)単純圧縮の結果試料の破壊時に形成される傾斜角は含有粘土量に交配される様であるが,

尚との傾斜角より算出した粘着力の曲線と乾土重の曲線とを比較した結果,粘着力の高いもの程 乾土重は低く,又粘着力の最高の含水比はいずれも最適含水比より小である。

(6)以上のことを綜合して粘性土の練固めに於て,乾燥土重量の最適含水比より内側に於て締 固める場合そのもつ力学的強度を最高度に発輝しうるものと考へる。

参 考 文 献

(1)根谷 勇治 軟弱粘土の単純圧縮試験 農業土木研究  Vol・21,No・1,1953 位)巻内 一夫 土質試験法       土木学会,最新土質工学   1950

(3)最上 武雄 基礎工学と土質調査   丸  善 1954

㈲ 三木五三郎  土質力学演習       オーム社 1953

(5)和田  保  土の組成と勇断応力並に

乾土重量との関係について 農業土木研究  Vol.21,No.3,1953

(6)Hogentogler Engineering Properties of Soil.  1937

参照

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